E - 京都大学大学院薬学研究科

目 次
会長挨拶 佐治 英郎 …………………………………………… 1
就任のご挨拶 松原 和夫 …………………………………………… 3
松岡 雅雄 …………………………………………… 4
柿原 浩明 …………………………………………… 5
京都大学薬学部記念事業レポート
「第 4 回 薬学の未来を考える京都シンポジウム」に参加して ………… 6
第 7 回ソウル大-京大-阪大合同シンポジウムに参加して ……………… 9
第 1 回 附属薬用植物園一般公開見学会 …………………………………… 11
会員便り~近況報告 …………………………………………………………… 13
人事異動 ………………………………………………………………………… 17
受 賞 ………………………………………………………………………… 19
博士(薬学・薬科学) ………………………………………………………… 20
修士(薬科学) ………………………………………………………………… 22
分野(教室)だより …………………………………………………………… 25
薬友会部報 ……………………………………………………………………… 43
京大薬友会会則 ………………………………………………………………… 45
薬学研究科教員 電話番号・Eメール一覧 ………………………………… 46
伊藤信行教授最終講義のご案内 ……………………………………………… 50
ご 挨 拶
佐 治 英 郎
会長 平成 24 年も残り少なくなって参りました。
薬友会員の皆様にはお元気でご活躍のこととお
喜び申し上げます。ここに薬友会会誌第 64 号
をお届けするにあたり、薬学研究科・薬学部の
近況をご報告申し上げ、ご挨拶とさせていただ
きます。
まずは、この 10 月 8 日に本学 iPS 細胞研究所
長の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を
受賞されました。iPS 細胞は医薬品開発にもき
わめて有効なものであり、その創薬研究分野へ
の応用が大いに期待されているところです。大
学内では講演会をはじめ、いろいろな祝賀の会
が開催され、喜びに沸いています。
さて、薬学におきましては、ご存じのとおり、
平成 18 年より新しい薬学教育制度が始まりま
したが、本学部では創薬科学研究者 ・ 技術者の
育成を主たる使命とする 4 年制の教育課程(薬
科学科)と、高度な先端医療を担う薬剤師・医
療薬科学者の育成を主たる使命とする 6 年制の
教育課程(薬学科)とを並置し、それぞれの志
望進路を通して薬学領域の将来を支える人材の
育成に努めているところです。この新教育体制
の実施にあたり、教職員の皆様には多大なるご
尽力を頂きましたが、その結果、お蔭様で本年
3 月に、この新しい 6 年制薬学教育制度での第 1
期生 26 名を世に送り出すことができました。
また、この学部の教育制度の変革に伴って大学
院の制度も改革し、6 年制の学部教育課程の卒
業生を対象とする4年間の博士課程を本年 4 月
よりスタートさせることができました。この新
しい教育体制のもと、本学は創造的な薬学の
“創”と“療”の拠点を構築し、足腰のしっか
りした薬学人育成のために、今後とも教職員一
同教育・研究のより一層の強化・充実のために
全力で取り組んでいく所存ですので、皆様の一
層のご支援とご鞭撻をお願い申し上げます。
このような教育・研究体制の強化・充実を進
める中、新しい組織として、本年 4 月より日本
製薬工業協会(製薬協)からの寄附講座「医薬
産業政策学講座」が開設されました。この寄附
講座に関しましては、昨年 10 月に製薬協がこ
れからの薬学領域の発展のためには医療経済
学・医薬産業政策学が重要な領域の一つである
として、これを教育・研究する寄附講座を募集
しました。それに対して、現在本講座の特定教
授としてご着任いただいております柿原浩明先
生が本研究科を研究・教育の活動の場として本
プロジェクトに申請され、その結果設立された
ものです。柿原先生のご尽力、そして周囲の先
生方のご協力により、おかげさまでスタッフの
陣容も整い、本講座はスムーズにスタートし、
すでに活発に活動を展開し、薬学研究科・薬学
部に新しい風を吹き込んで頂いています。今後
の発展が大いに期待されます。
また、「横断的統合型教育による創薬・育薬
力育成プログラム」、「先端技術グローバルリー
ダー養成プログラム」、「革新的ナノバイオ創薬
研究拠点」など、これまで薬学研究科・薬学部
として取り組んで来ました教育・研究プロジェ
クトも関係の先生方を中心に多くの方々のご
尽力をいただき、着実に成果をあげて頂いてい
ます。
研究科の過去 1 年間の人事異動につきまして
は、本年 3 月 31 日付けで生理活性制御学分野担
当の生命科学研究科システム機能学分野の小堤
保則教授、分子微生物学分野の渡部好彦准教授、
また、最先端創薬研究センターの内海 潤特定
教授が昨年 12 月 31 日付け、杉本八郎特定教授
および松本 明特定教授が本年 3 月 31 日付けで
それぞれ退職されました。各先生方のこれまで
の薬学研究科・薬学部における教育・研究への
ご貢献に対して感謝申し上げます。特に、小堤
先生、渡部先生、杉本先生には長年に渡るご貢
献に改めて厚く御礼申し上げます。また、昨年
12 月 1 日付けでシステムケモセラピー(創薬計
算化学)分野の北浦和夫教授が神戸大学大学院
-1-
システム情報科学研究科特命教授として、本年
3 月 1 日付けで薬品作用解析学分野の赤池昭紀
教授が新設の名古屋大学大学院創薬科学研究科
教授としてそれぞれご異動されました。
さらに、
製剤機能解析学分野の中野 実准教授が富山大
学大学院医学薬学研究部(薬学)教授としてご
栄転されました。各先生方のこれまでの薬学研
究科・薬学部における教育・研究へのご貢献に
感謝申し上げるとともに、新天地での益々のご
活躍をお祈り申し上げます。なお、赤池昭紀先
生には、客員教授として引き続き本研究科での
ご指導をいただいております。一方、上述し
ました寄附講座の医薬産業政策学講座の教授
に柿原浩明先生、准教授に井深陽子先生、助教
に馬 欣欣先生をお迎えしました。また、生体
情報制御学分野准教授に申 恵媛先生、統合薬
学教育開発センター助教に角山香織先生、薬品
分子化学助教に小林祐輔先生が採用となられま
した。各先生方の益々のご活躍を祈念いたしま
す。一方受賞につきましては、松崎勝巳教授が
ベルツ賞1等賞、土居雅夫准教授が日本薬学会
奨励賞をそれぞれ受賞されました。先生方の
益々のご研究の発展が期待されます。
一方、平成 25 年 3 月末には、遺伝子薬学分野
の伊藤信行教授が京都大学の規定に従ってご定
年を迎えられます。伊藤先生は昭和 46 年本学
部をご卒業され、その後平成 5 年から京都大学
大学院薬学研究科教授として、独立専攻薬品作
用制御システム専攻の設置に伴い新設された遺
伝子薬学分野を担当してこられました。最終講
義の概要が本誌に記載されておりますが、長年
本研究科でご指導いただきました先生がご退職
されるのは寂しい限りです。先生の本学での長
年のご貢献に深く感謝の意を表します。
以上、薬学研究科・薬学部の動向をご紹介さ
せていただきましたが、ここに、昨年 12 月に
本学元教授 多賀 徹先生、また本年 3 月に本
学名誉教授井上博之先生がご逝去なされたと
いう、誠に残念なお知らせをお伝え申し上げな
くてはなりません。ここに両先生のご生前のご
功績をしのび、心よりご冥福をお祈り申し上げ
ます。
また、去る 7 月末、本研究科に所属していた
元教員が不祥事を起こし、社会をお騒がせし、
会員の皆様はじめ、ご関係者の方々に大変なご
迷惑をおかけしまいたこと、心からお詫び申し
上げます。薬学研究科としても、今後このよう
なことが起こらないよう、再発防止に向けて全
力を挙げて取り組んで参りますので、どうか
一層のご指導のほどよろしくお願い申し上げ
ます。
現在、大学法人化が行われてから 8 年が経過
し、本学においても関係者の方々の多大なるご
尽力により法人としての外枠の基本的な形はで
きて来ました。これからは、法人としての内容
の実質化が強く求められていくことになってい
きます。大学を取り巻く種々の環境が厳しい状
態の中で、この実質化を進めていくためには多
くの課題があります。このような状況ではあり
ますが、京都大学薬学研究科・薬学部は、日本
の薬学教育・研究のリーダーとして、これから
も新しい薬学像の構築を目指して教育・研究の
充実・発展に努力していく所存です。薬友会会
員の皆様には、今後とも更なるご支援、ご鞭撻
を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。最
後になりましたが、薬友会会員の皆様方の一層
のご健勝とご活躍を心より祈念いたします。
-2-
就任のご挨拶
医療薬剤学分野(医学部附属病院薬剤部) 京都大学薬友会会員の皆様方におかれまして
は、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
平成 24 年 4 月 1 日付けで医療薬剤学分野(医学
部附属病院薬剤部)を担当させていただいてい
ます松原と申します。医学部附属病院薬剤部の
薬剤部長としては 9 代目、専任の教授としては
初代の堀良平先生、平成 22 年 3 月にご退職され
ました乾賢一先生の後の三代目にあたります。
本紙面をお借りしまして、自己紹介かたがたご
挨拶申し上げます。
私は、昭和 53 年に本学薬学部を卒業後(化
学研究所の川端猛夫先生と同級生になります)、
郷里の島根県職員となり、日本海沖合に浮かぶ
隠岐諸島(西ノ島)の小さな保健所に勤務しま
した。その 1 年後、田中久先生のご推薦で島根
医科大学法医学教室の開講に前後して入局し、
18 年余りを島根医科大学で基礎医学の分野に
奉職していました。一転して平成 9 年 8 月に、
北海道の旭川医科大学に赴任し、まったく未知
の世界でしたが薬剤部教授として約 15 年の間
薬剤部の業務・研究・教育にあたってきました。
また、薬剤部教授としては異色かもしれません
が、私は放射性医薬品化学教室(病態機能分析
学分野)の出身です。研究分野は、島根医科大
学在籍当時から主に中枢薬理学、特にパーキン
ソン病関連の仕事をしてきました。旭川医科大
学へ赴任後は、基礎研究に加えて「新しい病院
薬剤師像」をテーマに様々なことにチャレンジ
するようになりました。現在は、日本病院薬剤
師会の副会長を兼務しています。
旭川に着任してからの 15 年間は、医療、特
に薬剤業務を取り巻く環境の激変時であったと
思います。同時に、薬剤師教育も平成 18 年か
ら 6 年制へと大きく舵をとりました。私が平成
9 年に旭川医科大学病院薬剤部に赴任した頃
松 原 和 夫
は、薬剤師はどちらかと言えば薬剤部の中に閉
じこもり、他のスタッフおよび患者さんからは
顔の見えない存在であったと思われます。とこ
ろが現在では、薬剤師の活躍の場は病棟となり、
患者さんを起点とする仕事に大きく変わりまし
た。点と点を結べば一直線ですが、顔の見えな
い薬剤師を医療の中にどのように組み込めば良
いかは、この 15 年間は試行錯誤の状態でした。
そのような中、平成 11 年から、日本初の試み
として、病棟に薬剤師を常駐させる体制を作り
ました。この病棟薬剤師常駐業務は、今年度か
ら医科診療報酬の基本診療料の中に「病棟薬剤
業務実施加算」として新設されました。病院薬
剤師業務の改革がようやく診療報酬として実っ
たと感慨深く思う次第です。京都大学医学部附
属病院にあっても、薬剤師が医療の現場に居な
くてはならないような業務の積極的な展開を
行っていきたいと考えています。薬剤師は様々
な可能性を秘めた医療職であり、病院の中で他
の医療職と協働してこそより有効に力を発揮で
きるものと思います。この考えの基に、京都大
学医学部附属病院全体に貢献できる業務を推進
すると同時に、新しい薬剤師の養成教育にも精
進して参りたいと存じます。
また、当薬剤部は、堀先生および乾先生が綿々
と築き上げてこられた薬物動態の拠点でもあり
ます。今後も、両先生の成果を更に発展させて
行くとともに、新しい分野へのチャレンジも行
うつもりでいます。その方向性は、疾病原因の
解明および薬物の作用・副作用について臨床の
問 題 を 基 礎 か ら 解 明 し、 こ れ を 再 び 臨 床 に
フィードバックできるようにと考えています。
それには、多くの皆様方のお力添えが必要と考
えていますので、ご指導・ご鞭撻のほど宜しく
お願い申し上げます。
-3-
就任のご挨拶
松 岡 雅 雄
ヒトレトロウイルス学 京大薬友会会員の皆様方には益々ご健勝のこ
ととお慶び申し上げます。京都大学薬学研究科
でヒトレトロウイルス学を担当させて頂くこと
になりました。本紙面をお借りして京大薬友会
会員の皆様へご挨拶申し上げます。
私はウイルス研究所でヒトレトロウイルスで
あるヒト T 細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)
、
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関して研究を
行っております。1982 年に熊本大学医学部を
卒業して、血液内科医で臨床と研究を行ってお
りましたが、1999 年に京都大学ウイルス研究
所に着任いたしましてからは研究に専念してお
ります。HTLV-1 はヒトで最初に見つけられた
レ ト ロ ウ イ ル ス で あ り、 成 人 T 細 胞 白 血 病
(ATL)の原因ウイルスです。ATL は 1977 年に
当時、京都大学に居られた高月先生らが独立し
た疾患として初めて報告されました。その後、
HTLV-1 が ATL の原因ウイルスであることは、
1981 年にウイルス研究所の日沼先生が報告さ
れています。このように ATL、HTLV-1 は京都
大学と関係が深いウイルスであります。日本は
世界最大の HTLV-1 蔓延国であり、約 100 万人
の感染者が存在していると推定されています。
ATL は非常に悪性度が高い難治性の血液腫瘍
です。また HTLV-1 は脊髄症などの炎症性疾患
も引き起こします。私達が研究しているのは、
HTLV-1 が白血病と炎症を起こすメカニズムと
新たな治療法開発です。細かい話になって恐縮
ですが、従来、HTLV-1 の tax 遺伝子が病原性
に重要であると考えられてきました。しかし、
私達の研究から、tax 遺伝子が無くても白血病
を起こすことが明らかになり、実は HTLV-1 の
マイナス鎖にコードされるウイルス遺伝子が必
須であるという結論になりました。現在は、こ
の遺伝子がどのような機構で白血病・炎症を起
こすかを研究しており、同時に動物モデルを
使った予防法の開発を行っております。
HTLV-1 というウイルスは CD4 陽性 T リンパ
球を増やして病気を起こしますが、ヒトレトロ
ウイルスである HIV は CD4 陽性 T リンパ球を
破壊し減少させ、エイズを引き起こします。つ
まり 2 つのヒトレトロウイルスは同じ細胞を標
的とするものの全く逆の作用を及ぼしていま
す。HIV に関して我々は抗エイズウイルス薬の
開発と薬剤耐性機構に焦点を当てて研究を進め
ております。これまでに新規のインテグラーゼ
阻害剤、逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤の開発
研究に関わってきました。多くの抗ウイルス剤
の開発によって HIV 感染者の予後は劇的に改
善しましたが、現在の治療では、ウイルスの駆
逐は不可能であり感染者は薬を服用し続ける必
要があります。長期の服用は副作用、耐性ウイ
ルスの出現と結びついており、依然として新規
の薬剤開発が必要な状況です。また HIV は一
度、感染すると決してウイルスが駆除できない
ため、感染予防も大きなテーマとなっており現
在、感染予防薬の開発も進めております。
私達が研究しているヒトレトロウイルスは、
ヒト免疫系をターゲットとして発がん・炎症・
免疫不全に関連しているため、研究もウイルス・
がん・免疫にまたがっており、さらにワクチン・
薬剤開発も行っております。大学院生も様々な
バックグラウンドを持つ学生が集まってきて
おり、学際的な研究から新たな研究領域を開拓
できる人材の育成を目指しております。薬友会
会員の皆様のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げ
ます。
-4-
就任のご挨拶
柿 原 浩 明
医薬産業政策学 薬友会会員の皆様には益々ご健勝のこととお
慶び申し上げます。さて、私こと、本年 4 月 1 日
付けで医薬産業政策学分野を担当させていただく
ことになりました。本紙面をお借りしまして自己
紹介かたがたご挨拶申し上げます。
私の専門領域は医療経済学、すなわち医療に
関する経済学で、京都大学薬学研究科には類似し
たものも含め今までなかった講座です。東京大学
薬学研究科に医薬政策学というのがあり、津谷喜
一郎先生が教授をされていますが経済学を専門に
しておられるわけではありません。薬学系統では
東大・京大以外にはありません。医学部でも少な
くて、医療経済と名がつくのは東大・京大・阪大
の三つくらいだと思います。国民医療費が 38 兆
円に昇り、そのうち約 9 兆円が薬剤費であります
から、それに関する経済学的なことを薬学研究科
で自らやらない方がおかしいとも言えます。農学
部は自前で農業経済学講座を全大学が設置してお
り、農業経済学科という学科を持っている大学も
あります。
また医療本体は言葉の壁があるので輸出でき
ませんが、薬剤は輸出でき、大手 4 社は全社、海
外売上高>国内売上高という構造になっており、
日本の将来の成長戦略においても重要な位置を製
薬企業が占めております。
私の自己紹介をさせてもらいますと、大阪府
立住吉高校卒業後、静岡薬科大学中退後に京都府
立医科大学に入学し、消化器内科の教室に入局し、
日本内視鏡学会専門医の資格も持っております。
その後大学院に進学し、消化管免疫の研究をやっ
ておりましたが医療経済学に興味を持ち、本格的
にやってみたくなり、終了後に学部課程を独学し
京都大学大学院経済学研究科に医師として初めて
入学いたしました。後に京都大学副学長を務めら
れた日本の医療経済学の第一人者である西村周三
教授(現国立社会保障人口問題研究所長)のとこ
ろで研究いたしました。教職に就いたのは 2002
年 4 月から立命館大学経済学部教授になり、2010
年よりスポーツ健康科学部に移籍し、2012 年よ
り本学に着任いたしました。
日本製薬工業会が医薬産業全体としての振興
策・政策を考えるような寄附講座の公募をしてお
りまして、それに応募して採択され本学に医薬産
業政策学講座を作って頂きました。
近年ジェネリック推進が国策のようになって
いますが、付加価値生産性を踏まえた経済全体に
与える影響を検討する必要があると思われます。
日本においても、ジェネリック業界ではイスラエ
ルのテバ系列が最大になり、インドの企業の傘下
に入ったジェネリックメーカーや第一三共もジェ
ネリックではインドのランバクシーを買収しまし
た。インドでもできることを行うということは、
日本の付加価値生産性がインドに近づいていくと
いうことであり、ということは従業員の給料もイ
ンドに近づいていくということでもあります。こ
のことを経済学では「要素価格均等化の定理」ま
た「ストルパー=サミュエルソンの定理」ともい
いますが、従業員の給与がインドに近づいていっ
た場合、それをよしとするのかどうか、多くの人
は耐え難いと思うでしょう。また現状の賃金格差
のままでは経済を維持できないのは明白で、より
高付加価値生産性の分野に進出していくしかな
く、その有望分野の一つが新薬の製薬業なのです。
近未来では、インドや中国で新薬が開発され、信
頼できる臨床治験が行われる可能性は低く、液晶
や自動車に比べ比較優位は保たれており、日本の
進む道ではないかと思われます。また産業政策・
産業育成は一般に思われているほど効果はなく、
日本の強い分野であるゲームやアニメも産業育成
されたわけではありません。しかし製薬業につい
ては、安全性のための社会的規制が多く、できる
限りの審査迅速化など、それをうまく運用するこ
とで産業育成できる可能性があります。以上のこ
とを基本的方針として研究に当たっていくのがこ
の講座の特徴だと考えます。
具体的な研究テーマとして
・日本で創薬を盛んにして、外資系製薬企業も日
本に研究拠点を持ちたくなるような政策
・先発薬と後発薬はどう棲み分けていくべきであ
るのか?
これらからスタートしていきたいと考えてお
ります。
-5-
京都大学薬学部記念事業レポート
「第 4 回 薬学の未来を考える京都シンポジウム」に参加して
平成 24 年 10 月 13 日(土)に、第 3 回薬学の
未来を考える京都シンポジウムが開催された。
本年度は「資源配分、価値創造から考える先発
薬・後発薬の棲み分けと薬価制度のあり方」と
題し、本年 4 月に発足した京都大学大学院薬学
研究科医薬産業政策学講座の発足記念のシンポ
ジウムという位置づけでもあった。当日はお天
気にも恵まれ、参加者が 160 名を超えて、本研
究科記念講堂がほぼ満席となり盛況の運びと
なった。本シンポジウムは、「日本の薬学」が
今後進むべき道筋を示すことを目的として、こ
れまでの「21 世紀の薬学を探る京都シンポジ
ウム」をさらに発展させたものであり今回が第
4 回目の開催となった。最初に佐治英郎研究科
長から挨拶があり、本シンポジウムの由来と開
催の経緯、目標、そして医薬産業政策講座の設
立の経緯、講座教員・研究員の構成などと紹介
が述べられた。続いて、本研究科の橋田充教授
が座長のもと講座の柿原浩明教授の基調講演が
行われた後、医薬産業政策、薬価制度を含む社
会的な側面から薬学の未来を考えるという趣旨
のもと、学外からお招きした産官学代表の 6 名
による講演が行われた。休憩をはさんだ後、国
立社会保障・人口問題研究所の西村周三所長が
座長を務められ、柿原教授と招待演者 6 名によ
るパネルディスカッション「新発・先発薬・後
発薬の棲み分けと日本における医薬品産業の将
来展望」が執り行われた。以下、当日の 7 名に
よる講演内容の要旨を略述する。
柿原浩明 先生
(本研究科医薬産業政策学講座・教授)
「医師の処方行動、公正な推進策と薬価制度の
あり方―医師・経済学の視点から」
本シンポジウムの基調講演として、医師と経
済学者という立場から、今後の製薬業界に望む
もの、また製薬業という産業の位置づけに関し
てご講演された。ご講演の要旨は次の通りであ
る。日本の製薬企業に望まれることは、画期的
な薬剤を開発して世界中で販売し、国民生活を
柿原先生
健康と経済の両面から豊かにすることである。
またこの目的のためには、活発な研究開発投資
とそれを支える潤沢な内部留保が必要である。
一方で、製薬会社への社会貢献の重要であり、
製薬会社は収益の一部を CSR・研究助成など
の社会貢献活動という形で国民に還元し、また
製薬企業の果たしている医療や経済への貢献を
高収益の必要性とともに広く国民に啓蒙する必
要性がある。最後に、製薬業の高収益性という
点に関して、製薬業は産業分類では製造業と分
類されるため、他の製造業に比べて利潤の水準
が高すぎるという批判があるが、産業として考
える場合はむしろコンピューターソフト産業な
どの情報産業との類似性が高く、既存の産業分
類での他企業との収益性の議論は必ずしも有効
ではないということも認識する必要がある。
村上正康 先生
(山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座・
教授)
「経済・財政から見た先発薬・後発薬のあり方」
一国の財政と経済の両面から、先発薬と後発
薬のあり方について、次の内容をご講演された。
医薬品産業は経済的に見て高付加価値が高い産
業であり、経済面での貢献に対する期待が大き
い一方で、経済効果をもたらすイノベーション
-6-
の推進と、財政面で大きな影響を持つ価格水準
との間での、適正なバランスが問われる。また、
現在の政策での大きな議論や関心となってい
る、政策決定における費用対効果の活用、後発
薬の使用促進、また参照価格制度の導入、とい
う点についてそれぞれご意見を述べられた。
長江敏男 先生
(Pharma Business Consultant)
「研究開発段階の事業評価、Go/No-go 意思決
定からみる日本の競争力」
元アベンティス執行役員マーケティング部長
というご経験を通して、日本の製薬業の国際競
争力に関する次の内容をご講演いただいた。日
本の製薬企業における課題としては、経験知や
目利き力に基づいた事業価値評価の向上があげ
られ、このことが企業の機会損失を防ぎ、国際
競争力の向上に結び付く。また、医薬ライセン
ス・開発品目の事業価値に最大のインパクトを
与える要因のひとつは薬価である。最後に、薬
価とリソース配分の関係、事業価値評価と Go/
No-go の意思決定がどのように影響もしくは機
能しているかに関しても分かりやすくご説明さ
れた。
加茂谷佳明 先生
(塩野義製薬常務執行役員)
「先発薬・後発薬の望ましい棲み分けとは?
―先発薬メーカーとして」
先発薬メーカーに所属するお立場から、先発
薬と後発薬に関する現状と期待に関して次の内
容をご講演された。中央社会保険医療協議会薬
価専門部会で「長期収載品の薬価のあり方」が
議論され、後発薬の使用促進に関する政府目標
が最終年度を迎えている現在、先発薬・後発薬
を取り巻く環境が大きく変化している。そのよ
うな中で特に重要だと考えられる、医薬品ライ
フサイクルと先発薬・後発薬の役割、先発薬・
後発薬の価格差要因、諸外国における先発薬・
後発薬の価格差の状況、先発薬・後発薬の両方
に対するマーケットからの期待についても言及
された。
澤井弘行 先生
(沢井製薬代表取締役会長)
「先発薬・後発薬の望ましい棲み分けとは?
―後発薬メーカーとして」
後発薬メーカーに属するお立場から、先発薬・
後発薬の棲み分けと医療産業政策に関して、次
の内容をご講演された。特許制度とは特許期間
中の独占的販売権付与が発明奨励のインセン
ティブを保つ一方で、新薬の特許が満了すれば
同じ有効成分で低価格のジェネリック医薬品が
国民に利用可能であるということが特許の意義
である。また、2011 年の先進国のデータを用
いて財政事情とジェネリック医薬品のシェアの
間には負の相関があり、経済合理性に適う新薬
とジェネリック医薬品の棲み分けは時代の要請
である。また、日本でジェネリック医薬品のシェ
アを高めるためには、薬価制度や診療報酬体制
を改革し、医療機関に経済的インセンティブを
付与する必要がある。同時に新薬創出の財源を
新薬メーカーに与えるために特許が満了するま
では新薬の薬価は下げるべきではない。
鎌田光明 先生
(厚生労働省医政局経済課長)
「先発薬・後発薬のあり方―医薬品産業振興の
立場から―」
医薬品産業政策における後発薬の普及の目的
と、その達成に必要なもの、さらには後発薬企
業の課題について次の内容をご講演された。後
発医薬品の普及に関しては、医療費の抑制その
ものに目的があるのではなく、限られた医療費
資源の有効活用を図り、国民医療を守ることに
本旨がある。同時に、後発医薬品の普及のため
には、安定供給や品質に対する不安を払拭して、
患者・国民や医療関係者の信頼を確保すること
が課題である。また、今後の後発薬企業の将来
像として、後発品企業は先発品企業に匹敵する
技術力、供給力を持ち続ける必要がある。また、
技術力だけでなく、資金力も必要なバイオシミ
ラーにどう取り組むか、という課題もあり、後
発品企業同士だけでなく先発品企業、異業種企
業、外資との競争の中でこうした課題に対応し
なくてはならない。
-7-
酒井敏行 先生
(京都府立医科大学大学院医学研究科分子標的
癌予防医学・教授)
「創薬経験から製薬業界に望むもの」
これまでに企業と行った共同研究の結果をご
報告された。その大きな成果の 1 つである、JT
医薬総合研究所にスクリーニング系を提供する
ことにより得られた新規 MEK 阻害剤 trametinib
は、GSK に導出された後、臨床試験を成功裡
に終え、今年の 8 月に米国 FDA に認可申請を
行ったことをその経緯とともにご報告された。
また、最後に日本の製薬業界に望むことに関し
て、大学における創薬に関わる研究者としての
ご経験に基づいてご意見を述べられた。
先生方のご講演の後、休憩をはさみ、医薬産
業政策学講座が実施した「新薬・先発薬の使用
に関する調査(医師編)」の調査結果の概要が、
講座の准教授である井深から報告された。この
調査及び結果の概略は以下の通りである。調査
の設計・実施の主体は京都大学大学院薬学研究
科医薬産業政策学講座柿原浩明教授、井深陽子
准教授、馬欣欣助教、瓜生原葉子博士研究員お
よび日経 BP コンサルティングである。標本抽
出方法としては、
「日経メディカル オンライン」
登録医師のうち、全国の医療機関(特定機能病
院、特定機能以外の病院、診療所)に勤務して
いる医師を、厚生労働省平成 22 年「医師・歯
科医師・薬剤師調査」の病院と診療所別に見た
医師数の分布に従い抽出した。2012 年 9 月 10
日 ~12 日 に 行 わ れ た イ ン タ ー ネ ッ ト 調 査 に
よって得られた 300 名の標本に基づく主な集
計・分析結果は、以下の通りである。 単純集
計の結果によると、(1)後発薬の医薬品全体に
占める割合が 3 割以下と回答した医師の割合は
7 割以上となっており 医師が処方した後発薬の
割合はまだ小さいこと、(2)薬剤師および患者
の要望がない場合、多くの医師は積極的に後発
薬を処方することを行っていないようであるこ
と、(3)患者の薬剤費負担を軽減することは、
医師が後発薬を処方した主な理由であること、
(4)「品質に信頼感がある」、「生命科学に貢献
パネルディスカッション
できる」は、医師が新薬・先発薬を処方した主
な理由であること、および(5)医師が医薬品
を処方する際に、
「薬効」
「
、安全性(副作用など)
」
が最も重視されることが示された。また、順序
ロジットモデルを用いた計量分析の結果、個人
属性の差異仮説、不完全代理人仮説、情報不足
仮説および行動経済学要因仮説のいずれも検証
された。とくに、行動経済学の理論仮説に基づ
いた時間選好率に関する分析結果によると、よ
り近い将来の利益をより重視する医師が後発薬
を多く処方する傾向にある一方で、長期的利益
を重視する医師は後発薬を少なく処方する傾向
にあるという興味深い事実が見いだされた 。
続いて、後半は西村周三先生を座長としたパ
ネルディスカッションとなり、先発薬・後発薬
の棲み分けについて、各先生方の他の講演者の
先生方のご講演に対するコメントとそのレスポ
ンスを受けた活発な議論となった。薬価制度、
産業振興、経済、財政といった多面的な角度か
ら、新薬、先発薬、後発薬が今後どのような役
割をはたしていくべきか、また製薬業界と社会
経済との関わりについてどのようにあるべき
か、という点に対して、政策分析の重要性が確
認された。最後に、ご講演にいただいた先生方
と参加していただいた皆様に熱く御礼申し上
げ、報告を終えたい。
-8-
井深 陽子(医薬産業政策学講座)
第 7 回ソウル大−京大−阪大合同シンポジウムに参加して
第 7 回目となるソウル大-京大-阪大合同
シンポジウム(The 7th Seoul-Kyoto-Osaka Joint
Symposium on Pharmaceutical Sciences for Young
Scientists)が、去る 2012 年 23~25 日に京大の
薬学記念講堂にて開催されました。今回は京大
が主催校として、ソウル大と阪大から 9 名ずつ
の若手ゲストをお迎えし、総勢 28 名の大学院
生が英語での発表と討論を行いました。また、
中国の清華大学医学院教授 Zhao Wang 先生を
招待講演者としてお迎えしました。清華大学は
2001 年に医学院を設立し、2006 年には、共和
医科大学を清華大学医学部とするなど医学系の
充実を図っており、すでに薬学を整備中であり、
将来的には本シンポジウムへの参加を希望して
いるとのことでした。今回は、化学系の順番で
したので、分析化学、物理化学、有機化学、合
成化学、化学生物学、構造生物学などの研究領
域からのホットな話題が集まりました。
京大からの参加者の発表内容と討論での受答
は群を抜いており、主催校の面目躍如と言った
ところでした。一方、英語は、発音といい、巧
みな言い回しといい、ソウル大の学生が圧倒的
に良く鍛えられておりました。ただし、質疑が
始まると京大生の本領が発揮され、質問者の意
図を捉え、答えるべき内容を誠実にそして説得
力のある説明で行っておりました。これは、科
学的なコミュニケーションが単なる発表技術だ
けではなく、基本的な学識と研究内容に裏打ち
されたものであることを物語っているのだと思
われます。参加した大学院生は、自らの発表を
頑張るだけでなく、歓迎行事や食事などの場で
も、ホストとして国際交流に努めてくださいま
した。ソウル大学一行は、御所の近くに宿泊し
ており、初日は京大生が迎えに行き、御所の庭
を散策しながら京大まで歩くことで互いに打ち
解けてもらう予定でした。ところが、初対面の
ため、なかなか会話が進まず、気まずい雰囲気
での散歩となったようです。ただし、ソウル大
の留学生(インドと中国)ができるだけ日韓学
生の間に入って、会話を盛り上げようとしてく
れたようなのです。その甲斐あってか、はたま
た美味しい吟醸酒のためかは定かではありませ
会場風景
んが、初日の歓迎行事では、片言の英語でのコ
ミュニケーションが食べ物の話題から何とか進
んでおり、つられて必死の形相だった学部生や
修士の学生も、Do you like Sake? の一言で果敢
に国際交流へと身を投じておりました。二日目
の終わりには、楽友会館にて歓迎パーティが行
われましたが、その際には、誰に促されるでも
なく話の輪が広がっており、教員同士だけでな
く、学生同士の交流が進んだことは大きな成果
であったと思われます。
ソウル大学からの参加学生の特徴は英語が巧
みなことの他にも 2 つありました。まず、半数
以上が女性であったことです。引率されてきた
ソウル大の教員(5 名ともすべて男性でした)
のお話では、女子学生の科学研究に対する志は
高く、学位取得後アカデミーへの就職希望者が
多いとのことでした。もちろん、京大から参加
-9-
懇親会
した 3 名の女性の発表は勝るとも劣らぬ内容で
したので、心配することはないのかもしれませ
んが。もう 1 つは、日本人の参加者が、発表前
に緊張した面持ちでいたのに比べ、ソウル大の
院生(特に女性)は平然としており、プロジェ
クターの接続を確認したり仲間と笑いあってい
たりしていた姿は、印象的でした。日本人の参
加者は緊張していても、話し始めると落ち着く
ので、必ずしも欠点とは言えないのですが、文
化の違い、国民性の違いを感じてしまいました。
最後に、京大からの参加者に感想を尋ねたと
ころ、みな真剣に取り組んだこと、実践的に多
くのことを学んだことが良くわかりました。例
えば、コミュニケーションでは、英語の問題だ
けでなく、文化的な背景の違いから、言葉の定
義が一様ではないことや考え方や概念を伝える
ことの難しさを痛感したとの意見もありまし
た。それぞれが外交の場ですばらしい体験を積
んでいる様子が伺え、頼もしく感じました。
次回は、生物系を中心に阪大が主催校として
実施される予定でございます。末筆ながら、座
長としてまた討論の活性化にご協力いただきま
した化学系各分野の若手教員とポスドク研究者
の方々に厚く御礼申し上げます。
- 10 -
加藤 博章(構造生物薬学)
第 1 回 附属薬用植物園一般公開見学会
本学附属薬用植物園は、学部学生・大学院生
の教育と研究、また漢方薬・生薬認定薬剤師の
ための実習や高大連携プログラムでの高校生向
け見学会などのために活用されていますが、こ
れまで一般向けの見学会等はまったく行われて
きませんでした。しかし、近年大学のアウトリー
チ活動の必要性が高まってきたことや、卒業生
の方々から見学の要望が増加したことなども
あって、平成 24 年 5 月 9 日に第 1 回の一般公開
見学会を実施しました。
薬用植物園は、そもそも一般向けの見学を想
定して作られてはいない上に、教育・研究のた
めの多種多様な薬用植物が植栽されており、一
般公開といっても、正しく管理された環境下で
見学していただく必要性があります。また、今
回は準備期間が十分ではなかったという事情も
あったため、見学者募集は、対象を近隣地区住
民の方々と昭和 45 年以前の卒業生の方々に限
定して行い、近隣地区の方々については自治会
の回覧版に掲載していただく形で、また卒業生
の方々には案内状を郵送する方法で行いまし
た。応募期間が4日間しかなく、また往復はが
きで応募するという、少々面倒な方法であった
にも関わらず、約 60 名の方々から応募があり
ました。
見学会は、午前 10 時開始の部、午後 2 時開始
の部の 2 回に分けて行い、それぞれ約 30 名の
方々が参加されました。参加者には本館と総合
研究棟の間にあるサンクンガーデンに集合して
いただき、佐治研究科長の挨拶のあと、
伊藤(美)
が解説をしながら見学を誘導し、薬品資源学分
野の学生たちが誘導補助を担当しました。午前
中には時雨れる場面もありましたが、参加者の
みなさんは非常に熱心に見学しておられた様子
で、見学終了後、希望者には附属薬用植物園で
増殖させた、薬用にも観賞用にも使われるラン
の仲間の苗をお土産としてお持ち帰りいただき
ました。今回の見学会では実施後アンケート等
は行いませんでしたが、個人的に寄せられた意
見には、「とても勉強になりました」、「身近な
植物にも、あんなにいろいろな解説があるのか
とびっくりしました」、など、プラス評価のも
のが多く、来年以降も継続して開催されること
を希望する意見もありました。
本見学会は、平成 25 年度は回数を 2 回に増や
して行う予定であり、これに伴い、見学者募集
の対象ももう少し広げて行うことになると思わ
れます。本学卒業生の方々には、懐かしいキャ
- 11 -
ンパスに戻ってこられる口実としていただくこ
ともできるかと思いますし、同窓生の方々とし
ばし旧交を温めていただく機会となるかもしれ
ません。お誘い合わせのうえ、ご参加いただけ
ましたら、と思います。
最後に、本学附属薬用植物園には専任教員が
不在ですが、本見学会実施にあたっては、薬用
植物のネームプレート作成と設置、園の整備と
お土産の準備、また見学者募集の手配や返信は
がきの作成と送付、問い合わせの応対など、準
備の段階から当日の実施に至るまで、事務部と
薬用植物園の非常勤職員、それに伊藤(美)と
薬品資源学分野の学生たちの協力体制で行いま
したことを書き添えて、本稿終わりとさせてい
ただきます。
伊藤 美千穂(薬品資源学)
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「会員便り∼植化/合成の集い」
高須 清誠(薬品合成化学分野教授)
本学名誉教授 井上博之先生の訃報が届いた
のは、薬学会年会(札幌)に出発する前日でした。
井上先生は薬用植物化学講座を 1961 年に興され、
初代教授として 20 年余りにわたって天然物化学
を中心に研究され、日本だけでなく国際的に活躍
されました。奇しくも札幌年会で第二代教授の藤
多哲朗先生による日本薬学会創薬科学賞の受賞講
演(多発性硬化症治療薬フィンゴリモドの創製)
が催されました。その受賞講演後に、富岡清先生
(第三代教授)と現在研究室を預かる私とで、薬
用植物化学講座(現 薬品合成化学分野)の世代
を超えた同窓会を行い、井上先生を偲ぶとともに
藤多先生のお祝いをしましょうという計画がまと
まりました。偶然にも今年は研究室発足 51 年目
のスタートの節目(本来は 50 周年が節目なので、
ちょっと苦しい)でもありました。
「植化/合成の集い」と銘打った同窓会は、関
西での計画停電の可能性が危惧されていた 7 月
24 日(金)夕刻にホテルグランヴィア京都にて
行われました。薬友会で判明していた同窓生の
メールアドレスをもとに、メール連絡と口コミの
みでご案内申し上げたのですが、平日夜にも関わ
らず約 60 名の同窓生、関係者が集いました。遠
方からの参加者も多く、大変賑やかな会になりま
した。
「植化/合成の集い」は、第一部に井上先生を
偲ぶ会、第二部として藤多先生を祝う会の二部構
成でありました。富岡先生による開会のあいさつ
のあと、第一部の「井上博之先生を偲ぶ会」では、
吉田隆志先生(岡山大名誉教授)および棚橋孝雄
先生(神戸薬大学長)による井上先生の思い出話
が語られ、井上研時代の辛くも楽しい研究生活を
ご披露いただきました。特に印象深かったエピ
ソードとして、ドイツ語のお話がありました。先
生はドイツ語が堪能であり論文をドイツ語で軽々
と書かれるだけでなく、会話もお得意にされて
おりドイツ人化学者との交流がお好きだったそ
う で す。 定 年 退 官 後は 非 常 に 資 料 価 値 の 高 い
Teedrogen(独文)の監訳に努力され、カラーグ
ラフィック「西洋生薬」として出版されています。
それらのご業績でドイツ連邦共和国から功労勲章
一等功労十字章をいただいたとのことです。また、
昨年末にご逝去された藤田榮一先生(京大名誉教
故 井上博之 先生
授)とは非常に仲の良い友達であったことから、
きっと天国では藤田先生と再会して 2 人で楽しく
化学談義に花を咲かせてお過ごしになっているは
ずだとのお話もありました。その後、上里新一先
生(関西大工学部)による井上先生への献杯があ
り、先生のご冥福を全員でお祈りしました。
第二部の「藤多哲朗先生をお祝いする会」では、
藤多先生ご本人による冬虫夏草からフィンゴリモ
ドへの創薬秘話が披露されました。先生は傘寿を
お迎えとのことですが、矍鑠とされており現在も
なお非常勤講師としていろいろな大学で講演活動
をお続けになられているとのことです。続いて飯
田彰先生(近畿大農学部)によるご祝辞があり、
藤多先生の現役時代のエピソードとともに先生の
創薬に対する態度をご披露されました。
真夏の京都はやはりビールが格別においしく、
歓談の際には同門の旧友、恩師、先輩後輩で昔の
話がはずみ懐かしい時間が過ぎたとともに、世代
を超えた新たな関係も生まれたようで大変盛り上
がりました。「植化/合成の集い」にお集まりの
皆様方ありがとうございました。また、ご都合で
ご参加できなかった皆様には大変申し訳ありませ
んでした。
次回は研究室の還暦を祝うことを名目に「植
化/合成の集い」を開催できればと思っておりま
す。同窓生ならびに関係者の皆様におかれまして
は、どうぞよろしくお願い申し上げます。もちろ
ん幹事の立候補がございましたら来年開催でも
ウェルカムです。
- 13 -
「会員便り∼第 6 回卒業生同窓会」
奥村 五郎(第 6 回卒)
念願の寄稿が関係各位のご尽力をいただいて
実現したことに感謝申しあげます。会誌 64 号
の締め切りにあわせるため、毎年秋に開催して
いた同窓会を急遽 9 月 20 日に変更したのです
が、まだ暑いさなかにもかかわらず 6 名の参加
を得て実施できたことを喜んでいます。6 回卒
は生存者 9 名、内 3 名は健康上の理由で出席不
可能のため全員が出てくれたことになります。
(1)第 6 回卒業生同窓会の生い立ち
初めての同窓会は昭和 47 年卆後 26 年ぶりに
石津さんのお世話で大阪で開催し、その後は数
年に 1 回の割で開いてきました。回を重ねるう
ちに、名前をつけようじゃないかということに
なって、「洛六会」なる名称が生まれました。
会長は最初から色々面倒を見て頂いた石津さん
にお願いし、世話役は時々交代。私が引き継い
だのが平成 14 年で以後毎年秋に関西で開催し
てきました。京大薬学部創立 70 周年記念行事
の時は全員開会よりパーティ半ばまで参加し、
その後二次会のような形で洛六会を開きまし
た。今年は前回と同じ祇園花見小路の「ぎおん
楽楽」で楽しいひと時を過ごしました(写真参
照)。皆さん 88 歳以上の超高齢者です。よくぞ
元気に生き永らえたものと感心することしき
り。
(2)是非是正していただきたいことがあります。
それは芝蘭会との関係についてのことです。
医学部薬学科時代から薬学部へ移った際の処理
が悪かったことが原因であると思うのですが、
いまだに芝蘭会から文書が送られてきます。私
は昔一度退会させてくれと手紙を出した覚えが
ありますが梨の礫。皮肉なことにこの原稿を書
いている最中にゆうメールがきて 2010 年度よ
り 12 年度までの 3 年間の会費 15000 円の請求書
が入っていました。1 人の卒業生が 2 つの学部
の卒業生になっているのです。なんとかなりま
せんか。それとも医学部薬学科の卒業生が全員
死んでこんな苦情がでなくなるまでほっておき
ますか。
(3)在学中の思い出
食事についての思い出です。高校時代は地方
都市だったので物資不足はあまり感じなかった
のですが、京都へ来るとそうはゆきません。敗
戦で状況は益々悪化。ないものずくしで、百万
遍近くの当時の通称「学食」でとうとう朝昼晩
三食ともお米のはいっていない食事を出された
記憶があります。では当時何を食べていたのか。
さつま芋の蔓と葉の味噌汁に、こうりゃんその
他雑穀が主体でお米は極く少量のご飯が定番で
したが、それまでは少ないけれどもお米はは
いっていました。美食・飽食の今と比べて嘘の
ような本当の話です。食の恨みは怖いですね。
他に喫茶店では、甘味料(サッカリン)を持参
し、メニューに「甘味無しの紅茶」と書いてあ
るものを注文したものです。
写真説明(敬称略):前列左より、洛六会会長の石津・牧
野・宮田・戸口。後列左より、森村・奥村の 6 名です。
追って牧野・森村の両氏は地元開催とはいえ全出席、宮
田氏は遠路東京からかけつけてくれ、戸口氏は不自由な
体にもかかわらず参加頂いていることを申し添えます。
- 14 -
「会員便り∼第 42 回卒業生同窓会」
坂元 清志(第 42 回卒)
2012 年 7 月 21 日、 京 都 大 学 楽 友 会 舘 に で、
第 42 回卒業生同窓会が開催されました。当日
は、ゲリラ雨に見舞われたため、開宴時間に間
に合わなかった方もいましたが、大部分の方々
は何とか会場にたどり着き、予定されていた方
42 名が全員参加できました。前回開催時(2007
年)も、台風の影響で新幹線が止まったため、
一部の方が参加できず、ここ 2 回は天候に恵ま
れない第 42 回卒業生同窓会となっています。
今回は、幹事の高倉喜信先生及び中山和久先
生のご尽力で、薬学部見学ツアーも計画され、
参加された 20 名は、卒業後 30 年以上経って、
様変わりした薬学部を興味深く見学されたよう
です。
さて、高倉先生の司会進行、中山先生の開会
挨拶、そして私の「乾杯」で幕を開けた同窓会
ですが、乾杯時には、立食形式にもかかわらず、
見事に男性テーブルと女性テーブルに分かれて
しまっていました。しかし、会が進むにつれ、
会話の輪は分裂したり、融合したり、いつまで
たっても話が尽きない様子でした。
当初予定していた時刻を大幅に過ぎてから始
まった近況報告も、最初はお約束の 1 分間でい
ろいろなエピソードが紹介されていましたが、
だんだんと時間超過する人も出てきて、全員が
報告した時には、会場の予約時間もあと少しと
なっていました。最後に、次回の幹事(森和俊
先生、黒坂光先生、荻野珠江さん、古谷真優美
さん)を代表して、森先生が、次回開催のアン
ケートも取りつつ、軽妙に挨拶され、それから
慌ただしく全員の集合写真を撮影して、一次会
はお開きとなりました。
二次会は、熊野神社前の喫茶店(からふね屋
珈琲)が予約されているとのことで、道中の雨
が心配されましたが、幸い既に上がっており、
まだまだ話し足りない 25 名が参加され、大い
に盛り上がりました。
同窓会は、二次会をもって解散となりました
が、有志で三次会に行くものもあれば、翌日の
京都観光を約束するものもあり、久しぶりに旧
交を温めることができました。
今回の同窓会に参加して、青春の一時期を共
に過ごした仲間は大変貴重であり、今後もこの
つながりを大切にしていきたいと改めて感じま
した。また、次回の同窓会では、今回参加した
方だけでなく、今回参加できなかった方も、一
堂に会することができれば良いと思います。
最後に、今回の同窓会開催にあたり、予備調
査 ・ 最終案内 ・ 近況報告リスト ・ 名簿作成を一
手に引き受けてくれた古島佳代子さん、いち早
く次回女性幹事を依頼してくれた井下加葉子さ
ん、会場手配や当日司会進行してくれた高倉先
生、薬学部見学ツアーを引率してくれた中山先
生の幹事の方々に感謝申し上げます。
- 15 -
「会員便り∼昭和 57 年(第 43 回)卒業生
卒後 30 周年記念同窓会」
小坂 洋子(第 43 回卒)
厳しい残暑もようやく和らぎかけた 9 月 15 日
(土)に我々第 43 回卒業生の卒後 30 周年記念同窓
会が開催されました。6 年ぶりとなる今回の同窓
会は、開催時期や形式について事前アンケートを
とり、その回答を基に、「いつでも来られるとき
に来て、帰らなければならない時間が来たら、遠
慮なく帰ってね」をコンセプトに計画されました。
まず、14 時から統合薬学教育開発センター栄
田先生(第 44 回卒)のご厚意で 薬学部ツアー
を敢行(参加者 26 名)。玄関前で集合写真を撮っ
た後、1 時間弱をかけて懐かしい本館や図書館、
新館(総合研究棟)や医療薬学教育棟をご案内い
ただきました。特に 6 年制に移行してからの制度
や実務実習、薬学共用試験に関しては、参加者か
ら熱心な質問が飛び、関心の高さが窺がわれまし
た。今現在、薬剤師として活躍している女性がた
くさん参加しており、情報交換がされていたよう
です。
そして、全員で賀茂川べりを散策しながら一
次会会場である石長松菊園(河原町竹屋町東入ル)
に向かいました。参加者 40 名が定刻どおりに揃っ
たところで、吾妻さん(第一三共)の司会進行の
もとプログラムが始まりました。事務連絡、記念
写真撮影のあと、安居さん(シオノギ製薬)制作
による「第 43 期 卒業 30 周年記念ビデオアルバ
ム」を鑑賞しました。その内容たるや、数々の学
生時代の写真はもとより、当時のニュース映像や
流行歌がちりばめられ、上映が終わる頃には、外
観こそ昔とは異なってきた面々ですが、気持ちは
すっかり 30 年前にタイムスリップしてしまいま
した。岡さん(京都大学)による乾杯発声でなご
やかに歓談が始まり、打ち解けてきたところで順
に近況が報告されました。男性はまさに脂がのり
きった働き盛り(しかし将来への不安もちょっぴ
り)。多くの女性(外観は男性ほど変わらず、
ホッ。)
は子育ても一段落し、仕事や趣味、ボランティア
などを通して自分を見つめなおし、磨いている様
子が窺がえました。どなたのお話からも学生時代
を糧に、しっかりと歩んできた三十年間の重みが
感じられました。また何人かが口にされた「私の
一番の誇りは、皆さんとともに青春時代を送った
ことです。」という言葉には 思わず胸が熱くな
る思いがしました。
宴もたけなわの頃、残念ながら一次会はお開
きとなり、手配しておいたタクシーで京都駅近く
のバーに会場を移し、二次会が賑やかに始まりま
した(二次会からの参加者 2 名も含め 30 名が参
加)。会場を駅近くに設定したことで、遠方から
の参加者への配慮もすることができました。一次
会の高級感ある和風から一転、おしゃれで気軽な
店内で洋酒を傾けながら、ますますざっくばらん
なおしゃべりが弾みました。
このように 薬学部ツアー、一次会、京都駅
近くの二次会という三つのイベントがあったこと
で、自分に都合のよいイベントを自由に選ぶこと
ができ、過半数が集まる盛大な記念同窓会を敢行
することができました。
各々、このような楽しい同窓会に健康で参加
できたことを感謝しつつ、帰路についた次第です。
今後はオリンピックイヤーごとに同窓会を開催す
ることが決定され、間賀田さん(浜松医科大学)
管理による同窓会 HP を通じて、ペーパーレスで
運営していくこととなりました。今回、私も一部
お世話させていただきましたが、1 年間にわたり
旗を振り続けてくださった水野さん(大日本住友
製薬)はじめ世話人の皆さん(吾妻さん、大塚さ
ん(大正製薬)
、岡さん、西野さん(シオノギ製薬)、
間賀田さん、映像ディレクター安居さん、本当に
お疲れ様でした。皆さん、また 4 年後に元気でお
会いしましょう!
- 16 -
人 事 異 動
(平成 23 年 11 月 1 日~平成 24 年 10 月 31 日)
氏 名
年 月 日
異動内容
北浦 和夫
平成 23 年 11 月 30 日
辞職(システムケモセラピー(創薬計算科学)分野教授)
平成 23 年 12 月 1 日
(神戸大学大学院システム情報学研究科特命教授へ)
内海 潤
平成 23 年 12 月 31 日
土屋 創健
平成 23 年 12 月 31 日
辞職(最先端創薬研究センター特定助教)
(熊本大学大学院生命科学研究部助教へ)
瀧川 一学
平成 23 年 12 月 31 日
辞職(分子設計情報講座助教)
(北海道大学・特任助教へ)
烏山 昌幸
平成 24 年 1 月 1 日
採用(分子設計情報講座助教)
(日本学術振興会・特別研究員より)
中野 実
平成 24 年 2 月 29 日
辞職(製剤機能解析学分野准教授)
(富山大学大学院医学薬学研究部教授へ)
赤池 昭紀
平成 24 年 3 月 31 日
平成 24 年 4 月 1 日
辞職(最先端創薬研究センター特定拠点教授)
辞職(薬品作用解析学分野教授)
(名古屋大学大学院創薬科学研究科教授へ)
平成 24 年 4 月 1 日
京都大学客員教授 称号付与
小堤 保則
平成 24 年 3 月 31 日
辞職(生理活性制御学講座教授)
金久 實
平成 24 年 3 月 31 日
定年退職(統合ゲノミクス分野教授)
渡部 好彦
平成 24 年 3 月 31 日
定年退職(分子微生物学分野准教授)
杉本 八郎
平成 24 年 3 月 31 日
辞職(最先端創薬研究センター客員教授)
松本 明
平成 24 年 3 月 31 日
小澤 健太郎 平成 24 年 3 月 31 日
角山 香織
任期満了退職(最先端創薬研究センター特定拠点教授)
(同志社大学・非常勤講師へ)
任期満了退職(最先端創薬研究センター特定助教)
(奈良県立医大講師へ)
平成 24 年 3 月 31 日
辞職(先端グローバルリーダー養成ユニット特定助教)
平成 24 年 4 月 1 日
採用(附属統合薬学教育開発センター助教)
佐塚 文乃
平成 24 年 3 月 31 日
辞職(遺伝子薬学特定助教)
松原 和夫
平成 24 年 4 月 1 日
採用(医療薬剤学分野教授)
(旭川医科大学医学部教授より)
柿原 浩明
平成 24 年 4 月 1 日
採用(医薬産業政策学分野特定教授)
(立命館大学スポーツ健康科学部教授より)
小林 祐輔
平成 24 年 4 月 1 日
採用(革新的ナノバイオ創薬研究拠点特定助教)
(武庫川女子大学薬学部助教より)
馬 欣欣
平成 24 年 4 月 1 日
採用(医薬産業政策学講座特定助教)
(慶應義塾大学産業研究所研究員より)
- 17 -
氏 名
年 月 日
異動内容
山岡 庸介
平成 24 年 4 月 1 日
採用(ウイルス研究所特定助教)
辻本 豪三
平成 24 年 6 月 29 日
辞職(薬理ゲノミクス分野教授)
申 惠媛
平成 24 年 7 月 1 日
採用(生体情報制御学分野准教授)
(京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット特定助教
より)
井深 陽子
平成 24 年 8 月 1 日
採用(医薬産業政策学講座特定准教授)
(一橋大学国際・公共政策大学院ならびに経済研究科専任
講師より)
荒木 通啓
平成 24 年 9 月 30 日
辞職(先端グローバルリーダー養成ユニット特定准教授)
平成 24 年 10 月 1 日
採用(統合薬学教育開発センター特定准教授)
平成 24 年 9 月 30 日
異動(生理活性制御学講座准教授)
竹松 弘
平成 24 年 10 月 1 日
(医学研究科准教授へ)
- 18 -
受 賞
(平成 23 年 11 月 1 日~平成 24 年 10 月 31 日)
氏 名
年 月 日
受 賞 名
橋田 充
平成 23 年 11 月 17 日
日本薬物動態学会 DMPK Award for the Most Frequently
Cited Review Article in 2007
川上 茂
平成 23 年 11 月 17 日
日本薬物動態学会 DMPK Award for the Most Frequently
Cited Review Article in 2007
松崎 勝巳
平成 23 年 11 月 25 日
エルウィン・フォン・ベルツ賞 1 等賞
増田 智先
平成 23 年 12 月 2 日
山崎 大樹
平成 24 年 1 月 6 日
平成 23 年度日本薬学会近畿支部奨励賞
米澤 淳
平成 24 年 1 月 6 日
平成 23 年度日本薬学会近畿支部奨励賞
土居 雅夫
平成 24 年 3 月 30 日
公益社団法人日本薬学会 奨励賞
川上 茂
平成 24 年 5 月 25 日
公益社団法人日本薬剤学会 奨励賞
牧野 顕
平成 24 年 5 月 30 日
公益社団法人高分子学会 高分子研究奨励賞
2011 年度(第 22 回)臨床薬理研究振興財団賞
(学術奨励賞)
- 19 -
博士(薬学)の学位授与される
平成 23 年 11 月 24 日
猪 熊 翼
Development of Novel Hydrogen-Bond Donor
Catalysts Bearing Amino or Hydroxy Group for
Asymmetric Synthesis(アミノ基および水酸基
を有する新規水素結合ドナー型触媒の開発と
不斉合成への応用)
平成 24 年 1 月 23 日
萩 森 政 頼
ピリジンおよびキノリジンを母核とする新規
蛍光性化合物の開発とその生体成分可視化へ
の応用に関する研究
平成 24 年 3 月 26 日
小 林 数 也
Synthesis and Application of Functional Units for
Biologically Active Peptides(ペプチド性機能
素子の合成と生物活性ペプチドへの応用)
鈴 木 大 和
Diversity-Oriented Syntheses of Fused Nitrogen
Heterocycles and Their Application to the
Structure-Activity Relationship Studies on CK2
Inhibitors(多環式含窒素複素環の多様性指向
型合成反応の開発と CK2 阻害剤の構造活性
相関研究への応用)
増 田 亮
Development and Application of Imaging Probes
for CXC Chemokine Receptor 4 (CXCR4)(ケモ
カイン受容体 CXCR4 を標的としたプローブ
の開発と応用)
山 口 貴 宏
Physicochemical studies on aggregation mechanism
of Alzheimer’s amyloid β-protein(アルツハイ
マー病アミロイドβタンパク質の凝集機構に
関する物理化学的研究)
友 原 啓 介
New aspects in chemistry of axially chiral enolates:
Developments of asymmetric reactions via C-O
axially chiral enolates and a-arylation of amino
acids derivatives(軸性不斉エノラート化学の
新展開:C-O 軸性不斉エノラート化学の開発
とアミノ酸誘導体の不斉 a-アリール化)
山 本 純 也
新規軸性不斉アミノ酸の創製と有機触媒反応
への応用
金 野 真 和
ミクログリアの細胞内 Ca2+ 調節機構に関す
る研究
太 田 紘 也
新 規 分 泌 性 因 子 Brorin、Brorin-like お よ び
Neudesin の生理的意義の解明
佐々木 さやか
心臓に高発現する Fgf16 の心筋細胞増殖およ
び圧負荷性心肥大や線維化における役割
満 智 秋
Localization and function of Arfaptins: Arl1dependent trans-Golgi localization and induction
of membrane deformation(Arfaptin の細胞内局
在と機能:Arl1 依存的なトランスゴルジへの
局在とゴルジ体膜の変形)
東 佑 翼
3 座配位子を用いたタンパク質への金属ス
イッチ能の導入
能 代 大 輔
外部刺激により会合制御可能なチャネルペプ
チドの創製
廣 瀨 久 昭
効率的細胞内移行を可能とするアルギニンペ
プチドとその移行様式に関する研究
游 晧 欣
Development of novel systems promoting
intracellular protein delivery(タンパク質の細
胞内導入を促進する新しい方法論の開発)
池 村 舞
Catalase 誘導体を用いた持続的活性酸素消去
による糖尿病及び関連疾患の治療に関する研
究
周 舒 文
Enhancement in cancer immunotherapeutic effect
of CpG DNA by change of administration route
and combination with photohyperthermic treatment
(投与経路の選択や光線温熱療法併用による
CpG DNA がん免疫療法の効果増強に関する
研究)
- 20 -
中 西 秀 之
外来遺伝子長期発現と組込み位置選択性の向
上を目的とした新規遺伝子組込み型ベクター
の開発に関する研究
塚 本 雅 志
噴霧急速凍結乾燥法によるリポプレックス粉
末吸入製剤の開発に関する研究
五百蔵 忠 明
セロフェンド酸の脳および心筋虚血障害に対
する保護作用に関する研究
畝 村 和 宏
アストロサイトのグルココルチコイド受容体
によるニューロン死の制御に関する研究
藤 村 一 彦
神経幹 / 前駆細胞の分化制御における integrinassociated protein の役割に関する研究
志 水 陽 一
がんの質的診断のための高感度インビボ蛍光
分子イメージングプローブの開発に関する研究
程 妍
Development of Benzofuran Derivatives as
Molecular Probes for in vivo Imaging of b Amyloid Plaques in Alzheimer’s Disease Brains
(アルツハイマー病脳内 b アミロイドプラー
クの生体イメージング用分子プローブとして
のベンゾフラン誘導体の開発)
毛 利 浩 太
多足型核酸構造体を基盤とする免疫賦活性
DNA ハイドロゲルの開発に関する研究
遠 山 佳 奈
メトホルミンの薬物動態学的特性に基づく副
作用発現機構に関する研究
中 川 俊 作
腎尿細管病変の増悪と修復における mTOR
経路の役割に関する研究
平成 24 年 7 月 23 日
平 野 公 夫
Direct Synthesis of Fused Indoles by Gold-Catalyzed
Intramolecular Alkyne Cycloisomerization
Cascade(金触媒を用いたアルキンの分子内
連続環化異性化反応による縮環型インドール
の直接合成)
博士(薬科学)の学位授与される
平成 23 年 11 月 24 日
小 澤 知 永
Theoretical Studies on CH/p Hydrogen Bond in
Protein-Ligand and Protein-Protein Bindings(タ
ンパク質-リガンド結合およびタンパク質-
タンパク質結合における CH/p 水素結合の理
論的研究)
平成 24 年 3 月 26 日
大 野 裕 司
新しいがん関連遺伝子ヒト C7orf24 の遺伝子
発現制御機構の解明
Michel Ngoma Mifundu
Development of Bioactive Small Molecules for
Controlling Mesenchymal Cells Fate(間葉系細
胞の運命・分化を制御する生物活性小分子の
開発研究)
淺 田 直 也
量子化学計算を基礎としたドラッグデザイン
手法の開発
David Alexander duVerle
Building a Machine-Learning Framework for Protein
Interactions: Calpain Cleavage Prediction and Gene
Regulatory Network Inference( タ ン パ ク 質 相
互作用に対する機械学習手法の構築:カルパ
イン基質切断部位の予測及び遺伝子制御ネッ
トワークの推論)
- 21 -
修士(薬科学)の学位授与される
平成 24 年 3 月 26 日
小 西 健 人
ピバロイロキシメチルラジカルのイミン及び
アルキリデンマロネートへの付加反応
中 西 康 江
アミノリチオ化アリール化連続環化反応の
開発
茂 木 雄 三
アリールリチウムの不斉共役付加を鍵工程と
するPancratistatin および trans-Dihydronarciclasine
の合成研究
宇 野 卓 矢
レドックス反応を利用した NHC 触媒による
アルデヒドの直接的チオエステル化反応の開発
老 邑 温 子
アシルピリジニウムカチオンの還元を利用したキ
ノリジジン骨格の構築法開発と Sophoramine
の全合成
倉 橋 慧
アリルシランを用いる触媒的シリルエノール
エーテル化反応の開発
南 條 毅
畑 健 二
D 環側鎖のコンフォメーション制御を志向し
たステロイド誘導体の合成研究
受 田 憲 昭
シソ精油成分のマウスに対する行動抑制活性
王 砺 行
台湾産シソ属野生種のモノテルペン合成酵素
について
石 野 聡
分子シャペロンカプセル化システムの構築と
その安定性の改善
圓 地 真 央
会合モチーフをもつ膜貫通へリックスの会
合・解離過程の一分子蛍光計測
福 永 沙 織
ガングリオシドクラスターを介したアミロイ
ド b 蛋白質の毒性線維形成における低極性
環境の重要性
宮 﨑 優
抗菌性ペプチド magainin2 とヒト細胞結合標
的としての ganglioside との相互作用
山 下 博 隆
蛋白質無細胞合成系による b 2 アドレナリン
受容体発現系の構築
大 西 圭 悟
時 計 タ ン パ ク 質 BMAL1 お よ び CLOCK の
E-box 配列認識に関する研究
中 川 康
好熱性真核生物由来の多剤排出型 ABC トラ
ンスポーターの基質特異性に関する研究
太 田 貴 久
高分子添加物との複合体化による難溶性医薬
品の非晶質安定性と溶解性の向上
貝 原 正 憲
膜貫通ペプチドによるリン脂質のフリップフ
ロップの制御
吉 田 匡 利
アルキル化リン脂質の合成とその化学構造依
存的な液晶相形成能の評価
繁 田 尭
基質認識型触媒を用いる長鎖-s-対称ジオー
ルの遠隔位不斉非対称化
二階堂 誠 理
軸性不斉アミノ酸の効率的合成法の開発と官
能基化ヘリセンへの展開
本 城 聖 士
D,L-型ペプチド触媒を用いる位置選択的アシ
ル化
楊 畔
C-N 軸性不斉エノラートの分子内共役付加反
応による高歪み b-ラクタム の不斉合成
内 藤 大 督
血管平滑筋における小胞体膜タンパク質
TRIC-A の生理的機能
東 山 諒
Analysis of the role of STING in IFN induction
signaling stimulated by cytosolic nucleic acids
(細胞内核酸刺激による IFN 産生誘導におけ
る STING タンパク質の役割の解析)
- 22 -
嶋 田 将 也
Fgf 21 は低炭水化物高脂肪食飼育時に白色脂
肪組織でのインスリン感受性と脂質取り込み
活性を低下させる
杉 村 絵 理
新規分泌性因子 Neudesin 遺伝子欠損マウス
は高脂肪食誘導肥満に耐性を示す
井 本 有 基
The Molecular Mechanism for Reversal of Neuronal
Maturaion by the Antidepressant Therapy in the
Hippocampus(抗うつ治療による海馬神経の
脱成熟化の分子メカニズム解明)
正 親 美菜子
Interplay between Arf GTPases and the Exocyst
complex has critical roles in membrane traffic
(Arf GTPase と Exocyst 複合体の相互作用の
メンブレントラフィックにおける役割)
鄭 翔
Roles of Arf GTPases in primary ciliogenesis(一
次繊毛の形成における Arf GTPase の役割)
中 井 和 香
Studies on functions of Class I and Class II Arf
small GTPases in membrane traffic( メ ン ブ レ
ントラフィックにおけるクラス I とクラス II
の低分子量 GTPase Arf の機能解析)
今 井 晴 賀
薬物送達を指向した新規エンドソーム膜傷害
性ペプチドの創製
宮 前 皓 樹
細胞膜曲率誘導タンパク質由来ペプチドによ
る膜透過性ペプチドの移行促進
山 本 和 俊
人工時計タンパク質を用いた周期的遺伝子発
現システムの構築
入 江 慶
Development and evaluation of Förster resonance
energy transfer (FRET) probe prepared by
fluorescent protein-quantum dot conjugates(蛍光
タンパク質と量子ドットからなる FRET プロー
ブの調製と評価)
清 水 倫 子
Nrf 2-ARE 経路を活性化する天然物由来化合
物の探索
小 川 京
腫瘍内低酸素領域の核医学イメージングを目
的とした酸素感受性分解型ペプチドプローブ
の開発
尾 江 悟
がんのインビボ光イメージングを目的とした
新規近赤外蛍光プローブの開発
近 藤 直 哉
核医学分子イメージング法によるがんの悪性
度診断のための 111In 標識抗 MT1-MMP 抗体
誘導体の開発
松 村 憲 志
アルツハイマー病における神経原線維変化の
生体イメージングを目的とした新規フェニル
ジアゼニルベンゾチアゾール誘導体の開発
山 内 早 紀
糖尿病足病変の核医学診断を目的とした FPR
結合 PET プローブの開発
宇 野 翔 大
Activation of mouse and human immune cells by
polypod-like structured nucleic acids(多足型構造
核酸によるマウス及びヒト免疫細胞の活性化)
小 川 耕 平
Development of antigen delivery system based on
injectable DNA hydrogels( 注 射 可 能 な DNA
ハイドロゲルを利用した抗原デリバリーシス
テムの開発)
本 山 慎 也
ヒト腎 H+/ 有機カチオンアンチポータ hMATE1
及び hMATE2-K と相互作用を示す化合物の
物理化学的特性の探索に関する研究
末 廣 健 司
中枢神経組織再生を促す新規治療法の開発
高 橋 知 行
短鎖脂肪酸受容体 GPR43 の脂肪組織におけ
る機能解析
竹 内 理 人
Structure-activity relationship of GPR40 agonists
based on a docking simulation(ドッキングシ
ミュレーションに基づく GPR40 アゴニスト
の構造活性相関)
岩 田 顕
エポキシドの位置選択的開環反応を用いた
(+)-リゼルグ酸及びその関連アルカロイドの
形式全合成
- 23 -
時 水 勇 輔
銅触媒を用いたアミジンのアルキニル化・環
化反応によるキナゾリンの合成
並 河 亮 太
Coibamide A の合成研究
三 須 良 介
NK3 受容体アゴニストの構造活性相関研究
跡 部 祐 太
時計遺伝子 Per2 の発現制御機構に関する研究
占 部 翔 一
視 床 下 部 に お け る aromatic L-amino acid
decarboxylase 含有ニューロンの研究
太 田 拓 巳
副腎アルドステロン産生細胞における概日振
動体の解析
鈴 木 暢
時差環境下における体内時計再同調に関する
研究
水 口 直 樹
肝再生における肝細胞の増殖活性の研究
大 槻 さつき
5-Sulfonyl tetrazole 構造を用いた生体高分子
の標識化に関する研究
岸 本 真 治
放線菌代謝産物より見出した新規化合物の構
造解析と生物活性評価
中 村 拓 朗
Neosartorya 属糸状菌が生産する血管新生阻
害剤 Azaspirene の生合成機構に関する研究
西 川 未来子
脱ユビキチン化酵素の酸化ストレス応答に関
する研究
遠 藤 陽 介
タンパク質-リガンド相互作用における電荷
移動相互作用の寄与の解析
平成 24 年 9 月 24 日
蘇 夢 寒
Evaluation of intrahepatic distribution of glycosylated
bovine serum albumin by in vivo fluorescence imaging
(インビボ蛍光イメージングを利用した糖修
飾牛血清アルブミンの肝臓内分布の評価)
- 24 -
分 野(教 室)だ よ り
薬品有機製造学/ケモゲノミクス
(薬品製造学)
本年度の薬品有機製造学分野は、貫禄を身に
纏う我らが大将・藤井教授、若く切れ味鋭い智
将・大野准教授、バイタリティ溢れる名将・大
石講師のもと、補佐員 2 名、DC 9 名、MC 9 名、
4 回生 4 名の総勢 27 名からなっております。
当研究室は、有機合成化学・有機金属化学・
ペプチド/タンパク質化学を基盤として、以下
のテーマを軸に研究を進めています。
1.新規フラグメント合成法の開発とペプチド
合成への応用
2.新規複素環骨格構築法の開発と創薬テンプ
レートへの応用
3.生物活性天然物の全合成研究と創薬展開
4.抗癌剤・抗ウイルス剤の分子設計・合成研
究と標的タンパク質の同定
各々がそれぞれのテーマを持って日々夜遅く
まで実験に励み、毎月の報告会や毎週月曜のセ
ミナーでは活発な議論がおこなわれておりま
す。一方で、各種コンパや研究室旅行などの教
室行事も充実しており、メリハリのある研究室
生活を送っています。薬友会のスポーツ大会に
は毎年積極的に参加しており、今年度は 9 月現
在、野球大会でベスト 4 まで勝ち進んでいます。
毎年秋には他大学の有機化学領域の 4 研究室と
スポーツを介して友好を深め、日頃の研究活動
に関する情報交換を行うなど、対外活動も積極
的に行っています。
最後になりましたが、薬友会の皆さまのご健
康と益々のご活躍をお祈りいたします。また、
卒業生の皆様、当研究室に興味のある学生の
方々も是非お気軽にお立ち寄りください。
薬品合成化学
(薬用植物化学)
冒頭にあたり薬用植物化学講座の初代教授の
井上博之先生(1922.3.5–2012.3.24)のご冥福を
お祈り申し上げます。先生は天然物化学を中心
に合成化学、分析化学、生化学にわたる幅広い
研究をされ高等植物の成分研究で国際的に著名
な業績を挙げられました。
一方でおめでたいニュースもあります。第二
代教授の藤多哲朗先生が見出された冬虫夏草成
分をもとに、田辺三菱製薬より多発性硬化症治
療薬「フィンゴリモド」が昨年末に上市されま
した。そのご業績で日本薬学会創薬科学賞、井
上春成賞を相次いでご受賞されています。ます
ますお元気に講演活動などをされております。
本年 7 月 20 日にはホテルグランヴィア京都に
て、井上先生を偲びつつ藤多先生をお祝いする
「植化/合成の集い」を第三代教授富岡清先生
の発案で開催しました。約 60 名の同窓生およ
び関係者が集まり、充実したひとときを過ごし
ました。ご参加くださいました皆様、ありがと
うございました。
さて、当研究室は現在、第四代教授となる高
須清誠先生、准教授 山田健一准先生、助教 山岡庸介先生をスタッフとして有機合成化学に
関する研究活動をしています。また、猿渡理恵
秘書と、フランスからの博士研究員が 1 名、博
士課程の学生が 4 名、修士課程が 8 名、学部生
が 6 名(うち薬学科 2 名)の総勢 23 名が研究室
のメンバーです。この秋に中国人の研究生が 1
名加入する予定です。
研究内容は、マルチタスク触媒による短行程
高次分子変換反応の開発、刺激応答により機能
発現する人工低分子の設計、ラジカル種の新規
発生法と反応の開拓、不斉分子を用いる有機金
属反応剤の活性化と不斉化手法の開拓、生理活
性天然化合物の全合成など多岐にわたっていま
す。
高須教授は学生同士の議論を重んじ、的確な
アドバイスを与えてくださいます。山田准教授
は、研究についての議論と、きめ細やかで、熱
意の溢れるご指導をしてくださいます。山岡助
教はより学生に近い立場からご指導をしてくだ
さいます。
- 25 -
そんな高須教授、山田准教授、山岡助教のご
指導の下、日夜、実験に勉強にと力量ある有機
化学者目指して頑張っています。GCMS や IR
が最近新しくなるなど、設備機器も充実してお
り、非常に研究しやすい雰囲気であります。週
に 2 回のセミナーでは、各人が積極的に議論に
参加し、非常に有意義な時間となっております。
それに加えて修士中心の基礎を固めるための勉
強会や、博士中心のよりレベルの高い勉強会も
毎週自主的に行っており、知識を深め合ってい
ます。
今春は雨天のため、恒例の新人との顔合わせ
を兼ねたお花見はできませんでしたが、オープ
ンカンファレンスからかすかに見える桜を楽し
みました。また、今年から新人中心に計画する
バーベキューを行っており、新たな伝統となる
予定です。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康
と益々のご活躍をお祈りいたします。卒業生の
皆様、また学部学生の方も、お気軽にお立ち寄
りください。
薬品分子化学
(有機薬化学)
本年度の薬品分子化学分野は竹本教授、塚野
助教、小林特定助教のもと、DC 6 名、MC 7 名、
4 回生 4 名、受託研究員 1 名、中国からの研究
生 1 名、秘書 1 名の計 23 名で構成されています。
竹本先生は非常に教育熱心で、セミナーや定期
報告会以外でも日頃から時間をとって学生と一
対一で真剣なディスカッションを展開して下さ
ります。また、院試前には勉強会を開いて直接
ご指導下さるので、4 回生にとっても非常に大
きな力になります。スポーツにも大変関心があ
り、研究室でのボウリング大会にも積極的に参
加して一緒に楽しまれます。塚野先生は、有機
化学における実験技術のノウハウから研究に対
する姿勢まで、
熱心にご指導下さります。また、
学生との交流という意味でも、薬学部軟式野球
大会のために練習から参加して学生と一緒に汗
を流すこともあります。小林先生は、今年度か
ら特定助教に就任された先生で、当研究室の卒
業生でもあることから私達学生の立場に近く、
時折昔話に花を咲かせて下さります。このよう
な先生方からの日々のご指導ご鞭撻に支えられ
ながら、有機化学と研究の面白さ、難しさを実
感しながら学び成長していくことが出来ます。
当分野のモットーは、(1)何事も学生が主体
となって行動する、(2)内向きではなく、視野
を広げ国際的な視点で物事を考える、です。そ
のため、学生同士のディスカッションは時や場
所を問わず常日頃から盛んに行われており、先
輩から後輩へ、有機化学の知識や実験に関する
テクニックもさることながら、有意義な研究生
活の送り方まで伝授して頂けます。週末には、
知識の拡大や整理のために自主的な勉強会も開
かれ、学生全員が積極的に参加しています。ま
た、国際学会での発表や海外の研究室への短期
留学を目指して、英語によるセミナー発表にも
研究室全員で励んでおります。
研究室で進行中の研究テーマは、
(1)環境に
優しい高機能性不斉有機触媒・チオウレアの開
発と応用、(2)多様性指向型有機合成を基盤と
する遷移金属触媒反応の開発、(3)医薬品リー
ドとなる天然有機化合物の高選択的な全合成研
究、(4)引力的分子間相互作用を基盤とする生
体機能性低分子の開発等です。これらの研究成
果は国内外の様々な学会や論文誌において発表
し、最近では永本さん(D3)と石田さん(D2)
がポスター賞を、倉橋さん(M2)、宇野さん
(M2)、奥野さん(B4)が学生優秀発表賞を受
賞しました。
教室行事としては、歓迎・追い出しをはじめ
とする各種コンパの他、お花見や BBQ、ボウ
リング大会、研究室旅行等を行っております。
今年の研究室旅行では島根県の玉造温泉を訪れ
ました。旅行一日目は松江城天守閣や武家屋敷
等を観光した後、玉造温泉にて温泉を満喫し、
ニ日目は出雲大社で研究成功を祈願し、ワイナ
リーや境港にて美味しい食べ物に舌鼓を打ちま
した。
このように、有機化学に興味のある方は勿論
のこと、スポーツに自信のある方、自分の力を
伸ばしたいという意欲溢れる方を募集していま
す。卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味を
もたれた学部学生の方は、いつでも気軽にお立
ち寄りください。最後になりましたが、薬友会
の皆様のご健康と益々のご活躍をお祈り申し上
げます。
- 26 -
薬品資源学
(生薬学)
薬品機能解析学
(薬品分析学)
本年度の薬品資源学分野は、伊藤美千穂准教
授のご指導のもと、博士課程 4 名、修士課程 4 名、
5 回生 1 名、4 回生 2 名、の計 12 名から構成され
ています。カメルーンと中国からの留学生が在
籍し、また日本人もユニークな学生が集まり、
個性的な研究室となっております。
当研究室では天然物化学から薬理、遺伝子研
究までと幅広い分野にわたっており、以下のよ
うなテーマを軸に研究を展開しています。
1)二次代謝機能発現に関する研究(特にテル
ペノイドの生合成機構の解明)
2)生薬ならびに薬用植物に含まれる生理活性
成分の研究
3)薬用植物の実態と多様性に関する研究
4)海外の薬用植物及び伝統薬物の調査研究
得られた成果は薬学会、生薬学会などで発表
しています。これらのテーマを各個人で実験計
画を立て責任を持って研究活動に取り組むとも
に、定例のセミナーにおいて研究報告と文献紹
介が行われ、自由な雰囲気の中、全員積極的に
発言し、活発な討論がなされます。、また、定
期に英語で書かれた教科書の輪読会もありま
す。
教室行事としては、各種コンパ、研究室旅行
の他に、山で自然と触れ合いながらの植物観察
会や香木展見学など当研究室ならではの活動も
行っています。今年は初めて一般の方への薬用
植物見学会が開催され、近隣の方とも薬用植物
についての理解を深めることができました。ま
た、薬草園採れた梅やアンズの実を使って作っ
た梅酒やアンズ酒、ジャムは絶品であり、研究
室での実験以外の場においても薬用植物にふれ
ることで、それらに対する知識と理解を深めて
います。研究室メンバー全員で輪になり雑談を
交わしながらおやつを食べるといったことも
度々あり、先輩と後輩の間のコミュニケーショ
ン、留学生との文化交流の場になっています。
卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をも
たれた方は近くまでおいでの際には、是非お立
ち寄りください。最後になりましたが、皆様の
ご健康とますますのご活躍をお祈り申し上げま
す。
薬品機能解析学分野(薬解)はスタッフは、
松崎教授、星野准教授、矢野助教、坂田秘書の
4 名です。学生は、DC 3 名、MC 7 名、6 回生 1 名、
4 回 生 4 名( 男 性 11、 女 性 4) の 計 15 名 で す。
早いもので松崎研も開設 10 年目となりました。
当研究室出身の池田恵介博士が、6 月に富山大
学大学院医学薬学研究部に助教として着任し、
卒業生 3 人目の大学教員となりました。
現在の研究テーマは、1)抗菌性ペプチドの
作用機構の解明と創薬への展開(松崎)、2)ア
ルツハイマー病発症機構の解明と予防・治療法
の開発(松崎・星野)、3)膜タンパク質の構造
形成原理の解明(松崎・矢野)、4)G タンパク
質共役型レセプター(GPCR)をはじめとする
膜タンパク質の可視化と機能解析(松崎・矢野)、
5)NMR を用いた蛋白質新規構造解析法の開発
(星野)です。これらの研究成果は、国内外の
学会や学術雑誌で発表しています。昨秋、2)
の研究成果に対し、伝統権威ある医学賞である
エルウィン・フォン・ベルツ賞 1 等賞が授与さ
れました(柳澤勝彦博士、加藤晃一教授との共
同受賞)。
毎週のセミナーにおいては、文献紹介・研究
報告・英語プレゼンテーションが行われ、自由
な雰囲気の中、活発な質疑応答がなされます。
日頃の英語プレゼンの成果を生かし、学生も英
語で口頭発表をするようにしています。
一方で、実験やセミナーの合間にはコーヒー
で一息ついたり、コンパや教室旅行があったり
と、研究教育以外の面においても充実した日々
を 送 っ て い ま す。 当 研 究 室 の ウ ェ ブ サ イ ト
(http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/yakkai/) で 論 文
やトピックスなど更に詳しい研究活動情報が御
覧になれますので、ぜひアクセスしてください。
最後になりましたが薬友会の皆様の御健康・御
多幸をお祈り申し上げます。
構造生物薬学
構造生物薬学分野には、現在、加藤教授、中
津准教授、山口助教の教員 3 名と、博士研究員
2 名、DC 1 名、MC 3 名、6 回生 1 名、5 回生 1 名、
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4 回生 4 名、秘書 1 名の総勢 16 名が所属してい
ます。今年度は研究室のメンバーが大きく入れ
替わりました。昨年度までいらっしゃった研究
員 2 名、DC 1 名、MC 2 名、企業からの研究生
2 名が研究室を去られ、新しく 4 回生 4 名と他
大学からの研究生 1 名が加わりました。昨年度
よりも人数は減りましたが、昨年度までとはま
た違った活気ある雰囲気の中で日々研究に励ん
でおります。
本分野は主に X 線結晶構造解析という手法
を用いてタンパク質の立体構造を明らかにする
ことによって、創薬の基礎となる生命現象を解
明する研究を行なっています。主に以下の 4 つ
の テ ー マ、1)X 線 結 晶 構 造 解 析 に 基 づ い た
ABC トランスポーターの構造生理学、2)ペル
オキシソ-ム膜タンパク質の膜局在化メカニズ
ムの構造生物学、3)精密立体構造に基づく酵
素の触媒作用の構造的起源の解明、4)X 線結
晶構造解析による生物時計の構造と機能の解
明、を中心に掲げ、研究を行なっています。膜
タンパク質のX線結晶構造解析は難しいとされ
ていますが、長年の努力の甲斐あって、ABC
トランスポーターの構造を高分解能で決定する
ことができました。今後は、明らかになった構
造に基づいて、多剤認識や薬物輸送の仕組みを
原子レベルで解明しようと日夜頑張っておりま
す。さらに、昨年度から日本初のX線自由電子
レーザー施設、SACLA が運転を開始しました
が、今年度から早速 SACLA を利用した研究に
参画し、微小結晶や 1 分子の立体構造解析の実
現に向けた最先端の開発に取り組み始めていま
す。
学生はそれぞれテーマを持ち、日々研究・実
験に意欲的に取り組んでいます。多くのシニア
研究員の方々の移動で、学生が自分自身で考え
て実験を行うことが増えました。一方、先輩方
の立ち上げたテーマも成熟してきましたので、
責任を持って収穫しなければならないと気を引
き締めております。徐々に立体構造が見えてき
た ABC トランスポーターは ADMETox の要で
あり、薬学領域における重要な問題解決に貢献
できると思われることから、構造生物学と薬学
の融合を夢見て、何が発見できるかと興味津々、
期待に胸が膨らんでおります。
また、新歓コンパ、院試激励会、忘年会など
教室行事も様々なものが企画され、めりはりの
ある研究生活が行なわれています。夏のコンパ
では、共同研究先のカナダからのポスドクの方
とウイスキーを堪能しました。酒に酔って話す
英語は不思議と通じているようでした。
卒業生の皆様を始め、学部生の方々も、当研
究室に興味をもたれましたら是非お立ち寄り下
さい。最後になりましたが、薬友会の皆様のご
健康とますますのご活躍をお祈り申し上げま
す。
ゲノム創薬科学/薬理ゲノミクス
(薬品分子構造学)
ゲノム創薬科学/薬理ゲノミクス分野では、
平 澤 明 准 教 授、 木 村 郁 夫 助 教 の 職 員 2 名 と、
DC 1 名、MC 5 名、5 回生 1 名、4 回生 4 名、研
究補佐員 5 名の総勢 18 名で構成され、「一流の
研究者を育て上げる」という指導方針のもと、
日夜研究に励んでおります。
当研究室では、DNA マイクロアレイや高速
シークエンサーによる大規模遺伝子発現プロ
ファイルといった最新の分子生物学的手法か
ら、遺伝子改変動物や病態モデル動物を用いた
病理実験まで、以下のような幅広い創薬研究を
行っています。
1.ゲノムの包括的解析による新規創薬標的の
発見とターゲットバリデーション
2.バイオインフォマティクスによる in silico
創薬研究
3.生体内オーファン G 蛋白質共役型受容体の
リガンド探索及び機能構造解析
4.マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析
5.遺伝子改変動物、病態動物を用いた遺伝子
の個体レベルにおける機能解析
本年度も引き続き、研究の更なる充実を図る
べく、研究室内では活発な討論が日々なされて
います。また、共同研究や技術交換など、他の
研究室などとも幅広い交流を持ち、互いの向上
に努めております。
こうした研究活動の一方で、研究室行事も盛
んです。
「仕事にメリハリを」という理念のもと、
4 回生歓迎コンパに始まり、学生実習の打ち上
げや院試激励会、忘年会の他、全国各地を巡る
研究室旅行などが計画され、お互いの親睦を深
- 28 -
めています。
卒業生の皆様を始め、学部生の方々も、当研
究室に興味を持たれましたら、ぜひお立ち寄り
ください。最後になりましたが、研究室一同、
薬友会の皆様の御健康と御活躍を心よりお祈り
申し上げます。
製剤機能解析学
(薬品物理化学)
で忙しい中にも大きなやりがいを感じられるよ
う工夫しています。卒業生の皆さまをはじめ、
当研究室にご興味をもたれた方は、いつでも気
軽にお立ち寄りください。最後になりましたが、
研究室一同、薬友会の皆様のご健康と益々のご
活躍をお祈り申し上げます。
生体分子認識学
(生物化学)
本年度の製剤機能解析学分野は、石濱教授、
若林助教の教員 2 名に加え、4 月から加わった
JSPS 外国人特別研究員の Miao-Hsia Lin 博士、
DC 2 名、MC 6 名、6 回生 1 名、5 回生 1 名、4 回
生 4 名、技術補佐員 1 名、秘書 1 名の総勢 19 名
で日夜研究に励んでおります。7 月にはオラン
ダから Sander Piersma 博士を迎えて共同研究を
行ったほか、AOHUPO、ASMS、HUPO、IMSC
といった国際会議で積極的に発表を行うこと
で、短期間ではありますが、研究環境を国際化
することができました。また、7 月に研究室全
体でリトリートを行うなど、日々楽しみながら
研究に打ち込める環境づくりを目指していま
す。
我々の研究室では石濱教授の指導のもと、最
先端プロテオミクス技術の開発や洗練、その技
術に基づいた生命科学研究を行っており、モノ
リスカラムを用いたショットガン解析や、リン
酸化プロテオミクス技術を基盤技術として、24
時間フル稼働の質量分析計に負けず劣らず夜遅
くまで頑張って研究を行っています。共同研究
も数多く行っているため、それぞれの分野で使
用する技術や基礎的知識は大きく異なります
が、セミナーや日々の研究生活では研究テーマ
による垣根なくディスカッションすることで幅
広い研究視野や思考能力を習得できるよう指導
しています。また、将来世界で活躍するために
必要な研究能力を身につけられるように、学生
ひとりひとりが独立して研究を遂行、完結でき
る体制をとっています。
生活面では研究室旅行をはじめとして、コン
パ、お花見、バーベキューなどに出かけ、研究
以外での交流も大切にしています。真剣に研究
に取り組むほど心にも体にも余裕がなくなりが
ちですが、メリハリのある研究生活を送ること
生体分子認識学分野は生化学の講義と実習を
担当するとともに、主に細胞生物学や細胞生理
学の研究手法を用いた研究を遂行しています。
昨年度に得られた研究成果は、ゴードンリサー
チカンファレンスや米国生物物理学会を含む海
外学会、日本生理学会、日本薬理学会、日本神
経科学会などの国内学会、さらには各種学会誌
等の総説などとして情報発信されました。学内
外グループとの共同研究による研究発展も積極
的に取り組んでいますので、詳細については当
教室のホームページ(http://www.pharm.kyoto-u.
ac.jp/biochem/)をご覧いただければ幸いです。
現在(平成 24 年 9 月)の当分野は教員 4 名(竹
島教授、柿澤准教授、山本助教、山崎特定講師)、
研究員 1 名、技術補佐員 1 名、事務補佐員 1 名、
DC 2 名、MC 4 名、6 回生 1 名、5 回生 1 名とい
うメンバーで構成されています。上記のメン
バーにて取り組んでいる研究課題の中で、2 つ
の項目を以下に解説します。
「小胞体 Ca2+ シグナリングに関する研究」は
当分野の中心課題です。小胞体からの Ca2+ 放
出は、筋収縮、伝達物質放出、膜電位調節など
多彩な細胞機能に関与しています。細胞内 Ca2+
ストアとして働く小胞体は、様々なタンパク質
によりその機能が構築・制御されていますが、
分子実体については不明な点が多く残されてい
ます。興奮性細胞における小胞体の構成タンパ
ク質の役割を 1 つ 1 つ明らかにすることにより、
小胞体 Ca2+ 放出の分子基盤を解明することを
目指しています。得られた研究成果は、新たな
医薬品開発へ向けた薬物標的の設定や遺伝子疾
患の理解に貢献しています。最近では、我々が
発見した小胞体 K+ チャネルである TRIC チャ
ネルや小胞体膜貫通型 Ca2+ 結合タンパク質で
あるカルミンによる Ca2+ 放出への生理的およ
- 29 -
び病理的な寄与について解析を進めています。
主に興奮性細胞に分布する TRIC-A チャネルの
遺伝子欠損マウスが高血圧を示すことに注目し
て、その血管平滑筋における生理機能を詳細に
解明するとともに、そのヒト遺伝子多型が本態
性高血圧の危険因子となることを最近突き止め
ることが出来ました。
「中枢系情報伝達に関する研究」にも当分野
は注力しています。近年の我々の研究成果によ
り、海馬や小脳の神経可塑性の成立において小
胞体 Ca2+ 放出の重要性が判明しています。し
かしながら、その作動原理や生理的調節機構に
ついては謎に満ちており、加齢や疾患病態にお
ける Ca2+ 放出の異常についても不明です。小
脳プルキンエ細胞における Ca2+ 放出に着目し
て、分子レベルでのそれらの謎解きを目指して
います。最近、ガス性シグナルである一酸化窒
素が小胞体膜上の Ca2+ 放出チャネルの一種、
リアノジン受容体を活性化し Ca2+ 放出ひいて
はシナプス可塑性を誘導することを発見しまし
た。この現象は中枢神経系における新規の Ca2+
動因機構であり、今後の研究のさらなる発展が
期待されます。
生体機能解析学
(分子作業制御学)
生体機能解析学分野は今年度、金子周司教授、
中川貴之准教授、白川久志助教、DC 6 名(う
ち留学生 1 名)、MC 3 名(うち留学生 1 名)、6
回生 3 名(いずれも薬学科)、5 回生 3 名(いず
れも薬学科)、4 回生 4 名(薬科学科 1 名と薬学
科 3 名)、共同研究員 1 名、教授秘書 1 名の計 24
名で構成されています。金子教授が教育方針と
して掲げる 5 つの「ちから」(専門理解力・専
門技術力・競争力・情報技術力・英語力)と 3
つの能力(知識・技能・態度)を身につけるこ
とを念頭に置き、日々切磋琢磨しながら研究活
動に励んでいます。
当研究室は伝統ある薬理学系講座の流れを汲
み、中枢神経薬理を主な研究領域としています。
特にイオンチャネルやトランスポーターといっ
た膜輸送タンパク質に焦点を当て、現在は以下
に示すようなテーマを軸に研究を展開していま
す。
創薬標的としてのイオンチャネルおよびトラ
ンスポーターの機能解析、薬理学的評価とゲ
ノム科学に関する研究
慢性疼痛における脊髄内グリア細胞の役割
依存性薬物や抗うつ薬の作用メカニズムの解
明
脳内グリア細胞に発現する TRP チャネルの
病態生理的役割
また多くの研究手法を駆使しているところが
当研究室の特徴の一つであり、分子生物学、電
気生理学、行動薬理学、生化学、組織化学など
幅広い技術を取り入れています。研究成果は日
本薬理学会、日本神経科学学会、日本疼痛学会
をはじめとする国内学会だけでなく、北米神経
科学学会、国際疼痛学会など海外でも発表し、
論文投稿を行っています。昨年度は「Jounal of
Neuroscience」誌に中川准教授らの研究成果を
報告いたしました(Haraguchi et al., 2012)。詳
細 は 当 研 究 室 の ウ ェ ブ サ イ ト(http://www.
pharm.kyoto-u.ac.jp/channel/ja/index.html) に 掲 載
していますので、興味を持たれましたらぜひご
覧ください。
若々しい先生方の下とあってか活発な学生が
集い、研究の合間には野球、バレーボール、バ
ドミントンなど、また先生方も交えてのスキー、
キャンプなどを楽しんでいます。また同じ薬理
学系講座から発展してきた薬品作用解析学分野
とは新歓コンパ・教室旅行・追い出しコンパの
3 大教室行事を合同で開催し、親睦を深めてい
ます(他にも学生実習や研究報告会を合同で
行っています)。
例年同様、今年度も個性的な顔ぶれが集いま
した。研究を筆頭に何事にも真摯に取り組み、
賑やかな研究生活を送っています。卒業生の皆
様も、機会がありましたらぜひお立ち寄りくだ
さい。末筆となりますが、薬友会の皆様のご健
康と益々のご活躍をお祈り申し上げます。
遺伝子薬学
(遺伝子薬品学)
当研究室は今年度で開設 20 年目を迎えまし
た。現在、遺伝子薬学分野は、伊藤教授、三宅
講師、小西客員准教授、特定研究員 1 名、研究
員 1 名、DC 1 名、MC 8 名、6 回 生 1 名、4 回 生
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4 名、技術補佐員 1 名、事務補佐員 1 名、合計
21 名という構成です。薬学部本館 2 階において、
先生方の厳しくも心温まるご指導のもと、日々
研究にいそしんでおります。
現在の当研究室の研究テーマとしましては、
1)細胞増殖因子(FGF)の脂肪組織形成、脳
形成などにおける役割の解明
2)遺伝子探索法による新規細胞増殖/分化因
子遺伝子の探索と構造解析
3)遺伝子機能抑制小型魚類の作製による新規
遺伝子の個体レベルでの機能解析
4)遺伝子欠損マウスの作成による新規遺伝子
の機能解析とその分子機構の解明
5)組織形成、組織修復の分子機構の解析と再
生医学への応用
が挙げられ、こういった研究の成果は分子生物
学会、薬学会、アディポサイエンス等の様々な
学会において発表しております。
学生たちは皆熱心に研究に励んでおります
が、研究に明け暮れてばかりいるわけではあり
ません。当研究室では、新歓コンパ、院試激励
およびお疲れ様コンパ、教室旅行、クリスマス
会、忘年会、追い出しコンパといった各種公式
行事に加え、花火、プールといった、有志によ
る楽しい企画が目白押しで、学年の垣根を越え
て皆で親睦を深めております。また、最近はス
ポーツ熱もますます高まっております。長年の
目標である二回戦進出を目指した本年度の薬友
会野球では、強豪打線相手に惜敗し残念ながら
二回戦に進むことができませんでしたが、各人
の奮闘は目覚ましいものがありました。チーム
力は毎年着実に上がっておりますので、来年こ
そは二回戦へと進んでくれるものと期待してお
ります。このように学生達は、忙しい研究生活
の合間の行事、スポーツにも手を抜くこと無く
真剣に取り組んでおります。
遺伝子薬学分野は、益々活気に満ちた研究室
となっておりますので、卒業生の皆様をはじめ、
当研究室に興味を持たれた方、お気軽にお立ち
寄り下さい。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康
と更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
生体情報制御学
(衛生薬学)
生体情報制御学分野は、現在、中山和久教授、
申惠媛准教授、加藤洋平助教の指導のもと、技
術補佐員 1 名、事務補佐員 1 名、博士課程 5 名、
修士課程 6 名、学部 6 回生 1 名、学部 5 回生 1 名、
学部 4 回生 4 名の 22 名で構成され、日夜研究に
励んでおります。
当研究室では、ゴルジ体やエンドソーム、一
次繊毛を中心とした、タンパク質の細胞内輸送
や局在化の機構の解析及び、こうした細胞内輸
送による細胞分裂や脂肪滴形成の調節機構の解
析をテーマとして研究を進めております。毎週
のセミナーでは絶えず質問が飛び交い、活発な
議論が行われているなど、教室全体で研究を進
めるように努力しております。教室行事も盛ん
で、春のお花見に始まり、新歓コンパ、院試激
励会、教室旅行、忘年会、追いコン……など、
事あるごとに皆で親睦を深めています。
個性あふれるメンバーが集まっていますが、
何事にも真剣な姿勢は共通で、お互いの良い所
を見ながら日々切磋琢磨しております。研究は
もちろんのこと、遊びにおいても情熱を持って
取り組んでいます。例えば、春開催の新入生歓
迎ボーリング大会(中山記念)では新入生から
先生まで皆が豪華賞品を目指して、毎年熱い戦
いを繰り広げています。スタートからハイスコ
アで逃げ切りを図るもの、ラスト 3 フレームで
怒涛の追い上げを見せるもの、またはブービー
賞を目指すものなど各々の戦略で盛り上がって
います。一方で、実験には毎日真剣に取り組み、
時には厳しい先生方の指導のもと、実りのある
研究室生活を送っております。忙しい中でも、
一人ひとりがやりがいを感じながら目標に向
かって邁進しております。
卒業生の皆様をはじめ、当研究室に興味を持
たれた方、どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。
最後になりましたが、研究員一同、薬友会の皆
様のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。
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味を持たれた方のお越しもお待ちしておりま
す。最後になりましたが、薬友会の皆様方のご
健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
薬品動態制御学
(薬剤学)
本年度の薬品動態制御学分野(旧薬剤学教室)
は、橋田教授、山下准教授、川上講師の教員 3 名、
Post Doc 4 名(うち外国人留学生 1 名)、Doc 7
名(うち外国人留学生 2 名)、MC 8 名(うち外
国人留学生 3 名)、6 回生 3 名、5 回生 3 名、4 回
生 4 名、秘書 3 名の総勢 35 名で構成されていま
す。また、橋田教授が併任されている物質―細
胞統合システム拠点(iCeMS)から Post Doc1 名、
革新的ナノバイオ創薬拠点から樋口助教が研究
室にいらっしゃり、大所帯が日夜研究に勤しん
でおります。
橋田教授は日本学術会議第二部会員や FIP
(国際薬学連合)学術部門議長などの要職を務
められるなど国内外で広くご活躍されており、
お忙しい毎日を過ごしていらっしゃいます。
当研究室の研究内容は、ペプチド医薬品や遺
伝子医薬品など従来の投与経路・剤形では効果
的な薬効の発現が困難な薬物に対し、肝臓、腎
臓、癌などの臓器/組織レベルでの送達を目的
としたシステムの開発を進めると共に、吸収、
代謝のコンピューター予測も行っております。
これらの研究成果は、薬学会、薬剤学会、薬物
動態学会、DDS 学会といった主要な国内学会
のみならず、さまざまな国際学会で多数発表し
ております。
また、多くの製薬会社の方々が集まる経口投
与製剤勉強会が数ヶ月ごとに開催され、製剤に
関わる企業研究者の方々にお話を聞かせていた
だくチャンスもあります。
教室行事は春の新歓コンパに始まり、夏の他
大学との合同サマーセミナー、秋の阪大薬剤学
教室との交流会、研究室旅行、年度末の追い出
しコンパなど多数行われ、普段はお忙しい先生
方も交えて大いに盛り上がっております。優勝
を目指して臨んだ今年度の薬友会の野球大会で
は、残念ながら初戦で敗れてしまいましたが、
来年度は初戦突破、そして優勝を手にするため、
意気込んでいます。
このように当研究室では何事にも熱心に取り
組み、充実した研究室生活を送っています。卒
業生の皆様、お時間がございましたら是非研究
室にお立ち寄りください。また、当研究室に興
薬品作用解析学
(薬理学)
平成 24 年 4 月より赤池教授が名古屋大学に御
異動になられましたが、本年度からは客員教授
として、久米准教授、泉助教とともにご指導い
ただいております。学生は DC 4 名、MC 2 名、
6 回生 3 名、5 回生 3 名、4 回生 4 名、秘書 2 名か
らなり、先生方と合わせて総勢 21 名より構成
され、日々研究に励んでいます。当分野は以前
から生体機能解析学分野や医学部、農学部、再
生医科学研究所との共同研究が多いため、研究
室は活気に満ち溢れ、互いに切磋琢磨する中で
研究に勤しんでいます。
現在当研究室では、「中枢神経疾患における
ニューロン死の機序とその保護因子に関する研
究」「当研究室で発見した神経保護物質『セロ
フェンド酸』に関する研究」「天然物由来化合
物による神経保護に関する研究」「ドパミン
ニューロンの生存および再生に関する研究」等
についての研究が日々進められており、これら
の研究成果は薬理学会、薬学会、神経科学会等
の様々な学会において発表されています。
こうした研究活動の一方で教室行事も盛ん
で、生体機能解析学分野と合同で行われる新歓
コンパ、教室旅行、追い出しコンパの三大イベ
ントを筆頭に、その他にも院試激励コンパ、院
試打ち上げコンパ、野球、サッカー観戦などの
イベントが数多く行われています。また、スポー
ツ好きな人も多く、野球、フットサル、テニス
などのスポーツが盛んに行われています。その
他にも飲み会、キャンプ、バーベキュー、たこ
焼きパーティーなどが随時企画され、研究の合
間に和気あいあいと行われています。
このように教室員一同、学ぶ時は真剣に研究
し、遊ぶときは一生懸命遊ぶという何事にも熱
心な研究室生活を送っていますが、卒業生の皆
様も機会がございましたら是非教室の方へお立
ち寄りください。最後になりましたが、薬友会
の皆様の御健康と益々の御活躍を心よりお祈り
申し上げます。
- 32 -
臨床薬学教育
臨床薬学教育分野は、2006 年の 6 年制薬学教
育開始とともに新設された分野で、矢野育子准
教授のもと、本年度は薬学科の 4~6 回生 4 名が
在籍しています。当研究室は薬学部における臨
床教育を担うことを使命のひとつとしており、
矢野准教授は京都大学医学部附属病院副薬剤部
長を併任され、研究室での学生個々に対する
日々の熱心な指導に加え、病院実務実習での臨
床教育にも深く携わっておられます。
当研究室の研究目標は、医薬品の適正使用を
通して患者さんの QOL 向上に貢献することで
す。附属病院薬剤部の協力を得ながら、泌尿器
科、神経内科など附属病院診療科との共同研究
における臨床薬物動態・薬効の速度論的解析や、
in vivo 実験系での薬物体内動態制御機構の解析
に関する研究等を進めています。また、国内外
の学会発表や学術雑誌への投稿など、研究成果
の公表にも積極的に取り組んでいます。
分野開設以来構成員も少しずつ増加し、医療
薬剤学分野と合同で、春の新歓コンパ、初夏の
周山セミナー、秋には薬友会スポーツ大会等の
教室行事を行っています。少人数ではあります
が、皆個性を発揮しながら和気あいあいと研究
室生活を送っています。また、薬剤部の薬剤師
の方々や実習生の姿を日々間近に見ながら、臨
床現場の厳しさを感じ成長することのできる環
境です。
このように、まだまだ発展途上の分野ですの
で、薬友会会員の皆様には引き続きご指導ご鞭
撻をいただきますようよろしくお願い致しま
す。最後になりましたが、皆様のご健康とご活
躍をお祈り申し上げます。
病態機能分析学
(放射性薬品化学)
本年度の病態機能分析学分野は、佐治教授、
小野准教授、天滿助教、木村助教、牧野助教、
京大病院の上田助教の御指導のもと、秘書 3 名、
共 同 研 究 員 1 名、 博 士 研 究 員 3 名、DC 9 名、
MC 4 名、6 回生 3 名、5 回生 3 名、4 回生 4 名(学
生 23 名)の計 36 名という構成で日々研究に励
んでおります。
本研究室は京大病院、医学部の臨床部門と密
接な関係を持ちながら、以下のような研究を
行っております。
1.脳疾患、悪性腫瘍、糖尿病、動脈硬化など
における生体機能変化をインビボ解析する
分子イメージング法の開発と、それに基づ
く病態の解明及び薬物作用の動的解析。
2.病態の特性に基づく標的部位選択的移行、
選択的活性化を起こす機能性画像診断・治
療薬の創薬研究
3.PET、SPECT、MRI、光イメージングなど
を用いた生体機能解析法の基礎的探索やこ
れらを組み合わせたマルチモーダルイメー
ジング法の探索
これらの基礎的検討を出発点とし、臨床への
貢献を目指して日々努力しております。さらに、
薬学科の 5 回生も、病院、薬局実習のカリキュ
ラムをこなしながら、博士、修士学生と同様に
創薬研究者を目指して実験に取り組んでいま
す。
教室行事は 5 月の新歓コンパに始まり、院試
激励コンパ、薬友会のスポーツ大会、教室旅行、
忘年会、追い出しコンパと色々な行事で盛り上
がっています。
本研究室をより活気あるものとするために
も、本研究室卒業生の皆様、是非お立ち寄り下
さい。また、本研究室に興味をお持ちの方も、
是非見学にいらして下さい。
最後になりましたが、研究室員一同、薬友会
会員の皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げ
ます。
病態情報薬学
病態情報薬学分野は現在、高倉教授、西川准
教授、高橋助教、引原秘書、DC 4 名、MC 6 名、
薬学科 6 回生 3 名、薬学科 5 回生 3 名、薬学科 4
回生 3 名、薬科学科 4 回生 1 名の学生 21 名(男
10 名、女 11 名)で構成されています。
本分野では、生体に投与されるモノとしての
「クスリ」と投与される側の「ヒト」との関わ
りを、生物薬剤学・薬物動態学・ドラッグデリ
バリーシステムなどの学問的バックグランドに
基づき統合的に追求し、得られた関連をもとに
薬物投与を最適化するための研究活動を行って
- 33 -
います。現在の研究内容は、1)遺伝子治療・
DNA ワクチン療法の最適化を目指した核酸医
薬品開発、2)核酸ナノデバイス・ハイドロゲ
ルの開発、3)RNA 干渉を利用した疾患治療シ
ステムの開発、4)多機能細胞治療剤の開発な
どがあります。これらのテーマを各個人で実験
計画を立て責任を持って研究活動に取り組むと
ともに、研究報告会や「遺伝子」、「核酸」、「動
態制御」のグループに分かれてのグループディ
スカッションでは、研究の進捗状況について意
見交換を行っています。また、毎週行われるセ
ミナーでは学生たちからも遠慮なく質問が飛び
交い、非常に活発なものになっています。得ら
れた研究成果は、日本薬学会、日本薬剤学会、
日本 DDS 学会、アンチセンスシンポジウム、
アメリカ遺伝子細胞治療学会など国内外の様々
な学会において発表しています。
毎年行われる教室行事は、春の新歓コンパに
始まり、秋の教室旅行、冬の追い出しコンパな
どで、学年の垣根を越えて大いに盛り上がって
います。今年度の薬友会の野球大会では、初戦
で昨年度の優勝チームと対戦し実力が伯仲する
熱い戦いになりました。試合は惜敗してしまい
ましたが、この悔しさをバネに来年度は勝利を
掴みとろうと意気込んでいます。女子もソフト
ボール大会では、薬品動態制御学分野と合同
チームで練習に励んでおり、優勝を狙っていま
す。
当 研 究 室 で は ホ ー ム ペ ー ジ(http://www.
pharm.kyoto-u.ac.jp/byoyaku/index.html) を 設 け
ていますのでぜひご覧ください。最後になりま
したが、薬友会の皆様のご健康とご活躍をお祈
り申し上げます。
システムバイオロジー
システムバイオロジー分野は、医薬創成情報
科学専攻の一分野として 2007 年度に開設され
た研究室で、2007 年春に紫綬褒章を 2009 年に
体内時計界最高峰の Aschoff’s Rule Award を受
章されました岡村均教授と、2011 年に文部科
学大臣表彰若手科学者賞を受賞された土居雅夫
准教授、山口賀章助教のご指導のもと、ポスド
ク 研 究 員 3 名、 博 士 課 程 5 名、 修 士 課 程 6 名、
四回生 5 名、研究補佐員 1 名、および秘書 1 名
の総勢 24 名で構成されています。前年度に比
べ構成員は増加しましたが、現在も引き続き、
大学院生・学部学生を募集しております。
当研究室では、哺乳類の体内時計の分子機構
解明のパイオニアとしてのこれまでの実績をも
とにして、時計遺伝子から、再生、老化、慢性
疾患(癌、高血圧、メタボリック症候群、神経
変性疾患)を解明することに全力をあげていま
す。手法としては、脳・神経科学、時間薬理学、
睡眠科学、行動科学、分子生物学、細胞生物学、
蛋白質化学、遺伝学など、あらゆる方法を駆使
して、世界をリードする学問分野を切り開いて
います。生体リズムの研究は、他の研究分野で
は類を見ないほどの広範な広がりを持つ、きわ
めて学際的な研究分野といえます。システムバ
イオロジー分野では、研究室が一丸となって生
体リズムの機構およびその病態の解明に全力を
上げています。
研究室の日常では、毎週開かれる研究室セミ
ナーにおいて活発に研究討論がなされ、その中
で学生たちはプレゼンテーション能力をつけま
す。また、英文抄読会も毎週土曜日に開催し、
学生の英語および、科学的思考力の養成をはか
ります。また、新入生歓迎会や各種のお祝いご
とには研究室の全員で楽しいコンパが企画さ
れ、研究教育以外の場においても活気ある充実
した研究室ライフを送っております。特に、毎
年初夏に研究室全員で出かける遠足は、登山に
温泉、バーベキューが恒例の一大行事となって
います。薬友会の皆様をはじめ、学部生の方々
も、当研究室にご興味をもたれましたら、是非
お立ち寄り下さい。HP(http://www.pharm.kyotou.ac.jp/system-biology/)ではこの他、さまざま
な研究室の情報がご覧になれます。
最後になりましたが、研究室一同、薬友会の
皆様のご健康とご活躍を心より祈念いたしまし
て、システムバイオロジー分野のご挨拶とさせ
ていただきます。
システムケモセラピー・制御分子学
システムケモセラピー・制御分子学分野(制
御)は、2007 年 4 月にスタートし、本年度で 6
年目を迎えました。研究室員は、現在、掛谷教
授、服部准教授、西村助教、石川特定助教、酒
- 34 -
井 研 究 員、DC 4 名、MC 10 名、6 回 生 1 名、4
回生 4 名、研究生 1 名、研究員 1 名、秘書 1 名の
総勢 27 名(留学生 3 名)であり、総合研究棟 5
階の研究室を中心に活気に溢れた研究生活を
送っています。
本研究室では、“切れ味の鋭い生理活性小分
子(新薬)は、新しいサイエンスを切り拓く”
の理念のもと、1)多因子疾患(癌、心疾患、
感染症、免疫疾患、神経変性疾患、糖尿病等)
に対する次世代化学療法の開発を指向したケミ
カルバイオロジー研究、2)創薬リード化合物
の開拓を指向した新規生理活性小分子の天然物
化学・天然物薬学、3)ケモインフォマティクス・
バイオインフォマティクスを活用したシステム
ケモセラピー研究およびメディシナルケミスト
リー研究、4)有用物質生産・創薬のための遺
伝子工学的研究(コンビナトリアル生合成研
究)、などの研究テーマが進行中です。研究室
員一同、最先端のケミカルバイオロジー、ケミ
カルゲノミクス、天然物化学、ならびにメディ
シナルケミストリーを世界に発信すべく、日夜
研究に励んでいます。本年度は、日本薬学会年
会、日本農芸化学会大会、日本生化学会大会、
天然有機化合物討論会、日本ケミカルバイオロ
ジー学会、日本がん分子標的治療学会、天然薬
物の開発と応用シンポジウム、Organization for
Oncology and Translational Research (OOTR) 8th
Annual Meeting 等での研究発表を行っています
(一部予定)。
研究室行事は、研究報告会、各種文献紹介、
研究室旅行などに加え、新歓コンパ、院試激励
会、ビールパーティー、投稿論文採択時などの
Congratulation Party など目白押しで、何事にも
真剣ですが、アットホームな雰囲気が漂ってい
ます。また、薬友会主催の野球大会、ソフトボー
ル大会、バレーボール大会にも参戦し、心地よ
い汗を流し親睦を深めています。今後も大文字
山(如意ヶ岳)登山をはじめとして、各種イベ
ントが企画される予定です。
当研究室は国内・国外の産官学の研究機関と
さまざまな共同研究も展開しています。卒業生
をはじめ、学部生の方々も、当研究室にご興味
を持たれましたら、是非お気軽に研究室にお立
ち寄り下さい。当研究室ウェブサイト(http://
www.pharm.kyoto-u.ac.jp/sc-molsci/)でも様々な
情報を発信しています。
末筆になりましたが、研究室員一同、薬友会
の皆様のご健勝と益々のご活躍を心よりお祈り
申し上げます。
神経機能制御学
(生命科学研究科・生体システム学)
本研究室は平成 11 年度より薬学部から生命
科学研究科に移籍し、生体システム学分野と改
称しました。現在は根岸教授、加藤准教授、生
沼助教、DC 6 名、MC 6 名、四回生 3 名、秘書
1 名の総勢 19 名から構成され、さらなる飛躍を
遂げるため、スタッフ、学生が一丸となり、日
夜研究に励んでいます。
本研究室の具体的な研究としましては、
(1)低分子量 G タンパク質による細胞の形態
調節機構
(2)神経細胞の突起伸展からネットワーク形成
に関わる分子メカニズム
(3)ガン細胞の運動や生存に関わる分子メカニ
ズム
等を解明することを目標としています。また、
最終的には細胞内情報伝達系の普遍的なシステ
ムを分子レベルで明らかにしたいと考え、研究
を行っています。
研究活動以外にも定例行事として新歓コン
パ、院試激励コンパ、忘年会、追いコン等の各
種コンパや、BBQ 等を行っています。また、
他学部とのソフトボール大会にも参加してお
り、積極的に外部との交流も行っております。
これらのイベントがよい気分転換の機会とな
り、皆、和気あいあいと活気あふれる日々を過
ごしています。
卒業生の皆様はもちろん、学部生の方々も、
本研究室に興味を持たれましたらお気軽にお立
ち寄りください。なお、詳しい研究内容や研究
室の様子につきましては当研究室のホームページ
(http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/negishi/)をご覧
下さい。
最後になりましたが、研究室一同薬友会の皆
様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げま
す。
- 35 -
生理活性制御学
(生命科学研究科・システム機能学)
本分野は現在、竹松准教授、内藤助教、技官
1 名、博士課程 2 名、修士課程 4 名、学部 4 回生
1 名、秘書 1 名の総勢 11 名で構成されています。
学生一人一人が研究テーマを持ち、その結果
や考察に関して、活発にディスカッションを
行っています。また、毎週行われるセミナーで
は、職員・学生の区別無く全員積極的に発言し、
活発な議論を行っています。
当研究室の研究内容は、
(1)スフィンゴ脂質が関与するシグナル伝達機
構に関する研究
(2)シアル酸分子種の生物学的役割に関する研究
(3)DNA マイクロアレイを用いた糖鎖発現調
節遺伝子の探索、及び糖鎖の機能解析
と多岐にわたっており、酵母、マウス、培養細
胞など、様々なモデル生物を用いて研究を行っ
ています。詳しい研究内容に関しては、ホーム
ページ(http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/kozutsumi/
index_j.html)をご覧ください。
当研究室は昨年度、薬友会バレーボール大会
に、学生一丸となって参加しました。また、研
究室内では、新歓コンパ、院試激励・お疲れコ
ンパ、忘年会、追いコンなど、様々なイベント
を行い、親睦を深めています。今年の 4 回生も
研究・遊び共に真剣に取り組み、活気ある研究
室となっています。
卒業生の皆様をはじめ、本研究室に興味を持
たれた方は、是非お気軽にお立ち寄りください。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健康と
益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
精密有機合成化学
(化学研究所・精密有機合成化学)
京阪電鉄宇治線黄檗駅もしくは JR 奈良線黄
檗駅から数分、緑豊かな宇治キャンパス・化学
研究所に我々の研究室はあります。当研究室は、
空手をはじめ様々なスポーツを得意とする川端
教授、実験室を取り仕切る古田准教授及び吉村
助教、質量分析の藤橋技官、秘書 1 名、DC 9 名、
MC 8 名、4 回生 2 名の総勢 24 名で構成されて
おります。
当研究室の研究内容は以下の通りです。
1)動的不斉制御の方法論と不斉反応への利用
2)有機触媒による精密反応制御
3)分子のキラリティーに基づく高次構造の構
築
4)キラルな機能性分子の合成と分子認識に関
する研究
5)生物活性化合物の創出を指向した新規合成
法の開発
ここで、当研究室のご紹介と近況のご報告を
いたします。当研究室では、毎週行われる研究
報告会、文献紹介セミナーに加え、英語で書か
れた教科書の輪読会があります。学生が主体と
なった問題演習も行われています。また、夏に
は一年間の研究成果を発表するアニュアルセミ
ナーが一泊二日の日程で行われています。どの
セミナーでも活発な討論が行われております。
さらに、当研究室には 400 MHz の NMR が一台
あり、スムーズに実験を行うことができます。
年間行事としては、春の花見、新入生歓迎コン
パに始まり、前述した夏のセミナー合宿、院試
お疲れコンパ、秋の研究室旅行、新年会、追い
出しコンパなどがあり、研究生活にメリハリを
つけ楽しく充実した一年間を送っています。ま
た、化研のスポーツ大会にも積極的に参加し、
今年度も各種目で好成績を残しております。卒
業生の皆様をはじめ、当研究室に興味をもたれ
た方はどうぞお気軽にお立ち寄りください。
最後になりましたが、薬友会の皆様のご健勝
と益々のご活躍をお祈り申し上げます。
生体機能化学
(化学研究所・生体機能設計化学)
宇治川のほとり、四季折々の豊かな自然に囲
まれた化学研究所、その中に私たちの研究室は
あります。今年度は、教授の二木史朗先生、助
教の今西未来先生、中瀬生彦先生をはじめとし
て、PD 1名、DC 1名、MC 6名、四回生2名、秘
書 1 名の総勢 14 名の活気あふれる研究室です。
私たちは「細胞」という舞台の中で、機能性
分子がどのような場面にどのように機能すれば
最も効果的で高い活性が得られるかということ
に着目しています。細胞内への物質の取り込み、
細胞膜を介する情報伝達、遺伝子の認識と転写
- 36 -
といった場で細胞機能を制御する高機能蛋白質
の創製を目指し、以下のテーマを中心に研究を
進めています。
1.膜透過ペプチドを用いた蛋白質細胞内導入
と細胞内情報伝達系の制御及び遺伝子発現
の制御に向けた研究
2.亜鉛フィンガー型転写因子の DNA 認識と機
能発現、またその応用的利用に関する研究
3.ペプチド工学的手法を用いたイオンチャネ
ルなどの新規機能性分子の創出
このように、これまでの化学、生物学の枠に
とらわれることなく、化学、生化学、分子生物
学的手法を用いて生体分子の機能解明・機能創
出に向けた研究を行っています。
研究室の行事は、春の化研新歓コンパ、研究
室新歓コンパに始まり、化研スポーツ大会、夏
には化研涼飲会、院試激励・お疲れさまコンパ、
秋の化研スポーツ大会、研究室旅行、冬には忘
年会や追い出しコンパなど一年を通して盛り沢
山です。また、有志によるボウリングや野球、
飲み会、スキーツアーなど化研内の学生同士の
交流も活発で、研究の合間に和気あいあいと楽
しく過ごしています。
このように教室員一同、研究に、交流にと活
気あふれる毎日を送っております。本研究室の
卒業生の皆様をはじめ、本研究室に興味をもた
れた方も、いつでもお気軽にお立ち寄りくださ
い。最後になりましたが、研究室員一同、薬友
会の皆様のご健康と更なるご活躍を心よりお祈
り申し上げます。
統合ゲノミクス
(化学研究所・バイオインフォマティク
スセンター)
私たち統合ゲノミクス分野は薬学研究科医薬
創成情報科学専攻に所属しています。研究は主
に宇治キャンパスにある化学研究所バイオイン
フォマティクスセンターで行われ、薬学研究科
のほか理学研究科生物科学専攻からも大学院生
の受け入れを行っています。五斗進准教授、時
松敏明助教、小寺正明助教、PD 1 名、薬学研
究科 DC 2 名、薬学研究科 MC 1 名、学部生 1 名、
理学研究科 DC 5 名、秘書 1 名より構成されて
います。その他に当研究室が中心となって開発
しているデータベースサービスであるゲノム
ネット(http://www.genome.jp/)に関係する研
究員やシステムエンジニアが 9 名籍しており、
総 勢 23 名 が 閑 静 な 宇 治 キ ャ ン パ ス を 舞 台 に
日々研究や勉学に勤しんでいます。また、昨年
度で定年退職した金久特任教授は引き続き化学
研究所で 9 名の技術員や研究補助者と KEGG
データベースの開発を主導しており、データ
ベースやウェブツールの運用や改良について私
たちと密な連携を続けています。
研究内容の特徴としては、 薬学研究科の多く
の研究室と異なりドライであること、すなわち
ウェットな実験ではなく計算機を用いた理論的
実験や解析を行っていることです。このような
特徴を持ちながら当研究室は生命科学系の研究
科の一部として設置されており、研究内容もア
ルゴリズムの改良や情報科学的な手法の提案に
留まらず、その手法を通して如何に生物学的意
義のある結論を導き出せるかを最重要視してい
ます。また、本研究室は古くからバイオインフォ
マティクス研究や新しい生物知識の発見等に不
可欠なデータベース開発に深く関わっており、
中でもゲノムネットは、ゲノム情報を基盤とし
た新しい生命科学研究と創薬・医療・環境保全
への応用を推進するために、私たちの研究グ
ループが提供するデータベースサービスです。
生 命 シ ス テ ム 情 報 統 合 デ ー タ ベ ー ス KEGG
(http://www.kegg.jp/)を核に、世界中のライフ
サイエンスデータベースを統合した研究基盤環
境を提供し、国内のみならず国際的な研究コ
ミュニティを支えてきた実績があります。その
他にも、ゲノムスケールでの DNA 配列やアミ
ノ酸配列の生物種間比較による遺伝子の機能予
測・解析、 タンパク質立体構造や RNA 高次構
造の機能解析、低分子化合物・糖鎖・脂質等の
構造および機能解析、また主に代謝パスウェイ
を用いたネットワーク解析など、常に最先端の
バイオインフォマティクス研究が行われていま
す。これら研究内容についての詳細は、研究室
の ホ ー ム ペ ー ジ(http://cls.kuicr.kyoto-u.ac.jp/
projects_J.html)をご参照ください。
当研究室の年中行事としては、 春の歓迎会、
夏の涼飲会(化研全体の行事)、秋の遠足(バ
イオインフォマティクスセンター全体の行事)、
そして新年の追い出しコンパなどです。また化
- 37 -
学研究所内での各種スポーツ大会も適宜開催さ
れており、後輩たちには活躍が期待されるとこ
ろです。一方、研究室員が関係する主な国際・
国内学会としては、GIW(International Conference
on Genome Informatics)
、ISMB(Intelligent Systems
for Molecular Biology)、日本バイオインフォマ
ティクス学会年会、日本分子生物学会年会など
があり、いずれも積極的に参加・研究発表する
ことが推奨されています。さらに、米ボストン
大学、独フンボルト大学および仏パリテクとの
連携教育プログラムの一環として開催される国
際ワークショップにも、特に若手を中心に積極
的な研究発表が望まれます。本連携教育プログ
ラムは日本学術振興会の若手研究者インターナ
ショナル・トレーニング・プログラム(ITP)
のサポートを受けており、若手研究者にはこれ
らパートナー機関に研究滞在する機会が広く与
えられており、当研究室からも毎年 1~2 名の
博士課程大学院生がそれぞれ 3ヶ月程度派遣さ
れています。また、国内外の著名な研究者を講
師としてお招きしセミナーを行っていただくこ
ともあり、国際的な視野を持つ優秀な人材育成
に積極的に取り組んでいます。より基礎的な教
育体制についても、ラボ内で開催されるセミ
ナー・講義・実習のテーマをきめ細かく設定す
るなどし、計算機科学・プログラミング・分子
生物学などに不慣れな新入院生が無理なく一線
級のバイオインフォマティクス研究者となれる
よう、万全の教育・指導体制を敷いています。
実際、ラボメンバーの多くはウェットな実験生
物学系研究室の出身であり、入学当初は計算機
に不慣れな者ばかりでしたが、早い者は数ヶ月
程度で研究に必要なプログラミング言語を操れ
るようになっています。
このように、当分野は薬学研究科では珍しい
ドライな分野であるため少々違和感を持たれる
かもしれませんが、 研究対象は数学や情報学と
いうより分子生物学に近く、ウェットな実験科
学経験者でもスムーズに研究を行うことが出来
ます。研究室見学は随時受け付けておりますの
で、この記事を読み、 研究内容や研究室そのも
のに興味を持たれた方、あるいはバイオイン
フォマティクスという新しい学問領域に少しで
も興味を持たれた方は、是非一度お立ち寄りい
ただければと思います。
分子設計情報
(化学研究所・バイオインフォマティク
スセンター)
本分野は、2006 年 4 月より薬学研究科に所属
し、さらに 2007 年 4 月に創設された医薬創成情
報科学専攻に現在所属する協力講座です。化学
研究所バイオインフォマティクスセンターは、
京都の南に位置する宇治キャンパス内に一昨年
に竣工された総合研究実験棟にあり、当分野は
その 3F にあります。構成員は馬見塚(まみつか)
教授、Hancock 助教、烏山助教、PD 1 名、JST
さきがけ研究員 1 名、大学院生 3 名です。バイ
オインフォマティクスは、生命科学と情報科学
の融合領域で、計算機科学や統計学の情報処理
技術により生命現象の解明を目指す新しい学際
領域です。特に、本分野では、機械学習・デー
タマイニングの技術構築・適用による生命科学
への貢献に注力しています。より具体的には近
年の生命科学で頻繁に見られるグラフやネット
ワークデータの解析に集中し、具体的な研究
テーマとして以下を挙げることが出来ます。
・薬剤―ターゲットペアデータからのフラグメ
ント―ペプチドパタンの効率的抽出
・疾病患者の遺伝子発現データを利用した疾病
時の代謝パスウェイの自動抽出
・多様な生命科学データを利用した高精度の遺
伝子モジュール発見
・遺伝子ネットワークを利用した遺伝子機能推
定
当分野の研究環境ですが、研究には十分な背
景知識の習得と自由な討論が強く奨励されると
同時に、研究遂行に欠かせない計算サーバは必
要十分に整備されています。また、週一回のプ
ログレスミーティングは英語で行われていま
す。研究のオフには、化学研究所、バイオイン
フォマティクスセンターおよび研究室独自の
様々なイベント(スポーツ交流、歓送迎会等)
に積極的に参加しています。また、郊外のキャ
ンパスのため、個人スペースに比較的余裕があ
ることも、本分野の特徴の一つでしょうか。卒
業生の皆様、また当分野に興味のある学生の
方々も、ぜひお気軽にお立ち寄り下さい。バイ
オインフォマティクスはまだまだ未来技術で将
来性豊かな研究領域です。この新しい研究分野
- 38 -
を一緒に開拓する心意気のある方々のご訪問を
お待ちしております。
最後に、薬友会の皆様のご健康とご活躍を心
よりお祈り申し上げます。
ヒトレトロウイルス学
(ウイルス研究所附属ヒトレトロウイルス
研究施設)
ウイルス研究所附属ヒトレトロウイルス研究
施設・ウイルス制御研究領域は、ヒトレトロウ
イルス学分野として昨年度から薬学研究科の協
力講座として参加させて頂きました。我々の研
究室では、ヒトレトロウイルスの基盤研究を行
い“がん”“エイズ”という難治性疾患の治療
法開発を目指しています。ヒト T 細胞白血病
ウイルス 1 型(Human T-cell leukemia virus type 1:
HTLV-1) は 成 人 T 細 胞 白 血 病(adult T-cell
leukemia: ATL)や脊髄症などの炎症性疾患の原
因ウイルスです。HTLV-1 により感染細胞に起
こる増殖の機構および炎症と発がんの分子機構
を明らかにし、その解析に立脚した新規の治療
戦略の構築を目指しています。我々の解析によ
り HTLV-1 プロウイルスのマイナス鎖にコード
される HTLV-1 bZIP factor 遺伝子が病原性発現
に重要な働きをしている事が明らかとなり、そ
の分子生物学的な解析を行っています。また、
霊長類を用いて、HTLV-1 およびその近縁ウイ
ルスであるサル T 細胞白血病ウイルス1型
(simian T-cell leukemia virus type 1: STLV-1) の
感染動態に関する研究も進めています。
Human immunodeficiency virus(HIV)は、ヒ
ト細胞で極めて巧妙に複製し宿主 CD4 陽性リ
ンパ球を破壊しエイズを起こしますが、抗ウイ
ルス剤の開発により、コントロール可能なウイ
ルス感染症へと変貌しています。しかし、抗ウ
イルス剤を用いても現時点ではウイルスの駆逐
は不可能であり、耐性ウイルスの出現が新たな
問題となっています。当研究室では新規の抗ウ
イルス剤を開発するとともに、耐性の分子機構
を明らかにし耐性克服、HIV 感染症のコント
ロールを目標としています。また、耐性ウイル
ス、抗ウイルス剤の研究を通じてウイルスの複
製機構の解明も目的としています。
本研究室は松岡雅雄教授、安永純一朗講師、
佐藤賢文助教、志村和也助教に加え、臨床検査
技師、大学院生、秘書、実験補助員の総勢 21
名から構成されています。研究室のホームペー
ジに教育・研究に関する内容を掲載しておりま
す の で、 是 非 一 度 ご 覧 く だ さ い(http://www.
virus.kyoto-u.ac.jp/Lab/matsuoka.html)
。
医療薬剤学
(医学部附属病院薬剤部)
医療薬剤学分野は附属病院薬剤部に属する研
究室です。本年 4 月、前旭川医科大学医学部教
授・薬剤部長の松原和夫先生が我々の教授・薬
剤部長に、9 月には同病院から大村友博先生が
助教として着任されました。現教室メンバーは、
桂准教授、増田講師、福土助教、米澤助教、研
究員 2 名、DC 4 名(うち医学研究科 1 名)、学
部生 13 名、事務補佐員 3 名を含めた総勢 28 名
です。
医療薬剤学分野では、医薬品の適正使用を目
指した研究に日々励んでいます。特に、薬物動
態の規定因子であるトランスポータや代謝酵素
の機能発現に着目し、in vitro および in vivo 実
験系を用いた薬物動態の統計的解析や分子・細
胞生物学的解析に加えて、薬効・副作用の発現
を予測するバイオマーカーの探索も精力的に
行っています。今後さらに、松原教授の専門領
域である神経変性疾患の病態と治療に関する研
究を推進していくことで、新規治療法や個別投
与設計法の開発に新展開を目指して参ります。
さて、本年 4 月より薬学教育 6 年制のカリキュ
ラムを卒業した新しい薬剤師が社会に出て活躍
することとなりました。教員は薬剤部職員と一
致協力しながら卒前実習に取り組み、より多く
の学生に医療現場に関わる全てのことに興味を
もってもらい、医療スタッフと協働してベッド
サイドで活躍する薬剤師の育成にも努めていま
す。一方、当教室からはこの 4 月に、大学院博
士課程を修了後に渡米し、自己研鑽を惜しまな
い意欲と熱意のある卒業生が海外で活躍中です
(3 名)。最近の学会活動では、米澤助教が「白
金系抗がん剤の腎毒性発現における有機カチオ
ントランスポータの役割」に関する研究に対し
て、平成 23 年度日本薬学会近畿支部奨励賞を
受賞しました。また、増田講師が提案した「遺
- 39 -
伝子多型・発現情報の肝移植後個別化免疫抑制
療法への応用に関する研究」が、第 22 回(2011
年度)臨床薬理研究振興財団学術奨励賞に採択
されました。このような栄誉ある賞を通じて、
臨床に還元できる成果をより早く、より多く出
せるよう教室をあげて日夜研究に勤しんでいま
す。
教室行事も盛んで、各種コンパや教室旅行な
どだけでなく、薬剤部職員と一緒に開催してい
る行事もあり、臨床現場にいる職員とも交流を
深めています。
薬剤部のホームページに教育・研究に関する
内容を掲載しておりますので是非一度ご覧下さ
い(http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~yakuzai/main.
htm)。また、興味を持たれた方は研究室にも
どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。
ナノバイオ医薬創成科学
本研究室は 2007 年 5 月に開設された、東レ株
式会社の寄附金による 5 年間の寄附講座です
が、3 年の延長が認められました。現在のメン
バーは清水客員教授、武井助教の教員 2 名、教
務補佐員 2 名、秘書 1 名であり、また支援研究
室は佐治研究室です。
当研究室では、医学研究科との連携を中心に、
質の高い臨床検体を解析対象として研究を進め
ています。方針としては、DNA マイクロアレ
イのナノレベルの先端分析技術を基盤としてバ
イオロジーを研究し、遺伝子とタンパク質の統
合解析により、がんに対して、早期診断、テー
ラーメイド医療、分子標的医薬の創成を目指し
ています。これが講座名の由来です。具体的に
は、以下に示すような研究活動を展開していま
す。
1.マイクロアレイによる研究
マイクロアレイによる、mRNA、マイクロ
RNA の分析よりがん(食道がん、乳がん)の
研究を通じて診断、個別化最適医療を目指して
います。正常細胞における細胞分化と免疫機
構、がん細胞における悪性度に関係するマイク
ロ RNA の同定とその機能解析を進めて、マイ
クロ RNA の臨床応用、創薬へつなげていきた
いと思っています。これまでのマイクロアレイ
による研究から、食道がん細胞では、miR-210
の発現が大きく減少していること、またその
miR-210 ががん細胞の増殖、生存を妨げる作用
を持つがん抑制マイクロ RNA であること、そ
のターゲットは FGFRL1 という膜タンパク質で
あることを突き止めました。また、それ以外に
もいくつかターゲットがあり、これらを解析す
ると食道がんのメカニズムが判る可能性もあ
り、研究を続けています。
2.抗体の研究
上記の食道がんは、外科手術が難しく、高頻
度に遠隔転移再発を起こす悪性度の高いがんで
す。それにもかかわらず有効な分子標的薬やバ
イオマーカーが見出されていません。
そ こ で 上 記 の マ イ ク ロ RNA の 分 析 か ら
FGFRL1(膜タンパク)という手がかりが得ら
れましたが、これが有効な標的である可能性も
あり、現在その働きを抑制する抗体を探索して
います。
最後になりましたが、研究室一同、薬友会の
皆様のご健康及びご活躍を心よりお祈り申し上
げます。
システム創薬科学
システム創薬科学講座は 2008 年の 10 月に開
設した小野薬品工業株式会社による寄附講座で
す。現在は奥野教授、瀬木(西田)准教授、新
島助教、博士研究員 5 名、DC 1 名、秘書 2 名、
教務補佐 1 名、技術補佐 1 名で構成され、シス
テム生命科学に基づく創薬展開を目指し、日々
研究に勤しんでおります。
当研究室は現在、最先端・次世代研究開発支
援拠点として、1)病態発症プロセスや薬理作
用プロセスにおけるゲノム発現解析による病態
メカニズム、薬理メカニズムのシステム的解析、
2)病態発症プロセスや薬理作用プロセスのシ
ステムシミュレーションによる病態原因遺伝
子、薬物標的遺伝子の同定、3)ケミカルゲノ
ミクス情報、遺伝子発現データ、副作用情報な
どのデータ統合による多重標的薬理作用のシ
ミュレーションモデルの開発、4)多重標的薬
理作用モデルに基づく薬理効果促進と安全性向
上を志向した合理的薬物探索手法の開発とド
ラッグデザイン理論の構築、等を研究課題に研
究を行っております。特に、計算チームと実験
- 40 -
チームが両立する国内外においても数奇な研究
室です。
研究室行事としては、定例のセミナーにおい
て研究報告と文献紹介が行われ、各々のテーマ
やその周辺についてお互いに理解を深めていま
す。また、週に一度それぞれの研究チームごと
の詳細なディスカッションが行われ、活発に意
見交換を行っています。
一方、研究室行事も、新入生歓迎コンパや忘
年会などの各種コンパ、秋にはバーベキュー
パーティーの開催等、研究生活以外の面におい
ても充実した毎日を送っています。
卒業生の皆様を始め、学部生の方々も、当研
究室に興味を持たれましたら、どうぞ気軽にお
立ち寄りください。また当研究室の HP(http://
pharminfo.pharm.kyoto-u.ac.jp/)が設けておりま
すのでぜひご覧ください。最後になりましたが、
研究室一同、薬友会の皆様の御健康と御活躍を
心よりお祈り申し上げます。
医薬産業政策学
本講座は、日本製薬工業会による寄付講座と
して本年 4 月に発足し、柿原浩明教授、井深陽
子准教授、馬欣欣助教、瓜生原葉子博士研究員、
櫻井満也研究協力員、秘書 2 名の 7 名で構成さ
れています。将来の日本の経済と社会がよりよ
くあるためには、日本のこれからの医薬産業政
策がどのようにあるべきかについて科学的根拠
を導くべく、広く医薬産業と経済の関わりに関
しての実証分析を行っています。
当研究室の研究内容は、
(1)医薬産業と経済の関わりに関する実証研究
(2)医師・薬剤師・患者の先発薬と後発薬につ
いての選好の調査と分析
(3)予防接種に関する需要の決定要因の実証
分析
を柱としています。独自に社会調査を設計しま
たデータベースや政府統計等により得られる観
測データを元に、日本の現状の分析と背後にあ
る人間・企業行動と社会経済の関わりのメカニ
ズムの解明に取り組んでいます。
本年度の薬友会主催の「薬学の未来を考える
京都シンポジウム」において、当講座の発足記
念ともなる「資源配分、価値創造から考える先
発薬・後発薬の棲み分けと薬価制度のあり方」
と題したシンポジウムを行うことになりまし
た。薬友会の皆様に温かいご支援を頂きました
こと、この場をお借りして感謝申し上げます。
当講座は新しい講座であり直接の卒業生にあ
たる先輩方はいらっしゃいませんが、本研究室
にご関心を持たれた方はどうぞお気軽にお立ち
寄りください。また最後になりましたが、研究
室一同薬友会の皆様のご健康とより一層のご活
躍を心よりお祈り申し上げます。
統合薬学教育開発センター
京都大学薬学部・薬学研究科では、薬学にお
ける“創”と“療”の拠点形成を教育・研究の
基本的理念として掲げ、大学設置基準に基づき、
学部教育においては、平成 18 年度に導入され
た高度な薬剤師教育を目指す 6 年制教育制度
と、創薬研究者を初めとする多様な人材の養成
を目的とする 4 年制教育制度を並置し、各領域
でのスペシャリスト養成を目指して教育を進め
ています。
統合薬学教育開発センターでは、これからの
創薬に求められる能力を育成するため、現在の
個別の専門領域のスペシャリストの資質育成教
育に加え、医薬品開発を俯瞰的に捉え患者に良
質の薬物治療を提供するという薬学の本質に関
わり、統一的に必要とされる薬学総合基礎教育
を新規に展開することを目的として、新薬学教
育制度下での各学科の枠を超えて、医薬品研究
現場への参加・体験型学習及びモデル医薬品開
発・医療応用事業への参加を想定した問題解決
型の演習・実習を中心とした新たな教育カリ
キュラム「創薬・育薬力育成プログラム」を構
築しています。さらに、その成果を高学年、大
学院教育で進展させることによって分野横断的
な創薬・育薬力を持った先導的創薬研究リー
ダーを育成するための横断的統合型教育のプ
ラットフォームを築き、学士力を総合的に高め
る教育システムを構築します。
革新的ナノバイオ創薬研究拠点
革新的ナノバイオ創薬研究拠点は、京都大学
-立命館大学の国立-私立大学連携や薬工連携
- 41 -
によるバイオテクノロジーとナノテクノロジー
の融合などを基盤とした革新的創薬研究の推進
を目的として、2009 年 4 月に京都大学大学院薬
学研究科の附属施設として設置され、現在で 4
年目を迎えました。本拠点では、癌などの難治
性疾患の克服を可能とする治療薬、治療システ
ムの開発を目指して、学際融合的研究の推進と
最先端創薬科学の研究・教育体制の確立に取り
組むと共に、近未来の薬物療法を担う医薬品は
医療機器の開発されに次世代ナノバイオ研究を
牽引する優れた人材の養成を目指しています。
本拠点の組織体制は、薬工連携推進を担当す
る教員とそれを側面から支援するシニアリサー
チフェローから構成される“連携支援ユニッ
ト”、新進気鋭の研究者を集め革新的な技術・
素材を駆使した創薬研究を実施する“先進ナノ
バイオ研究ユニット”、さらにそれぞれの機関
の既設分野の教員が兼任で参加する“薬物送達
研究班”と“医薬創出研究班”とから構成されま
す。現在は薬学研究科長の佐治英郎教授を拠点
長に総勢 21 名のメンバーで構成されています。
本拠点では、①癌治療のための新規化合物の
合成および評価、②抗癌剤候補化合物の in vivo
評価のための癌疾患モデル作成、③分子イメー
ジング法などを利用した医薬品開発候補品の薬
物動態解析とそれに基づく特異的薬物送達シス
テムの設計と開発、④ DDS 技術とマイクロ体
内ロボット、ナノマシンシステムなどの融合に
よる薬物送達システムの構築、などを目標に研
究を推進すると同時に、研究成果の公表や特許
や技術の企業移転を通じた産学連携を推進して
います。昨年度には第 3 回ナノバイオ創薬研究
シンポジウムを開催し、多くの方にご参加いた
だき、盛会のうちに終えることが出来ました。
今後、さらに連携研究を推進していくことで、
我が国の創薬研究に大きく貢献出来るよう研究
に邁進してまいります。
最後になりましたが、構成員一同、薬友会の
皆様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げ
ます。
- 42 -
薬 友 会 部 報
平成 24 年度薬友会役員
会 長
佐治 英郎 教授
総 務
小野 正博 病態機能分析学
副会長
伊藤 信行 教授
教 養
久米 利明 薬品作用解析学
雑 誌
川上 茂 薬品動態制御学
運 動
星野 大 薬品機能解析学
会 計
大石 真也 薬品有機製造学
平成 24 年度予算(案)
《収入の部》
(円)
《支出の部》
(円)
項 目
本年度(案)
前年度決算
項 目
本年度(案)
前年度決算
前年度繰越金
薬友会費(名簿代含)
会誌広告料
雑収入
26,070,170
3,600,000
1,300,000
0
23,142,356
4,585,420
1,312,000
2,715,950
合 計
30,970,170
31,755,726
総務部
教養部
雑誌部
運動部
予備費(次年度繰越金)
3,940,000
300,000
2,661,750
180,000
23,888,420
4,515,998
226,648
772,760
170,150
26,070,170
合 計
30,970,170
31,755,726
平成 23 年度 薬友会野球大会結果報告
- 43 -
平成 23 年度 薬友会ソフトボール大会結果報告
平成 23 年度 薬友会バレーボール大会結果報告
- 44 -
京大薬友会会則
第 1 章 会 名
第1条
第 6 章 会 議
本会は京大薬友会と称する。
第 17 条 会議を分けて総会及び役員会とする。
第 18 条 総会は必要に応じて、役員会の議をへて会長が之を招集
することができる。
第 2 章 目 的
第2条
本会は会員相互の親睦を厚くし学識の向上を図ることを
第 19 条 会長は 3 月に定例委員会を招集し、会計報告、新役員の
目的とする。
委嘱、その他の協議報告を行なうものとする。又、会長
は 4 月に定例委員会を招集し、予算および事業案を審議
決定するものとする。但し、会長は必要に応じ臨時役員
第 3 章 会 員
第3条
本会の会員を分けて名誉会員、通常会員及び賛助会員と
する。
第4条
名誉会員とは本会に功績ある者の中より役員会の議を経
て総会において推薦された者をいう。
第5条
会を招集することができる。
第 20 条 役員会の成立は少なくとも全役員の 3 分の 1 以上が出席
することを要す。
第 21 条 役員会の議決は出席役員の過半数を得なければならな
通常会員とは京都大学医学部薬学科及び薬学部職員・大
学院学生及びかつてその職にあった者、卒業生、学生、
い。
第 22 条 役員会は、会計報告、予算案を会報紙上に報告するもの
並びに研究生をいう。その他京都大学医学部薬学科及び
とする。
薬学部に縁故ある者は役員会の議決によって通常会員と
なることができる。
第6条
第 7 章 会 費
賛助会員とは、名誉会員・通常会員以外で本会の主旨に
第 23 条 名誉会員及び賛助会員よりは会費の徴収を行なわない。
賛同し、寄附その他の行為を為した者の中、役員会の承
第 24 条 会員は 20,000 円を一括して支払うことにより永久会員と
しての資格を得る。単年度毎に支払う場合は、通常会員
認を経た者をいう。
1,000 円、学生会員 500 円を年会費とする。但し、会費
は名簿代金を含まない。
第 4 章 役 員
第7条
本会には会長 1 名、副会長 1 名及び委員若干名を置く。
第8条
会長は京都大学薬学部長が之に当り、本会の事務を総括
するものとする。
第9条
第 8 章 経 費
第 25 条 経費の支出科目は次の通りとする。
副会長には前会長が之に当り、会長を補佐するものとす
総務部費、雑誌部費、運動部費、教養部費、会計部費、
る。
予備費
第 10 条 委員は卒業生、学生共、各学生、各学科より 1 名、大学
各事業部費は役員会の議を経なければ互いに流用する事
院各学年より 1 名、其の他に総務、雑誌、運動各部の運
はできない。
営のため若干名の委員を会長が委嘱するものとする。
予備費の支出は役員会の議決を要する。
第 11 条 委員は 2 つの代表を兼ねる事ができない。
第 26 条 毎年度の事業費の決定は役員の議をへて之を決定する。
第 12 条 委員はいずれかの事業部に属し、庶務を司るものとする。
本会の会計年度は毎年 4 月 1 日にはじまり翌年 3 月末に
その所属は役員会において決定する。
終る。
第 13 条 委員の任期は 1 年とする。但し重責は妨げない。
第 14 条 委員の委嘱は毎年 3 月に之を行なう。
第 9 章 支 部
第 27 条 会員 10 名を越える地方は役員会の議決を経て支部を設
ける事ができる。
第 5 章 事 業
第 15 条 本会の事業を行うため次の部を置く。
第 28 条 支部は役員会の議決を経て支部費を受けることができ
(イ)総務部 (ロ)雑誌部 (ハ)運動部
る。
(ニ)教養部 (ホ)会計部
第 16 条 総務部は予算の編成、企画、会計、連絡その他を行なう。
雑誌部は名簿の編成、雑誌の発行、その他を行なう。
第 10 章 事業所
第 29 条 本会は事務所を京都大学薬学部内に置く。
運動部は運動会、旅行その他を行なう。
教養部は講演会、見学その他を行なう。
会計部は会計を行なう。
第 11 章 会則変更
第 30 条 本会の会則変更は役員会の議をへなければならない。役
員会は会則の変更を会報に報告しなければならない。
- 45 -
薬学研究科教員 電話番号・E メール一覧
【薬学研究科・薬学部】
専 攻
大講座
専攻分野・研究領域
分野場所
教 授
薬品合成化学
本館 4 階
高須 清誠 (4553)kay-t
薬品分子化学
本館 4 階
竹本 佳司 (4528)takemoto
薬品資源学
別館 1 階
薬品機能解析学
新館 3 階
松㟢 勝巳 (4521)katsumim
構造生物薬学
本館 3 階
加藤 博章 (4617)katohiro
薬品製剤設計学
製剤機能解析学
本館 3 階
石濱 泰 (4555)yishiham
生体分子薬学
生体分子認識学
本館 2 階
竹島 浩 (4572)takeshim
生体機能薬学
遺伝子薬学
本館 2 階
伊藤 信行 (4540)itohnobu
生体情報薬学
生体情報制御学
新館 4 階
中山 和久 (4527)kazunaka
薬品動態制御学
新館 2 階
橋田 充 (4525)hashidam
薬品作用解析学
本館 1 階
赤池 昭紀(客員) (4550)aakaike
臨床薬学教育
新館 1 階
病態機能分析学
新館 4 階
佐治 英郎 (4556)hsaji
病態情報薬学
新館 2 階
髙倉 喜信 (4615)takakura
生体機能解析学
本館 2 階
金子 周司 (4541)skaneko
薬理ゲノミクス
・ゲノム創薬科学
新館 3 階
ケモゲノミクス
・薬品有機製造学
新館 5 階
システムバイオロジー
別館 3 階
4 階
岡村 均 (9552)okamurah
システムケモセラピー(制御分子学)
新館 5 階
掛谷 秀昭 (4524)hkakeya
附属統合薬学教育開発センター
医療薬学
教育棟 1 階
栄田 敏之(特定) (9560)sakaedat
革新的ナノバイオ創薬研究拠点
本館 1 階
藤井 信孝(特定) (4551)nfujii
薬品創製化学
創
薬
科
学
薬品機能統御学
生 命 薬 科 学
薬品動態医療薬学
医 療 薬 科 学
病態機能解析学
医薬創成情報科学
医薬創成情報科学
- 46 -
(藤井 信孝)
(特定) (4551)nfujii
電話番号:075-753(内線番号) E-mail:メールアカウント@pharm.kyoto-u.ac.jp
准教授
講 師
助 教
山田 健一 (4573)yamak
事 務
FAX
(山岡 庸介)
(特定) (4563)yyamaoka
(4553)
(4604)
塚野 千尋 (4532)tsukano
(小林 祐輔)
(特定) (4610)ykobayashi
(4528)
(4569)
伊藤美千穂 (4506)michihoi
(4507)
星野 大 (4531)hoshi
矢野 義明 (4529)yyano
(4578)
(4578)
中津 亨 (4606)nakatsu
山口 知宏 (4606)tyamaguc
(4619)
(9272)
若林 真樹 (4530)mwaka
(4601)
(4601)
山本伸一郎 (4562)yamashin
(4552)
(4605)
(4539)
(4600)
加藤 洋平 (4537)ykatoh
(4527)
(4557)
(樋口ゆり子)(4545)higuchi
(4545)
(4575)
泉 安彦 (4536)yizumi
(4550)
(4579)
柿澤 昌 (4552)sho-kaki
(山崎 大樹)
(特定) (4562)daiju-y
三宅 歩 (4539)miyakea
申 惠媛(4537)shin
(瀬木 恵里)
(特定)
(4537)eri.segi.nishida
山下 富義 (4535)yama
川上 茂 (4545)kawakami
久米 利明 (4576)tkume
矢野 育子 (751-3582)iyano
(751-3205)
小野 正博 (4608)ono
天滿 敬 (4566)ttemma
牧野 顕(特定) (4607)makino
(4566)
(4568)
西川 元也 (4580)makiya
髙橋 有己 (4616)ytakahashi
(4616)
(4614)
中川 貴之 (4549)tnakaga
白川 久志 (4548)shirakaw
(4541)
(4542)
(4559)
(9264)
(4544)
木村 郁夫 (4533)ikimura
(武井 義則)
(特定)(9264)ytakei
(原 貴史)
(特定)(9264)t-hara
平澤 明 (4543)akira_h
大野 浩章(兼) (4571)hohno
土居 雅夫 (9554)doimasao
服部 明 (9267)ahattori
荒木 通啓(特定) (9274)araki
大石 真也 (9268)soishi
(4570)
山口 賀章 (9554)yoshiy
西村 慎一 (4534)nshin
(石川 文洋)
(特定)
(9267)fishika
(9554)
(9553)
(4524)
(4591)
角山 香織 (9253)kao-kado
樋口ゆり子(特定) (4545)higuchi
清水 一憲(特定) kshimizu
高橋 清大(特定) (751-3976)kiyohiro
小林 祐輔(特定) (4610)ykobayashi
- 47 -
(9568)
【薬学研究科・薬学部】
専攻分野・研究領域
分野場所
教 授
准教授
最先端創薬研究センター
新館 1 階
本館 4 階
田中 耕一(客員)
寄附講座:ナノバイオ医薬創成科学
本館 3 階
清水 一治(客員)(9556)kazushmz
田中 耕一(客員)
寄附講座:システム創薬科学
別館 2 階
奥野 恭史(特定)(4559)okuno
瀬木 恵里(特定)(4537)eri.segi.nishida
寄附講座:医薬産業政策学
新館 1 階
柿原 浩明(特定)(9561)kakihara
井深 陽子(特定)(9273)ibuka
分野場所
教 授
【生命科学研究科】
専攻分野・研究領域
医学部
生体システム学(薬:神経機能制御学) 医学・生命科学
総合研究棟
システム機能学(薬:生理活性制御学)
根岸 学(4547)mnegishi
本館 3 階
准教授
加藤 裕教(7687)hirokato
竹松 弘(7685)htakema
【化学研究所】
専攻分野・研究領域
教 授
精密有機合成化学(薬:精密有機合成化学)
川端 猛夫(3190)kawabata@scl
生体機能設計化学(薬:生体機能化学)
二木 史朗(3210)futaki@scl
バイオインフォマティクスセンター
(薬:統合ゲノミクス)
バイオインフォマティクスセンター
(薬:分子設計情報)
准教授
古田 巧(3191)[email protected]
五斗 進(3271)goto@kuicr
馬見塚 拓(3023)mami@kuicr
【ウイルス研究所】
専攻分野・研究領域
ウイルス制御研究領域(薬:ヒトレトロウイルス学)
教 授
准教授
松岡 雅雄(4048)mmatsuoka
【附属病院】
専攻分野・研究領域
薬剤部(薬:医療薬剤学)
教 授
松原 和夫(3577)kmatsuba@kuhp
准教授
桂 敏也(3590)tkatsura@kuhp
電話番号:075-753-(内線番号)
【関連施設・事務室】
有機微量元素分析総合研究施設(4596)
研究科長室(4508)
事務長室(4501)
総務掛(4510)
経理掛(4512)
研究推進掛(4593)
※事務室 Fax(075)753-4502
教務掛(4514)
※教務掛 Fax(075)753-9276
図書掛(4598)
※図書掛 Fax(075)761-2698
薬友会事務局(4589) 月・水・金 9:00 ~ 12:00 E-mail [email protected]
- 48 -
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伊藤 信行 教授 最終講義のご案内
伊藤信行先生には、平成 25 年 3 月 31 日をもって定年退職されることになりました。先生は昭和 46 年に京
都大学薬学部をご卒業後、同大学大学院薬学研究科に進学され、昭和 51 年に博士課程修了後、富山医科薬
科大学医学部の助手に就任されました。その後、京都産業大学助教授、京都大学薬学部助教授を経て、平成
5 年から京都大学大学院薬学研究科教授として、独立専攻薬品作用制御システム専攻の設置に伴い新設され
た遺伝子薬学分野を担当され、教育、研究の両面に多大な功績を残してこられました。先生は FGF をはじ
めとする新規な分泌性因子遺伝子の発見、その形態形成と代謝調節における役割の解明を推進してこられま
した。これらの研究業績に対し平成 19 年には「新規な細胞増殖 • 分化因子の発見とその組織形成における
役割の解明」により日本薬学会賞を受賞されました。
また、先生は平成 16 年より京都大学評議員、平成 18 年より薬学研究科副研究科長、平成 20 年より薬学部
長・薬学研究科長を歴任されるなど、薬学部・薬学研究科のみならず、京都大学の運営と発展にご尽力され
ました。さらに学外においても、日本生化学会理事、日本薬学会理事、日本薬学会監事、日本学術会議研究
連絡委員、日本学術振興会専門委員、大学基準協会大学評価委員、京都大学学術出版会理事、関西サイエン
ス・フォーム委員、日本応用酵素協会評議員等を歴任されるなど、多くの専門学協会等の発展にも貢献され
ました。
このたび先生のご退職にあたり、多年のご功績を讃え、下記のように最終講義を開催しますので、多数
ご参加下さいますようお願い申し上げます。
◆最終講義
題 目: 「新規な分泌性因子遺伝子の探索から機能解明へ」
日 時: 平成 25 年 3 月 1 日(金) 午後 3 時~4 時 30 分
場 所: 京都大学薬学部記念講堂
京都市左京区吉田下阿達町
伊藤信行教授定年退職記念事業会
実行委員長 佐治 英郎
連 絡 先 三宅 歩
〒 606-8501 京都市左京区吉田下阿達町
京都大学大学院薬学研究科
電話:075-753-4539 FAX:075-753-4600
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平成 24 年 11 月発行
発 行 所 京都大学大学院薬学研究科・薬学部・薬友会
Tel 075-753-4589
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発行責任者 佐 治 英 郎
印 刷 所 中西印刷株式会社
Tel 075-441-3155