公共空間における周囲の第三者とのコミュニケーション支援のための自己プレゼンス 通 山 和 裕† 西 尾 信 彦†† 近年,街中のような公共空間での第三者間コミュニケーション支援を目的とする研究/開発が各所 で進められている.それらは,これまで表出していなかった人間関係を発見し,興味や嗜好,目的を 共有する人々を結びつけることで,より価値の高い生活の実現を支援することを大きな目標としてい る.しかし,既存の手法は第三者間に交友関係を持たせるプロセスが急であり,心理的な抵抗が強い. 本稿では,携帯電話などの携帯無線端末を用いて周囲の第三者とのゆるやかなコミュニケーションを 支援することを目指し,そのために「いま周囲にいる第三者との共感」を実現する自己表現(自己プ レゼンス)の要件について述べ,一手法として写真とテキストメモを周囲の第三者間で共有すること を提案する.また,Web 上のソーシャルブックマークを利用した予備調査から,公共空間において 第三者たちの自己プレゼンスを利用して「場所の属性」や「潜在的なコミュニティ」を発見する手法 の実現可能性を検討する. Self-Presence for Communication with Surrounding Third Persons in Public Spaces Kazuhiro Tooriyama† and Nobuhiko Nishio†† Recently, there are a lot of researches to support communication among third persons at public space, like a city or street. They aim to discover hidden human relationships and realize more effective and worthwhile daily life by bringing people together who share interests, preferences and objectives and so on. However, existing methodology tries to make connection between third persons suddenly, so it makes things uncomfortable for us. Our goal is supporting and actualizing gradual communication with our surrounding third persons. Therefore, we describe requirements of self-presence raising and retaining sympathy with them, and suggest exchanging and sharing their own pictures and text comments attached to each pictures with such persons each other, as a first approach method. Moreover, from the result of preliminary exam using social bookmark service on the web, we discuss a feasibility of realizing discovering attributes of places and potential community, with utilizing third persons’ self-presence in public spaces. 1. は じ め に 互いの類似点や共通点を発見し,これまで表に現れな かった人間関係の構築を促すものである.ところが, 近年,街中のような公共空間での第三者間コミュニ Lovegety1) のように素性も知らない相手と唐突に交 ケーション支援を目的とする研究/開発が各所で進め 友関係を築かせようとする支援手法は,多くの人々に られている.それらは,これまで表出していなかった とって敷居が高く,仮に興味が合致した第三者同士を 人間関係を発見し,興味や嗜好,目的を共有する人々 引き合わせたとしても,即座に交友関係を成立させる を結びつけることで,より価値の高い生活の実現を支 ことは難しい15) .より抵抗感の薄い,円滑に他者との 援することを大きな目標としている.代表的な手法は, つながりを生む手法の必要性が示唆される. 携帯電話や PDA といった無線通信が可能な個人用の 携帯端末を利用し,周囲の第三者間で「興味」 「嗜好」 「体験」といった情報を交換・共有することによって 強い抵抗を感じない方法があれば,他者とつながっ ていたいという欲求は発露する.急速に利用者数を 伸ばしている Twitter5) は,ただ純粋に「いま何をし ているか」を不特定多数のユーザ間で伝えあうだけの † 立命館大学大学院 理工学研究科 Graduate School of Science and Engineering, Ritsumeikan University †† 立命館大学 情報理工学部 Department of Computer Science, Ritsumeikan University Web サイトである.具体的な利便性を備えていない にも関わらず,大勢の人々に利用されていることから, 気構えずに簡単に他者と“ゆるやかに”つながっていら れる方法が求められていることが伺える.他方,地理 的な情報や口コミ情報などを互いに交換・共有するこ とで集合知をつくり出し,それらを接点として,ゆる やかに第三者間をつなげるコミュニケーションモデル 2)∼4),6) の提案/事例も数多く存在する .しかし,現状 の共感や親近感を生み出すことを重視する. (図 1) 本稿では,公共空間において,周囲の第三者とのゆ るやかなコミュニケーションを支援するために必要な における事例の多くは Web を主体としたものであり, 自己プレゼンスの要件,手法,利用法を取り上げる. 街中や日常生活上でのゆるやかなコミュニケーション 一手法として「写真とそれに付随するテキストメモの は未だ発展途上である. 発信と共有」を挙げたのち,自己プレゼンスを利用し ここ数年における blog や SNS,その他のコミュニ ケーションツールの拡大により,自分の思いや考え, 経験を発信する人々が増加し,発信したいという欲求 も強まっている.将来的には,街中や屋外においても そうした欲求を満たす方法が求められるだろう.同時 て「場所の属性」や「場所に集まる人々の傾向」を導 出する方法の提案について述べる. 2. 公共空間における自己プレゼンス 2.1 ゆるやかなコミュニケーション に,個々人が発信するであろうそうした情報を利用す ゆるやかなコミュニケーションは,その形態もあり ることで,街中においても第三者間をゆるやかにつな ようも様々である.明確なコミュニケーションを行う げることが可能となると考えている.その実現には, ものではないため,本質として非常に感覚的にゆる 実際に目の前に相手がいる街中,屋外で,抵抗感をあ やか(あるいは,ゆるい)か否かが判断される傾向に まり感じさせずに情報発信を行う手法と,発信され ある. ている情報を利用して第三者間のゆるやかなコミュニ ケーションを実現する手法の双方が必要である. ひとつの要件として,明示的な意見の交換を前提と していないことが挙げられる.Twitter がゆるい,ゆる やかであるのは,BBS やインスタントメッセンジャー と異なり,あくまでも一方的に自分自身の現在の状態 (何をしているか,何を考えているか)を発信するこ とに起因する.また,Limonect11) は,離れた場所に いる家族の気配(足音や生活音)を,光や音で知るこ とができる足ふきマット型デバイスであり,家族をゆ るやかにつなぐことができる.こうした手法も,ゆる やかなコミュニケーションのひとつと捉えることが出 来る. 不特定多数を対象にする場合でも,特定の相手を対 象とする場合でも,コミュニケーションの立ち上がり 図 1 第三者間の自己プレゼンスとゆるやかなつながり Fig. 1 Self-presence among third persons and gradient connection から言葉や文字による意見のやり取りを求めるものは, ゆるやかと呼べない.特定の誰かに対するメッセージ であることを意識させずに,相手の気配や存在を“ 感 じさせる ”ことが本質である. 本研究は,街中や屋外といった公共空間において, ゆるやかなコミュニケーションは,時として会話と 周囲(見渡せる程度の範囲)に存在する第三者とのゆ いう明示的なコミュニケーションに発展するが,多く るやかなコミュニケーションを支援することを目的と の場合は相手の存在を知る程度に留まる.そのため, する.そのために「興味」 「嗜好」 「体験」といった自 心理的な負担や抵抗感が小さい.公共空間で遭遇する 分自身を表現しうる情報を自己表現(自己プレゼンス) 第三者を対象とする本研究においても,こうしたモデ として,携帯無線端末により第三者に対して発信し, ルは重要になると考えている.第三者間をゆるやかに 交換・共有することを想定している点は既存手法と同 つなぎ,抵抗なく共感や親近感を芽生えさせることで, 様である.しかし,ここでの自己プレゼンスは,第三 自然な形で円滑な人間関係の構築を支援できるはずで 者との出会いを直接の目的とするものばかりではなく, ある. 情報の発信欲求にもとづいて作成・更新されるものを 2.2 公共空間での自己プレゼンスの要件 想定する.また,興味や嗜好のマッチングによって第 現在,街中で自己表現を活発に行っているのは一部 三者間に確固たる人間関係を築くことを促すことより のストリートミュージシャンやパフォーマーたちに限 も,各人の自己プレゼンスを用いて,周囲の第三者と られている.しかし,自己表現したい/注目されたい /情報を発信したい/意見を交換したい/共感したい イヤー自身の情報は一切やり取りしないが,飼い犬の という思いは多くの人々が抱えているものであり,昨 プロフィールを通じてプレイヤーをゆるやかにつなぎ, 今の blog や SNS の興盛がそれを裏付けている.街中 一種の共感を発生させる.しかし,やり取りされる情 のような公共空間においても,簡便かつ心理的に敷居 報はあくまでもゲームの枠内に限定されたものであり, が低い自己プレゼンス手段を構築することで,そうし 日常的なコミュニケーションに用いるには十分とはい た欲求を発露させることが可能となる. えない. 「自己表現がしたい」という欲求に応えるため 本研究では発信されている自己プレゼンスを交換・ 共有し,利用することで周囲の第三者間をゆるやかに つなげることを想定しているため,自己プレゼンスは それを前提としている必要がある.それらをふまえ, 自己プレゼンスが満たすべき要件を挙げる. • 匿名性の確保と自己表現のバランス には,人柄や社会性を表現しうる手法を見いだす必要 があると考える. 3. 自己プレゼンスに基づく第三者間コミュニ ケーション 3.1 写真とメモによる自己プレゼンス 公共空間での自己プレゼンスは,何者かわからな 本研究では,人々がインターネットへのブロードバ い第三者に対して発信するものである.詳細なプ ンド接続および近接無線通信が可能な携帯無線端末を ロフィール情報を無条件に発信するわけにもいか 所持していると想定している.以上の環境下で,第三 ないため,ある程度の匿名性を維持した上で,自 者とゆるやかにつながるための自己プレゼンスとして, 己を表現しうる自己プレゼンスが必要となる.こ 自身がこれまでに撮影した写真とそれに付随するテキ の点,集合知を介在するコミュニケーションモデ ストメモの利用を提案する. ルでは,共有している情報そのものが互いの自己 写真は,本人が自分自身で能動的に撮影するもので プレゼンスとして機能していると考えられる.自 あり,興味や関心を内包した撮影者の視点そのもので 分自身のプロフィールそのものを表出してはいな ある.テキストメモは,撮影した本人にとっては何の いが,共有した情報が人柄を曖昧に表し,適度な 写真であったか記すためのものだが,第三者にとって 匿名性を保っていると言える. は撮影者の撮影の意図を知るための材料となる.つ • (半) 自動的な発信と更新 まり,ある人物が過去から継続的に撮影してきた写真 屋外では,屋内に比べてコンピューティング環境 とテキストメモの集合は,人柄を端的に表す.また, が大きく制限される.特に,携帯電話のような携 Flickr9) 上の写真のように,はじめから第三者への公 帯無線端末の利用を想定するとインターフェース 開を前提に撮影されている写真であれば,自己プレゼ の制約が看過できない.過度に手間がかかったり, ンスとして使用してもある程度の匿名性を保つことが 強い抵抗感が生まれる自己プレゼンス手法は敬遠 期待できる.カメラ付き携帯電話の普及により,写真 され用を為さない.自己プレゼンスは服装のよう の撮影は今日では日常的な行動になりつつある.生活 に「適度に意識する」程度が理想であろう.つま の中で新しい写真が撮影されることで,自己プレゼン り,自己プレゼンスは自身で状態が確認・管理で スとしても強く意識されることなく更新される. き,(半) 自動的に発信や共有が行われる必要が ある. • 物理的近接性を持つ相手との共有 そうした写真を近くにいる第三者と自動的に交換・ 共有することで,自己プレゼンスとする.携帯端末を 見ることで,周囲の第三者がこれまでに興味をもった 周囲の第三者間のゆるやかなコミュニケーション ものなどを知り,曖昧に彼らの人柄を理解することで, を前提とする以上,少なくとも物理的に「近くに ゆるやかに第三者とつながることを実現する. いる」第三者間で自己プレゼンスが共有される必 そのために,Bluetooth や WiFi などの近接無線通 要がある.近接無線通信が可能な携帯端末を用い 信が可能な携帯無線端末を用いる.各自が持っている ることで実現できると考えられる. 端末は,通信範囲にいる端末同士で,自己プレゼンス このように,匿名性を維持しつつ,物理的に近接し として写真とテキストメモの集合を自動的に交換する. た相手と自動的にやり取りされる自己プレゼンスの例 端末を見れば,周囲の第三者がどのようなことに興味 として,nintendogs8) のすれ違い通信があげられる. を持ち,それに対してどのような考えを持っているか これは,同ゲームのプレイヤー同士が公共空間ですれ を知ることができる.通常は端末の ID のみを交換し, 違った際に,ゲーム内の飼い犬のプロフィールが近接 実際の写真とテキストメモのデータはインターネット 無線通信によって互いに交換されるものである.プレ 上のサーバから必要なときのみダウンロードする方法 いる場合,それぞれのタグの利用頻度や傾向を求める ことで,その人物の興味や関心事を知ることができる. • 場所の属性の推測 タグのような自己プレゼンスを所持・発信してい る人間が多数存在するならば,彼らの日常生活に おける移動や一定箇所への停留を利用することで, 「その場所に集まる人々の傾向」や「場所の属性」 を知ることができると考えられる.たとえば,あ る場所で人々が自己プレゼンスしているタグの利 用頻度の総計を取得した場合に[ファッション] [ショッピング][アパレル][服][靴]といった タグの利用頻度が高ければ,そこには服飾品を買 うことを好む人々が集まっているはずである.さ 図 2 写真とメモによる周囲の第三者への自己プレゼンス Fig. 2 Self-presence for surrounding third persons by sharing pictures and text comments らに,そうした人々が頻繁に利用するということ から,その近辺は衣類の買い物などに利用されや すいエリアだと類推できる.逆に,喫茶店で頻繁 に店を利用する人々を対象として同様のことを行 を取ることも可能であろう.この場合,自身の端末の えば, [カフェ]や[コーヒー]といったタグが特 通信範囲にいる他の端末の ID を用いて,ID に対応す 徴的に検出できる可能性がある. るサーバ上の写真とテキストメモを閲覧することにな る.(図 2) また,チャットや SNS のような,明示的で接続性の • 潜在的なコミュニティの検出 先の喫茶店で,頻繁に利用する常連顧客の自己プ レゼンスからタグの利用頻度を検出した結果, [カ 強いコミュニケーション手段を段階的に利用すること フェ] [コーヒー]以外に, [バイク] [ツーリング] も想定している.たとえば,付随するテキストメモだ などのタグが特徴的に現れた場合,実はツーリン けでは写真の意図が理解できなかった場合,端末上か グを趣味としている人々が知らず知らずのうちに ら相手に質問し返答を得ることがテキストチャットな 集まっていたことになる.そうした本人たちも気 どで (互いに匿名のまま) 可能であれば,自己プレゼ がついていない隠れた共通点を発見し,コミュニ ンスを欠いている場合に比べて自然に第三者とコミュ ティの形成を支援することが考えられる. ニケーションを取ることができるはずである.自己プ そのように Folksonomy によって分類されたデー レゼンスしている側にとっても,そうした第三者から タからユーザの興味の傾向を知る方法として, の反応は自己プレゼンスを行うモチベーションの向上 Web 上のソーシャルブックマークサービスに数 につながる. 千人のユーザたちが登録した Web ページの URL 3.2 自己プレゼンスの応用 と,URL に付加されたタグの組み合わせから,各 Flickr 上に登録されている写真の中には,利用者た ユーザの興味にあった Web ページを推薦するシ ちによって人手でタグ付けがなされているものが多数 ステム21) が提案されている.既存手法と遜色な 存在する.これらのタグは,写真の被写体であったり, い結果を導いていることから,Web における事 撮影された場所や状況であったり,写真に対する評価 例ではあるものの,実世界で共通の興味を持った であったりと様々な意味を持つ.たとえば,猫の写真 第三者の集団の検出に応用できる可能性がある. には頻繁に[猫] [cat]といったタグがつけられる.こ しかし,こうした場合にある二人の人物のタグの うした人手によるタグ付け分類手法は Folksonomy20) 利用傾向に特定の共通点があるからといって,そ と呼ばれ,コンテンツの分類に一定以上の成果を上げ の二人の間に唐突に交友関係を築かせるような支 ることが知られている.このことから,写真につけら 援を行っても,抵抗感が拭いきれない点には留意 れたタグはテキストメモと同様に,写真を撮影した本 すべきである. 人がこれまでに興味を持ったものや,関心を示した事 • 情報配信システムとの連携 柄を表していると言える.つまり,ある人物がタグ付 近年では,街中において通行人の興味や状況にあ けされた大量の写真を自己プレゼンスとして所持して わせて広告情報などを配信するシステムの提案/ 研究事例が多数見受けられる.本研究における自 4.2 自己プレゼンスとしての SBM 己プレゼンスは,第三者に開示することを前提と SBM 上にある各ユーザのこれまでのブックマーク して,本人の意思で発信しているものであるため, は,Web 全体に向けて公開されており,Web におけ そうした情報配信システムが利用することも可能 る自己プレゼンスとしても機能する.Web ページを である.たとえば,自己プレゼンスから通行人の SBM にブックマークしたということは,その Web 興味の傾向を察知して,街頭ビジョンに表示する ページの特徴や属性に興味があるということである. 広告映像を適応的に切り替えることに利用できる. そうして累積したブックマークは,そのユーザの興味 そうした結果として自分自身が有用な情報を手に や嗜好の傾向を表している.ブックマークした Web 入れることにつながるのであれば,自己プレゼン ページにはユーザ自身がタグ付けしているため,過去 スを周囲に発信するモチベーションにもなりえる. に利用したタグの累計を求めることでユーザ自身の興 このような自己プレゼンスの利用を実現するために 味の傾向を知ることができると推測できる. は,第三者と同じ場所で出会った回数や,知らず知ら 4.3 実験:Web ページとユーザの興味傾向の関係 ずのうちに一緒にいた時間の長さなどを考慮しなが ここで,ユーザが興味を持ってそこを訪れたという ら,自己プレゼンスの内容から場所の属性や潜在的な 意味では,実世界の場所も,Web 上の Web ページも コミュニティを推測する手法を考案しなければならな 同様であるという推察から,我々は SBM に登録され い.また,想定している環境は街中であり,存在する ている Web ページを実世界における「場所」,その 端末の数は生活者の数に比例して膨大である.かつ, Web ページを SBM にブックマークしているユーザた これらがすれ違う頻度などをリアルタイムに利用・演 ちを「その場所を利用している人々」と見立てた.さ 算するとなれば,中央集権的なクライアント・サーバ らに,その「場所」を訪れるユーザたちのそれぞれの システムではスケーラビリティを維持できない可能性 自己プレゼンスは,各ユーザが過去に利用したタグの が高い.したがって,人々が所持する携帯端末がそれ 累計という形で SBM 上にすでに存在している.これ ぞれで自己プレゼンスの取得・発信・演算を行う必要 らを用い,実世界で自己プレゼンスを利用して「場所 がある. の属性」や「その場所に集まる人々の傾向」を検出す 4. 予備調査:場所の属性と人々の興味の傾向 の関係 3.2 章で述べたように,各自の自己プレゼンスを利 ることが可能かどうか,Web における予備調査とい う形で実験を行った. 基本的な方針は,次の通りである. (1) ある Web ページ X をブックマークしている全 (2) それぞれのユーザ n ∈ N の全ブックマークを 用することで「場所の属性」や「その場所に集まる人々 の傾向」を検出することができるかを Web 上のソー ユーザ(ユーザの集合 N )を検出する. シャルブックマーク(以下,SBM)を利用して検証 調べ,これまでにユーザ n が利用した全タグの した. 利用頻度 fn を求めて,ユーザ n の興味の傾向 4.1 ソーシャルブックマーク SBM は,複数のユーザのブックマークをひとつの Web サイト上で共有するサービスである.各ユーザは とする. (3) 各ユーザ n のタグの利用頻度 fn を合計し,ユー ザの集合 N の全タグの利用頻度 FN を求める. ブックマーク時に URL にタグ付けを行うことで,そ 上記で求めた FN をユーザの集合 N の興味傾向とす の Web ページがどのような属性を持っているかを手作 る.これは「その場所に集まる人々の傾向」に相当す 業で分類することができる.タグはひとつの URL に る.一方で,Web ページ X に付けられているすべて 複数つけることが可能で,タグそのものも各ユーザが のタグの傾向を求めることで, 「場所の属性」を求め 自由に設定していく.このとき,ある URL 先の Web ることができる.この二つを比較することで,人々の ページが特徴的な属性を持っている場合,複数のユー 自己プレゼンスを用いて「その場所に集まる人々の傾 ザが同一のタグを付けることがある.たとえば,携帯 向」や「場所の属性」を実世界においても求められる 電話の新製品についてのニュース記事であれば,多い 可能性があるかどうかを計る. ときで数百名以上のユーザが[携帯電話]や[ケータ イ]といったタグを付ける.各ユーザの独立した分類作 業が集まって,Web ページが分類され,Folksonomy が実現されることが SBM の特徴である. ユーザの集合 N の興味傾向 FN は,次の式で求める. FN = ∑ n∈N fn fn = count(T AG1 ) average(count(T AGSn )) .. . を図 3 のグラフに示す. count(T AGT ) average(count(T AGSn )) たとえば,ユーザ a が全部で 3 種のタグ[ニュース] [ネタ] [blog]を利用しており,それぞれ 50 回,30 回, 20 回ずつ Web ページに付けているとする.このとき, 50 fa = ( (50+30+20)/3 , 30 20 , ) (50+30+20)/3 (50+30+20)/3 = (1.5, 0.9, 0.6) となる.同様にユーザ b が 2 つのタ グ[ニュース][ファッション]をそれぞれ 30 回, 20 回ずつブックマークに付けているなら,fb = 30 ( (30+20)/2 , 20 (30+20)/2 = (1.2, 0.8) である.ただし, Fa +b を求める際はタグごとに頻度を合計し,[ニュー ス][ネタ][blog][ファッション]の 4 つのタグに ついて,Fa + b = (2.7, 1.5, 0.9, 0.6) となる.これを ユーザ n ∈ N に対して繰り返した結果が,ある Web 図 3 Web ページの属性を内包するユーザの集団 N の興味傾向 Fig. 3 Interest of users(N) including the web page’s attribution ページ X についての FN となる.なお,この方法で は,多くの Web ページをブックマークしているユー ザほど fn の値が大きくなり,FN の値への影響力が 結果的に,Web ページの特徴を示すであろう 23 種 強まる傾向が出るが,各ユーザの fn はあえて正規化 のタグは,すべてが FN の上位 10 パーセント以内に せず,活発なユーザの影響力を大きいままに保った. 含まれていた.つまり,ある Web ページ X をブック これは,実世界においてもアクティブな人間ほど周囲 マークしているユーザの集団 N の興味の傾向を求め への影響力が大きいことによる. て,その Web ページ X の特徴や属性を内包するデー 実験にあたり,SBM に“ はてなブックマーク18) ” タセットをある程度特徴的に取得できたことになる. を利用した.はてなブックマークは日本最大規模の このことから「その場所に集まる人々の傾向」から「場 SBM として数十万人以上のユーザに利用されてお 所の属性」を導き出す可能性が示唆される. り,API も公開されている.実装は Linux ホスト上 で Ruby にて行った.今回の実験に用いた URL は, また,算出した FN FN の上位 15 個のタグは,順 に[design] [flash] [css] [blog] [web] [javascript] http://www.beyes.jp/19) である.235 名のユーザ [web2.0] [ネタ] [ajax] [google] [tips] [tool] [ファッ がこの Web ページをブックマークしており,うち 166 ション] [php] [music]であった.主観的な評価にな 名がブックマークを Web 上に公開していた.したがっ るが,対象とした Web ページ(おしゃれなインテリ て,この 166 名のユーザを対象とした. ア,服飾品を販売する通販 Web サイトで,Flash に FN を算出した結果,ユーザの集合 N から 10096 種 より非常に洗練されたデザインのサイト構成になって のタグとそれぞれの利用頻度が求まった.一方,ユー いる)をブックマークして訪れている人々の興味の傾 ザの集合 N が http://www.beyes.jp/ に付加してい 向として,ある程度は納得できる傾向を示していた. るタグの種類と,その被登録回数(そのタグを Web [design] [flash] [css] [ajax]は Web サイトのデザ ページに付加したユーザ数)を調べた結果,105 種の インに関連するタグであるし, [ファッション]は Web タグが検出され,最も被登録数の多い[fashion]が 26 ページの特徴とも一致する. [web2.0][blog]のよう 人, [design] [shopping]が 21 人, [ファッション]が なタグが上位に検出されるのは,はてなブックマーク 20 人, [flash]が 17 人…と被登録数が減少し,105 種 の利用者を対象としたことと無関係ではないと考えら 中 70 種のタグは 1 人しか登録していなかった.この れる.潜在的なコミュニティの発見に応用するには, ように被登録数が少ないタグは Web ページの特徴を 他の Web ページにも同様の試行を行い,アルゴリズ 上手く反映していない可能性が高いため,被登録数が ムをより洗練していく必要があるだろう. 上位 20 パーセントまでに含まれるタグ 23 種を対象と しかし,これはあくまでも“ Web 上で ”サーバに必 した.これら 23 種のタグが,算出した FN の 10096 要なすべてのデータが集められている状況で予備調査 種のタグのうち,上位何パーセントに含まれているか を行った結果であり, “ 実世界で ”それぞれの携帯無 線端末が自律分散的に自己プレゼンスを発信・共有し Serendipity16) は,Bluetooth を搭載した携帯電話 ながら「場所の属性」などを抽出するには,検討すべ 上に実装された第三者間コミュニケーション支援アプ き課題が多い. リケーションである.Bluetooth の通信によって物理 5. 関連研究/事例 的に近くにいる第三者を検出すると,あらかじめ登録 している互いのプロフィールのマッチングを行い,マッ 本章では,幅広い視点から関連研究と事例を挙げる. チングが成立した場合にその旨を通知し,交友関係を 5.1 周囲の第三者とのコミュニケーション事例 広めることができる.しかし,頻繁に同じ場所ですれ ちかチャット7) は,ソフトバンクモバイルの携帯電 違っているといった履歴よりも,一度の出会いを重視 話で利用可能な,Bluetooth を用いたテキストチャッ してマッチングを行って第三者を結びつけようとする トサービスである.ちかチャット対応携帯電話さえ所 点で,ゆるやかなコミュニケーションを目指す本研究 持していれば,友人や他人を問わず Bluetooth 通信 とはアプローチが異なる. 範囲内 (10m 程度) の相手とチャットが可能であるが, 5.2 共有した情報を介するコミュニケーション事例 チャットに招待できる相手について携帯電話の機種程 HAPPY CITY2) は,街中でサービス利用者の 度しかわからず,招待が躊躇われる.自己プレゼンス HAPPY(幸福感)を共有することで,第三者間の共 が欠如した第三者に唐突にチャットを申し込むことへ 感を引き起こしている例である.利用者は HAPPY の抵抗感は強い. だと感じたら,その場で GPS 搭載携帯電話の専用 「街中や電車内などで頻繁に出会うために顔は知っ アプリケーションで HAPPY ボタンをクリックする. ているが,直接コミュニケーションしない第三者」(Fa- HAPPY はサーバへと送信され,すべての利用者間で miliar Stranger) の間での共感を扱った研究例14) で 共有される.HAPPY ボタンがクリックされた回数は, は,引っ越し先の新しい街に馴染めない人間に,携帯 場所ごとに累積し,HAPPY な場所ほど地図上で赤く 無線端末によって Familiar Stranger の存在を検出・ 表示される.このように機能は非常にシンプルだが, 提示することで安心感を与えるシナリオが提案されて 第三者がそれぞれの場所で HAPPY であったかを知 いる.公共空間における孤独や居心地の悪さに焦点を り,共感を得ることでコミュニケーションが成立して 当て,第三者と物理的に近くにいたという Physical おり,心理的な抵抗も低い.しかし,HAPPY が多い Proximity を利用している. 場所に利用者が集まることで一種の共感を生むことは 一方,Familiar Stranger 間での友人関係構築支援を 目指した Social Net15) では,単に Familiar Stranger であることだけを根拠に,友人関係を構築することは ありえるが,自分自身の周囲にいる第三者を対象とし ているものではない. The Re: living Map22) は,街中などで GPS 内蔵 困難であろうという評価がなされている.Social Net カメラ付き携帯電話を使って撮影した写真を,Web 上 は,趣味嗜好の似通った複数の人間を携帯無線端末に の地図で共有し,他者の行動を追体験することを目的 よって検出し,そうした人間を,彼らの共通の友人の としている.Web サイト上で自分自身や他者が撮影 仲介で知り合わせることを目的とした Mobile Ad-hoc した写真を閲覧する点は従来の手法と変わらないが, Network 分野の研究である.一定時間以上,物理的に GPS で検出する緯度経度の変化から,携帯電話の持ち 近い距離にあった人々は行動パターンが似ているため, 主の左折や右折,直進,後退を認識し,次の写真に切 趣味嗜好も共通するであろうという推測がその根幹に り替える際にあたかも右に曲がったり左に曲がったり 存在する.しかし,行動パターンが似ていると検出さ したかのように写真をスライドさせて追体験しやすい れたユーザ本人たちに互いの存在を知らせるのではな よう支援する.また,感情移入させるために,複数枚 く,彼らの共通の友人に「あの二人を巡り合わせては の写真の閲覧間隔が,撮影者がそれらの写真を撮影し どうか」と提案し,巡り合わせる価値があるか否かを, た際に経験した間隔に比例した時間になるといった機 コンピュータではなく人間に判断させることで信頼性 構も備えている.街中を移動した軌跡が他者と重なっ を向上させようとしていることが特徴である.しかし, た交点を中心に,他者が撮影した写真を閲覧する機能 共通の友人がそのような提案を受け取ることで間接的 により,新しい追体験の形を提供している. に他の二人の行動を推測できてしまうプライバシーの ここメモ3) は,カメラおよび GPS 機能を持った携 問題と, 「なぜこの二人を巡り合わせることを提案され 帯電話を用いて,写真とそれに付随するテキストメモ たかを,共通の友人が理解できない」という,つなが を地図上で共有するサービスである.サービス利用者 りの理由の欠如が問題点としてあげられている. は,自らの周辺に関係する写真+メモを検索・閲覧で き,また周辺について「この下り坂は急で,車いすで は可能な限り迅速に行うべきであるとも述べられてい は危ない」といった情報を,写真+メモとして地図上 る.イベント開始前や最中に SNS 上のプロファイル に投稿できる.メモに対する返信メモの投稿も可能で 情報などがわかれば,イベントで誰と会話をするかを ある.発見に対して返信する間接的コミュニケーショ 決める助けになるというアンケート結果も示されてお ンが第三者間をゆるやかに結んでおり,写真とメモを り,自分が何者であるかを周囲に発信することの有用 主軸とした手法が効果的であることを示唆しているが, 性が示唆されている. 同じ街や地域を利用する第三者たちを対象としている. 5.4 その他の事例 上松らの研究6) では,人々が集まる場所をランド PhotoChat10) は,近接無線通信を使用して写真を マークと定義し,人間には理解が難しい GPS 位置情 リアルタイムに共有し,写真の上にタッチペンで書き 報を,人間にとって意味のあるランドマークの名前 込みし合うことができるコミュニケーションツールで (ランドマークタグ)に,人間の検索行為を利用して漸 あるが,主に知人同士やグループでの利用を想定し, 次的に精度を上げながら対応づける方式を提案してい ここメモのように位置情報は用いていない.また,写 る.この方式によれば,たとえば「梅田」というラン 真は自己プレゼンスというよりも,写真の上に書き込 ドマークタグの有効範囲,中心となる緯度経度の情報 むという新しいインタラクションモデルの土台として がデータベースに蓄積され,利用者が「梅田」だと思 の役割が強い. う範囲をシステムが「梅田」であると認識するように 前略プロフィール17) は,携帯電話とパソコンの双 なっていく.上松らは,同じ場所に同一のランドマー 方に対応した自己紹介ページ作成 Web サイトである. クタグをつけるユーザは,その場所に関して似たよ 用意されているテンプレートに公開したい情報だけを うなイメージを持つと推測しており,趣味嗜好の似た 記入し,あらかじめ自己紹介ページとして作成してお ユーザをランドマークタグによって結びつけ,SNS 上 くことで,初対面の第三者に URL を教えるだけで自 にコミュニティを形成するなどして第三者間のコミュ 己紹介に代えることができる.なお,作成した自己紹 ニケーションを促進することを提案している.しかし, 介ページはプライベートなものではなく,Web 上で 「同じ場所を利用する」人々が,どの程度の共通の趣 味嗜好を持つかどうかは検証の余地がある. も一般に公開される.主に 10 代の若年層が利用して いるサービスだが,900 万人以上が利用していると公 5.3 イベントを起点とするコミュニケーション事例 表されており,自分自身を表現し,相手に伝えたいと Neighborhood Window12) は,ディスプレイの前に いう欲求の強さが伺える. 立った二人の人間を RFID によって検出し,それぞれ が運営する Web サイトから抽出したキーワードを画 面上に映し出して共通する興味分野を提示することで, 6. まとめと展望 本稿では,公共空間での周囲にいる第三者とのゆる 初対面の二人に会話の糸口を与えるものである.しか やかなコミュニケーションの実現のために,第三者間 し,学会に出席する研究者を対象として製作され,街 をゆるやかにつなげる自己プレゼンスの必要性と要件 中のような公共空間における第三者を考慮したもので を述べ,携帯無線端末を用いて写真とメモを自己プレ はない. ゼンスとして共有する手法を提案した.自己プレゼン Trace13) は,同じイベントに参加した第三者をイ スは,匿名性を維持しながらも本人の興味や関心事な ベント終了後に提示することで,イベント参加者同士 どの人間性を表現するものである.それらを周囲の第 を Web 上で結びつけるプロトタイプシステムである. 三者と自動的に交換・共有することで,周囲にどのよ Trace を 4 つのイベントで試験運用した結果として, うな人々がいるのかを曖昧に知り,第三者との間に共 いくつかの予想が挙げられている.そのひとつは,10 感や親近感を引き出す.昨今の blog や SNS の興盛 人規模の 2 つのイベントでは,2 割未満の参加者しか が示すように,自分の思いや考えを発信したいという Trace を利用しなかったことに対し,20 人以上が参 人々の欲求は高まっており,将来的に公共空間におい 加した 2 つのイベントでは 6 割から 7 割の参加者が ても自己プレゼンスという形で自らの興味や嗜好を発 Trace を利用した事実から,参加者同士を Trace のよ 信するようになることを想定している. うな手法で結びつけるには参加者数にクリティカルマ そうした自己プレゼンスの利用/応用として,頻繁 スが存在するという推測である.また,各イベント終 にその場を訪れる人々の自己プレゼンスから「場所の 了後の数日以内に Trace が利用されなくなったことか 属性」を求めることや,本人たちも気がついていない ら,イベントを起点としたコミュニケーションの支援 共通点による「潜在的なコミュニティ」を発見するこ とが考えられる.また,実世界ではなく,Web 上で のソーシャルブックマークを利用した予備調査を行っ た結果,その場を訪れる人々の自己プレゼンスによっ て, 「場所の属性」や「潜在的なコミュニティ」を算出 できる可能性を示唆した. しかし,第三者各人が所有する携帯無線端末を利用 することを想定する以上,Web サイトのように中央 集権的にすべての自己プレゼンスを集めて利用する ことは難しい.それぞれの携帯無線端末が,それぞれ に周囲の自己プレゼンスを取得,利用して,すれ違う 頻度や場所,時間帯,近くにいた時間などを考慮しな がら,自律分散的に場所にひもづいた属性やコミュニ ティを発見/抽出していく手法を考案する必要がある. 今後は,自己プレゼンスとなりえるメディアやコンテ ンツを探るとともに,第三者とゆるやかなつながりを 生じさせる自己プレゼンスの発信・共有手法の実現を 目指す. 参 考 文 献 1) Wired News: Bleep at First Sight, http:// www.wired.com/news/culture/0,1284,12342, 00.html 2) HAPPY CITY, assistant Co. Ltd, http:// www.bit-seeding.net/happycity/ 3) ここメモ, (株) ユーディット, http://www.udit. jp/ 4) ここ HORE, http://www.akiba-ken.net/ 5) Twitter, http://twitter.com/ 6) 上松 大輝, 沼 晃介, 濱崎 雅弘, 大向 一輝, 武 田 英明, タグ付けされた場所に基づいたコミュニ ケーション支援, 人工知能学会全国大会 2005(第 19 回), 2005 年 6 月. 7) ちかチャット, ソフトバンクモバイル, http:// mb.softbank.jp/mb/service/3G/communication/ chika/ 8) nintendogs, 任天堂, http://www.nintendo. co.jp/ds/adgj/ 9) Flickr, http://www.flickr.com/ 10) 伊藤 惇, 角 康之, 久保田 秀和, 西田 豊明, PhotoChat: 互いの視点画像に「書き込む」ことによ るコミュニケーション支援, 人工知能学会全国大 会 2006(第 20 回), 2006 年 6 月. 11) 郡山和彦, 戸松綾, 小泉麻理子, 大澤公美子, 奥 出直人, Limonect: 離れて暮らす家族のアンビエ ントコミュニケーション, INTERACTION 2007, 2007 年 3 月 12) Joseph F. McCarthy, David H. Nguyen, Al Mamunur Rashid, Suzanne Soroczak, Proactive Displays & The Experience UbiComp Project, UbiComp2003, October 2003. 13) Scott Counts, Jhon Geraci, Incorporating Physical Co-presence at Events into Digital Social Networking, CHI2005, April 2005. 14) Eric Paulos, Elizabeth Goodman, The familiar stranger: anxiety, comfort, and play in public places, CHI2004, April 2004. 15) Michael Terry, Elizabeth D. Mynatt, Kathy Ryall, Darren Leigh, Social Net: Using patterns of physical proximity over time to infer shared interests, In Proceedings of Human Factors in Computing Systems (CHI 2002), July 2002. 16) Eagle N, Pentland A (2005) Social serendipity: mobilizing social software. In: IEEE pervasive computing, special issue: the smart phone, pp 28-34 17) 前略プロフィール, http://prs2.cgiboy.com 18) はてなブックマーク, http://b.hatena.ne.jp/ 19) BEYES(バイズ) EDIT STORE, http://www. beyes.jp/ 20) Gene Smith. Folksonomy: Social classification, http://atomiq.org/archives/2004/08/ folksonomy social classification.html, April 2005. 21) 丹羽智史, 土肥拓生, 本位田真一, Folksonomy マ イニングに基づく Web ページ推薦システム, 情 報処理学会論文誌 「マルチエージェントの理論 と応用」特集号, Vol.47 No.5, 2006 年 5 月 22) Yoshimasa Niwa, Takafumi Iwai, Yuichiro Haraguchi, Masa Inakage, The Re:living Map an effective experience with GPS tracking and photographs, Workshop on Memory and Sharing of Experiences, Pervasive, 2004.
© Copyright 2024 Paperzz