2010 年 7 月作成(新様式第 10 版) 日本標準商品分類番号 876343 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会の IF 記載要領(1998 年 9 月)に準拠して作成 血漿分画製剤 乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体 特定生物由来製品 処方せん医薬品注) 剤 形 凍結乾燥注射剤(溶解液付) 1 バイアル中 規 一 格 ・ 般 含 量 名 有効成分: 乾燥人血液凝固因子抗体 迂回活性複合体 ファイバ 注射用 500 ファイバ 注射用 1000 500 単位 1000 単位 和名:乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体 洋名:Anti-Inhibitor Coagulant Complex 製造・輸入承認年月日 薬 価 基 準 収 載 ・ 発 売 年 月 日 承 認 年 月 日:2008 年 2 月 28 日 薬 価 基 準 収 載 年 月 日:2008 年 6 月 20 日 発 売 年 月 日:1984 年 6 月 11 日 開 発 ・ 製 造 ・ 輸入・発売・提携・ 販 売 会 社 名 製 造 販 売 元(輸入元):バクスター株式会社 担当者の連絡先・ 電話番号・FAX 番号 本 IF は 2010 年 5 月改訂の添付文書の記載に基づき改訂した。 注)注意-医師等の処方せんにより使用すること。 IF 利用の手引きの概要 ― 日本病院薬剤師会 ― 1. 医薬品インタビューフォーム作成の経緯 当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者(以下,MR と略す)等にインタ ビューし,当該医薬品の評価を行うのに必要な医薬品情報源として使われてい たインタビューフォームを,昭和 63 年日本病院薬剤師会(以下,日病薬と略す) 学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォーム」 (以下,IF と略す)として 位置付けを明確化し,その記載様式を策定した。そして,平成 10 年日病薬学術 第 3 小委員会によって新たな位置付けと IF 記載要領が策定された。 2. IF とは IF は「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとっ て日常業務に必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提 供の裏付けとなる情報等が集約された総合的な医薬品解説書として,日病薬が 記載要領を策定し,薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を 依頼している学術資料」と位置付けられる。 しかし,薬事法の規制や製薬企業の機密等に関わる情報,製薬企業の製剤意図 に反した情報及び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項 とはならない。 3. IF の様式・作成・発行 規格は A4 判,横書きとし,原則として 9 ポイント以上の字体で記載し,印刷は 一色刷りとする。表紙の記載項目は統一し,原則として製剤の投与経路別に作 成する。IF は日病薬が策定した「IF 記載要領」に従って記載するが,本 IF 記載 要領は,平成 11 年 1 月以降に承認された新医薬品から適用となり,既発売品に ついては「IF 記載要領」による作成・提供が強制されるものではない。また, 再審査及び再評価(臨床試験実施による)がなされた時点ならびに適応症の拡 大等がなされ,記載内容が大きく異なる場合には IF が改訂・発行される。 4. IF の利用にあたって IF 策定の原点を踏まえ,MR へのインタビュー,自己調査のデータを加えて IF の内容を充実させ,IF の利用性を高めておく必要がある。 MR へのインタビューで調査・補足する項目として,開発の経緯,製剤的特徴, 薬理作用,臨床成績,非臨床試験等の項目が挙げられる。また,随時改訂され る使用上の注意等に関する事項に関しては,当該医薬品の製薬企業の協力のも と,医療用医薬品添付文書,お知らせ文書,緊急安全性情報,Drug Safety Update (医薬品安全対策情報)等により薬剤師等自らが加筆,整備する。そのための 参考として,表紙の下段に IF 作成の基となった添付文書の作成又は改訂年月を 記載している。なお適正使用や安全確保の点から記載されている「臨床成績」 や「主な外国での発売状況」に関する項目等には承認外の用法・用量,効能・ 効果が記載されている場合があり,その取扱いには慎重を要する。 目 Ⅰ.概要に関する項目 1. 2. 開発の経緯 製品の特徴及び有用性 15. その他 1 2 Ⅱ.名称に関する項目 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 販売名 (1) 和名 (2) 洋名 (3) 名称の由来 一般名 (1) 和名(命名法) (2) 洋名(命名法) 構造式又は示性式 分子式及び分子量 化学名(命名法) 慣用名,別名,略号,記号番号 CAS 登録番号 次 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 3 3 Ⅴ.治療に関する項目 1. 2. 3. Ⅲ.有効成分に関する項目 有効成分の規制区分 物理化学的性質 (1) 外観・性状 (2) 溶解性 (3) 吸湿性 (4) 融点(分解点),沸点,凝固点 (5) 酸塩基解離定数 (6) 分配係数 (7) その他の主な示性値 3. 有効成分の各種条件下における安定性 4. 有効成分の確認試験法 5. 有効成分の定量法 1. 2. 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 Ⅳ.製剤に関する項目 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 剤形 (1) 剤形の区別,規格及び性状 (2) 溶液及び溶解時の pH,浸透圧比, 粘度,比重,安定な pH 域等 (3) 酸価,ヨウ素価等 (4) 注射剤の容器中の特殊な気体の有無 及び種類 製剤の組成 (1) 有効成分(活性成分)の含量 (2) 添加物 (3) 添付溶解液の組成及び容量 注射剤の調製法 懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意 製剤の各種条件下における安定性 溶解後の安定性 他剤との配合変化(物理化学的変化) 電解質の濃度 混入する可能性のある夾雑物 生物学的試験法 製剤中の有効成分の確認試験法 製剤中の有効成分の定量法 力価 容器の材質 効能又は効果 用法及び用量 臨床成績 (1) 臨床効果 (2) 臨床薬理試験:忍容性試験 (3) 探索的試験:用量反応探索試験 (4) 検証的試験 1) 無作為化平行用量反応試験 2) 比較試験 3) 安全性試験 4) 患者・病態別試験 (5) 治療的使用 1) 使用成績調査・特別調査・市販後 臨床試験 2) 承認条件として実施予定の内容 又は実施した試験の概要 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 9 Ⅵ.薬効薬理に関する項目 1. 2. 薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 薬理作用 (1) 作用部位・作用機序 (2) 薬効を裏付ける試験成績 9 9 9 10 Ⅶ.薬物動態に関する項目 1. 2. 4 4 4 4 4 4 4 4 4 5 6 6 7 7 7 7 7 7 7 7 7 8 3. 4. 5. 6. 血中濃度の推移・測定法 (1) 治療上有効な血中濃度 (2) 最高血中濃度到達時間 (3) 通常用量での血中濃度 (4) 中毒症状を発現する血中濃度 薬物速度論的パラメータ (1) 吸収速度定数 (2) バイオアベイラビリティ (3) 消失速度定数 (4) クリアランス (5) 分布容積 (6) 血漿蛋白結合率 吸収 分布 (1) 血液-脳関門通過性 (2) 胎児への移行性 (3) 乳汁中への移行性 (4) 髄液への移行性 (5) その他の組織への移行性 代謝 (1) 代謝部位及び代謝経路 (2) 代謝に関与する酵素(CYP450 等) 等の分子種 (3) 初回通過効果の有無及びその割合 (4) 代謝物の活性の有無及び比率 (5) 活性代謝物の速度論的パラメータ 排泄 (1) 排泄部位 (2) 排泄率 11 11 11 11 11 11 11 11 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 12 目 7. (3) 排泄速度 透析等による除去率 (1) 腹膜透析 (2) 血液透析 (3) 直接血液灌流 12 12 12 12 12 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 警告内容とその理由 禁忌内容とその理由 効能・効果に関連する使用上の注意と その理由 用法・用量に関連する使用上の注意と その理由 慎重投与内容とその理由 重要な基本的注意とその理由及び 処置方法 相互作用 (1) 併用禁忌とその理由 (2) 併用注意とその理由 副作用 (1) 副作用の概要 1) 重大な副作用と初期症状 2) その他の副作用 (2) 項目別副作用発現頻度及び臨床検査 値異常一覧 (3) 基礎疾患,合併症,重症度及び手術 の有無等背景別の副作用発現頻度 (4) 薬物アレルギーに対する注意及び 試験法 高齢者への投与 妊婦,産婦,授乳婦等への投与 小児等への投与 臨床検査結果に及ぼす影響 過量投与 適用上及び薬剤交付時の注意 (患者等に留意すべき必須事項等) その他の注意 その他 13 13 13 13 14 14 16 16 16 16 16 16 17 17 17 17 17 17 17 17 18 18 18 18 Ⅸ.非臨床試験に関する項目 1. 2. 一般薬理 毒性 (1) 単回投与毒性試験 (2) 反復投与毒性試験 (3) 生殖発生毒性試験 (4) その他の特殊毒性 18 19 19 19 19 19 Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 有効期間又は使用期限 貯法・保存条件 薬剤取扱い上の注意点 承認条件 包装 同一成分・同効薬 国際誕生年月日 製造・輸入承認年月日及び承認番号 20 20 20 20 20 20 20 20 次 9. 薬価基準収載年月日 10. 効能・効果追加,用法・用量変更追加等 の年月日及びその内容 11. 再審査結果,再評価結果公表年月日及び その内容 12. 再審査期間 13. 長期投与の可否 14. 厚生労働省薬価基準収載医薬品コード 15. 保険給付上の注意 16. JAN コード 20 21 21 21 21 21 21 22 ⅩⅠ.文献 1. 2. 引用文献 その他の参考文献 22 23 ⅩⅡ.参考資料 1. 2. 主な外国での発売状況 献血又は非献血の区別の考え方 24 24 ⅩⅢ.備考 その他の関連資料 24 Ⅰ.概要に関する項目 1. 開発の経緯 先天性の出血性疾患である血友病は、血液凝固因子の不足・欠乏によ る出血を生涯にわたって繰り返す。その治療法として、欠乏する血液凝 固因子を補充することが確実で最良の方法とされている。この補充療法 を繰り返し行う血友病患者の一部に、補充因子に対する阻止抗体(イン ヒビター)を発生することが知られており、その止血管理は困難であっ た。 従来、血友病 B 患者に使用されていたプロトロンビン複合体がインヒ ビター患者の止血管理に有効であることが示唆され 1)、1972 年 Fekete2)、 1974 年 Kurczynski3) が臨床試用を報告して以来、活性型プロトロンビン 複合体による第Ⅷ因子インヒビター症例の止血管理(バイパス療法)が 試みられた 4~7)。 1976 年 Elsinger8)(オーストリア)は、意図的に活性化し定量的にバイ パス効果を期待できる FEIBA(Factor Eight Inhibitor Bypassing Activity) を開発し、より安全で効果的なインヒビター患者の止血管理を可能にし た。 イムノ社、オーストリア(現 バクスターAG)は、上記の止血機序を 有する製剤を開発し 1977 年に FEIBA として販売を開始した。国内では、 日本臓器製薬株式会社が 1983 年に承認を得て、1984 年よりファイバ「イ ムノ」として販売を開始し、1986 年には蒸気加熱処理ファイバ「イムノ」 に変更し、1991 年に再審査結果を取得した。 2000 年 9 月 30 日、日本臓器製薬株式会社よりバクスター株式会社へ 輸入承認が承継され、販売名をファイバ「イムノ」から「ファイバ」へ 変更した。 2008 年 6 月、厚生省医薬安全局長通知第 935 号「医療事故を防止する ための医薬品の表示事項及び販売名の取扱いについて」(平成 12 年 9 月 19 日)に基づき、販売名を「ファイバ注射用 500」及び「ファイバ注射用 1000」 へ変更した。 2010 年 1 月、ウイルスクリアランスを向上することを目的として製造 工程にナノフィルトレーション工程を追加した。 本剤は、ヒト血漿を原料として製剤化したものである。原料となっ た血漿を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとと もに、製造工程における一定の不活化・除去処理等を実施し、感染 症に対する安全対策を講じているが、ヒト血漿を原料としているこ とによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないた め、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用に とどめること。(「使用上の注意」の項参照) 1 2. 製品の特徴及び有用 (1) 本剤は、複数の凝固因子(第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ及び各々の活性型)を 性 含む活性型プロトロンビン複合体製剤である。 (2) インヒビター症例に対して、第Ⅷ及び第Ⅸ因子が関与する凝固経路 を迂回(バイパス)して止血を促進する 9) -11)。 (3) 本剤は、ヒト血漿を原料としている。原料血漿採取の際には、問診 及び血液学的検査を実施し、ウイルススクリーニングに合格したド ナーの血漿を用いている。提供されたすべての血漿は少なくとも 60 日間貯蔵され、ウイルス検出に優れている核酸増幅検査(NAT)を 用いて、HIV、HBV、HCV、 HAV、およびヒトパルボウイルス B19 の検査を繰り返し行っている。また、ヒトパルボウイルス B19-DNA については、105IU/mL 以下であることを確認した健康人血漿を用い ている。 (4) 本剤は、製造工程において、ウイルス不活化を目的とした 2 段階蒸 気加熱処理 12)及び、ウイルス除去膜処理(ナノフィルトレーション) を施している。 (5) 承認時までの国内臨床試験において、第Ⅷ因子インヒビター症例 5 例における出血時の止血効果は、やや有効以上が 6/6 件、有効以上 が 3/6 件であった 13)-15)。 (6) 海外臨床試験では、第Ⅷ因子インヒビター症例 41 例、106 件の出血 で、93 件(88 %)で止血コントロールが可能であった 16)。 (7) 再審査終了時、総症例 65 例中、4 例(6.2 %)において、副作用(発 熱、顔面紅潮、蕁麻疹、下痢、AST(GOT)・ALT(GPT)・LDH の 上昇、血管痛、心筋梗塞、悪寒、腰痛)が認められた。 (8) 重大な副作用として、ショック、DIC が認められている。 (9) 10mL(500 単位)、20mL(1000 単位)製剤の 2 剤形がある。 Ⅱ.名称に関する項目 1. 販売名 (1) 和名 (2) 洋名 (3) 名称の由来 ファイバ注射用 500、ファイバ注射用 1000 FEIBA NF FEIBA NF(Factor Eight Inhibitor Bypassing Activity Nanofiltration) 2. 一般名 (1) 和名(命名法) (2) 洋名(命名法) 乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体 Anti-Inhibitor Coagulant Complex 3. 構造式又は示性式 本剤は、ヒト血漿から分画された凝固因子群を活性化して製造されるも ので、その多くはプロトロンビン(第Ⅱ因子)、第Ⅶ因子、第Ⅸ因子、第 Ⅹ因子及びそれら因子の活性型因子である。 4. 分子式及び分子量 該当しない 2 5. 化学名(命名法) 該当しない 6. 慣用名,別名,略号, 治験略号:FEIBA 記号番号 略名:AICC(Anti-Inhibitor Coagulant Complex) APCC(Activated Prothrombin Complex Concentrate) 7. CAS 登録番号 なし Ⅲ.有効成分に関する項目 1. 有効成分の規制区分 2. 物理化学的性質 (1) 外観・性状 (2) 溶解性 (3) 吸湿性 (4) 融点(分解点),沸 点,凝固点 特定生物由来製品 処方せん医薬品注) 注)注意-医師等の処方せんにより使用すること。 無色澄明な液剤 水に可溶、その他の溶媒については不明。 該当資料なし 該当資料なし (5) 酸塩基解離定数 該当資料なし (6) 分配係数 該当資料なし (7) そ の 他 の 主 な 示 性 該当資料なし 値 3. 有効成分の各種条件 該当資料なし 下における安定性 4. 有効成分の確認試験 該当資料なし 法 5. 有効成分の定量法 該当資料なし 3 Ⅳ.製剤に関する項目 1. 剤形 (1) 剤形の区別,規格及 凍結乾燥注射剤(溶解液付) び性状 (用時溶解型静注・点滴用注射剤) 1バイアル ファイバ注射用 500:溶剤 10mL 添付 ファイバ注射用 1000:溶剤 20mL 添付 ガラスバイアル入りの白色乾燥粉末製剤であって、添付の溶剤に溶かす とき、液はほとんど無色澄明な液剤となる。 (2) 溶 液 及 び 溶 解 時 の 溶解時の pH:6.8~7.6 pH,浸透圧比,粘度, 浸透圧比:約 1(0.9%生理食塩液に対する比) 比重,安定な pH 域等 粘度:該当資料なし 比重:該当資料なし 安定な pH 域:該当資料なし (3) 酸価,ヨウ素価等 該当しない (4) 注 射 剤 の 容 器 中 の なし(薬剤バイアル容器内は陰圧) 特殊な気体の有無及 び種類 2. 製剤の組成 (1) 有 効 成 分 ( 活 性 成 分)の含量 1 バイアル中 ファイバ 注射用 500 ファイバ 注射用 1000 乾燥人血液凝固因子抗体 迂回活性複合体 500 単位注 1) 採血国:米国 1000 単位注 1) 採血の区別:非献 血注 2) 備考 注 1) 単位はファイバ単位を意味する。1 ファイバ単位とは、高力価の第Ⅷ因子インヒビ ター標準血漿の APTT を、空試験値の 50%短縮するファイバ活性をいう。 注 2)「献血又は非献血の区別の考え方」の項(24 頁)を参照。 本剤の溶解液 1mL 中に人血液凝固因子抗体迂回活性複合体として 50 単 位を含有する。 ファイバ 注射用 500 ファイバ 注射用 1000 クエン酸ナトリウム 40mg 80mg 塩化ナトリウム 80mg 160mg 塩酸 適量 適量 水酸化ナトリウム 適量 適量 (2) 添加物 (3) 添 付 溶 解 液 の 組 成 及び容量 1 バイアル中 溶剤:日本薬局方 注射用水 4 ファイバ 注射用 500 ファイバ 注射用 1000 10mL 20mL 3. 注射剤の調製法 ① 冷所より薬剤バイアル及び溶剤バイア ルを取り出し、室温にもどす。 ② 両バイアルのプラスチックキャップを はずし、アルコール綿等で消毒する。 専用溶解器(薬液用両刃針) (販売名:バ ックスジェクト II ハイフロー)*のシール をはずし、ケースに入れたまま溶剤バイ アルのゴム栓中央に垂直に刺す。 ・必ず先に溶剤バイアルに刺して下さい。 ・斜めに刺すとゴム栓の小片が溶剤中に 落下することがありますのでまっすぐ 刺して下さい。 専用溶解器(薬液用両刃針)のケースを 取りはずす。 保護キャップ 保護キャップを はずす 5 ① 溶剤バイアルに専用溶解器(薬液用両 刃針)を確実に固定した後、バイアル を逆さまにして、薬剤バイアルのゴム 栓中央に刺す。 ② バイアルを連結したままの状態で泡を 立てないようにゆるやかに揺り動かし て溶解させる。 保護キャップをはずし、注射筒を専用溶 解器(薬液用両刃針)に接続する。 ・注射筒に空気を入れずに接続して下さ い。 ・接続時に注射筒をきつくねじこむと注 射筒の先端が破損することがあります のでご注意ください。 ① バイアルを上下に反転させ、薬剤バイ アルを上にした状態で注射筒を引き、 薬液を注射筒に移行させる。 ② 薬液がすべて注射筒に移行したら、注 射筒を専用溶解器(薬液用両刃針)か らはずす。 注射筒に翼付静注針を接続して、ゆっく り静脈内に注射する。 [点滴注入の場合] フィルター付きの輸注セットを薬剤バイ アルに直接挿入し使用する。 *専用溶解器(薬液用両刃針) (販売名:バックスジェクト II ハイフロー) への接続 4. 懸濁剤,乳剤の分散 該当しない 性に対する注意 5. 製剤の各種条件下に 本剤の密封容器(無色のガラス製バイアルにゴム栓をし、内部陰圧下で、 おける安定性 アルミキャップで巻き締めをしたもの)保存での安定性は次の通りであ る。 保存条件 10℃、遮光 37℃、遮光 保存期間 500 単位(30 ヶ月) 1000 単位(30 ヶ月) 500 単位(12 ヶ月) 1000 単位(12 ヶ月) *Not tested 6 試験結果 規格内で安定であった。 異常毒性試験*を除き規格内 で安定であった。 6. 溶解後の安定性 添付の溶剤(注射用水)で用時溶解して用いる。本剤の溶解後には凝固 因子活性の変動が十分考えられるので溶解後は速やかに使用しなければ ならない。 7. 他 剤 と の 配 合 変 化 (物理化学的変化) 規格 pH 域 ファイバ 注射用 500 6.8 ~ 7.6 ファイバ 注射用 1000 6.8 ~ 7.6 8. 電解質の濃度 N/10 HCl(A) 試料 pH N/10 NaOH(B) (A) 1.9 7.1 変化所見 (30 分後) 添 加 直 後白 色 の沈 殿 を 生 じるが速やかに溶解(ごく わずかに白濁) (B) 12.5 変化なし (A) 1.9 添 加 直 後白 色 の沈 殿 を 生 じるが速やかに溶解(ごく わずかに白濁) 7.0 (B) 12.5 ファイバ注射用 500 ファイバ注射用 1000 188mEq/L 194mEq/L Cl- 132mEq/L 136mEq/L + 0.1mEq/L 0.1mEq/L K 圧比 比重 1.049 1.0178 1.078 1.0178 変化なし + Na 浸透 9. 混入する可能性のあ 該当資料なし る夾雑物 10. 生物学的試験法 該当資料なし 11. 製剤中の有効成分の ファイバ活性:第Ⅷ因子インヒビター含有血友病血漿の活性化トロンボ 確認試験法 プラスチン時間(APTT)を正常化させる機能。この活性は、正常人血漿 には存在しないので、数回繰り返された力価測定でほぼ一定の値を示し た 5~10 ロットの製品中から常用標準品を選ぶ。また、一定の第Ⅷ因子 インヒビター患者血漿(少なくとも 10Bethesda 単位/mL 以上)を用い、 その APTT をファイバ非添加の対照に対して 50%短縮させる活性を 1 フ ァイバ単位とし、常用標準品と検体(製品)とを同時に測定して検体の 力価を測定する。 12. 製剤中の有効成分の 同上 定量法 13. 力価 ファイバ単位(Factor Eight Inhibitor Bypassing Activity)は、製剤中に含 有される血液凝固因子のどの部分かは特定できない。むしろ、各因子の 活性型のものが全体としてファイバ単位(力価)としてあらわれている と考えられる。 14. 容器の材質 無色透明のガラス 7 15. その他 Ⅴ.治療に関する項目 1. 効能又は効果 血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒビターを保有する患者に対し、血 漿中の血液凝固活性を補いその出血を抑制する。 2. 用法及び用量 本品 1 瓶を添付の溶剤で溶解し、通常体重 1kg 当たり 50~100 単位を 8 ~12 時間間隔で、緩徐に静注又は点滴静注する(1 分間に体重 1kg 当た り、2 単位をこえる注射速度はさけること)。 なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。 ただし、原則として 1 日最大投与量は体重 1kg 当たり 200 単位をこえな いこととする。 3. 臨床成績 (1) 臨床効果 次の表に本剤の第Ⅷ因子インヒビター及び第Ⅸ因子インヒビター症例に 対する臨床効果のまとめを示した 13)-15)。 施設数 出血件数 第Ⅷ因子インヒビター 3 6 1~14 (4.33) 50~80 3/6 件 6/6 件 第Ⅸ因子インヒビター 1 2 1~5 (3) 50 2/2 件 2/2 件 投与 回数 (平均) 1 回投与量 単位/kg 有効 以上 やや 有効以上 なお、本剤投与前後で PT、APTT、FDP、フィブリノゲン量、血小板数 等を測定したが、すべての測定時点において異常所見を認めず、DIC を 疑わせる血栓傾向は認められなかった。更に、3 ヶ月後の免疫機能及び 一般臨床検査値でも異常は認められなかった。 (2) 臨床薬理試験:忍容 該当資料なし 性試験 (3) 探索的試験:用量反 応探索試験 (4) 検証的試験 1) 無作為化平行用量 反応試験 2) 比較試験 3) 安全性試験 4) 患者・病態別試験 (5) 治療的使用 1) 使用成績調査・特 該当資料なし 該当資料なし 該当資料なし 該当資料なし 該当資料なし 該当資料なし 8 別調査・市販後臨床 試験 2) 承認条件として実 該当資料なし 施予定の内容又は実 施した試験の概要 厚生労働省保険局長通知 保発第 0331023 号(平成 20 年 3 月 31 日)にお いて下記の通り取扱い上の通知がありましたのでご留意下さい。 記 1. 本製剤は、血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒビターを保有する 患者について、頭蓋内出血等緊急の場合又は他の療法が奏効しない ときに使用するものであり、予防的に使用するものではない。 2. 本製剤の使用に当たっては、インヒビター力価が測定されているこ とが前提であり、その測定された年月日及びその力価を診療報酬明 細書に記入する。 3. 本製剤の使用は、1 回体重 1kg 当たり 50~100 単位を 8~12 時間間隔 で投与するものである。 ただし、原則として 1 日最大投与量は体重 1kg 当たり 200 単位を超 えないこととする。 4. なお、本製剤の取扱いについては、関係学会等において引き続き検 討されており、結論が得られ次第、通知する予定である。 Ⅵ.薬効薬理に関する項目 1. 薬理学的に関連ある 乾 燥 人 血 液 凝 固 第 Ⅸ 因 子 複 合 体 製 剤 PCC ( Prothrombin Complex 化合物又は化合物群 Concentrate)には、活性化製剤(Activated PCC:APCC)と非活性化製剤 (Non-Activated PCC:NAPCC)とがあり、本剤は前者に相当する。 2. 薬理作用 (1) 作用部位・作用機序 本剤は、複数の凝固因子(第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹと各々の活性型)が含まれ る活性型プロトロンビン複合体であるが、特に第Ⅱ因子(プロトロンビ ン)及び第Ⅹa 因子が、本剤の止血作用において重要な役割を果たすと 考えられている 9)-11)。 (1) 第Ⅴa 因子及び第Ⅹa 因子は、活性化された血小板上でプロトロンビ ナーゼ複合体を形成し、即時的にプロトロンビンからトロンビンを 産生させて凝固を促進する。 (2) 本剤中の他の凝固因子は、内因性因子との相補的作用及び種々のフ ィードバック機構などにより第Ⅹ因子を活性化させ、トロンビンを 産生させる。これらの複数の凝固因子の作用が本剤の長時間にわた る止血作用に寄与すると考えられている。 9 (2) 薬 効 を 裏 付 け る 試 (1) 凝固時間短縮作用(in vitro)9) 験成績 高力価の第Ⅷ因子インヒビター血漿(>10Bethesda 単位/ mL)に、本剤 及びプロトロンビン(第Ⅱ因子)/第 Xa 因子複合体を添加し、凝固時 間を測定したところ、いずれも濃度依存的に凝固時間を短縮し、同様の 濃度-反応直線を示した。 (2) トロンビン産生促進作用(ヒヒ)9) 正常な凝固活性を有するヒヒに、本剤及びプロトロンビン/第 Xa 因子 複合体を各々30 単位/kg 投与し、トロンビン産生能を測定したところ、 同様のトロンビン産生能を示した。 (3) 止血作用(ウサギ)11) ヒト第 VIII 因子に対する抗体を誘導したインヒビターモデルウサギの出 血に対し、本剤、血漿由来の第 Xa 因子、プロトロンビン、及びプロト ロンビン/第 Xa 因子複合体を投与後、出血量を測定したところ、本剤 10 75 単位/kg 及びプロトロンビン/第 Xa 因子複合体(本剤 75 単位/ kg 相 当量)は同等の止血作用を示し、第 Xa 因子及びプロトロンビンの単独 の場合より出血量を減少させた。 Ⅶ.薬物動態に関する項目 1. 血中濃度の推移・測 本剤の TGt50 は 6 分程度と短く、一旦 thrombin generation が生じかけると 定法 2~4 分以内にトロンビン時間が急速に短縮することから 17) 生体内では 速やかに活性化すると考えられる。患者投与後の TEG(r 値、k 値の短 縮効果)から、ファイバ活性は本剤投与後 5 分以内でピークに達し、以 後徐々に低下するとした 18)19)が、現在のところ生体内ファイバ活性のピ ークを捉えることは困難である。また、Schimpf らは TEG による追跡デ ータ等から、本剤の血中半減期は 4~8 時間の間にあると推察した 20)(外 国人データ)。 (1) 治 療 上 有 効 な 血 中 該当資料なし 濃度 (2) 最 高 血 中 濃 度 到 達 投与直後と考えられる。 時間 (3) 通 常 用 量 で の 血 中 該当資料なし 濃度 (4) 中 毒 症 状 を 発 現 す DIC 及び心筋梗塞等を誘発することがあるので、1 回に体重 1kg 当たり る血中濃度 100 単位をこえる投与や、1 日に体重 1kg 当たり 200 単位をこえる場合に は特に注意すること 21)。 2. 薬物速度論的パラメ 該当資料なし ータ (1) 吸収速度定数 (2) バ イ オ ア ベ イ ラ ビ リティ 11 (3) (4) (5) (6) 消失速度定数 クリアランス 分布容積 血漿蛋白結合率 3. 吸収 作用発現部位は出血部位であるが、投与後の吸収部位は不明。 4. 分布 静脈内に投与され、血中、出血部位で消費されると考えられるが詳細は 不明。 (1) 血 液 ― 脳 関 門 通 過 性 (2) 胎児への移行性 (3) 乳汁中への移行性 (4) 髄液への移行性 (5) そ の 他 の 組 織 へ の 移行性 5. 代謝 該当資料なし (1) 代 謝 部 位 及 び 代 謝 経路 (2) 代 謝 に 関 与 す る 酵 素(CYP450 等)の分 子種 (3) 初 回 通 過 効 果 の 有 無及びその割合 (4) 代 謝 物 の 活 性 の 有 無及び比率 (5) 活 性 代 謝 物 の 速 度 論的パラメータ 6. 排泄 (1) 排泄部位 (2) 排泄率 該当資料なし (3) 排泄速度 7. 透析等による除去率 (1) 腹膜透析 (2) 血液透析 (3) 直接血液灌流 該当資料なし 12 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 1. 警告内容とその理由 2. 禁忌内容とその理由 該当項目なし 【禁忌】(次の患者には投与しないこと) (1) 血液凝固因子インヒビターを有していない患者(凝固亢進のお それがある。) (2) DIC を生じている患者(血栓形成を加速するおそれがある。) 【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に 必要とする場合には慎重に投与すること) 心筋梗塞、急性血栓症・塞栓症の患者(冠動脈疾患、急性血栓 症・塞栓症又はこれらの疑いのある患者で頭蓋内出血等生命に 危険のおよぶ出血の場合にのみ使用すること。) (血栓形成を助長するおそれがある。) DIC は、血液凝固の亢進、消費性の出血を特徴とするので、本剤の投与 は禁忌である。また、本剤の用法・用量をこえる大量の投与で DIC 様症 状発生の報告もあるので、投与前後は血液凝固に関する諸検査を実施す ること。 3. 効能・効果に関連す 該当しない る使用上の注意とその 理由 4. 用法・用量に関連す 該当しない る使用上の注意とその 理由 13 5. 慎重投与内容とその 理由 次の患者には慎重に投与すること (1) 血小板数が少ない患者においては、慎重に投与すること。 (本剤 の効力発現は正常な血小板数に依存することが知られており、 十分な効果が得られないおそれがある。) (2) DIC を起こし易いことが知られている大手術後、重症の肝胆疾 患、溶血性貧血等の患者(DIC を起こすおそれがある。) (3) IgA 欠損症の患者(抗 IgA 抗体を保有する患者では過敏反応を 起こすおそれがある。) (4) 溶血性・失血性貧血の患者(ヒトパルボウイルス B19 の感染を 起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激 な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。) (5) 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者(ヒトパルボウイルス B19 の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持 続性の貧血を起こすことがある。) 6. 重要な基本的注意と その理由及び処置方法 [患者への説明] 本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性ととも に、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講 じられているが、ヒト血漿を原料としていることに由来する感染症 伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対し て説明し、理解を得るよう努めること。 (1) 本剤の原材料となる血漿については、HBs 抗原、抗 HCV 抗体、 抗 HIV-1 抗体及び抗 HIV-2 抗体が陰性であることを確認してい る。さらに、プールした試験血漿については、HBV-DNA、 HCV-RNA、HIV-1-RNA、HIV-2-RNA 及び HAV-RNA について核 酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使 用しているが、当該 NAT の検出限界以下のウイルスが混入して いる可能性が常に存在する。同様に、ヒトパルボウイルス B19-DNA についてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT) を実施し、105IU/mL 以下であることを確認した健康人血漿を用 いている。 また、製造工程では、ウイルス不活化を目的とした 2 段階蒸気 加熱処理(60℃、510~520 分、19kPa 加圧及び 80℃、60~70 分、 37.5kPa 加圧)及びウイルス除去膜によるろ過処理(ナノフィル トレーション)を施している。 本剤は、上記のような安全対策を講じているが、投与に際して は、次の点に十分注意すること。 1) 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルス B19 等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難で あるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定でき ないので、投与後の経過を十分に観察すること。 14 肝炎ウイルス等のウイルス感染のリスクについては完全に 否定できないので、観察を十分に行い、症状があらわれた 場合には適切な処置を行うこと。 3) 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤ コブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしなが ら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告 があるものの、理論的な vCJD 等の伝播のリスクを完全に は排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行 い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。 (2) 患者血漿中のインヒビター力価測定を行い、インヒビターの存 在を確認したのち投与すること。 (3) 本剤の投与前及び投与後の血液凝固検査として APTT、PTT、 TEG 等いずれかの試験を行うこと。また、DIC の徴候が見られ ることがあるので、血小板数、PT、フィブリノゲン、FDP 等の 検査で異常が認められた場合、投与を中止すること。 (4) DIC 及び心筋梗塞等を誘発することがあるので、1 回に体重 1kg 当たり 100 単位をこえる投与や、1 日に体重 1kg 当たり 200 単位 をこえる場合には特に注意すること 21)。 2) (5) 間隔を置いての投与で、軽症短期間のアレルギー症状から重症 アナフィラキシー様ショックに至るまでのあらゆるアレルギー 反応を起こすことがあるので、観察を十分に行うこと。 (6) 第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する患者に投与する場合 には、DIC、アレルギー及びアナフィラキシーショックを誘発す るおそれがあるとの報告があるので十分に注意すること。 <参考> 本剤の製造工程におけるウイルスの除去・不活化率(Log10)は下表の通 りである。 エンベロープ あり なし HIV-1 PRV BVDV HAV B19 注 1) 注 2) 注 3) 注 4) 注 5) 科 レト ロ ヘル ペス フラビ ピコ ルナ パルボ 陰イオン交換樹脂処理 ~目的たんぱく質の溶出 3.2 2.5 1.8 1.5 1.7 ウイルス除去膜処理(ナノ フィルトレーション) >4.6 >5.8 2.1 2.6 ≦1.0 注) 蒸気加熱処理(60℃/80℃) >5.9 >6.7 >5.6 >5.2 4.8 総ウイルスクリアランス 指数 >13.7 >15.0 >9.5 >9.3 6.5 ウイルス名 15 上記の表にクリオプレシピテートの除去によるウイルスクリアランスは 含まれていない。 注 1) HIV-1:ヒト免疫不全ウイルス 1 型(エンベロープのある RNA ウイ ルス) 注 2) PRV:仮性狂犬病ウイルス(エンベロープのある DNA ウイルス) 注 3) BVDV:ウシウイルス性下痢ウイルス(エンベロープのある RNA ウ イルス) 注 4) HAV:A 型肝炎ウイルス(エンベロープのない RNA ウイルス) 注 5) B19:ヒトパルボウイルス B19(エンベロープのない DNA ウイルス) 注)医薬審第 329 号(平成 12 年 2 月 22 日)に準じて、クリアランス指 数が 1.0Log10 以下の場合は総ウイルスクリアランス指数に合計しない。 7. 相互作用 (1) 併 用 禁 忌 と そ の 理 該当しない 由 (2) 併 用 注 意 と そ の 理 併用に注意すること 由 薬剤名等 抗線溶剤 アプロチニン トラネキサム酸 ε-アミノカプロン酸 等 濃縮血小板 8. 副作用 (1) 副作用の概要 1) 重大な副作用と初 期症状 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 血栓形成傾向があら 本剤の凝固活性とこれ わ れ る お そ れ が あ らの薬剤の抗プラスミ る。 ン作用が微小血栓の寿 命を比較的長期化させ るため。 血栓形成傾向があら 血小板凝集活性を亢進 われるおそれがあ させるとの報告があ る。 る。 総症例 65 例中、報告された副作用は 4 例(6.2%)であった(再審 査終了時)。なお、以下の副作用は上記の調査あるいは自発報告等 で認められたものである。 (1) ショック(頻度不明) :ショックを起こすことがあるので、観察 を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止 し適切な処置を行うこと。 (2) DIC(頻度不明) :DIC を起こすことがあるので、観察を十分に 行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を 行うこと。 16 2) その他の副作用 1~5%未満 頻度不明** 注 3) 発熱 顔面紅潮、蕁麻疹 消 化 器 下痢 過敏症 肝 臓 AST(GOT)、ALT(GPT)、 LDH の上昇 注射部位 血管痛 心臓障害 心筋梗塞 そ の 他 悪寒、腰痛 注 3)症状が発現した場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 **自発報告においてのみ認められている副作用のため、頻度不明とした。 (2) 項 目 別 副 作 用 発 現 該当資料なし 頻度及び臨床検査値 異常一覧 (3) 基礎疾患,合併症, 該当資料なし 重症度及び手術の有 無等背景別の副作用 発現頻度 (4) 薬 物 ア レ ル ギ ー に 試験法はないが、注射速度(1 分間に体重 1kg 当たり 2 単位をこえる注 対する注意及び試験 射速度はさけること)を守ること。 法 9. 高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察 しながら慎重に投与すること。 10. 妊婦,産婦,授乳婦 等への投与 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危 険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(妊娠中の投 与に関する安全性は確立していない。また、本剤の投与によりヒト パルボウイルス B19 の感染の可能性を否定できない。感染した場合 には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性が ある。) 11. 小児等への投与 未熟児、新生児に対する安全性は確立していない(使用経験がな い)。 12. 臨床検査結果に及ぼ す影響 (1) 本剤は第Ⅷあるいは第Ⅸ因子インヒビター患者の PT、PTT、 APTT、全血凝固時間(WBCT)、TEG の r 値(k 値)を短縮する。 (2) 血小板数、フィブリノゲン値の低下、FDP の上昇等 DIC の徴候 がみられることがある。 (3) 本剤は第Ⅷあるいは第Ⅸ因子インヒビター患者への投与後に既 往性反応が起こることがある 16)22)23)24)。 17 13. 過量投与 DIC 及び心筋梗塞等を誘発することがあるので、1 回に体重 1kg 当 たり 100 単位をこえる投与や、1 日に体重 1kg 当たり 200 単位をこ える場合には特に注意すること 21)。 14. 適用上及び薬剤交付 時の注意(患者等に留 意すべき必須事項等) (1) 投与経路: 静脈内に投与すること。 (2) 調製時: 1) 添付の溶剤以外は使用しないこと。 2) 他の製剤と混注しないこと。 3) 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこ と。 4) 溶解した液を注射器に移す場合、添付の専用溶解器(薬液 用両刃針)を用いること。 (3) 投与時: 1) 注入速度は 1 分間につき 2 単位/kg をこえないこと。 2) 溶解時に沈殿の認められるものを投与しないこと。 3) 一度溶解したものは 1 時間以内に使用すること。 4) 本剤は血液凝固因子インヒビターを有する患者以外には投 与しないこと。 (4) 溶解時: 本剤及び添付溶剤のバイアルキャップを外した後ゴム栓を消毒 し、必ずゴム栓中央部分に添付の専用溶解器(薬液用両刃針) を刺し、溶解すること。 15. その他の注意 なし 16. その他 なし Ⅸ.非臨床試験に関する項目 1. 一般薬理 マウスに 300 単位/kg(i.v.)で、一般行動及び自発行動に影響を与えない。 ウサギに 100 単位/kg(i.v.)で、血圧、呼吸、心電図及び体温に影響を及 ぼさなかった。ウサギの摘出耳介灌流標本に対して何ら作用を示さず、 ウサギ赤血球に対しても溶血作用は認められなかった。しかし、モルモ ット摘出回腸に対し 0.01U/mL 以上の濃度で一過性の蠕動の抑制が見ら れた 25)。 18 2. 毒性 (1) 単回投与毒性試験 LD50 値(単位/kg) 動物種 性 動脈内投与 マウス (JCR/JCL 系) 雄 890 雌 940 ラット (SD/JCL 系) 雄 275 雌 290 死亡例の剖検ではマウス、ラット及びウサギでともに肺、肝に著しい出 血、鬱血等が見られ、ウサギでは後大動脈、右心房、心室内に大量の血 液凝固物が見られた。これらの症状は、本剤本来の作用である凝固亢進 作用により血栓が形成され循環障害の結果、死に至ったものと考えられ る。生存例ではマウス、ラット及びウサギでともに少数例において肺、 肝、腎及び脾に灰黄色の変色部が認められた。 皮下投与例では、マウス、ラットで投与部位が肥厚し、軽度に自発運動 が抑制された他異常は認められなかった。経口投与例ではマウス、ラッ トともに何ら異常は認められなかった 25)。 (2) 反復投与毒性試験 (3) 生殖発生毒性試験 (4) その他の特殊毒性 該当資料なし 該当資料なし 該当資料なし 19 Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目 1. 有効期間又は使用期限 有効期間:2 年(最終有効年月日は、組箱、ラベルに記載) 2. 貯法・保存条件 2~8℃(凍結を避けること) 3. 薬剤取扱い上の注意点 規制区分:特定生物由来製品、処方せん医薬品注) 注)注意-医師等の処方せんにより使用すること [記録の保存] 本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方し た場合は、医薬品名(販売名)、製造番号、投与又は処方した日、投 与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも 20 年 間保存すること。 4. 承認条件 5. 包装 ファイバ注射用 500:1 バイアル (日本薬局方 注射用水 10mL 添付) ファイバ注射用 1000:1 バイアル (日本薬局方 注射用水 20mL 添付) クラス分類 一般的名称 専 用 溶 解 器 一般医療機器 薬液用両刃針 販売名(バックス ジ ェ ク ト II ハイフロー) 医療機器届出番号 13B1X00208000018 6. 同一成分・同効薬 同一成分:なし 同効薬: 遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤:ノボセブン(ノボ ノル ディスク ファーマ) 7. 国際誕生年月日 1976 年(蒸気加熱処理製剤は 1986 年) 8. 製造・輸入承認年月日 及び承認番号 承認年月日 ファイバ 注射用 500 ファイバ 注射用 1000 9. 薬価基準収載年月日 承認番号 薬価基準収載年月日 22000AMX00129000 2008 年 2 月 28 日 2008 年 6 月 20 日 22000AMX00127000 2008 年 6 月 20 日 20 10. 効能・効果追加,用法・ 【効能・効果】の変更(2006 年 5 月 22 日一部変更承認取得) 用量変更追加等の年月日 2006 年 4 月改訂(第 8 版)添付文書の【効能・効果】の「血液凝固第 及びその内容 Ⅷ因子または第Ⅸ因子インヒビター力価 10Bethesda 単位以上の患者に 対し、血漿中の血液凝固活性を補いその出血を抑制する。」を、2006 年 5 月改訂(第 9 版)添付文書から「血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子 インヒビターを保有する患者に対し、血漿中の血液凝固活性を補いそ の出血を抑制する。」の記載に変更した。 【用法・用量】の追記(2006 年 5 月 22 日一部変更承認取得) ただし、原則として 1 日最大投与量は体重 1kg 当たり 200 単位をこえ ないこととする。 <用法・用量に関連する使用上の注意> 本剤の使用にあたっては、患者の出血症状及び治療歴等を総合的に 判断して使用すること。 なお、効果が認められない場合は、他剤への切り替えを検討するこ と。 11. 再審査結果,再評価結 再審査結果公表年月日:1991 年 3 月 6 日 果公表年月日及びその内 容 12. 再審査期間 6 年間 13. 長期投与の可否 平成 14 年 3 月 18 日付厚生労働省告示第 99 号の投薬期間に上限が設 けられている医薬品には該当しない。 14. 厚生労働省薬価基準収 ファイバ注射用 500:6343414X1043 載医薬品コード ファイバ注射用 1000:6343414X2040 15. 保険給付上の注意 厚生労働省保険局長通知 保発第 0331023 号(平成 20 年 3 月 31 日) において下記の通り取扱い上の通知がありましたのでご留意下さい。 記 1. 本製剤は、血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒビターを保有す る患者について、頭蓋内出血等緊急の場合又は他の療法が奏効し ないときに使用するものであり、予防的に使用するものではない。 2. 本製剤の使用に当たっては、インヒビター力価が測定されている ことが前提であり、その測定された年月日及びその力価を診療報 酬明細書に記入する。 3. 本製剤の使用は、1 回体重 1kg 当たり 50~100 単位を 8~12 時間間 21 隔で投与するものである。 ただし、原則として 1 日最大投与量は体重 1kg 当たり 200 単位を 超えないこととする。 4. なお、本製剤の取扱いについては、関係学会等において引き続き 検討されており、結論が得られ次第、通知する予定である。 16. JAN コード ファイバ注射用 500:4987456506064 ファイバ注射用 1000:4987456506088 ⅩⅠ.文献 1. 引用文献 1) Breen F. A.,et al. Prothrombin concentrates in treatment of christmas disease and allied disorders. JAMA 1969;208(10):1848-1852 2) Fekete L.,et al. “Auto” Factor IX Concentrate:A new therapeutic approach to treatment of hemophilia A patients with inhibitors. 14th international Congress of Hematology, Sao Paulo, Brazil 1972; abstracts 295 3) Kurczynski E.,et al. Activated Prothrombin Concentrate for Patients with Factor VIII. The New England Journal of Medicine 1974;291(4):164-167 4) Abildgaard C.,et al. Prothrombin Complex Concentrate(Konyne) for Patients with Factor VIII Inhibitors. Blood 1974;44:933, 5) Allain J.,et al. Prothrombin-Complex Concentrate in Treatment of Classical Haemophilia with Factor VIII Antibody. 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A retrospective postlicensure survey of FEIBA efficacy and safety. Haemophilia 2006;12:352-362 23 ⅩⅡ.参考資料 1. 主な外国での発売状況 本剤は、1977 年にオーストリアのイムノ社(現 バクスターAG)が承 認を取得して以来、2010 年 3 月現在、世界 59 ヶ国で販売または承認 されている。主な販売国は以下の通りである。 外国における発売状況(2010 年 3 月現在) 国名 販売名 承認取得年月 ドイツ FEIBA NF 500E / 1000 E 1985 年 7 月 剤形・規格 500 U 1000 U イギリス FEIBA 1985 年 10 月 500 U 1000 U 米国 1986 年 1 月 FEIBA NF 500 U Anti-Inhibitor 1000 U Coagulant Complex, 2500 U Vapor Heated and nanofiltered フランス 2000 年 3 月 FEIBA 500 U/20ml, 500 U 1000 U FEIBA 1000 U/20ml, Poudre et solvent pour solution injectable 1. 献血又は非献血の区別 献血又は非献血の区別は製剤の安全性の優劣を示すものではありません。 この表示区別は、下記の手順に従って決められています。 の考え方 採血国の政府が 「自発的な無償供 血」の定義を有し ているか いない いる その定義が 1991 年 国際赤十字・赤新 月社決議と同じ趣 旨か 同じ趣旨 異なる 当該国の「自 発的な 無償供血」の 定義に そって採血されたこ とが確認できるか 確認できる 確認できない 「非献血」の表示 「献血」の表示 ⅩⅢ.備考 その他の関連資料 〒104-6009 東京都中央区晴海一丁目 8 番 10 号 トリトンスクエア・オフィスタワーX 9F TEL:03-6204-3800(事業部代表) FAX:03-6204-3801 バクスター株式会社 バイオサイエンス事業部 24 25 R10122
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