地域包括支援センター実態調査報告書 平成 23 年 11 月 14 日 医療法人葵会 チームもりおか ●調査の概要 (1) 調査目的 ・地域における包括的・継続的な在宅医療提供の推進のため「在宅医療連携拠点事業所チームもりおか」の 位置づけを探る。 ・地域包括支援センターの運営・業務について、在宅医療・介護連携の実態を把握する。 ・在宅医療連携拠点事業において盛岡地区の在宅医療・介護連携の課題解決のための支援策を検討する基礎資 料とする。 (2) 実施主体 ・医療法人葵会 在宅医療連携拠点事業所チームもりおか (3) 調査対象 ・盛岡地区の地域包括支援センター 7か所(平成 23 年 8 月末設置数) ・回答者は、3 職種 (4) 調査方法 ・聞き取り調査(面談形式) ・実施主体職員が、各センターを訪問して行う。 ・調査時間 およそ 1 時間 (5) 調査実施期間 ・平成 23 年 10 月 1 日~10 月 31 日 ・上記期間内で、各センターの希望の日時に訪問・実施 (6)調査内容(概要) ・地域包括支援センターの基本情報 ・圏域の人口構成 ・総合相談業務 ・業務上の課題 ・休日夜間対応 ・運営上の課題 ・多職種連携上の課題 ・緊急対応 ・その他 *下線の項目に関しては、平成 22 年度包括支援センター相談実績報告書等で調査済み (7)事前準備 ・前年度の事業報告書にて、概要調査 ・事業報告書は、盛岡市役所担当課に提出を依頼した。 ・平成 23 年 9 月 7 日の在宅医療連携拠点事業ワーキング委員会で調査内容を検討 ●調査結果について (1) 在宅医療・介護連携の課題解決のための支援策を検討する基礎資料とします。 (2) 平成 23 年度厚生労働省委託事業報告書の資料として厚生労働省に提出します。 (3) 必要に応じて、関係行政機関・関係事業所・その他に開示することがあります。 ●まとめにおける補足説明 *( )内は、調査実施主体による補足説明。 *本報告書のセンター名はアルファベット表記とした。 1 ●地域包括支援センター事業報告書と聞き取りによる調査結果 1:地域包括支援センターの基本情報 (1) 設置主体 地域包括支援センター名 設置主体 A地域包括支援センター 医療法人 B地域包括支援センター 医療法人 C地域包括支援センター 社会福祉法人 D地域包括支援センター 社会福祉法人 E地域包括支援センター 社会福祉法人 F地域包括支援センター 社会福祉法人 G地域包括支援センター 医療生活協同組合 (2)圏域の人口と高齢化率 (単位:人) 地域包括支援センター名 人口 高齢者人口 特定高齢者人口 高齢化率 A地域包括支援センター 39,477 7,859 201 19.9% B地域包括支援センター 12,961 3,536 108 27.3% C地域包括支援センター 40,705 9,521 147 23.4% D地域包括支援センター 51,838 11,818 244 22.8% E地域包括支援センター 46,925 10,171 252 21.7% F地域包括支援センター 50,811 11,218 335 22.1% G地域包括支援センター 49,164 8,902 213 18.1% 合計 291,881 63,025 1,500 21.6% (3)包括支援センター職員数 地域包括支援センター名 保健師 社会福祉士 主任介護支援専門員 その他 A地域包括支援センター 1 1 1 2 B地域包括支援センター 1 1 1 1 C地域包括支援センター 1 1 1 1 D地域包括支援センター 1 1 1 1 E地域包括支援センター 1 1 1 1 F地域包括支援センター 1 1 1 1 G地域包括支援センター 1 1 1 1 ★7 か所すべてのセンターで、3 職種以外に主に介護予防支援を担当するケアマネージャーを配置している。 2 (4)24 時間対応・休日対応 地域包括支援センター名 24 時間対応 24 時間対応方法 休日開所 A地域包括支援センター あり 携帯電話に転送 なし B地域包括支援センター あり 携帯電話に転送 土曜日午前 C地域包括支援センター あり 携帯電話に転送 土曜日午前 D地域包括支援センター あり 携帯電話に転送 なし E地域包括支援センター あり 携帯電話に転送 土曜日午前 F地域包括支援センター あり 携帯電話に転送 土曜日午前 G地域包括支援センター あり 携帯電話に転送 土曜日午前 ★7 か所すべてのセンターで、携帯電話に転送する方法を用いて 24 時間の対応が可能。 ★5 か所のセンターで、土曜日午前中の開所を行っている。 ▼聞き取り調査によるコメント 夜間・休日対応の主な内容/件数など <夜間・休日の相談件数> ・休日の相談件数 約 30 件/月 ・平日 18 時~6 時までの間の相談件数 102 件/年 <精神障がい者からの相談> ・精神障がい者からの電話対応(相談・傾聴) <緊急対応を要する相談> ・緊急のショートステイの依頼。 ・転倒して起きられない利用者からの連絡への対応。 ・担当利用者が警察に保護された。 ・担当地区の高齢者が救急搬送された時の身元の照会。 ・夜間、認知症らしき人がうろうろしている。 ・介護保険関係の緊急通報は少ない。 <その他> ・お盆・正月に、帰省した遠方に住む家族からの相談が多い。 2:総合相談業務 平成 22 年 4 月 1 日~平成 23 年 3 月 31 日 (1)総合相談内訳 地域包括支援センター名 総合相談実人数(人) 総合相談件数(件) 平均相談回数(回) A地域包括支援センター 711 1,069 1.50 B地域包括支援センター 529 1,741 3.29 C地域包括支援センター 476 896 1.88 D地域包括支援センター 977 1,573 1.61 E地域包括支援センター 1,013 3,290 3.25 F地域包括支援センター 936 1,437 1.53 G地域包括支援センター 954 2,100 2.20 5,596 12,106 2.16 合計 3 (2)相談方法および件数 包括支援センター名 1 相談方法及び件数 電話 来所 訪問 文書 A地域包括支援センター 285 106 658 0 B地域包括支援センター 184 60 1,465 C地域包括支援センター 571 61 D地域包括支援センター 753 103 合計 相談人員 20 1,069 412 (299) 5 27 1,741 281 (247) 225 1 38 896 350 (126) 669 6 42 1,573 626 (348) E地域包括支援センター 1,342 120 1,389 8 431 3,209 609 (404) F地域包括支援センター 709 209 459 3 57 1,437 667 (269) G地域包括支援センター 675 205 1,122 2 96 2,100 589 (365) 4,519 864 5,987 25 711 12,106 3,534 (1,811) 合 計 構成比(%) 37.3 7.14 49.5 その他 0.2 5.87 うち訪問人員 100.0 ▼聞き取り調査によるコメント 相談方法及び件数に関する内容 <相談への対応方法> ・交通の便が悪く外出する手段がない利用者が多いため、できるだけ訪問するようにしている。 ・電話相談があると、できるだけ訪問するようにしている。 <相談方法の変化> ・電話の相談が増え、来所の相談が減った。 <相談件数の集計方法> ・件数のカウント方法は、各センターで異なる。 ・介護予防支援も含めて件数をカウントしている。 ・介護予防支援は含めずに件数をカウントしている。 ・簡素な連絡は、カウントしていない。 ・電話や訪問が複数回あっても、ひとつのケースについては 1 件とカウントしている。 ・ひとつのケースでも、電話相談と訪問を行えば、それぞれカウントしている。 ・介護予防支援の件数を含む。予防支援を含め、相談・訪問等で関わればカウントする。 ・市の指導に基づいている。 ・1 件 1 件、相談のあったものすべてカウントしている。 ・地域包括支援センターができる前に、カウント方法を定めたことがあったが、 センターや市の職員が入れ替わり、その取り決めは忘れ去られている。 ・・同一事業所のデイサービス・ヘルパー、居宅ケアマネからの相談も件数に含めている。 <その他> ・パンフレットなどで目立つ位置に(自分の所属する)センター名があるので、電話がかかって きやすいと推測している。 4 (3)相談者別件数 2 相談者(経路)別件数 構成比(%) 合計 計 その他 合 近隣・ 援センター 10 22 8 8 8 2 1,069 192 1,428 42 3 0 1 12 15 10 2 34 1,714 896 知人など G地域包括支 0 行政 援センター 4 関係者 F地域包括支 介護サービス 援センター 事業所職員 E地域包括支 28 介護支援 援センター 762 専門員 D地域包括支 民生委員 援センター 相談協力員 C地域包括支 (その他) 援センター 相談協力員 B地域包括支 217 (民生委員) 援センター 関係機関 A地域包括支 本人 センター名 家族 包括支援 250 271 136 9 1 12 126 27 45 3 16 447 756 111 1 1 51 141 22 13 20 10 407 2,306 315 13 0 51 129 24 32 4 9 3,290 681 82 16 2 34 166 10 49 19 45 1,437 305 1,656 48 3 1 5 36 14 5 6 21 2,100 2,151 7,860 762 49 5 164 632 120 162 59 139 12,106 6.3 0.4 0.1 1.4 5.2 1.0 1.3 0.5 1.1 100.0 333 17.8 64.9 ▼聞き取り調査によるコメント 相談者別件数に関する内容 <相談者に関連すること> ・相談者は、本人が多い。 ・民生委員からの相談が多い理由は、情報提供をしてくれた民生委員に、進行状況や結果を報告 しているから。 <相談件数の変化> ・市民の認知度があがり、多数の相談が来るようになった。 ・相談件数が多くて困ることがある。 <行政関係> ・「市から包括支援センターに電話しなさいと言われて電話しました」と相談されたが、 相談内容が包括支援センターの業務ではないことがある。 5 1,573 (4) 相談内容内訳 相談内容区分 件数 構成比(%) 介護方法や介護の悩みに対する相談 732 2.4 精神及び認知症に関する相談 560 1.8 介護者及び家族に関する相談 279 0.9 医療に関する相談 622 2.0 介護保険制度に関する相談・説明 1,384 4.5 要介護認定に関する相談 1,741 5.7 ケアプラン作成に関する相談 2,336 7.6 介護サービスに関する相談 3,408 11.1 介護予防支援に関する相談 638 2.1 特定高齢者に関する相談 709 2.3 生活の支援に関する相談 2,488 8.1 312 1.0 39 0.1 健康づくりと保健事業に関する相談 149 0.5 施設入所に関する相談 798 2.6 福祉用具に関する相談 352 1.1 住宅改修に関する相談 264 0.9 諸制度に関する相談 116 0.4 苦情に関すること 45 0.1 年金・保険に関する相談 36 0.1 財産(土地・住宅等)に関する相談 39 0.1 100 0.3 22 0.1 困難事例に関する相談 437 1.4 高齢者虐待・権利擁護に関する相談 589 1.9 その他の相談 2,552 8.3 実態把握 9,881 32.3 30,638 100.0 介護予防・生きがい活動支援に関する相談 家族の介護に対する支援に関する相談 成年後見制度に関する相談 消費者被害に関する相談 合 計 ▼聞き取りによるコメント 医療に関する相談のカウント件数 <医療に関する相談> ・医療に関する相談は、介護方法や悩みに含まれることが多く、カウントされないことがある。 ・医療に関する相談 51 件/年 6 ●地域包括支援センター聞き取り調査結果 1:調査実施日 平成 23 年 10 月 12 日~平成 23 年 10 月 25 日 所要時間 60 分~90 分 平均所要時間 77 分 2:回答者の所属・職名 ●3 職種からの聞き取りを要請したが、業務の都合等で、1~2 職種からの聞き取りとなったセンターがある。 センター 回答者 A 主任介護支援専門員・保健師 B 主任介護支援専門員・保健師・社会福祉士 C 主任介護支援専門員 D 主任介護支援専門員・保健師 E 主任介護支援専門員 F 主任介護支援専門員・保健師・社会福祉士 G 主任介護支援専門員・保健師・社会福祉士 3:圏域の特徴と課題 圏域の特徴 A 課題 ・高齢化率が高い地域と低い地域がある。 ・地域との関係作りが難しい。 ・高齢化率の高い地域は、昔から地域のつながりがあった住 ・どのように行動してよいか分からない。 民が高齢化しているため、結びつきが強い。民生委員は 1 件 1 ・独自の地域づくりをしている地域では、「自 件の家庭状況を把握している。 分の地域のことは自分たちでやりたい」という ・区画整理が進んでいる地域では若い人が増えたため高齢化 意見がありセンターが介入するのは難しい。 率が下がっている。その地域では、地域の結びつきが弱くな ・センターの業務が市民に浸透していない。 B りマンション住民等は町内会に参加しない人が増えている。 ・市の委託事業ということも伝わっていない。 ・高齢化率が高く、高齢者のみの世帯が多い。 ・居宅が少なく、プラン作成ができない。 ・閉鎖的な地域・過疎地にいる高齢者が多い。 ・ケアマネージャーも不足している。 ・地域の結びつきが強い。 ・経済的に余裕がなく、サービスを受けられな ・農業に従事している人が多い。 い高齢者がいる。 ・介護保険申請件数が増えている。 ・遠隔地ではサービスが届かない地域がある。 ・サービス事業所数とサービス提供数の不足。 C ・担当区域が広い。・市街地と過疎地が混在している。 ・担当区域が広いため、移動に時間がかかり ・県営・市営アパートには、生活保護、低所得者、障がい者 効率が悪い。 のいる家庭が多い。 D ・独居、認知症の高齢者が多くなってきている。 ・サービス事業所の格差が大きい。 ・開業医が多い。 ・サービス事業所数が充実している地域とサー ビスが行き届かない地域がある。 7 E ・センターを中心とした、西と東で特徴が異なる。 <東> <東>・マンションが多くなり、地域とのつながりがない住 ・地域のつながりが弱い。 民の孤立が進んでいる。 ・大病院に近いことで、圏域に移り住む高齢者もいる。 F <西>・昔から住んでいる住民が多い。 <西> ・地域のつながりがあり住民の孤立化はあまり見られない。 ・虐待・困難ケースが多い。 ・地域・民生委員とセンターのつながりができている。 ・高齢者以外の障がい者、児童、医療を必要と ・地域会やサークルなど地域住民の参加が多い。 する住民とのネットワークが弱い。 ・持家の独居高齢者、老朽化した公営住宅に住んでいる高齢 者が多い。 ・戦後の引揚者が作り上げた町という意識。 G ・昔ながらの地域のつながりが残っている地区と、引っ越し <昔ながらの地域のつながりがある地区> てきた若い世代の多い地区がある。 ・何か起きた時、身内で解決しようとしてしま ・病院・開業医が多い。 う傾向がある。 ・スーパーが近くにない地域では、買い物難民 がいる。 <若い世代の多い地域> ・地域のつながりが弱い。 ・町内会の次の担い手がいない。 4:3職種の業務の状況 ▼主任介護支援専門員 主に担当する業務と業務上負担になっていること 主に担当する業務 A B 業務上の負担 ・困難事例の対応。 ・地域とのネットワーク作りがうまくできない。 ・ケアマネ支援。 ・医療機関とのネットワーク作りがうまくできない。 ・困難事例の対応。 ・なし ・ケアマネ支援。 *以前からのネットワークがあり結びつきが強い。 ・情報共有の場の設定。 ・職員すべてで分担しているので、主業務はなし。 C <全職種共通の業務上の負担> ・予防プランの作成。 *介護予防支援の件数は 180 件/年 2/3 を委託しているが、時間と人手がかかり、相談業 務に対応できる時間が少ない。 ・職員すべてで分担しているので、主業務はなし。 D <全職種共通の業務上の負担> ・困難ケース、虐待ケースの長期化。 *対応が長期化することで、職員の精神的な負担とな る。3~4 件/年 ・男性職員がいないこと。 *女性では、対応が難しい利用者の場合、大声・暴言・ 暴力(威嚇)の対応が困難。 8 ・行政の対応 *困難事例で、一緒に対応してほしいと依頼しても 「初期対応は地域包括で」という態度をとられ、なか なか動いてくれない。 E F ・困難ケース ・予防プランの作成 ・虐待ケース *180~190 件/年。70 件を委託している ・地域ネットワークの構築(研修会開催) ・困難ケースの複雑化。 ・地域づくり ・どこから手をつけて良いのかわからない。 ・ケアマネ支援 *独居高齢者のマップ作りをしたいという構想があ るが、マンパワー・スキルの不足・マップの更新など の問題があり踏み出せていない。 ・地域ネットワークづくり G ・介護予防プランの作成 ・ケアマネ支援 ▼保健師 主に担当する業務 業務上の負担 ・二次予防事業 ・7~10 月の特定高齢者検診の時期に 100 名前後の予防 A B プラン作成、特定高齢者の状況把握が集中する。 ・二次予防事業 ・特定高齢者訪問 ・なし ・職員すべてで分担しているので、主業務はなし。 C <全職種共通の業務上の負担> ・予防プランの作成。 *介護予防支援の件数は 180 件/年。2/3 を委託してい るが、時間と人手がかかり、相談業務に対応できる時 間が少ない。 ・職員すべてで分担しているので、主業務はなし。 D <全職種共通の業務上の負担> ・困難ケース、虐待ケースの長期化。 *対応が長期化することで、職員の精神的な負担とな る。3~4 件/年 ・男性職員がいないこと。 *女性では、対応が難しい利用者の場合、大声・暴言・ 暴力(威嚇)の対応が困難。 ・行政の対応 *困難事例で、一緒に対応してほしいと依頼しても 「初期対応は地域包括で」という態度をとられ、なか なか動いてくれない。 E F ・特定高齢者施策 ・特定高齢化施策を実施する施設が圏域にない。 ・介護予防教室 ・参加希望者が少ない。 ・二次予防業務 ・ノルマをこなすのに精いっぱい。 ・認知症サポーター養成講座 ・介護予防講座 9 G ・介護予防教室 ・介護予防プランの作成。 ・二次予防教室 ・二次予防事業の個別プラン作成。 ▼社会福祉士 主に担当する業 A 業務上の負担 ・成年後見人制度の対応 ・行政の対応が弱い・遅い。 ・虐待ケース *地域包括支援センターで、対応しきれないケースを 受けた時。 B ・虐待ケース ・なし ・消費者被害予防の啓発 *虐待対応は 2~3 名/年だが、地域が閉鎖的な傾向が ・権利擁護事業 あるため実数不明。 ・日常生活自立支援事業が 30 人待ちで使えない。 ・職員すべてで分担しているので、主業務はなし。 C <全職種共通の業務上の負担> ・予防プランの作成。 *介護予防支援の件数は 180 件/年 2/3 を委託しているが、時間と人手がかかり、相談業 務に対応できる時間が少ない。 ・職員すべてで分担しているので、主業務はなし。 D <全職種共通の業務上の負担> ・困難ケース、虐待ケースの長期化。 *対応が長期化することで、職員の精神的な負担とな る。3~4 件/年 ・男性職員がいないこと。 *女性では、対応が難しい利用者の場合、大声・暴言・ 暴力(威嚇)の対応が困難。 ・行政の対応 *困難事例で、一緒に対応してほしいと依頼しても 「初期対応は地域包括で」という態度をとられ、なか なか動いてくれない。 E F ・虐待ケース ・虐待などの困難ケースは、精神的負担が大きい。 ・権利擁護事業 ・事前情報が少ないケースへの対応の精神的負担。 ・成年後見人制度の対応 ・相談対応マニュアルはあるが実情に即していない。 ・成年後見人制度の対応 ・行政との連携が難しいこと。 ・困難事例 ・介護予防教室 G ・介護予防プランの作成。 ・権利擁護事業 ・虐待ケース 10 5:連携の状況と課題 連絡の頻度の高い関係機関 ・市役所高齢者支援室 A B *同一のシステムを使用 連絡の頻度の低い関係機関 ・医療機関 連絡を取る上での負担 ・特になし。 *外部と連絡を取りたがら ・民生委員協議会 ない体質がある。 ・圏域内ほとんどの介護事業所 ・行政 ・圏域内ほとんどの医療機関 *保健所、高齢者支援室 ・市役所が遠い。 ・2 回/年のサービス部会 ・1 回/3 カ月の地域連携会議 ・指定居宅介護支援事業所 C ・(センターの)業務が多く *困難ケースでの連絡 一つの相談に多くの時間が取れない。 ・医療相談室 ・時間をかけて、きめ細かい連携を取 *退院調整、サービス調整 りたいが、マンパワー不足で難しい。 ・介護サービス事業所 D ・なし ・思いつかない ・指定居宅介護支援事業所 ・大病院の医師との連絡。 *訪問サービス系の指示書依頼。 ・市役所高齢者支援室 ・主治医*盛岡市医師会作成の「主治 医・ケアマネ連絡票」を使用して、連 絡を密に取っている。 E F ・高齢者支援室・介護高齢福祉課 ・警察・司法・保健所 ・行政との連絡 ・消費生活センター *行方不明になった認知症 *困難ケースが複雑化してきている ・指定居宅介護支援事業所 利用者への対応が署によっ が、連絡がうまくいかない。 ・病院相談室 て違う。 ・行政間の連携が悪い。 ・開業医 ・複数の課(部)が関わった時に、主 ・民生委員 導がどちらになるのか曖昧。 ・市役所高齢者支援室 ・保健所 ・行政の担当課が縦割り。 ・指定居宅介護支援事業所 ・市障害福祉課 ・精神障がいの高齢者が増加してい ・市生活福祉課 る。 *相談事例をフィードバック ・民生委員 ・相談しても「担当課が違う」との対 ・医療相談室 応を受ける。次につないでくれない。 *入退院の報告など。 ・一緒に対応してほしい事例でも、お ・圏域の開業医 ・高齢者支援室・介護高齢福祉課 G 金を出すだけで動いてくれない。 ・保健所 ・相談をしても断られることがある。 ・生活福祉課 ・積極的に継続的に関わってほしい。 ・介護サービス事業所 ・相談室がない開業医との連携 ・指定居宅介護支援事業所 ・介護保険に理解のない医師との連携 ・病院連携室 ・民生委員 11 6:総合相談の状況 ●医療に関する相談の具体的内容 医療に関する相談の具体的内容 ・通院しているが、症状が良くならない。 A ・(症状があるが)受診したほうが良いか。 ・被害妄想で苦しんでいる。 ・要支援者の家族が精神障がい者。 B ・近所の方からの「(要支援者が)認知症ではないか」という相談。 *ほとんどが内科のかかりつけ医あり。医師に情報提供し、専門医へつなぐ。 ・依存症、妄想の精神障がい者が増加している。 C ・民生委員より、様子のおかしい高齢者がいると連絡あり。訪問すると熱中症だった。 ・本人に自覚のない認知症の疑いのある高齢者をどのようにして専門医につなげたらよいか。 D ・通院を拒む認知症の方を通院させる方法。 E ・末期がんの患者が介護認定を受けたが、要支援と判定され十分な介護サービスが受けられない。 ・申請から認定まで 1 カ月かかり、時間がない。 ・医療費の相談。抗がん剤が高価で払えない。 F ・精神障がい者がいるとの相談。*朝からアパートのすべてのドアを叩いて回る。 ・通院を拒否する独居高齢者がいるとの相談。 ・家族は、(要支援者を)認知症と思い受診させるが、かかりつけ医の診断は「加齢の範囲」。専門医につな がらない。 G ・ターミナルの利用者から、動けなくなったと連絡、入院の手配。 ●入退院に関する具体的内容 入退院に関する相談の具体的内容 A ・退院後の生活の相談。 B ・近隣病院に相談員がいないので、退院調整を行っている。 C ・療養型病床から退院するよう言われたが行き先がない。 ・退院日を決められたが、在宅での療養環境が整っていない。 D ・病院連携室で相談内容を検討しているようで、センターの事業内容に合った相談をしてくれるようになっ てきた。 E ・退院後の生活の相談*一度入院すれば、いつまでも入院できるという認識があるようだ。 F ・退院後の生活の相談。 ・独居高齢者の退院後の生活についての相談。 ・入院中に要介護認定を受けて要支援の判定となった利用者のケアプラン作成依頼。 G ・ターミナルの患者が在宅で過ごしたいという相談。 ・相談当日の午後に退院するので、サービス調整の依頼。 12 ●施設入退所に関する相談の具体的内容 施設入退所に関する相談の具体的内容 A ・入居(所)施設がみつからない。 ・退院後の入所施設の相談。 B ・在宅療養をしたいので退所相談。*数は少ないがまれにある。 ・農繁期、冬場、長期のショートステイの利用の相談。 ・医療依存度の高い利用者のショートステイ受け入れ先の相談。 C ・どのような施設があるかの問い合わせ。 ・料金、サービスが入所前の話と違うなど、退所の相談。 D ・医療依存度の高い高齢者の受け入れ先の相談。 E ・施設入所後の利用料金のトラブル相談。 ・退院後の入所施設の相談。 F ・退院後の入所施設の相談。 ・身体機能が低下して、グループホームを退所しなければならないが、次の施設がみつからない。 G ・親の介護が大変になった。入所できる施設を教えてほしい。 ・退院後の入所施設の相談。 ●困難事例に関する具体的内容 困難事例に関する相談の具体的内容 ・身寄りなし、他人を受け付けず、医療・サービスすべてを拒否する高齢者への対応の相談。 A ・独居、アルコール依存症、糖尿病でインシュリンの自己注射が必要な高齢者。入所可能な施設の相談。 ・皿が割れた、物を取られた。などヘルパーにクレームをつける家族への対応方法。 ・血縁でない、(高齢者)3 人が同居しているケースの生活支援方法についての相談。 B ・経済力がなく十分な医療、介護サービスが受けられないケースの相談。 C ・介護保険料を滞納、生活保護水準に達しない低所得者が介護保険サービスを利用できない。 ・宗教にのめりこんでいる息子に預金を引き出された。どうしたら良いか。 ・ケアマネージャーを変更したいとの相談。 D ・刑務所を出所してきた高齢者の対応。地域生活定着支援センターに相談した。 ・物取られ妄想の利用者への対応の相談。 E ・高額所得者の要支援者、経済的に自立していない息子や孫からの経済的虐待ケースの相談。 ・サービス事業所へ過大な要求をする家族への対応の相談。 F ・独居高齢者で、認知症、介護申請、成年後見人制度利用まで、4 年間かかっている。現在も継続中。 G ・身内がない独居のイタコ、弟子が生活を支えていたが、足が遠のいた。 13 ●総合相談業務で負担となっていること 総合相談業務で負担となっていること ・行政の対応が弱い。 A *包括支援センターでは対応しきれないケースを受けた時、市に相談しても対応が弱い。 ・介護保険認定申請のために(要支援者を)医療機関の受診につなげること。 B ・なし *ケースによっては 2 人対応をしたり、男性職員に同行してもらうことがある。 ・業務量が多い。 C ・相談者へのきめ細かい対応が出来ない。 *センターは、介護保険制度上 3,000~5,000 人に 1 か所、30 分圏域に配置となっているが、現状はまっ たく異なる。制度に無理がある。 ・相談すれば、すぐに解決してくれるという誤解がある。 D ・「何もしてくれない」と言われることがある。*相談者と一緒に解決していくもので、時間がかかり、 すぐに答えが出るものではない。 ・センターの職員は、特別な研修を受けているわけでなく指定居宅事業所のケアマネージャーと同資格。 相談者の理解が不足している。 ・指定居宅介護支援事業所から相談の合ったケースで、助言後に進捗状況の連絡がない。助言した責任 を感じているので、その後どうなっているか心配している。 E ・ワンストップを求められ、雑多な相談がある。 ・センターで対応できない相談が増えている。 F ・高齢者以外の対応。 *精神障がい者や、知的障がいの児童などの相談は、行政と連携が出来ず負担になっている。 G ・虐待の対応など「明日にも何か起きるのでは」という精神的不安・負担。 ・(相談に)センターのみで対応できるのかどうか、という迷い。 7:在宅医療連携拠点事業に求めること 在宅医療連携拠点事業(所)に求めること A ・医療との連携を中心とした、センターと拠点の業務が関わりあえる関係の構築(補填ではない) ・職能団体との連携窓口。 B ・スキルアップ研修の実施。 C ・相談窓口の役割の明確化。 *相談窓口が乱立している。地域住民はどこに相談したらいいのか迷うのではないか。 D ・医療ニーズの高い利用者の対応の相談窓口としての役割。 ・相談窓口が多いので、それぞれの役割を明確化して、その連携を構築してほしい。 E ・医療・介護の連携促進。 ・潤滑油の役割。 F ・医療・介護の連携促進。 ・顔の見える関係を持てるきっかけを作ってほしい。 G ・センターのつながりの場が必要。ネットワークを作ってほしい。 ・訪問診療をする医療機関の情報提供窓口。 14 8:その他 その他 A ・他のセンターとの連携が薄い。 ・行政との関係が薄い。 ・(圏域では)「困ったことはセンターへ」が浸透している。 B ・センターの活動を紹介する機関紙を 3 回/年発行。行政、医療機関に掲示してもらっている。 ・草取りや雪かきのシルバーメイト、ボランティアの不足。 ・地域包括支援センター同士のつながりがない。 ・(組織内での)異動があり、職員と地域の関わりの継続性が保たれない。 C ・なし ・センター同士のつながりがない。 D ・医療ニーズの高い利用者の対応などを検討できるセンター同士のネットワークが欲しい。 *市に何度も要望しているが、具体的な活動がない。 ・介護予防支援業務の負担が大きい。 ・救急搬送された利用者のケアマネが、病院から呼び出され、家族が到着するまでの付き添いを要求さ E れる。その間は無報酬。 ・センター同士のネットワークがない。 ・高齢者支援室を含めたネットワークの構築をしていかなければならない。 ・業務時間の 50%以上が介護予防プランに費やされる。 ・業務が繁忙なセンターとそうでないセンターの委託料が同じなのはおかしい。 ・地域の開業医との飲み会を開催している。 F ・地域福祉の担い手である社会福祉協議会の活動が少ない。もっと積極的に活動をしてほしい。 G ・地域のネットワークを作りたいが、介護予防プランの作成で忙しく、実際に動けていない。 15 ●地域包括支援センター実態調査のまとめ <盛岡地区 地域包括支援センターの状況と課題> ▼連携の状況 ①全体的に、指定居宅介護支援事業所、介護サービス事業所、民生委員、病院相談室、医療機関、市高齢者支援 室との連絡頻度は高い。 ②市高齢者支援室に関しては、同一のシステムを使用しているため、システム上の必要な項目(相談件数など) の連絡に用いているという回答が多くを占める。 ③連携の頻度の低い関係機関では、医療機関、保健所、高齢者支援室を除く行政担当課、警察関係をあげる センターが多い。 ④医療機関との連携では、非常にうまくいっているセンターと連携の取り方で困惑しているセンターに分かれる。 ⑤行政機関との連携では、行政間の連携が不十分で担当課にスムーズにつながらない、相談をしても断られる、 センターで解決するように言われる、と答えたセンターが多い。 ⑥すべてのセンターで、包括支援センター間の連携が薄い、または、ない と回答している。 ▼総合相談の状況 ①すべてのセンターで、相談件数・相談者数のカウント方法が統一されていないと回答している。 また、相談件数のカウントが少ないセンターにおいては、その件数が事業成績として評価されているのではな いか不安がある、と回答している。 ②医療に関する相談では、病状のこと、認知症の高齢者の医療機関受診、末期がんのケース、医療費の相談が多 いと答えたセンターが多い。 ③入退院に関する相談では入院の相談はほとんどなく、退院後の生活の相談が多くを占めると答えたセンターが 多い。 ④施設入退所に関する相談では、病院退院後の入所施設と医療依存度の高い利用者の受け入れ施設に関する相談 が多くを占める。また、入所した施設の利用料金・サービス内容への不満、理解不足などの相談もある。 ⑤困難事例に関する相談では、独居高齢者、利用者の家族、生活困窮者、利用者が認知症や精神障がい、宗教に 関係するもの、虐待 等を担当する居宅支援事業所のケアマネージャーからの相談が多く、センターの主任介 護支援専門員が主として、ケースにより保健師、社会福祉士または共同により対応されている。 ▼業務の状況 ①すべてのセンターで、予防給付ケアプランに関する業務に多くの時間が取られている。と回答している。 センターのうち 2 か所では、50%以上が予防給付ケアプランに関する業務と回答している。 ②困難事例のうち虐待、精神障がい者の関係するケースでは、相談から解決までの長期化、要支援者(被虐待者) の保護、要支援者の家族への対応などにおいて、担当するセンターの精神的負担・不安が大きいと回答してい る。また、ケースにより複数の職員での対応もあり、マンパワー不足も負担の増加につながっている。 ③すべてのセンターで、包括支援センターの業務に対する周囲の理解が不足していると答えている。 ④センターの主任介護支援専門員は、居宅介護支援事業所のケアマネージャーからの相談を受ける立場にあるが、 相談者の方が、さまざまな事例を経験している場合も多い。同様のことが、保健師・社会福祉士にも言える。 ▼在宅医療連携拠点事業に求めること ①(在宅)医療相談窓口の役割。 ② スキルアップ研修の実施主体の役割。 ③ 医療・介護の連携促進の役割。 16 <地域包括支援センターの課題とチームもりおかとの連携> ●地域包括支援センター(以下、センターと表記)の課題 センターの活動の基盤は「地域ネットワークの構築」であるが、そのために必要な専門職団体、関係機関との 連携が全体的にうまく機能していない。 センターで受けた相談事例を専門機関につなぐことができないという事象は、利用者の不利益になると共に、 相談を受けるセンター職員の精神的負担の増加、業務の煩雑化の原因となる。 また、相談件数・相談方法に関するカウント方法が統一されていないことで、センター職員は、事業成績にお いて自施設が不利益を受ける可能性を不安視している。 今回の聞き取り調査は、地域における包括的・継続的な在宅医療提供の推進のため「在宅医療連携拠点事業所 チームもりおか」の位置づけを探るものとして行ったものであるが、センターでは、在宅医療提供の推進とは異 なる課題も多く抱えていることが分かった。 ●地域包括支援センターの機能強化のために必要な取り組みと設置者に求められていること 取り組み 設置者に求められていること 1 センター同士の情報交換をはかる機会の設定 同職種連携への取り組み 2 市とセンターで使用する、システムの整備と相互確認 3 業務のバランスの適正化 定期的な機会の提供とスキルの保持 4 専門性の高い職員の確保及び研修会等による専門知識の向上と保持 のための取り組み 5 専門職団体、関係機関との連携促進のための取り組み。 各専門職を交えた、組織的なバック 6 乱立する相談窓口の整備 アップ体制の構築 ●チームもりおかの役割 今回の調査結果から、センターでは、医療連携の推進のための課題の他にも多くの課題を抱えていることが分 かった。 地域のネットワークの基盤であるセンターの機能が十分に発揮されないことは、盛岡地区の医療・介護・保健・ 福祉すべてにおいて住民の不利益を生ずる結果を生む。今後の超高齢化社会を見据え、センターの機能強化は必 要不可欠なものとなる。 チームもりおかで、すでに取り組んでいる各種研修会・勉強会などはセンター職員の知識の向上、質の保持に 一定の効果を生むと考えられる。研修会の開催は、地域包括・在宅介護支援センター協議会・盛岡地区介護支援 専門員協議会と共催で行っていることもあり、センター職員へ周知されつつある。 平成 23 年 6 月に、一般向けと医療・介護従事者向けの「在宅医療・介護相談窓口」を開設している。平成 23 年 10 月末までで、センターのケアマネからの相談は 1 件のみだが、センターのケアマネに教えてもらったとい う居宅支援事業所のケアマネからの相談が数件(いずれも困難ケース)ある。相談窓口の周知については、ホー ムページ、事業案内の配布、事業所の看板で行っている。事業所は、大病院の目の前に位置しており、人の往来 も多いのだが一般の方の相談はない。一般の方向けの相談窓口は数えきれないほどあり、受診行動の取れる方、 必要な支援を訴えることのできる方にとっては、センターを始め、病院相談室、居宅支援事業所など受け皿はた くさんあり、活用されているのではないかと推測される。 地域において、(医療の)問題を抱える高齢者、要支援者を見つけ出し、医療・介護に結びつけるセンターの 役割と在宅医療の専門知識を生かし支援できるチームもりおかの役割をうまく結びつけ相互支援関係で運営で きる「専門的なアドバイスを必要とする在宅医療・介護従事者の相談窓口」を担う必要があると考える。 17 ●まとめ チームもりおかがその役割を果たすには、「医療・介護の連携促進」が特に重要となる。 在宅医療の提供においては医療機関が主体となって活動するのが本質と考えるが、全人的・包括的・継続的に 医療を考えるときは、介護・福祉を別個のものとしてはならない。 地域の医療・介護連携は、個々の事業所の努力によりなされるものではなく、地域全体で取り組んでいくべき ものである。 「可能な限り住み慣れた場所で自分らしく過ごす」ためには、行政・地域包括支援センター・チームもりおか を中心とした在宅医療・介護従事者(事業所)の連携拠点を構築し、盛岡地域の包括ケアシステムを支えていく ための拠点とする必要がある。 18
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