配色によるイメージの作成

Step 5
色について
配色によるイメージの作成
図 5 色と言葉とをリンクさせて考えると、より配色をイメージしや
すいでしょう。ここでは縦方向に SOFT(柔らかい)ー HARD(固い)
の軸を、横方向に WARM(暖かい)ー COOL(冷たい)という軸を
作ったチャートに、3 色ずつの配色のイメージを配置してみました。
色が持つイメージを引き出すためには、世の中のあらゆる色に注目することです
SOFT
カラーセラピーという心理療法があることからもわ
ることができます(図2)
。この場合は自然のもので
かるように、色には人の心理状態に影響を与える力が
はありませんが、具体的な「もの」の色が人の中に記
あります。それは色の持つ「イメージ」による部分が
憶されているために、そのイメージが作られるのです。
大きいでしょう。
合わされたものです。色は「寒色」と呼ばれる青味が
ものと、そのものの色とがリンクしていると考えると
ある色や、色味のない無彩色などが使用されることで、
わかりやすくなります。例えば「春のイメージ」を感
見た人に冷たいイメージを与えることができます。
じる配色は、春によく見られる若葉の色や、花の色、
「ポップなイメージ」は、この例の中で最も具体的な
爽やかに晴れた空の色などを組み合わせたものに過ぎ
ものが浮かびにくい例です。こういった特殊なイメー
。このように、色のイメージは自然の
ません(図1)
ジの色は、通常自然界では見られないような色を組み
ものに由来している場合が多くあります。
。
合わせることで表現することができます(図4)
あるいは「クラシカルなイメージ」の場合、古い木
や家具、洋服といったものの色を組み合わせて表現す
かわいい
色も、実際には水や金属、氷といったものの色が組み
るかもしれませんが、実際には人が一般的によく見る
このように言葉と色とは符合させて考えることがで
さっぱりした
メルヘンの
可憐な
また、漠然とした言葉の「クールなイメージ」の配
色のイメージと言うと、漠然としたものだと思われ
やわらかい
甘い
なじみやすい
簡素な
子供らしい
清楚な
やすらかな
ナチュラルな
新鮮な
楽しい
繊細な
はれやかな
カジュアルな
さわやかな
若々しい
情緒的な
マイルドな
優雅な
すばやい
しゃれた
WARM
COOL
華やかな
。
きるのです(図5)
おだやかな
シックな
スポーティな
艶っぽい
高雅な
活動的な
奥ゆかしい
贅沢な
シャープな
粋な
円熟した
大胆な
渋い
合理的な
伝統的な
豪華な
図 1 「春のイメージ」の配色例。
明度・彩度ともに高い色を使い、
春の風物詩である桜や桃の花びら
の色、菜の花の色、若芽の色、澄
んだ水の色といった自然界の色を
組み合わせることで、春らしい配
色表現ができます。
図 2 「クラシカルなイメージ」の
配色例。この場合は古い木や壁、
椅子、帽子、コートといった人工
物の色を合わせることで表現され
ています。明度・彩度ともに低い
色が組み合わされるのが特徴です。
図 3 「クールなイメージ」の配色
例。言葉は漠然としていますが、
実際には冷たいもの、例えば氷や
水、雪、ミントといったものに置
き換えて色を選ぶとよいでしょう。
図 4 「ポップなイメージ」の配色
例。ポップは擬音で、若い人の文
化を示しています。彩度が高い純
色を、通常あまり見ない組み合わ
せで使用すると、新しい感じを出
すことができます。
ダンディな
行動的な
りりしい
凝った
ワイルドな
重厚な
格調のある
メカニックな
HARD
148
step5.indd 148-149
149
06.1.8 3:31:29 AM