pdf

リンク構造とディレクトリ構造を用いた複数文書の受動的視聴
服 部 多 栄 子y
灘 本 明 代yy
沢
田
夫y
己yy
中 郁
中 克
我々はこれまで,Web コンテンツを TV 番組形式に変換して視聴者が Watch and Listen 型イン
タフェースを通して受動的に Web コンテンツを視聴する手法についての提案を行ってきた.本稿で
は,リンク構造とディレクトリ構造に着目し,複数文書からの番組化について,HTML 文書を TV
番組形式へ自動的に変換する手法と,番組化コンテンツ作成のためのスクリプト作成マークアップ言
語 Scripting-XML(S-XML) での記述方法の2つのアプローチから述べる.以上の拡張によって,自
動変換ではフレーム機能を持った文書や Web サイト単位の番組化が,S-XML では文書作成者はも
ちろんのことユーザの意図をも反映した複数文書の番組化が可能となる.
Passive Web-Site Viewing Based on Link and Directory Structures
Taeko Hattoriy , Ikuo Sawanakay , Akiyo Nadamotoyy
and Katsumi Tanakayy
We have been developing a technique to translate HTML scripts into TV-program style contents in order to provide a passive browsing environment for Web contents. For this purpose,
in this paper, we propose a technique to translate plural Scripts into one TV-program style
contents by automatic transformation from HTML scripts and a new markup language called
Scripting-XML(S-XML), which facilitates to describe TV-program-like Web contents. These
extensions realize a more e ective translation from Web pages to TV-program and creation
of TV-program-like Web contents.
1.
示されていたコンテンツから,音声読み上げやキャラ
はじめに
クタアニメーションを用いて表現した番組を作成して
インターネットの発展に伴い,Web 上には種々の
見ることである.この実現により,Web 閲覧者は容易
情報が氾濫し膨大な情報量となっている.現在,Web
に
Web の情報を取得できるだけでなく,番組として
の閲覧環境は利用者に「読む」
「スクロールする」
「ク
楽しみながら視聴する事も可能である.以下,受動的
リックする」等の能動的な操作を要求する Read
視聴のための番組を作成することを番組化と呼ぶ.図
and
1 に Web コンテンツを番組化した例を示す.左側が
Web ブラウザでの Web コンテンツの表示で
Click 型インターフェースである.そのため多数クリッ
クして複数の Web ページを閲覧し,Web ページ内の
既存の
情報を読まなければならない.それらは利用者への負
あり,右側がそれを番組化した画面を示している.
担が大きく,Web 情報を簡便に取得できるとは言い
難い.そこで,我々は HTML 文書を自動的に TV 番
組のような番組風コンテンツに変換し,Web コンテ
ンツを Watch
and Listen 型インタフェースの受動的
視聴の可能となる方式で提供する手法を提案してき
た 1) .ここで,受動的視聴とは,テキストや画像で表
y
図
神戸大学大学院自然科学研究科情報知能工学専攻
1
Web
コンテンツの番組化
Division of Computer and Systems Engineering,Graduate
さらに,HTML では明示的に記述できない画像と台
School of Science and Technology, Kobe University
yy
神戸大学大学院自然科学研究科情報メディア科学専攻
詞の同期化領域の指定や,キャラクタの台詞や動き,カ
Division of Information and Media Sciences,Graduate
メラや照明,スタジオセット等の演出要素の付加を可能
School of Science and Technology, Kobe University
1
た上で記述するリンク機構と,S-XML 文書作成
とした,番組風コンテンツを作成するためのスクリプト
作成マークアップ言語,Scripting-XML(S-XML)
2) 3)
者のみに限らず複数文書を利用した番組を作成し
の提唱を行ってきた.S-XML は現在は
TVML4) と
HTML のみに対応しているが,それらに限らず図 2
たいユーザのための機構を提唱する.これによっ
に示すような各種同期化コンテンツ記述言語への適用
とした番組素材管理も可能となる.
て視聴環境に応じた番組の生成や,文書群を素材
も考慮した言語である.
2.
関連研究
情報を番組として呈示する基本概念は,Nonogaki5)
らにより FRIEND21 にて TV 番組メタファーとして
提唱されている.本研究で述べる番組化の基本概念は
この FRIEND21 にて提唱された TV 番組メタファー
図
2
S-XML
を基としている.
の出力形態
また,山口らの提唱する"WebStage"6) は,FRIEND21
自動変換と S-XML の位置付けを図 3 に示す.
にて提唱された TV 番組メタファを用いて Web 情報
を音声やキャラクタにより表現・呈示する方式を提案
している."WebStage"は本研究とコンセプトが似て
いるが,Web ページをセグメントに分け,そのセグ
メントごとに番組素材として提供するものである.そ
れゆえ,ディレクトリ構造やリンク構造を考慮して複
数文書の番組化を行う点や演出を踏まえて番組化する
点,Web 作成者が番組をも作成できるスクリプト作
成マークアップ言語を提唱している点が本研究とは異
なるものである.
Ananova7) は RealPlayer 上でニュース記事などを
図
3
読み上げるバーチャル・ニュースキャスターである.
Web
照明やカメラといった要素だけでなく,Ananova に与
の受動的視聴のアプローチ
える感情を XML タグで記述することができる.しか
我々はこれら上記の2通りのアプローチにより Web
し,単一記事のみに対応している上,ユーザやユーザ
情報の番組化を行ってきたが,リンク構造に関して
の視聴する環境に応じた番組の提供は行われていない.
その他,植田らの研究 8) ではスポーツ中継のテレビ
は1段階先の情報までを考慮に入れたものであった.
HTML 文書や XML 文書には,Web サイトのように
映像からシナリオテンプレートを使用してストーリー
一群やディレクトリ構造に意味を持つまとまりもある
性を重視したダイジェストの自動生成を提案している.
ため,我々は文書単位の番組化だけでなく,複数の文
テンプレートは自動的に決定されるため,ユーザの意
書をまとめて番組化を行う必要もあると考えた.そこ
見や好みを反映させることはできない.角谷らの提案
で,ディレクトリ構造やリンク構造を利用することに
する WebSkimming9) では Web サイトの各ページの
よって,複数文書から番組を生成する手法についての
リンク状態や内容に基づいた要約と提示するための
提案を行う.本稿では,Web コンテンツの自動番組変
演出の付加を行っている.しかし,視聴者が閲覧する
換と S-XML の2つのアプローチから複数文書の番組
ページの取捨選択をすることや途中で閲覧中の内容を
化について述べる.
変更することはできない.
ここで,Web 情報のユーザに対する個別化 (person-
自動番組変換
同一 Web サイト内のディレクトリ構造と複数ファ
alization),環境に対する適応化 (adaptation) の立場
イル間のリンク構造を利用して,Web サイト単位
から,関連研究と我々の研究の比較を行う.堀ら 10) は
での番組化の手法を提案する.これによって,フ
ユーザの環境に応じた Web ページの提示方法を文書
レーム機能を持つ文書の自動番組化も可能となる.
作成者が指定する手法を提案している.これはコンテ
S-XML
ンツ作成者の意図を反映した
S-XML 文書作成者が複数文書の番組化を想定し
いる.清光ら
2
11)
adaptation を実現して
は文書作成者が容易にユーザに応じ
た
Web ページの提示を行うための手法を提案してい
取り入れた番組化であり,さらに,複数文書をまとめ
る.これは,コンテンツ作成者の意図を反映した per-
て1つの番組を生成する手法が必要であると考えた.
そこで 4 章では S-XML における複数文書による番
sonalization を実現している.我々はこれまで,ユー
組化のためのリンク機構の提唱を行い,5 章ではリン
ザの要望に応じた番組提示を行ってきた.これはユー
ザの嗜好や振舞いを反映させた
ク構造とディレクトリ構造による Web サイトの自動
personalization であ
る.しかし,番組化は personalization と adaptation
番組変換について述べる.
まず,リンク構造はそれの果たす意味的な役割から,
の両方の要素を含んでいるため,甲乙付け難い.さら
に,上記の2つの研究が能動的視聴環境における研究
大きく以下の2つの構造に分類することができる.
であるのに対して,受動的視聴環境における研究であ
(1)
論理構造
る.ゆえに今後,番組化の位置付けについて能動的受
リンクによって連結された文書間の意味的関係
動的も含めて整理する必要がある.
を示すものである.本稿では以下のように4つ
3.
に分類を行い,このようなリンクを論理的連結
番組化におけるリンクの扱いとリンク構造
の分類
リンクと定義する.
detail(詳細) リンク先は詳細文書.
summary(簡潔) リンク先は簡潔文書.
similar(類似) リンク先は類似文書.
di erent(相違) リンク先は主題の異なる文
我々がこれまで行ってきた Web 情報の番組化では,
リンク構造を以下のように利用してきた.
(1)
リンク先の情報としてリンク先文書のタイトル
をユーザに提示し,ユーザは HTML 文書を閲
書.
(2)
覧するときと同様に視聴している番組に続く候
補を選択してゆく 12) .(図 4 参照)
レイアウト構造
リンクによって連結された文書間の時系列的関
係を示すものである.本稿では以下のように2
つに分類を行い,このようなリンクを時系列的
連結リンクと定義する.
synchronize(同期)
リンク先はリンク元と同
時に見せたい文書.
order(順序)
リンク先はリンク元に続けて提
示されるべき文書.
図
(2)
4
4.
リンク先選択型の番組化
4.1
(1) のリンク先の情報としてタイトルだけでな
リンク構造の S-XML への適用
概
要
3 章で述べたように,これまで提唱してきた S-XML
く,リンク先文書で最初に登場する画像も取り
におけるリンク機構とは,リンク先の予告編を本編に
出し,ユーザが視聴している番組に続く候補と
挿入し,続きの番組はユーザが選択するものであった.
して提示する.S-XML では
しかし,各 S-XML 文書を番組の1シーンと考え,文
HTML 文書にお
書作成者に限らず,複数の S-XML 文書を組み合わせ
けるアンカー文字列の替わりにリンク先の予告
編を本編の番組に挿入する 2)3) .(図 5 参照)
て番組を作成したいユーザのためのリンク機構も必要
であると考えられる.そこで,我々はこれまで提唱し
てきたリンク機構に,XLink13) を用いて複数の文書
の関連付けを行うためのリンク機能を追加し,ばらば
らに存在する S-XML 文書をシリアライズして1つの
番組を生成する手法についての提案を行う.本章では
以下の2つのリンク機構について述べる.
S-XML 文書作成者の意図を反映させて文書を関
図
5
自動変換と
S-XML
連付け,番組化するためのリンク機構
のリンク先の情報の挿入例
番組で使用したい複数の S-XML 文書を指定する
だけで,S-XML 文書作成者に限らずあらゆるユー
即ち,我々のアプローチは1段階先の情報の一部を
3
4.3 Web 番組化ディレクタのためのリンク機構
ザが独自の番組を作成することを可能とするリン
4.2 節では S-XML 文書作成者が作成した複数の文
ク機構
まず,3 章のように分類されるリンク構造を S-XML
書を番組化するためのリンク機構について述べたが,
のリンク構造に適用させる.S-XML 文書作成者の意
S-XML 文書作成者はもちろんのこと,文書作成には
図を反映させて文書を関連付け,番組化するためのリ
全く関わっていない人も複数の文書を組み合わせて番
ンク機構には論理的連結リンクと時系列的連結リンク
組化し,視聴したい場合もあると考えられる.そこで
を,文書作成者に限らず S-XML ファイル群を指定す
間的制約に応じた番組を動的に生成することが可能と
このようなユーザを Web 番組化ディレクタと定義し,
Web 番組化ディレクタのためのリンク機構を提案する.
このリンク機構は,XLink の行外拡張リンク機能を
利用して,番組のコンテンツとなる複数の S-XML 文
書に直接手を加えなくとも S-XML 文書同士を関連付
なる.各々について以下で詳細を述べる.
けるためのものである.番組化のためのコンテンツ識
るだけで番組化することを可能とするリンク機構には,
時系列的連結リンクを適用させる.これらのリンク機
構を提唱することにより,ユーザの視聴する環境や時
4.2
別系タグとスタイル系タグに対する位置付けを図 6 に
文書作成者のためのリンク機構
S-XML 文書作成者は1つの S-XML 文書で1つの
示す.Web 番組化ディレクタは番組のコンテンツを
番組を作成することができるが,複数文書を作成した
記述したファイルとは別のインデックスファイルに,
場合に明示的にそれらの意味的関係性をも示した上で,
番組で使用したい複数の文書を時系列的に列挙する.
まとめて1つの番組として提供したい場合もあると考
(図 7 参照)
えられる.そこで,文書作成者が意図的に複数文書を
まとめて番組化するためのリンク機構を提案する.
文書作成者のためのリンクタグ hlink は以下のよう
に定義する.
XLink の機能である,拡張リンク.
属性として,以下の3つを持つ.
href
role
ロケータ.リンク先のアドレスを指定.
リンク元文書とリンク先文書の論理的関係
で当てはまるものがあれば指定.
図
{ detail(詳細)
{ summary(簡潔)
{ similar(類似)
{ di erent(相違)
actuate 番組化して提示するときにリンク先
文書をユーザ受動型で提示したいか
6
番組化タグと
位置付け
Web
番組化ディレクタのためのリンクタグの
(auto),
ユーザ選択型で提示したいか (user) を指定.
ただし,デフォルトは auto である.
behavior 当てはまるものがあれば指定.
require リンク先はリンク元にとって必要.
synchro リンク先はリンク元と同時に提示.
p-synchro hlink タグを用いて1つ前に指
定したリンク先と同時に提示.
図
hlink タグを用いて指定された文書が複数あれば,
7
Web
番組化ディレクタによる複数文書の番組化
Web 番組化ディレクタのためのリンクタグ ilink は
指定された文書の順に番組化を行い,提示する.
role 属性使用方法については後述する.behavior 属
性で require が指定された場合,そのリンク先文書の
以下のように定義する.
XLink の機能である,行外拡張リンク.
属性として,以下の3つを持つ.
内容はリンク元文書を理解するために必要なものであ
href
role
るからリンク元文書を番組化する前に挿入する.
4
ロケータ.リンク先のアドレスを指定.
番組全体に対するその文書の果たす役割で
di erent(相違)
当てはまるものがあれば指定.
{ opening(序幕)
{ ending(終幕)
{ topic(主題)
{ detail(詳細)
{ intro(起)
{ development(承 )
{ turnstory(転)
{ conclusion(結 )
behavior ilink タグを用いて1つ前に指定した
リンク元文書の内容とリンク先文
書の内容を比較して,各々の文書から内容が大き
く異なる部分を抽出し,番組に利用.
これらを番組化を行いたいファイルとして指定され
た文書全体に対して適用する.
5.
Web
5.1
概
サイトの自動番組変換
要
3 章で述べたように,我々がこれまで行ってきた Web
文書から TV 番組形式への自動変換は,リンク先情
リンク先と同時に提示 (p-synchro)
報の一部を利用した番組化で複数文書の番組化ではな
ilink タグを用いて指定された文書が複数あれば,
い.つまり,ユーザは1ページを番組化する度にイン
タラクションが必要であり,Web の番組化で目標とし
指定された順に番組化を行い,提示する.
hlink タグの role 属性は文書間の論理的関係を指定
し,ilink タグの role 属性は番組のストーリー展開を
ている Watch
指定するものである.これらの属性が指定された場合
の手法を提案する.
and Listen 型のインタフェースとは言
い難い.そこで本章では Web のサイトの自動番組化
は,S-XML 文書から番組への変換を行う際のストー
Web サイトの番組化のように,複数文書を連続して
リー展開やシーンをつなぐ演出に利用する.例えば,
自動的に番組化を行う場合,以下の3通りのアプロー
Web 番組化ディレクタが図 8 のようにインデックス
ファイルを記述すれば,噺家風のプレゼンター BOB
の role 属性値に応じた台詞を,シーンのつなぎとして
チが考えられる.
ユーザ完全受動型の番組化 指定した
Web サイトの
ページ群を一定のアルゴリズムに従ってシリアラ
入れる.ここで,プレゼンターはキャラクタと1対1
イズする.ユーザは提供される番組を受動的に視
対応で予め用意しておき,それに合わせた照明,セッ
聴するのみ.
ユーザ選択型の番組化
トも用意しておく.
Web ブラウザで HTML 文書
を閲覧するように,各ページの番組が終了する度
にリンク先を選択し,視聴する.
リンク構造とディレクトリ構造に基づく番組化
Web
のリンク構造とディレクトリ構造を利用してチャ
ンネルを生成し,番組化を行う.
図
4.4
8
ユーザ完全受動型の番組化は,完全な受動型のイン
インデックスファイル記述例
タフェースとして利用できるが,ユーザが見たいとこ
視聴環境への適応化
ろを選択できないという問題点がある.その一方で
複数文書から番組化を行う際に,すべての情報を番
我々がこれまで行ってきたユーザ選択型の番組化は,
組化して視聴したいユーザばかりとは限らない.時間
視聴者が見たいページを選択し,番組化できるが,選
に余裕がなく複数の文書全体を要約した番組を視聴し
択肢が多すぎて受動的な視聴にならないという問題点
たいというユーザも存在すると考えられる.そこで,
がある.そこで,ディレクトリ構造とリンク構造をも
4.2 節で述べた hlink タグの role 属性を利用して,ユー
とにチャンネルを生成しユーザに選択肢として提供す
ザの時間的制約に応じて番組全体を要約する手法につ
ることで,最小限の選択操作でユーザが見たい番組を
いて述べる.以下に各属性値が与えられたときのリン
視聴することを可能とする,ディレクトリ構造とリン
ク元文書とリンク先文書の利用方法を示す.
ク構造に基づく番組化を本章では提案する.
detail(詳細)
5.2 Web サイト番組化のためのチャンネル作成
リンク先文書は省略し,リンク元文書
Web サイト内のディレクトリは内容的にまとまり
のみを番組化に利用.
summary(簡潔)
リンク元文書は省略し,リンク先
のあるファイル集合,リンク構造は進行順序を示すと
考えられる.そこで Web サイトのリンク構造をもと
文書のみを番組に利用.
similar(類似)
に,図 9 のようなリンクグラフを作成する.このリン
リンク元とリンク先の文書の内容を
クグラフから図 11 のような番組化用順序木を生成す
マージして主題となる部分を抽出し,番組に利用.
5
る.そこにディレクトリ構造を考慮したファイル集合
する場合はリンクLmnを除く.例えば図
であるチャンネルの概念を加え,図 10 のようなチャ
9の
L50である.
(3)
ンネル情報付き番組化用順序木を生成する.チャンネ
ルを用いることで,ユーザは Web サイトにおける番
ファイルの入次数が2以上の場合は,各々のリ
ンクに対して同ファイルをリンクに応じた数だ
組選択を容易に行うことが可能となる.ここで,Fn
け表記する.例えば図 9 において,L23とL1
はファイル,矢印LnmはファイルFnからファイルF
3からリンクが張られている,F3である.
以上の操作によって,図 11 のような番組化用順序
mへのリンクを表し,Cxはチャンネルを表している.
木が生成される.
図
9
リンクグラフ
図
5.3.2
11
番組化用順序木
チャンネルの生成と番組の提示
ディレクトリをもとに生成する,内容的にまとまり
のあるファイル集合から成る部分木をチャンネルと定
義する.チャンネルはディレクトリ構造をもとに生成
するため階層構造を持っている.あるチャンネルが別
のチャンネルの要素であるとき,それを親チャンネル
に対する子チャンネルと呼ぶ.
図
10
図 11 のような番組化用順序木においてディレクト
チャンネル情報付き番組化用順序木
リAがファイルF2,F3,F5を,ディレクトリBが
ディレクトリ1と残りのファイルを含んでいると仮定
する.以下にチャンネルの生成法を示す.
チャンネル情報付き番組化用順序木を用いると,フ
レーム構造を持った Web ページ群の自動番組化も可
(1)
能である.なぜならば,フレーム構造を持つ Web ペー
番組化用順序木において,同じディレクトリ内
のファイル集合をひとまとまりとしてグループ
ジ群は Web サイトと同様の方法でチャンネル情報付き
化する.このとき,グループ化したファイル集
番組化用順序木を作成可能であるためである.ただし,
合の部分木が連結していない場合は,さらにそ
フレーム構成情報のページは番組化の対象にしない.
れぞれを別々のグループとする.これは図
5.3 手
順
5.3.1 番組化用順序木の生成
10
の実線で囲まれたC1,C11,C12に当たる.
(2)
まず,Web サイト内のファイルのリンク構造を表
あるチャンネルの要素として,チャンネルとチャ
ンネル化されていないファイル集合が混在する
した,図 9 のようなリンクグラフを作成する.次に以
場合,チャンネル化されていないファイル集合
下の方法で番組化用順序木を生成する.ここで,番組
をひとまとまりと捉え,1つのグループとする.
化用順序木の先頭ファイルは Web サイトのトップの
それに対してさらに(1)と同様の操作を行う.
これは図 10 の点線で囲まれたC13に当たる.
ページである.
(1)
(2)
1つのファイル内で複数のファイルにリンクし
以上の操作によってグループ化されたファイル集合
ている場合は,そのファイル内で先にリンクし
から成る部分木をチャンネルとし,生成されたチャン
ているファイルを左側に置く.
ネル情報付き番組化順序木を図 10 に示す.
ファイルFnからファイルFmへの歩道 が存在
* 有向グラフの歩道は
n
v0 v1 ; v1 v2 ; v
有限系列である.この系列を v0 ! v1 !
とが多く,v0 から vn への歩道という
1 vn の形をした弧の
6
n
! v
と書くこ
そして,チャンネルの要素であるファイル集合を縦
番組の概要,詳細
型探索でシリアライズする.ただし,チャンネル内で
親から子に向かう木の本数がそのファイルの特性
一度出てきたファイルは二度目以降は番組に使用しな
を示していると捉え,その数によってファイルを
い.このようにしてユーザが選択した1つのチャンネ
以下の種類に分類する.
{
{
{
ルから生成された番組をユーザに提示する.
5.4
インタフェース
チャンネルを用いた番組の選択方式について述べる.
本数2以上のファイル
分岐ファイル
本数1のファイル
経路ファイル
本数0のファイル
枝ファイル
ここで,検討するのは階層構造をもったチャンネルを
ここで,分岐ファイルの集合はチャンネル全体の
いかに容易にユーザに選択させるかである.
概要を,経路・枝ファイルの集合はチャンネル個
12 に示す.コント
別の内容を表していると考えられるので,これを
上),選択したチャンネルに関連するチャンネルの紹
この他に,ユーザのアクセス履歴を用いた動的チャ
コントローラのイメージ図を図
ローラは,選択したチャンネルの紹介提示部 (図中左
用いて概要,詳細チャンネルを生成する.
介提示部 (図中左下),チャンネル選択部 (図中右) か
ンネル生成方法が考えられる.
ら成る.関連するチャンネルとは,選択したチャンネ
5.5.2
ルの親チャンネル,子チャンネル,同じ親チャンネル
多チャンネルからの動的チャンネルの生成は,チャ
を持つ同階層のチャンネルの3種類であり,ユーザは
ンネル同士の関係によって番組に使用されるファイル
どれか1つを選択する.チャンネルの紹介には各チャ
や,それらのシリアライズの順序が異なる.例えば,
多チャンネルからの動的チャンネル生成
ンネルに含まれる要素ファイルの画像と文書の一部を
ユーザが2つのチャンネルCA,CBを7:3の割合で
利用する.また,関連チャンネル提示部は一定の時間
視聴したい場合,CBは視聴要望がより多いCAに関
毎に,各チャンネルの番組化順に提示するファイルが
連した内容が選択される必要がある.選択されたファ
切り替わる.チャンネル内の最後のファイルまで紹介
イルをシリアライズする際は,CBの各要素ファイル
が終わると,先頭のファイルに戻り番組紹介を繰り返
をCAの関連の深い要素ファイルの後ろに挿入する.
す.これによって,ユーザは番組を見ながら他のチャ
6.
ンネルの内容を容易に把握する事ができる.
システムの実装
本稿で提唱したリンク機構を用いて,複数の S-XML
文書から生成した番組全体の流れを図 13 に示す.
indexLab.xml(図中左上) で,Web 番組化ディレク
タのためのリンクである ilink タグを用いて番組化し
図
5.5
12
たい複数文書を指定した.そのリンク先である eventLab.xml と travelLab.xml(図中右上) では,文書作成
者のためのリンクである hlink タグを用いて各々に続
コントローラ画面イメージ
けて番組化したい複数文書を指定した.これらの文書
を縦型探索によってシリアライズする.その結果を図
中央に示した.ilink タグの属性として
動的チャンネルの生成
role が指定さ
前節までに述べたチャンネルは静的チャンネルであっ
れた場合はリンク先を提示する前に演出を付加するた
た.そこで,本節ではユーザの時間的制約や視聴要望
め,opening と ending のシーンが追加されている.そ
して,番組途中の 5 つの場面を図下部に示した.
に応じた動的チャンネル生成方法について述べる.
5.5.1
1チャンネルからの動的チャンネル生成
7.
ユーザの番組全体に対する視聴したい割合の指定
おわりに
本稿では複数文書の番組化について,HTML 文書か
や,番組全体の詳細内容や概要の提示要望に応じて動
ら TV 番組形式への自動変換と,スクリプト作成マー
的チャンネルを生成する.これによって時間的制約に
クアップ言語 S-XML での記述方法の2つのアプロー
応じた番組提示も可能となる.
チから述べた.自動変換では Web サイト内のディレ
番組全体に対する視聴したい割合の指定
元のチャンネルから横型探索で,ユーザの視聴し
クトリ構造とファイル間のリンク構造を利用すること
たい割合のファイルを動的チャンネルの要素とし
によって,Web サイト単位やマルチフレーム機能を
持った文書の番組化が,S-XML ではリンクの持つ意
て選択する.
7
次処理の研究」(プロジェクト番号 JSPS-RFTF97P00501)
によっています.また,本研究の一部は,次世代情報システ
ム研究所 (株) の委託研究の援助を受けています.ここに記
して謝意を表します.
参
考
文 献
1) Katsumi Tanaka, Akiyo Nadamoto, Machiko
Kusahara, Taeko Hattori, Hiroyuki Kondo, and
Kazutoshi Sumiya. Back to the TV:Information
Visualization Interfaces Based on TV-Program
Metaphors. Proc. IEEE International Conference
on Multimedia and Expo 2000, New York, pp.12291232, July-Aug 2000.
2) 服部 多栄子,沢中 郁夫,灘本 明代,田中 克己.Web
図
13
の受動的視聴のための同期化可能領域の発見と番組化
用マークアップ言語 S-XML,情報処理学会研究報告,
Vol.2000,No.44,2000-DBS-121-2,pp.9-16,2000
年 5 月.
3) 灘本 明代,服部 多栄子,近藤 宏行,沢中 郁夫,田中
克己.Web コンテンツの受動的視聴のための自動変換
とスクリプト作成マークアップ言語,情報処理学会論文
誌:データベース (TOD8),2000 年 12 月 (掲載予定).
4) NHK 放送技術研究所: TVML ホームページ.
http://www.strl.nhk.or.jp/TVML/indexj.html
5) Hajime Nonogaki, and Hirotada Ueda. FRIEND21
project:A Construction of 21st Century Human Interface. CHI'91 ACM Press , pp.407-414, 1991.
6) Tomoharu Yamaguchi, Itaru Hosomi, and Toshiaki Miyashita. WebStage:An Active Media Enhanced World Wide Web Browser. CHI'97 ACM
Press 1997.
7) Ananova. http://www.ananova.com/
8) 植田 和憲,鎌原 淳三,下條 真司,宮原 秀夫.シナリ
複数文書による番組化全体の流れ図
味を考慮し,拡張を行うことによって,文書作成者は
もちろんのこと,独自の番組を作成したいユーザの意
図をも反映した複数文書の番組化が可能となった.
本システムを利用することにより,文書作成者に限
らず複数の S-XML 文書から独自の番組を作成するこ
とが可能であり,これは即ち personalization である.
現段階では hlink タグは
オテンプレートによるストーリー性を重視したダイジェ
スト生成機構, 情報処理学会研究報告, Vol.99, No.61
99-DBS-119-24, 1999 年 7 月.
9) 角谷 和俊,正賀 信寛,上原 邦昭.WebSkimming:
WWW ページ群の動的要約による閲覧支援,電子情報
通信学会データ工学ワークショップ(DEWS'2000)論
文集,2000.
actuate の属性値が auto の
みに対応可能なシステムである.しかし今後の発展と
して,actuate の属性値が
user であれば,ユーザが
次の番組として見たいリンク先を選択できる,更なる
personalization
の実現や,role 属性を利用して,例
えばユーザが番組を
10) M.Hori, G.Kondoh, K.Ono, S.Hirose, and S.Singhal.
Annotation-Based Web Content Transcoding,
WWW9 Conference, Amsterdam, May 2000.
11) H.Kiyomitsu, A.Takeuchi, K.Tanaka. Web Reconguration by Spatio-Temporal Page Personalization Rules Based on Access Histories, Proc. of
Int. Symp. Applications and the Internet (SAINT
2001), IEEE Press, Janually 2001 (to appear).
12) 服部 多栄子,角谷 和俊,灘本 明代,草原 真知子,田
中 克己.番組メタファーによる Web ページの利用者適
応型呈示方式,情報処理学会研究報告,Vol.99,No.61,
99-DBS-119-69,pp.413-418,1999 年 7 月.
13) XLink. http://www.w3.org/TR/xlink/
14) Qiang Ma, Hiroyuki Kondo, Kazutoshi Sumiya,
Katsumi Tanaka. Virtual Channel:A Filtering,Merging
and Presenting Internet Broadcasting Channels,
Proc. the Workshop on Organizing Web Space
(WOWS'99) in conjunction with ACM Digital Libraries, Berkeley,CA, Aug.1999.
3 分に要約して見たいといった,
時間的制約に応じた adaptation の実現も考えている.
さらに,インデックスファイルを利用して複数文書を
素材とした番組を作成するためには,ilink タグを用
いて明示的にリンク先文書のファイル名を指定する必
要があるが,S-XML 用の検索エンジンに対して問合
せを行い,その結果得られた文書群を素材とした自動
的な番組生成についても考えている.その他今後の課
題として,adaptation や personalization を含めたシ
ステムの充実,検索エンジンへの問合せ結果の番組へ
の利用について考察する必要がある.
謝
辞
本研究の一部は,日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業
における研究プロジェクト「マルチメディア・コンテンツの高
8