分野 財務・会計 会社と役員間の無利息での金銭貸借の税務上の扱い Q 会 社 と 役 員 と の 間 の 金 銭 貸 借 を 無 利 息 で 行 っ た 場 合 、税 務 上 ど の よ う な 扱 い に なるのでしょうか。 A 同族会社では、社長等役員が会社に対して金銭を貸したり借りたりするのは よくある話です。その際、銀行等の第三者から借入をする場合と同じように、 金額、期間、利率、返済方法等を取り決めて履行していれば、税務上問題は 生じないでしょう。 しかし、現実には現金の貸し借りが先行し、利率や返済方法等の取り決めは 後手に廻って、決算期末を迎えてどうしようかということになるのが実態では ないでしょうか。 そこで、税務上の取扱いをみてみましょう。 1.会社が役員等に無利息(又は低利)で貸付けた場合 通常取得すべき利率で計算した利息の額と実際に徴収した利息の額との差額 に相当する金額は、経済的な利益の供与として給与課税されます(法基通9- 2 - 9 (7))。 「通常取得すべき利率」とは、会社が他から借入れて貸付けを行った場合には そ の 借 入 利 率 を 、 そ の 他 の 場 合 に は 貸 付 け を 行 っ た 日 の 属 す る 年 の 前 年 の 11 月 30 日 の 基 準 割 引 率 に 年 4 % の 利 率 を 加 算 し た 利 率( 現 在 は 年 4.3% )と さ れ て い ま す ( 所 基 通 36- 49)。 2.役員が会社に無利息(又は低利)で貸付けた場合 会社が無利息等の受贈益を認定されたとしても、支払利息と相殺になります から、税務上は所得金額が発生しません。 では、個人が無利息で貸付けた場合は、実現していない貸付金利息は雑所得 として申告すべきであると認定されるでしょうか。税の解説書では「認定され ない」との記述があり、その理由は個人は必ずしも経済合理性のみで行動して いる訳ではないからと説明されています。 今までは課税されていませんでしたが、特異なケースとして、会社代表者 が 関 係 会 社 に 対 し 3,450 億 円 の 無 利 息 貸 付 を し た そ の 利 息 を 認 定 課 税 し た も の が あ り ま す 。そ の 事 案 は 裁 判( 原 審:東 京 地 裁 平 成 9 年( 行 コ )70 号 )と な り 、 結 果 は 同 族 会 社 の 行 為 又 は 計 算 の 否 認 等 ( 所 法 157) と し て 利 息 認 定 さ れ 、 且 つ、過少申告加算税も賦課されました。原告は、税務解説書の「個人から法人 への無利息貸付けは課税されない」との見解をもとに、過少申告加算税の賦課 決 定 処 分 を 取 り 消 す べ き で あ る と 主 張 し ま し た が 、平 成 16 年 7 月 20 日 最 高 裁 判決において、過少申告加算税を取り消した高裁判決を破棄する判断が下され ました。
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