技術士が調査した 新聞の実態と改革への期待

IPEJ Journal Vol.23 No. ●
Introduction of Books Written by the Members
会員の著作紹介
B6 判・270 頁
技術士が調査した
新聞の実態と改革への期待
価格:1,575 円(税込)
高城書房
2011 年 4 月発行
三田 和朗 著
日本の新聞は,圧倒的な発行部数の多さ,TV 局の系
列化,世界に稀な記者クラブによる情報独占など,先進
会的な行為を行う一方で,新聞業界に都合が悪いことは
一切報道しない実態。
国の新聞業界には見られない特徴を持っています。そし
第 3 章 「メディアリテラシー」 日本では僅かに実践
て,ネットが普及した今日でも,巨大な情報伝達力で,
されているのみですが,義務教育段階から世界各国で幅
政治に大きな影響を与え,時に無用な混乱を起こし,日
広く実践されているメディアを批判的な視点を交えて読
本人の社会観まで変えてしまいます。今日,政治家も企
み解く教育の実践を紹介。
業経営者も大学関係者も真っ向から新聞社の「無責任の
第 4 章 「新聞の改革」 誤報の訂正や検証記事の記
構造」を指摘することは困難になりました。その新聞社
載,および広告主との癒着禁止などの法律が必要。情報
の営利企業としての限界と実態を示し,情報の意味を考
は,人格まで変えてしまう。圧倒的な情報伝達力を持つ
察し,新聞改革を期待する内容です。
メディアの責任は重大。
本書の内容は,次の通りです。
第 1 章 「新聞の現状」
社会を混乱させた事例とし
て,平和な社会を戦争国家に変えて行った新聞の役割,
第 5 章 「民主主義と新聞」 新聞と一体となった米国
の統治システム,官僚に利用される新聞(メディア)と
日本の統治システム。日本の正義の変遷と新聞。
過剰な環境ホルモンや BSE 報道,5 倍以上に数字を膨ら
第 6 章 「人類と情報」 僅か 19 万年前に共通のミト
まして報道し,真実が解っても訂正もしない沖縄 11 万
コンドリアイブを持つ現世人類が,情報の違いにより,
人集会などの実態について記載。
現実の世に天国と地獄を創造。メディアは,事実上,強
第 2 章 「新聞の権益と法律」
新聞の権益のために
力な世論誘導機関なので,新聞は自浄能力を発揮し,よ
は,公正取引委員会の主張を曲げて報道し,政治家を大
り良い社会構築のために,その社会的な責務を果たすこ
動員して新聞の権益存続キャンペーンを裏で行い,反社
とを期待。
著作にあたって
合法的な著書でも出版には著者にとって大きな困難が
伴いました。それほど新聞の力は大きいし企業はその
筆者は,地質調査と斜面設計を専門とする技術者で
力が怖いのです。
した。そして,筆者が専門とする分野で「極めて低リ
新聞社が社会にとって重要な機関であることは今後
スクの技術」が,故郷の新聞報道では逆に不安視され
とも疑う余地はありません。より良い日本,より良い
ました。新聞が報道した後は,本来基本であるべき科
世界となる情報媒体としての鍵を新聞社は握っておら
学的理解も,民主主義の要である議会の議論もありま
れます。人類に貢献できる新聞であることを願って記
せんでした。
述致しました。
なぜ,そのようになったか調査していくうちに,日
本の新聞業界の体質が見えてきました。良質な情報の
発信に日夜努力されている新聞業界の方々には,誠に
申し訳ないことですが,陰の部分も多くの方々に知っ
て頂いた方が,日本のためになるかもしれないと思
い,本書を出版することを決意しました。この程度の
三田 和朗(みたかずろう)
技術士(総合技術監理・応用理学部門)
(株)エル防災技術 代表取締役
e-mail:[email protected]