狭 監 発 第 7 5 号 平成24年10月26日 様 狭山市監査委員 増 田 万 吉

狭 監 発 第 7 5 号
平 成24年10月26日
様
狭山市監査委員
増 田
万 吉
狭山市監査委員
田 村
秀 二
狭山市職員措置請求書について(通知)
平成24年9月7日付けで提出された地方自治法(以下「法」という。)第242
条第1項の規定による監査請求について、請求内容を検討した結果を下記のとおり通
知します。
記
第1
請求の内容
本件措置請求の内容は、次のとおりであった。(以下、原文のまま掲載)
1
請求の要旨
契約課職員が公用車購入時に平等でない入札行為を行ったこと。
平成24年6月15日7台、7月27日1台(ホンダ)公用車購入時に特定会
社限定の入札を行ったのは、他のメーカーを締め出しての入札であり競争入札で
ない。
それにより、本来安くすべき購入価格が高くなってしまう。
会社指定の入札の取り止めを求める(今後の入札)。過払い金の市へ返還、市
民への謝罪を求める。
2
補正通知に対する回答
(以下、(1)を除き、原文のまま掲載)
1
(1)
返還請求すべきとする対象者については、狭山市職員措置請求書の11行目
に「狭山市長に」を加える。
(2)
過払い金の返還請求額又は過払い金が発生した理由については、別紙1に記
載ある「ホンダ車特定」(物品購入決裁書添付による)での競争入札(見積書
入札)は公平性を欠き、競争入札の目的の「安く」が追求されないし不法行為
である。
本田、トヨタ、日産、マツダ、三菱等の全メーカーでなく本田車のみの(他
メーカー排除しての)入札では価格が高くなる。そのため競争入札が行われる
のである。
本田車限定は不正入札である。
3
事実を証する書面(写し)
(1)
「私の提案」に対する回答4件
(2)
市所有車に対するホンダ車の割合及び新聞記事
4
請求人
住所
氏名
第2
請求の受理
本件措置請求については、法第242条の規定による所定の要件を具備してい
るものと認め、これを受理した。
第3
監査対象部局
総務部
契約課、財産管理課
長寿健康部 健康推進課
第4
請求人の証拠の提出及び陳述
請求人に対して法第242条第6項の規定に基づき、平成24年10月1日に
証拠の提出及び陳述の機会を与えた。
1
証拠の提出(写し)
(1)
物品購入決裁書
(2)
入札(見積)一覧表
(3)
購入車両仕様書
(4)
「私の提案」平成24年7月5日付け
(5)
「私の提案」についての回答平成24年7月31日付け
2
(6)
2
新聞記事
陳述
請求人の陳述及び陳述書の内容は、次のとおりであった。(以下、原文のまま
掲載)
「ホンダ」指名入札(別紙1-2)は他のメーカーを排除し、地元ホンダ車の
購入のためのものであり、決して競争入札と呼べるものではありません。
競争入札は情より理で行うものと考えています。
第5
関係職員の調査
平成24年10月1日に関係職員の出席を求め実施した。
第6
監査の結果
1
結論
請求人の本件措置請求のうち市民への謝罪の主張は要件を欠いて不適法であり、
これを却下し、公用車購入に係る会社指定の入札の取りやめ及び当該入札に係る
過払い金を市へ返還せよとの主張には理由がなく、措置の必要は認められないた
め、棄却する。
2
(1)
理由
本件措置請求に係る事実関係の概要
ア
財産管理課は、貸出車両(以下「公用車」という。)の老朽化に伴い、今
年度中に8台の車両を廃止するため、新規に公用車を購入することとした。
公用車の購入に当たっては、市内にある自動車製造会社の製品を購入する
ことにより、地域産業振興の視点から当市の公益に繋がるものと判断し、平
成24年4月23日付けでホンダ・ライフ4台及びホンダ・アクティバン3
台の購入に関する決裁を得ている。
また、物品購入決裁書及び上記車両を指定した購入車両仕様書により契約
課へ契約締結を依頼している。
契約課は、法、地方自治法施行令、狭山市契約規則等に基づき、ホンダ・
ライフ4台を2回の入札に分け、ホンダ・アクティバンの入札と併せ、合計
3回の入札を執行している。1回目の入札のホンダ・ライフ2台は、市に指
名競争入札参加業者登録をしている6者により、2回目の入札のホンダ・ラ
イフ2台は、同7者により、3回目の入札のホンダ・アクティバン3台は、
同13者により、平成24年6月15日に入札を実施している。
なお、落札した3者とは、平成24年6月18日に契約を締結している。
3
この結果、財産管理課は、平成24年8月24日、9月29日及び10月
10日に7台の公用車購入費として合計 7,496,762 円を支出負担行為兼支
出命令書により支出している。
イ
健康推進課は、業務に使用している公用車が購入後17年を経過して老朽
化が進んだことから、安全性を考慮し車両の更新をすることとした。
公用車の購入にあたっては、市内にある自動車製造会社の製品を購入する
ことにより、地域産業振興の視点から当市の公益に繋がるものと判断し、平
成24年6月19日付けでホンダ・アクティバン 1 台の購入に関する決裁を
得ている。
また、
物品購入決裁書及び上記車両を指定した購入車両仕様書により契約
課へ契約締結を依頼している。
契約課は、法、地方自治法施行令、狭山市契約規則等に基づき、上記車両
の入札を市に指名競争入札参加業者登録をしている6者により平成24年
7月27日に実施している。
なお、落札した者とは、平成24年7月30日に契約を締結している。
この結果、健康推進課は、平成24年10月15日に公用車購入費として
1,125,160 円を支出負担行為兼支出命令書により支出している。
(2)
監査委員の判断
ア
市民への謝罪の主張について
本件措置請求において請求人は、公用車購入時に平等でない入札行為を行
ったとして、市民への謝罪を求めているが、住民監査請求は、普通地方公共
団体の執行機関又は職員について、違法又は不当な公金の支出、契約締結等
の財務会計上の行為の防止や是正を図ることを目的とするものである。
よって、請求人の主張する市民への謝罪については、本件措置請求におい
て要件を具備しないものと判断する。
イ
公用車購入に係る会社指定の入札の取りやめ及び当該入札に係る過払い
金を市へ返還せよとの主張について
市は、従前より、工事の発注や物品の購入等に当たり、地域の業者育成や
産業振興の視点から、市内に事務所、営業所等を有する業者を優先して指名
を行ってきている。このことは、市の活性化を図り、住民の公益に資すると
いう考え方によるものと考えられる。
また、物品の購入にあたり、会社を指定しての入札等を禁止している法令
は存在せず、公用車の購入に限った場合、自動車製造会社の工場を有する自
治体において取り扱いは様々である。
このたびの会社を指定した公用車の購入は、前述の考え方等に基づき行わ
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れたものであるが、契約に当たっては、指名競争入札参加業者登録をしてい
る自動車販売業者が6者から13者参加し、法、地方自治法施行令、狭山市
契約規則等に基づき、競争入札を執行しており、公正な競争性は確保されて
いた。
次に、過払い金の市への返還についてであるが、請求人は、請求書及び陳
述において、本件契約行為に係る過払い金の金額を明確にできなかった。確
かに本件契約行為において、仮に会社の指定を行わず、他社の同様・同等車
種を購入したとしても、必ずしも車両価格が低くなるとは断定できず、過払
い金が発生したか否かは判断できない。むしろ会社を指定しているものの、
競争性を確保した入札を実施していることから、公用車は適正な価格で購入
できたものと考えることもできることから、本件契約行為は、違法又は不当
な行為により市に損害を与えているとは断定できない。
もとより、住民監査請求の対象となる行為等は、地方公共団体に積極消極の
損害を与えひいては住民全体の利益に反するものでなければならないとされ
ている(平成6年9月8日最高裁判決(行ツ)第97号)。このことから、請
求人が求めている公用車購入に係る会社指定の入札の取りやめ及び当該入札
に係る過払い金を市へ返還せよとの主張については理由がないと判断した。
以上のことから「1 結論」のとおり判断する。
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