大麻の種子と大麻栽培の問題について

大麻の種子と大麻栽培の問題について
写真は DEA Photo Library より
小森 榮(弁護士)
2008 年 7 月 12 日第 1 稿
2008 年 11 月 22 日一部改定
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種子
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第1、問題の所在
1、脱法種子の存在
建前からいえば、現在、わが国は、発芽能力のある大麻の種子が、一般に出回ることがないよう、管
理していることになっています。わが国に存在する大麻の種子は、大別して 2 種類あり、①大麻取締法
が規定する大麻取扱者の資格を持つ人が大麻の種子を採取するために栽培したものと、②香辛料や鳥の
えさとして産業用に用いるために、通関に必要な手続き(加熱などによる発芽不能処理が義務付けられ
ている)を経て輸入したものがあります。つまり、現行の法令では、発芽能力のある大麻の種子は、免
許を持つ栽培農家によって管理されており、産業用として外国から輸入されるものは、発芽しないよう
処理したうえで通関するため、原則として、発芽能力のある大麻の種子が出回ることがないように管理
されているわけです。
ところが、一般に流通するはずのない、発芽能力のある大麻の種子が大量に出回り、高額で売買され、
インターネットや雑貨店などで半ば公然と販売されているという状況が、ここ数年みられるようになり
ました。これが、現在話題になっている大麻の種子の問題です。とりあえず、ここでは、現在出回って
いる発芽能力のある大麻の種子を「脱法種子」と呼ぶことにします。
2、脱法種子の特徴
発芽能力のある大麻の種子を何らかの方法で入手して、大麻を栽培するという例は、以前からありま
した。鳥のえさのなかに、偶然、加熱が不十分なものが混入していたり、海外から数粒の種子をこっそ
り持ち帰ったり、たまたま野生大麻を見つけて種子を採取したという例などです。
しかし、いま話題になっている脱法種子には、これまでのものとは違う特徴があります。
⑴ 品種改良された輸入種子
インターネットや雑貨店などで販売されている脱法種子のほとんどは、THC 濃度の高い大麻を生
み出すよう品種改良されたものであり、国内で認可の下で栽培してきたものや、産業用として輸入さ
れている大麻の種子とは、異なるものです。
ためしに、インターネット上で大麻の種子を販売しているサイトをいくつか開いてみましたが、そ
こで販売されている種子のすべてが、原産国らしきものが表示されているか、海外の供給メーカーが
表示されているものです。さらに、販売品のなかに、以下のような特徴をもつ種子があります。
①
室内栽培用の交配種
現在、インターネットなどで販売されている脱法種子の中には、室内栽培(インドア)用の品種
とうたっているものが相当量あります。資格のない人が大麻を栽培することは、原則としてどんな
国でも禁止されているため、いきおい人目につきにくい室内栽培が行われ、多様な室内栽培用の改
良品種が出回っているわけです。わが国で、室内栽培用として販売されているのも、こうした改良
品種です。
室内栽培は、大掛かりな水耕栽培の装置を用いて行われることもあり、専用の人工照明や配合肥
料を用いて、屋外で栽培するものよりも THC 濃度の高い大麻を生産する場合もあります。
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②
フェミナイズされた種子
大麻草には雄株と雌株があり、
雌株の大麻草は受粉によって種子をつけます。
ところが、
よりTHC
濃度の高い大麻であるシンセミアを収穫するためには、雄株を除去して受粉させない状態で、雌株
のみを栽培する方法がとられます。開花前に確実に雄株を除去することが困難であるため、シンセ
ミアを得る目的で大麻草を栽培するために、雌株だけを発芽させる「フェミナイズド」というタイ
プの種子が開発され、販売されています。
つまり、フェミナイズされた大麻草の種子とは、より確実にシンセミアを収穫しようとする大麻
栽培者のために、特化された種子であるということができます。
③
品種改良された高 THC タイプ
1980 年代以降、大麻の効力を高める方向で栽培技術が発展してきた結果、今日では、効力の強い
大麻を生産することが可能になっています。従来の方法で屋外栽培された大麻の平均的なTHC濃度
は 5 パーセント程度といわれます。国連薬物犯罪事務所の資料によれば、近年では押収される大麻
のTHC濃度が高くなっており、2006 年では9パーセントに近くなっています1。市販されている脱
法種子のなかには、THC濃度が 15~20 パーセントとうたっているものもみられます。高濃度の
THCを含むよう品種改良されたものが出回っていることが推測されます。
⑵脱法種子の外形的な特徴
市販されている脱法種子数種類と、繊維用に国内で栽培される品種、鳥のえさや食品用に加熱処理
して輸入される麻の実を比較した研究報告があるので、
「外部形態及び簡易な化学的検査による大麻草
の鑑別2」から引用します。
「ドラッグ用アサの種子は繊維用アサの種子や食品及び小鳥のえさの種子に比べて小さい傾向がみ
られた。アサの種子は小さい種類と大きい種類では、重さで 4 倍程度の差があり、大きさだけで判断
することは困難であることが示唆された。したがって、種子の表面にある特異な網目状の模様が、重
要な鑑別ポイントになると考える。
」
なお、同報告によると、市販のドラッグ用種子は、通常長さが 4~4.5 ㎜、重さは 15~20 ミリグラ
ムであったと報告されています。通常、これらは 10 粒単位で販売されますが、10 粒合計でも重量は
0.2 グラム程度ということになります。
3、脱法種子の販売環境
⑴ 室内水耕栽培の拡大
大麻栽培事犯の検挙例では、屋外で大量の大麻を栽培していた例が目立ちますが、時折、マンショ
ンやアパートの室内で栽培された大麻が押収されることがあります。居室の一部や押入れなどを改造
して、内部で大麻を栽培していた例もあります。
こうしたケースでよく使われているのが、園芸用に用いられる家庭用水耕栽培の装置で、液体の配
合肥料を加えた水を循環させ、特殊電灯を備えた人工照明装置や換気装置で、日照が得られない密閉
された場所でも大麻を栽培することができるようになっています。押入れの内部で、大麻を栽培する
ことが可能になっているのです。さらに、栽培装置の周囲を反射素材でできたグローハウスで囲うこ
とで、照明の効率を上げ、保温し、さらに外部から見えない状態にすることも可能です。
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折から、園芸や農業の分野では、高度な施設栽培に向かう技術革新が盛んで、水耕栽培用の高度な
器具や用品が次々にもたらされています。どこにでもあるホームセンターで、こうしたものが入手で
きるほか、愛好家のための通信販売(インターネット販売を含む)も多数あります。
また、大麻の栽培方法をかなり具体的に掲載した書籍や雑
誌、インターネットの記事などが多彩に供給されており、ほ
んの数時間で大麻栽培に必要な基礎的な情報を手に入れるこ
とができます。
⑵ 経済性
問題は、こうした栽培にかかる費用です。たとえば1メー
トル四方の面積に室内栽培の装置を組み立てるとしたら、5
~6 株用の水耕栽培用のセットが5万円前後、栽培用照明器
さらに反射素材のカバーがやはり5万円前
具が5万円前後、
後、電源や換気ファン、タイマーなども必要になるので、装
置だけでも 15~20 万円はかかることになります。また、配
合肥料や電気代、
種子の購入費用もかかります。
これはもう、
青少年の好奇心というレベルではない金額です。
DEA photo libraly
大麻に好奇心を持った青少年が、密売品の大麻を入手する
頻度は、一般的に、それほど頻繁なものではありません。私
がこれまでに担当した大麻事犯の若者の場合、1 回に買う
量は 1~3 グラム程度、1 年に数回入手するというのが平均
的な状態です。大麻の末端での密売価格は 1 グラム 4 千円
程度ですから、年間の購買金額はせいぜい数万円のもので
す。密売品の高価な大麻を買うより、自分で栽培すれば安
上がりという発想から、室内水耕栽培の装置を購入するという選択は、まず生まれないでしょう。
いっぽう、収穫の見積もりをしてみましょう。東京あたりの気候では、屋外栽培では年に 1 回収
穫するのが普通ですが、室内水耕栽培では、収穫までの期間を短縮し、しかも通年にわたって収穫
することができ、
植えつけてから収穫までは平均10週間、
1年に5回程度収穫することが可能です。
1 株の大麻草から平均 200 グラムの大麻が収穫できるといいますが、室内栽培の場合はその半分と
見て 100 グラム。年間の収穫量は 100g×5 株×5 回=2.5 キログラム。大麻の末端での密売価格は
1 グラム 4 千円程度ですから、
年間の収穫は末端価格にして 1000 万円相当ということになります。
これもまた、青少年の好奇心とはいえない金額です。
⑶ 栽培技術がもたらすもの
私は、大麻の栽培事犯の多くは、薬物に対する好奇心が嵩じて、つい自分で大麻を栽培してしま
った若者だと考えてきました。彼らはベランダや山林などで大麻を栽培し、自分で使い、ときには
限られた友人に分配してきました。他人に売ってしまったことから重い罪に問われたケースでも、
単純な利欲目的とは異質な意識をみることができました。
ところが、室内水耕栽培の装置を備えつけ、室内栽培用の高 THC 品種の種をまき、シンセミア
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を中心に高 THC 大麻を生産し、高度な栽培技術で通年栽培するとなると、その大掛かりな装置や
高額の投資、さらには生産品の質や収穫の多さから、利欲のための栽培という性格を帯びやすくな
るように思います。高額の投資と高水準の技術は、えてして高額のリターンを生み出します。最初
はささいな好奇心から始まったとしても、その収穫を密売するという、さらに重大で深刻な違法行
為に近づく若者が生まれかねないことに、私は危惧を感じているのです。
4 脱法種子をめぐる違法性
上記でいくつか具体的なポイントを示したように、市販されている脱法種子が、それぞれの販売情報
でうたっている通りのものであるとするなら、それは現行の大麻の種子に関する管理法令に違反して、
発芽能力のある大麻の種子が外国から持ち込まれていることになります。大麻取締法が大麻の種子を規
制対象から除外しているため、あたかも市販されている脱法種子が一切の法規制を受けないかのように
いう向きがありますが、それは明らかな誤解で、前述したように、わが国では、大麻の種子を複数の法
令で管理しているのです。
まず、大麻取締法によって、大麻の栽培を免許を持つ栽培者に限定し、それ以外の者の栽培を罰則を
もって厳しく禁じています。栽培の予備行為をすること、栽培を助けることも処罰対象とされ、さらに
栽培目的であることを知りながら、その原材料となる種子を提供することも処罰される行為とされてい
ます。
次に、外国から発芽能力のある大麻の種子が持ち込まれることがないよう、規制しているのが、外国
為替及び外国貿易法と関税法です。産業用として外国から輸入されるものは、発芽しないよう処理する
ことが義務付けられており、こうした手続きを経ずに、発芽能力のある状態で大麻の種子を輸入するこ
とが禁じられています。
たしかに、外国為替及び外国貿易法や関税法では、違反行為によって処罰を受けるのは外国貿易をお
こなう者であり、違法に持ち込まれた物を入手したことで処罰を受けるわけではありません。しかし、
不正に持ち込まれた品であることを承知しながら、これを仕入れて販売したり、購入するとしたら、道
義的な責任を免れることはできないでしょう。
わが国では、発芽能力のある大麻の種子が、正規のルートで市場に出回ることは決してありません。
市販されている大麻の種子は、違法行為によって採取されたものであるか、あるいは違法行為によって
外国から持ち込まれた(密輸された)ものであるはずです。
続いて、以下では大麻の種子を管理している法令について、具体的に検討することにしましょう。
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第2、大麻取締法における種子の位置づけ
1 大麻取締法という法律
⑴大麻取締法の制定
世界的に大麻乱用に対する法規制がとられ始めたのは 1930 年代ころですが、日本では、昭和 5 年の
旧「麻薬取締規則」でインド大麻を麻薬に指定して、その規制が行われてきました。
大麻は、第二次世界大戦のころまでは、日本のいたるところで栽培され、その繊維や種子は重要な農
産物として流通していました。ところが、占領下の昭和 20 年、
「麻薬原料植物ノ栽培、麻薬ノ製造、輸
入及輸出等禁止二関スル件」によって、大麻も麻薬として規制対象とされ、大麻草の栽培が全面的に禁
止されました。当時の日本では麻繊維の需要が大きく、この需要に応じるためには大麻草の栽培再開が
必要であったことから、GHQとの交渉の結果、繊維及び種子の採取を目的とする場合に限り、許可制
の下に大麻草の栽培を認める内容の「大麻取締規則」が、昭和22年に制定されました。
昭和 23 年、
「大麻取締規則」が廃止され、大麻取締法(昭和 23 年法律第 124 号)が制定(同年 7 月施行)
されました。同法は、大麻の用途を学術研究及び繊維・種子の採取だけに限定し、大麻の取扱いを免許
制とし、免許を有しない者による大麻の取扱いを禁止するとともに、違反行為を規定して罰則を設けた
ものです。
⑵第 1 条ただし書きによる除外
大麻取締法は、第 1 条で、この法律が対象とする大麻を「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及
びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。
)並びに大麻草の種子及び
」と定義し、その規制対象から①大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。
)
、②
その製品を除く。
大麻草の種子及びその製品を除外しています。
「ただし」以下の文章は「第1条ただし書き」と呼ばれますが、大麻を規制するにあたって、重要な
農産物であった大麻の生産や流通への配慮がなされたのが、この第 1 条ただし書きの部分なのです。
①法律制定時の規定
規制対象から除外されているものは、まず大麻草の成熟した茎で、これは麻繊維の原料となるも
のです。大麻草の成熟した茎は重要な農産物ですから、法律制定時から、規制対象から除外されて
いました。いっぽう大麻草の種子は、鳥のえさや七味唐辛子など、比較的用途が限られていたため
か、同法の制定当初は規制対象として厳格な管理が義務付けられており、
「発芽不能のもの」だけが
規制から除外されていました。発芽する種子については、第 15 条に、大麻取扱の免許を受けた大
麻栽培者は、4 半期ごとに、期間末に所持した発芽可能の大麻草の種子の数量を厚生大臣に届けな
ければならないと定められていました。これは、栽培農家にとってたいへんな負担だったことでし
ょう。
[法律制定時の規定]大麻取締法(昭和 23 年 7 月 10 日法律第 124 号)
第 1 条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス、サテイバ、エル)及びその種子並び
にそれらの製品をいう。但し、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。
)並びに発芽不能の
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種子及びその製品を除く。
②昭和 28 年の法改正
昭和 28 年の改正では、大麻の種子を規制対象から除外すると同時に、15 条 1 に規定された大麻の
種子の数量の報告義務が削除されました。これで、基本的に大麻の種子は同法の規制対象ではなくな
ったわけです。しかし、この改正が行われた後の法律では、その文面だけをみると、大麻の種子が規
制されているのかどうかについて、少々わかりにくいところがありました。
[改正内容] 大麻取締法の一部を改正する法律(昭 28 年 3 月 17 日 法律第 15 号)
大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)の一部を次のように改正する。第1条中「その
種子並びにそれらの製品」を「その製品」に改め、
「並びに発芽不能の種子及びその製品」を削る。
[改正後]
第 1 条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス、サテイバ、エル)及びその製品をい
う。但し、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。
)を除く。
③平成 3 年の改正
その後、平成 3 年に、もう一度、第 1 条ただし書きが改正されていますが、その趣旨は、大麻の種
子が除外されていることを明示することにあったといわれています。その事情について、次のような
説明があります。
「昭和23 年に制定された大麻取締法では、
種子は発芽不能のものを除いて規制の対象であったが、
昭和 28 年の第三次改正において「種子」を条文から削除し、種子を規制の対象から除外した。
しかし、その後も規制の対象である「大麻草」に種子も含まれるのではないかとの疑念が生じてい
たことから、混乱を避けるため平成 3 年第 11 次改正において種子を除外する旨を入念的に明文化し
た3」
[改正内容]麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律(平成 3 年 10 月 5 日法律第 93 号)
大麻取締法(昭和 23 年法律第 124 号)の一部を次のように改正する。
第1条中「カンナビス、サテイバ、エル」を「カンナビス・サティバ・エル」に、
「但し」を「た
だし」に改め、
「除く。
)
」の下に「並びに大麻草の種子及びその製品」を加える。
[改正後=現行のもの]
第 1 条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。
ただし、
大麻草の成熟した茎及びその製品
(樹脂を除く。
)
並びに大麻草の種子及びその製品を除く。
2 大麻栽培の禁止
⑴栽培に対してより重い罰則
大麻取締法は、大麻草の種子そのものを規制していませんが、大麻の栽培は、免許を受けた「大麻
取扱者」だけが行うものとし、一般人が栽培することは厳しい罰則をもって禁止しています。
大麻取締法が、
「大麻取扱者」の資格を持たない一般人に禁じているのは、大麻の所持、栽培、譲
渡などですが(第 3 条)
、違反行為に対する罰則を定めた第 24 条では、栽培は輸入・輸出と同じ条
文に規定され、所持や譲渡に対するものより重い罰則が定められています。これは、栽培は新たに大
麻を生み出す行為であり、輸入によってわが国に新たな大麻を持ち込むことと同様に、薬物乱用の社
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会的弊害の拡大に積極的に加担する、より責任の重い行為であるとされているからです。
第3 条
大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用して
はならない。
第 24 条
大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した
者は、7 年以下の懲役に処する。
2
営利の目的で前項の罪を犯した者は、10 年以下の懲役に処し、又は情状により 10 年以
下の懲役及び 300 万円以下の罰金に処する。
3
前 2 項の未遂罪は、罰する。
⑵大麻の栽培とは
大麻取締法は、大麻を取扱者以外の大麻の栽培を禁止し、違反に対して罰則を定めています。種子が
ひとたび播種されると、取締りの対象となるわけです。
栽培とは播種から収穫までの育成行為をいい、播種がなされた後大麻が生育している間は犯罪が継続
し、これを刈り取るなどの行為によりその生育を終了させた時点で犯罪は終了します。畑、庭、温室等
地上に直接播種する場合も、鉢植えする場合とを問わないとされます。また、たとえ観賞用や食用とし
て栽培された場合でも、栽培罪が成立します。
では、ひとたび大麻の種子を発芽させて栽培に着手したけれど、収穫する前に枯れてしまったり、見
つかりそうになって自分で引き抜いた場合は、未遂か既遂か。この点については、あへん法で規制する
けしの栽培の裁判例があり、既遂として処断するべきだという判断が示されています。
「あへん法にいう
けし栽培者でないのに、けしの種を畑に播いて、これを発芽生育せしめた以上、その後においてあへん
を採取することなく、右けしを引き抜いたとしても、同法四条違反の罪の既遂をもつて処断すべきもの
である。4」
⑶未遂罪、予備罪の処罰
大麻の栽培罪は、未遂、予備も処罰対象とされます。犯罪が実現された場合は既遂、犯罪に着手した
が実現できなかった場合が未遂、予備とは、実行の着手にはいたらない準備行為のことです。
大麻の栽培についていうなら「栽培又はこれに密接する行為を開始するのが、栽培の実行の着手であ
り、具体的には、大麻の種を畑に播こうとすること、大麻を植え替えようとする行為を開始することな
どである。それ以前の準備行為は栽培の予備である5。
」また、大麻を発芽育成せしめた時点で栽培が既
遂に達するのは明らかであるが、あへん法のけし栽培についてではあるが、発芽より前の播種がなされ
た時点を既遂とする有力な見解もあります6。
3、大麻栽培の原材料としての種子の規制
⑴資金等提供罪
大麻取締法は、その規制対象から「大麻草の種子及びその製品」を除外していますが、同法は、大麻
草を栽培するための原材料として種子を提供したり、運搬したりする行為に対しては、懲役刑をもって
取り締まっています。それが、資金等提供罪と呼ばれる次の条項です。
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第 24 条の 6
情を知つて、第 24 条第 1 項又は第 2 項の罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航
空機、車両、設備、機械、器具又は原材料(大麻草の種子を含む。
)を提供し、又は運搬した者
は、3 年以下の懲役に処する。
条文がいう第 24 条 1 項というのは、大麻の栽培、輸入、輸出罪に 7 年以下の懲役刑を定めたもので、
第 2 項はその営利犯に関するものです。つまり、栽培罪、輸入罪、輸出罪などに利用されるとわかって
いながら、その資金や設備などを提供した者に対する処罰を定めた内容で、平成 2 年の改正時にこの条
項が新設され、平成 3 年改正で、
(大麻草の種子を含む。
)の部分が追加されたものです。
なお、薬物規制法令にはそれぞれ資金等提供罪と呼ばれる条項があり、
[麻薬及び向精神薬取締法・第
68 条]
、
[覚せい剤取締法・第 41 条 9]
、
[あへん法・第 54 条の 2]はいずれも同じ趣旨のものです。従
来、大麻取締法には資金等提供罪の条項がなかったのですが、わが国が「麻薬及び向精神薬の不正取引
の防止に関する国際連合条約」を批准するにあたって、国内法を整備するために設けられたものです。
条約との関係については後述します。
⑵資金等提供罪の意義
大麻取締法に資金等提供罪が設けられたのが比較的最近のことであり、私は実際にこれが適用された
事例を知りませんし、裁判例も見当たりません。そこで、覚せい剤取締法の場合を参照すると、資金提
供罪は次のように説明されています。
「本条は、覚せい剤の輸入、輸出又は製造の予備罪の幇助に当たるような行為のうち、資金等の提供
等をする場合を独立罪として処罰するものである。したがって、被提供者について輸入等の予備罪が成
立する場合であって、提供等の被提供者に対する幇助行為が本条に当たるときは、提供者は被提供者の
輸入等の予備の幇助犯としてではなく、本条違反として重く処罰され、被提供者が輸入等の実行に着手
した場合には、提供者は輸入等の幇助犯として本条によるより重く処罰されることとなる。7」
大麻の栽培のケースに置き換えて、もう少しわかりやすくいい換えてみましょう。大麻の栽培に対す
る法定刑は 7 年以下の懲役、その予備罪は 3 年以下の懲役となっています。大麻の栽培に使われると知
っていて資金や種子を提供すれば栽培の幇助犯ですが、
栽培がまだ準備段階であって予備に当たる場合、
その幇助犯に対する処罰はごく軽いものになってしまいます。これを幇助犯としてではなく、資金等提
供の独立した罪とすることで、より重く処罰することが、この条項の趣旨なのです。栽培に着手した後
であれば、資金や種子の提供者は、栽培の幇助犯として、この条文より重い処罰を受けることになるの
で、資金等提供罪を適用せずに、栽培の幇助犯として処罰されることになります。つまりこの条文は、
栽培や輸入が準備段階で摘発されたような場合に、資金や種子の提供者をより厳重に処罰するために設
けられていると解釈されているのです。
こうした判断を示した裁判例として、
(覚せい剤輸入に関して)を紹介します。
「
(資金等提供罪の)規
定は、覚せい剤輸入者やその従犯に対する処罰だけでは覚せい剤の取締に実効が十分でないことにかん
がみ、右取締の強化を目的として追加されたものであるところ、その法定刑の長期及び短期がいずれも
同法 41 条所定の刑の半分にも達しないことを考慮すると、覚せい剤輸入罪の従犯に対する処罰に代え
て新設されたものではなく、これに付加して、たとえば被貸与者が輸入をなすに至らなかつた場合など
にも、資金貸与者を処罰することを定めた規定であると解すべきものである。
」
(昭和 52 年 11 月 15 日
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東京高裁判決)
⑶国連条約との関係
大麻取締法第 24 条の 6、資金等提供罪は、わが国が国連条約を批准したことによって、法に盛り込ま
れたものです。麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約がそれで、麻薬等の国際取引
に対する取締りを強化するために国連で採択されたものです。わが国は平成 4 年にこれを批准しました
が、その準備として、処罰範囲を拡大する改正が行われたものです。条約は、麻薬・向精神薬の生産や
販売、輸送などをすること、麻薬を生産するためにけし、コカ樹、大麻植物を栽培すること、また麻薬
又は向精神薬の不正な栽培、生産又は製造のためと知りながら資金等を提供することに対して、犯罪と
して対処するよう、締結国に求めているのです。
もちろん、この条約を締結する以前から、わが国では麻薬などを製造・販売することは犯罪とされて
いましたし、輸送などに手を貸す者は、共犯として厳しく罰せられてきました。しかし、資金や器具を
提供することを犯罪として扱うという点は、あいまいだったため、平成 2 年に新しい条文が追加され、
さらに平成 3 年にその意味を明確にするために、
「車両、設備、機械、器具又は原材料(大麻草の種子
)を提供し、又は運搬した」という具体的な記載がされたのです。
を含む。
「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約8
第3条
1 締約国は、自国の国内法により、故意に行われた次の行為を犯罪とするため、必要な措置をとる。
(a(i) 1961 年の条約、改正された 1961 年の条約又は 1971 年の条約の規定に違反して、麻薬又は
向精神薬を生産し、製造し、抽出し、製剤し、提供し、販売のために提供し、分配し、販売し、
交付(名目のいかんを問わない。
)し、仲介し、発送し、通過発送し、輸送し、輸入し又は輸出す
ること。
(ii) 1961 年の条約及び改正された 1961 年の条約の規定に違反して、
麻薬を生産するためにけし、
コカ樹又は大麻植物を栽培すること。
(iii) (i)に規定する行為のために麻薬又は向精神薬を所持し又は購入すること。
(iv) 麻薬又は向精神薬の不正な栽培、
生産又は製造のために用いられることを知りながら、
装置、
原料又は付表I若しくは付表 II に掲げる物質を製造し、輸送し又は分配すること。
(v) (i)から(iv)までに規定する犯罪を組織し若しくは管理し又はこれらの犯罪に資金を提供する
こと。
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問題
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つい
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第3、貿易管理における大麻の種子
1 輸入に関する規制
⑴貿易における大麻の種子
大麻の種子は、香辛料や鳥のえさの材料として使われますが、免許を持つ栽培者によって国内で栽培
される大麻の種子は厳格に管理されており、産業用に使われるものは、海外から輸入されています。平
成 19 年では、年間 1123 トンが輸入されました(中華人民共和国から 1122 トン、カナダから1トン9)
。
品別国別表 :検索結果
輸出入 輸入
品目
1207.99-010
年月
2007 年 12 月
表示件数 20
国
全対象指定
検索結果 2 件中、 1 ~2 件(1 /1 頁)を表示します。
単位:(1000 円)
当月
第1単位
累計
第2単位
第1数量 第2数量 価額 第1数量 第2数量 価額
合計
MT
50
3227
1123
90304
105 中華人民共和国
MT
50
3227
1122
87356
302 カナダ
MT
-
-
1
2948
Copyright(C) 財務省
財務省「貿易統計」より
大麻の種子は、大麻取締法が規制する大麻と密接な関係がありますが、この事情は、あへん法に定め
るけしと密接に関係するけしの種子についても同様です。産業用として外国から輸入する大麻の種子や
けしの種子が、わが国で不法な栽培に用いられることがないよう、外国との貿易において規制が設けら
れています。
なお、貿易管理においては、産業用に輸入されるけしの種子、大麻草の種子は「けしの実」
、
「大麻の
実」として表示されますので、以下でも主にその呼称を用います。
⑵輸入の承認
外国との取引は原則自由とされていますが、わが国経済の健全な発展に役立つことを目的として、対外
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取引に必要最低限の管理または調整が行われています。
外国との取引について定めているのが、外国為替及び外国貿易法(昭和 24 年 12 月 1 日法律第 228 号)
で、その第 52 条は、
「外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るため、我が国が締結した条約その他の国
際約束を誠実に履行するため、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、又は第 10
条第 1 項の閣議決定を実施するため、貨物を輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、輸入の
承認を受ける義務を課せられることがある。
」とし、政令で定める場合には輸入の承認を受ける必要がある
ことを定めています。
輸入承認が必要な品目は、非自由化品目(一定量以上の輸入は国内に悪影響をもたらすと考えられる品
目。一部の水産物や大麻など)および国際協定規制品目(ワシントン条約、モントリオール条約等に関す
る品目)などがあり、輸入公表 1 号において発表され、規制されています。このうち、けしの実、大麻の
実については、通関時に熱処理等によって発芽不能の処理を施したものであることを証する書類を税関に
提出すれば、輸入承認の手続きをしなくても輸入することができるとされています10。
具体的には、次の①~③の規制が行われています。
①経済産業大臣による輸入割当および輸入の承認。
割当品目は決められた輸入金額や輸入数量を超えて輸入することはできません。
②特定の原産地、船積地域からの特定貨物について経済産業大臣等による輸入の承認。
特定の原産地等からの特定貨物とは、輸入公表 2 号にて発表されるもので、特定の原産地または船積み
地域からの特定品目に対して、事前に承認を必要とするものです。
③経済産業大臣等、あるいは税関が行う確認。
確認は、上記①を補完するものとして条約等国際約束の履行、国内法の実効性担保、輸入の監視ために
設けられているものです。確認品目は、事前に所轄担当大臣の許可を得る(ウラン触媒など)事前確認品
目と、税関を通過する際に税関が確認する放射性同位元素、けしの実および大麻の実など通関時確認品目
があります。
2、けしの実および大麻の実の通関手続
⑴昭和 40 年の輸入公表の一部改正
現行の貿易管理では、けしの実、大麻の実の輸入について、加熱等による発芽不能処理を施した証明
書を税関に提出することを義務付けていますが、この制度が導入されたのは昭和 40 年です。同年 8 月
16 日通商産業省告示第 426 号をもって、輸入公表の一部が改正されましたが、改正内容にけしの実、
大麻の実に関する規定も盛り込まれました。
「けしの実および大麻の実については、熱処理等によって発
芽不能の処理を施したものであることを証する書類(当該陸揚港を管轄する地区麻薬取締官事務所が発
行したものに限る。
)
」を通関時に税関に提出することを義務付けることとされました。
⑵発芽不能処理と証明書の交付
けしの実、大麻の実が加熱処理等によって発芽不能処理を施したものであることを証明する機関は、
地区麻薬取締官事務所(現在の地方厚生局麻薬取締部)に限るとされています。そこで、同年 9 月には、
各地区麻薬取締官事務所に対して、証明の手続きを定める通知が発せられました。
「輸入のけし、大麻種子の取扱について」
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昭和 40 年 9 月 15 日 薬発第 708 号
各地区麻薬取締官事務所長宛 厚生省薬務局長
けし、大麻の不正栽培防止のため、昭和 40 年 8 月 16 日通商産業省告示第 426 号をもって別
添のとおり輸入公表の一部が改正されけし又は大麻の実(あへん法又は大麻取締法の種子をい
う。
)について、通関の際発芽不能の処理を施させることとし、地区麻薬取締官事務所長(分室
長)発行の証明書を添付しなければならないこととされたので通知する。
よって、証明書の交付等の取り扱いについては、当該輸入港の税関と密接な連絡をとり、先に
より処理されたい。
記
1 通関前に熱処理又は薫蒸の処理済証明書を交付するもの
⑴ 通関前に熱処理又は薫蒸の処理ができる場合は、輸入しようとする者から証明願(様式1)
を提出させ、麻薬取締官立会のうえ熱処理又は薫蒸を行わせ、証明書(様式 2)を交付する
こと。
⑵ 輸出国にて熱処理又は薫蒸の処理済の証明書がある場合は、輸入しようとする者から証明
願(様式 1‐2)及び同証明書を提出させ、証明書(様式 2)を交付すること。
2 条件付で通関させ、通関後処理させるもの
通関時に熱処理又は薫蒸ができないことについて止むを得ない事情がある場合は、輸入しよ
うとする者から証明願(様式3)及び誓約書を提出させ、証明書(様式4)を交付し、通関後
麻薬取締官立会のうえその処理を行わせること。
3 前2項により証明書を交付したときは、その写を1部麻薬第1課へ送付すること。
3、違反者に対する処罰
⑴輸入の申告と許可
貨物の輸出入について税関手続について定めるのが関税法で、その第 67 条は、貨物を輸出入しよう
とする者は、その貨物の品名、数量、価格などを申告し、必要な検査を経て、輸出入の許可を受けなけ
ればならないと定めています。
関税法 (昭和二十九年四月二日法律第六十一号)
第 67 条
貨物を輸出し、又は輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、当該
貨物の品名並びに数量及び価格(輸入貨物(特例申告貨物にあつては、関税暫定措置法第 8 条
の 2 第 1 項第 2 号(特恵関税等)に規定する特定鉱工業産品等であつて同項の規定の適用を受
けるものその他政令で定める規定の適用を受けるものに限る。
)については、課税標準となるべ
き数量及び価格)その他必要な事項を税関長に申告し、貨物につき必要な検査を経て、その許
可を受けなければならない。
関税法は、
関税収入の確保と共に一切の貨物の輸出および輸入に関する規制を目的とした法律であり、
その規制手段として、貨物の輸出および輸入については、すべて所定の事項を税関長に申告し、必要な
検査を経て、その許可を受けなければならないことを定めています。つまり関税法は、一切の輸出入貨
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物は必ず税関という関門を通るように定め、そこでこれを点検し、貨物の不法な輸出または輸入を阻止
することとしているわけです。ここでいう輸出や輸入には、商取引としての大量の輸出入だけでなく、
旅行客が携帯品として持ち込む少量の品物も含まれます。
私がしばしば付き合うのは、禁制品の輸入について罰則を定めた関税法第 109 条で、麻薬や覚せい剤
などの密輸入事件では、関税法違反についても同時に起訴されることが通例となっているので、この条
文には頻繁に出会うことになります。
大麻そのものは禁制品ですから、
禁を犯して外国から持ち込めば、
関税法第 109 条違反となります。
大麻の種子は禁制品ではありませんが、
「通関時確認品目」として前述の手続きを踏んで輸入するよう
規定されています。正当な手続きを経て輸入される大麻の種子は、当然、発芽しないわけですから、市
販されている発芽能力のある大麻の種子は、何らかの不正手段を用いて、輸入の許可を得ないでわが国
に持ち込まれていることになります。
⑵無許可輸入
輸入の許可を得ないで、品物を外国からわが国に輸入することは、関税法に違反する行為として、罰
則をもって禁じられています。関税法第 111 条は無許可輸出入・虚偽申告事犯に対する罰則を定めたも
のです。第 67 条で定めた許可を受けることなく貨物を輸出入する行為、偽った申告若しくは証明をし、
又は偽った書類を提出して輸出入する行為をした者に対して、
「5年以下の懲役若しくは 500 万円以下
の罰金に処し、又はこれを併科する。
」と規定しています。
第 111 条
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは 500 万円以下の罰金
に処し、又はこれを併科する。
1.第 67 条(輸出又は輸入の許可)
(第 75 条において準用する場合を含む。次号及び次項に
おいて同じ。
)の許可を受けるべき貨物について当該許可を受けないで当該貨物を輸出(本邦か
ら外国に向けて行う外国貨物(仮に陸揚げされた貨物を除く。
)の積戻しを含む。次号及び次項
において同じ。
)し、又は輸入した者
2.第 67 条の申告又は検査に際し、偽つた申告若しくは証明をし、又は偽つた書類を提出し
て貨物を輸出し、又は輸入した者
2 第 67 条の申告又は検査に際し通関業者の偽つた申告若しくは証明又は偽つた書類の提出に
より貨物を輸出し、
又は輸入することとなつた場合における当該行為をした通関業者についても、
また前項の例による。
3 前2項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、これらの項の例による。
4 第1項又は第2項の罪を犯す目的をもつてその予備をした者は、3年以下の懲役若しくは
300 万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
⑶無許可輸出入の事例
そもそも、関税法違反の事件はそう多いものではありません。司法統計年報11によれば、平成 18 年に
全国の地方裁判所が審理して終結した関税法違反事件の被告人は 39 人。そのなかで目だつのが 109 条の
禁制品の輸入・輸出に関するもの、つまりけん銃や薬物の密輸入事犯です。そのほか関税法違反の態様に
は、110 条の関税ほ脱罪(偽りその他不正の行為により関税を免れる行為等)
、111 条が規定する無許可輸
出入・虚偽申告罪、112 条の関税贓物罪(犯罪に係る貨物について情を知ってこれを運搬、保管、取得す
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る行為等)などがありますが、こうした事件はごく少なく、私は経験したことがありません。
警察庁
による「平成 18 年の犯罪」には関税法違反の適条別装置人員が記載されていますが、平成 18 年では無許
可輸出入・虚偽申告での送致は 6 人12でした。なお、関税法違反事件の多くは、通関手続きの際に違反が
発覚したものを検察庁に告発する形をとるため、警察の統計が必ずしも全体をカバーするわけではありま
せん。
《最近の報道から無許可輸入の検挙例》
●無許可輸入:偽造用カード 5,009 枚を 中国人船員を起訴--地検豊橋支部/愛知
名古屋地検豊橋支部は、クレジットカードを偽造するためのプラスチック製カード 5,009 枚を無許
可で輸入したとして中国人船員を関税法違反の罪で名古屋地裁豊橋支部へ起訴した。
起訴状によると、被告と中国人船長の2人は、蒲郡市の三河港蒲郡ふ頭に停泊中の貨物船から、カ
ード 5009 枚を名古屋税関豊橋税関支署長の許可を得ずに輸入した。蒲郡海上保安署が被告と船長を
関税法違反容疑で逮捕したが、船長は起訴猶予となった。カードには名前など個人情報は入力されて
いなかったが、クレジット会社5社の名称が入っており、外見は本物そっくり。被告らは約 30 キロ
のカードをリュックサックなど二つに分け、ふ頭のフェンス越しに外で待っていた人物に投げて渡そ
うとしたところを同保安署などに見つかった。
(毎日新聞 2008 年 6 月 27 日 地方版)
●大麻種子の密輸入事件を告発(平成 20 年 4 月 4 日発表)
中部空港税関支署は、平成 20 年 2 月 14 日、オランダ王国から中部国際空港に入国した日本人夫婦
が身辺に隠し持って密輸入しようとした大麻種子 1,031 粒を摘発し、関税法違反嫌疑で平成 20 年 4
月 4 日、名古屋地方検察庁豊橋支部に告発した。
1 犯則物件
大麻種子
1,031 粒(正味重量 17.275 グラム)
2 事件の概要
犯則嫌疑者である夫と妻は、共謀の上、平成 20 年 2 月 14 日(木)
、オランダ王国から中部国
際空港に到着した際、妻が大麻種子 1,031 粒を着用中の服内に隠し持って密輸入しようとした
が、当支署職員の携帯品検査により、発見されたものである。
(名古屋税関ホームページ・摘発
事例より) http://www.customs.go.jp/nagoya/mituyu/tekihatu/index.htm
《裁判例から》
平成 14 年に興味深い事件の判決がありました。事件は、輸入制限のあるフロン 12 を代替フロンであ
ると偽って輸入したという関税法違反事件で、
被告人のうち主犯の3 名は懲役2 年及び罰金100 万円に、
仕入れ交渉を手伝った 1 名に懲役1年6月及び罰金80万円に処されました13。事例の少ないこの種事
件で、ひとつの目安になると思います。
当時、オゾン層を破壊すると指摘されたフロン 12 に対して世界的な規制がとられ、わが国でも限ら
れた医療機器に用いる目的以外での輸入は事実上できず、専らカーエアコンの冷媒として使用されてい
たフロン 12 に代わって、いわゆる代替フロンが使用されるようになりました。ところが古い型のカー
エアコンにはフロン 12 を充填する必要があり、フロン 12 は常時品薄状態で、1 缶当たり 3000 円程度
の高値で取引されていました。被告人らは、中国から仕入れたフロン 12 を代替フロンとして無許可輸
入する手筈を整え、平成 12 年 8 月から平成 13 年 5 月まで合計9回にわたりフロン 12 を大量に無許可
輸入して、国内で販売したものです。
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第4、管理意識の立ち遅れ
1、国際的な問題としての大麻種子
⑴大麻の種子に対する法規制
実は、大麻の種子が半ば公然と販売されているのは、わが国だけの問題ではありません。世界のほと
んどの国は、大麻の所持や栽培にを違法として取り締まっていますが、規制対象に種子を含む場合と、
わが国のように種子を除外する場合があります。
たとえば、連合王国(英国)では、わが国と同じように、種子は規制対象から除外されています。と
ころがアメリカ合衆国(連邦)では、法文上は、大麻の種子は基本的に大麻として規制対象となってい
ます。除外されているのは、成熟した茎とその製品、発芽不能処理をした種子とその製品です。
Title 21 United States Code (USC)
Controlled Substances Act
Section 802. Definitions
(16) The term "marihuana" means all parts of the plant Cannabis sativa L., whether growing
or not; the seeds thereof; the resin extracted from any part of such plant; and every compound,
manufacture, salt, derivative, mixture, or preparation of such plant, its seeds or resin. Such
term does not include the mature stalks of such plant, fiber produced from such stalks, oil or
cake made from the seeds of such plant, any other compound, manufacture, salt, derivative,
mixture, or preparation of such mature stalks (except the resin extracted therefrom), fiber, oil,
or cake, or the sterilized seed of such plant which is incapable of germination.
USC タイトル 21
物質規正法
セクション 802 定義
(16)マリファナとは、生育しているか否かを問わずカンナビス・サティヴァ・エル植物のあらゆ
る部分:その種子、いかなる部分であれその植物から抽出された樹脂、その植物のあらゆる化合
物、製品、塩、派生物、混合物、調製品、その種子または樹脂をいう。この用語には、その植物
の成熟した茎、
その茎から製造された繊維、
その植物の種子から製造された油脂及び固形油脂
(?)
、
その成熟した茎の化合物、製品、塩、派生物、混合物、調製品(それから抽出された樹脂を除く。
)
、
繊維、油脂、固形油脂(?)又は発芽しないよう処理されたその植物の種子は含まれない。
オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、ロシアなどがアメリカと同様に、大麻の種子を
原則的に規制対象としているようです。ただし、私は主要国の規正法を体系的に調べたわけでは
なく、英国や米国などいくつかの例を簡単に見ているに過ぎないので、実は、大麻の種子に対す
る各国の規制について、明確な発言をするだけの確信が、いまはありません。この点については、
引き続き研究してみるつもりです。
⑵大麻の種子の販売ビジネス
世界のあらゆる場所に、シードバンクと呼ばれる大麻の種子の販売業者が存在しています。そもそ
もシードバンクというのは、とくに大麻と関係したものでなく、在来種の保存や普及などで行われる
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システムです。ブリーダー(栽培者)とのネットワークで運営されるもので、栽培者がシードバンク
から種子を借りて栽培し、再び種子をつけたら、採取された種子の一部をシードバンクに返すという
ものです。欧米で大麻栽培が広まり始めた初期には、地域内のネットワークによって種子を保存し、
普及させようという動きがあり、本来の意味でのシードバンクが普及の中核を担ってきたのでしょう。
しかし現在、大麻のシードバンクと呼ばれているのは、ほとんど、大麻の種子及び関連商品を販売
する業者です。大麻愛好者向けのインターネット情報に、シードバンクのタイプを紹介しているもの
がありました。どこまで信頼性のあるものかわかりませんが、それによれば、世界中にあるシードバ
ンクは4つのタイプに分類されるということです。
第1は店舗販売とウェブ・ビジネスをあわせて行う小売業者で、独自の栽培者ネットワークを持つ。
第2のタイプは初心者向け、フェミナイズドなど特徴のあるものを多様なルートからの仕入れて販売
し、規格や発送方法などに工夫して買いやすさ、選びやすさをアピールするもの。第 3 は提携型で、
購入できるサイトに顧客を誘導することで手数料を得るもの。第4は栽培兼販売を行う会社で、独自
に大麻を栽培し、その種子を直接販売するもの。
大麻の種子を扱うシードバンクは、表面上は、合法なビジネスをしているように見えます。彼らの
多くは、医療用途や個人的使用などの条件下で小規模な大麻栽培を容認する何らかの施策が行われて
いる国や州に活動拠点を置き、その国の法制度で規制外とされている大麻の種子や、関連雑貨を販売
しています。大麻そのものは販売しません。大麻のシードバンクがもっとも集中しているのはオラン
ダであり、この国がとってきた大麻に対する寛容政策の下で発生したビジネスであるといってよいで
しょう。最近では、イギリスやカナダに本拠を置くものも目に付きます。
こうした業者は、インターネットや雑誌などを通じて世界中で宣伝していますが、必ず「大麻の栽
培は違法です。
」また「大麻の種子を購入することが違法となっている国がありますのでご注意くださ
い」といった断り書きが掲載されています。また「当社からの発送品には、社名やなどは入っていま
せん」
「発送品の外観についてはお教えできません」という記載もあります。さらに、販売者の住所を
表示しているものはごくわずかです。そういえばこの販売手法は、脱法ドラッグで横行したものと共
通しています。実際、シードバンクとして紹介されている販売業者のなかには、植物系を中心とする
脱法ドラッグを取り扱っているものもみられます。シードバンクと呼ばれる販売業者も、その実態は
千差万別のようです。
ともあれ、こうした業者が世界中に無数に存在し、個人顧客を対象に世界規模で大麻の種子を通信
販売しているのが現状なのです。
2、個人輸入の水際でのメッセージ
いわゆるシードバンクが販売する大麻の種子は、1 粒当たり数百円から、人気品種に関しては千円
以上。代表的な販売単位は 10 粒、種子自体の重量は 1 グラム未満です。たしかに、個人的に少量を
隠して持ち込むなら、税関でそれを発見することは困難かもしれません。しかし、大麻の種子を外国
から持ち込む若者のなかには、そもそも、不法行為という意識をほとんど持たずにいる例をみかけま
す。
外国から帰国する時に税関で手荷物検査を受けますが、検査場の周辺には、日本への持込みが禁止
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されている品物のリストや注意書きがいろいろ掲示されています。外国人向けには、数ヶ国語の質問
カードも用意されています。しかし、大麻の種子について注意書きをみかけた記憶がないのです。
税関ホームページで確認してみました14。入国(帰国)時に税関に提出するのが「携帯品・別送品
申告書」ですが、そこには次のような注意事項が記載されています。
《注意事項》
海外で購入したもの、預かってきたものなど日本に持ち込む携帯品・別送品については、
税関に申告し、必要な検査を受ける必要があります。申告漏れ、偽りの申告などの不正な行
為がありますと、処罰されることがありますので注意してください。
日本への持ち込みが禁止されている主なもの
・麻薬、向精神薬、大麻、あへん、覚せい剤、MDMA など
・けん銃等の銃砲、これらの銃砲弾やけん銃部品
・紙幣、貨幣、有価証券、クレジットカードなどの偽造品
・わいせつ雑誌・わいせつDVD、児童ポルノなど
・偽ブランド品、海賊版などの知的財産侵害物品
・ダイナマイトなどの爆発物や火薬、化学兵器の原材料
日本への持ち込みが制限されている主なもの
・猟銃、空気銃及び日本刀などの刀剣類
・ワシントン条約により輸入が制限されている動植物及びその製品(ワニ・ヘビ・リクガ
メ・象牙・じゃ香・サボテン等)
・事前に検疫確認が必要な生きた動植物、肉製品(ソーセージ・ジャーキー類を含む。
)
、
野菜、果物、米など
・医薬品、化粧品など(数量に限度があります。
)
大麻の種子・けしの種子は日本への持込みが制限されている品物のはずですが、表示の中に見当た
りません。たしかに、他のものと比べて、不法な持込みによる侵害の度合いは低いといえるかもしれ
ませんが、不法に持ち込まれた種子が大量に、高額で販売されているという現下の情勢を考えると、
ここでの表示がないことは、あまりに片手落ちといわざるをえません。
なお、上記は 2008 年 7 月 5 日現在で税関ホームページに掲載されている内容です。その後、財務
省の担当者に確認したところ、現在は掲示がされているということです。
3、不正大麻・けし取締りの意識
毎年、5月、6月ころに厚生労働省と都道府県が主催して「不正大麻・けし撲滅運動が実施されてい
ます。平成 20 年度は、5 月 1 日から 6 月 30 日までの 2 ヶ月にわたって、広報活動などが行われました。
わが国での不正大麻・けし問題の多くは、山野に自生する大麻や、栽培種に混じって気づかずに栽培
されているけしであり、
乱用される前に除去することを中心に啓発活動が行われてきたように思います。
近年では、乱用目的での大麻栽培に対する警戒意識が盛り込まれていますが、本稿で述べてきたような
状況を敏感に反映したものとは、とてもいえません。
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大麻の種子と栽培
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ちなみに、平成 20 年度の同運動実施要綱では、
実施の目的を次のように説明しています。
「大麻・け
しに係る事犯の発生は、関係機関の努力にもかかわ
らず依然として後を絶たない現状にあり、これらの
事犯の発生を防止するためには、不正栽培事犯の発
見に努めるとともに、犯罪予防の観点から、自生す
る大麻・けしを一掃することが重要である15。
」ま
た、同運動の一環として「正しい知識」の普
及のために、ポス
ターやパンフレットが作成され、配布されています。平成 20 年版の
ものがインターネットに掲載されていますが、これもまた同様の感覚
で作成されています。
平成 20 年度不正大麻・けし撲滅運動関連資材
ポスター http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/04/dl/h0425-1a.pdf
パンフレット http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/04/dl/h0425-1b.pdf
4、脱法ドラッグでの教訓
大麻栽培のステージは、人気のない原野から、都会のマンションの 1 室にシフトし始めています。室
内栽培に特化した種子が供給され、室内栽培を効率よく行うための装置が供給されていることで、状況
は刻々と変化しつつあるのです。
大麻の種子の問題を考えるとき、私は頻繁に脱法ドラッグ問題でのことを思い出します。販売業者が
掲げる「合法」といううたい文句が広まるに連れ、青少年の間に「合法」→「安全」という誤解が蔓延
し、乱用による悲惨な事件や事故が多発するなかで、薬物管理に携わるオーソリティからは何のメッセ
ージも発せられませんでした。ようやく事態が動き出したとき、それまで我が物顔でふるまっていた販
売業者たちが、いっせいに、インターネットのサイトを閉鎖し、販売店からは商品が消えました。
大麻の種子の場合もまた、発芽能力のある大麻の種子をわが国に輸入することには明らかに問題があ
るにもかかわらず、販売業者たちは「合法」をうたってきました。ところが、平成 19 年末ころ、たま
たま大麻の栽培事例がクローズアップされ、
大麻の種子を販売する業者の存在が話題になり、
一部では、
業者の摘発も行われました。この時点で、すでに、国内の大麻の種子の販売サイトのいくつかは活動を
中断し、小売店での種子の販売も現象しています。脱法ビジネスの多くは、行政がほんの少し管理の姿
勢を示すだけで、敏感に反応するものなのです。行政の無言は、黙認の意思表示と受け取られてしまっ
ています。
薬物管理行政においては、繰り返し、
「正しい知識の普及」がいわれてきました。大麻栽培の様相が変
化し始めているいまこそ、広報活動を展開して、乱用の拡大に歯止めをかけることが必要だと痛感して
います。
以 上
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大
大麻
麻の
の種
種子
子と
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栽培
培の
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問題
題に
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つい
いて
て
出典
ONDCP PRESS RELEASE:April 25, 2007
吉 澤 政 夫ほか「外部形態及び簡易な化学的検査による大麻草の鑑別」Ann. Rep. Tokyo Metr.
Inst.P.H., 57, 127-132, 2006
3 古田佑紀ほか「大麻取締法」13 頁、古田佑紀ほか編『大コメンタール薬物五法』青林書院(1996)
4 昭和 33 年 6 月 17 日最高裁決定(あへん法違反被告事件)
5 植村立郎
「大麻取締法」
99 頁、
平野龍一ほか編
『注解特別刑法第5-Ⅱ巻医事・薬事編⑵』
青林書院
(1992)
6 前 3 掲書同頁
7 古田佑紀ほか「覚せい剤取締法」247 頁、古田佑紀ほか編『大コメンタール薬物五法』青林書院、
(1996)
8 平成4年8月 28 日条約第6号
9 財務省貿易統計 品別国別表 http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm
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「輸入割当てを受けるべき貨物の品目、輸入について許可を受けるべき貨物の原産地または船積地域
その他貨物の輸入について必要な事項の公表を行なう等の件」
(昭和41 年 4 月30 日通商産業省告示第170
号)
最高裁判所事務総局編『司法統計年報 2 刑事編 平成 18 年度』法曹会(2007)
警察庁編『平成 18 年の犯罪』420 頁
13 福岡地方裁判所小倉支部平成 14 年 1 月 10 日判決
14 http://www.customs.go.jp/kaisei/youshiki/form_C/C5360r.pdf
15 平成 20 年度不正大麻・けし撲滅運動実施要綱
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http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/04/h0425-1a.html
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