新登場のMTS 4100 NVHアナライザ

O P E R AT I O N A L U S E
AND SERVICE SOLUTIONS
ETAS
ドン・ギルマン
新登場のMTS 4100
NVHアナライザ
車両の騒音・振動の潜在的原因を究明
車の整備工場や自動車メーカのサービス部門で働いている人は、
「NVH」と「NTF」という2つの略語で表される不具
合を解消させるために、深夜まで作業に追われることがあります。これらの不具合は、顧客満足度の低下や費用負担の
増加を招くばかりか、車の買い戻しといった事態に発展しかねない問題をはらんでいます。この「NVH」と「NTF」
はいかなるものか、またどうしてそのような問題を引き起こすのでしょうか?
問題
N V H と は 、 騒 音 ( N o i s e )、 振 動
(Vibration)
、走行時のゴツゴツした不快
な振動(Harshness) を意味します。あ
る自動車メーカでは、NVH関連の経費が
1年間で6000万USドルを超え、その90%
以上が保証修理費で占められるといった
状況です。このNVH問題に伴い、NTFと
いう略語も以前から使用されており、こ
ちらは「故障原因特定不可(No-TroubleFound)
」を意味しています。顧客から騒
音や振動に関する苦情を受け、サービス
エンジニアがその原因を特定できなかっ
た場合の診断結果がNTFとなります。顧
客は不満を募らせ、エンジニアもいらだ
ち、サービスセンタと自動車メーカは悪
夢のような出費を強いられることになり
ます。NTF問題の解決は、全世界の自動
車メーカにとって至上の命題です。この
問題を引き起こす主因がNVHにあるた
め、多数のメーカがNVHの問題解決に精
力を傾けています。
一般に自動車メーカでは、NVHの問題
に対する診断手順は顧客から寄せられる
情報に大きく左右され、サービスエンジ
ニアは、検証・分析・テスト・修理・再
テストといった単なる一連のプロセスを
通じて騒音・振動の潜在的原因を究明し
なくてはなりません。この診断手順は数
回繰り返されるのが普通で、その成否は
顧客情報の質や、エンジニアのトレーニ
ング経験、スキルの度合に負うところが
大きいのが実情です。
16
RT J1.2005
一連の診断プロセスにおける最初のス
ソリューション
テップは不具合症状に対する振動周波数
ETASグループのVetronixは、自動車
メーカがこの問題を解決できるように、 の測定で、その測定データを推定原因と
される部分の振動周波数と比較します。
新しいツールを開発しました。それが
振動の原因として考えられるのは、基本
NVHアナライザMTS 4100です。MTS
的にホイール、エンジン、ドライブシャ
4100は、NVH関連の不具合に関する原因
フトの3ヶ所ですが、顧客の訴えによっ
の究明・特定・修理を行う際にプロの車
ては、オルタネータやエアコンのコンプ
両サービスエンジニアを支援します。当
レッサ、パワーステアリングポンプ、
ツールは、騒音/振動センサからの信号と
ウォータポンプ、さらにはトランスミッ
エンジン/トランスミッションECUからの
ションの各ギアが原因となっている場合
情報を統合し、測定した振動/騒音と推定
もあります。
原因との関連付けを行うほか、不具合車
両の修理を支援するドライブシャフトの
結果
バランス調整機能も備えています。した
MTS 4100 NVHアナライザは過去6年以
がって騒音/振動の原因がエンジン、ドラ
上に渡り、自動車メーカ数社の間で高い
イブシャフト、ホイールのいずれにある
評価を得ています。このMTS 4100 NVH
のか、またはエンジンルーム内のベルト
など回転運動する他のコンポーネントに
アナライザの技術は、MTS 3100向けの
由来するのかを、ピンポイントで特定す
NVH診断用アドオンをベースにしていま
るといった診断に加えて、実際の修理に
す。MTS 3100は優れた製品として受賞暦
おいても威力を発揮します。従来ドライ
もあるVetronixのスキャンツールで、ト
ブシャフトのバランス調整は難しい作業
ヨタの北米ディーラーでは1993年から使
とされ、サービスエンジニアは、シャフ
用され大きな成果を上げてきました。米
トを取外して外部の専門業者にバランス
国Toyota Motor Salesの国内サービス技
調整を依頼し、その結果、戻ってきた
術マネージャであるゲリー・スミス氏は、
シャフトを車両に取付けて問題が解決さ 「トヨタでこの機器が成功した基本的な理
れていることを期待するだけというのが
由は、面倒な数学的知識抜きでエンジニ
現 状 で し た 。 そ れ に 対 し 、 MTS 4100
アが使用できたことですね。
」と語ってい
NVHアナライザがあれば、車両からドラ
ます。
イブシャフトを取外すことなくバランス
ダイムラー・クライスラーにおけるあ
調整を行えるため、時間の大幅な節約は
るパイロット調査では、MTS 4100 NVH
もちろんのこと、システム全体のバラン
アナライザの使用によりNVH関連の保証
ス向上を図ることができます。
費用が38%減少したとの結果が示されま
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MTS 4100
NVHアナライザ
した。
「ディーラーのサービスエンジニア
が問題の原因を究明できない場合、メー
カが保証費用を負担しなければなりませ
んが、そういった保証費用を節約する
ツールとして、これ以上に効果的なもの
はありません。
」と、ミシガン州オーバー
ンヒルズにあるダイムラー・クライス
ラーの品質エンジニアリングセンタで働
くデイブ・サンダーズ氏も絶賛していま
す。さらに同氏は、
「パイロット調査に参
加したディーラーでは、新しいツールに
よって診断時間が短縮されたばかりか、
1回の修理で不具合を解消できるように
なった。
」と説明されています。実際この
ダイムラー・クライスラーのパイロット
調査に参加したある人は、
「知り合い皆に
このツールを薦めていますよ。他社の標
準的診断ツールを使っていた頃は、サー
ビスエンジニアが誤って余計な部品まで
交換するといったこともありましたが、
MTS 4100 NVHアナライザの導入を機に
そのような問題もなくなり、正しい診断
と修理が行えるようになりましたから
ね。
」と話しています。
パイロット調査に参加したダイム
ニアは、このツールを使用することで顧
ラー・クライスラーのトレーニングセン
客の訴えに対する原因の究明に成功し
タ関係者に話を伺ったところ、
「最近のこ (この車両は、それ以前にもこのNVH関
とですが、あるディーラーで試乗車のエ
連の不具合のためにサービスショップで2
ンジン音がおかしく、時々始動しないと
回の点検を実施)
、顧客の満足するレベル
いった不具合が発生しました。ディー
で車両を修理することができた。
」とあり
ラーは私たちに車両の買い戻しを行うか、 ました。
せめて代わりに新品のエンジンを提供し
フォードの多くの工場では、組立てラ
てほしいと要求してきました。ところが
インの最終工程で使用する振動分析シス
当センタのエンジニアがMTS 4100 NVH
テムに、現在のMTS 4100 NVHアナライ
アナライザを使って車両を調査したとこ
ザを改良した専用ツールを使用していま
ろ、瞬時にノイズの原因が判明し、不具
す。2001年にVetronixは、フォードがハ
合を修理できたのです。つまり、エンジ
イテク製品のサプライヤに贈る賞として
ン交換も車の買い戻しもせずに済んだわ
最も権威あるヘンリー・フォード・テク
けです。
」といったエピソードを披露して
ノロジー賞を受賞しました。
くれました。
別の自動車メーカで行われたパイロッ
「従来1時間かけて探す必要があった振
ト調査でも、その結果は同様に素晴らし
動の原因を、わずか数分で見つけられる
いものでした。ある報告書には、「現在
このMTS 4100 NVHアナライザは、プロ
MTS 4100を試用しているディーラーと、 のサービスエンジニアにとって選択する
このツールを他に先駆けて試用した現場
価値があるツールである。」これはある
スタッフからの最初のフィードバックは
サービスエンジニアが語った言葉ですが、
極めて肯定的な内容で、サービスエンジ
おそらく的を射ています。
MTS 4100の
接続構成
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J2005.1 RT