オーディオ実験室収載 音律の再生能力による再生装置の評価実験(7) ―ケーブルを替えたリマスタリング― 1.目的 株式会社インフラノイズは、「純正律で演奏された録音を用いて聞き比べた時に演奏 の内容や音質の好みの違いなどの違いで判断が左右されることなくケーブルの再生 能力の優秀性が確認できる」と主張しています。 この記述の検証を行うために、ケーブルを替えてディジタル音楽ファイルのリマスタ リングを行い、ケーブルの特性がリマスタリングしたディジタル音楽ファイルにどの ように反映されるかを比較します。 2.実験方法 2-1)使用ケーブル ケーブルを替えてリマスタリングを行います。リマスタリングの詳細は実験計画を 参照のこと。 ① ルート A インフラノイズ社のケーブル使用 ②ルート B オーディオ誌上で定評のある有名メーカーのケーブル使用 ③ルート C 一部の Jazz オーディオフアンに支持されているケーブル使用 2-2)使用音源 同一曲の異なる楽器による演奏とホールトーンの識別用音源をリマスタリングの 対象ファイルとして選択し、リマスタリングルートを比較します。リマスタリング したファイルは東芝の SSD ネットブック PC の内蔵 SSD からルート A により VUPlayer で再生しました。 ① 田中千香士編著「ヴァイオリンの名器と名曲」(ナツメ社)付録 CD ② CD マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団ワーグナー歌劇・楽劇 序曲集 ③アンネ・ゾフィー・オッター/コンチェルトコペンハーゲン「バッハ」マタイ受 難曲より「憐れんでください。」 3.評価結果 ルート A インフラノイズ社のケーブルを使用してリマスタリングを行った場合、ル ート B オーディオ誌上で定評のある有名メーカーのケーブルを使用してリマスタリ ングを行った場合、およびルート C 一部の Jazz オーディオフアンに支持されている ケーブルを使用してリマスタリングを行った場合の三つをリマスタリング前と比較 した結果です。このリマスタリングでは、USB-101 や RMS-1000 の整音効果や CRV-555 と ABS-7777 によるクロック制御の効果を期待するものであり、それらの 間のケーブルは期待される効果を減じないかどうかを見ることにあります。 予備実験では、CRV-555 と DAC-1 の接続だけにインフラノイズの BNC ケーブルを 使用し、リマスタリングによる大きな効果を認めましたが、今回ケーブルを増やした ために再生系そのもののグレードが上がったので、全体の再生レベルが向上し、リマ スタリングルートの差が予備実験よりは出にくくなってしまいました。 それでも、ルート A のインフラノイズ社のケーブルを使用してリマスタリングを行 った場合は明らかに音のディテールが増してリマスタリング前より音楽表現が豊か になります。即ち、USB-101 や RMS-1000 の整音効果や CRV-555 と ABS-7777 に よるクロック制御の効果をケーブルが減じていないと言えます。 ルート B のオーディオ誌上で定評のある有名メーカーのケーブルを使用してリマス タリングを行った場合はリマスタリング効果がそれほど発揮されません。USB-101 や RMS-1000 の整音効果や CRV-555 と ABS-7777 によるクロック制御の効果をケー ブルが幾分チャラにしているように感じます。 また、ルート C の一部の Jazz オーディオフアンに支持されているケーブルを使用し てリマスタリングを行った場合は、音の緻密さがなくなり、むしろ音質劣化が認めら れます。即ち、USB-101 や RMS-1000 の整音効果や CRV-555 と ABS-7777 による クロック制御の効果をケーブルの伝送で却って駄目にしているように思います。 4.まとめ インフラノイズ社のケーブルを使用してリマスタリングを行った場合は、USB-101 や RMS-1000 の整音効果や CRV-555 と ABS-7777 によるクロック制御の効果をケー ブルが減じることなく、 リマスタリングにより音楽の表情が豊かになることが分かり ました。 以上
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