3 緊急時における固定電話・携帯電話の補完・代替手段としてのサービスについて (1) 公衆電話について 公衆電話は、電気通信事業法施行規則(第40条の2 第2項)により、おおむね市街地で は500m 四方に一台、それ以外では1km四方に一台の基準としているが、NTT ではさら に利用状況を勘案しながら複数台設置しており、各県の配備状況は(表3−1)のとおりであ る。しかし、公衆電話の運営・維持は、携帯電話の急激な普及など通信手段の多様化に伴 い、毎年厳しい状況(表3−2)となっている。 公衆電話は通信が輻そうしている場合でも、優先通話の機能を有しているので災害時に は有効な通信手段であり、NTT は公衆電話の設置、廃止については、屋外における最低 限の通信手段の確保と災害時における住民の緊急連絡手段の確保等に配意しながら取り 組んでいる。 (表3−1) [県別公衆電話数の推移(平成 10∼14 年度)] (単位:台) 宮城県 福島県 岩手県 青森県 山形県 秋田県 平成 10 年 13,700 11,700 8,600 8,900 6,700 6,700 平成 11 年 13,300 11,500 8,500 8,700 6,600 6,300 平成 12 年 12,800 11,200 8,300 8,600 6,500 5,800 平成 13 年 12,500 11,100 8,100 8,500 6,200 5,500 平成 14 年 10,400 9,300 6,700 7,500 5,200 4,800 (表3−2) [公衆電話収支の状況(平成 11∼13 年度)NTT東日本分] 営業収益 営業費用 営業利益 公衆電話台数 (億円) (億円) (億円) (千台) 平成11年度 254 489 ▲ 236 357 平成12年度 203 394 ▲ 191 345 平成13年度 129 303 ▲ 174 333 (NTT 有価証券報告書「音声伝送役務損益明細書」より) - 17 - (2) その他の代替手段 ① PHSは、現段階では契約者数の減少により、設備容量に余裕があるため、災害時の通 話に対して疎通が確保できる可能性が比較的高いといえる。ただし、NTT東日本等の中 継網を使用するような通話については、中継網の輻そうの影響を受ける場合がある。 (資料3−1参照) ② 2GHz帯を使用する第3世代携帯電話は、現時点では設備容量に対して契約者数が少な いので、発信側・受信側双方が第3世代携帯電話で使用する場合は、災害時においても 疎通が確保されやすいといえる。(資料1−15参照) ③ 衛星携帯電話(N-STAR 衛星利用とインマルサット衛星利用の2システムがある。)は、現 状においては契約者数が少ないため、災害時の通話量に対して疎通が確保されやすいと いえる。(資料3−2参照) 衛星携帯電話同士の利用は、他システムの影響を受けにくいため災害時に有効に機能 することが期待できる。 ④ PHS、第3世代携帯電話、衛星携帯電話は、いずれも契約加入者数が一定規模以上に なれば、災害時等には、固定電話・携帯電話と同様に規制の対象となる可能性がある。ま た、災害時等通信が輻輳し通話規制が行われている場合、通話相手が固定電話、(現在 最も普及している)第2世代携帯電話等では繋がらない可能性がある。 ⑤ 災害時の通信あるいは手段を確保する観点から、電気通信事業者には、官公庁や企業 に対し、上記①∼③のサービスあるいは、インターネットも含めた様々な通信手段の併用 等、利用の実状に見合った最適な利用方策を助言、提案する役割が求められる。 - 18 -
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