リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著 池村千秋訳 「LIFE SHIFT-100 年時代の人生戦略」 東洋経済新報社 2016.11 399 ページ 1,800 円(税別) わが国をはじめ世界的に長寿化が進んでいる。いま先進国で生まれる子供は、50%を上回 る確率で 105 歳以上生きると言われている。著者によれば、こうした下ではこれまでの教 育のステージ 20 年、仕事のステージ 40 年、引退のステージ 20 年の人生 3 ステージモデル のままでは、生きていけなくなるだろうと問題提起している。単に仕事のステージが長くな るだけでは、休む間もなく働き続け、退屈な日々を過ごし、エネルギーを消耗して、貧困と 後悔の老後になってしまうだろう。 長寿に伴い仕事のステージが長くなるのは間違いないが、これまでの1企業1キャリア に縛られるのではなく、仕事を中断して新たな教育を受けて転身を図りながら、マルチステ ージの人生を実践することを説いている。このためには、自由時間の一部をレクリエーショ ン(=娯楽)ではなく、自己をリ・クリエーション(=再創造)するために振り向けるとと もに、異業種の友人の輪を広げていくことが必要になるとアドバイスしている。 わが国では、長寿化は介護や年金問題で悲観的な論調になりがちだが、民間企業の終身雇 用制が崩壊してきている状況下、自ら前向きにマルチキャリアを考える時代にきているこ とに改めて気付かせる良書である。そして定年のない独立したプライベートバンカーもそ うした選択肢の一つとして見えてくる。 著者は、ロンドン・ビジネススクール教授 授(スコット)。 【主要目次】 序章 100年ライフ 第1章 長い生涯 第2章 過去の資金計画 第3章 雇用の未来 第4章 見えない「資産」 第5章 新しいシナリオ 第6章 新しいステージ 第7章 新しいお金の考え方 第8章 新しい時間の使い方 第9章 未来の人間関係 終章 変革への課題 人材論、組織論(グラットン)/同経済学教
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