日韓音楽関係者によるシンポジウム開催

「日韓音楽関係者によるシンポジウム開催」
テーマ:「デジタルネットワーク時代の音楽著作権の課題と展望」
~動画共有サイトと新たなコンテンツ流通を中心に~
日時:2008年3月20日(木)
15:00~18:30
会場:駐韓日本国大使館公報文化院
3階
ニューセンチュリホール
主催:駐韓日本国大使館公報文化院・財団法人音楽産業・文化振興財団
講師:日本側
韓国側
嶋谷達也氏
社団法人日本音楽著作権協会
ハン・ソグ氏
(株)アインス・デジタル
チョン・ヒョンテク氏
著作権委員会
送信部ネットワーク課課長
代表理事
著作権情報センター長
要旨 : ここ数年の音楽業界を取り巻くデジタルネットワーク時代の変化に音楽著作権はどう対
応しているのか、特にインターネット上で広く楽しまれている動画共有サイトでの課題及びス
ムーズなコンテンツ流通に向けての課金、徴収システムについて検証する。
<デジタルネットワーク時代の音楽著作権の課題と展望>
社団法人
送信部
日本音楽著作権協会(JASRAC)
ネットワーク課
嶋谷達也
JASRCの島谷と申します。本日はこのような場でお話しする機会を得まして、関係者の皆
様には大変感謝しております。
早速ですが、デジタルネットワーク時代の音楽著作権の課題と展望と題しまして、現状での
JASRACの取り組みについてご紹介いたします。本日ご紹介いたしますのはこの4つの事柄です。
まず、JASRACについて簡単にご説明し、ネットワーク上での著作権管理についてお話い
たします。次に、現状での課題として、違法サイトへの対応と動画投稿サイトへの対応につい
てお話いたします。最後に、 日本での最近のトピックとして2点ほど御紹介いたします。その2
点とは、MYUTA事件の判決と日本の権利者が共同で表明したカルチャーファーストについ
てです。
それでは、まずJASRACについて簡単にご紹介いたします。
JASRACの正式名称は社団法人日本音楽著作権協会といいます。設立は1939年で、来年は
創立70周年を迎えます。現在の信託契約者数は14,454名です。主な事業内容は著作権の管理で
すが、これについては次のスライドでもご説明いたします。
また、JASRACは各国の著作権管理団体と相互管理契約を締結してお互いのレパートリー
を管理しています。今年の1月現在で、112の団体と契約を結んでおります。もちろん、この中
には昨年12月に契約を締結しました韓国のKOMCAも含まれています。KOMCAとは単な
る相互管理契約だけでなく、パートナーシップ共同声明の調印も行っています。おそらくパー
トナーシップを結ぶというのは前例がないと思います。JASRACは今回のKOMCAとの
連携強化を大変重要なものと位置づけており、両国間および両団体の交流を推進して行こうと
考えております。
次に、JASRACの著作権管理業務の大まかな流れについてです。まず、著作者が楽曲を創
作します。作家がJASRACメンバーである場合は、作家との信託契約に基づいて自動的に
JASRAC管理楽曲となります。一般的に作家が創作した楽曲の利用・開発のプロモーショ
ンのために音楽出版者と契約します。この契約は通常著作権の譲渡契約なので、著作権そのも
のが音楽出版者に移り、その音楽出版者がJASRACメンバーであれば、その楽曲はJAS
RAC管理楽曲になります。したがって、作家がJASRACメンバーでなかったとしても、
契約した先の音楽出版会社がJASRACメンバーであれば、JASRACとしてもその著作
権を管理することができるわけです。このような仕組みはおそらく韓国も同様であると思いま
す。
それから、外国の楽曲についてですが、KOMCAを始めとする海外の著作権管理団体との相
互管理契約に基づいて管理を行っています。
次に、日本において何らかの音楽が利用される際には、その利用者より利用申請を受けて、許
諾・ライセンスを行ないます。その許諾の対価として利用料を支払っていただき、どのような
利用形態でどの楽曲がどれだけ使われたかという、利用曲目の報告に基づいて、権利者へ使用
料を分配します。
次に、日本の著作権法の権利の構成について簡単にご紹介いたします。著作権は大きく著作権
者と権利と著作隣接権の二つに分かれます。著作権者の権利はさらに、著作者人格権と財産権
としての著作権とに分かれます。著作隣接権は実演家の権利とレコード製作者の権利、および
有線放送事業者の権利に分かれます。なお、実演家の権利は実演家人格権と財産権としての許
諾権とに分かれます。著作権者も隣接権者も許諾権を持っているので、他人が使うことを許可
したり、許可しなかったりすることができます。JASRACはスライド上で赤く囲んだ部分、
つまり著作権者の財産権の部分を管理しています。
この著作権としての財産権には、利用形態ごとに様々な権利が定められています。ネットワー
ク上での音楽利用については、サーバなどへのデータ蓄積にかかる複製権とデータを配信する
際の公衆送信権の二つの権利が働くことになります。
次に、JASRACがネットワーク上の著作権管理を行う上での現在の課題についてです。一
件目は違法サイトや違法ファイル交換への対応です。これまでJASRACは違法サイトに対
して、様々な対策を取ってきました。しかし、近年は携帯電話からしかアクセスできない違法
サイトが増えています。また、WinnyやWinMX、最近ではシェア、カボスといったP
2Pソフトウェアを利用した違法ファイル交換が依然として活発に行われています。これらの
違法なサービスを放置すると、権利者が経済的に損害を受けるだけでなく、許諾を受けて正規
にビジネスを行っているコンテンツプロバイダーの経営をも圧迫することになります。
二点目の課題はインターネット上の新しいメディア、特に動画投稿共有サイトへの対応です。
韓国ではパンドラTVというサイトが人気を集めていると聞いております。日本でもUtub
eがきっかけとなり、多くの動画投稿サイトがサービスを開始しました。動画投稿サイトには
違法動画や無許諾コンテンツが多数アップロードされており、これが大きな問題となっていま
す。特にテレビ放送局が権利権を持つ多くのテレビ番組が無許諾でアップロードされており、
それらの中には当然JASRACが著作権を管理する音楽も含まれています。違法な動画は当
然排除されるべきものですが、問題はそれだけではありません。従来は動画コンテンツはプロ
が製作したものでしたが、動画投稿サイトの出現によりアマチュアが製作したコンテンツが投
稿されるようになりました。中には人気動画となって一躍脚光を浴びるといった事例も出てい
ます。このようにユーザーが製作したコンテンツ、いわゆるUCCに音楽が利用された場合の
権利処理や、UCCがビジネスの世界で利用される際にどのように著作権をコントロールする
のかといった、新しい権利処理のルール、スキーム作りが求められています。
次に、違法サイトへの対応についてご紹介します。まずは、JASRACの違法サイトへの取
り組みについてです。JASRACは2001年当初から違法サイトを監視するシステムを開発し
て運用を行ってきました。このシステムをJ-MUSEと名づけています。J-MUSEは24
時間インターネットを自動巡回して、音楽ファイルがどこにあるかを検索します。収集した結
果はデータベース化され、許諾済みのサイトと分別されます。無許諾サイトに音楽が存在する
場合、それがJASRACの管理楽曲であると確認した上で、サイト運営者にイーメールなど
で注意・警告などを行います。それでも解決しない場合は、インターネットサービスプロバイ
ダー宛に侵害防止措置を取るよう要請します。これらのJASRACの通知に基づいて削除さ
れた違法音楽ファイルは、過去27万件に上ります。しかし、違法に音楽を配信するサイトは依
然として多数存在しており、撲滅にはまだまだ程遠い状況であります。
先ほども簡単にご紹介しましたが、携帯向けの違法サイトが急増しています。また、依然とし
てWinnyなどP2Pサイトによる違法なファイル交換が活発に行われています。JASR
ACとしても至急対応しなければならない状況です。
携帯向けの違法サイトの状況について、ご説明申します。日本では携帯向けの音楽配信サービ
スは、着うたフルと言われています。CDシングルを買う代わりに、現在は着うたフルで音楽
をダウンロードするのが、主流になっています。携帯電話で音楽を買うというのが当たり前に
なっているので、同時に携帯向けの違法サイトが増えています。このスライドに示したデータ
は2007年12月に日本レコード協会が公開したものです。携帯電話のユーザーを対象に調査を
行った結果、違法と思われるサイトから音楽をダウンロードしたことがあると回答した人が3
7%も存在しました。無料で音楽をダウンロードできるサイトを知っている人も実に83%にも
上ります。
年代別に分析すると、10代の利用率が最も高く、33%に上っています。このような結果から、
主に青少年が携帯電話を使って音楽ファイルをダウンロードしているという構図が思い浮かび
ます。また、どれくらいの数の違法ファイルがダウンロードされているのかを推定したところ、
年間約4億件にも上りました。これは前年度に実施した同じ調査の結果から見て、約1億件増え
ています。ちなみに、年間4億件の違法ダウンロードをJASRACの使用料に換算すると、
約40億円の被害に相当します。JASRACの使用料だけでこの金額ですから、レコード会社
やアーチストの被害を合わせれば、より膨大な損害額になります。
次に、P2Pを利用したファイル交換ソフトの利用状況について説明します。韓国では同じく
P2Pを利用したソリバダが音楽業界と和解して有料で音楽を提供しているとお聞きしました
が、日本ではP2Pはまだまだ無許諾の状態です。このスライドの数字は日本コンピューター
ソフトウェア協会が2007年12月に公表したものです。上から順に見ていきますと、ファイル
交換ソフトの利用率は20.5%に上っています。これは過去または現在にWinnyなどのファ
イル交換ソフトを1度でも利用したことがあるという数字になります。次に、ファイル交換ソ
フトの認知度ですが、これは74%にもなります。ファイル交換ソフトを使う目的としては、1
位が音楽の無料入手で59%を占めており、2位は映画の無料入手で32%を占めています。これ
らの調査結果から、最も多く交換されているコンテンツは音楽や映画で、その全てが無許諾、
つまり違法なものということになります。ここでもどれくらいのファイル量が流通しているか
をシミュレーションしていますが、その結果 Winny で550万件となっています。これを
JASRACの使用料に換算すると、年間約50億円の被害に相当します。このように日本にお
いては、携帯向けの違法サイトとP2Pによる違法なファイル交換が突出しており、最も緊急
な課題となっております。
違法対策の最後に、業界全体としての取り組みについて申し上げます。まず一点目が青少年に
対する有害情報を掲載するサイトへのアクセス制限です。特に携帯電話が普及して以降、子供
たちが簡単に有害情報にアクセスできるようになり、様々な事件に巻き込まれるといったこと
が起きています。日本政府は携帯キャリア3社に対して、未成年は保護者の承認がない限り、
原則フィルタリングをするよう要請しました。これを受け、今年2月から実際にフィルタリン
グが実施されています。フィルタリングについては、ブラックリスト方式、ホワイトリスト方
式など様々な運用基準が考えられ、誰がどのような基準でサイトにマルバツをつけるのかいま
だに議論があります。いずれにしても、違法な音楽ダウンロードサイトはフィルタリングの対
象になります。サイト運営者はサイトの中に違法ファイルや有害情報がないかどうか、自主的
にパトロールして削除しなければ、フィルタリングの対象になってしまいます。フィルタリン
グの対象になれば、サイトの広告料収入にも影響を与える可能性がありますので、サイト運営
そのものの転換を強いられることにもなります。
二点目は権利者によるキャンペーンや啓蒙活動です。JASRACと日本レコード協会は共同
でリスペクトアワーミュージックというキャンペーンを実施しています。このキャンペーンで
は音楽の違法コピー、違法アップロードを防止し、音楽の創造サイクルを守ることの大切さを
アピールしています。
3件目は広告業界の取り組みです。携帯電話のフィルタリングの実施を受けて、広告業界とし
て独自の取り組みを始めています。どんなに大勢の人が集まるサイトであっても、ここに有害
情報や違法ファイルが存在すれば、そこに広告を出している広告会社の見識が問われることに
なります。インターネット上で広告業に携わる会社が集まって健全な業界と適切なビジネス環
境を構築しようと努力しています。ネットワークの違法利用に対して、各業界で様々な取り組
みが行われるようになりました。ようやく有害情報や違法コンテンツを前提としたモデルは、
適正なビジネスとして成立しないという環境ができつつあります。しかしながら、違法サイト
はいつの時代にも完全になくなるということはありません。違法サイトへの対応は効率的に行
う必要があります。つまり、各権利者がそれぞれ対応するのではなく、一元化、集中化して対
応する必要があります。韓国では著作権保護センターという組織を設立し、一元的に違法対策
を行っていると伺っております。このような取り組みは非常に有効だと思われますので、その
成果についても注目していきたいと思っております。
次の話題です。
動画投稿共有サイトへの対応についてご説明します。まず、簡単に主な動画投稿サイトをご紹
介します。御存知の通り、You
Tubeはアメリカのサービスで、動画投稿サイトでは最
大手です。2006年にグーグル社が買収し、今ではグーグルのサービスの中で相当力が入れられ
ていると伺っております。日本における月間利用者数は1,591万人で、利用者数はナンバー1で
す。ユーザー1人当たりの利用時間は59分です。ちなみに、You
Tubeには1分間で11
時間分の動画が投稿されると言われています。
ニコニコ動画は日本で最も人気のある動画投稿サイトです。動画を見た人が動画の画面上にコ
メントを書き込めるというのが、最大の特徴です。書き込んだコメントは動画にオーバレイし
て一緒に再生されますので、不特定多数の人がその動画に対するコメントを共有することがで
きます。ニコニコ動画の月間利用者数は447万人で、 You
Tubeと比較すると3分の1以
下ですが、ユーザー1人当たりの利用時間は動画投稿サイト中ナンバー1の3時間30分で、他の
サイトを大きく引き離しています。
次に、動画投稿サイトの仕組みとその問題点です。韓国でもテレビ番組の投稿を巡って、パン
ドラTVとテレビ放送局の間で争いがあったと聞いております。日本でも同様に、多くのテレ
ビ番組、アニメや映画などが無許諾で動画投稿サイトにアップロードされており、大きな問題
となっています。テレビ番組など無許諾のコンテンツが投稿された場合、多くの動画投稿サイ
トは自主的にそれを削除しています。しかし、自動的に違法動画を識別する手段は確立されて
いないので、人間が目で見て判断するという方法に頼らざるを得ません。
もうひとつの問題として、ユーザが製作した動画コンテンツの取り扱いの問題があります。個
人が製作した動画に既成の音楽や音源を使用した場合の権利処理を誰が行うか、という問題で
す。それぞれのユーザが個別に権利処理を行うのは、効率的ではありません。さらには、ユー
ザが製作した動画コンテンツが非常に優れていた場合、それを別のビジネスに生かす際のルー
ル作りも課題となっています。
動画投稿サイトに対するJASRACの基本的な考え方をご説明します。動画投稿サイトは当
初多くの無許諾コンテンツが違法投稿される違法サイトとして見られていました。しかし、映
像クリエーターたちに世界に向けて自作を発表する場を提供し、インセンティブを与えている
のは間違いありません。したがって、JASRACは適正に投稿された動画運用サイトには音
楽利用の許諾を与え、利用の促進を図ることとしました。そして昨年の7月に利用許諾の条件
を公表しました。まず、動画投稿サイトの利用主体はサイトの運営者であることと、運営者が
契約当事者としてサイト全体の利用責任を負うことを基本としました。さらに、他の権利者の
権利を侵害している違法コンテンツを排除して権利侵害を防止することや、利用された楽曲と
その視聴回数を報告することを許諾の前提としました。許諾の範囲については、ユーザが投稿
する動画に音楽を利用する際の複製の権利についても、許諾の範囲に含めることとしました。
これは先ほど触れました通り、個々のユーザが複製処理を行うのはとても非効率なので、サイ
トの運営者にその部分の権利処理も担わせるということです。なお、海外の楽曲については、
一部シンクロ処理の問題もありますので、現段階では日本国内の楽曲に限定しています。この
新たな枠組みに基づいて、JASRACは既にいくつかの動画投稿サイトに許諾を出していま
す。
次に参考資料として、動画投稿サイトに対する日本政府の考え方をご紹介します。日本政府が
設置した知的財産戦略本部というものがあります。その知的財産戦略本部が取りまとめたレポ
ートの中にコンテンツ共有サービスの適法化の推進が盛り込まれています。具体的には、権利
者へ適切に利益が還元されるよう、動画投稿サイトの運営者と権利者との包括的な契約を促進
するというものです。またフィルタリングなどの技術的手段を用いて違法コンテンツを排除す
ることや、事業者の法的責任を明確化することも提案されています。それから、誰もがコンテ
ンツを創作し発表する1億総クリエーター時代が到来したことを受け、創作活動を支援するこ
とも盛り込まれました。このように新たに登場した動画投稿サイトに対して、コンテンツ振興
と流通促進のため、官民で取り組んでいるところです。
次は、先ほどご紹介しましたYOU
TUBE、ニコニコ動画との協議の状況についてです。
両サービスともにJASRACの提示した許諾の前提について了解いただき、暫定合意に向け
て協議を行っているところです。 YOU
TUBEは昨年の10月にビデオIDという映像フ
ィンガープリンターを利用したツールをコンテツホルダーに提供しています。ビデオIDを使
えば動画を削除する、視聴状況を把握する、広告をつけて収入を得るといったことを選択する
ことができると聞いています。日本においても多くのコンテツホルダーがパートナーシップ契
約を結んでおります。しかし、パートナーシップ契約を結ばない権利者の権利侵害動画をどの
ようなスキームで排除していくのかが今後の課題です。
一方のニコニコ動画は現段階では人の手で有害動画や違法動画を監視して削除しています。並
行して、フィンガープリンターなどの技術手段を用いて音声や動画を識別することを検討して
いるといいます。ニコニコ動画は非常に熱心なユーザが多いことが特徴で、独自のコミュニテ
ィーを築いています。また、誰かがアップロードした動画を誰かが手を加えてコンテンツをど
んどんブラッシュアップしていくという特徴があります。このように著作物に手を加えて2次
利用、3次利用していくことが既存のルールの中でどのように評価されるのか、それとも新た
なルールが必要なのかが、大きな検討課題となっています。
最後の話題になります。日本での最近のトピックを2点ほどご紹介します。
まず、一点目はMYUTA事件の判決についてです。まず、MYUTAのサービスについて簡
単にご説明します。MYUTAはイメージシティ株式会社が運営していた携帯電話向けのスト
ーレジサービスです。会員はCDなどからリッピングした音楽データを、MYUTAのサーバ
にアップロードします。データはサーバにアップロードされる時点で、携帯電話用のファイル
形式に変換されます。次に会員は自分の携帯電話を使ってMYUTAサーバにアクセスし、ア
ップロードしておいた音楽データをダウンロードします。会員はいつでもどこでも好みの音楽
を聴ける、というのがこのサービスの特徴です。イメージシティ社はこのサービスには著作権
に基づく差し止め請求権が及ばないことを確認するため、JASRACを被告として訴えたと
いうのが、同事件の概要です。この事件で争われたのは、一言で申し上げますと、音楽データ
の複製や公衆送信を行っている行為の主体者は誰かということでした。まず、原告であるイメ
ージシティ社は次のように主張しました。複製や自動公衆送信の行為はユーザ個人が行ってい
るものであって、著作権法上の私的複製に該当するというものです。
一方、被告であるJASRACの主張は、このMYUTAには複製権や公衆送信権が及び、か
つ著作権物の利用主体はサービスを提供している事業者であるというものです。判決は東京地
Z方裁判所が昨年2007年5月に出しました。高裁への控訴がなかったので、この裁判は確定し
ています。結果はスライドに記載している通り、JASRACの主張が認められました。複製
と公衆送信の主体は事業者であり、JASRACの持つ差し止め請求権が及ぶというものでし
た。この判決はユーザに著作物をアップロードできるシステムを提供するというサービスにつ
いても、その事業者にその著作物の利用主体としての責任が及ぶということを明確に示しまし
た。JASRACとしてはこれを高く評価しています。
最後のトピックの2点目としまして、カルチャーファースト、はじめに文化ありきという権利
者による活動についてご紹介します。もともとはヨーロッパにあるカルチャーファースト連合
による私的録音・録画制度に関する活動が原点です。日本でもこれを参考にして、権利者の結
束の旗印として行動理念を固めました。これが日本版カルチャーファーストです。昨今はイン
ターネットやハードウェアの技術が発展し、コンテンツの流通拡大ばかりが優先されています。
その結果、作品やコンテンツなどの創作物を単なるものとしか見ない風潮があります。これに
異議を唱えたのがカルチャーファーストです。カルチャーファーストの中では三つの行動理念
を掲げています。内容につきましてはスライドに記載した通りです。(第一は、文化の振興こそ
が真の知財立国を実現する。第二は、経済の発展や情報社会の拡大を目的とする提案・計画は
文化の担い手を犠牲にして進められてはならない。第三は、経済発展を支えるのは製品だけで
はなく、作品やコンテンツの豊かさと多様性である。) 以上になります。お話ししました範囲
が大変広がったので、あまり詳しく説明できなかったかも知れませんが、日本におけるネット
ワーク上の著作権管理の概要と課題についてお話しました。
<韓国デジタル音源市場の流通構造および清算プロセス>
(株)アインス・デジタル代表理事
ハン・ソグ
本日はこのような場でお話しする機会を頂きまして、誠にありがとうございます。短い時間で
はありますが、本日のこの場が皆様にとって、韓国の音楽デジタル市場における流通の流れを
理解する良い機会になることを願っております。
本日はまず韓国のデジタル音楽市場の現況、第二に韓国の音楽産業の流通構造、第三にアイン
スデジタルの音源流通過程、第四に韓国デジタル音楽市場の問題点および改善方法、最後に簡
単に我が社についてご紹介したいと思います。
まず、韓国のデジタル音楽市場についてご紹介します。ご覧になっている画面はここ5年間の音
楽市場を簡単に示したものです。全体的に音楽市場はここ5年間成長を続けています。但し、そ
の内訳を見ると、棒グラフの左端がオフラインレコード市場を示していますが、市場が縮小し
続けてます。二番目の青色部分はモバイル市場を示していますが、2005年をピークに市場が停
滞しています。右端は待ちうたや着メロを含むモバイル市場やストリーミング、ダウンロード
などのオンライン市場を示していますが、この市場は拡大し続けています。オンライン市場に
ついては、政府の様々な取り組みや音楽の有料化に対するユーザの認識拡大により、今後も成
長を続けるものと見込まれています。
では、次に韓国の音楽産業の流通構造についてご紹介します。
従来のレコード市場ではプロダクションが製作したアルバムがレコード会社、卸売り会社、音
盤売り場などを通じて消費者に届けられる一方、デジタル音楽流通では、プロダクションが製
作したアルバムが音源流通業者を通じて、そしてモバイルサービスプロバイダー、オンライン
サービスプロバイダーを通じて消費者に届けられており、オフライン市場より単純な構造を有
しています。
このスライドでは、各サービス別の収益配分割合についてご紹介します。
従来のレコード市場では、作曲者、作詞家、実演者を含むプロダクションへの配分割合が消費
者価格の約40%で、レコード流通業者への配分割合は約15~20%、卸売り業者へ配分割合は10
~15%、小売業者への配分割合が約30%となっている一方、モバイル市場では作曲者、作詞家
が9%、実演者が4.5%、企画会社が25%、CPが22%、携帯キャリアなどが40%となっていま
す。オンライン市場の場合、作曲者・作詞家が5~9%、実演者が2.5~4.5%、企画会社/音源
流通者が30~40%、そしてオンラインサービスプロバイダー(Bugs、ソリバダ、Melon、
Mnetなど)が46.5~62.5%の収益配分を受けています。このように収益配分が異なっている
のは、オンラインサービスの中でダウンロードサービスの場合はサービス会社のコストが低い
ため、約46.5%という相対的に低い料率が適用されています。ストリーミングサービスの場合、
サービスプロバイダーのコスト、例えばトラフィックがあるため、収益配分割合がより高いと
いえます。
次は、音源流通プロセスについて、より詳細に我が社の例を挙げて、ご紹介します。
プロダクションが新規の音源やレコードを発売すると、音源流通業者(アインスデジタルは音源
流通を手掛けています)に音源発売に関する公示を行ないます。音源流通業者はサービスプロバ
イダー、すなわちモバイルサービスやオンラインサービスを提供している会社に、権利登録お
よびDB生成管理、新規音源の公示を行なうことで、音源および資料を伝達する過程が発生し
ます。サービスプロバイダーはこの音源を消費者に提供します。消費者はその音源を聴いたり、
ダウンロードする代わりに、お金を支払います。サービスプロバイダーは消費者より支払われ
たお金で、まず音源流通業者に精算します。このとき、各サービスプロバイダーのサービス別、
音盤別金額が音源流通業者に支払われます。そして、音源流通業者はサービスプロバイダーよ
り提供された精算資料を基に、数多くのプロダクションに各アルバム別、トラック別の統計資
料を整理して渡します。
ここで最も重要なのが、5番と6番のサービス会社より受け取る精算と流通業者がプロダクショ
ンに提供する統計資料です。この部分が精算データに該当するので、この部分につきましては
我が社の例を挙げてより詳しく説明いたします。
ご覧になっているページは、毎月各プロバイダーが上げた売上高であり、これは12月末に作成
されます。音源流通業者がサービスプロバイダーから毎月受け取る金額がこの表に示されるこ
とから、この表を基により詳細な精算データを整理します。我が社の場合はサービスプロバイ
ダー1番(SP1)をクリックすると、同社のサービスが全て表示されます。
では次のページに移ります。先ほどのサービスプロバイダー1番の全てのサービスが表示されて
います。そして、各サービス別に月別売上金額が表示されています。例えば、12月のメロンダ
ウンロードというサービス金額をクリックすると、12月のメロンダウンロードのトラック別の
詳細内訳を表示する画面に移ります。これは、以前のページでメロンダウンロードという部分
をクリックしたときに、該当のサービス内で売上が発生したトラック別の詳細な内訳が表示さ
れた画面です。我が社はサービスプロバイダーのトラックコードを基準に全ての精算資料を受
け取っており、サービスプロバイダーのトラックコードとマッチングする我が社のコードが一
致するときに、音盤名やアーチスト名、原盤社名、利用数値、精算料率、生産金額が表示され
ます。次のページは、サービスプロバイダーから精算資料を受け取ったとき、誤りが発生する
場合がありますが、それを表しています。第一番目の場合は、我が社のコードにマッチングす
るトラックが表示されなくなった場合です。この場合はトラックコードに誤りがある可能性が
高いといえます。二番目は我が社のサービスコードとマッチングするトラックはあるものの、
権利側に誤りがあるとなっており、これは、我が社が流通する権利を有していないとの誤りが
発生していることを意味します。我が社が運営している生産システムは、このように数多くの
コードに伴う誤りを検知できる仕組みを有しています。サービスプロバイダーから受け取った
精算資料をわが社の生産システムに回したときに、先ほどご覧になりました画面が表示されま
す。そして、これはプロダクション、すなわち音盤社に分配する金額を、プロダクション別に
詳細な内訳を表示する画面です。プロダクションの月別精算金額を一目で見ることのできるペ
ージです。すなわち、あるプロダクションが我が社に流通を依頼したとき、そのプロダクショ
ンの月別売上金額を一目で見ることができます。合計4つのサービスがありますが、我が社が直
接サービスを提供しているのは、第一番目のサービスです。我が社がASPを行なう項目は二
番目に表示され、有線上の流通、有線上の中継を行なう部分が三番目に表示され、無線サービ
スプロバイダーに流通する部分が四番目にあり、音盤に対する売上も表示されます。そして、
プロダクションはこのページを通じて12カ月に発生した売上を検証することができます。有線
と無線、カテゴリー別に金額が表示されており、どのサービスでどれくらいの売上があったか
を知ることができます。全ての画面はあるアルバムとトラックを検索語として入力することで、
アルバム別、トラック別にも精算金額が表示されます。
同ページはプロダクションの精算金額をサービスプロバイダー別に見ることのできるページで
す。例えば、スタムという会社はサービスプロバイダー1ではこの売上が発生し、サービスプロ
バイダー2ではこの売上が発生したなど、サービスプロバイダー別に発生した売上を表示してい
ます。さらに、スタムのアルバムやトラックをより詳細に入力すれば、アルバム別、トラック
別検索も可能な画面です。このページの場合、検索ボタンによって、サービス全体、アインス
が行なうサービス、MSPAサービス、中継サービス、全体のアルバム別、トラック別に詳細
な内訳が表示される全体の内訳表示画面です。このようにして、各製作会社、プロダクション
は自分たちが発売したアルバムがどのサービスでいくらで販売されたか、そしてどのアルバム
がどれだけの売上を上げたのかを、一目で見ることができます。
アインスの精算システムはMCMSシステムと呼ばれますが、これはMusic
nts
Management
Conte
Systemの略語です。同システムを開発した目的は、契
約締結から精算分配、売上管理までをワンストップで行なうことのできるシステムを構築する
ことでした。同システムの基本的な特徴は、お手元の資料をご参照ください。同システムにつ
いて、アインスが最も高く評価しているのは、サービスプロバイダーと我が社とのトラックI
Dとログの連動を通じて、精算収集や分配の自動化を実現したことで、迅速で正確な精算が可
能になったということです。
では、次に韓国のデジタル音楽市場の問題点および改善方向について、説明いたします。
まず、現在韓国では著作権、実演権、著作隣接権に関する標準化されたデータベースはないと
いえます。著作権につきましては、韓国音楽著作権協会(KOMCA)が信託管理を行なってい
ますが、現在作曲家、作詞家の標準化されたDBを構築中であると伺っております。現在はサ
ービス会社の音源DBで信託音源と未信託音源を区分することが不可能で、著作権協会の音源
管理比率を適用して精算しています。実演者団体も同様に、韓国芸術実演者団体連合会で信託
管理を行なっています。標準化されたDBの不在や信託率の低さについては、改善すべきであ
ると思います。
また、著作隣接権者につきましては、韓国音源製作者協会で一部の曲について信託管理を行な
っていますが、多くの個別製作者が隣接権を直接管理するため、標準化された音源コードがあ
りません。今後、このような部分につきましては、著作権委員会で標準DBおよび著作権管理
情報体系の構築にぜひ取り組んでいただきたいと思います。
また、モバイルサービスの場合は、収益配分割合で若干触れましたが、流通段階の非効率さに
より、音盤社に比べてサービスプロバイダーの収益部分が過剰に配分されており、音盤社やプ
ロダクションが継続的に改善を求めているのが現状です。先ほどJASRACの島崎様がおっ
しゃったように、日本でもP2PやUtubeによる違法サービスに対応して多くの政策が打
ち出されていますが、韓国も違法サービスによる市場の混乱が続いています。このような状況
について、簡単に申し上げますと、オンライン音楽サービスは2000年初めにソリバダ、Bug
s
Music、MaxMP3などが主導になって開始されましたが、著作権者の許諾なしに
違法で無料提供され、実際のオンライン市場が形成されたのは2003年のMaxMP3の有料化
の開始とJukeon、Melon、Bugs、Dosiracなどの有料市場への進出が行
なわれた時期であり、それを経て、現在のような音楽市場が形成されました。
それでは大手サイトの最近の変化について、より詳しく説明いたしします。
Bugsは1999年10月に、Bugs(www.bugs.co.kr)音楽サイトを通じて無料サービスを開始
しました。さらに、2005年10月に違法利用について製作会社および信託団体と協議し、合法的
なサービスを開始しました。2007年12月には韓国最大手のゲームポータル事業体であるネオイ
ズ(NEOWIZ)によって買収され、ネオイズがBugsの筆頭株主となり、韓国のデジタル
音楽市場をリードするために努力しています。
ソリバダは2005年5月に違法のP2Pサービスを開始し、2006年7月に一部の製作会社および信
託団体と協議して有料サービスを開始しましたが、2007年10月の裁判所のソリバダ5に対するサ
ービス停止の判決により、権利者からサービス停止要請を受けた音源に対して、サービスを提
供できなくなりました。しかし、2007年12月にソリバダ6をオープンし、権利者のサービス停止
要請のない音源に対してのみサービスを提供しています。2008年2月には文化体育観光部がDR
Mのない音源サービスに対して、3つの信託団体の徴収規定改正案を承認することで、合法的な
サービスへと一歩進んだ状況であります。
しかし、検索ポータルのカフェやブログを通じて、違法ダウンロードやストリーミング、その
他のウェブハードでの違法ダウンロード行為がまだ数多く行われているため、著作権保護セン
ターや様々な団体を通じて継続的な取締りが行なわれなければなりません。
最後に、我が社について簡単に紹介いたします。
アインスは2002年6月に設立され、2007年12月末現在、資本金が51億6000万ウォン、自己資本が
106億9000万ウォンに上る、規模はそれほど大きくない会社であります。2007年度の売上は115
億ウォンに上り、2008年度にはBugs
Musicを買収したことから、270億ウォン程度の
売上を期待しております。
さらに、2003年にJUKE
ONサービスを業界で初めて開始したことで、音楽市場で初めて
合法的な有料サービスが開始されました。2007年12月には韓国最大手の音楽ポータルサイトで
ある「Bugs」を買収しました。2008年2月には日本のビクター社のJVC
Entertai
nment
Koreaと契約を締結し、日本のビクターエンターテインメントの音源や日本
の多数の音源に対して韓国での流通契約を締結しました。これは、日本の音源の韓国でのサー
ビスがより活性化する一つの契機になると思っております。これを持って、発表を終わらせて
いただきます。
<デジタル著作権取引所の構築方策>
著作権委員会
著作権情報センター長
チョン・ヒョンテク
私は本日のこの発表を通じて、皆様に韓国政府が考えているデジタル著作権取引所の概念につ
いてご理解いただき、また、韓国のデジタル音源が流通する過程で政府側ではどのようなこと
が起きているのかについてご理解いただければと思います。
本格的な発表を行なう前に、先週金曜日に韓国の文化体育観光部が大統領に業務報告を行ない
ました。これまで文化体育観光部が大統領に業務報告を行なったときに、最も重視されたのは
文化芸術部門でした。しかし、今回新政権が発足してからは、第一番目にコンテンツ産業が報
告されることになりました。これまで文化体育観光部において、コンテンツ産業は優先順位か
ら外されていましたが、これからは最も重視されるということです。コンテンツ産業の中で見
ると、かつてコンテンツ産業で第一の課題となっていたのは創作力量の強化でした。今回の大
統領報告では著作権保護部門が政策部門の次に言及されました。コンテンツ産業で著作権分野
が重視され始めたということを理解するのは、今後5年間の文化体育観光部のあり方を理解す
る上で大きく役立つものと思います。
こうしたことから、本日は著作権にかかわる環境をどう構築していくかについて発表させてい
ただきます。デジタル著作権取引所の設立目的、ビジョンと目標、デジタル著作権取引所の構
成、主要機能、システムの構成および運営体系、今後の推進日程の順で発表させていただきま
す。
設立目的は設立目的であると同時に、設立根拠でもあります。デジタル著作権取引所は任意で
作れるものではありません。昨年6月29日に改正された著作権法によると、著作権委員会に著
作権情報センターを設け、著作権情報センター内には技術委員会と著作権取引所を設けなけれ
ばならないと定められています。すなわち、著作権取引所の設立が法で定められているのであ
ります。
技術委員会では技術的保護措置および権利管理情報に関する政策を策定します。現在、技術委
員会では韓国の文化コンテンツ産業の主要機関、韓国文化コンテンツ振興院、映画振興委員会、
ゲーム産業振興院、放送映像産業振興院などの機関長が委員となっています。これらの委員と
文化観光部の局長などが一堂に会して、技術的保護措置および権利管理情報に関する政策を策
定するようになっています。これがおそらく、著作権の取引および流通について、基本的ガイ
ドラインを作り上げる協議体になると見られます。
一方、著作権取引所は著作権情報の提供などに向けたシステムの構築および運営を担いますが、
これは今後韓国のデジタル著作権の取引において、根本的なベースになると見られます。
このように法で定められた著作権取引所というものが存在しますが、これをよりよく理解する
には、設立の目的を理解する必要があると思います。設立の第一の目的は、著作権産業の著作
権情報を統合するということです。先ほどアインスデジタルのハン代表がご指摘されたように、
著作権について体系的に統合された情報があるということは非常に大事です。取引のためにも
重要であり、取引以後の精算分配のためにも重要です。
著作権産業におきましては、著作権情報を統合するに当たり、業界全体が利用できる著作権情
報体系を作り上げたいとの思いがありました。しかし、文化体育観光部ではCOIという識別
体系を作り上げようとした一方、情報通信部ではUCIという識別体系を作ろうとしました。
この二つが競合を繰り広げた結果、情報通信部のUCIに軍配が上がり、著作権産業にとって
は不利な状況となりました。しかし、情報通信部が廃止されたため、その問題が解決され、今
は文化体育観光部中心の著作権情報統合化が実現する可能性が高くなりました。これが今の状
況でありますが、結局最も重要なのは市場がどれを受け入れるかであると思います。すなわち、
市場で活用されるかどうかが非常に重要であり、著作権取引所はこれがうまく活用されるよう
に環境を整備するという機能を有しています。
第二の著作権取引所の目的は、著作権利用のワンストップサービスです。音楽を利用するには、
作詞家、作曲家、実演者、製作者から全て権利の許諾を受けなければなりません。しかし、こ
れは決して容易なことではありません。そのため、著作権利用者が簡単に著作権物を利用でき
るよう、ワンストップサービスを構築しようとしています。
第三の目的は、著作権情報産業のインフラを輸出するということです。世界でデジタル著作権
取引所というコンセプトが確立されている国はひとつもありません。韓国が初めて試みたこと
であります。オンラインゲームにつきましても、韓国ほど法制度が充実している国は他にあり
ません。韓国の50、60年代の法は、主に日本のものを参考にして作られました。しかし、オン
ラインゲームに関わる法につきましては、中国が韓国のものを参考にしています。韓国が世界
で最も先行している分野のひとつが、デジタル環境における制度およびシステムということが
できます。2008年2月にソリバダが大きな問題となり、徴収料規定が作られましたが、このよう
なP2Pサービスに対して、徴収料規定を作り、これを合法化したのも韓国が初めてです。こ
のような部分について、著作権取引所というシステムを作れば、そのシステムそのものをひと
つの商品として海外に輸出することができます。これにつきましては、輸出そのものが重要な
のではなく、韓国の著作権者、コンテンツプロバイダーにとって馴染み深いシステムが海外に
もあるということは、韓国にとって非常に有利なことになります。万一、中国や東南アジアで
音源を販売しようする際、そこでも韓国と同様のシステムが採用されているとすれば、非常に
便利であることでしょう。アメリカの人々が世界各国で英語でコミュニケーションできること
で多くのメリットを享受しているように、このこともそのようなメリットを享受できるという
ことです。これがデジタル著作権取引所のひとつの夢でもあります。著作権取引所の中核業務
については、後にご紹介いたします。
先ほども法的根拠や目的についてご紹介いたしましたが、まだ理解できない部分が多いものと
思います。デジタル著作権取引所というのは、証券取引所のコンセプトを取り入れて作りまし
た。証券取引所では株式の取引が行なわれません。株式の売買を行なうところは証券会社であ
り、証券取引所ではありません。デジタル著作権取引所を作るということは、情報を収集し、
全体のシステムで総括するということであり、それぞれの取引や売買は音楽著作権集中管理団
体や言文著作権集中管理団体、映像著作権集中管理団体などで行なわれます。音楽著作権集中
管理団体で行なわれる全ての取引の情報が、デジタル著作権取引所で統合されるということで
すが、これが実現すると、新しいシナジー効果が生み出されます。これには二つのメリットが
あります。これまで音楽著作権を流通させる人は、音楽著作権のみを使用する場合がほとんど
でした。しかし、デジタル著作権取引所が設立されると、映像を製作する人が音楽をともに活
用できるというシナジー効果が発生します。言文側にいる人々が音楽を活用するのに慣れるよ
うになり、これが分配システムにまでつながり、取引が発生するというのが著作権取引所のメ
リットのひとつです。すなわち、ほかの分野が統合されシナジー効果が生まれるということで
す。
二つ目のメリットは証券取引所のコスピー指数のような指数が出るということです。現在、言
文や映像、音楽に投資が行なわれない理由のひとつは、データがないため投資家が市場を信頼
することができないということです。しかし、デジタル著作権取引所でコスピー指数のような
指数が公表されれば、またこの指数を通じて市場の変動または流れを読むことができれば、こ
れは文化コンテンツ産業や著作権産業に新しくかつ安定的な投資を誘致できる根拠になれると
思います。
デジタル著作権取引所は6つの大きな機能を有しています。そのうち5つは情報管理であり、最
後はコールセンターの運用です。第一の機能は著作権権利情報管理ですが、これの残りの機能
の最もベースになる機能です。これは著作権の正確なデータを入力するということであり、次
の統合ライセンス情報管理と著作権認証情報管理の二つが、最も取引所の概念に合った部分で
あります。ライセンスと認証が取引を可能にします。証券取引所には違法株式追跡システムが
必要ありませんが、著作権取引所には違法コンテンツの流通管理が必要であり、自由利用著作
権情報管理も必要です。
これをまとめますと、著作権権利情報管理とは最も基本となる著作権に関するデータを生成す
ることであり、その下にある統合ライセンス情報管理と著作権認証情報管理とは取引に最も必
要な管理で、違法コンテンツ流通情報管理と自由利用著作権情報管理は著作権に関連して発生
し得る独特な情報の管理を意味し、最後のコールセンター運営管理は残りの情報管理とは全く
異なる概念だということができます。
それでは、システムの構成およびその運営体系について、より詳しく説明いたします。音楽関
係者の方が多く参加されましたので、音楽を例に挙げたいと思います。我々が今最も重点を置
いているのは、著作権者を中心とする識別体系を作ることです。1次著作権管理番号はKOMC
Aから提供される作詞家・作曲家の管理番号が最もベースになるでしょう。これを基準に分配
まで活用できるデータを作り上げるということです。第2番目の2次著作権管理番号には製作者、
実演者の管理番号が入ります。最後に、第3番目の3次著作権管理番号にはBugsやソリバダ
などのサービス事業者の管理番号が入りますが、このような番号を利用すると、関連団体およ
び事業者間で互換性を確保することができ、それぞれ独自のデータを作ることで発生する問題
を乗り越えられるというのが、著作権管理情報管理の第一の背景となっています。
ライセンス情報管理とは、あるコンテンツに対して、ある権利者と利用者が期間を定めてどの
用途でどう使用するかについて契約を締結した場合、それに関する情報の管理を行なうという
ことです。このような情報が極めて重要なのは、ライセンス情報管理に入っていない情報は、
違法で流通しているということになるからです。ライセンス情報管理が整備されると、これは
究極的に違法で流通するコンテンツを取り締まることのできる根拠となります。これは、同時
に著作権隣接権者や音楽著作権者、利用許可DB、使用内訳DBのようなライセンス情報管理
システム全体と音楽統合ライセンスシステム、言文統合ライセンスシステムなどの統合管理シ
ステムを結ぶ役割を果たしています。ライセンス統合管理システムは来月に完了します。これ
は当初2月に完了する予定でしたが、内容が見直されたため、4月に統合管理システムが完了す
ることになりました。このように、デジタル著作権取引所を構築できる環境が整備されつつあ
るのです。
ライセンスが著作権者とユーザとの関係に関するものだとすれば、認証情報管理はエンドユー
ザに関するものです。ユーザが提供しているものをエンドユーザが使用するときに、エンドユ
ーザがそれが著作権許可がなされたものであるかどうかを確認できるシステムであります。例
えば、Bugs
Musicやソリバダで音楽をダウンロードするときに、この音楽が権利問
題が解決されたものであるかどうかを確認することができます。昨年11月に高校生1人が自殺し
ましたが、もちろん彼が違法であることを知っていながら使用したならば、問題となったので
しょうが、著作権認証問題を明確に知ることのできるシステムが定着していたなら、このよう
なことを回避することができたのではないかと思います。
次は、違法コンテンツ流通情報管理に関する内容です。違法コンテンツにつきましては、今著
作権保護センターで検索システムを通じて一つ一つ摘発していますが、そう簡単な作業ではあ
りません。アップロードされている著作物について、違法であるかどうかを確認する作業はシ
ステムではなく、手作業で行われるからです。現在月に約100万件摘発されていますが、これら
の作業は全て手動で行なわれます。そのため、これを半自動で行なえるシステムを構築しよう
としています。同作業には今年初めに取り組み始めており、5、6カ月後には構築が完了すると
見られます。
また、デジタル著作権取引所は自由利用著作権情報管理を追加する予定です。これは著作者の
死後50、70年が過ぎて権利が満了し誰もが利用できるようになった著作物や、著作権者が自ら
お金を支払わなくても他の人が利用できるよう寄贈した著作物について情報を提供することで、
多くの人がお金を支払わなくても良いコンテンツを利用できるようにするシステムです。
我々がまた重視しているのが、コールセンターの運用です。現在のような知識社会では情報が
集中するということは、権力が集中するということを意味します。デジタル著作権取引所も情
報が収集されるところであるため、ある意味では権力機関になる蓋然性もあるといえます。し
かし、我々は、デジタル著作権取引所は一般人に、またユーザにサービスを提供するところで
なければならないと思っております。そしてその象徴的な意味がコールセンターにあると思い
ます。さらに、来訪、電話、郵便、インターネットを通じて継続的に情報を提供することにな
りますが、デジタル著作権取引所がこのような機能を担うということは、我々がサービスを提
供する意思を有していることを意味すると思います。
ご覧の通り、著作権権利情報管理や著作権ライセンス情報管理は2007年から始まり、今はほぼ
完了の段階を迎えています。そして、自由利用著作権情報管理の構築もほぼ完了しています。
そして、2008年に違法コンテンツ流通情報管理や著作権認証情報管理が完了すれば、2008年の
下半期にはデジタル著作権取引所がオープンする予定です。大統領に報告する時も、2008年第4
四半期にオープンすることを前提に報告したため、それまで完了する可能性が非常に高いです。
そして、コールセンターが運営される2009年頃には、著作権取引所が一般的に活用される段階
になると予想されます。さらに、2011年頃にはデジタル著作権取引所のシステムが海外にも輸
出できるのではないかと思います。
次に、オンライン取締り現況とオフライン取締り現況について、ご紹介致します。
これは昨年度に著作権保護センターで取締りを行なった内容です。音楽が最も大きな割合を占
めています。ここで「件」というのは違法取締りを行なった場所であり、「点」というのはそこに
あるコンテンツ数を示しています。件数では映像が最も多く、点では音楽が最も大きな割合を
占めています。オフライン取締りの場合は、ソウルと光州(クァンジュ)、大邱(テグ)にオフラ
イン取締り班があります。これはこの取締り班が行なっている取締り状況です。
最後に、一言申し上げますと、情報通信部が廃止されたことから、情報通信部傘下にあるコン
ピュータープログラム委員会が著作委員会と統合される予定です。コンピュータープログラム
委員会は司法権、すなわち警察権を有しているため、この二カ所が統合されれば、皆様の著作
権を保護・管理する上で大きく役立つものと期待しています。これを持って、講義を終わらせ
ていただきます。
<質疑応答>
1.質問
LKミュージックのイ・グァンジョルと申します。地球レコードで24年間務めたことがあり、
EMIコリアで約10年間働いた経験があります。著作権委員会のチョン・ヒョンテクセンター
長にご質問します。私の知る限りでは、COIは文件委員会で来月完了すると伺っております。
それには作曲家、作詞家の全ての情報が盛り込まれていると伺っております。李明博政権が発
足してから、市場原理を重視し、効率と実用を政策方向として打ち出していますが、私が思う
には著作権委員会と音楽コンテンツ振興院の業務が著作権協会や音盤協会と重複している部分
が多いと思います。政府でよいアイデアがあれば、政府が著作権協会を教育させて、著作権情
報管理やライセンス情報管理を行なわせることがより効率も高く、市場原理によってパブリッ
シングビジネスの発展をもたらすことができると思いますが、どうお考えですか。
さらに、文化振興院の場合も業界を支援することがパブリッシングビジネスの発展につながる
と思いますが、どうお考えですか。
回答
一つ目の質問については、業界で行なえるものは業界で行なえるよう、なるべく多くの機会を
与えてほしいとのことでしたが、全くその通りだと思います。それで、そのように行なってお
ります。正確に伝わらなかったも知れませんが、デジタル著作権取引所が中央にあり、実質的
に取引が発生するライセンス統合管理システムを運営するのは、業界団体であります。KOM
CA、音盤製作協会、芸術団体協議会側で取引が行なわれ、デジタル著作権取引所という著作
権情報センターが行なうことはそこで取引された情報を収集することです。実質的な取引が政
府部門で行なわれているのではありません。
それでは、次に2つ目の質問についてお答えします。
コンテンツ振興院と著作権委員会に関する役割について、質問してくださいましたが、これは
私がコンテンツ振興院に7年間勤めたことがありますので、私と無縁な質問ではありません。私
も政府が産業に介入することで、産業が活性化するというのは望ましくないと思います。基本
的な方向については、質問者のご意見に同意します。但し、政府が行なうというのは、市場で
基本的な枠組みを設けることです。市場がきちんと機能できるガイドラインを幅広い分野で策
定することを意味するものであり、直接介入するとの意味ではないと思います。コンテンツ振
興院につきましては、現在RA機関に指定されているため、流通に問題があるかも知れません
が、このような問題も長期的には改善されるものと思います。
質問者の意見:
私は外国で暮らした経験があり、外国の事例も数多く目の当たりにしました。外国ではパブリ
ッシングが非常に活性化しています。しかし、韓国ではそうではありません。著作権は著作権
協会が担当し、パブリッシングは民間が担当するのが、最も望ましいと思います。そのような
それぞれの努力が積み重なってこそ、産業は発展できると思います。
2.質問
ソニー・ミュージック・パブリッシングのフォ・ヨンアと申します。私はJASRACの嶋谷
さんに質問致します。動画投稿サイトに対するJASRACの取り組みについて、詳しく説明
していただきました。これについて、JASRACは適正なサイトには許諾を行い利用を促進
しているとおっしゃいましたが、この部分については韓国のPublisherなども共感し
ていると思います。また、この部分について、当分は日本の楽曲に限定して協議を行っている
と伺いました。その理由は外国楽曲の場合、シンクロの問題があるので排除しているとおっし
ゃいましたし、私もそれが理由であるだろうと思いました。だとすれば、日本国内の楽曲につ
いてもシンクが除外されているのでしょうか、もしくはシンクロという映像に対する音楽複製
許諾は考慮されているのでしょうか。これについて、質問したいと思います。
回答
今JASRACで許諾を出している動画投稿サイトには、適用する料率を暫定的に決めていま
す。その暫定的に適用している料率の中には、個人の方が映像作品を製作される際に音楽を使
う、いわゆるシンクロの部分も含まれています。そのシンクロの処理は、日本においては海外
の楽曲については権利者の言い値、指値になっています。一方、国内の楽曲についてはJAS
RACが直接信託を受けて、使用料規定に基づいて管理ができますので、規定の範囲内で定め
ることができます。従って、暫定的には当面の間は国内の楽曲に限定して、適用する料率を多
少上乗せして許諾をするということを今やっています。よろしいでしょうか。
3.質問
科学技術部傘下のSPMネットのオピニオンリーダーです。嶋谷達也さんに伺いますけれども、
先ほどの質問に似ているかも知れませんが、日本では日本の曲が国内の楽曲になりますが、韓
国では日本の演歌などが外国の楽曲になります。それでカフェやブログに日本の歌を載せる会
員は、著作権の面で違法になるのでしょうか。例えば、日本の演歌やJ-ポップを載せる人に
対して、韓国で例えば著作権協会を通じて違法だと告訴することができますでしょうか。
次は、日本の中で外国の曲、アメリカやヨーロッパの曲を載せるとき、何年くらいまで遡って
そういう権利を著作権協会がユーザに主張できるかについてお聞きしたいです。
最後に、これは私の経験ですが、ある演歌歌手のコンサートで会場の中での曲については著作
権があると分かりますが、例えばロビーなどでチケットを買っていない人がロビーに入って流
れる曲を聴く、モニターで流れる曲を聴くのもだめでありますでしょうか。だめだといわれた
人を知っていますが、ロビーのモニターを通じて流れる曲についても、著作権があるのかどう
かについて知りたいです。
回答
まず、一つ目の御質問ですが、韓国の中で日本の楽曲が使われた場合、どのようになるのかと
言う質問だと理解しました。先ほどからも説明していますとおり、今回KOMCAとJASR
ACは相互管理契約を締結しました。この契約に基づきまして、お互いのレパートリーをお互
いのやり方で管理を行うことになると思います。管理するレベルにつきましてはお互い行って
いるレベルでやるというのが理想的だと思いますが、それぞれ各国の事情がありますので、そ
うもいかないと思います。従って、ネットワーク上での、ブログでの楽曲の利用などについて
も、今、KOMCAの中でどのような管理がなされているかということに従うと思います。
三つ目の質問である、日本の演歌をロビーのテレビなどで上映したり、演奏したりするという
話もこれにつながってくると思います。日本においては、いわゆるBGMとして演奏されてい
る部分について、JASRACが管理を行っていますが、韓国ではどういう管理がなされてい
るか、これはKOMCAが定めた使用料規定に基づくところだと思います。
従って、両国のそれぞれの法律、団体が定めた使用料規定に基づいて、それぞれ管理を行なう
のが原則だと思っています。
それから、外国の楽曲の保護される期間についてですが、日本においてはやや特殊な事情があ
ります。外国の楽曲については、特に日本では戦時加算(戦争の時代を加算する)という制度が
あります。特に、アメリカ、イギリスなどの楽曲が対象になっています。従って、日本におい
ては、そういった外国の楽曲について、基本的には作家の死後50年間保護されるのですが、そ
う言った戦時加算があるために、楽曲ごとに加算される日数があったりして、かなり特殊な取
り扱いになっています。これでよろしいでしょうか。
質問
4.
私はアジアレコード会社を経営しており、音楽産業協会の会長を務めておりますパク・ヒョン
ジュンと申します。本日、韓日デジタル音楽コンテンツビジネスシンポジウムが開催されまし
たことを、心よりお祝い申し上げます。発表でアインスデジタルのハン代表が2008年2月に文化
体育観光部がDRMのない音源サービスについて、3つの信託団体の徴収規定改正案を承認する
ことで、サービスを合法化するとおっしゃいました。著作権協会や実演者協会、音源製作協会
は信託団体としての権限を有していますが、音楽を作る製作者の80~90%は音源製作協会に加
盟していません。政府が市場論理に基づき、創作商品の製作・流通を認め、市場論理に反する
違法を告訴しなければならない立場であるにもかかわらず、むしろ違法行為を行っているソリ
バダやBugsを合法化しています。このような状況の中で、誰が大韓民国で音楽を製作し流
通させるでしょうか。これは製作者にとっては、問題があると思います。
次に二つ目を質問に移りたいと思います。現在、コンテンツ産業につきましては、著作権審議
委員会、文化コンテンツ振興院など様々な機関がありますが、文化観光部には著作権課とコン
テンツ課の二つの課があります。ところがこの二つの課は業務連携が全く行なわれておりませ
ん。たらい回しにされ、どこに行っても問題を解決できない事態が発生しています。これは製
作者の立場を全く考慮していない制度です。KOMCAや実演者協会では著作権法がきちんと
整備されています。コンテンツ振興院は商品が流通する体系を構築するところであり、著作権
審議委員会は徴収関連の問題を担当するところです。しかし、著作権協会と実演者協会、そし
て著作権審議委員会が製作者の権利である商品を流通させるとすれば、誰が商品を製作しよう
とするでしょうか。韓国では製作できる環境がきちんと整っていないのであります。
また、3つ目について申し上げます。政府が著作権に対する情報センターを設立することには
賛成です。しかし、政府は市場論理に沿ってコンセプトをとらえ、アイデアを提供し、付加価
値を生み出すべきであるにもかかわらず、実際には文化観光部が行政的に業務処理を行なって
いるため、大韓民国の大衆文化産業が大きく衰退しています。
また、私が約6年間コンテンツ振興院の業務に携わったことがあるため、知っておりますが、
現在政府はコンテンツ振興院に70~80億ウォンを投入しており、著作権審議委員会に対しても
別途の数十億ウォンに上る投資を行なっています。しかし、このようにコンテンツ振興院と著
作権委員会に同じ業務において別途の予算を投入するということは、国の予算を無駄遣いする
ことだと思います。私は、コンテンツ振興院が行なっている業務を音楽産業協会に委任してく
れば、業界が自主的にできると思います。にもかかわらず、著作権課が違法行為を行っている
人を呼んでそれを合法化しているため、結果的に大衆文化が衰退しています。このような状況
を踏まえて仕事をしてほしいと思います。
回答
パク会長のご意見はきちんと伝えさせていただきます。一言だけ申し上げますと、コンテンツ
振興院が作成した著作権関連データベースは、著作権委員会と共有しております。そのため、
重複投資ではありません。
以上