第61号 2009年12月 目 次 会長挨拶 伊藤 信行 …………………………………………… 1 70 周年記念行事 ……………………………………………………………… 3 日本薬学会第 129 年会 ………………………………………………………… 10 就任のご挨拶 奥野 恭史 …………………………………………… 11 旧師探訪 ………………………………………………………………………… 12 会員便り∼近況報告 …………………………………………………………… 15 人事異動 ………………………………………………………………………… 20 受 賞 ………………………………………………………………………… 22 博士(薬学) …………………………………………………………………… 23 修士(薬学・薬科学) ………………………………………………………… 25 分野(教室)だより …………………………………………………………… 29 薬友会部報 ……………………………………………………………………… 46 京大薬友会会則 ………………………………………………………………… 48 乾 賢一 教授最終講義および記念パーティー …………………………… 49 富岡 清 教授最終講義および記念パーティー …………………………… 50 半田哲郎 教授最終講義および記念パーティー …………………………… 51 広告索引 ………………………………………………………………………… 53 ご 挨 拶 伊 藤 信 行 会長 薬友会会員の皆様にはご活躍のこととお慶び 申し上げます。薬友会誌第 61 号をお届けする にあたり、薬学研究科・薬学部の近況をご報告 申し上げます。 薬学部は平成 18 年度より学部 4 年制教育(薬 科学科)と 6 年制教育(薬学科)が設置されて おります。現在、その 1 期生は 4 回生となって おり、平成 22 年 3 月には薬科学科の 1 期生が卒 業する予定です。また、薬学科は平成 22 年度 から、2ヶ月半の病院実習、薬局実習がはじま ります。このような外部機関における長期の実 務実習は、薬学部はこれまで経験しておりませ ん。この長期実務実習を含め新しい 6 年制教育 に万全を期するため、薬学部教職員一同は全力 で取り組む所存です。 薬学研究科・薬学部の過去 1 年間の人事異動、 受賞等についてご報告致します。杉本幸彦生体 情報制御学分野准教授が熊本大学薬学部教授と して 4 月 1 日付けでご栄転されました。また、 山崎哲男生体分子認識学分野准教授が徳島大学 薬学部教授として 12 月 15 日付けでご栄転され ます。さらに、申 惠媛生体情報制御学分野助 教、小西守周遺伝子薬学分野助教が、それぞれ、 京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット 特定助教、神戸薬科大学准教授にご転任、ご栄 転されました。皆さんのこれまでの薬学研究科・ 薬学部における教育・研究へのご貢献に感謝す るとともに、新しい任地での益々のご活躍を期 待しております。また、大石真也ケモゲノミク ス分野助教、川上 茂薬品動態制御学分野助教 が講師に昇任されました。さらに、高橋有己病 態情報薬学分野助教、山本伸一郎生体分子認識 学分野助教、西村慎一システムケモセラピー分 野助教、塚野千尋薬品分子化学分野助教、加藤 洋平生体情報制御学分野助教が新規採用となり ました。昇任、新規採用の皆さんの薬学研究科・ 薬学部での活躍を期待しております。一方、竹 本佳司教授が平成 21 年度日本薬学会学術振興 賞、大石真也講師、小野正博准教授、中野 実 准教授が平成 21 年度日本薬学会奨励賞を受賞 されました。また、奥野恭史特定教授が平成 21 年度文部科学大臣表彰(科学技術振興分野) を受賞されております。若い皆さんのご研究の 益々のご発展を期待しております。 薬学部は今年で創設 70 周年を迎え、10 月 30 日に京都大学百周年時計台記念館で京都大学薬 学部創設 70 周年記念講演会、式典、祝賀会が 開催されました。卒業生・修了生、薬系大学関 係者、薬学関連団体関係者、京都大学関係者な ど 400 名以上のご出席者のもとで盛大に記念講 演会等が開催されました。記念講演会では大川 滋紀武田薬品工業(株)取締役研究開発統括職 (薬学部卒業生)による「新薬創製に向けた挑 戦―グローバル化とイノベーション」、また、 井村裕夫(財)先端医療振興財団理事長・元京 都大学総長による「21 世紀の医療―医学から 薬学へのメッセージ―」の素晴らしい講演があ りました。特に、若い参加者にとっては大きな 激励となったものと期待しております。また、 記念式典では松本 紘京都大学総長、松木則夫 日本薬学会会頭、土屋裕弘田辺三菱製薬(株) 代表取締役社長(薬学部卒業生)らからご祝辞 を頂きました。引き続き開催されました記念祝 賀会では矢島治明京都大学名誉教授(薬学部卒 業生) 、中村和男シミック(株)代表取締役会 長兼社長(薬学部卒業生) 、藤井信孝京都大学 理事・副学長(薬学部卒業生)らからご祝辞を 頂きました。祝賀会は関係者の交流の場ともな り、盛況の内に終了致しました。また、これま での薬学部の発展の歴史をまとめた「京都大学 薬学部創設 70 周年記念誌」を作成し、出席者 に配布致しました。また、70 周年記念基金の ご寄付者の内、ご都合により記念式典等を欠席 された方にも記念誌をお届け致しました。もし、 手違い等で記念誌をお受領されていないご寄付 者がおられましたら、お連絡頂ければ幸いです。 70 周年記念基金の多くは薬学研究科・薬学部 の教育・研究施設の充実に活用させて頂きまし −1− た。お陰さまで、施設の新築、改築も完了し、 薬学研究科・薬学部は日本を代表する薬学教育・ 研究機関として相応しい施設を整えることがで きました。これも薬友会会員の皆様のご支援の 賜物と大変感謝しております。 薬学研究科・薬学部では現在、6 つの教育・ 研究プロジェクトが活発に活動しております。 今年度から新たに始まりましたプロジェクトと して「革新的ナノバイオ創薬研究拠点」があり ます。本拠点は京都大学と立命館大学との国立 私立大学連携とともに、薬工連携によるバイオ テクノロジーとナノテクノロジーの融合を基盤 とした革新的創薬研究の推進を目的として設置 されたものです。癌などの難治性疾患の克服を 可能とする治療薬、治療システムの開発を目指 しております。 平成 21 年 3 月 26∼28 日に日本薬学会(第 129 年会)が 11 年ぶりに京都で開催されました。 第 129 年会は「創と療の伝統と革新」のテーマ のもとで、半田哲郎教授を組織委員長として開 催されました。多数の研究発表と参加者があり、 盛会の内、第 129 年会を終了することができま した。半田哲郎組織委員長をはじめ多くの薬学 研究科・薬学部の教職員・学生の年会運営に掛 ける熱意と努力に対して敬意を表します。 平成 22 年 3 月末で半田哲郎製剤機能解析学分 野教授、乾 賢一医療薬剤学分野教授が定年で ご退職されます。また、定年ではありませんが、 富岡 清薬品合成化学分野教授も 3 月末でご退 職されます。3 名の先生の長年の薬学研究科・ 薬学部の教育・研究の発展へのご貢献に対して、 心から御礼申し上げます。3 名の先生の退職記 念講演会、記念パーティ等を開催する予定です。 皆様のご出席をお願い申し上げます。 創設から現在までに、薬学研究科・薬学部は 4435 名の学部卒業生、2177 名の修士課程修了 生、1748 名の薬学博士取得者を世に送りだし、 日本の薬学関連領域の発展に大きく貢献してお ります。大学の重要な社会的使命は優れた学術 研究を推進することです。薬学研究科・薬学部 は日本の薬学研究のリーダーとして、今後とも 優れた研究成果を挙げていく所存であります。 さらに、大学のもう一つの重要な社会的使命は 優れた人材の養成であります。薬学研究科・薬 学部は今後とも、薬学関連領域の学術研究の担 い手となる薬学研究者、新薬創成に挑戦する新 薬開発者、21 世紀の医療に向けて医学からの 期待に応えられる医療薬学従事者等の人材養成 にも積極的に取り組んでいく所存であります。 薬学研究科・薬学部の発展のため、薬友会会員 の皆様には引き続き相変わらぬご支援、ご鞭撻 を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。最 後になりましたが、薬友会会員の皆様の一層の ご健勝とご活躍を心より祈念致します。 −2− 京都大学薬学部記念事業レポート 京都大学薬学部創設 70 周年記念行事 平成 21 年 10 月 30 日(金)京都大学百周年時 計台記念館百周年記念ホールにて「京都大学薬 学部創設 70 周年記念講演会・記念式典」が開 催された。薬学部は昭和 14 年(1939)に医学 部 薬 学 科 と し て 創 設 さ れ、 昭 和 35 年(1960) 薬学部への移行を経て、本年をもって 70 周年 を迎えた。本行事はこれを記念して開催された ものである。 記念講演会では、最初に、武田薬品工業(株) 取締役研究開発統括職 大川滋紀博士(第 38 回 卒)が「新薬創製に向けた挑戦 ―グローバル 化とイノベーション―」(司会:生命科学研究 科 小堤保則教授)と題する講演が行われた。 まず、この 70 年間の創薬研究の歴史の紹介が された後、創薬研究のパラダイムシフトや厳し さを増す製薬産業を取り巻く環境の現状が述べ られた。続いて、武田薬品がグローバル化とイ ノベーションをキーワードに進めてきた創薬生 産性向上への取り組みが具体的な例を挙げて紹 介された。最後に画期的新薬の開発に繋がる薬 学教育への強い期待が述べられた。 引き続き、(財)先端医療振興財団理事長(元 京都大学総長)井村裕夫博士により「21 世紀 の医療 ―医学から薬学へのメッセージ―」 (司 会:薬学研究科 橋田 充教授)と題する講演 が行われた。アルツハイマー病や糖尿病など加 齢に伴う疾患を例に、発症や病態進行の機構を 把握した上で予防や治療を考える Preemptive Medicine(未病の医療)の重要性、iPS 細胞を 利用した再生医療への期待や課題などが述べら れた。また、マイクロドージング法や PET の 医薬品開発への応用の現状や神戸臨床研究情報 センターでの取り組みなども紹介された。最後 に、薬学への期待を熱く語られた。講演会には 400 名以上の参加者があり会場は立ち見が出る ほど盛況であった。 引き続き、同ホールにて記念式典が行われた。 伊藤信行 薬学研究科長の開会の挨拶に続き、 京都大学 松本 紘総長から最初に祝辞が述べ られた。引き続き、文部科学省高等教育局 徳 永 保局長の祝辞代読が医学教育課 吉田博之 薬学教育専門官により行われ、さらに、日本薬 学会 松木則夫会頭、京都大学医学研究科 光 山正雄研究科長、田辺三菱製薬株式会社代表取 締役社長 土屋裕弘氏(第 32 回卒)より祝辞 があり、本学部への大きな期待が述べられた。 この後、同記念館国際交流ホールにて記念祝 賀会が開催された。伊藤研究科長の開会の挨拶 に続き、大阪大学 小林資正薬学研究科長、京 都大学名誉教授 矢島治明先生、シミック株式 会社代表取締役会長兼社長 中村和男氏(第 30回卒) 、小野薬品工業株式会社研究本部長 川 溿和一十氏より祝辞があり、京都大学理事・副 −3− 学長 藤井信孝先生の乾杯の発声により祝賀会 が始まった。京都大学関係者、企業関係者、他 大学関係者、卒業生等、多数の参加があり、佐 治英郎薬学副研究科長の謝辞の後、閉会の辞を もって盛会のうちに祝賀会は終了した。本行事 参加者には、記念事業会が編纂した「京都大学 薬学部創設 70 周年記念誌」が配布された。 最後に、ご講演いただいた大川博士、井村博 士、ご来賓の方々、ご参加いただいた薬友会員 の方々、本行事開催のために多大なご支援をい ただいた関係各位にあらためて御礼を申し上げ る。 (病態情報薬学分野 高倉 喜信) −4− 京都大学薬学部創設 70 周年記念講演会・式典・祝賀会次第 日 時 平成 21 年 10 月 30 日(金) 午後 1 時 30 分開場 場 所 京都大学百周年時計台記念館 ● 記念講演会 午後 2 時 00 分∼4 時 00 分(百周年記念ホール) 総合司会 高倉 喜信 ・講演「新薬創製に向けた挑戦 ―グローバル化とイノベーション―」 武田薬品工業(株)取締役研究開発統括職 大川 滋紀 司 会 京都大学生命科学研究科教授 小堤 保則 ・講演「21 世紀の医療 ―医学から薬学へのメッセージ―」 (財)先端医療振興財団理事長(元京都大学総長) 井村 裕夫 司 会 京都大学薬学研究科教授 橋田 充 ● 記念式典 午後 4 時 15 分∼5 時 15 分(百周年記念ホール) ・開会の辞 ・挨 拶 京都大学薬学研究科長 伊藤 信行 ・祝 辞 京都大学総長 松本 紘 文部科学省高等教育局長 徳永 保 祝辞代読:医学教育課薬学教育専門官 吉田 博之 日本薬学会会頭 松木 則夫 京都大学医学研究科長 光山 正雄 田辺三菱製薬株式会社代表取締役社長 土屋 裕弘 ・閉会の辞 ● 記念祝賀会 午後 5 時 30 分∼7 時 30 分(国際交流ホール) ・挨 拶 京都大学薬学研究科長 伊藤 信行 ・祝 辞 大阪大学薬学研究科長 小林 資正 京都大学名誉教授 矢島 治明 シミック株式会社代表取締役会長兼社長 中村 和男 小野薬品工業株式会社研究本部長 川溿和一十 ・乾 杯 京都大学理事・副学長 藤井 信孝 ・挨 拶 京都大学薬学副研究科長 佐治 英郎 −5− 京都大学薬学部記念事業レポート 「京都大学薬学部創設 70 周年記念 講演会・式典」に参加して 秋晴れの平成 21 年 10 月 30 日 (金)に、京都大 学薬学部創設 70 周年記念 講演会・式典が、京 都大学百周年時計台記念館にて開催された。多 くの参加者で会場は熱気にあふれており、その ためか会場内は開演前から汗ばむ程であった。 記念講演会 本学生命科学研究科の小堤教授、ならびに薬 学研究科の橋田教授を司会として、お招きした 本学の卒業生である武田薬品工業(株)取締役研 究開発統括職の大川先生、ならびに元京都大学 総長である(財)先端医療振興財団理事長の井村 先生による記念講演会が、午後 2 時より百周年 記念ホールにて開催された。以下にその内容を 略述する。 大川滋紀 先生 (武田薬品工業(株)・取締役研究開発統括職) 「新薬創成に向けた挑戦 ―グローバル化とイノベーション―」 本講演では、①創薬の歴史、②製薬産業を取 りまく環境、③創薬生産性向上への取り組み、 ④薬学部への期待、に関して、ご自身のこれま でのご経験を絡ませつつ、お話しいただいた。 創薬の歴史においては、最初に“薬石無効”(意 味:病人に対しての薬や治療も効果がなく、手 当のかいが全くないこと。「薬」は薬草、「石」 は針のこと。 )の四字熟語を引き合いに出され た後、古くは 5000 年前より始まり、今日まで 進歩してきた創薬の歴史を、また、それら創薬 の歴史の中において、本学薬学部が創設された 70 年前はどの時期にあたるのかを、判りやす く解説していただいた。さらに、当時の武田薬 品工業の研究所の写真などを見せていただき、 非常に興味深いものであった。製薬産業を取り まく環境においては、大川先生の過去のアラキ ドン酸カスケードに関する研究の具体的な話を 交えながら、創薬研究のパラダイムシフトに関 してお話しされた後、新薬創出のハードルが高 く、さらに売上利益の持続的成長が難しいため、 研究開発生産性が著しく低下しているという現 状を述べられた。次に、そのような現状の中で、 創薬生産性向上にむけた R&D として、外資メー カーならびに武田薬品工業の具体的な取り組み を紹介され、今後の創薬は、規模・物量から質 の重視へと方向を転換する必要性を語られた。 最後に、今後の薬学部においては、学ぶべき学 問を身につけるだけではなく、学問のみならず 患者や医師の視点にも立った創薬の視点、なら びにリーダーシップや目利きなどの能力を身に つけることが期待されると、今後の薬学部・薬 学教育が進むべきひとつの道筋を示された。 井村裕夫 先生 ((財)先端医療振興財団・理事長) 「21 世紀の医療 ―医学から薬学へのメッセージ―」 最初に、医学・医療の進歩を促す要因として、 シーズ(基礎科学の進展)、技術進歩、ニーズ(疾 患の変貌)を挙げられた後、人口分布の予測や 医療費の予測などから、今後ニーズが高まって いくことが想定される、加齢に伴う疾患に焦点 をあてて、お話をされた。具体的に、アルツハ イマー病におけるアミロイド Aβ をターゲット した治療や、2 型糖尿病における耐糖能異常 (impaired glucose tolerance: IGT)期をターゲッ トとした治療を例に挙げられ、健康と病気の区 別がつきにくい加齢に伴う疾患における未病の 治療(Preemptive Medicine)の重要性を解説さ −6− れた。また、加齢に伴う疾患の治療には、発症 前診断、予防、そして再生医療が重要であるこ とを述べられた。発症前診断のひとつとして、 ゲノム多型解析を例に挙げ、GWAS(genomic wide association study)の技術面ならびにその 問題点を解説された。また、再生医療に関して は、iPS 細胞を用いた研究にも言及され、ゲノ ム解析とともに、期待と今後の課題に関して述 べられた。次に、分子標的薬開発に向けた、 NIH や日本における現状、ならびにその問題点 をお話しされた。また、創薬にあたり、日本の 臨床研究推進を阻む壁として、法整備など以外 にも、人材が重要であることを、そして臨床研 究に必要とされる様々なスペシャリストとし て、今後の薬学生に期待されていることをお話 しされた。 京都大学薬学部の歴史を語られ、さらに今後の 薬学の目指す方向をお話しされた。また、薬学 研究科・薬学部施設の新設・改築に 70 周年記 念基金を活用したことを報告され、お礼を述べ られていた。続いて、来賓の方々のご祝辞があっ た。京都大学総長の松本紘先生、文部科学省高 等教育局長の徳永保先生(代読:医学教育課薬 学教育専門官の吉田博之先生)、日本薬学会会 頭の松木則夫先生、京都大学医学研究科長の光 山正雄先生、田辺三菱製薬株式会社代表取締役 社長の土屋裕弘先生の 5 名の先生方は、薬学部 のこれまでの歴史や、医学部や薬学会との関わ りを紐解きつつ、時にはユーモアも交えたお話 をされ、いずれの方も、今後の薬学にとって大 事なこと、期待されることをメッセージに込め られていた。 記念式典 記念講演会・式典の終了後には、 国際交流ホー ルにて記念祝賀会が盛大に催された。祝賀会に は、名誉教授の先生方、多くの本学卒業生の 方々、教職員ならびに学生が参加し、親睦を深 め合う様子が随所に見受けられ、盛会のうちに 終了した。 井手聡一郎(第 60 回卒) 記念講演会の後、休憩を挟んで、引き続き百 周年記念ホールにおいて、記念式典が行われた。 開会の辞の後、まず京都大学薬学研究科長の伊 藤信行先生より挨拶があった。挨拶では、昭和 14 年に医学部薬学科として始まり、昭和 35 年 から薬学部として新設され、今日に至るまでの −7− 京都大学薬学部記念事業レポート 「薬学部創設 70 周年記念事業」記念祝賀会に参加して 2009 年 10 月 30 日、京都大学百周年記念ホー ルでの京都大学薬学部創設 70 周年記念講演会 および記念式典に引き続き、国際交流ホールに 場所を移して記念祝賀会が行われた。 開会にあたり、伊藤信行薬学研究科長よりご 挨拶があり、続いて、4 名の先生方より祝辞が 述べられた。大阪大学大学院薬学研究科長の小 林資正先生からは、「大阪大学薬学部も創設 60 周年を迎えたが、常に京都大学薬学部は意識す るライバルであり、お互い切磋琢磨してきた。 今後もこのような関係を継続し、両学部の発展 に繋げたい」という趣旨のお話があった。続い て、京都大学名誉教授の矢島治明先生から祝辞 が述べられた。 「大学は優れた人材を輩出する ことが最も大きな使命であり、京都大学薬学部 には、師を超える後輩を社会に送り出せるよう 期待している」という言葉が印象的であった。 続いて、シミック株式会社代表取締役会長兼社 長の中村和男先生より祝辞が述べられた。 「最 近日本の経済成長は少なく、このままでは世界 から相手にされない国になってしまう。京都に は他の土地にはない伝統文化があるので、これ を有効に活用して、京都大学において優秀な人 材を育成することを期待する」という趣旨の内 容の話があった。最後に、小野薬品工業株式会 社の川溿和一十先生から祝辞が述べられた。川 溿先生からは、 「握り飯より柿の種」というた とえ話をされ、すなわち、 「京都大学薬学部には、 すぐに結果の出る研究ではなく、時間はかかっ ても将来芽の出るような基礎研究を期待してい る」という内容の話があった。どの先生の祝辞 からも、京都大学薬学部には優秀な人材を育成 するという大きな期待が寄せられていることが ひしひしと伝わり、京都大学薬学部の一教員と して身の引き締まる気持ちになった。 祝辞の後、京都大学理事・副学長である藤井 信孝先生の乾杯のご挨拶があり、食事しながら の歓談が始まった。先輩方の参加が目立ち、会 場のあちらこちらで薬学部在籍中の思い出話の 花が咲いているように思えた。やはり研究室の −8− 同門が集まり、歓談されているところが多かっ たように思う。 私が祝賀会でお話したかった先生の一人が、 恩師である京都大学名誉教授の横山陽先生で あった。4 回生で放射性薬品化学講座に配属さ れてわずか二年間ではあったが、大変お世話に なった。祝賀会が始まってから終始、横山先生 とお話する機会をうかがっていたが、会も半ば、 ようやくその機会を得た。私自身、数年間横山 先生とお会いしておらず、非常にうれしく感じ た。以前と変わらず、優しくお話ししてくださ り、その際、 「昨晩考えた実験がある。こんな ガリウム錯体を作って、腫瘍細胞への取り込み を検討したら、面白いかもしれない。」という お話をして頂いた。今なお実験のことを考えて おられる横山先生の研究者魂を肌で感じること ができ、私ももっと頑張らないといけないとい う気持ちになった。同級生の参加はわずか一人 であり、少しさみしかったが、参加していた S.S. 君は元気そうで、相変わらず楽しい話を聞 かせてくれた。お互いの学生時代の思い出話や 今の仕事の話などをして、とても楽しい時間を 過ごせた。他にも、私が学生時代の教授の先生 方、先輩、後輩の顔を見ることができ、とても 懐かしく感じた。祝賀会中、楽しそうに歓談し ている方々もまた、このような私と同じ感情を 持っているではないかと想像した。 祝賀会の最後に、佐治英郎薬学研究科副研究 科長から中締めのご挨拶があった。佐治先生は、 現在の京都大学薬学部の状況を説明され、今後 さらに将来に向かって邁進していく旨のお話を され、祝賀会を締めくくられた。テーブルを見 渡すと、食事がたくさん余っていたが、これは 歓談に夢中で食事どころではなかったという表 れだったように思う。祝賀会を通して、私自身、 卒業生の一人として、京都大学薬学部が「誇り の学び舎」であり続けてもらいたいと思い、ま た、教職員の一人として、卒業生に「誇りの学 び舎」と思ってもらえるよう努力していきたい と強く感じた。 最後に、参加者の皆さんにとって有意義な祝 賀会であったことを祈念するとともに、祝辞を いただいた先生方、世話人の先生方に御礼を申 し上げて報告を終えたい。 小野 正博(第 56 回卒) −9− 日本薬学会第 129 年会(京都大会)のご報告 日本薬学会第 129 年会は“創と療の伝統と革 新”をテーマに、本年 3 月 26 28 日、国立京都 国際会館とグランドプリンスホテル京都を会場 にして開催されました。本学部・研究科の教員 が組織委員となり、盛大な年会にすることが出 来ました。前日の 25 日午後には総会、授賞式・ 授与式が執り行われ、また、夕方のウエルカム レセプションは見晴らしのよい会場で 300 名を 超える参加者を迎え、27 日晩の 700 人の懇親会 とともに大盛会でした。懇親会では、名誉教授 の矢島治明先生より格調高いご祝辞を頂きまし た。本年会の有料参加者は約 9400 名、特別講 演者と招待者はあわせて約 500 名、さらに無料 の最終日学生参加者が 200 名と空前の規模にな りました。日本薬剤師会、日本病院薬剤師会の ご協力もあり、薬剤師参加者も例年以上で、会 期中、立ち見が出るような会場が多くありまし た。また、京都という場所柄、市内でのエクス カーションを楽しんだ参加者も少なくはなかっ たようです。 さて、薬友会会員には、「薬学をめぐる教育・ 研究は曲がりかどを迎えている」とお考えの方 もいるでしょう。創薬研究の先進化・強化は国 の大きな課題であり、一方、6 年制教育は薬剤 師業務の高度化・国際標準化を目指し、国会審 議を経てスタートしたのですが、いまだ進行中 です。それぞれ多くの課題を抱えています。こ れらに関連した年会の特別講演やシンポジウム などの企画プログラムへの会員の参加意欲は、 先端科学に対すると同じく、極めて大きいと実 感しました。4 年と 6 年制学部教育が現状のま ま推移すれば、数年後に大学院修士学生が大幅 に減り、年会の一般講演者のマスが消えると懸 念されています。6 年制の学部学生がどのよう な形で年会に参加するのか、他学部からの年会 参加者をどのように呼び込むか、あるいはプロ グラムをどのように企画するのか、議論・検討 が必要です。第 129 年会のプログラムを企画・ 担当した委員の間では、シンポジウムや企画プ ログラムが充実すれば、また教員と学生がとも により参加しやすい年会になれば、参加者の減 少を最小限にできるという意見がありました。 その場合、ウエルカムレセプションへの学生参 加の呼び込みや、参加費の改正などが具体的な 課題になるかもしれません。 日本薬学会は国際薬学連合(FIP)、またドイ ツ薬学会、アメリカ薬学会や韓国薬学会などと 交流を進めています。今回の年会でも、日米薬 学合同シンポジウム、韓国薬学会長や FIP 代表 者の特別講演を企画いたしました。アジア・オ セアニアにおける薬学は、日本と比べれば、ま だ後進的でしょうが、これらの国の発展のス ピードは日本以上です。欧米の先進性に注意を 向けることは今後も重要ですが、医療環境の変 化の大きいアジア・オセアニア各国間の薬学の 交流や教育・研究システムの構築を日本が主導 できれば、薬学会年会は近隣各国にとっても魅 力あるものになり、日本の薬学部・薬学研究科 と併せ、その世界性が高まるのではないか、ま た日本の医薬品産業にもよい影響をもたらすの ではないかと夢想しています。日本の薬学界は 今そのような地点にいるのかもしれません。 さて、第 129 年会の準備は、初めはコンベン ションサービスにお願いする予定でしたが、開 催直前の 1 月になり、これを組織委員会で代行 することになりました。膨大な業務を本研究科 の皆さんが担い、お正月から 3 月までの多忙な 時期に休日返上で年会の準備に尽力されたこと を、薬友会員の皆さんにご報告いたします。 最後に、薬友会の皆様のご声援・ご支援によ り、11 年ぶりに担当した第 129 年会が無事に開 催できたことを、改めて御礼申し上げます。 (日本薬学会第 129 年会組織委員長 半田 哲郎) − 10 − 就任のご挨拶 奥 野 恭 史 寄付講座 システム創薬科学 薬友会会員の皆様には益々ご健勝のこととお の因子の相互作用が生み出す複雑なシステムと 慶び申し上げます。平成 20 年 10 月より、新設 しての挙動を明らかにすること(システム生命 の寄付講座・システム創薬科学(寄附者:小野 科学)に移行しつつあります。本研究室では、 薬品工業株式会社)を担当させて頂くことにな 以下の 3 研究テーマを中心に、創薬に照準を りました。本紙面をお借りしまして自己紹介か 絞ったシステム生命科学の研究開発を行うこと たがたご挨拶申し上げます。 により、新たな創薬科学「システム創薬科学」 私は、平成元年に本学に入学し、バブル絶頂 の創成を目指しています。 の中、京都大学の自由な学風で育ちました。あ 1.病態発症・薬理作用プロセスのゲノム発現 まりにも自由過ぎて、学部 4 回生にご指導頂い 解析による病態メカニズム、薬理メカニズ た冨士薫先生(化学研究所・精密有機合成化学 ムのシステム的解析 分野)にはご心配をおかけしたことと反省して 2.病態発症・薬理作用プロセスのシミュレー おります。そのような私に研究の面白さ、厳し ションモデルの構築と病態原因遺伝子、薬 さ、素晴らしさなど研究の真髄をご教導くだ 物標的遺伝子の探索 3.薬理効果促進と安全性向上を志向した新規 さったのは大学院時代の恩師杉浦幸雄先生でし た。杉浦研究室(化学研究所生体機能化学分野) 薬物探索計算法、およびドラッグデザイン では、抗生物質とタンパク質、DNA との分子 理論の開発 認識に関するケミカルバイオロジー研究を学び ごく最近、NHK で放映された湯川秀樹先生 ました。平成 12 年に博士学位を取得した後は、 の特集番組を観ました。番組中で、 湯川先生は、 化学研究所内バイオインフォマティクスセン 独創性について「人間が皆同じになることが一 ターのポスドクとして、金久實センター長に生 番つまらない。独創的なものは初めは少数派に 命情報学をいろはからご指導頂き、その後、同 決まっている。」と語っておられます。これこ センターの助手を経て、平成 15 年に COE 特任 そが、私が若き日に憧れて入学した京都大学の 助手としてここ母校に戻って参りました。COE 精神であると強い感銘を受けました。 法人化後、 プロジェクトでは辻本豪三先生(ゲノム創薬科 経済的(経営的)理由からか、ほとんどの大学 学分野)に師事し、非常に寛大かつ実践的なご が画一化される方向に向かっているように思え 指導のもと、現在の研究テーマの礎となる創薬 てなりません。科学においても政策主導の All インフォマティクス研究に取り組みました。そ Japan 体制の傾向が強まっています。 (その是非 の後、本研究科の多くの先生方の暖かいご指導 は別にして、 )本学にて研究室を担当する機会 を賜りながら本研究科附属・統合薬学フロン を頂くにあたり、私は、自分にしか出来ない研 ティア教育センター・准教授を経て、現職に至っ 究を目指すとともに、京大精神を培った優秀な ております。 人材の育成に尽力する所存です。最後に、皆様 ヒトゲノム解読完了を受けて、生命科学の研 究対象は、個々の遺伝子の機能解明から、多数 におかれましては、今後ともなお一層のご指導、 ご支援賜りますようお願い申し上げます。 − 11 − 旧師探訪 ∼川嵜敏祐先生∼ 川嵜敏祐先生は 2005 年 3 月に京都大学薬学研 学院生たちの話題や様々なハプニングの思い出 究科を退官され、現在は立命館大学糖鎖工学研 話も尽きず、実に居心地のよい楽しい時間とな 究センター(びわこ・くさつキャンパス)にて りました。 (文責 内藤はるな) センター長として活躍されています。今回、旧 生物化学講座(現・生体分子認識学分野)にお ∼訪問を終えて∼ いて川嵜先生に指導を受けた同世代の 3 名、横 【横田】私は川嵜先生が教授になられてはじめ 田恭則(1995 年卒・塩野義製薬勤務)、内藤は ての 4 回生として配属されました。博士課程ま るな(1999 年卒・日本新薬勤務)及び竹松弘 で在学したため、6 年間御指導いただいたこと (1996 年卒・生命科学研究科システム機能学分 になりますが、現在の私の研究者としての礎を 野准教授)が立命館大学に川嵜先生を訪問しま 築いた時代だったと思っております。今回訪問 した。 させていただく前には 4 年ぶりにお会いするこ 川嵜先生は京都大学時代から糖鎖生物学研 とから失礼ながら「少しお歳をめされた感じに 究、特に細胞表面の糖鎖が内在性の受容体であ なっておられるのでは?」とおもっていたので る動物レクチンにより認識され、分子間の認識 すが、容姿や研究への意気込み・気迫など私の 機構に関わり生物活性を示すといった研究の開 在学当時と変わっておられず、大変驚くととも 拓者として知られていますが、立命館大学にお に嬉しく感じ、エネルギーをいただいて帰りま いても研究室の職員や学生さん方とともに癌及 した。いつまでもお健康で研究に活躍していた び免疫における糖鎖機能解析の研究をさらに推 だきたいと思います。 進されているご様子であり、変わらぬ精力的な 【内藤】大学での年月は人生におけるインキュ ご活躍に驚かされました。また、川嵜先生は研 ベーション期間であり、その時期を生化学教室 究への情熱のみならず国や地域の科学技術関連 において川嵜先生や刺激的な仲間たちと共に過 の委員会委員などとしてもご活躍されていま ごしたことは今も大切な財産だと感じます。 す。世界の中で日本のライフサイエンス研究の 【竹松】大学院時代にはお聞きする機会がなかっ 独自性や対等性をいかに維持、発展するかを課 たのですが、川嵜先生はご自身が大学院生の時 題と捉え、日本での基礎研究の将来をよりよい に聞いたある高名な先生の言葉「サイエンスの ものにすべく尽力されているご様子でした。教 話をするときには上下関係は関係ない」、「自分 育の場としての大学が重要であることは当然の の研究分野の殻の中に閉じこもるべきではな ことですが、川嵜先生から「大学を巣立ってい い」に影響を受けられ、これを胸に自由な環境 く研究者の将来像を描く上で企業研究の拡充も での研究者育成を心がけてこられた事を知りま 必要」とのご意見をいただき、企業で働く私に した。企業、大学などに分かれた卒業生ですが、 も大学での教育や研究の成果を産業界で発展さ こういった空気を吸って育った我々も少なから せる義務があり、日本の薬学やライフサイエン ずその価値観に感化され、 “Liberty”であるか ス研究の一翼を担っているのだと、改めて気持 らこそ要求される「自立的であることの重要性」 ちを引き締めなおしました。 を自然と会得していったのではないかと思いま 川嵜先生の教授室での懇談の後、奥様の川嵜 した。 伸子先生も合流して夕食を共にし、近江牛と日 本酒に舌鼓を打ちました。当時のユニークな大 − 12 − ∼川嵜先生からメッセージ∼ 久しぶりに歓談した皆さんがとても頼もしく 立派に成長されていることを知り、教師冥利に つきると嬉しく思いました。優れた研究・教育 環境、互いに切磋琢磨できる友人に囲まれて 育った京大薬友会の皆様が社会でますます重要 な役割を果たして行かれることを期待しており ます。 横田 恭則(第 51 回卒) 内藤はるな(第 55 回卒) 竹松 弘(第 52 回卒) − 13 − 旧師探訪 ∼杉浦幸雄先生∼ 「探訪」という言葉、インターネットで検索 折、卒業生の顔を思い浮かべられ、身振り手振 してみますと、 「歴史探訪」、「古寺探訪」とい りを交えて、当意即妙に話される場面もあり、 ささかノスタルジックな言葉が出てきますが、 ご多忙な中でも常日頃から卒業生を気にかけて どうやら「旧師探訪」という言葉は京大薬友会 いただいていることに一同嬉しく感じました。 誌の専売特許のようです。恩師の杉浦幸雄先生 折しも政権交代後の訪問でしたが、科学技術政 とは、京大をご退職後も、薬学会の時期に合わ 策の話題になると一転、産業界主導のイノベー せまして、有志による恒例の「杉浦先生を囲む ション政策に対する憂慮と基礎研究の大切さに 会」を催しており、元気なお姿を拝見しており ついて眼光炯炯として語られる姿には、研究者 ますが、今回は敢えて「探訪心」を胸に秘めな としての「品格」を改めて教授いただいた思い がら、先生の現在の勤務先であります同志社女 でした。 子大学の京田辺キャンパスへと向かいました。 休日には京大時代の重責から解放されて、無 杉浦先生は、京大を退職された後、同志社女 為の時間の中でリラックスして過ごされている 子大学薬学部生命物理化学研究室の教授として そうで、研究室においては恒例の温泉旅行、特 就任され、日本薬学会の会頭などを歴任、現在 に近年は本物志向の秘湯にてリフレッシュされ もなお各地でご講演を依頼されるなど、南船北 ているとのこと。最後に玄関までお見送りいた 馬のご活躍ぶりです。先生の研究室は京田辺 だき、一言「まだ頑張るで」と、ほころんだ笑 キャンパス内でも丘の上、今なお真新しい薬学 顔が心強くもあり印象的でした。卒業生の皆様 部実験実習棟「憩水館」にあります。最寄り駅 も是非「探訪」されてみてはいかがでしょうか。 を降り立った私たちの眼前には、坂、坂、坂。 温故知新の良い機会になるとともに、何より先 雨の降りしきる中、やっとの思いで研究室に到 生がお喜びになることと思います。最後になり 着した私たちを、先生は変わらぬ笑顔で温かく ましたが、先生のご健康とご多幸をお祈りして 迎えてくださいました。先生に伺いますと、ご おります。 自宅から 1 時間 40 分、毎日キャンパス内の階段 荒木 通啓(院第 44 回卒) を「2 段飛びで駆け上がるねん」と破顔一笑。 宇野裕美子(院第 47 回卒) 京大時代を彷彿とさせるデスクの山積みの書類 瀬月内佳代子(第 60 回卒) からは先生の充実ぶりを垣間見ることができ、 これが健康とパワーの源泉か、と甚だ感服させ られた次第です。 先生の話は多岐にわたり、独特の軽妙な語り 口で、私立大学における薬学教育・研究のご苦 労、医薬品業界・薬学会の動向から、はたまた 世相にいたるまで、要職を歴任されているだけ あり、見識の高い貴重なお話を伺うことができ ました。研究への情熱は京大時代と相変わらず、 「化学と生物学のインターフェイス」をスロー ガンに DNA 研究を立ち上げられた経緯から現 在のご活躍まで熱く語っていただきました。時 − 14 − 「会員便り∼第 37 回卒業生同窓会」 藤吉 彰(第 37 回卒) 桜の開花が遅れてちょうど見ごろを迎える 3 ころですが、今年は歌手の加藤登紀子さんのご 月末、京都で薬学会総会が開催されました。学 実家でもある祇園近くの【キエフ】がえらばれ、 会のあと祇園小橋のあたりをぶらぶらと歩いて 普段の和食や中華とは違うロシア料理を堪能し いると桜が見ごろを迎えていて、いいタイミン ました。ロシア料理といえば、ピロキシやボル グでの開催となりました。学会にあわせ各卒業 シチなどしか知りませんでしたが、パイ生地で 年度のクラス会が催されたようですが、37 回 作られた帽子をかぶったきのこのクリーム煮 (51 年)卒も 2 年ぶり?のクラス会を学会最終 「グリヴィ」もおいしいものでした。ワインも 日の 28 日に行いました。薬学会開催に合わせ 伝統的な陶器でできた壷のようなカラフェで供 て多数の参加を期待してのことでしたが、学会 され、その由来をお店の人が豊富な知識ととも への参加も少なかったのか関西のメンバーを中 に説明をしてくれて一同感心するなど、雰囲気 心に 13 名が集まり、近況の報告やら最近の話 を盛り上げました。最後に全員で恒例の写真を 題やらで楽しい時を過ごしました。女性メン 撮って解散。充実した 2 時間半でした。このレ バーは子育てが一段落したせいかリラックスし ストランの屋上ビアガーデンは「五山の送り火」 ているところが感じられ、活気にあふれている を見るのに最適な隠れた穴場ということで、早 のに対して、男性陣は疲れが見える傾向があっ 速幹事が夏の納涼会会場として予約をしていま て、静かで好対照でした。(そう感じたのは私 した。来年の場所を検討の幹事さん、夏はここ だけか?)いつも幹事は会場選定に苦労すると も有力な候補では。 − 15 − 「会員便り∼第 46 回(新制 33 回)卒業生同窓会∼」 矢野 育子(第 46 回卒) 前回の同窓会から約 10 年ぶりに、薬学会が 活躍している人や薬剤師として活躍している 京都で開催されたこともあって第 46 回卒業生 人、子育てに追われるパパさんママさん、子育 の 同 窓 会 を 2009 年 3 月 27 日 に 開 催 し ま し た。 てが一段落してゆとりが出てきた人、つい先日 まずは薬友会名簿を頼りに案内状の送付を行 会社を辞めた、とびっくりさせてくれた人、子 い、さらにできるだけたくさんの参加を募ろう 供の受験で頭を悩ませている人など、ひとりひ とメール連絡のとれる人たちにお願いすると、 とりの 24 年間を感慨深く聞くことができまし 見事な連携で参加者を募ることができました。 た。学生時代にタイムスリップして思い出話に 当日は薬学会に参加した方だけでなく、近郊 盛り上がっていたところに、乾杯の前に撮影し にお住まいの方や関東方面からの参加もあり、 た集合写真が配布されると、「今どきの IT 技術 卒業後 24 年となる総勢 32 名の仲間たちのにぎ はすごいなあ」と、やや年齢を感じさせる声が やかな会となりました。顔と名前が一致するか 耳に入り、ふと現実に返ってしまいました。そ と心配していましたが、なつかしい顔ぶれが集 の後 1 次会だけではもの足りず、ほぼ全員がホ まると皆学生時代の面影があってすぐに旧姓や テルのラウンジで閉店までにぎやかにすごした 当時呼び合ったニックネームとともに学生時代 一晩でした。 の思い出が記憶に甦ってきました。 是非また数年後にこのような機会を持ちたい 乾杯して食事も一段落したあと、マイクを ものです。幹事を担当してくださる方を募集し 持ってひとりずつ近況報告を行いました。男性 ています。開催の案内をお届けすることができ は体格が立派になった方がほとんどでしたが、 なかった方、次回は是非ご参加下さい。そのた 学生時代のままの体型を維持している方もいて めにはまず薬友会名簿の更新をお済ませ下さい 皆の注目の的となっていました。企業や大学で ね。 − 16 − 「会員便り∼第 48 回卒業生同窓会」 小田 吉哉(第 48 回卒) 2009 年 3 月 28 日土曜日芝蘭会館別館にて第 顔がわからないであろうと名札を用意しました 48 回(昭和 62 年)卒の同窓会を開催しました。 が思い切り風貌が変化した人は皆無。それに予 卒業直後に一度同窓会を京都・大原にて行いま め Web サイトに掲示板を作って、近況報告を したが、当時はまだ修士課程に多くの人が在籍 一言ずつ掲載しておいたことも功を奏して、み していたので、事実上初めての同窓会と言って んな 22 年前の卒業時、つまり今までの人生の もいいと思います。そもそもきっかけは大学の 中間点に即タイムスリップ。個人的な話題はこ 先生をやっている連中が学会で同窓会の話を こでは割愛させていただきますが、この 22 年 し、結局京大に残っている岡村(旧姓加藤)み 間それぞれ、いろいろな人生をおくってきたよ や子さんがみんなのために骨を折ってくれて無 うで 8 時に会場を追い出されるまで話が途切れ 事に開催することができました。しかし当初は ず、このまま解散するのが惜しく 28 名が荒神 20 年もの空白があり、しかも家庭に入った人 口付近の居酒屋「くれない」で二次会を開催。 や薬とは異なる分野に進んだ人などは連絡が難 みんなすっかり若返り大学生気分のつもりが隣 しいであろうと危惧しましたが、なんと連絡を で現役京大生が一気飲みの連続で異様に盛り上 取れた人は 66 人(名古屋の駅で偶然見かけて がっていて、さすがに自分らにはあのパワーは 連絡が取れたという人も!)で、同窓会開催の ないと痛感。しかし学生時代の思い出話から近 ために連絡先情報を登録して下さった人は 56 況報告まで話題は尽きず、タクシーで木屋町に 人、最終的に当日参加できた人は 43 名と過半 繰り出して四条通に近いイマージアムビルの 数を楽に上回りました。ちょうど京都で薬学会 「和’s」で 17 名が三次会に突入しました。こ が開催されていましたが、それに参加した人は こでは座って静かに飲み語り合うことができま ごく僅かで、みんな同窓会のためだけに京都に したが閉店のため店を追い出され、木屋町通り 来ました。当日は午後 4 時過ぎから三々五々集 を北上し、南君が京大時代からの行きつけてい まりだし 5 時に乾杯。久しぶりの再会で名前と るワインバーで 9 名が 4 次会に参加。最後まで − 17 − 残った人としては大学関係者が多く、さすが普 窓会の様子を伝えることができ、また調剤薬局 段から若者を相手にしているだけのことはあり で働いている人たちが自分の経験を語って新米 ました。意外に最後まで元気だったのが分析研 薬剤師にアドバイスするなど早速、その効果が 出身者たちで 4 名生き残りました。このまま夜 表れて、やはり学生時代の仲間は良いもんだと 明けまで語り合う勢いでしたが、微妙な味わい みんな感じていることと思います。こうして同 の赤ワインを 2 種類飲みほしたところで、急に 窓会だよりを書いている私は、遠いマサチュー みなさん疲れが出て解散。今度集まるのは 20 セッツ州にいながらも京都のことを懐かしく思 年後かもしれない、などと心配しながら帰路に い出しています。末筆になりましたが、参加さ つきました。なお今回、折角多くの人と連絡が れた方、連絡をくれた方、当日お手伝いしてく 取れたため、この努力を次回の同窓会(いつ? れた方、そして全てを仕切ってくれた岡村みや 誰が幹事?)に活かすためにもメーリングリス 子さんにお礼を申し上げますとともに皆様のご トを作成し近況を報告しあえるようにしまし 健康とご多幸をお祈り申し上げます。 た。よって同窓会に参加できなかった人にも同 − 18 − 「会員便り∼第 55 回(新制第 42 回)卒業生同窓会報告」 大河原賢一(第 55 回卒) 一昨年のとある学会で、普段は研究分野が異 なるため、めったに顔を見ることの無い同級生 4 人が偶然の再会を果たした(久米利明氏、中 川貴之氏、中村 任氏と私)。その夜急遽開催 された 4 人での飲み会にて、 「京都で開催され る薬学会 129 年会の会期中に同窓会をやろう」 との提案があり、全員の同意が得られた。そこ で、久米、中川の両氏と同じく京都大学に教員 として籍をおく加藤裕教氏を加えた我々5 名を 実行委員とし、同窓会の開催へと向け準備を進 めてきた。その甲斐あって、昨年度末に京都に て開催された日本薬学会第 129 年会の最終日(3 月 28 日)の夕刻より、第 55 回(新制第 42 回) 卒業生の同窓会が「ホテルモントレ」において 無事に開催の運びとなり、参加者数約 35 名の 盛会であった。 これまでに学会等で何度か顔を見かけていた 友人以外にも、卒業(修了)以来の再会となる 懐かしい面々にも会うことが出来、非常に懐か しく、楽しいひと時となった。会の途中に設け た、参加者各自からの近況報告の場においては、 皆一度話し始めると止まらず、我々実行委員か ら終了の催促が入る場面が多々あった(おかげ でこちらが近況報告として予定していた時間を 遥かに超過し、大量の料理を手付かずのまま残 すこととなった)。学生時代には交わすことの 無かった子供の話などを紹介する参加者もあ り、笑いの絶えない近況報告となった。参加者 と の 充 分 な 交 流 を 図 る に は、2 時 間 の パ ー ティーでは足りるはずも無く、実行委員により 予めアレンジされていた 2 次会にも 25 名程度の 参加があった。2 次会も、笑いの絶えない場と なり、参加者共々時間が経つのを忘れて楽しむ ことが出来た。 本同窓会が呼び水となり、関西圏、あるいは 関東圏在住の同級生同士で、それぞれ歓談する 場を設けることが決まったと聞いており、本同 窓会は、今後の同級生同士の交流を後押しする 意味でも実り多きものであったと思う。今回は 京都での薬学会の開催というのが契機となり、 実行委員による連絡先の調査から着手し、なん とか開催にこぎつけることができた。同級生の 所在地が日本各地に散らばっていることもあ り、次回の開催時期、場所に関しては決定事項 とは至らなかったが(次年度岡山にて開催され る薬学会 130 年会での開催を提案したが、参加 者からは「なしのつぶて」であった)、こういっ た会は今後も定期的に開催する必要があると感 じた。最後になりましたが、京都大学薬友会会 員の皆様のご健勝と、当会の益々のご発展をお 祈り申し上げます。 − 19 − 人 事 異 動 (平成 20 年 11 月 1 日∼平成 21 年 10 月 31 日) 氏 名 年 月 日 異動内容 猪熊 翼 平成 20 年 12 月 1 日 サービス・イノベーション人材育成特定助教(産官学連携) (日本学術振興会特別研究員より) 小野原直哉 平成 20 年 12 月 1 日 大学院教育改革支援プログラム特定助教(JSPS) (九州大学大学院医学研究院学術研究員より) 鈴木ちぐれ 平成 20 年 12 月 1 日 サービス・イノベーション人材育成特定助教(産官学連携) (薬理ゲノミクス特定研究員より) 山内 肇 平成 21 年 1 月 1 日 大学院教育改革支援プログラム特定助教(JSPS) (日本学術振興会特別研究員より) 矢倉 徹 平成 20 年 12 月 31 日 辞職(薬品資源学助教) (武田薬品工業株式会社へ) 栄田 敏之 平成 21 年 1 月 1 日 統合薬学フロンティア教育センター特定教授(特別教育研究) (統合薬学フロンティア教育センター改革推進教授より) 申 惠媛 平成 21 年 1 月 15 日 辞職(生体情報制御学助教) (京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット特定助教へ) 新島 聡 平成 21 年 2 月 1 日 システム創薬科学特定助教(寄付講座) (システム創薬科学産学官連携研究員より) 杉本 幸彦 平成 21 年 3 月 31 日 辞職(生体情報制御学准教授) (熊本大学教授へ) 矢野 義孝 平成 21 年 3 月 31 日 退職(統合薬学フロンティア教育センター特別教育研究准教授) (京都薬科大学教授へ) 窪田 愛恵 平成 21 年 3 月 31 日 退職(統合薬学フロンティア教育センター改革推進助教) (京都大学大学院医学研究科医学教育センター教務補佐員へ) 髙橋 有己 平成 21 年 4 月 1 日 病態情報薬学分野助教 (University of Pittsburgh リサーチフェローシップより) 山本伸一郎 平成 21 年 4 月 1 日 生体分子認識学助教 (京都大学大学院工学研究科特定研究員より) 西村 慎一 平成 20 年 9 月 1 日 システムケモセラピー(制御分子学)助教 (システムケモセラピー(制御分子学)産学官連携研究員より) 清水 一憲 平成 21 年 4 月 1 日 革新的ナノバイオ創薬研究の推進拠点特定助教(特別教育研究) (株式会社豊田中央研究所客員研究員より) 樋口ゆり子 平成 21 年 4 月 1 日 革新的ナノバイオ創薬研究の推進拠点特定助教(特別教育研究) (薬品動態制御学特定研究員より) 山森 元博 平成 21 年 4 月 1 日 統合薬学フロンティア教育センター助教 (神戸大学医学部附属病院麻薬室長より) 高橋 清大 平成 21 年 5 月 1 日 革新的ナノバイオ創薬研究の推進拠点特定助教(特別教育研究) (北海道大学大学院薬学研究院博士研究員より) − 20 − 氏 名 年 月 日 異動内容 小野原直哉 平成 21 年 5 月 31 日 辞職(大学院教育改革支援プログラム特定助教(JSPS)) 塚野 千尋 平成 21 年 6 月 1 日 薬品分子化学分野助教 (東北大学大学院理学研究科助教より) 松尾 雅博 平成 21 年 6 月 1 日 革新的ナノバイオ創薬研究の推進拠点特定助教(特別教育研究) (システムバイオロジー特定研究員より) 林 豊 平成 21 年 6 月 1 日 革新的ナノバイオ創薬研究の推進拠点特定助教(特別教育研究) (システムケモセラピー(制御分子学)特定研究員より) 大石 真也 平成 21 年 6 月 1 日 ケモゲノミクス講師 (ケモゲノミクス助教より) 川上 茂 平成 21 年 6 月 1 日 薬品動態制御学講師 (薬品動態制御学助教より) 加藤 洋平 平成 21 年 9 月 1 日 生体情報制御学分野助教 (McGill 大学モントリオール神経科学研究所 Postdoctral fellow より) 小西 守周 平成 21 年 9 月 14 日 辞職(遺伝子薬学分野助教) (神戸薬科大学准教授へ) 木村 寛之 平成 21 年 10 月 1 日 革新的ナノバイオ創薬研究の推進拠点特定助教(特別教育研究) (病態機能分析学特定助教(産官学連携)より) 武井 義則 平成 21 年 10 月 1 日 革新的ナノバイオ創薬研究の推進拠点特定助教(特別教育研究) (Medical Research Council senior investigator scientist より) 山崎 大樹 平成 21 年 10 月 1 日 大学院教育改革支援プログラム特定助教(JSPS) (日本学術振興会特別研究員より) − 21 − 受 賞 (平成 20 年 11 月 1 日∼平成 21 年 10 月 31 日) 氏 名 年 月 日 受 賞 名 乾 賢一 平成 20 年 11 月 16 日 AAPS Research Achievement Award in Pharmacokinetics, Pharmacodynamics and Drug Metabolism 樋口ゆり子 平成 21 年 1 月 9 日 平成 20 年度日本薬学会近畿支部奨励賞 久米 利明 平成 21 年 3 月 17 日 第 24 回日本薬理学会学術奨励賞 竹本 佳司 平成 21 年 3 月 25 日 日本薬学会学術振興賞 大石 真也 平成 21 年 3 月 25 日 日本薬学会奨励賞 小野 正博 平成 21 年 3 月 25 日 日本薬学会奨励賞 中野 実 平成 21 年 3 月 25 日 日本薬学会奨励賞 奥野 恭史 平成 21 年 4 月 14 日 文部科学大臣表彰科学技術賞 科学技術振興部門 受賞 − 22 − 博士(薬学)の学位授与される 平成 20 年 11 月 25 日 天 滿 敬 核医学イメージング法による脳酸素代謝率の 定量測定法の開発に関する研究 平成 21 年 1 月 23 日 寺 内 太 朗 ウシ胎仔血清由来神経保護物質セロフェンド 酸の合成および構造活性相関に関する研究 平成 21 年 3 月 23 日 富 田 健 嗣 Structure-Activity Relationship Study on GPR54 Agonists(GPR54 アゴニストの構造活 性相関研究) 土 田 晋 連続型アミノリチオ化―カルボリチオ化反応 の開発 郝 新 宇 Amidomonophosphane-Rodium (I) Complex Catalyzed Asymmetric Arylation of N Phosphinoyl Aldimine(キラルアミドモノホス ファン−ロジウム (I) 触媒を用いたN - ホスフィ ノイルイミンへの不斉アリール化反応) 前 川 勝 ジメチル亜鉛を開始剤とするエーテル類の官 能基選択的ラジカル共役付加反応 Magdi Awadalla Mohamed Elhussein Synthetic Studies towards (+)-Pancratistatin using an Asymmetric Conjugate Addition and Oxidation of Amine to Amide as Key Steps(不斉共役付加およびアミンからアミ ドへの酸化を鍵工程とする (+)-Pancratistatin の合成研究) 松 本 安 正 C2 キラルカルベン−金属錯体を用いる触媒 的不斉反応の開発 池 田 恵 介 Physicochemical Study on Alzheimer's Amyloid-β Fibril Formation Mediated by GM1 Ganglioside Cluster(GM1 ガングリオ シドクラスターを介したアルツハイマー病ア ミロイドβタンパク質線維形成に関する物理 化学的研究) 若 林 真 樹 Elucidation of Amyloid Formation Processes on Cell Membranes: Lipid Rafts as a Scaffold (生体膜中でのアミロイド線維形成過程の解 明:足場としての脂質ラフト) 佐 藤 友 美 Studies on the Structure and Mechanism of P-Glycoprotein(P 糖タンパク質の構造と作動 機構に関する研究) 寺 角 香菜子 大腸菌由来 P 糖タンパク質ホモログ MsbA の X 線結晶学的研究 原 貴 史 脂肪酸受容体 GPR40(FFAR1)のタンパク 化学的解析に関する研究 菅 慶 三 基質認識型不斉求核触媒の開発―対称ジオー ル及びジアミンの不斉アシル化― 渡 邊 俊 英 不斉記憶型手法を用いる四置換炭素含有アミ ノ酸誘導体の合成 安 西 大 輔 β 1,3- グルクロン酸転移酵素により生合成さ れる糖鎖の胚発生における機能解析 木 塚 康 彦 グルクロン酸転移酵素の活性調節機構と HNK-1 糖鎖の発現制御に関する研究 岡 村 敏 行 脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化 および機能変化に関する培養脳組織切片を用 いた研究 出 山 諭 司 痛みによる不快情動生成における分界条床核 の役割に関する研究 堀 田 祐 平 Fgf 16 及び Fgf 21 の心筋細胞増殖因子、脂 肪代謝制御因子としての生理的意義の解明 WASSANA WIJAGKANALAN Development of Novel Anti-Inflammatory Therapy based on Macrophage-Selective Drug Targeting using Mannosylated Lipid Nanoparticles(マンノース修飾脂質ナノ微 粒子を用いたマクロファージ選択的薬物ター ゲティングに基づく新規抗炎症療法の開発に 関する研究) − 23 − 古 林 裕 貴 癌細胞により惹起される活性酸素を標的とし た catalase デリバリーによる癌治療の開発 に関する研究 向 井 英 史 臓器特異的遺伝子発現制御を目的とした組織 押圧核酸導入法の開発に関する研究 小 田 徹 パーキンソン病治療薬ブロモクリプチンとア ルツハイマー病治療薬ドネペジルの神経突起 伸長に対する作用に関する薬理学的研究 浜 康 博 網膜神経節細胞における興奮毒性の発現機序 と調節機構に関する研究 山 本 憲 幸 プロテアソーム活性調節によるドパミン ニューロン死の制御に関する研究 王 媲 琳 Roles for Small G Protein Rac1 in Amyloid Cascade Hypothesis(低分子量Gタンパク質 Rac1 のアミロイドカスケードにおける役割 に関する研究) 髙 橋 啓 太 アミロイド前駆体蛋白質(APP)を介した シグナル伝達機構に関する研究 中 西 正 弥 神経幹細胞の増殖・分化制御機構と形質転換 に関する研究 河 合 知 喜 アルツハイマー病の分子イメージングのため の放射性分子プローブの開発に関する研究 工 藤 喬 腫瘍の低酸素領域の核医学画像診断を目的と した放射性診断薬の開発に関する研究 佐 野 紘 平 膜結合型マトリックスメタロプロテアーゼ -1 を標的とした腫瘍画像診断薬の開発に関する 研究 吉 田 寛 幸 Analysis of Production Profiles of Inflammatory Cytokine and Type I Interferon Induced by Plasmid DNA in Cultured Cells and in Mice(培養細胞及びマ ウスにおけるプラスミド DNA による炎症性 サイトカイン及びI型 IFN 産生プロファイ ル解析に関する研究) 細 畑 圭 子 薬理ゲノミクスに基づいた生体肝移植後の免 疫抑制療法個別化に関する研究 赤祖父 盛 虚血誘発神経細胞死に対するアルツハイマー 型認知症治療薬ドネペジルの保護作用に関す る研究 紺 野 肇 Stabilization Effect of Polymers on Amorphous Solid Dispersions of Felodipine against Crystallization(非晶質フェロジピン 固体分散体の結晶化に対するポリマーによる 安定化効果) 古 妻 正 勝 CYP2D6 基質としてのインドリン / インドー ル -5- 酢酸誘導体の薬物代謝学的研究 平成 21 年 5 月 25 日 片 山 貴 博 神経細胞傷害時のケモカイン産生誘導機構に 関する薬理学的研究 平成 21 年 9 月 24 日 Khalid Bashir Shaaban Selim Development of Chiral Ligand‒Copper(I)Catalyzed Asymmetric Conjugate Addition and Allylic Substitution with Organometallic Reagents(キラル銅触媒を用いる有機金属 反応剤の触媒的不斉共役付加およびアリル位 置換反応の開発) PENSRI CHAROENSIT Development of Inhibition Methods for ProInflammatory Cytokine Production Induced by Cationic Carrier/Plasmid DNA Complex (カチオン性キャリア / プラスミド DNA 複 合体により誘導される炎症性サイトカイン産 生に対する抑制法の開発) Sakulrat Rattanakiat Development of Novel DNA-Based Nanosized Drug Delivery System using DNA Containing Unmethylated CpG Dinucleotides(非メチル化 CpG ジヌクレオ チドを含む DNA を利用した DNA を基盤と する新規ナノサイズ DDS 開発に関する研究) 今 井 友 美 タンパク質−リガンド分子間相互作用におけ る非カノニカル相互作用の量子化学的研究 − 24 − 修士(薬学)の学位授与される 平成 21 年 3 月 23 日 神 谷 博 貴 Lys-Lys 型フルオロアルケンジペプチドイソ スターの合成と HIV 膜融合阻害剤への応用 小 林 数 也 有機銅 亜鉛複合試薬を用いたトリフルオロ メチルアルケンジペプチドイソスターの新規 合成法の開発 鈴 木 大 和 ピラジンを母核とする CK2 阻害剤の構造活 性相関研究と新規複素環含有創薬テンプレー ト構築法の開発 増 田 亮 蛍光標識ケモカイン受容体 CXCR4 アンタゴ ニストの開発と応用 渡 辺 健太郎 薬剤耐性株に対する新規 HIV 膜融合阻害剤 の開発を指向した評価系の構築と応用 兼 重 篤 謹 アミノリチオ化とカルボリチオ化の連続化へ の試み 鈴 木 真由子 四 級 炭 素 の 不 斉 構 築 を 鍵 と す る (−)Aspidospermidine の全合成 高 田 拡 嗣 環化−転位連続反応を経由する光学活性な 3- アミノカルボン酸エステルの 5 員環または 7 員環ラクタムへの変換反応における理論化 学的反応経路解析 仲 野 真 由 アシロキシメチルラジカルの発生および付加 反応の開発 馬 場 廣 海 オレフィンのヒドロアミノ化を応用した Javaberine 類合成へのアプローチ 柿木原 一 成 クロロギ酸アミドの Friedel-Crafts 型反応を 利用したα,β- 不飽和ラクタムの合成法の開 発 竹 田 寛 不飽和結合を有するカルバミン酸誘導体の分 子内アミド化・アミジン化反応の開発と応用 田 中 徹 触媒的連続反応による 2- メチレンシクロヘ キサノン化合物の一挙構築 今 村 洋 子 スペルミジン及びスペルミンを標的とした高 感度試薬の開発 友 原 啓 介 C-O 軸不斉エノラートを経由する不斉反応の 開発 岸 田 浩 一 沈香オイルの成分とマウス自発運動量に与え る影響について 高 木 康 司 リモネン合成酵素における立体制御部位の解析 横 見 尚 桂 桂皮のストレス性胃潰瘍予防効果および成分 と味の多様性について 田 中 慎 治 溶液高分解能 NMR による凝集性タンパク質 の新規構造解析法の開発 長 田 尚 樹 プロリン及び塩基性アミノ酸が抗菌性ペプチ ドの作用と標的に及ぼす役割 山 口 貴 宏 システイン架橋ダイマーを用いたアミロイド βタンパク質の線維形成機構の解明 浅 田 直 也 FMO 法によるカゼインキナーゼ 2 の分子認 識機構解析 奥 田 智 彦 ルシフェリン再生酵素の X 線結晶構造解析 坂 井 恵理子 ヒト由来 BMAL1: CLOCK の bHLH ドメイン の X 線結晶構造解析を目指した研究 宇 山 允 人 両連続キュービック液晶構造を有する新規脂 質分散粒子の安定性と血漿成分との相互作用 岡 本 奈生子 コレステロールがリポタンパク質モデル粒子 の細胞への取り込みに与える影響 出 口 敬 子 アポリポ蛋白質 E アイソフォームのグリコ − 25 − サミノグリカンおよび脂質粒子に対する結合 性の速度論的評価 松 﨑 直 哉 リポソーム―再構成 HDL 間のコレステロー ル移動速度の評価 浦 島 利 樹 新規小胞体膜タンパク質 TRIC-B のチャネル 機能 太 田 紘 也 胃特異的に発現する新規分子 TRIM50 馬 場 恒 也 神経系における O 型 HNK-1 糖鎖の構造及び キャリアタンパク質に関する研究 山 本 哲 司 ジャンクトフィリン欠損マウスの小脳におけ る神経可塑性異常 上 田 真理子 マウスマクロファージ様細胞 RAW264.7 の 生理的機能におけるインターフェロンの関与 金 野 真 和 小胞体ストア感受性チャネル(SOC)機能に 対する小胞体 Ca2+ 結合タンパク質 Calumin の関与 八 谷 有 美 中脳切片培養系で新しく見出した慢性 SSRI によるセロトニン遊離の増強 三 平 和 明 脳虚血による神経障害における TRPV1 の関与 松 谷 一 慶 活性化ミクログリアにおける TRPV4 の病態 生理学的役割 山 口 健太郎 TRPM2 ノックアウトマウスの網羅的行動解析 片 山 未 佳 咽頭弓軟骨形成における zebrafish fgf20b の 役割 中 川 遊 Zebrafish fgf22 の中脳及び小脳形成における 役割 吉 川 摩 耶 脳神経系形成における BMP antagonist zebrafish brorin の役割 佐々木 さやか 心臓形成における Fgf16 の役割の解明 高 木 寛 之 Fgf21 の脂肪代謝制御因子としての生理的意 義の解明 王 碩 マウスにおける新規分泌性因子 fibin の機能 解析 川 崎 友紀子 Myometrial Contraction Cooperatively Exerted by Prostaglandin EP1,EP3 and FP Receptors is Required for Successful Parturition(複数 のプロスタグランジン受容体を介した子宮収 縮は分娩に必須である) 黒 岩 健 二 The Signal Transduction Mechanism of Prostaglandin EP3 Receptor-Elicited Superactivation of Adenylyl Cyclase(プロ スタグランジン EP3 受容体による cAMP 産 生増強のシグナル伝達機構) 艾 超 Studies on Intracellular Localization and Functions of FIP4(細胞内輸送タンパク質 FIP4 の細胞内局在と機能の解析) 満 智 秋 Regulation of Golgi Functions by Arl1 and its Effectors, Arfaptins(低分子量 GTP 結合 タンパク質 Arl1 とそのエフェクターによる ゴルジ体の機能の調節) 山 本 昆 明 Regulation of Endosomal Functions by Rab14 and its Effector, RUFY1(低分子量 GTP 結合タンパク質 Rab14 とそのエフェク ターによるエンドソーム機能の調節) 東 佑 翼 金属応答性 bZIP 型 DNA 結合タンパク質の 創製 小 林 祥 子 pH 感受性膜融合ペプチド / カチオン性脂質 複合体による新規薬物送達法の開発 福 田 保 則 生細胞を用いた光架橋によるペプチド - タン パク質相互作用の解析 能 代 大 輔 金属イオンによるチャネル形成ペプチドの会 合制御 − 26 − 広 瀬 久 昭 フロックハウスウイルス由来ペプチドの効率 的細胞内移行 池 村 舞 Inhibition of Insulin Resistance by Continuous Removal of Hydrogen Peroxide using Catalase Derivatives(カタラーゼ誘導 体を用いた持続的な過酸化水素消去によるイ ンスリン抵抗性の抑制) WU CAN Improving Labeling Efficacy of Mesenchymal Stem Cells using Polyamidoamine DendrimerConjugated Quantum Dots(ポリアミドアミ ンデンドリマー修飾量子ドットによる間葉系 幹細胞の標識効率改善) 周 舒 文 Efficient Inhibition of Pulmonary Metastases by Intranasal Administration of Immunomodulatory CpG DNA Lipoplex(免疫活性 化能を有する CpG DNA リポプレックスの 経鼻投与に基づく効率的肺転移抑制) 寺 井 久美子 Development of HDAC Inhibitor Trichostatin A-Encapsulated PEGylated Amino Acid Dendrimer for Anticancer Therapy(がん治 療を目的とした HDAC 阻害剤トリコスタチ ン A 封入 PEG 修飾アミノ酸デンドリマーの 開発) 中 西 秀 之 In vivo Sustained Gene Expression using PiggyBac Transposon(PiggyBac Transposon を用いた in vivo 遺伝子発現の持続化) 馬 凡 Tumor Regression Utilizing Spleen PressMediated IL-12 Gene Transfection Method (押圧法を利用した脾臓への IL-12 遺伝子導 入による癌増殖抑制) HAIDAR M KARIM Optimization of Process Parameters for Controlled Released Microspheres of Minocycline Hydrochloride based on the Robust Desigh Method 古 川 広 之 Prediction of Clinical Outcomes by Plasma Concentration of 5-Fluorouracil and VEGF Genotypes in the Patients with Esophageal Squamous Cell Carcinoma(フルオロウラシ ル血中濃度、VEGF 遺伝子型による食道が ん化学放射線療法臨床成績の推定) 宮 野 拓 也 Novel Trastuzumab-Conjugated Anionic Amino Acid Dendrimer for HER2-Positive Breast Cancer Cells-Specific Internalization (新規 Trastuzumab 結合アニオン性アミノ 酸デンドリマーによる HER2 陽性乳癌細胞特 異的内在化) 五百蔵 忠 明 ラット中大脳動脈閉塞モデルにおけるセロ フェンド酸静脈内投与による保護作用 畝 村 和 宏 アストロサイトにおけるα 7 ニコチン性アセ チルコリン受容体の発現上昇と細胞障害の関与 大 木 雄 太 培養大脳皮質細胞における pitavastatin のグ ルタミン酸神経毒性に対する保護作用に関す る研究 髙 木 美佳子 出血性脳障害におけるポリアミン類の関与 田 村 瞳 培養脳血管内皮細胞における酸化ストレスに 対する植物由来化合物の作用 野 中 秀 樹 ミクログリアから MAP2 陽性または GFAP 陽性細胞への分化転換機構に関する研究 藤 村 一 彦 ディファレンシャルディスプレイ法を用いた 神経幹細胞分化制御因子の探索 青 木 雅 世 ヒト OCT の組織特異的な発現とプロモー ター領域のメチル化 岩 野 淳 子 hMATE1 の機能的発現における C 末端領域 の重要性 遠 山 佳 奈 血糖降下薬メトホルミンの腎排泄能予測因子 の探索 中 尾 有 見 ヒト近位尿細管における薬物トランスポータ の発現に関する研究 − 27 − 中 川 俊 作 慢性腎不全時の尿細管機能低下における mTOR シグナル経路の役割 高須賀 な な Design and Development of Liposomal DDS for Renal Delivery of CK2 Inhibitor(CK2 阻 害剤の腎臓デリバリーを目的としたリポソー ム DDS 製剤の設計と開発) 服 部 香代子 Sustaining Transgene Expression of Murine Interferon γ for the Treatment of Atopic Dermatitis(インターフェロンγ遺伝子発現 の持続化によるアトピー性皮膚炎治療) 福 原 康 史 Effect of Cytoskeleton Changes Induced by Physical Gene Transfer on Transgene Expression(物理的遺伝子導入による細胞骨 格変化が遺伝子発現に及ぼす影響の解析) 水 野 友美子 Development of Short DNA-based Nanoparticles and Hydrogels for Immunoand Chemotherapy(免疫・化学療法に向け た短鎖 DNA を基盤とする DNA ナノ粒子・ ハイドロゲル開発) 矢 田 智 也 Development of Cytophilic Human Catalase for Control of Abnormal Cell Adhesion(細 胞接着異常の制御を目的とした細胞親和性ヒ トカタラーゼの開発) 小 川 侑 記 血栓形成系を標的とした不安定性動脈硬化プ ラークの核医学イメージング剤の開発:テク ネチウム -99 m標識抗 Tissue Factor 抗体に 関する基礎的研究 志 水 陽 一 腫瘍のインビボ分子イメージングのための標 的特異的活性化蛍光プローブの開発 戸 松 賢 治 マイクロ合成技術を基盤とした PET 用分子 プローブの合成研究 原 田 晃 名 脳虚血障害後の環境刺激による脳神経機能再 生の評価法の探索 正 木 悠紀子 インビボでの on/off スイッチング機構を有す る新規機能性 MRI プローブの開発に関する 基礎的検討 修士(薬科学)の学位授与される 平成 21 年 3 月 23 日 小 林 武 史 ゲノム情報を用いた硫黄転移関連酵素の多様 性解析 佐 藤 芳 子 精油情報データベースの構築と精油 効能関 係予測器の開発 松 島 由 典 配列情報に基づくカルパイン基質予測器の開発 松 本 絵里香 Zebrafish fgf8 サブファミリー遺伝子の進化的 多様性と発現解析 笹 岡 紀 男 遊離脂肪酸受容体 GPR43 のトポロジーと種 差の検討 宮 内 諭 遊離脂肪酸受容体 GPR120 における特異的抗 体の作製と組織分布及び発現解析 和 田 浩 志 遊離脂肪酸受容体 GPR40 及び GPR120 のリ ガンド結合様式の検討 宮 﨑 貴 子 カゼインキナーゼⅡアイソザイム選択的阻害 化合物スクリーニング系の構築 角 野 友 美 カゼインキナーゼⅡアイソザイム発現分布の 検討 大 野 裕 司 新規細胞増殖促進因子ヒト C7orf24 の機能発 現制御メカニズムに関する研究 − 28 − 分 野(教 室)だ よ り 薬品有機製造学分野 / ケモゲノミクス分野 (薬品製造学) 本年度の薬品有機製造学分野は、貫禄を身に 纏う我らが大将・藤井教授、若く切れ味鋭い智 将・大野准教授、バイタリティ溢れる名将・大 石講師、さらにポスドク 1 名、研究員 2 名、補 佐 員 3 名、DC 9 名、MC 11 名、 及 び 4 回 生 4 名 の総勢 33 名からなっております。 ポストゲノム時代といわれる現在、ゲノム情 報から得られたプロテオーム情報を創薬情報へ と変換するための general strategy の確立が非常 に重要となってきています。当研究室は元来研 究の中心として進めておりましたペプチド蛋白 質化学・有機合成化学を基盤として、創薬を一 つの目標とするゲノム情報収斂型創薬研究を展 開しています。 当研究室は過去 7 年間薬剤師国家試験合格率 97%を誇っています。藤井教授もその重要性を 認識しており、今後も高い合格率を維持してい きたいと考えております。 各々がそれぞれのテーマを持って日々実験 し、研究に励んでいる一方で、様々なコンパ、 研究室旅行といった行事も活発に行い、充実し た生活を送っています。薬友会スポーツ大会に は毎年積極的に参加しており、ソフトボール大 会では有機系合同チームで過去 2 連覇を達成し ています。今年度の大会も研究室一丸となり気 合い十分で取り組み、バレーボール大会では準 優勝を果たしました。さらに、野球、ソフトボー ル大会ともに順当に勝ち上がっております。ま た、毎年秋には他大学の有機合成分野の 4 研究 室とスポーツを介し友好を深め、日頃の研究活 動に関する情報交換するなど対外活動も積極的 に行っています。 最後になりましたが、薬友会のみなさまのご 健康と益々のご活躍をお祈りいたします。また、 卒業生の皆様、当研究室に興味のある学生の 方々も是非お気軽にお立ち寄り下さい。 薬品合成化学 (薬用植物化学) 当研究室は現在、富岡清教授、山田健一准教 授、山本康友助教、武村真由美秘書と、研究員 が 1 名、D3 が 2 名、M2 が 5 名、M1 が 3 名、4 回 生 4 名の総勢 19 名が研究室のメンバーです。 研究内容は、リチウム反応剤を用いた不斉反 応の開発及び全合成への応用、ジメチル亜鉛を 開始剤とするラジカル反応、アミド化合物の分 子集合に関する研究など多岐にわたっていま す。 富岡清教授は非常に精力的で教育熱心な先生 です。空いた時間には実験室で学生一人一人に 実験結果を聞いて回るほどの熱心さです。山田 准教授は、妥協を許さず、きめ細やかにご指導 くださいます。同時に無類のラーメン好きでよ く学生をラーメン屋に連れて行ってくれます。 山本助教は面倒見がよく、学生と歳が近いこと もあり親しみやすく、研究室の血流を良くして くださいます。 そんな先生方の指導の下、日夜、実験に勉強 にと力量ある有機化学者目指して頑張っていま す。NMR、IR、MS、GC、HPLC、CD、DSC、 旋光計などの設備機器も充実しており、非常に 研究しやすい雰囲気であります。 また研究室の国際化も進み、本年度は中国、 エジプト、韓国の留学生が在籍しています。そ のため研究室内のセミナーは全て英語で、学生 には格好のトレーニングとなっています。 年に一度の教室旅行では、カニや伊勢海老な どの海の幸を堪能しております。 最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康 と益々のご活躍をお祈りいたします。卒業生の 皆様、また学部学生の方も、お気軽にお立ち寄 りください。 − 29 − 薬品分子化学 (有機薬化学) 本年度の薬品分子化学分野は竹本教授、高須 准教授、塚野助教、猪熊特定助教のもと、DC 3 名、MC 6 名、4 回生 4 名、インド、フランスか らの博士研究員それぞれ 1 名、企業からの研究 員 1 名、秘書 1 名の計 21 名で構成されています。 また、10 月からはドイツから博士研究員、オ マーンから研究生も加入予定であり、ますます 国際色豊かな研究室となります。竹本先生は非 常に教育熱心で、忙しい合間にも学生との熱い 議論を欠かしません。また、研究室旅行など研 究以外の時には、ユーモラスな一面も見せてく れます。高須先生は学生の意見を尊重しながら 適切なアドバイスを下さるとともに、化学の楽 しさを伝えてくれます。塚野先生は今年の 6 月 に東北大学より当研究室の助教に着任され、新 しい風を吹き込んでくれています。猪熊先生は 昨年 12 月に当研究室の DC よりサービスイノ ベーション人材育成分野の特任助教となられ、 本業のかたわら当研究室で教育・研究を続けら れています。新しく加わった若い 2 人の先生は ともに独身・研究一筋で、有機化学の面白さや 魅力について日々教えてくれます。我々学生は 知らぬ間に、有機化学の世界にぐいぐいと引き ずり込まれています。 当研究室の研究テーマとして、 1.環境に優しい高機能性不斉有機触媒・チオ ウレアの開発と応用 2.多様性指向型有機合成を基盤とする遷移金 属触媒反応の開発 3.迅速な高度分子変換を可能とする多成分反 応プロセスの開発 4.医薬品リードとなる天然有機化合物の高選 択的な全合成研究 5.引力的分子間相互作用を基盤とする生体機 能性低分子の開発 等が挙げられ、これらの研究成果は国内外の 様々な学会や論文誌において発表されておりま す。 教室行事としては、各種コンパのほか、お花 見や研究室旅行などを行っております。今年の 研究室旅行は徳島・香川に行き、大歩危・小歩 危の自然を満喫し、また全員が金刀比羅宮(こ んぴらさん)の 1368 段の階段を見事のぼりき りました。薬友会野球大会では練習の甲斐あっ てか、5 年以上遠ざかっていた勝利を味わいま した。 卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をも たれた学部学生の方は、いつでも気軽にお立ち 寄りください。最後になりましたが、薬友会の 皆様のご健康と益々のご活躍をお祈り申し上げ ます。 薬品資源学 (生薬学) 本年度の薬品資源学分野は、いつもパワフル でエレガントな伊藤准教授のご指導のもと、博 士課程 2 名、修士課程 5 名、4 回生 2 名、中国か らの留学生 1 名の計 11 名から構成されていま す。修士課程にはカメルーンとアフガニスタン からの留学生もおり、国際色豊かな研究室と なっています。 当研究室のテーマとしましては、 1)フィールドワークを軸とした、シソ、ジン コウ、ケイヒに関する研究 2)薬用植物の精油成分生合成と薬理活性に関 する研究 3)民間伝承薬物の薬理活性成分に関する研究 に大別されます。このようにテーマは天然物化 学から薬理、遺伝子研究までと幅広い分野にわ たっており、これらの成果を薬学会、生薬学会 などで発表しています。 教室行事としては、各種コンパ、研究室旅行 の他に、山で自然と触れ合いながらの植物観察 会や香木展見学、生薬工場見学など当研究室な らではの活動も行っています。薬草園では梅や アンズの実、シソなどが採れ、それらで作った 梅干しや季節ごとの果実酒は絶品です。葛根湯、 加味逍遥散などを生薬から炊いて飲むこともあ り、研究室での実験以外の場においても薬用植 物にふれることで、それらに対する知識と理解 を深めています。また、現在 3 名の留学生がい るため、日本語の指導等 TA として大変な面も ある一方、お茶の時間には桑の実をおやつに食 べるなど、アットホームな雰囲気の中、文化交 流の場ともなっています。 薬友会の野球については、システムケモセラ − 30 − ピーと合同チーム、ソフトボールは薬品創製化 学講座合同チームで参加しています。今年はバ レーボールにも参加しました。 卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をも たれた方は近くまでおいでの際には、是非お立 ち寄りください。最後になりましたが、皆様の ご健康とますますのご活躍をお祈り申し上げま す。 薬品機能解析学 (薬品分析学) 薬品機能解析学分野(薬解)のスタッフは、 松崎教授、星野准教授、矢野助教に檀秘書の 4 名です。学生の構成は、DC 1 名、MC 8 名、研 究生 1 名、4 回生 3 名(男性 7、女性 6)となり、 女性の比率が高まってきました。今春無事博士 号を取得した 2 名は、アカデミアでポジション を得、新しい研究に邁進しています。 現在の研究テーマは、1)抗菌性ペプチドの 作用機構の解明と創薬への展開(松崎)、2)ア ルツハイマー病発症機構の解明と予防・治療法 の開発(松崎・星野)、3)膜タンパク質の構造 形成原理の解明(松崎・矢野) 、4)G タンパク 質共役型レセプター(GPCR)の可視化と機能 解析(松崎・矢野) 、5)NMR を用いた蛋白質 新規構造解析法の開発(星野)です。これらの 研究成果は、国内外の学会や学術雑誌で発表し ています。また、毎週のセミナーにおいて文献 紹介・研究報告・英語プレゼンテーションが行 われ、常に活発な質疑応答がなされます。日頃 の英語プレゼンの成果を生かし、学生も英語で 口頭発表をするようにしています。 一方で、実験やセミナーの合間にはコーヒー で一息ついたり、コンパや教室旅行があったり と、研究教育以外の面においても充実した日々 を 送 っ て い ま す。 当 研 究 室 の ウ ェ ブ サ イ ト (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/yakkai/) で 論 文 やトピックスなど更に詳しい研究活動情報が御 覧になれますので、ぜひアクセスしてください。 最後になりましたが薬友会の皆様の御健康・御 多幸をお祈り申し上げます。 構造生物薬学 構造生物薬学分野では、現在、加藤教授、中 津准教授、山口助教の職員 3 名と、博士研究員 4 名、DC 2 名、MC 4 名、4 回生 2 名、研究生 1 名、 秘書 1 名の総勢 17 名で研究に励んでおります。 本分野は主に X 線結晶構造解析という手法を 用いてタンパク質の構造を明らかにすることに よって、創薬の基礎となる生命現象を解明する 研究を行なっています。現在、細胞内には構造 生物学的アプローチが手付かずになっている問 題がたくさんあります。特に、生体膜中に埋め 込まれている生物装置、膜タンパク質について は、結晶化が難しいため、構造生物学的な研究 から取り残された状態となっています。そこで 当研究室では、これらのタンパク質の機能を真 に理解するために、以下の 4 つのテーマ、1)X 線構造解析に基づいた ABC トランスポーターの 構造生理学、2)ペルオキシソ−ム膜タンパク質 の膜局在化メカニズムの構造生物学、3)精密立 体構造に基づく酵素の触媒作用の構造的起源の 解明、4)X 線結晶構造解析による生物時計の構 造と機能の解明、を中心に掲げ、X 線結晶構造 解析によってタンパク質の立体構造を解くため の新しい手法を、独自に開発しています。 当研究室の教育方針は、よい意味での「放任 主義」です。スタッフの方々は、あくまで学生 の自発性に重きを置いています。一歩一歩自分 の頭で考えて研究を組み立てていきたいと考え ている人にとっては、とてもよい環境であると 言えるでしょう。また、実験設備も充実してお り、昆虫細胞によるタンパク質の大量発現のた めの細胞培養室や恒温条件での結晶化が可能な 結晶化室、さらに実験室の装置としては世界最 高性能の X 線回折装置なども備えています。 この充実した研究環境のもと、学生たちは、各 人がそれぞれのテーマを持ち、日々研究・実験 に意欲的に取り組んでいます。 また、新歓コンパ、院試激励会、忘年会など 教室行事も様々なものが企画され、活気のある 研究生活が行なわれています。卒業生の皆様を 始め、学部生の方々も、当研究室に興味をもた れましたら是非お立ち寄り下さい。 最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康 とますますのご活躍をお祈り申し上げます。 − 31 − ゲノム創薬科学 / 薬理ゲノミクス (薬品分子構造学) 製剤機能解析学 (薬品物理化学) ゲノム創薬科学分野では、辻本豪三教授、平 澤明准教授、木村郁夫助教の職員 3 名と、DC 5 名、MC 8 名、4 回生 4 名、研究員 2 名、研究補 佐員 3 名の総勢 25 名で構成され、 「一流の研究 者を育て上げる」という辻本教授の指導方針の もと、日夜研究に励んでおります。 当研究室では細胞培養や DNA 操作をはじめ とした分子生物学的手法に加え、DNA マイク ロアレイや高速シークエンサーによる大規模遺 伝子発現プロファイルなど最新の手法を取り入 れ、以下のような研究を行っています。 1.ゲノムの包括的解析による新規創薬表的の 発見とターゲットバリデーション 2.バイオインフォマティクスによる in silico 創薬研究 3.生体内オーファン G 蛋白質共役型受容体 のリガンド探索及び機能構造解析 4.マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析 5.遺伝子改変動物、病態動物を用いた遺伝子 の個体レベルにおける機能解析 6.機能性 RNA に基づく創薬研究 本年度も引き続き、研究の更なる充実を図る べく、研究室内では活発な討論が日々なされて います。また、共同研究や技術交換など、他の 研究室などとも幅広い交流を持ち、互いの向上 に努めております。 こうした研究活動の一方で、研究室行事も盛 んです。「仕事にメリハリを」という辻本教授 の理念のもと、4 回生歓迎コンパに始まり、学 生実習の打ち上げや院試激励会、忘年会の他、 古都・京都の散策などが計画され、お互いの親 睦を深めています。 卒業生の皆様を始め、学部生の方々も、当研 究室に興味を持たれましたら、ぜひお立ち寄り く だ さ い。HP(http://gdds.pharm.kyoto-u.ac.jp) ではこの他、様々な情報がご覧になれます。最 後になりましたが、研究室一同、薬友会の皆様 の御健康と御活躍を心よりお祈り申し上げま す。 製剤機能解析学分野(製剤)では、半田教授、 中野准教授の指導のもと、日々研究に励んでお ります。半田教授は、今春開催された日本薬学 会第 129 年会の組織委員長を務められました。 来春には定年を迎えられますが、学内外の業務 に多忙を極めながらも、アポリポタンパク質の 機能解明のため、学生とのディスカッションを 大切にしておられます。中野准教授は、蛍光法 を用いた脂質膜の微細構造やタンパク質、両親 媒性ペプチドとの相互作用の評価、並びに X 線・ 中性子散乱を用いた微粒子構造評価等を行って おられます。 本分野は現在、教員 2 名の他、博士課程 2 名、 修士課程 8 名、4 回生 3 名、事務補佐員(秘書) 1 名の総勢 16 名です。分野の研究は脂質分子の 多様な集合構造(ナノ粒子)を構築し、その界 面物性解明、生理学的機能の制御と製剤への応 用を目的としたものです。HDL 新生反応をは じめとする脂質−タンパク質相互作用の詳細 を、国内外の多数の研究室とも協力し、蛍光法、 NMR、X 線・中性子小角散乱、表面プラズモ ン共鳴、培養細胞やコンピューターシミュレー ションなど、多岐にわたる研究手法を駆使して 解明しようと努力しております。毎週月曜に行 われるセミナーでは、情報、意見交換をしなが らお互いに切磋琢磨しています。また、輪読会 では学生が主体となって界面科学や生物物理化 学の基礎を勉強しています。そのほか、他大学 の研究室との合同セミナーを開催したり、研究 室旅行やコンパ、お花見、花火大会など、教室 行事も盛りだくさんです。ときには実験台が宴 会テーブルに変わったりもします。研究室の ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/ seizai)を御覧頂くと、研究内容や研究室の雰 囲気がお分かり頂けるのではと思います。 製剤機能解析学は薬学研究科の基盤的研究・ 教育を担う重要な分野であり、その責任が果た せるよう努力しております。薬友会の皆様もど うか気軽にお立ち寄りご指導ご鞭撻下さるよう お願いいたします。また、来年 2 月 20 日(土) には、半田教授の最終講義、記念行事の開催を 予定しております。皆様のお越しをお待ちして おります。 − 32 − 生体分子認識学 (生物化学) 生体分子認識学分野は教授の竹島先生、准教 授の山崎先生、助教の山本先生、研究員 1 名、 DC 2 名、MC 6 名、4 回生 3 名、タイからの留学 生 1 名、教務補佐員 2 名、秘書 1 名の計 19 名に より構成されています。この内、DC 1 名は医 学部保健学科の岡教授への指導委託となってお ります。生体分子群はお互いに物理的および機 能的に相互作用し、多彩な化学反応を引き起こ すことにより、多様で柔軟な生命現象を構築し ています。生体分子認識学分野では基本手法と して生化学・遺伝子実験法を用いることにより、 その生命現象を分子レベルで明らかにする研究 を遂行しています。研究活動によってもたらさ れる成果は基礎生物学の発展に寄与することに 加えて、有用な標的分子の設定や遺伝子疾患等 の病態解明にも貢献しています。当研究室では 以下のようなテーマで研究を行っています。 1)小胞体 Ca2+ シグナリングに関する研究 小胞体からの Ca2+ 放出は、筋収縮、伝達物 質放出、膜電位調節など多彩な細胞機能に関与 しています。細胞内 Ca2+ ストアとして働く小 胞体は、様々なタンパク質によりその機能が構 築・制御されていますが、分子実体については 不明な点が多く残されています。興奮性細胞に おける小胞体の構成タンパク質の役割を一つ一 つ明らかにすることにより、小胞体 Ca2+ 放出 の分子基盤を解明することを目指しています。 得られた結果は新薬標的の設定や遺伝子疾患の 理解に貢献しています。 2)新規な中枢情報伝達系に関する研究 近年の急速な生物学の発展においても、中枢 神経系における情報処理を分子レベルで理解す るための知識を人類は十分に持ち合わせており ません。中枢系からは機能不明な受容体様タン パク質群が現在でも見出されており、未知の情 報伝達系の存在が示唆されています。それら受 容体様タンパク質の脳構築や神経可塑性への寄 与を検討して、生理機能を明らかにする研究を 遂行しています。チャレンジングでエサイティ ングな研究課題です。 3)筋細胞の膜構築と機能に関する研究 組織学や細胞生物学の教科書を紐解きます と、心筋や骨格筋細胞には実に見事な細胞膜や 小胞体膜の構造があることに驚かされます。例 え ば 横 管 係(transversetubule)、 三 つ 組(triad junction) 、小胞体終末部(junctional sarcoplasmicreticulum)と横行部(longitudinal region) 、Z-tubule (Z 線と小胞体の近接結合)等です。筋分化の 過程でこれらの構造は正確に再現されますの で、遺伝子産物により規定されていることは間 違いないのですが、そのメカニズムは全く不明 と言っても過言ではありません。 分子微生物学 (微生物薬品学) 分子微生物学分野(微生)は、現在渡部好彦 准教授のもと、MC 1 名、4 回生 2 名の計 3 名と 少人数ではありますが、活気溢れる研究室とし て日々研究に励んでおります。 当研究室では、インターフェロンに関わる諸 問題(基礎から応用まで)をテーマとして掲げ ており、一人一人が各自独自のテーマをもって 研究に励むとともに、情報を共有し普段からお 互いの研究テーマについて意見を交換しながら 活発に研究に取り組んでおります。 インターフェロンは、1950 年代にウイルス 増殖因子を特異的に抑制する因子として発見さ れましたが、近年は自然免疫における感染防御 の主体をなすものとして注目されるとともに、 獲得免疫の形成にも大きく寄与していることが わかっており、今後も医薬の分野で様々な応用 が期待されているサイトカインです。さらに SLE など自己免疫疾患の形成の際にもインター フェロンが産生されることがわかっており、そ ういった疾患の病態形成のさらなる理解の為に も研究が期待されている因子です。また、近年、 ウイルスの様々な抗インターフェロン戦略も明 らかにされつつあり、ウイルス学の分野で再び 新たな注目をあびております。さらに、オート ファジーや中枢系とインターフェロンの関わり にも興味をもたれています。 小所帯ではありますが和気藹々と活動してお り、普段からお互いの研究についていろいろ歓 談したり、春には皆でお茶をしにいったり、4 回生は週に一度英語の勉強会をひらいたり、ま た夏休みには卒業生の方が尋ねてくださったり − 33 − など事あるごとに皆で親睦を深めております。 な お、 当 分 野 の ホ ー ム ペ ー ジ(http://www. pharm.kyoto-u.ac.jp/bisei/)を設けてありますの で、ぜひ一度ご覧ください。 卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をも たれた方は、どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。 今後とも皆様の尚一層のご指導、ご鞭撻を賜り ますようお願い申し上げる次第です。 最後になりましたが、薬友会会員の皆々様の ご健康と益々のご活躍をお祈り申し上げます。 生体機能解析学 (分子作用制御学) 生体機能解析学分野は、現在、金子周司教授 のもと、中川貴之准教授、白川久志助教の 3 人 のスタッフ、博士課程 2 名(DC2 の前田早苗さ んは日本学術振興会特別研究員、2009 年夏∼ 秋にかけて 3ヶ月間カナダに留学中) 、修士課 程 10 名(うち中国からの留学生 1 名)、学部 4 回生 4 名(全員薬学科の 6 年制)、共同研究員 2 名に教授秘書 1 名の総勢 22 名で構成されていま す。早いもので前教授の佐藤公道先生から金子 教授が当分野を引き継がれ、現在の薬学部本館 2 階に引っ越してきてから 6 年目となります。 当分野在籍者には、研究者としての 3 つの能 力( 「知識」 「技術」 「態度」)と 5 つのちから(専 門理解力、専門技術力、競争力、情報技術力、 英語力)を身につけてもらうという金子教授の 教育指導方針のもと、日夜、研究に、遊びに励 んでいます。当分野は以前から、主に中枢神経 薬理を究め、様々な疾患の病態メカニズム解明、 治療薬開発を目標に研究を進めており、 現在は、 「膜輸送タンパク質」を 1 つのキーワードに、 特に中枢神経系に存在する様々なイオンチャネ ル・トランスポーターに焦点をあて、下記のよ うな研究を展開しています。 ・イオンチャネルやトランスポーターといった 膜輸送タンパク質を対象とする創薬、機能解 析、薬効および安全性評価、ゲノム科学に関 する研究 ・各種 TRP チャネルの病態生理的役割 ・慢性疼痛の発生メカニズムと新規疼痛治療標 的に関する研究 ・薬物依存やうつ病といった精神疾患のメカニ ズム解析と治療薬の探索 これらの主要研究テーマを遂行するため、分 子生物学的、電気生理学的、解剖学的手法から 行動薬理学的手法まで、幅広い研究手法を持ち 合わせていることが当分野の大きな特徴の 1 つ ともなっています。また毎週木曜日 9 時からの セミナー & データ報告会や日々のディスカッ ションで研究内容・計画を討議し、2∼3ヶ月に 一度の本学工学研究科・森研究室らとの合同勉 強会(脳機能分子研究会)では、毎回特別講師 の先生をお招きして最新の研究成果を聞かせて 頂いています。このように日々精進して得られ た研究成果は、主に、日本薬理学会、日本薬学 会、日本神経科学学会、日本神経精神薬理学会、 日本疼痛学会、日本緩和医療薬学会、北米神経 科学学会や TRP チャネル研究会、トランスポー ター研究会など様々な学会・研究会で発表され、 また、原著論文として一流誌に投稿されます。 こ れ ら の 情 報 は、 当 研 究 室 の ウ ェ ブ サ イ ト http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/channel/ でご覧に なれますので、是非アクセスして下さい。 また、薬品作用解析学分野(赤池教授)とは 元々1 つの薬理学講座から派生したこともあ り、さらに、寄付講座の創薬神経科学講座(杉 本教授)とも親戚関係にありますので、薬理系 3 分野が協力して行動することも多く、共同研 究、研究機器・試薬の貸し借り、学生実習、学 会の発表練習会、年度末の薬理系 3 分野合同発 表会といった研究・教育面での交流はもちろん、 新歓・追い出しコンパ、教室旅行(今年は別府 温泉です) 、薬友会野球・ソフトボールなどで の合同チーム結成、あるいは水面下での学生同 士の親密な交流など、挙げ出すときりがない程、 分野間交流も盛んです。生体機能解析学分野の もう 1 つの大きな特徴として、とにかく学生同 士の仲が非常に良いこと、これはもう当分野の 伝統となっているのではないでしょうか。金子 教授を筆頭にアウトドア派な人が多いこともあ り、夏はキャンプ & バーベキュー(山・川・湖)、 冬はスキー旅行(岐阜・福井・信州方面)に出 かけ、また、学生達だけですが長距離サイクリ ング(ちょっとやそっとではありません。50 km 以上平気で走ります)やホノルルマラソン に出場する強者もいます。もちろんアウトドア だけでなく、何かにかこつけて突然飲み会が企 − 34 − 画されることは言うまでもありません。 本研究室は毎年のことながら個性溢れるメン バーが揃っており、日々の研究活動の合間にも 笑いと歓談が絶えません。学ぶときには真剣に 研究し、日々積極的にディスカッションを繰り 広げ、また、遊ぶときには思い切って遊ぶとい う伝統的な風潮は現在も続いています。卒業生 の皆様、あるいは当研究室に興味を持たれた方、 どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。皆様のお越 しを教室員一同心待ちにしております。 最後になりましたが、けしの会および薬友会 の皆様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上 げます。 遺伝子薬学 (遺伝子薬品学) 当研究室は今年度で開設 17 年目を迎えまし た。現在、遺伝子薬学分野は、伊藤教授、三宅 講 師、 山 内 特 定 助 教、DC 5 名、 研 究 生 1 名、 MC 8 名、4 回生 5 名、合計 22 名という構成です。 薬学部本館 2 階において、先生方の厳しくも心 温まるご指導のもと、日々研究にいそしんでお ります。 現在の当研究室の研究テーマとしましては、 1)細胞増殖因子(FGF)の脂肪組織形成、脳 形成などにおける役割の解明 2)遺伝子探索法による新規細胞増殖/分化因 子遺伝子の探索と構造解析 3)遺伝子機能抑制小型魚類の作製による新規 遺伝子の個体レベルでの機能解析 4)遺伝子欠損マウスの作成による新規遺伝子 の機能解析とその分子機構の解明 5)組織形成、組織修復の分子機構の解析と再 生医学への応用 が挙げられ、こういった研究の成果は分子生物 学会、薬学会、アディポサイエンス等の様々な 学会において発表しております。 学生たちは皆熱心に研究に励んでおりますが、 研究に明け暮れてばかりいるわけではありませ ん。当研究室では、新歓コンパ、院試激励およ びお疲れ様コンパ、教室旅行、クリスマス会、 忘年会、追い出しコンパといった各種公式行事 に加え、お花見、スキー旅行といった、有志に よる楽しい企画が目白押しで、学年の垣根を越 えて皆で親睦を深めております。また、最近は スポーツ熱もますます高まっております。悲願 の二回戦進出を目指した本年度の薬友会野球で は、一回戦において強豪相手に残念ながら負け を喫し、二回戦に進むことができませんでした。 しかし、チーム力は毎年着実に上がっておりま すので、来年こそは二回戦へと進んでくれるも のと期待しております。このように学生達は、 忙しい研究生活の合間の行事、スポーツにも手 を抜くこと無く真剣に取り組んでおります。 このように、遺伝子薬学分野は、益々活気に 満ちた研究室となっておりますので、卒業生の 皆様をはじめ、当研究室に興味を持たれた方、 お気軽にお立ち寄り下さい。 最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康 と更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。 生体情報制御学 (衛生化学) 生体情報制御学分野では、平成 21 年 4 月に杉 本幸彦先生が熊本大学医学薬学研究部薬学生化 学分野の教授として御栄転されました。また、 助教をされていました申惠媛先生は ICDO の助 教に転出され、研究員をされていました瀬木 (西田)恵里先生はシステム創薬科学の准教授 に昇任されました。現在は、中山和久教授、9 月に赴任されました加藤洋平助教の指導のも と、教務補佐員 2 名、技術補佐員 1 名、DC 3 名、 MC 9 名、4 回生 5 名、秘書 1 名の総勢 23 名で構 成され、日夜研究に励んでおります。 当研究室では、ゴルジ体を中心としたタンパ ク質の細胞内輸送及び局在化の機構の解析、プ ロスタグランジン受容体の機能解析の 2 つの テーマを軸に研究を進めております。また、毎 週のセミナーを通じて意見を交換し合い、教室 全体で研究を進めるように努力しております。 教室行事も盛んで、春のお花見に始まり、新歓 コンパ、院試激励会、教室旅行、追いコンなど、 事あるごとに皆で親睦を深めています。 個性あふれるメンバーに恵まれ、お互いのい いところを見ながら切磋琢磨する一方で、 「何 事においても真剣」な所は共通です。研究はも ちろんのこと遊びにおいても情熱を持って取り 込んでいます。4 回生は教室旅行での出し物に − 35 − 頭を悩ませ、飲み会などでは先生方も学生に交 じってよく遊んでくださいます。そこでエネル ギーを蓄え、日々の実験に爆発させるといった 次第です。普段の研究室の雰囲気はとても明る く、笑い声が絶えません。しかし、各実験には やはり真剣に取り組み、時には先生方の厳しい 指導のもと、メリハリのある研究室生活を送っ ております。そして、忙しい中にもやりがいを 感じながら、目標に向かって邁進しております。 卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をも たれた方、どうぞお気軽にお立ち寄りください。 最後になりましたが、研究員一同、薬友会の皆 様のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。 薬品動態制御学 (薬剤学) 本年度の薬品動態制御学分野(旧薬剤学教室) は、橋田教授、山下准教授、川上講師の教員 3、 Post Doc 2 名、Doc 7 名(うち外国人留学生 3 名)、 MC 10 名(うち外国人留学生 1 名)、4 回生 4 名、 秘書 3 名の総勢 29 名で構成されています。 また、 橋田教授が併任されている物質 – 細胞統合シス テム拠点(iCeMS)から村上助教、 Post Doc 1 名、 工学部 4 回生 1 名、革新的ナノバイオ創薬拠点 から樋口助教が研究室にいらっしゃり、大所帯 が日夜研究にいそしんでおります。 橋田教授は FIP(国際薬学連合)学術部門議 長や日本薬学会副会頭などの要職を務められる など国内外で広くご活躍されており、お忙しい 毎日を過ごしていらっしゃいます。 当研究室の研究内容は、タンパク医薬品や遺 伝子医薬品など単独の投与では効果的な薬効の 発現が困難な薬物に対し、肝臓、肺、癌などへ の臓器 / 組織レベルでの送達を目的としたシス テムの開発を進めると共に、吸収、代謝のコン ピューター予測も行っております。これらの研 究成果は、薬学会、薬剤学会、薬物動態学会、 DDS 学会といった国内学会のみならず、さま ざまな国際学会で多数発表しております。 教室行事は春の新歓コンパに始まり、夏の他 大学との合同サマーセミナー、秋の阪大薬剤学 教室との交流会、研究室旅行、年度末の追い出 しコンパなど多数行われ、普段はお忙しい先生 方も交えて大いに盛り上がっております。その 他多くの製薬会社の皆さんが集まる経口投与製 剤勉強会が数ヶ月ごとに開催され、製剤にかか わる企業研究者の方々にお話を聞かせていただ くチャンスもあります。 最後となりましたが、薬友会の皆様方のご健 康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。 薬品作用解析学 (薬理学) 本年度の薬品作用解析学分野は赤池教授、久 米准教授、泉助教のご指導のもと、DC 5 名、 MC 10 名、4 回生 4 名、秘書 1 名の総勢 23 名よ り構成され、日々研究に励んでいます。当分野 は以前から生体機能解析学分野や医学部、さら に創薬神経科学分野との共同研究が多いため、 研究室は活気に満ち溢れ、互いに切磋琢磨する 中で研究に勤しんでいます。 現在当研究室では、「中枢神経疾患における ニューロン死の機序とその保護因子に関する研 究」「当研究室で発見された新規神経保護物質 『セロフェンド酸』に関する研究」「食品由来化 合物による神経保護に関する研究」「ドパミン ニューロンの生存および再生に関する研究」等 が日々進められており、これらの研究成果は薬 理学会、薬学会、神経科学会等の様々な学会に おいて発表されています。 こうした研究活動の一方で教室行事も盛ん で、生体機能解析学、創薬神経科学分野と合同 で行われる新歓コンパ、教室旅行、追い出しコ ンパの三大イベントを筆頭に、その他にも野球、 サッカー観戦などのイベントが数多く行われて います。また、スポーツ好きな人も多く、野球、 フットサル、テニス、バレーボールなどのスポー ツが盛んに行われています。その他にも飲み会、 バーベキュー、たこ焼きパーティーなどが随時 企画され、研究の合間に和気あいあいと行われ ています。 このように教室員一同、学ぶ時は真剣に研究 し、遊ぶときは一生懸命遊ぶという何事にも熱 心な研究室生活を送っていますが、卒業生の皆 様も機会がございましたら是非教室の方へお立 ち寄りください。最後になりましたが、薬友会 の皆様の御健康と益々の御活躍を心よりお祈り 申し上げます。 − 36 − 病態機能分析学 (放射性薬品化学) 本年度の病態機能分析学分野は、佐治教授、 小野准教授、天滿助教、木村助教、特別研究員 として医学研究科の河嶋助教、京大病院の上田 助教の御指導のもと、秘書 3 名、共同研究員 3 名、 研究員 1 名、DC 4 名、MC 9 名、4 回生 4 名(学 生 17 名)の計 30 名という構成で日々研究に励 んでおります。 本研究室は病院の医療用サイクロトロンによ る核医学診断の実施責任を負うなど医学部の臨 床部門と密接な関係を持ちながら、以下のよう な研究を行っております。 1.脳疾患、心疾患、悪性腫瘍、糖尿病などに おける生体機能変化をインビボ解析する分 子イメージング法の開発と、それに基づく 病態の解明及び薬物作用の動的解析。 2.病態の特性に基づく標的部位選択的移行、 選択的活性化を起こす機能性画像診断・治 療薬の創薬研究。 3.生理活性金属化合物の生体作用の解明と臨 床への応用に関する研究。 また、PET、SPECT、MRI、光イメージング などを用いた生体機能解析法の基礎研究やこれ らイメージング法に用いる分子イメージングプ ローブの探索についても研究を推進し、臨床へ の貢献を目指して日々努力しております。 教室行事は 5 月の新歓コンパに始まり、院試 激励コンパ、院試お疲れコンパ、薬友会のスポー ツ大会、教室旅行、忘年会、追い出しコンパと 色々な行事で盛り上がっています。 本研究室をより活気あるものとするために も、本研究室卒業生の皆様、お時間がございま したら是非お立ち寄り下さい。また、本研究室 に興味をお持ちの方は是非見学にいらして下さ い。 最後になりましたが、研究室員一同、薬友会 会員の皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げ ます。 病態情報薬学 病態情報薬学分野は、1 年前に当研究室の博 士課程を修了された高橋有己先生を新しく助教 として迎え、12 年目である 2009 年度をスター トさせました。現在は、高倉教授、山岡准教授、 西川准教授、高橋助教、引原秘書に加えて、 DC 4 名、MC 10 名、薬学科 4 回生 3 名、薬科学 科 4 回生 1 名の学生 18 名(男 8 名、女 10 名)か ら構成されています。 本分野では、生体に投与される「モノ」とし ての“くすり”と投与される側の「ヒト」との 関わりを、生物薬剤学・薬物動態学・ドラッグ デリバリーシステムなどの学問的バックグラン ドに基づき統合的に追求し、薬物投与の最適化 の実現を目的に研究活動を行っています。現在 の研究内容としては、1)遺伝子治療・DNA ワ クチン療法の最適化を目指した核酸医薬品の設 計と体内動態制御、2)免疫応答制御を目指し たタンパク質・DNA ワクチンの開発、3)RNA 干渉を利用した疾患治療システムの開発、4) 核酸医薬品による免疫活性化機構の解明と疾患 治療への応用、5)高分子医薬品の体内動態を 対象とした統計解析法の開発などがあります。 また新たに、細胞を利用した疾患治療法の開発 に向けて、細胞の動態制御に関する研究も開始 しました。これらのテーマを各個人で実験計画 を立て責任を持って研究活動に取り組むととも に、研究報告会や「遺伝子」、「核酸」、「動態制 御」のグループに分かれてのグループディス カッションでは、研究の進捗状況について意見 交換を行っています。また、毎週行われるセミ ナーでは学生たちからも遠慮なく質問が飛び交 い、非常に活発なものになっています。得られ た研究成果は、日本薬学会、日本薬剤学会、日 本薬物動態学会、日本 DDS 学会、アメリカ遺 伝子治療学会など国内外の様々な学会において 発表を行っています。 毎年行われる教室行事は、春の新歓コンパに 始まり、秋の教室旅行、冬の追い出しコンパな どで、学年の垣根を越えて大いに盛り上がって います。優勝を目指して臨んだ今年度の薬友会 の野球大会では、残念ながら初戦で敗れてしま いましたが、来年度は初戦突破、そして、優勝 を奪回すべく、意気込んでいます。女子もソフ トボール大会では、薬品動態制御学分野と合同 チームで今年度は初戦を突破し、優勝を狙って います。 当研究室ではホームページ(http://dds.pharm. − 37 − kyoto-u.ac.jp/biopharm/)を設けていますのでぜ ひご覧ください。最後になりましたが、薬友会 の皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げま す。 システムバイオロジー システムバイオロジー分野は、医薬創成情報 科学専攻の一分野として 2007 年度に開設され た研究室で、2007 年春に紫綬褒章を 2009 年に 体内時計界最高峰の Aschoff ’s Rule Award を受 章されました岡村均教授と新進気鋭の土居雅夫 講師、山口賀章助教、松尾雅博特任助教のご指 導のもと、ポスドク研究員 1 名、研究員 1 名、 博士課程 3 名、修士課程 5 名、四回生 4 名、研 究補佐員 1 名、および秘書 1 名の総勢 20 名で構 成されています。前年度に比べ構成員は増加し ましたが、現在も引き続き、大学院生・学部学 生を募集しております! 当研究室では哺乳類の時計機構を分子レベル で解明したいと考えております。生体リズムの 研究は、脳・神経科学、時間薬理学、睡眠科学、 行動科学に関連する諸問題を分子生物学、細胞 生物学、蛋白質化学、遺伝学的な手法を投じて 解決してゆく学問分野です。他の研究分野では 類を見ないほどの広範な広がりを持つ、きわめ て学際的な研究分野といえます。それゆえ、本 研究室では、中枢神経系、ゲノム、遺伝子、細 胞、全身機能、疾病(発癌、メタボリック症候 群など) を研究の対象としています。現在、我々 の研究室は、科学研究費特別推進研究「分子時 計による体内リズムの統合機構の解明(平成 18–22 年度:代表岡村均)」の援助を受け、研 究室が一丸となって生体リズムの解明に全力を 上げています。 研究室の日常では、毎週開かれる研究室セミ ナーにおいて活発に研究討論がなされ、その中 で学生たちは確実にスキルアップしていきま す。また、新入生歓迎会や各種のお祝いごとに は研究室の全員で楽しいコンパが企画され、研 究教育以外の場においても活気ある充実した研 究室ライフを送っております。薬友会の皆様を はじめ、学部生の方々も、当研究室にご興味を もたれましたら、是非お立ち寄り下さい。HP (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/system-biology/) ではこの他、さまざまな研究室の情報がご覧に なれます。 最後になりましたが、研究室一同、薬友会の 皆様のご健康とご活躍を心より祈念いたしまし て、システムバイオロジー分野のご挨拶とさせ ていただきます。 システムケモセラピー・制御分子学 システムケモセラピー・制御分子学分野(制 御)は、2007 年 4 月にスタートし、本年度で 3 年目を迎えました。研究室員は、現在、掛谷教 授、服部准教授、西村助教、林特定助教、DC 4 名、MC 7 名、4 回生 5 名、技術補佐員 2 名、秘 書 1 名の総勢 23 名であり、総合研究棟 5 階の研 究室を中心に活気に溢れた研究生活を送ってい ま す。 本 年 度 は、 他 大 学 よ り 2 名(DC 1 名、 MC 1 名)、留学生 2 名(DC 1 名、MC 1 名)を 迎え入れました。 本研究室では、“切れ味の鋭い生理活性小分 子(新薬)は、新しいサイエンスを切り拓く” の理念のもと、1)多因子疾患(癌、心疾患、 免疫疾患、神経変性疾患、糖尿病等)に対する 次世代化学療法の開発を指向したケミカルバイ オロジー研究、2)創薬リード化合物の開拓を 指向した新規生理活性小分子の天然物化学・天 然物薬学、3)ケモインフォマティクス・バイ オインフォマティクスを活用したシステムケモ セラピー研究およびメディシナルケミスト リー、4)有用物質生産・創薬のための遺伝子 工学的研究(コンビナトリアル生合成研究) 、 などの研究テーマが進行中です。研究室員一同、 最先端の天然物化学、メディシナルケミスト リー、ならびにケミカルバイオロジー研究を世 界に発信すべく、日夜研究に励んでいます。本 年度は、日本薬学会、日本がん分子標的学会、 日本癌学会、国際分裂酵母ミーティング、糸状 菌分子生物学カンファレンス等での研究発表を 行っています。 研究室行事は、研究報告会、文献紹介などに 加え、新歓コンパ、院試激励会、ビールパー ティー、投稿論文受理時などの Congratulation Party など目白押しで、何事にも真剣ですが、 アットホームな雰囲気が漂っています。また、 薬友会の野球大会、ソフトボール大会、バレー − 38 − ボール大会にも参戦し、心地よい汗を流し親睦 を深めています。今後も大文字山(如意ヶ岳) 登山をはじめとして、各種イベントが企画され る予定です。 当研究室は国内・国外の産官学の研究機関と さまざまな共同研究も展開しています。卒業生 をはじめ、学部生の方々も、当研究室にご興味 を持たれましたら、是非お気軽に研究室にお立 ち寄り下さい。当研究室ウェブサイト(http:// www.pharm.kyoto-u.ac.jp/sc-molsci/)でも様々な 情報を発信しています。 末筆になりましたが、研究室員一同、薬友会 の皆様のご健勝と益々のご活躍を心よりお祈り 申し上げます。 の方々です。彼らとのディスカッションによっ て、研究室の全員が良い刺激を受け、それが研 究の発展に繋がっています。 一方、研究室行事も盛んで、4 月の新歓コン パに始まり、院試激励会、ハイキング、たこ焼 きパーティー、研究室旅行、忘年会、新年会、 追いコンといろいろな行事が盛りだくさんで す。 学部生の方々をはじめ当研究室にご興味を持 たれた方々は、どうぞお気軽にお立ちより下さ い。 最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康 とご活躍を心よりお祈り申し上げます。 創薬神経科学 システムケモセラピー・創薬計算化学 本年度のシステムケモセラピー(創薬計算化 学)分野の研究室の構成は、北浦教授、村田助 教、 受 託 研 究 員 2 名、DC 1 名、MC 2 名、4 回 生 1 名の総勢 8 名です。 本研究室では、薬物標的タンパク質とそのリ ガンド分子の結合構造、結合自由エネルギーを 計算化学的に精度よく予測する手法を開発し、 実際の新薬探索に応用することを主テーマにし ています。北浦教授が開発した Fragment MO (FMO)法は、タンパク質のような巨大分子に 対しても量子化学計算を行うことができるた め、高精度で分子間相互作用を解析することが 可能です。この FMO 法を用いて、世界一高精 度な結合構造、結合自由エネルギー予測法の開 発に取り組んでいます。 また、タンパク質の水和構造に基づく新しい コンセプトのインシリコスクリーニング手法を 開発し、300 万化合物からなる市販スクリーニ ング用ライブラリーの中から、構造に多様性の ある約 20 個の CK2α 新規阻害剤分子(30μM で 50% 以上の酵素阻害能のあるもの)を見出す ことに成功しています。現在、これらの化合物 を基に、サブタイプ選択的阻害剤の創出を合成 グループと共同で実施しております。 本研究室のもう一つの特徴として、在籍した 受託研究員が多いということがあげられます (過去 5 年間で 4 名)。彼らは製薬会社に勤務し ており、長年、創薬研究に取り組んでいる現場 当研究室は今年度で開設 7 年目を迎えまし た。現在、創薬神経科学講座は杉本教授、新留 准教授、木原講師の御指導のもと、DC 4 名、 MC 1 名、秘書 1 名、研究員 2 名、共同研究員 5 名の総勢 16 名より構成されています。研究室 内は活気に満ちあふれ、日々研究に励んでいま す。当研究室では、①アルツハイマー病に代表 される神経変性疾患の病因解明に基づく創薬研 究、②生体内物質や天然物の中から創薬シーズ となり得る生理活性物質の探索、③ゲノムや神 経再生医療技術を駆使した創薬アプローチに関 する研究、④ブチリルコリンエステラーゼ阻害 薬が示す神経細胞保護作用のメカニズム解明に 基づく創薬研究、等に関する研究が進められて おり、その成果を論文発表・学会発表・パテン ト出願等の形で発表しています。また、当研究 室は「薬品作用解析学」「生体機能解析学」「工 学部分子生物化学」「医学部神経内科」「東京工 業大学」 「製薬企業」等と共同研究を実施して います。一方、教室行事も盛んで薬品作用解析 学・生体機能解析学と合同で開催される新歓コ ンパ・教室旅行・追い出しコンパをはじめ、野 球等にも積極的に参加しています。当研究室に 興味を持たれた方々、どうぞお気軽にお立ち寄 り下さい。最後になりましたが、教室員一同、 薬友会会員の皆様のご健康と更なるご活躍をお 祈り申し上げます。 − 39 − ナノバイオ医薬創成科学 (1)背景と目的 最近の工学技術、特にナノテクノロジー・材 料技術や分析技術の発展により、ゲノムやタン パク質の特に分子レベルの莫大な情報が蓄積さ れてきている。これらの情報を基に、システム バイオロジーなどの新たなアプローチによる解 析を加える事により、創薬科学は著しい発展を 遂げつつある。 こ の よ う に、 得 ら れ た 情 報 を イ ン フ ォ マ ティックスを活用して解析する技術の進展を背 景に、新しいナノテクノロジー・材料技術や分 析技術の開発が、われわれを医薬創成、新規診 断技術・マーカーの発見、革新的医療技術の創 出に導くと期待される。特に、わが国の強みで あるナノ・材料技術を活かした革新的技術によ るナノバイオの融合研究は、世界をリードする 創薬情報を得る機会を与える。また、革新的な 分析、解析による情報の獲得だけではなく、画 像診断やドラッグデリバリシステムなどの診 断、医療、医薬の研究、開発においても、基盤 となる材料のナノからのアプローチはこれらの 研究の幅を拡げると期待される。 このような背景のもと、本ナノバイオ医薬創 成科学講座では、生体機能ならびに病態の本質 の解明を目指しての、バイオテクノロジーとナ ノデバイス・システム研究の融合という分野融 合的科学技術の教育、研究を行い、さらに最先 端ナノバイオテクノロジーを活用して新たな診 断、医療、医薬の創成を図る。 このように、既存の分野区分を超えた、分野 の融合により課題解決に必要な研究者の知恵を 自在に結集して新たな領域を開き、イノベー ションに適切につなげていきたい、と考えてい る。 (2)研究内容 DNA マイクロアレイ、プロテオミクス解析 デバイス等のナノバイオ工学技術を基盤とし、 従来の分析技術では検出できなかった新たな情 報の獲得に取り組む。特に、医学部との連携を 中心に、質の高い臨床検体と、高いレベルの臨 床情報を解析対象とすることにより、各種がん の診断、テーラーメード医療、分子標的医薬の 創成を目指す。 具体的には、以下に示すような研究活動を展 開する。 ①最先端のナノバイオ工学技術を用いて開発さ れた高感度 DNA マイクロアレイ、次世代高 速シーケンサー、プロテオミクス解析デバイ ス等を用いて、統合的臨床オミックス分析を 行うことにより、病態関連遺伝子やタンパク 質情報を獲得し、分子標的薬のターゲット探 索、新規診断マーカーの特定を目指す。 ②たとえば、食道がん、乳がん、肝臓がん、泌 尿器科がんについてバイオマーカー探索や DNA マイクロアレイによるテーラーメード 医療、薬理ゲノミクスを研究する。特に、癌 関連マイクロ RNA やエピゲノム解析を中心 に研究を進めている。 (3)分野融合、産学連携 昨今のバイオ関連分析技術の急速な進歩の中 にあって、医薬品創世の研究には、生物学的現 象を高度にとらえる最先端の分析技術、分析 ツールがキーとなる。このような技術、ツール を明確な目的意識を持って活用することによ り、従来では困難であった、新たな薬剤の作用 機序の発見やそれに基づく新薬、診断マーカー 等の創成が期待される。このため、有用な新し い分析技術が実用化されると、世界中の意欲あ る研究者がこぞってその技術に取り組もうとす るのである。 わが国は、従来から材料および材料加工技術 を中心としたナノの研究に力を入れてこれを強 みとして、自動車、電気、電子分野において世 界を相手に戦ってきた。ここにきてナノ・材料 − 40 − 感受性予測 技術はこれらの分野のみならず、バイオとの融 合領域にも新しい展開をもたらしつつある。中 でも、ナノバイオ融合領域における基礎研究と、 その成果を活かした応用研究に大きな成果が得 られており、これまでの技術では検出、分析が 不可能であった新たな知見も得られて来ている。 現在のところ、このような取り組みは基礎研 究領域にとどまっており、特に診断、医療、医 薬の領域においては、十分な活用が図られてい るとは言い難い。応用面のニーズも取り入れた ナノバイオの融合研究を促進するためには、医 薬工連携の体制構築、教育の推進が重要と考え られ、バイオの解析に有効な新しいツール、材 料の創出と、その結果としての、新たな診断、 医療、医薬の創成が期待される。 本講座では、自ら医薬創成を目指すだけでは なく、最先端のナノバイオ工学技術を活かした 新しい分析技術を基盤に、積極的に京都大学内 の各研究機関との連携や、他大学等の研究機関、 臨床機関との「医薬工」連携、また産業界との 産学連携を行い、大学における新たな研究推進 システムの構築を目指す。 システム創薬科学 安全性向上を志向した合理的薬物探索手法の開 発とドラッグデザイン理論の構築、等が挙げら れます。 これらのテーマをドライ(計算)、ウエット(実 験)の 2 つのグループに分かれて取り組んでお ります。また、週に一度のセミナーにおいて、 研究報告と文献紹介が行われ、各々のテーマや その周辺についてお互いに理解を深めていま す。同時に、それぞれのグループに別れ、ディ スカッションが行われ、活発に意見交換が行わ れます。 一方、研究室行事も、新入生歓迎コンパや忘 年会などの各種コンパ、夏には研究室旅行が企 画され、研究生活以外の面においても充実した 毎日を送っています。 卒業生の皆様を始め、学部生の方々も、当研 究室に興味を持たれましたら、どうぞ気軽にお 立ち寄りください。また当研究室の HP(http:// pharminfo.pharm.kyoto-u.ac.jp/)が設けておりま すのでぜひご覧ください。最後になりましたが、 研究室一同、薬友会の皆様の御健康と御活躍を 心よりお祈り申し上げます。 神経機能制御学 (生命科学研究科・生体システム学) システム創薬科学講座は昨年の 10 月に開設 した小野薬品工業株式会社による寄附講座で す。現在は奥野教授、瀬木(西田)准教授、新 島助教、研究スタッフ 1 名、DC 2 名、MC 2 名、 四回生 1 名、秘書 2 名、教務補佐 1 名、技術補 佐 3 名、学内協力として荒木准教授他 2 名、学 外協力として(株)京都コンステラ・テクノロ ジーズから 4 名、医薬基盤研究所から 1 名で構 成され、システム生命科学に基づく創薬展開を 目指し、日々研究に勤しんでおります。 現在の研究課題として、1)病態発症プロセ スや薬理作用プロセスにおけるゲノム発現解析 による病態メカニズム、薬理メカニズムのシス テム的解析、2)病態発症プロセスや薬理作用 プロセスのシステムシミュレーションによる病 態原因遺伝子、薬物標的遺伝子の同定、3)ケ ミカルゲノミクス情報、遺伝子発現データ、副 作用情報などのデータ統合による多重標的薬理 作用のシミュレーションモデルの開発、4)多 重標的薬理作用モデルに基づく薬理効果促進と 本研究室は平成 11 年度より薬学部から生命 科学研究科に移籍し、生体システム学分野と改 称しました。現在は根岸教授、加藤准教授、生 沼助教、DC 6 名、MC 5 名、四回生 2 名、秘書 1 名の総勢 17 名から構成され、さらなる飛躍を 遂げるため、スタッフ、学生が一丸となり、日 夜研究に励んでいます。 本研究室の具体的な研究としましては、 (1)G タンパク質による細胞(特に神経細胞) の形態調節機構 (2)神経における軸索ガイダンスや可塑性成立 の分子メカニズム (3)ガン細胞における運動メカニズム 等を解明することを目標としています。また、 最終的には細胞内情報伝達系の普遍的なシステ ムを分子レベルで明らかにしたいと考え、研究 を行っています。 研究活動以外にも定例行事として新歓コン パ、院試激励・お疲れ様コンパ、忘年会、追い − 41 − コ ン 等 の 各 種 コ ン パ や、 バ ー ベ キ ュ ー パ ー ティー等を行っています。また、他学部とのソ フトボール大会にも参加しており、積極的に外 部との交流も行っております。これらのイベン トがよい気分転換の機会となり、皆、和気あい あいと活気あふれる日々を過ごしています。 卒業生の皆様はもちろん、学部生の方々も、 本研究室に興味を持たれましたらお気軽にお立 ち寄りください。なお、詳しい研究内容や研究 室の様子につきましては当研究室のホームページ (http://www.users.kudpc.kyoto-u.ac.jp/%7Ep51907/ negishi/index.html)をご覧下さい。 最後になりましたが、研究室一同薬友会の皆 様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げま す。 生理活性制御学 (生命科学研究科・システム機能学) 生命科学研究科システム機能学分野は現在、 小堤教授、竹松准教授、内藤助教のご指導のも と、技官 3 名、博士課程 1 名、修士課程 4 名、4 回生 2 名、秘書 1 名の総勢 14 名で構成され、日々 研究に励んでおります。 当研究室の研究内容は、 (1)スフィンゴ脂質が関与するシグナル伝達機 構に関する研究 (2)細胞死誘導型免疫抑制剤の作用機構に関す る研究 (3)シアル酸分子種の生物学的役割に関する研 究 (4)DNA マイクロアレイを用いた糖鎖発現調 節遺伝子の解析 と多岐にわたっております。詳しい研究内容は ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/ kozutsumi/)をご覧ください。 研究室は薬学研究科南北棟 3F にあり、実験 機器も揃っており、研究を進めていくうえで良 い環境が整っています。また、本研究室では、 学生一人一人にテーマが与えられ、学生自らが すすんで考え、実験を行い、その結果や考察に ついてオープンにディスカッションできる研究 室です。 もちろん研究以外にも色々な行事が行われて おり、新歓コンパ、院試激励・お疲れコンパ、 研究室旅行、忘年会、追いコンなどがあります。 3 時のお茶の時間には、自然と数人が集まり一 息つきながら談笑する姿がみられます。卒業生 の皆様、そして本研究室に興味を持たれた方、 是非お気軽にお立ち寄りください。 最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康 と益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。 医療薬剤学 (医学部附属病院薬剤部) 医療薬剤学分野は附属病院薬剤部に属する研 究室です。本年度の研究室メンバーは、乾賢一 教授、桂敏也准教授、増田智先講師、本橋秀之 助教、福土将秀助教、米澤淳助教、研究員 1 名、 DC 13 名(うち医学研究科 3 名) 、MC 7 名(う ち 医 学 研 究 科 1 名 )、 研 究 生 1 名、4 回 生 4 名、 西村桂子秘書、河嶋千菜美秘書の総勢 34 名で す。今年より薬学 6 年制の学生が 4 回生として 分属し、新しい薬学教育が研究室にも浸透して きました。 医療薬剤学分野では、 「From Bench to Bedside」 を合言葉に医薬品の適正使用を目指した研究に 日々励んでいます。特に、薬物体内動態の規定 因子である薬物トランスポータおよび代謝酵素 に着目し、in vitro および in vivo 実験系を用い た薬物体内動態解析や遺伝子発現制御機構に関 する研究を進めています。また、医学部附属病 院の肝胆膵・移植外科、泌尿器科、腎臓内科、 糖尿病内科など多くの診療各科との共同研究を 行い、テーラーメイド薬物療法の確立へ向けた 薬物動態解析と遺伝子発現・多型解析を多角的 に展開しています。 本年 7 月 11、12 日に「輝ける医療薬学の確立 へ向けて―創造と調和と信頼―」をテーマとし て医療薬学フォーラム 2009/ 第 17 回クリニカル ファーマシーシンポジウムを開催しました。 1940 名の方にご参加いただき、盛会のうちに 無事終了致しました。また、11 月 27∼29 日に は日本薬物動態学会第 24 回年会を国立京都国 際会館において開催します。本年会より、国際 化に対応するために口頭発表は原則すべて英語 で行うことになっています。海外からの一般演 題申し込みもあり、本学会の国際化への変化が 伺えます。また、2010 年 12 月 1∼3 日には第 31 − 42 − 回日本臨床薬理学会年会も開催致しますので、 是非ご参加ください。 本年度末には、16 年間医療薬剤学分野を担 当してきました乾教授が定年退職されます。退 職前に最終講義開催を予定しておりますので、 是非多くの方にお集まりいただければ幸いで す。 薬剤部のホームページに教育・研究に関する 内容を掲載しておりますので是非一度ご覧下さ い(http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~yakuzai/main. htm)。また、興味を持たれた方は研究室にも どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。 生体機能化学 (化学研究所・生体機能設計化学) 宇治川のほとり、四季折々の豊かな自然に囲 まれた化学研究所内に我々の研究室はありま す。今年度の我が研究室のスタッフは教授の二 木史朗先生、助教の今西未来先生、中瀬生彦先 生をはじめとして、PD 2 名、DC 7 名、MC 9 名、 四回生 2 名、研究生 2 名、秘書 1 名の総勢 26 名 から構成されております。 私たちは「細胞」という舞台の中で、機能性 分子がどのような場面にどのように機能すれば 最も効果的で高い活性が得られるかということ に着目しています。本研究室では細胞内への物 質の取り込み、細胞膜を介する情報伝達、遺伝 子の認識と転写といった場で細胞機能を制御す る高機能蛋白質の創製を目指し、以下のテーマ を中心に研究を進めています。 1.膜透過ペプチドを用いたタンパク質細胞内 導入と細胞内情報伝達系の制御及び遺伝子 発現の制御に向けた研究 2.亜鉛フィンガー型転写因子の DNA 認識と 機能発現、またその応用的利用に関する研 究 3.ペプチド工学的手法を用いたイオンチャネ ルなどの新規機能性分子の創出 と、これまでの化学、生物学の枠にとらわれる ことなく、化学、生化学、分子生物学的手法を 用いて生体分子の機能解明・機能創出に向けた 研究を行っております。 教室行事といたしましては、春には化研新歓 コンパ、教室新歓コンパに始まり、化研スポー ツ大会、夏には化研涼飲会、院試激励・お疲れ さまコンパ、秋には薬友会野球大会、化研スポー ツ大会、教室旅行、冬には忘年会や追い出しコ ンパなど、いろいろな行事が盛りだくさんです。 また、有志によるボーリングや野球、飲み会、 スキーツアーなど学生同士の交流も活発で、研 究の合間に和気あいあいと楽しく過ごしており ます。 このように教室員一同、研究に、交流にと活 気あふれる毎日を送っております。本研究室の 卒業生の皆様をはじめ、本研究室に興味をもた れた方など、いつでもお気軽にお立ち寄りくだ さい。最後になりましたが、教室員一同、薬友 会の皆様のご健康と更なるご活躍を心よりお祈 り申し上げます。 精密有機合成化学 (化学研究所・精密有機合成化学) 京阪電鉄宇治線もしくは JR 奈良線で数十分、 緑豊かな宇治キャンパス・化学研究所に我々の 研究室はあります。当研究室は、空手をはじめ 様々なスポーツを得意とする川端教授、実験室 を取り仕切る古田准教授及び吉村助教、質量分 析 の 藤 橋 技 官、 秘 書 1 名、PD 1 名、DC 9 名、 MC 7 名、4 回生 2 名の総勢 24 名で構成されて おります。 当研究室の研究内容は以下の通りです。 1)動的不斉制御の方法論と不斉反応への利用 2)有機触媒による精密反応制御 3)分子のキラリティーに基づく高次構造の構 築 4)キラルな機能性分子の合成と分子認識に関 する研究 5)生物活性化合物の創出を指向した新規合成 法の開発 ここで、当研究室のご紹介と近況のご報告を いたします。当研究室では、毎週行われる研究 報告会、文献紹介セミナーに加え、英語で書か れた教科書の輪読会があります。学生が主体と なった問題演習も行われています。また、夏に は一年間の研究成果を発表するアニュアルセミ ナーが一泊二日の日程で行われています。どの セミナーでも活発な討論が行われております。 さらに、当研究室には 400 MHz の NMR が一台 − 43 − あり、スムーズに実験を行うことができます。 年間行事としては、春の花見、新入生歓迎コン パに始まり、前述した夏のセミナー合宿、院試 お疲れコンパ、秋の研究室旅行、新年会、追い 出しコンパなどがあり、研究生活にメリハリを つけ楽しく充実した一年間を送っています。ま た、化研のスポーツ大会にも積極的に参加し、 今年度も各種目で好成績を残しております。卒 業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をもたれ た方はどうぞお気軽にお立ち寄りください。 最後になりましたが、薬友会の皆様のご健勝 と益々のご活躍をお祈り申し上げます。 総合ゲノミクス (化学研究所・バイオインフォマティク スセンター) 本分野は平成 19 年度より新設された医薬創 成情報科学専攻の統合ゲノミクス分野です。研 究は主に宇治キャンパスにある化学研究所バイ オインフォマティクスセンターで行われ、薬学 研究科のほか理学研究科からも大学院生を受け 入れています。当研究室は金久實教授、五斗進 准教授、服部正泰助教、時松敏明助教、小寺正 明助教、PD 2 名、薬学研究科 DC 3 名、薬学研 究科 MC 3 名、理学研究科 DC 6 名、理学研究 科 MC 2 名、研究生 1 名、研究員等 7 名、秘書 2 名より構成されています。その他に当研究室が 中心となって開発している KEGG データベー スに関係する技術員や研究補助者が 12 名、シ ステムエンジニアが 5 名在籍しており、総勢 48 名が閑静な宇治キャンパスを舞台に日々研究や 勉学に勤しんでいます。また、当研究室を主宰 する金久教授は東京大学医科学研究所ヒトゲノ ム解析センター教授も兼任しており、現地には 助教 2 名、技官 1 名、KEGG 開発メンバー9 名、 秘書 1 名の総勢 13 名が在籍しておりますので、 両拠点を合わせると金久研の構成人員は総勢 61 名に上ります。これら京大化学研究所、京 大薬学研究科、そして東大医科学研究所の間に は、最新のテレビ会議システムが導入されあた かも一体化された研究室として運営されていま す。研究内容についての特徴としては、 他の研 究 室 と 異 な り ド ラ イ で あ る こ と、 す な わ ち ウェットな実験ではなく計算機を用いた実験や 解析を行っていることです。たとえば当研究室 の研究設備は、 超並列型スーパーコンピュータ からパソコンに至るまでコンピュータ関連の機 器が中心となっています。バイオインフォマ ティクスの大学院向けコースは日本にもいくつ か存在しますが、 情報科学系の研究領域の一部 として設置されることが多く、当研究室のよう に生命科学系の研究科の一部として設置される のは珍しいことです。実際、研究内容もアルゴ リズムの改良や情報科学的な手法の提案に留ま らず、その手法を通して如何に生物学的意義の ある結論を導き出せるかが最重視されていま す。また、本研究室は古くからバイオインフォ マティクス研究に深く関わっており、国内のみ ならず国際的な研究基盤を構築し研究コミュニ ティを支えてきた実績があります。このような 背景の下、最近の潮流の一つであるケミカルゲ ノミクス研究の一環として、低分子化合物、糖 鎖、脂質等の構造および機能解析が行われ、 国 際的にも高い評価を得ています。その他にも、 DNA 配列やアミノ酸配列の生物種間比較をゲ ノムスケールで行う解析や、 タンパク質立体構 造や RNA 高次構造の機能解析、また主に代謝 パスウェイを用いたネットワーク解析や並列計 算機による代謝シミュレーションなど、常に最 先端のバイオインフォマティクス研究が行われ ています。これら研究内容についての詳細は、 金 久 研 究 室 の ホ ー ム ペ ー ジ(http://kanehisa. kuicr.kyoto-u.ac.jp/projects_J.html)をご参照くだ さい。 当研究室の年中行事としては、 春の歓迎会、 夏の涼飲会(化研全体の行事)、秋の遠足(バ イオインフォマティクスセンター全体の行事)、 そして新年の追い出しコンパなどです。また化 学研究所内での各種スポーツ大会も適宜開催さ れており、後輩たちには活躍が期待されるとこ ろです。一方、研究室員が関係する主な国際・ 国内学会としては、GIW(Genome Informatics Workshop)、ISMB(Intelligent Systems for Molecular Biology)、PSB(the Pacific Symposium on Biocomputing)、日本バイオインフォマティ クス学会年会、日本分子生物学会年会、日本生 物物理学会年会などがあり、いずれも積極的に 参加・研究発表することが推奨されています。 さらに、米ボストン大学および独フンボルト大 − 44 − 学との連携教育プログラムの一環として開催さ れる国際ワークショップにも、特に若手を中心 に積極的な研究発表が望まれます。また、海外 の著名な研究者を講師としてお招きしセミナー を行っていただくことも多々あり、国際的な視 野を持つ優秀な人材育成に積極的に取り組んで います。より基礎的な教育体制についても、ラ ボ内で開催されるセミナー・講義・実習のテー マをきめ細かく設定するなどし、計算機科学・ プログラミング・分子生物学などに不慣れな新 入院生が無理なく一線級のバイオインフォマ ティクス研究者となれるよう、万全の教育・指 導体制を敷いています。実際、ラボメンバーの 多くはウェットな実験生物学系研究室の出身で あり、入学当初は計算機に不慣れな者ばかりで したが、早い者は数ヶ月程度で最新のプログラ ミング言語を操れるようになっています。 このように、当分野は薬学研究科では珍しい ドライな分野であるため少々違和感を持たれる かもしれませんが、 よくある個人主義的な計算 機系ラボとは異なり、研究室の中は非常にアッ トホームで居心地のよい雰囲気に包まれていま す。研究室見学は随時受け付けておりますので、 この記事を読み、 研究内容や研究室そのものに 興味を持たれた方、あるいはバイオインフォマ ティクスという新しい学問領域に少しでも興味 を持たれた方は、是非一度お立ち寄りいただけ ればと思います。 分子設計情報 (化学研究所・バイオインフォマティク スセンター) 本分野は、2006 年 4 月より薬学研究科に所属 し、さらに 2007 年 4 月に創設された医薬創成情 報科学専攻に現在所属する協力講座です。化学 研究所バイオインフォマティクスセンターは、 京都の南に位置する宇治キャンパス内に一昨年 に竣工された総合研究実験棟にあり、当分野は その 3F にあります。構成員は馬見塚(まみつか) 教授、瀧川助教、志賀助教、PD 4 名、大学院 生 1 名です。バイオインフォマティクスは、生 命科学と情報科学の融合領域で、計算機科学や 統計学の情報処理技術により生命現象の解明を 目指す新しい学際領域です。特に、本分野では、 機械学習、パターン認識および統計科学の技術 構築・適用による生命科学への貢献に注力して います。より具体的な研究テーマとして以下を 挙げることが出来ます。 ・薬―ターゲットペアデータからのフラグメン ト―ペプチドパターンの効率的抽出 ・遺伝子発現データを使用した条件依存代謝パ スウェイの自動抽出 ・多様な生命科学データを利用した高精度の遺 伝子モジュール発見 当分野の研究環境ですが、研究には十分な背 景知識の習得と自由な討論が強く奨励されると 同時に、研究遂行に欠かせない計算サーバは必 要十分に整備されています。また、週一回のプ ログレスミーティングは英語で行われていま す。研究のオフには、化学研究所およびバイオ インフォマティクスセンターの様々なイベント (スポーツ交流、歓送迎会等)に積極的に参加 しています。また、郊外のキャンパスの新しい 建物のため、個人スペースに比較的余裕がある ことも、本分野の特徴の一つでしょうか。卒業 生の皆様、また当分野に興味のある学生の方々 も、ぜひお気軽にお立ち寄り下さい。バイオイ ンフォマティクスはまだまだ未来技術で将来性 豊かな研究領域です。この新しい研究分野を一 緒に開拓する心意気のある方々のご訪問をお待 ちしております。 最後に、薬友会の皆様のご健康とご活躍を心 よりお祈り申し上げます。 − 45 − 薬 友 会 部 報 平成 21 年度薬友会役員 会 長 伊藤 信行 教授 総 務 中川 貴之 生体機能解析学 副会長 藤井 信孝 理事・副学長 会 計 山田 健一 薬品合成化学 雑 誌 久米 利明 薬品作用解析学 運 動 服部 明 システムケモセラピー(制御分子学) 教 養 中津 亨 構造生物薬学 平成 21 年度予算(案) 《収入の部》 (円) 《支出の部》 (円) 項 目 本年度(案) 前年度決算 項 目 本年度(案) 前年度決算 前年度繰越金 薬友会費(名簿代含) 会誌広告料 利息収入 25,929,679 2,650,000 1,000,000 0 20,901,555 9,380,460 1,152,000 190,333 合 計 29,579,679 31,624,348 総務部 教養部 雑誌部 運動部 予備費(次年度繰越金) 2,440,000 300,000 1,510,000 170,000 25,159,679 3,650,000 199,072 3,089,697 164,595 25,929,679 合 計 29,579,679 33,033,043 平成 20 年度 薬友会ソフトボール大会結果報告 製剤機能解析学 薬品機能解析学 12 21 5 22 6 3 28 7 6 4 6 2 生体分子認識学 遺伝子薬学 薬品機能解析学 製剤機能解析学 − 46 − 医療薬剤学 生体情報制御学 薬品動態制御学 病態情報薬学 回生 生体機能解析学 創薬神経科学 薬品作用解析学 薬品分子化学 薬品有機製造学 薬品合成化学 薬用資源学 システムケモセラピー ︵制御分子学︶ 1 7 10 平成 20 年度 薬友会野球大会結果報告 薬品作用解析学 10 1 4 6 15 3 4 18 19 10 3 0 11 4 8 9 7 9 1 8 4 19 20 5 1 15 9 6 不戦勝 9 3 1 病態機能分析学 薬品有機製造学 回生 生体情報制御学 薬品動態制御学 薬品分子化学 薬用資源学 システムケモセラピー ︵制御分子学︶ 2 薬品合成化学 薬品作用解析学 回生 構造生物薬学 薬品機能解析学 製剤機能解析学 回生 医療薬剤学 遺伝子薬学 生体機能解析学 創薬神経科学 病態情報薬学 ゲノム創薬科学 生体分子認識学 3 平成 20 年度 薬友会バレーボール大会結果報告 薬品合成化学 平成 19 年度の薬友会ソフトバール大会、薬友会野球大会におきまして分野名の表記に誤りがございました。 下記のように訂正してお詫び申し上げます。 (誤)生態情報制御学 → (正)生体情報制御学 (誤)生体機能化学 → (正)生体分子認識学・生体活性制御学 − 47 − 薬品有機製造学 回生 システムケモセラピー ︵制御分子学︶ 生体機能解析学 薬品機能解析学 病態情報薬学 薬品作用解析学 薬品分子化学 構造生物薬学 病態機能分析学 薬品合成化学 薬品動態制御学 生体情報制御学 1 京大薬友会会則 第 1 章 会 名 第1条 第 6 章 会 議 本会は京大薬友会と称する。 第 17 条 会議を分けて総会及び役員会とする。 第 18 条 総会は必要に応じて、役員会の議をへて会長が之を招集 第 2 章 目 的 第2条 することができる。 本会は会員相互の親睦を厚くし学識の向上を図ることを 第 19 条 会長は 3 月に定例委員会を招集し、会計報告、新役員の 目的とする。 委嘱、その他の協議報告を行なうものとする。又、会長 は 4 月に定例委員会を招集し、予算および事業案を審議 第 3 章 会 員 第3条 決定するものとする。但し、会長は必要に応じ臨時役員 本会の会員を分けて名誉会員、通常会員及び賛助会員と する。 第4条 名誉会員とは本会に功績ある者の中より役員会の議を経 て総会において推薦された者をいう。 第5条 会を招集することができる。 第 20 条 役員会の成立は少なくとも全役員の 3 分の 1 以上が出席 することを要す。 第 21 条 役員会の議決は出席役員の過半数を得なければならな 通常会員とは京都大学医学部薬学科及び薬学部職員・大 学院学生及びかつてその職にあった者、卒業生、学生、 い。 第 22 条 役員会は、会計報告、予算案を会報紙上に報告するもの 並びに研究生をいう。その他京都大学医学部薬学科及び とする。 薬学部に縁故ある者は役員会の議決によって通常会員と 第 7 章 会 費 なることができる。 第6条 賛助会員とは、名誉会員・通常会員以外で本会の主旨に 第 23 条 名誉会員及び賛助会員よりは会費の徴収を行なわない。 賛同し、寄附その他の行為を為した者の中、役員会の承 第 24 条 会員は 20,000 円を一括して支払うことにより永久会員と しての資格を得る。単年度毎に支払う場合は、通常会員 認を経た者をいう。 1,000 円、学生会員 500 円を年会費とする。但し、会費 第 4 章 役 員 は名簿代金を含まない。 第7条 本会には会長 1 名、副会長 1 名及び委員若干名を置く。 第8条 会長は京都大学薬学部長が之に当り、本会の事務を総括 するものとする。 第9条 第 8 章 経 費 第 25 条 経費の支出科目は次の通りとする。 副会長には前会長が之に当り、会長を補佐するものとす 総務部費、雑誌部費、運動部費、教養部費、会計部費、 る。 予備費 第 10 条 委員は卒業生、学生共、各学生、各学科より 1 名、大学 各事業部費は役員会の議を経なければ互いに流用する事 院各学年より 1 名、其の他に総務、雑誌、運動各部の運 はできない。 営のため若干名の委員を会長が委嘱するものとする。 予備費の支出は役員会の議決を要する。 第 11 条 委員は 2 つの代表を兼ねる事ができない。 第 26 条 毎年度の事業費の決定は役員の議をへて之を決定する。 本会の会計年度は毎年 4 月 1 日にはじまり翌年 3 月末に 第 12 条 委員はいずれかの事業部に属し、庶務を司るものとする。 終る。 その所属は役員会において決定する。 第 13 条 委員の任期は 1 年とする。但し重責は妨げない。 第 9 章 支 部 第 14 条 委員の委嘱は毎年 3 月に之を行なう。 第 27 条 会員 10 名を越える地方は役員会の議決を経て支部を設 第 5 章 事 業 ける事ができる。 第 15 条 本会の事業を行うため次の部を置く。 第 28 条 支部は役員会の議決を経て支部費を受けることができ (イ)総務部 (ロ)雑誌部 (ハ)運動部 る。 (ニ)教養部 (ホ)会計部 第 10 章 事業所 第 16 条 総務部は予算の編成、企画、会計、連絡その他を行なう。 雑誌部は名簿の編成、雑誌の発行、その他を行なう。 第 29 条 本会は事務所を京都大学薬学部内に置く。 運動部は運動会、旅行その他を行なう。 第 11 章 会則変更 教養部は講演会、見学その他を行なう。 会計部は会計を行なう。 第 30 条 本会の会則変更は役員会の議をへなければならない。役 員会は会則の変更を会報に報告しなければならない。 − 48 − 乾 賢一教授最終講義および記念パーティーのご案内 乾 賢一先生には、平成 22 年 3 月 31 日をもって定年退職されることになりました。先生は昭和 44 年 3 月に京都大学薬 学部をご卒業になり、昭和 46 年 3 月には京都大学大学院薬学研究科修士課程を修了されました。広島大学医学部薬学科助 手、本学医学部助手、講師、助教授、東京医科歯科大学医学部教授をご歴任の後、平成 6 年 1 月本学医学部教授、附属病 院薬剤部長にご就任になり、薬学研究科医療薬剤学分野を担当されました。爾来 16 年間、医学と薬学の接点である病院 薬剤部の業務、教育、研究において卓越したリーダーシップを発揮され、医療薬学という新しい領域の発展に尽力してこ られました。その成果は、昭和 63 年日本薬学会奨励賞、平成 8 年タケル・アヤ・ヒグチ記念賞、米国薬学会(AAPS)フェロー 称号、平成 14 年日本薬物動態学会賞、平成 18 年日本薬学会賞、平成 20 年日本薬剤学会賞、AAPS Research Achievement Award を受賞されるなど、国内外の学会において高く評価されているところであります。一方、学外におきましても日本 医療薬学会会頭、日本薬物動態学会副会長(次期会長) 、日本医薬品情報学会副会長など、多くの学会の要職を歴任され その発展に尽力されるとともに、京都府薬剤師会、京都府病院薬剤師会の会長を長年務められ、転換期の医療における薬 剤師職能の発展、連携に多大な貢献をされました。 このたび先生のご退職を迎えるにあたり、多年のご功績を讃え、併せて感謝の意を表するために下記のように最終講義 および記念パーティーを開催致しますので、多数ご参加下さいますようお願い申し上げます。 ◆最終講義 日 時: 平成 22 年 3 月 6 日(土) 午後 2 時∼4 時 場 所: 京都大学薬学部記念講堂 京都市左京区吉田下阿達町 ◆記念パーティー 日 時: 平成 22 年 3 月 6 日(土) 午後 5 時 30 分より 会 場: ウェスティン都ホテル京都(西館 4 階 瑞穂の間) 京都市東山区三条蹴上(電話 075-771-7111) 会 費: 20,000 円(記念品代を含む) 申 込: 綴込みハガキで来る 2 月 1 日(月)までにお申込み下さい。 お申込み後、以下の郵便振替口座へ 2 月 15 日(月)までにお振込下さい。 (口座番号)00950-0-216727 (口座名称)乾 賢一教授定年退職記念事業会 乾 賢一教授定年退職記念事業会 実行委員長 安原 眞人 連 絡 先 桂 敏也 〒 606-8507 京都市左京区聖護院川原町 54 京都大学医学部附属病院薬剤部 電話 / FAX:075-751-3590 E-mail:[email protected] − 49 − 富岡 清教授最終講義および記念パーティーのご案内 富岡 清先生には、平成 22 年 3 月 31 日をもって退職されることになりました。先生は昭和 46 年に東京大学薬学部を卒 業後、同大学大学院薬学系研究科に進学され、昭和 51 年に博士課程修了後、米コロラド州立大学 A. I. Meyers 教授のもと へ留学されました。昭和 53 年に東京大学薬学部助手に就任された後、同大学助教授を経て、平成 4 年に大阪大学産業科学 研究所の教授に就任、平成 8 年から京都大学薬学部教授として薬用植物化学講座、ついで同大学院薬学研究科教授として 薬品合成化学分野を担当され、教育、研究の両面に多大な功績を残してこられました。先生は分子の活性化と構造制御を 同時に可能とする高選択的な不斉触媒反応の開拓と分子集合の化学を推進してこられました。これらの研究に対し平成 15 年には「分子の構造制御と活性化を基盤とした不斉合成反応の開拓と展開」により日本薬学会賞を受賞されました。 また先生は平成 14 年より京都大学評議員として、また平成 16 年より薬学研究科副研究科長、平成 18 年より薬学部長・ 研究科長を歴任されるなど、薬学部、薬学研究科のみならず、京都大学の運営と発展にご尽力されました。さらに学外に おいても、文部省学術審議会学術用語分科会専門委員、日本学術振興会専門委員、厚生省中央薬事審議会臨時委員、厚生 労働省薬事・食品衛生審議会臨時委員、医薬品医療機器総合機構専門委員を歴任され、平成 12 年からは財団法人サントリー 生物有機科学研究所評議員、平成 13 年からは日本プロセス化学会副会長、平成 16 年からは日本薬学会化学系薬学部会長、 平成 17 年からは国際複素環化学会理事、平成 18 年からは薬学教育協議会理事、Heterocycles 編集顧問、平成 19 年からは Tetrahedron 編集者を務められるなど、多くの財団専門学協会の発展に貢献されています。 このたび先生のご退職にあたり、多年のご功績を讃え、併せて感謝の意を表するため、下記のように最終講義および記 念パーティーを開催致しますので、多数ご参加下さいますようお願い申し上げます。 ◆最終講義 題 目: 「学生と登る有機化学の山」 日 時: 平成 22 年 2 月 12 日(金) 午後 3 時∼4 時 30 分 場 所: ウェスティン都ホテル京都(西館 4 階 瑞穂の間) 京都市東山区三条蹴上(電話 075-771-7111) ◆記念パーティー 日 時: 平成 22 年 2 月 12 日(金) 午後 5 時より記念撮影、5 時 30 分より記念パーティー 会 場: ウェスティン都ホテル京都(西館 4 階 瑞穂の間) 京都市東山区三条蹴上(電話 075-771-7111) 会 費: 20,000 円(当日会場で申し受けます) 申 込: 綴込みハガキで来る 1 月 12 日(火)までにお申込み下さい。 富岡清教授退職記念事業会 実行委員長 伊藤 信行 連 絡 先 山田 健一 〒 606-8501 京都市左京区吉田下阿達町 京都大学大学院薬学研究科 電話:075-753-4573 FAX:075-753-4604 E-mail:[email protected] − 50 − 半田哲郎教授最終講義および記念パーティーのご案内 半田哲郎先生には、平成 22 年 3 月 31 日をもって定年退職されることになりました。先生は昭和 44 年に京都大学薬学部 をご卒業後、同大学大学院薬学研究科に入学され、昭和 49 年に博士課程中途退学と同時に京都大学薬学部薬品物理化学 講座の助手に就任されました。その後、岐阜薬科大学講師、同大学助教授を経て、昭和 62 年に京都大学薬学部薬品物理 化学講座の助教授に就任、平成 9 年から京都大学大学院薬学研究科教授として製剤機能解析学分野を担当され、研究、教 育の両面に多大な功績を残してこられました。先生は脂質単分子膜の熱力学的性質の解明を出発点として、リポタンパク 質の代謝に関わる脂質エマルション粒子とアポリポタンパクの相互作用および平衡の調査、コレステロールホメオスタシ スに関わる preβ-HDL 様ナノディスク粒子の再構成と機能の解明を推進してこられました。これらの研究に対し平成 3 年 には「脂質分子集合体間の平衡とそれらのミクロな表面環境に関する界面化学的研究」により日本薬学会奨励賞を受賞さ れました。 また先生は平成 15 年より京都大学評議員・教育研究評議会評議員として、また平成 17 年より薬学研究科副研究科長、 平成 18 年より薬学研究科創薬科学専攻長、薬学部薬学科長、平成 21 年より京都大学評価・点検実行委員会委員長を歴任 されるなど、数多くの学内委員として薬学部、薬学研究科のみならず、京都大学の運営と発展にご尽力されました。さら に学外においても、日本学術振興会専門委員や、大学評価・学位授与機構国立大学教育研究評価委員会専門委員を歴任さ れ、平成 21 年からは日本膜学会会長を務められるなど、多くの専門学協会の発展に貢献されています。また、平成 21 年 の日本薬学会第 129 年会では組織委員長として手腕を振るわれ、年会を成功裏へと導かれました。 このたび先生のご退職にあたり、多年のご功績を讃え、併せて感謝の意を表するため,下記のように最終講義および記 念パーティーを開催致しますので、多数ご参加下さいますようお願い申し上げます。 ◆最終講義 題 目: 「自然の自発的変化と界面ナノ科学」 日 時: 平成 22 年 2 月 20 日(土) 午後 3 時∼4 時 30 分 場 所: ウェスティン都ホテル京都(西館 4 階 瑞穂の間) 京都市東山区三条蹴上(電話 075-771-7111) ◆記念パーティー 日 時: 平成 22 年 2 月 20 日(土) 午後 5 時より記念撮影、5 時 30 分より記念パーティー 会 場: ウェスティン都ホテル京都(西館 4 階 瑞穂の間) 京都市東山区三条蹴上(電話 075-771-7111) 会 費: 20,000 円(当日会場で申し受けます) 申 込: 綴込みハガキで来る 1 月 20 日(水)までにお申込み下さい。 半田哲郎教授定年退職記念事業会 実行委員長 伊藤 信行 連 絡 先 中野 実 〒 606-8501 京都市左京区吉田下阿達町 京都大学大学院薬学研究科 電話:075-753-4565 FAX:075-753-4601 E-mail:[email protected] − 51 − 平成 21 年 12 月発行 発 行 所 京都大学大学院薬学研究科・薬学部・薬友会 Tel 075-753-4589 E-mail [email protected] 発行責任者 伊 藤 信 行 印 刷 所 中西印刷株式会社 Tel 075-441-3155
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