インタビューフォーム - Pmda 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

876343
日本標準商品分類番号
2016 年 4 月作成(第 2 版)
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2013 に準拠して作成
血漿分画製剤
乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体
特定生物由来製品
処方箋医薬品注)
剤
形
製 剤 の 規 制 区 分
凍結乾燥注射剤(溶解液付)
特定生物由来製品 処方箋医薬品注)
注)注意-医師等の処方箋により使用すること
1 バイアル中
規
一
格
・
般
含
量
名
製造・輸入承認年月日
薬 価 基 準 収 載 ・
発 売 年 月 日
有効成分:
乾燥人血液凝固因子抗体
迂回活性複合体
ファイバ
静注用 500
ファイバ
静注用 1000
500 単位
1000 単位
和名:乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体
洋名:Anti-Inhibitor Coagulant Complex
承 認 年 月 日:2014 年 12 月 8 日(販売名変更による)
薬 価 基 準 収 載 年 月 日:2015 年 6 月 19 日(販売名変更による)
発 売 年 月 日:1984 年 6 月 11 日
開発・製造販売(輸入)
製 造 販 売 元(輸入元):バクスアルタ株式会社
提携・販売会社名
医薬情報担当者の
連
絡
先
問 い 合 わ せ 窓 口
バクスアルタ株式会社
TEL:03-6204-3800
FAX:03-6204-3801
受付時間:9 時~17 時(土、日、祝日、その他当社の休業日を除く)
医療関係者向けホームページ:
http://www.baxalta.co.jp/medical/index.page
本 IF は 2016 年 4 月改訂の添付文書の記載に基づき作成した。
最新の添付文書情報は、医薬品医療機器情報提供ホームページ http://www.pmda.go.jp/にて
ご確認ください。
IF 利用の手引きの概要 ― 日本病院薬剤師会 ―
1. 医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下、添付文書と略す)がある。
医療現場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際
には、添付文書に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある。
医療現場では、当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をして
情報を補完して対処してきている。この際に必要な情報を網羅的に入手するための情報リストと
してインタビューフォームが誕生した。
昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタビュー
フォーム(以下、IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した。その後、医療従事者
向け並びに患者向け医薬品情報ニーズの変化を受けて、平成 10 年 9 月に日病薬学術第 3 小委
員会において IF 記載要領の改訂が行われた。
更に 10 年が経過した現在、医薬品情報の創り手である製薬企業、使い手である医療現場の薬剤
師、双方にとって薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて、平成 20 年 9 月に日病薬医
薬情報委員会において新たな IF 記載要領 2008 が策定された。
IF 記載要領 2008 では、IF を紙媒体の冊子として提供する方法から、PDF 等の電磁的データ
として提供すること(e-IF)が原則となった。この変更に合わせて、添付文書において「効能・
効果の追加」
、
「警告・禁忌・重要な基本的注意の改訂」などの改訂があった場合に、改訂の根拠
データを追加した最新版の e-IF が提供されることとなった。
最 新 版 の e-IF は 、( 独 ) 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 の 医 薬 品 情 報 提 供 ホ ー ム ペ ー ジ
(http://www.pmda.go.jp/)から一括して入手可能となっている。日本病院薬剤師会では、e-IF を
掲載する医薬品情報提供ホームページが公的サイトであることに配慮して、薬価基準収載にあわ
せて e-IF の情報を検討する組織を設置して、個々の IF が添付文書を補完する適正使用情報と
して適切か審査・検討することとした。
2008 年より 4 回のインタビューフォーム検討会を開催した中で指摘してきた事項を再評価し、
製薬企業にとっても、医師・薬剤師等にとっても、効率の良い情報源とすることを考えた。そこ
で今般、IF 記載要領の一部改訂を行い IF 記載要領 2013 として公表する運びとなった。
2. IF とは
IF は「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必
要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる情報等が集約
された総合的な医薬品解説書として,日病薬が記載要領を策定し,薬剤師等のために当該医薬品
の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる。
ただし、薬事法・製薬企業機密等に関わるもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤
師自らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない。言い換えると、製薬企
業から提供された IF は、薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに、必要な補完をする
ものという認識を持つことを前提としている。
[IF の様式]
① 規格は A4 判,横書きとし,原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し,一
色刷りとする。ただし、添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には、電子媒体ではこれに従う
ものとする。
② IF 記載要領に基づき作成し、各項目名はゴシック体で記載する。
③ 表紙の記載は統一し、表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を記載
するものとし、2 頁にまとめる。
[IF の作成]
① IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤、注射剤、外用剤)に作成される。
② IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する。
③ 添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される。
④ 製薬企業の機密等に関するもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ
医療従事者自らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない。
⑤ 「医薬品インタビューフォーム記載要領 2013」(以下、「IF 記載要領 2013」と略す)によ
り作成された IF は、電子媒体での提供を基本とし、必要に応じて薬剤師が電子媒体(PDF)
から印刷して使用する。企業での製本は必須ではない。
[IF の発行]
① 「IF 記載要領 2013」は、平成 25 年 10 月以降に承認された新医薬品から適用となる。
② 上記以外の医薬品については、
「IF 記載要領 2013」による作成・提供は強制されるものでは
ない。
③ 使用上の注意の改訂、再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並びに適
応症の拡大等がなされ、記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂される。
3. IF の利用にあたって
「IF 記載要領 2013」においては、PDF ファイルによる電子媒体での提供を基本としている。
情報を利用する薬剤師は、電子媒体から印刷して利用することが原則である。
電子媒体の IF については、医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページに
掲載場所が設定されている。
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが、IF の原
点を踏まえ、医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製薬企業
の MR 等へのインタビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ、IF の利用性を高める必要が
ある。また、随時改訂される使用上の注意等に関する事項に関しては、IF が改訂されるまでの
間は、当該医薬品の製薬企業が提供する添付文書やお知らせ文書等、あるいは医薬品医療機器情
報配信サービス等により薬剤師等自らが整備するとともに、IF の使用にあたっては、最新の添
付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する。
なお、適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状況」
に関する項目等は承認事項に関わることがあり、その取扱いには十分留意すべきである。
4. 利用に際しての留意点
IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きたい。
しかし、薬事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により、製薬企業が医薬品情
報として提供できる範囲には自ずと限界がある。IF は日病薬の記載要領を受けて、当該医薬品の
製薬企業が作成・提供するものであることから、記載・表現には制約を受けざるを得ないことを認
識しておかなければならない。
また製薬企業は、IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり、インターネットでの公開
等も踏まえ、薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理解して情報を
活用する必要がある。
(2013 年 4 月)
目
Ⅰ.概要に関する項目
1.
2.
開発の経緯
製品の治療学的・製剤学的特性
13.
1
2
Ⅱ.名称に関する項目
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
販売名
(1) 和名
(2) 洋名
(3) 名称の由来
一般名
(1) 和名(命名法)
(2) 洋名(命名法)
(3) ステム
構造式又は示性式
分子式及び分子量
化学名(命名法)
慣用名,別名,略号,記号番号
CAS 登録番号
次
14.
物理化学的性質
(1) 外観・性状
(2) 溶解性
(3) 吸湿性
(4) 融点(分解点),沸点,凝固点
(5) 酸塩基解離定数
(6) 分配係数
(7) その他の主な示性値
2. 有効成分の各種条件下における安定性
3. 有効成分の確認試験法
4. 有効成分の定量法
8
8
Ⅴ.治療に関する項目
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
3
1.
2.
3.
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.
注意が必要な容器・外観が特殊な容器に
関する情報
その他
3
3
3
3
3
3
3
3
4
4
4
効能又は効果
用法及び用量
臨床成績
(1) 臨床データパッケージ
(2) 臨床効果
(3) 臨床薬理試験
(4) 探索的試験
(5) 検証的試験
1) 無作為化平行用量反応試験
2) 比較試験
3) 安全性試験
4) 患者・病態別試験
(6) 治療的使用
1) 使用成績調査・特定使用成績調査
(特別調査)
・製造販売後臨床試験
(市販後臨床試験)
2) 承認条件として実施予定の内容
又は実施した試験の概要
8
8
8
8
8
9
9
9
9
9
9
9
9
9
9
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.
2.
薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
薬理作用
(1) 作用部位・作用機序
(2) 薬効を裏付ける試験成績
(3) 作用発現時間・持続時間
10
10
10
10
11
Ⅶ.薬物動態に関する項目
Ⅳ.製剤に関する項目
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
剤形
(1) 剤形の区別,外観及び性状
(2) 溶液及び溶解時の pH,浸透圧比,
粘度,比重,安定な pH 域等
(3) 注射剤の容器中の特殊な気体の有無
及び種類
製剤の組成
(1) 有効成分(活性成分)の含量
(2) 添加物
(3) 電解質の濃度
(4) 添付溶解液の組成及び容量
(5) その他
注射剤の調製法
懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意
製剤の各種条件下における安定性
溶解後の安定性
他剤との配合変化(物理化学的変化)
生物学的試験法
製剤中の有効成分の確認試験法
製剤中の有効成分の定量法
力価
混入する可能性のある夾雑物
1.
4
4
4
4
4
4
5
5
5
5
5
7
7
7
7
7
7
7
8
8
血中濃度の推移・測定法
(1) 治療上有効な血中濃度
(2) 最高血中濃度到達時間
(3) 臨床試験で確認された血中濃度
(4) 中毒域
(5) 食事・併用薬の影響
(6) 母集団(ポピュレーション)解析に
より判明した薬物体内動態変動要因
2. 薬物速度論的パラメータ
(1) 解析方法
(2) 吸収速度定数
(3) バイオアベイラビリティ
(4) 消失速度定数
(5) クリアランス
(6) 分布容積
(7) 血漿蛋白結合率
3. 吸収
4. 分布
(1) 血液-脳関門通過性
(2) 血液-胎盤関門通過性
(3) 乳汁への移行性
(4) 髄液への移行性
(5) その他の組織への移行性
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
13
13
13
13
13
目
5.
代謝
(1) 代謝部位及び代謝経路
(2) 代謝に関与する酵素(CYP450 等)
等の分子種
(3) 初回通過効果の有無及びその割合
(4) 代謝物の活性の有無及び比率
(5) 活性代謝物の速度論的パラメータ
6. 排泄
(1) 排泄部位及び経路
(2) 排泄率
(3) 排泄速度
7. トランスポーターに関する情報
8. 透析等による除去率
13
13
13
13
13
13
13
13
13
13
13
13
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
警告内容とその理由
禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
効能又は効果に関連する使用上の注意と
その理由
用法及び用量に関連する使用上の注意と
その理由
慎重投与内容とその理由
重要な基本的注意とその理由及び
処置方法
相互作用
(1) 併用禁忌とその理由
(2) 併用注意とその理由
副作用
(1) 副作用の概要
(2) 重大な副作用と初期症状
(3) その他の副作用
(4) 項目別副作用発現頻度及び臨床検査
値異常一覧
(5) 基礎疾患,合併症,重症度及び手術
の有無等背景別の副作用発現頻度
(6) 薬物アレルギーに対する注意及び
試験法
高齢者への投与
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
小児等への投与
臨床検査結果に及ぼす影響
過量投与
適用上の注意
その他の注意
その他
14
14
次
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.
薬理試験
(1) 薬効薬理試験
(2) 副次的薬理試験
(3) 安全性薬理試験
(4) その他の薬理試験
2. 毒性試験
(1) 単回投与毒性試験
(2) 反復投与毒性試験
(3) 生殖発生毒性試験
(4) その他の特殊毒性
Ⅹ.管理的事項に関する項目
1.
2.
3.
4.
14
14
15
15
17
17
17
18
18
18
18
18
19
19
19
19
19
19
19
20
20
20
20
20
20
20
20
21
21
21
21
21
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
規制区分
有効期間又は使用期限
貯法・保存条件
薬剤取扱い上の注意点
(1) 薬局での取り扱い上の留意点について
(2) 薬剤交付時の取扱いについて
(患者等に留意すべき必須事項等)
(3) 調剤時の留意点について
承認条件等
包装
容器の材質
同一成分・同効薬
国際誕生年月日
製造・輸入承認年月日及び承認番号
薬価基準収載年月日
効能又は効果追加,用法及び用量変更追加等
の年月日及びその内容
再審査結果,再評価結果公表年月日及び
その内容
再審査期間
投薬期間制限医薬品に関する情報
各種コード
保険給付上の注意
21
21
21
21
21
21
22
22
22
22
22
22
22
22
23
23
23
23
24
24
ⅩⅠ.文献
1.
2.
引用文献
その他の参考文献
25
26
ⅩⅡ.参考資料
1.
2.
3.
主な外国での発売状況
海外における臨床支援情報
献血又は非献血の区別の考え方
27
27
29
ⅩⅢ.備考
その他の関連資料
30
Ⅰ.概要に関する項目
1. 開発の経緯
先天性の出血性疾患である血友病は、血液凝固因子の不足・欠乏によ
る出血を生涯にわたって繰り返す。その治療法として、欠乏する血液凝
固因子を補充することが確実で最良の方法とされている。この補充療法
を繰り返し行う血友病患者の一部に、補充因子に対する阻止抗体(イン
ヒビター)を発生することが知られており、その止血管理は困難で
あった。
従来、血友病 B 患者に使用されていたプロトロンビン複合体がインヒ
ビター患者の止血管理に有効であることが示唆され 1)、1972 年 Fekete2)、
1974 年 Kurczynski3) が臨床試用を報告して以来、活性型プロトロンビン
複合体による第Ⅷ因子インヒビター症例の止血管理(バイパス療法)が
試みられた 4)-7)。
1976 年 Elsinger8)(オーストリア)は、意図的に活性化し定量的にバイ
パス効果を期待できる FEIBA(Factor Eight Inhibitor Bypassing Activity)
を開発し、より安全で効果的なインヒビター患者の止血管理を可能に
した。
オーストリアのイムノ社(現 Baxalta Innovations GmbH)は、上記の
止血機序を有する製剤を開発し 1977 年に FEIBA として販売を開始した。
国内では、日本臓器製薬株式会社が 1983 年に承認を得て、1984 年より
ファイバ「イムノ」として販売を開始し、1986 年には蒸気加熱処理ファ
イバ「イムノ」に変更し、1991 年に再審査結果を取得した。
2000 年 9 月 30 日、日本臓器製薬株式会社よりバクスター株式会社へ
輸入承認が承継され、販売名をファイバ「イムノ」から「ファイバ」へ
変更した。
本剤は、2006 年 5 月に効能・効果より「インヒビター力価が 10Bethesda
単位以上の患者」の記載が削除され、2008 年 3 月には保険診療上「連続
3 日以内」の投与制限が撤廃され、第Ⅷまたは第Ⅸ因子インヒビターを
保有する患者の止血管理に使用しやすくなった。2008 年 6 月、厚生省医
薬安全局長通知第 935 号「医療事故を防止するための医薬品の表示事項
及び販売名の取扱いについて」
(平成 12 年 9 月 19 日)に基づき、販売名
を「ファイバ注射用 500」及び「ファイバ注射用 1000」へ変更した。2010 年 1
月、ウイルスクリアランスを向上することを目的として製造工程にナノ
フィルトレーション工程を追加した。
2014 年 6 月、本剤の定期的な投与の用法・用量が国内で承認された。
国際共同第Ⅲ相試験にて、インヒビターを保有する血友病 A 又は血友病
B 患者を対象に、本剤を定期的に投与した際の出血傾向の抑制に対する
有効性を出血時投与と比較検討した。その結果、出血頻度の減少並びに
それに伴う関節障害の進行阻止や QOL の改善・維持が期待され,安全
性も確認された。本剤の定期的な投与の適応は、欧米諸国を中心に 49 ヵ
国以上で承認されている。
2014 年 12 月、薬食審査発第 0922001 号「医療用後発医薬品の承認申
1
請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について」(平成 20 年 9
月 22 日)に基づき、販売名を「ファイバ注射用」から「ファイバ静注用」
2.
製品の治療学的・
製剤学的特性
に変更した。
(1) 本剤は、複数の凝固因子(第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ及び各々の活性型)を
含む活性型プロトロンビン複合体製剤である。
(2) インヒビター症例に対して、第Ⅷ及び第Ⅸ因子が関与する凝固経路
を迂回(バイパス)して止血を促進する 9) -11)。
(3) 本剤による定期投与が承認され、効能・効果及び用法・用量が変更
された。
(4) 本剤は、ヒト血漿を原料としている。原料血漿採取の際には、問診
及び血液学的検査を実施し、ウイルススクリーニングに合格したド
ナーの血漿を用いている。提供されたすべての血漿は少なくとも 60
日間貯蔵され、ウイルス検出に優れている核酸増幅検査(NAT)を
用いて、HIV、HBV、HCV、 HAV、およびヒトパルボウイルス B19
の検査を繰り返し行っている。また、ヒトパルボウイルス B19-DNA
については、105IU/mL 以下であることを確認した健康人血漿を用い
ている。
(5) 本剤は、製造工程において、ウイルス不活化を目的とした 2 段階蒸
気加熱処理 12)及び、ウイルス除去膜処理(ナノフィルトレーション)
を施している。
(6) 承認時までの国内臨床試験において、第Ⅷ因子インヒビター症例 5
例における出血時の止血効果は、やや有効以上が 6/6 件、有効以上
が 3/6 件であった 13)-15)。
(7) 海外臨床試験では、第Ⅷ因子インヒビター症例 41 例に発生した 106
件の出血のうち、93 件(88 %)で止血コントロールが可能であっ
た 18)。
(8) 国際共同第Ⅲ相試験(PROOF 試験)では、第Ⅷ因子および第Ⅸ因子
インヒビター症例 36 例の 12 ヵ月の試験期間中における年間出血率
(Annualized Bleeding Rate:ABR)の中央値は出血時投与群 28.7 に
対し、定期投与群 7.9 で、出血時投与群に対する定期投与群の ABR
は 72.5%低下した(p=0.0003)16)。
(9) 医師主導の無作為化クロスオーバー試験(Pro-FEIBA 試験)では、
第Ⅷ因子インヒビター症例 26 例の定期投与中の平均出血(±SD)5.0
回(±5.0)に対し、出血時投与中の平均出血 13.1 回(±7.1)で、平
均出血回数は 62%減少した。(p<0.001)17)。
(10) 再審査終了時、総症例 65 例中、4 例(6.2 %)において、副作用(発
熱、顔面紅潮、蕁麻疹、下痢、AST(GOT)
・ALT(GPT)
・LDH の
上昇、血管痛、心筋梗塞、悪寒、腰痛)が認められた。国際共同第
Ⅲ相試験において、本剤の定期投与を受けた 17 例(日本人 1 例を含
む)中 6 例(35.3%)に 6 件、出血時投与を受けた 19 例(日本人 1
例を含む)中 3 例(15.8%)に 22 件の副作用(アレルギー反応、発
疹、浮動性めまい、頭痛、低血圧)が認められた。
2
(11) 重大な副作用として、ショック・アナフィラキシー、DIC、血栓塞
栓症が認められている。
(12) 10mL(500 単位)、20mL(1000 単位)製剤の 2 剤形がある。
Ⅱ.名称に関する項目
1. 販売名
(1) 和名
ファイバ静注用 500、ファイバ静注用 1000
(2) 洋名
(3) 名称の由来
FEIBA NF Intravenous 500, 1000
FEIBA NF(Factor Eight Inhibitor Bypassing Activity Nanofiltration)
2. 一般名
(1) 和名(命名法)
乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体
(2) 洋名(命名法)
Anti-Inhibitor Coagulant Complex
(3) ステム
該当しない
3. 構造式又は示性式
本剤は、ヒト血漿から分画された凝固因子群を活性化して製造されるも
ので、その多くはプロトロンビン(第Ⅱ因子)、第Ⅶ因子、第Ⅸ因子、第
Ⅹ因子及びそれら因子の活性型因子である。
4. 分子式及び分子量
該当しない
5. 化学名(命名法)
該当しない
6. 慣用名,別名,略号
記号番号
治験略号:FEIBA
略名:AICC (Anti-Inhibitor Coagulant Complex)
APCC(Activated Prothrombin Complex Concentrate)
7. CAS 登録番号
なし
Ⅲ.有効成分に関する項目
1. 物理化学的性質
(1) 外観・性状
(2) 溶解性
(3) 吸湿性
(4) 融点(分解点),
沸点,凝固点
(5) 酸塩基解離定数
(6) 分配係数
(7) その他の
主な示性値
無色澄明な液剤
水に可溶、その他の溶媒については不明。
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
3
2. 有効成分の各種条件
該当資料なし
下における安定性
3. 有効成分の
該当資料なし
確認試験法
4. 有効成分の定量法
該当資料なし
Ⅳ.製剤に関する項目
1. 剤形
(1) 剤形の区別,外観
及び性状
凍結乾燥注射剤(溶解液付)
(用時溶解型静注・点滴用注射剤)
1バイアル
ファイバ静注用 500:溶剤 10mL 添付
ファイバ静注用 1000:溶剤 20mL 添付
ガラスバイアル入りの白色乾燥粉末製剤であって、添付の溶剤に溶かす
とき、液はほとんど無色澄明な液剤となる。
(2) 溶 液 及 び 溶 解 時 の 溶解時の pH:6.8~7.6
pH,浸透圧比,粘度, 浸透圧比:約 1(0.9%生理食塩液に対する比)
比重,安定な pH 域 粘度:該当資料なし
等
比重:該当資料なし
安定な pH 域:該当資料なし
(3) 注 射 剤 の 容 器 中 の なし(薬剤バイアル容器内は陰圧)
特殊な気体の有無
及び種類
2. 製剤の組成
(1) 有 効 成 分 ( 活 性 成
分)の含量
1 バイアル中
ファイバ
静注用 500
ファイバ
静注用 1000
乾燥人血液凝固因子抗体
迂回活性複合体
500 単位注 1)
採血国:米国
1000 単位注 1) 採血の区別:非献
血注 2)
備考
注 1) 単位はファイバ単位を意味する。1 ファイバ単位とは、高力価の第Ⅷ因子インヒビター
標準血漿の APTT を、空試験値の 50%短縮するファイバ活性をいう。
注 2)「献血又は非献血の区別の考え方」の項(29 頁)を参照。
本剤の溶解液 1mL 中に人血液凝固因子抗体迂回活性複合体として 50 単
位を含有する。
4
(2) 添加物
ファイバ
静注用 500
ファイバ
静注用 1000
クエン酸ナトリウム
40mg
80mg
塩化ナトリウム
80mg
160mg
塩酸
適量
適量
水酸化ナトリウム
適量
適量
1 バイアル中
(3) 電解質の濃度
ファイバ静注用 500
ファイバ静注用 1000
+
188mEq/L
194mEq/L
Cl-
132mEq/L
136mEq/L
K+
0.1mEq/L
0.1mEq/L
Na
(4) 添付溶解液の組成
及び容量
溶剤:日本薬局方 注射用水
(5) その他
ファイバ
静注用 500
ファイバ
静注用 1000
10mL
20mL
該当資料なし
3. 注射剤の調製法
① 冷所より薬剤バイアル及び溶剤バイア
ルを取り出し、室温にもどす。
② 両バイアルのプラスチックキャップを
はずし、ゴム栓をアルコール綿等で消
毒する。
専用溶解器(薬液用両刃針)
(販売名:バッ
クスジェクト II ハイフロー)*のシールを
はがし、ケースに入れたまま溶剤バイア
ルのゴム栓中央に垂直に刺す。
・必ず先に溶剤バイアルに刺して下さい。
・斜めに刺すとゴム栓の小片が溶剤中に
落下することがありますので垂直に刺
して下さい。
専用溶解器(薬液用両刃針)のケースを
取りはずす。
5
① 溶剤バイアルに専用溶解器(薬液用両
刃針)を確実に固定した後、バイアル
を逆さまにして、薬剤バイアルのゴム
栓中央に垂直に刺す。
② バイアルを上下に連結したままの状態
で泡を立てないようにゆるやかに揺り
動かして溶解させる。
①保護キャップをはずす。
②注射筒を専用溶解器(薬液用両刃針)
に接続する。
・接続時に注射筒をきつくねじこむと注
射筒の先端が破損することがあります
のでご注意ください。
・注射筒に空気をいれずに接続して下さ
い。
① バイアルを上下に反転させ、薬剤バイ
アルを上にした状態で注射筒を引き、
薬液を注射筒に移行させる。
② 薬液がすべて注射筒に移行したら、注
射筒を専用溶解器(薬液用両刃針)か
らはずす。
注射筒に翼付静注針を接続して、ゆっく
りと静脈内に注射する。
*専用溶解器(薬液用両刃針)
(販売名:バックスジェクト II ハイフ
ロー)
6
4. 懸濁剤,乳剤の分散
該当しない
性に対する注意
5. 製剤の各種条件下に
おける安定性
本剤の密封容器(無色のガラス製バイアルにゴム栓をし、内部陰圧下で、
アルミキャップで巻き締めをしたもの)保存での安定性は次の通りであ
る。
保存条件
保存期間
試験結果
500 単位(30 ヵ月)
10℃、遮光
1000 単位(30 ヵ月)
500 単位(12 ヵ月)
37℃、遮光
1000 単位(12 ヵ月)
規格内で安定であった。
異常毒性試験*を除き規格内
で安定であった。
*Not tested
6. 溶解後の安定性
添付の溶剤(注射用水)で用時溶解して用いる。本剤の溶解後には凝固
因子活性の変動が十分考えられるので溶解後は速やかに使用しなければ
ならない。
7. 他剤との配合変化
(物理化学的変化)
規格
pH 域
ファイバ
静注用
500
6.8
~
7.6
ファイバ
静注用
1000
6.8
~
7.6
試料
pH
N/10 HCl(A)
N/10 NaOH(B)
7.1
7.0
変化所見
(30 分後)
(A) 1.9
添 加 直 後白 色 の沈 殿 を 生
じるが速やかに溶解(ごく
わずかに白濁)
(B) 12.5
変化なし
(A) 1.9
添 加 直 後白 色 の沈 殿 を 生
じるが速やかに溶解(ごく
わずかに白濁)
(B) 12.5
変化なし
浸透
圧比
比重
1.049
1.0178
1.078
1.0178
8. 生物学的試験法
該当資料なし
9. 製剤中の有効成分の
確認試験法
ファイバ活性:第Ⅷ因子インヒビター含有血友病血漿の活性化トロンボ
プラスチン時間(APTT)を正常化させる機能。この活性は、正常人血漿
には存在しないので、数回繰り返された力価測定でほぼ一定の値を示し
た 5~10 ロットの製品中から常用標準品を選ぶ。また、一定の第Ⅷ因子
インヒビター患者血漿(少なくとも 10Bethesda 単位/mL 以上)を用い、
その APTT をファイバ非添加の対照に対して 50%短縮させる活性を 1
ファイバ単位とし、常用標準品と検体(製品)とを同時に測定して検体
の力価を測定する。
10. 製剤中の有効成分の
定量法
同上
7
11. 力価
ファイバ単位(Factor Eight Inhibitor Bypassing Activity)は、製剤中に含
有される血液凝固因子のどの部分かは特定できない。むしろ、各因子の
活性型のものが全体としてファイバ単位(力価)としてあらわれている
と考えられる。
12. 混入する可能性
該当資料なし
のある夾雑物
13. 注意が必要な容器・
外観が特殊な容器に
関する情報
14. その他
製剤瓶および注射用水瓶は無色ガラスバイアル
コアリングを避けるため、バックスジェクトⅡハイフローをガラスバイ
アルに刺すときはゴム栓の中央にまっすぐ刺すこと。
なし
Ⅴ.治療に関する項目
1. 効能又は効果
血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒビターを保有する患者に対し、
血漿中の血液凝固活性を補いその出血傾向を抑制する。
2. 用法及び用量
本品 1 瓶を添付の溶剤で溶解し、緩徐に静注又は点滴静注する(1 分間
に体重 1kg 当たり、2 単位をこえる注射速度はさけること)。
出血時に投与する場合、通常体重 1kg 当たり 50~100 単位を 8~12 時間間
隔で投与する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。
ただし、原則として 1 日最大投与量は体重 1kg 当たり 200 単位をこえな
いこととする。
定期的に投与する場合、通常体重 1kg 当たり 70~100 単位を 1 日おきに
投与する。
3. 臨床成績
(1) 臨床データ
パッケージ
(2) 臨床効果
該当しない
次の表に本剤の第Ⅷ因子インヒビター及び第Ⅸ因子インヒビター症例に
対する臨床効果のまとめを示した 13)-15)。
施設数
出血件数
第Ⅷ因子インヒビター
3
6
1~14
(4.33)
50~80
3/6 件
6/6 件
第Ⅸ因子インヒビター
1
2
1~5
(3)
50
2/2 件
2/2 件
8
投与
回数
(平均)
1 回投与量
単位/kg
有効
以上
やや
有効以上
なお、本剤投与前後で PT、APTT、FDP、フィブリノゲン量、血小板数
等を測定したが、すべての測定時点において異常所見を認めず、DIC を
疑わせる血栓傾向は認められなかった。更に、3 ヵ月後の免疫機能及び
一般臨床検査値でも異常は認められなかった。
第Ⅲ相国際共同臨床試験成績 16)
血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒビターを保有する症例を対象
に、定期投与(70~100 単位/kg を隔日投与)及び出血時投与における
治療効果を無作為化多施設非盲検並行群間比較試験により検討した。
症例数
年間出血回数
(中央値)
新たな標的関節注)
での年間出血回数
(中央値)
定期投与
17
7.9
0
出血時投与
19
28.7
5.9
注)既存の標的関節以外で、新たに 6 ヵ月間に 4 回以上の出血が生じた関節
(3) 臨床薬理試験
該当資料なし
(4) 探索的試験
該当資料なし
(5) 検証的試験
1) 無作為化平行用量
反応試験
2) 比較試験
3) 安全性試験
4) 患者・病態別試験
(6) 治療的使用
1) 使用成績調査・
特定使用成績調査
(特別調査)
・製造販
売後臨床試験(市販
後臨床試験)
臨床試験
2) 承認条件として
実施予定の内容
又は実施した試験
の概要
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
9
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1. 薬理学的に関連ある
乾 燥 人 血 液 凝 固 第 Ⅸ 因 子 複 合 体 製 剤 PCC ( Prothrombin Complex
化合物又は化合物群
Concentrate)には、活性化製剤(Activated PCC:APCC)と非活性化製剤
(Non-Activated PCC:NAPCC)とがあり、本剤は前者に相当する。
2. 薬理作用
(1) 作用部位・作用機序 本剤は、複数の凝固因子(第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹと各々の活性型)が含まれ
る活性型プロトロンビン複合体であるが、特に第Ⅱ因子(プロトロンビ
ン)及び第Ⅹa 因子が、本剤の止血作用において重要な役割を果たすと
考えられている 9)-11)。
(1) 第Ⅴa 因子及び第Ⅹa 因子は、活性化された血小板上でプロトロンビ
ナーゼ複合体を形成し、即時的にプロトロンビンからトロンビンを
産生させて凝固を促進する。
(2) 本剤中の他の凝固因子は、内因性因子との相補的作用及び種々の
フィードバック機構などにより第Ⅹ因子を活性化させ、トロンビン
を産生させる。これらの複数の凝固因子の作用が本剤の長時間にわ
たる止血作用に寄与すると考えられている。
(2) 薬効を裏付ける
試験成績
(1) 凝固時間短縮作用(in vitro)9)
高力価の第Ⅷ因子インヒビター血漿(>10Bethesda 単位/ mL)に、本剤
及びプロトロンビン(第Ⅱ因子)/第 Xa 因子複合体を添加し、凝固時
間を測定したところ、いずれも濃度依存的に凝固時間を短縮し、同様の
濃度-反応直線を示した。
(2) トロンビン産生促進作用(ヒヒ)9)
正常な凝固活性を有するヒヒに、本剤及びプロトロンビン/第 Xa 因子
複合体を各々30 単位/kg 投与し、トロンビン産生能を測定したところ、
同様のトロンビン産生能を示した。
10
(3) 止血作用(ウサギ)11)
ヒト第 VIII 因子に対する抗体を誘導したインヒビターモデルウサギの出
血に対し、本剤、血漿由来の第 Xa 因子、プロトロンビン、及びプロト
ロンビン/第 Xa 因子複合体を投与後、出血量を測定したところ、本剤
75 単位/kg 及びプロトロンビン/第 Xa 因子複合体(本剤 75 単位/ kg 相
当量)は同等の止血作用を示し、第 Xa 因子及びプロトロンビンの単独
の場合より出血量を減少させた。
(3) 作用発現時間・持続 該当資料なし
時間
11
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1. 血中濃度の推移・
測定法
本剤の TGt50 は 6 分程度と短く、一旦 thrombin generation が生じかけると
2~4 分以内にトロンビン時間が急速に短縮することから 19) 生体内では
速やかに活性化すると考えられる。患者投与後の TEG(r 値、k 値の短
縮効果)から、ファイバ活性は本剤投与後 5 分以内でピークに達し、以
後徐々に低下するとした
20)21)
が、現在のところ生体内ファイバ活性の
ピークを捉えることは困難である。また、Schimpf らは TEG による追跡
データ等から、本剤の血中半減期は 4~8 時間の間にあると推察した 22)
(外国人データ)。
(1) 治療上有効な
該当資料なし
血中濃度
(2) 最高血中濃度
投与直後と考えられる。
到達時間
(3) 臨床試験で確認
された血中濃度
(4) 中毒域
該当資料なし
DIC 及び心筋梗塞等を誘発することがあるので、1 回に体重 1kg 当たり
100 単位をこえる投与や、1 日に体重 1kg 当たり 200 単位をこえる場合に
は特に注意すること 23)。
(5) 食事・併用薬の影響 該当資料なし
(6) 母集団(ポピュレー 該当資料なし
ション)解析により
判明した薬物体内
動態変動要因
2. 薬物速度論的
パラメータ
(1) 解析方法
(2) 吸収速度定数
(3) バ イ オ ア ベ イ ラ ビ
リティ
(4) 消失速度定数
(5) クリアランス
(6) 分布容積
(7) 血漿蛋白結合率
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
3. 吸収
作用発現部位は出血部位であるが、投与後の吸収部位は不明。
4. 分布
静脈内に投与され、血中、出血部位で消費されると考えられるが詳細は
不明。
12
(1) 血液
該当資料なし
―脳関門通過性
(2) 血液
該当資料なし
―胎盤関門通過性
(3) 乳汁への移行性
(4) 髄液への移行性
該当資料なし
該当資料なし
(5) そ の 他 の 組 織 へ の 該当資料なし
移行性
5. 代謝
(1) 代 謝 部 位 及 び 代 謝 該当資料なし
経路
(2) 代謝に関与する
該当資料なし
酵素(CYP450 等)
の分子種
(3) 初回通過効果の
該当資料なし
有無及びその割合
(4) 代謝物の活性の
有無及び比率
該当資料なし
(5) 活 性 代 謝 物 の 速 度 該当資料なし
論的パラメータ
6. 排泄
(1) 排泄部位及び経路
(2) 排泄率
(3) 排泄速度
該当資料なし
該当資料なし
該当資料なし
7. トランスポーターに
関する情報
該当資料なし
8. 透析等による除去率
該当資料なし
13
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1. 警告内容とその理由
2. 禁忌内容とその理由
(原則禁忌を含む)
該当項目なし
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
(1) 血液凝固因子インヒビターを有していない患者[凝固亢進のお
それがある。]
(2) DIC を生じている患者[血栓形成を加速するおそれがある。]
【原則禁忌】
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必
要とする場合には慎重に投与すること)
心筋梗塞、急性血栓症・塞栓症の患者(冠動脈疾患、急性血栓症・
塞栓症又はこれらの疑いのある患者で頭蓋内出血等生命に危険の
およぶ出血の場合にのみ使用すること。)
[血栓形成を助長するおそれがある。]
DIC は、血液凝固の亢進、消費性の出血を特徴とするので、本剤の投与
は禁忌である。また、本剤の用法・用量をこえる大量の投与で DIC 様症
状発生の報告もあるので、投与前後は血液凝固に関する諸検査を実施す
ること。
3. 効能又は効果に関連
する使用上の注意と
該当しない
その理由
4. 用法及び用量に関連
する使用上の注意と
その理由
<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤の使用にあたっては、患者の出血症状及び治療歴等を総合的に判断
して使用すること。
なお、本剤の出血時投与による効果が認められない場合は、他剤への切
り替えを検討すること。
本剤の出血時投与後、定期的な投与を開始する場合は、直近の投与から
1 日以上の間隔をおくことを目安とする。
14
5. 慎重投与内容と
その理由
次の患者には慎重に投与すること
(1) 血小板数が少ない患者においては、慎重に投与すること。[本剤
の効力発現は正常な血小板数に依存することが知られており、
十分な効果が得られないおそれがある。]
(2) DIC を起こし易いことが知られている大手術後、重症の肝胆疾
患、溶血性貧血等の患者[DIC を起こすおそれがある。]
(3) IgA 欠損症の患者[抗 IgA 抗体を保有する患者では過敏反応を
起こすおそれがある。]
(4) 溶血性・失血性貧血の患者[ヒトパルボウイルス B19 の感染を
起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激
な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。]
(5) 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者[ヒトパルボウイルス B19
の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持
続性の貧血を起こすことがある。]
(6) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
6. 重要な基本的注意と
その理由及び
処置方法
[患者への説明]
本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性ととも
に、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講
じられているが、ヒト血漿を原料としていることに由来する感染症
伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対し
て説明し、理解を得るよう努めること。
(1) 本剤の原材料となる血漿については、HBs 抗原、抗 HCV 抗体、
抗 HIV-1 抗体及び抗 HIV-2 抗体が陰性であることを確認してい
る。さらに、プールした試験血漿については、HBV-DNA、
HCV-RNA、HIV-1-RNA、HIV-2-RNA 及び HAV-RNA について核
酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使
用しているが、当該 NAT の検出限界以下のウイルスが混入して
いる可能性が常に存在する。同様に、ヒトパルボウイルス
B19-DNA についてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT)
を実施し、105IU/mL 以下であることを確認した健康人血漿を用
いている。
また、製造工程では、ウイルス不活化を目的とした 2 段階蒸気
加熱処理(60℃、510~520 分、19kPa 加圧及び 80℃、60~70 分、
37.5kPa 加圧)及びウイルス除去膜によるろ過処理(ナノフィル
トレーション)を施している。
本剤は、上記のような安全対策を講じているが、投与に際して
は、次の点に十分注意すること。
1) 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルス
B19 等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難で
あるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定でき
15
ないので、投与後の経過を十分に観察すること。
2)
肝炎ウイルス等のウイルス感染のリスクについては完全に
否定できないので、観察を十分に行い、症状があらわれた
場合には適切な処置を行うこと。
3)
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤ
コブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしなが
ら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告
があるものの、理論的な vCJD 等の伝播のリスクを完全に
は排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行
い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
(2) 患者血漿中のインヒビター力価測定を行い、インヒビターの存
在を確認したのち投与すること。
(3) 本剤の投与前及び投与後の血液凝固検査として APTT、PTT、
TEG 等いずれかの試験を行うこと。また、DIC の徴候が見られ
ることがあるので、血小板数、PT、フィブリノゲン、FDP 等の
検査で異常が認められた場合、投与を中止すること。
(4) DIC 及び心筋梗塞等を誘発することがあるので、1 回に体重 1kg
当たり 100 単位をこえる投与や、1 日に体重 1kg 当たり 200 単位
をこえる場合には特に注意すること 23)。
(5) 間隔を置いての投与で、軽症短期間のアレルギー症状から
ショック・アナフィラキシーに至るまでのあらゆるアレルギー
反応を起こすことがあるので、観察を十分に行うこと。
(6) 第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する患者に投与する場合
には、DIC、アレルギー及びショック・アナフィラキシーを誘発
するおそれがあるとの報告があるので十分に注意すること。
(7) 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患
者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合にのみ適用す
ること。本剤を処方する際には、使用方法等の患者教育を十分
に実施したのち、在宅にて適切な治療が行えることを確認した
上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又は
その家族に対し、本剤の注射により発現する可能性のある副作
用等についても十分説明し、自己注射後何らかの異常が認めら
れた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には、速やかに医
療機関へ連絡するよう指導すること。適用後、自己注射の継続
が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切
な対応を行うこと。
16
<参考>
本剤の製造工程におけるウイルスの除去・不活化率(Log10)は下表の
通りである。
エンベロープ
あり
なし
HIV-1
PRV
BVDV
HAV
注 4)
注 5)
科
レト
ロ
ヘル
ペス
フラビ
ピコ
ルナ
パルボ
陰イオン交換樹脂処理
~目的たんぱく質の溶出
3.2
2.5
1.8
1.5
1.7
ウイルス除去膜処理(ナノ
フィルトレーション)
>4.6
>5.8
2.1
2.6
≦1.0 注)
蒸気加熱処理(60℃/80℃)
>5.9
>6.7
>5.6
>5.2
4.8
総ウイルスクリアランス
指数
>13.7
>15.0
>9.5
>9.3
6.5
ウイルス名
注 1)
注 2)
注 3)
B19
上記の表にクリオプレシピテートの除去によるウイルスクリアランスは
含まれていない。
注 1)HIV-1:ヒト免疫不全ウイルス 1 型(エンベロープのある RNA ウイルス)
注 2)PRV:仮性狂犬病ウイルス(エンベロープのある DNA ウイルス)
注 3)BVDV:ウシウイルス性下痢ウイルス(エンベロープのある RNA ウイルス)
注 4)HAV:A 型肝炎ウイルス(エンベロープのない RNA ウイルス)
注 5)B19:ヒトパルボウイルス B19(エンベロープのない DNA ウイルス)
注)医薬審第 329 号(平成 12 年 2 月 22 日)に準じて、クリアランス指数が 1.0Log10 以下の場
合は総ウイルスクリアランス指数に合計しない。
7. 相互作用
(1) 併用禁忌と
その理由
(2) 併用注意と
その理由
該当しない
併用に注意すること
薬剤名等
抗線溶剤
アプロチニン
トラネキサム酸
ε-アミノカプロン酸
等
濃縮血小板
17
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
血栓形成傾向があら 本剤の凝固活性とこれ
わ れ る お そ れ が あ らの薬剤の抗プラスミ
る。
ン作用が微小血栓の寿
命を比較的長期化させ
るため。
血栓形成傾向があら 血小板凝集活性を亢進
われるおそれがあ させるとの報告があ
る。
る。
8. 副作用
(1) 副作用の概要
再審査期間終了までに実施された試験及び調査において、本剤を出
血時投与された 65 例中 4 例(6.2%)に副作用が認められた。
(再審
査終了時)
国際共同第Ⅲ相試験において、本剤が定期投与された 17 例(日本
人 1 例を含む)中 6 例(35.3%)に 6 件、出血時投与された 19 例(日
本人 1 例を含む)中 3 例(15.8%)に 22 件の副作用が認められた。
(用法・用量追加時)
(2) 重大な副作用と
初期症状
(1) ショック・アナフィラキシー(頻度不明)
:ショック・アナフィ
ラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が
認められた場合には、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこ
と。
(2) DIC(頻度不明)
:DIC を起こすことがあるので、観察を十分に
行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を
行うこと。
(3) 血栓塞栓症(頻度不明)
:血栓塞栓症(心筋梗塞、脳梗塞、深部
静脈血栓症、肺塞栓症等)を起こすことがあるので、観察を十
分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処
置を行うこと。
(3) その他の副作用
1%未満
過敏症注)
精神神経系
消 化 器
肝
頻度不明
アレルギー反応、
顔面紅潮、
発熱、発疹
蕁麻疹
浮動性めまい、
頭痛
下痢
AST(GOT)、
ALT(GPT)、
LDH の上昇
臓
循環器
1~5%未満
低血圧
心筋梗塞
投与部位
血管痛
そ の 他
悪寒、腰痛
注)症状が発現した場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(4) 項目別副作用発現頻 該当資料なし
度及び臨床検査値異常
一覧
18
(5) 基礎疾患,合併症, 該当資料なし
重症度及び手術の有無
等背景別の副作用発現
頻度
(6) 薬物アレルギーに対 試験法はないが、注射速度(1 分間に体重 1kg 当たり 2 単位をこえる注
する注意及び試験法
9. 高齢者への投与
射速度はさけること)を守ること。
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察
しながら慎重に投与すること。
10. 妊婦,産婦,
授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危
険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与
に関する安全性は確立していない。また、本剤の投与によりヒトパ
ルボウイルス B19 の感染の可能性を否定できない。感染した場合に
は胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性があ
る。]
11. 小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない(使用経験
がない)。
12. 臨床検査結果に
及ぼす影響
(1) 本剤は第Ⅷあるいは第Ⅸ因子インヒビター患者の PT、PTT、
APTT、全血凝固時間(WBCT)、TEG の r 値(k 値)を短縮する。
(2) 血小板数、フィブリノゲン値の低下、FDP の上昇等 DIC の徴候
がみられることがある。
(3) 本剤は第Ⅷあるいは第Ⅸ因子インヒビター患者への投与後に既
往性反応が起こることがある 18)24)25)26)。
(4) 本剤の投与後に、受動伝達によると考えられる感染症抗体検査
の陽転例が報告されているので、臨床診断は核酸増幅検査等を
用いたウイルス感染症検査や臨床所見等に基づき総合的に行う
こと。
13. 過量投与
DIC 及び心筋梗塞等を誘発することがあるので、1 回に体重 1kg 当
たり 100 単位をこえる投与や、1 日に体重 1kg 当たり 200 単位をこ
える場合には特に注意すること 22)。
19
14. 適用上の注意
(1) 投与経路:
静脈内に投与すること。
(2) 調製時:
1) 添付の溶剤以外は使用しないこと。
2)
他の製剤と混合しないこと。
3)
4)
使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
本剤及び添付溶剤のバイアルキャップを外した後ゴム栓を
消毒し、必ずゴム栓中央部分に添付の専用溶解器(薬液用
5)
両刃針)を刺し、溶解すること。
溶解した液を注射器に移す場合、添付の専用溶解器(薬液
用両刃針)を用いること。
(3) 投与時:
1)
注入速度は 1 分間につき 2 単位/kg をこえないこと。
2)
溶解時に沈殿の認められるものを投与しないこと。
3)
4)
一度溶解したものは 1 時間以内に使用すること。
本剤は血液凝固因子インヒビターを有する患者以外には投
与しないこと。
(4) 在宅自己注射:
1) 子どもによる誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意
2)
15. その他の注意
なし
16. その他
なし
すること。
使用済の医療機器等の処理については、主治医の指示に従
うこと。
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1. 薬理試験
(1) 薬効薬理試験
「Ⅳ.薬効薬理に関する項目」参照
(2) 副次的薬理試験
該当資料なし
(3) 安全性薬理試験
マウスに 300 単位/kg(i.v.)で、一般行動及び自発行動に影響を与えない。
ウサギに 100 単位/kg(i.v.)で、血圧、呼吸、心電図及び体温に影響を及
ぼさなかった。ウサギの摘出耳介灌流標本に対して何ら作用を示さず、
ウサギ赤血球に対しても溶血作用は認められなかった。しかし、モルモッ
ト摘出回腸に対し 0.01U/mL 以上の濃度で一過性の蠕動の抑制が見られ
た 27)。
(4) その他の薬理試験
該当資料なし
20
2. 毒性試験
(1) 単回投与毒性試験
LD50 値(単位/kg)
動物種
性
動脈内投与
マウス
(JCR/JCL 系)
雄
890
雌
940
ラット
(SD/JCL 系)
雄
275
雌
290
死亡例の剖検ではマウス、ラット及びウサギでともに肺、肝に著しい出
血、鬱血等が見られ、ウサギでは後大動脈、右心房、心室内に大量の血
液凝固物が見られた。これらの症状は、本剤本来の作用である凝固亢進
作用により血栓が形成され循環障害の結果、死に至ったものと考えられ
る。生存例ではマウス、ラット及びウサギでともに少数例において肺、
肝、腎及び脾に灰黄色の変色部が認められた。
皮下投与例では、マウス、ラットで投与部位が肥厚し、軽度に自発運動
が抑制された他異常は認められなかった。経口投与例ではマウス、ラッ
トともに何ら異常は認められなかった 27)。
(2) 反復投与毒性試験
該当資料なし
(3) 生殖発生毒性試験
(4) その他の特殊毒性
該当資料なし
該当資料なし
Ⅹ.管理的事項に関する項目
1. 規制区分
特定生物由来製品
処方箋医薬品注)
注)注意―医師等の処方箋により使用すること
2. 有効期間又は使用期限
有効期間:2 年(最終有効年月日は、組箱、ラベルに記載)
3. 貯法・保存条件
2~8℃(凍結を避けること)
4. 薬剤取扱い上の注意点
(1) 薬局での取扱い上の 本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方し
注意点[記録の保存] た場合は、医薬品名(販売名)、製造番号、投与又は処方した日、投
与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも 20 年
間保存すること。
(2) 薬剤交付時の取扱い 患者向医薬品ガイド:有り、くすりのしおり:有り
について(患者等に留 http://www.baxalta.co.jp/products/detail/feiba.page
意するべき必須事項
1) 注入速度は 1 分間につき 2 単位/kg をこえないこと。
等)
2) 溶解時に沈殿の認められるものを投与しないこと。
3) 一度溶解したものは 1 時間以内に使用すること。
21
4)
子どもによる誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意す
5)
ること。
使用済の医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。
(3) 調剤時の留意点につ 該当資料なし
いて
5. 承認条件等
なし
6. 包装
ファイバ静注用 500:1 バイアル
(日本薬局方 注射用水 10mL 添付)
ファイバ静注用 1000:1 バイアル
(日本薬局方 注射用水 20mL 添付)
専 用 溶 解 器
バックスジェクトⅡ
ハイフロー
7. 容器の材質
クラス分類
一般的名称
医療機器届出番号
一般医療機器
薬液用両刃針
13B1X00208000018
<ファイバ静注用 500、1000>
バイアル
ガラス
ゴム栓
ハロゲン化ブチルゴム
スナップオフキャップ
アルミニウム
<添付溶解液>
バイアル
ガラス
ゴム栓
テフロンコート塩化ブチルゴム
スナップオフキャップ
アルミニウム
8. 同一成分・同効薬
同一成分:なし
同効薬:
エプタコグ アルファ(活性型)(遺伝子組換え)、
乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子
9. 国際誕生年月日
1976 年(蒸気加熱処理製剤は 1986 年)
10. 製造販売承認年月日
及び承認番号
11. 薬価基準収載年月日
承認年月日
ファイバ
静注用 500
ファイバ
静注用 1000
承認番号
薬価基準収載年月日
22600AMX0133100
2014 年 12 月 8 日
2015 年 6 月 19 日
22600AMX0133200
2015 年 6 月 19 日(販売名変更による)
22
12. 効能又は効果追加,用 【効能・効果】
法及び用量変更追加等 2006 年 5 月 22 日(第 9 版)
:血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒビ
の年月日及びその内容 ターを保有する患者に対し、血漿中の血液凝固活性を補いその出血を
抑制する。
(「インヒビター力価 10Bethesda 単位以上の患者に対し」を削除)
2014 年 6 月 20 日(第 16 版):血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒ
ビターを保有する患者に対し、血漿中の血液凝固活性を補いその出血
傾向を抑制する。
(定期投与の一部変更承認に伴い、傾向」を追加)
【用法・用量】
2006 年 5 月 22 日(第 9 版)
:ただし、原則として 1 日最大投与量は体
重 1kg 当たり 200 単位をこえないこととする。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤の使用にあたっては、患者の出血症状及び治療歴等を総合的に判
断して使用すること。
なお、効果が認められない場合は、他剤への切り替えを検討すること。
(1 日最大投与量及び用法・用量に関する使用上の注意の追加)
2014 年 6 月 20 日(第 16 版):出血時に投与する場合、通常体重 1kg
当たり 50~100 単位を 8~12 時間間隔で投与する。
定期的に投与する場合、通常体重 1kg 当たり 70~100 単位を 1 日おき
に投与する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
なお、本剤の出血時投与による効果が認められない場合は、他剤への
切り替えを検討すること。
本剤の出血時投与後、定期的な投与を開始する場合は、直近の投与か
ら 1 日以上の間隔をおくことを目安とする。
(定期投与の一部変更承認に伴い、用法・用量及び使用上の注意の追
加)
13. 再審査結果,再評価
結果公表年月日及び
その内容
再審査結果公表年月日:1991 年 3 月 6 日
14. 再審査期間
6 年間
15. 投薬期限制限医薬品に
関する情報
平成 14 年 3 月 18 日付厚生労働省告示第 99 号の投薬期間に上限が設
けられている医薬品には該当しない。
23
16. 各種コード
厚生労働省薬価
販売名
HOT(9 桁)番号
基準収載医薬品
コード
ファイバ静注用
500
ファイバ静注用
1000
17. 保険給付上の注意
レセプト
電算コード
113848101
6343414X1051
621384801
113849801
6343414X2058
621384901
該当なし
24
ⅩⅠ.文献
1. 引用文献
1) Breen FA., et al. Prothrombin concentrates in treatment of Christmas
disease and allied disorders. JAMA 1969; 208(10): 1848-1852
2) Fekete L., et al. “Auto” Factor IX Concentrate:A new therapeutic
approach to treatment of hemophilia A patients with inhibitors. 14th
international Congress of Hematology, Sao Paulo, Brazil 1972; abstracts
295
3) Kurczynski E., et al. Activated Prothrombin Concentrate for Patients with
Factor VIII. The New England Journal of Medicine 1974; 291(4):
164-167
4) Abildgaard C., et al. Prothrombin Complex Concentrate (Konyne) for
Patients with Factor VIII Inhibitors. The Journal of pediatrics 1976;
88(2): 200-205
5) Allain J., et al. Prothrombin-Complex Concentrate in Treatment of
Classical Haemophilia with Factor VIII Antibody. The Lancet
2(7946): 1203
1975;
6) 藤村 吉博 他:第Ⅷ因子抑制物質についての研究(第 2 報).
臨床血液 1977;18(4):467-468
7) 銭谷 悦子 他:第Ⅷ因子 inhibitor が発生した血友病 A の 1 例-
inhibitor の性状に関する検討-.小児科臨床 1978;31(2):248-252
8) Elsinger F. Feiba Immuno: A Preparation with Factor Eight Inhibitor
Bypassing Activity. Thrombosis and Haemostasis 1977;38:346
9) Turecek PL., et al. Factor Xa and Prothrombin:Mechanism of Action of
FEIBA. Vox Sanguinis, 1999;77(Suppl 1):72-79
10) Négrier C., et al. The history of FEIBA: a lifetime of success in the
treatment of haemophilia complicated by an inhibitor. Haemophilia
2006; 12(Suppl 5): 4-13
11) Turecek PL. et al. FEIBA: mode of action. Haemophilia 2004; 10(Suppl
2): 3-9
12) Luu H, Ewenstein B. FEIBA safety profile in multiple modes of clinical
and home-therapy application. Haemophilia 2004; 10(Suppl 2): 10-16
13) 福井 弘 他:血友病 A インヒビター症例に対する蒸気化処理活性型
プロトロンビン複合体製剤 FEIBA の使用経験.
基礎と臨床 1986; 20(6): 3117-3124
14) 上田 一博 他:加熱第Ⅷ因子インヒビター迂回活性製剤(TIM4)の
単回投与による臨床試験成績. 基礎と臨床 1986; 20(6): 3112-3116
15) 稲垣 稔:血友病 B インヒビター例における蒸気処理 FEIBA の使用
経験. 基礎と臨床 1986; 20 (6): 3125-3128
16) Antunes SV., et al. Randomized comparison of prophylaxis and
on-demand regimens with FEIBA NF in the treatment of haemophilia A
and B with inhibitors. Haemophilia 2014; 20(1): 65-72
25
17) Leissinger C., et al. Anti-inhibitor coagulant complex prophylaxis in
hemophilia with inhibitors. The New England Journal of Medicine 2011;
365(18): 1684-1692
18) Hilgartner M., et al. Efficacy and Safety of Vapor-heated Anti-inhibitor
Coagulant Complex in Hemophilia Patients. Transfusion 1990; 30(7):
626-630
19) 福井 弘 他:FEIBA 製剤の凝血・免疫学的検討-FEIBA 製剤中の凝
固因子活性および抗原性と保存による消長について-.
基礎と臨床 1980; 14 (11): 3603 -3612
20) 吉岡 章 他:血友病 A インヒビター症例に対する FEIBA 製剤の使用
経験.基礎と臨床 1980; 14(12): 3958-3968
21) 福武 勝博 他:Inhibitor 保有血友病患者に対する FEIBA の使用経験
と試験管内観察.日本輸血学会雑誌 1981;27(6):546-558
22) Schimpf K.,et al. Treatment of Joint-Bleedings in Hemophiliacs with
Antibodies to Factor VIII with High Doses of Fraction Feiba.
Thrombosis and Haemostasis 1977; 38: 369
23) Ehrlich H.J.,et al. Safety of Factor VIII Inhibitor Bypass Activity
(FEIBA®):10-year compilation of Thrombotic Adverse Events.
Haemophilia 2002;8:83-90
24) 飯塚 敦夫:ファイバ臨床研究会議事録 1980: p40-48
25) Negrier C., et al. Multicenter Retrospective Study on the Utilization of
FEIBA in France in Patients with Factor VIII and Factor IX Inhibitors.
Thrombosis and Haemostasis 1997;77:1113-1119
26) Yoshioka A.,et al. Anamnestic Response Following Infusion of
Prothrombin Complex Concentrates (PCC) and Activated Prothrombin
Complex Concentrates (APCC) in Haemophilia A Patients with
Inhibitors. Blood Coagulation and Fibrinolysis 1991; 2(Suppl 2): 51-58
27) 大原 啓敬 他:FEIBA の急性毒性試験および一般薬理作用.
基礎と臨床 1980;14(11):3455-3462
2. その他の参考文献
1) Sallah S. Treatment of acquired haemophilia with factor eight inhibitor
bypassing activity.Haemophilia 2004;10(2):169-173
2) Tjønnfjord G.E. Activated prothrombin complex concentrate (FEIBA®)
treatment during surgery in patients with inhibitors to FVIII/IX: the
updated Norwegian experience. Haemophilia 2004; 10 (Suppl 2): 41-45
3) Dimichele D., et al. A retrospective postlicensure survey of FEIBA
efficacy and safety. Haemophilia 2006; 12(4): 352-362
26
ⅩⅡ.参考資料
1.
主な外国での発売状 本剤は、1977 年に非加熱製剤としてオーストリアで承認された。現在
況
では加熱処理に加えナノフィルトレーションによるウイルス除去工程
を導入した製剤として、インヒビター保有の血友病患者における止血
治療を目的に世界 69 ヵ国で承認され,67 ヵ国で上市されている。その
内,本剤の定期的な投与の適応は 49 ヵ国以上で承認されている。
主な承認国(2014 年 5 月現在)
国名
ドイツ
英国
2.
承認年月
定期投与
(加熱製剤) の適応
1985 年 7 月
○
1985 年 10 月
○
米国
1986 年 1 月
○
フランス
2000 年 3 月
○
オーストラリア
2007 年 1 月
○
販売名
FEIBA NF 500E / 1000E
FEIBA
FEIBA NF Anti-Inhibitor
Coagulant Complex, Vapor
Heated and nanofiltered
FEIBA 500 U/20 ml, FEIBA 1000
U/20 ml, poudre et solvant pour
solution injectable
FEIBA NF
海外における臨床支 1. 妊婦に関する海外情報(FDA、オーストラリア分類)
本邦における使用上の注意「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項の記
援情報
載は以下の通りであり、米 FDA、オーストラリア分類とは異なる。
【使用上の注意】「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性
を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、本剤の投与に
よりヒトパルボウイルス B19 の感染の可能性を否定できない。感染した
場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性が
ある。
)
分類
FDA Pregnancy Category
C (2013 年 11 月)
オーストラリアの分類
B2 (2014 年 5 月)
(Australian categorization of risk of drug
use in pregnancy)
27
参考:分類の概要
FDA:Pregnancy Category C
Animal reproduction studies have not been conducted with FEIBA. There are
no adequate and well-controlled studies in pregnant women. It is also not
known whether FEIBA can cause fetal harm when administered to a pregnant
woman or can affect reproductive capacity. FEIBA should be administered to
pregnant women only if clearly needed.
オーストラリアの分類:
Use in pregnancy (Category B2)
Drugs which have been taken by only a limited number of pregnant
women and women of childbearing age, without an increase in the frequency
of malformation or other direct or indirect harmful effects on the human foetus
having been observed. Studies in animals are inadequate or may be lacking,
but available data show no evidence of an increased occurrence of foetal
damage.
The effect of FEIBA-NF on reproduction and development has not been
studied. FEIBA-NF should only be given in pregnancy if clearly needed.
2. 小児等に関する記載
本邦における使用上の注意「小児等への投与」の項の記載は以下の通り
であり、米国の添付文書及び英国の SPC とは異なる。
【使用上の注意】「小児等への投与」
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない
(使用経験がない)
出典
記載内容
米国の添付文書
Safety and efficacy of FEIBA have been evaluated
(2013 年 11 月)
in nine pediatric subjects treated in the routine
prophylaxis trial including 4 subjects ≥7 to <12
years of age and 5 subjects ≥12 to <16 years of
age. The dosing for all pediatric subjects was
based on body weight. A total of 576 infusions
were given for the treatment of 223 bleeding
episodes
(504
infusions
for
joint
bleeding
episodes, 72 infusions for muscle and soft tissue
bleeding episodes). In 223 (100%) of the episodes,
hemostasis was achieved with one or more
infusions. Hemostatic efficacy was rated as
excellent or good in a majority (96.9%) of the
28
bleeding episodes in both regimens at 24 hours
post infusion. The median annualized bleeding
episode rate (ABR) for children ≥7 to <12 years of
age was 7.7 bleeds per patient per year, as
compared to 39 for subjects treated with
on-demand therapy. [see Clinical Studies (14)]
The safety and efficacy of FEIBA has not
been evaluated in neonates.
英国の SPC
Case reports and limited clinical trial data suggest
(2013 年 12 月)
that FEIBA can be used in children younger than 6
years of age.
3.
献血又は非献血の区
献血又は非献血の区別は製剤の安全性の優劣を示すものではありません。
別の考え方
この表示区別は、下記の手順に従って決められています。
採血国の政府が
「自発的な無償供
血」の定義を有し
ているか
いない
いる
その定義が 1991 年
国際赤十字・赤新
月社決議と同じ趣
旨か
同じ趣旨
異なる
当該国の「自 発的な
無償供血」の 定義に
そって採血されたこ
とが確認できるか
確認できる
確認できない
「非献血」の表示
「献血」の表示
29
ⅩⅢ.備考
その他の関連資料
特になし
30
R1602076
BR1602076FEI010