「先生のおすすめの本」のパンフレット

『「個」の誕生
*著者名 :
坂口ふみ著
*出版者 :
岩波書店
*出版年 :
1996.3.
キリスト教教理をつくった人びと』
請求記号
270:S15:2015-1
4−6世紀のキリスト教教義の論争史という難解なテーマを扱いながら、読者を強く魅了
する名著。イエス・キリストとは何者かという問いをめぐる論争、闘争の歴史を、普遍を追
求するギリシャ思想に対して、新しい<個>という思想が姿をあらわす過程として生き生
きと描く。キリスト教を勉強する人だけでなく、西洋思想を学ぶ人にぜひ読んでもらいたい
記念碑的な書。特に女子学生には一読をおすすめします。
神学部
東 よしみ 先生
『キリスト教とローマ帝国
小さなメシア運動が帝国に広がった理由』
*著者名 :
ロドニー・スターク著 ; 穐田信子訳
*出版者 :
新教出版社
*出版年 :
2014.10.
請求記号
270:S79:2015-1
313 年のミラノ勅令でキリスト教がローマ帝国に公認され、その後ローマ帝国の国教にな
っていくことは周知のことですが、信徒数の推移、疫病、女性信徒、殉教、ユダヤ人、都
市問題といったテーマによってキリスト教の興隆を社会学の手法を用いて解明しようと挑
んだのが本書です。古代のことですから史料も限られていますが、とても魅力的な議論
が展開しています。聖書学をふくめ、最近社会学の手法を用いた研究が注目されてお
り、本書はその代表例のひとつです。
神学部
1
土井 健司 先生
『権力の病理
誰が行使し誰が苦しむのか : 医療・人権・貧困』
*著者名 : ポール・ファーマー著 ; 豊田英子訳
*出版者 :
みすず書房
*出版年 :
2012.4.
請求記号
614.5:F23:2015-1
生命倫理の問題として注目されるのは脳死であったり、ES細胞であったり、いずれも重
要ではあっても、他方われわれの日常に直接かかわることが少ないものです。本書で扱
われるのは結核や感染症など日常の病理です。その特徴は社会構造の問題としてそれ
らが取り上げられている点です。炭鉱の町に肺疾患が多いという例を挙げれば分りやす
いでしょうが、病気や貧困といった問題は個人に還元して考えるだけでは不十分であっ
て、ファーマーは社会構造という視点から問題に切り込んでいます。
神学部
土井 健司 先生
『二十世紀の 10 大ピアニスト』
*著者名 :
中川右介著
*出版者 :
幻冬舎
*出版年 :
2011.7.
請求記号
780.9:N16:2015-1
本書は、著者がかなり力を入れて書いたものだと思います。それぞれのピアニストにつ
いては私も自分なりにいろいろな本を読んだりして知るところがありましたが、本書の特
徴は、それらのピアニストを並べて同時代人として論じていることです。たとえばグレン・
グールドというと永遠の青年のイメージがありますが、実はホロヴィッツより先に亡くなっ
ているのは驚きでした。また 10 人の中に作曲家のショスタコービチが入っているのも異
色だと思います。
神学部
2
土井 健司 先生
『異邦人(いりびと)』
*著者名 :
原田マハ著
*出版者 :
PHP研究所
*出版年 :
2015.3.
請求記号
853.5:H25:2015-1
本学文学部出身の原田マハさんの渾身作。学生時代から大好きだった京都を舞台にし
た小説をと考えていたマハさんが、得意の美術分野を織り込み、そこに謎を仕込んだ小
説。『文蔵』に 2012 年春から連載、昨年完了して単行本になります。これまでの付き合い
もあり、構想段階から生粋の京都人を紹介したり、京都弁や京料理、祇園祭や大文字な
どに関しての最終チェックを依頼されて私と妻も協力。こんな経験するとはと、思い入れ
たっぷりの作品です。
文学部
阪倉 篤秀 先生
『身をもって知る技法
マダガスカルの漁師に学ぶ』
*著者名 :
飯田卓著
*出版者 :
臨川書店
*出版年 :
2014.11.
請求記号
390:I25:2015-1
20 年に及ぶマダガスカルの海民に関する調査・研究から、「身をもって」学んだことを具
体的に示した珠玉の書。著者は自らの立場を「フィールド人類学」とよぶ。エピソードを交
えながら淡々と進む筆致には、飽くなき探求心と熱意が潜んでいる。フィールドワークに
関心をもつ学生諸君に是非読んでもらいたい。もっと知りたい人には、『海を生きる技術
と知識の民族誌―マダガスカル漁撈社会の生態人類学』(世界思想社:2008 年)が待っ
ている。
文学部
3
田和 正孝 先生
『オノマトペがあるから日本語は楽しい
擬音語・擬態語の豊かな世界』
*著者名 :
小野正弘著
*出版者 :
平凡社
*出版年 :
2009.7.
請求記号
452:O58:2015-1
日本語におけるオノマトペの多様さとその奥深さに気付かせてくれる1冊。ゴルゴ 13 の
「シュボッ」を確認しようと第1巻から頁を繰る本書著者の姿を想像すると、ちょっとおかし
いが、読み終わる頃には、読者もオノマトペハンターになっている。
文学部
成田 靜香 先生
『荷風さんの昭和』
*著者名 :
半藤一利著
*出版者 :
筑摩書房
*出版年 :
2012.5.
請求記号
850.95:H23:2015-1
永井荷風の断腸亭日乗の名文を味わいつつ、また、半藤さんの洒脱な語り口を楽しみ
つつ、日本がいかに愚かな仕方で戦争の泥沼に入り込み、徹底的な敗北に至ったかが
よくわかる本。戦後の荷風と半藤さんのかかわりも興味深い。
文学部
4
浜野 研三 先生
『一歩の距離
*著者名 :
城山三郎著
*出版者 :
角川書店
*出版年 :
2001.7.
小説予科練』
請求記号
853.5:S55:2015-1
日本が戦争をする国になろうとしているとき、今一度美しく語られている特攻作戦の実
態、それにかかわった特攻隊員の想いとそれを取り巻く軍隊の在り方について知ること
は極めて重要である。この短編は、著者自らの苦渋に満ちた体験に基づく、書かざるを
得なかった内的必然性が示されている貴重な作品である。
文学部
浜野 研三 先生
『転換期の日本へ
「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』
*著者名 : ジョン・W.ダワー,ガバン・マコーマック著
*出版者 :
NHK 出版
*出版年 :
2014.1.
請求記号
955.5:D74:2015-1
日本の民主主義が危機を迎えている時代に、戦後の日本社会の基盤にどのような構造
が存在しているのかを、広い視野から歴史的に眺めてみることの必要は言を俟たない。
二人の日本を愛する日本研究者が示す像は、この必要を満たすものである。
ことに、第一章のサンフランシスコ体制についての議論は、戦後から戦前に変わろうとし
ている現在の日本社会を理解するために不可欠である。
文学部
5
浜野 研三 先生
『蜘蛛の糸・杜子春』
*著者名 :
芥川龍之介著
*出版者 :
新潮社
*出版年 :
2010.4.
請求記号
853.5:A31:2015-1
芥川と太宰。ぼくはこの二人の文に酔う。どんな美酒よりもはるかに心地よく、深く、長く、
酔う。太宰は、女性的な情の下に、どこまで強い人間を感じさせる。芥川は、鋭く切る知
性の下に、ポキッと折れてしまう悲しい人の心 。物語は流れる文に身を任せる装置にす
ぎない。で、蜜柑の物語は? 最後に芥川はこう記す。「が、私の心の上には、切ない程
はつきりと、この光景が焼きつけられた。」 どんな光景?
文学部
『テゼ = Taizé
水野 尚 先生
巡礼者の覚書』
*著者名 :
黙想と祈りの集い準備会編
*出版者 :
一麦出版社
*出版年 :
2013.11.
請求記号
289.9:M71:2015-1
第二次世界大戦中、フランスのテゼ村でキリスト教の共同体が創始された。人類の分裂
の中で和解を作り出すことを目指して歩み出したテゼ共同体は、後に世界中から無数の
若者たちが訪れる出会いの場となる。哲学者リクールは、「今日の宗教の役割は、人々
が自分の内にある善良さの核を解き放つ手助けをすること。テゼにはその可能性があ
る」と語った。宗教の名を用いた暴力の連鎖が世界を脅かす今日、宗教を通して和解を
模索するテゼのような場が存在することをぜひ知ってほしい。
社会学部
6
打樋 啓史 先生
『中東から世界が見える
イラク戦争から「アラブの春」へ』
*著者名 :
酒井啓子著
*出版者 :
岩波書店
*出版年 :
2014.3.
請求記号
309:S15:2015-1
近年のイスラム国など、中東で起きた事態が世界のあちこちに飛び火する例に見るよう
に、中東情勢は私たちにとっても重要なものになりつつある。本書はジュニア向けではあ
るが、「アラブの春」以降の中東情勢をコンパクトにまとめており、また中東社会のダイナ
ミズムをよく教えてくれる一冊。細かく「まとめ」が用意されているので、自分で内容をレジ
ュメ化する場合にも役立つはずだ。
社会学部
鈴木 謙介 先生
『人間なき復興
原発避難と国民の「不理解」をめぐって』
*著者名 :
山下祐介, 市村高志, 佐藤彰彦著
*出版者 :
明石書店
*出版年 :
2013.11.
請求記号
362.9:Y19:2015-1
当事者ではない人に「もう帰れないですね」とあっさり言われると、「そんなことはない」
「本当は失いたくない」と反論したくなる。「もう安全だから帰ってください」と言われると、
「危険なのに帰れない」「強要するな」と思う――。原発事故の避難者が置かれた「多重
のダブルバインド」状況をめぐる複眼的な議論を通して、「私たちは他人の苦しみを理解
できるのか」という根源的な問いに向きあうことを迫る名著だと思います。
社会学部
7
立石 裕二 先生
『ヒロシマ・アメリカ
*著者名 :
直野章子著
*出版者 :
渓水社
*出版年 :
1997.10.
原爆展をめぐって』
請求記号
327.2:N19:2015-1
被曝三世たる著者がアメリカの大学に留学していた時、現地で原爆投下を正当化する展
覧会が開かれた。そのため彼女は在籍する大学で原爆の恐ろしさを問う展覧会を開くた
めに奔走する。すると今度はアジアからの留学生たちに「日本は加害者だ」と批判されさ
えするが、四面楚歌の中、それでも彼女は信念を持って行動したのだ。著者が学部生だ
った頃の瑞々しい問題意識から書かれたこの本に、諸君もきっと共感できることと信じ
る。
社会学部
『地方消滅
李 建志 先生
東京一極集中が招く人口急減』
*著者名 :
増田寛也編著
*出版者 :
中央公論新社
*出版年 :
2014.8.
請求記号
312:M42:2015-1
わが国は2100年には人口は4959万人になるという。高齢人口はいずれ減り、出生率
が低いため年少人口もすでに毎年減っている。また地方経済の悪化による大都市への
若者の流入は地方都市の消滅を早める。これに歯止めをかけるために国家は何をすべ
きか。本書は多くの資料を基に対策を提案する。農業女子プロジェクトや企業誘致など。
ただし行政機構の地方移転と移民の受入れはしないようだ。
法学部
8
内山 衛次 先生
『カフェと日本人』
*著者名 :
高井尚之著
*出版者 :
講談社
*出版年 :
2014.10.
請求記号
338.4:T13:2015-1
30年前と比べコーヒー豆の輸入量は2倍以上に増えたが、カフェ(喫茶店)の数は半分
に減り、店で飲む杯数は5分の1となった。場所の提供もするカフェは、会議・打合せから
個人作業の場として活用され、60年前にはわが国独自のカフェ文化「モーニング」も誕
生した。コンビニコーヒーも人気だがカフェでゆっくりしたいときもある。本では、生活文化
としてのカフェの歴史と現状を知ることができる。
法学部
内山 衛次 先生
『“町内会”は義務ですか?
コミュニティーと自由の実践』
*著者名 :
紙屋高雪著
*出版者 :
小学館
*出版年 :
2014.10.
請求記号
352:K15:2015-1
皆さんは町内会や自治会に入っていますか?。その活動が、高齢者や子供の見守り・住
民の相談・生活支援では加入の必要性をあまり感じませんね。そもそもこれらの活動は
行政が行うべきことではないでしょうか。多くの市町村が「住みよいまち」をめざして加入
をすすめる町内会は現在どのような状況にあり、そしてその組織や活動はどのようにな
っているのか、どうあるべきかを考えることができます。
法学部
9
内山 衛次 先生
『古書往來』
*著者名 :
高橋輝次著
*出版者 :
みずのわ出版
*出版年 :
2009.5.
請求記号
655:T13:2015-1
古本屋とか古本市と聞くと胸の高鳴る、そして関西と文学をこよなく愛するあなたに薦め
たい。神戸で育った著者が、せっせと古本屋に通い、手に入れた、神戸や大阪と関わる
文学の本を、いとおしさをこめて語った本。聞いたこともない作家や出版社、そして高橋さ
んが、友だちのように思えてくる。これを読んだら、『古本が古本を呼ぶ』(青弓社)、『関
西古本探検』(右文書院)、『ぼくの古本探検記』(大散歩通信社)をどうぞ。
法学部
『ペリー提督日本遠征記
大東 和重 先生
(上)(下)』
*著者名 :
M.C.ペリー著 ; F.L.ホークス編纂 ; 宮崎壽子監訳
*出版者 :
KADOKAWA
*出版年 :
2014.8.
請求記号
915.5:P46:2015-1
若い人に、お願い。読書ほど簡単な娯楽はありません。とりあえず読んでみて。今、長い
ものをぜひ。短いものは働きながら読める。時間を超えた旅に出るつもりで、昔の航海記
をどうぞ。150 年あまり前の、琉球と日本の姿が、手にとるように、真に迫って描かれる。
変な気持ちになるくらい面白いです。これを読みおえたら次は、オールコック『大君の
都』、モース(あの「大森貝塚」の人ね)『日本その日その日』の二大傑作が待ってます。
法学部
10
大東 和重 先生
『「昭和」を生きた台湾青年
日本に亡命した台湾独立運動者の回想 1924→1949』
*著者名 :
王育徳著 ; 近藤明理編集協力
*出版者 :
草思社
*出版年 :
2011.4.
請求記号
921.3:O93:2015-1
生まれる瞬間や場所を、私たちは選べない。だが、自分の人生をどのように作っていく
か、ある程度の選択は可能だ。戦前の日本の植民地台湾、熱帯の地方都市台南に、昭
和を生きた台湾青年、王育徳は生まれた。戦前は日本、戦後は国民党に支配された台
湾で生まれ育った王は、やがて自らの人生、台湾の人生を、自ら生きるのだと、この台湾
の古都を離れる。植民地の現実とともに、隅々まで書き込まれた街の姿が、残酷であり
つつ美しい。
法学部
大東 和重 先生
『とらわれた二人
無実の囚人と誤った目撃証人の物語』
*著者名 : ジェニファー・トンプソン‐カニーノ他著
*出版者 :
岩波書店
*出版年 :
2013.12.
請求記号
364:T46:2015-1
現在、誤判冤罪事件の大きな原因として「目撃証言の誤り」が注目されている。本書は、
そうした事件の被告人と誤った証言をしてしまった被害者の葛藤と和解を描いた感動の
ノンフィクションである。
法学部
11
山田 直子 先生
『東大生はバカになったか
知的亡国論+現代教養論』
*著者名 :
立花隆著
*出版者 :
文藝春秋
*出版年 :
2001.10.
請求記号
378:T11:2015-1
注目すべきは書名以上に、その内容の豊穣さ。本書は著者が母校客員教員時に知的実
践を試みた現代教養論。教養とは元来「役に立つノウハウ論」とは無縁、教科書の如く定
式化して教授出来ず、ただ覚えることで身に付かぬ特性をもつ。その本質は論理立てて
考える、あらゆる知を自らまとめ上げる力が鍵!と著者は説く。本書が提起する、立花教
授流の野心的「教養鍛錬プログラム」を我らが自ら率先する日、ついに関学も東大を超
えるか?
経済学部
市川 文彦 先生
『啓蒙思想 2.0
政治・経済・生活を正気に戻すために』
*著者名 : ジョセフ・ヒース著 ; 栗原百代訳
*出版者 :
NTT 出版
*出版年 :
2014.10.
請求記号
104:H43:2015-1
人の話を聞かず自分の言いたいことだけを──もっとタチの悪いことに、真偽のほども
定かでないことをさもありそうに──喋り続ける連中が幅を利かしているのは、日本だけ
ではないらしい。筆者は、21 世紀に入って寛容や真実といったものを何故か軽視するよ
うになった世界を前に、「もうちょっと理性的に語り合おうぜ!」と啓蒙思想のアップグレ
ードを企てる。人間とは何か、文明とは何か、も考えさせてくれる良書。
経済学部
12
久保 真 先生
『ミクロ経済学の力
*著者名 :
神取道宏著
*出版者 :
日本評論社
*出版年 :
2014.9.
MICRO ECONOMICS』
請求記号
330.12:K16:2015-1
本書はミクロ経済学の教科書ですが、昨年に出版された経済学関連図書の中で出色の
1冊です。少々の数式は出てきますが、大変にわかりやすく、読み進めるにつれ、きっと
世の中の見え方が変わってくるでしょう。現実問題に対応してよく練られた実例も秀逸で
す。例えば「ナッシュ均衡」が実現する理由を「なぜエスカレータで右側を空けるのか」(関
西では左空け)という身近な事例を用いて説明します。強くおすすめします。
経済学部
高林 喜久生 先生
『これからの日本の論点』
*著者名 :
日本経済新聞社編
*出版者 :
日本経済新聞出版社
*出版年 :
2014.10.
請求記号
304:N69:2015-1
日本が抱える問題、経済・金融、産業・企業、政治・国際情勢、世界経済の5つのテーマ
について、計 26 の論点を示し、丁寧な解説とともに、展望を試みた本です。例えば折り返
し点を過ぎたアベノミクスでデフレ脱却は実現するのか、混迷を極める中東情勢は今後
どう動くのかといったホットなテーマが取り上げられています。日々の新聞記事と併読し、
「時事問題に強い関学生」を目指してください。就職活動でも役立つはずです。
経済学部
13
寺本 益英 先生
『ルポ京都朝鮮学校襲撃事件
「ヘイトクライム」に抗して』
*著者名 :
中村一成著
*出版者 :
岩波書店
*出版年 :
2014.2.
請求記号
323.1:N16:2015-1
2009 年 12 月 4 日、在特会らのメンバーによる京都朝鮮第 1 初級学校への襲撃がおこな
われた。在特会などによる「ヘイトクライム」「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)の問題は、現在
の日本社会が抱える深刻な問題で、国連人種差別撤廃委員会在日 2 世である著者中村
一成(イルソン)は、この事件を京都地方裁判所での審理を含めてルポした。被害者の震
える声が聞こえてきます。
経済学部
『遺骨
中川 慎二 先生
語りかける命の痕跡』
*著者名 :
殿平善彦著
*出版者 :
かもがわ出版
*出版年 :
2013.11.
請求記号
331.5:T66:2015-1
浄土真宗本願寺派北海道一乗寺住職の殿平が、遺骨発掘という前代未聞の日韓共同
プロジェクトについて綴った。日本の植民地時代の強制労働で命を落とした人たち、とり
わけ朝鮮人の遺骨を発掘し、遺族に返還するという壮大なプロジェクトの記録である。参
加者の日本人、韓国人、在日コリアンがともに歴史に向き合った。日本の近代化の歴史
のなかで、歴史認識問題を超えるための貴重なワークショップ 15 年の記録である。
経済学部
14
中川 慎二 先生
『Project Sunshine for Japan
Posters, Stories and Poems about Fukushima』
*著者名 :
Mansoureh Rahnama 編
*出版者 :
Verlag Kettler
*出版年 :
2013
請求記号
740:R14:2015-1
東日本大震災のあと、ドイツ・ドルトムント市在住のイラン人ラーナマは、東日本大震災
からの復興を願う国際ポスター展を企画した。義援金を集めるだけはなく、震災の経験
から人類が学ぶべきことを、視覚的に訴え、社会に影響を与えることにした。世界から
600 点の応募作が集まり、100 点の優秀作品が選ばれた。それが、多言語での出版とな
って、フランクフルト書籍市に出品された。プロジェクトの全容を伝える出版である。
経済学部
中川 慎二 先生
『下流志向
学ばない子どもたち働かない若者たち』
*著者名 :
内田樹著
*出版者 :
講談社
*出版年 :
2007.1.
請求記号
362.7:U17:2015-1
子どもの権利は尊重されるべきである。しかし、教師のもとで学ぶとき、学ぶ前から生徒
がその意義を問いすぎるのは危険である。はるかに多くの見識をもつ教師が提示し薦め
る事柄を、何はともあれまず学んでみること、学んだあとで意味をかみしめること。こうし
た学習の意味や教師・学生関係の根本について、アスリートは分かっているのだが、一
般には忘れられることが多い。この本のとくに第 1 章はそれを教えてくれる。
経済学部
15
原田 哲史 先生
『キャリア教育のウソ』
*著者名 :
児美川孝一郎著
*出版者 :
筑摩書房
*出版年 :
2013.6.
請求記号
331.86:K81:2015-1
昨今キャリア教育が大流行りだ。学生も大学も、本来の専門学習そっちのけでキャリア
科目やインターンシップに熱を上げる様子を見受ける。しかし、そもそもキャリア教育って
何だろう?「キャリア=就職」という貧困な発想では、「大学=就職予備校」で、その先が
ない。そうそう思い通りには行かない人生を引き受け、粘り強く生き抜く力や感性を磨く大
切さの自覚を促すのが真のキャリア教育ではなかろうか。就活を始める前に一読を。
経済学部
藤井 英次 先生
『ビッグデータの罠』
*著者名 :
岡嶋裕史著
*出版者 :
新潮社
*出版年 :
2014.11.
請求記号
006.3:O41:2015-1
私はツイッターやフェイスブックには興味はないが、電子メールを使わないと仕事になら
ないし、ネットで情報を探したり、買い物をしたりする。気になった商品をクリックしただけ
で、最近チェックした商品として画面に現れる。買い物情報が相手先に蓄積されることは
承知の上だが、ネット上に現れる個人情報が知らない間にどこかに蓄積され、「人から見
られている」。ふだんあまり意識していないが、改めてこの本から学んだ。
経済学部
16
松本 有一 先生
『積極的考え方の力
成功と幸福を手にする 17 の原則』
*著者名 :
ノーマン・V・ピール著 ; 月沢李歌子訳
請求記号
177:P35:2015-1
*出版者 : ダイヤモンド社
*出版年 :
2012.11.
不思議なタイトルですが、英題をみれば納得。「ポジティブシンキング」にかんする本で
す。今ゼミで研究しているのですが、本書はポジティブシンキングの効能を唱えた最初の
本らしいです。内容はたんなる「念ずれば花開く」にとどまらない、ポジティブシンキング
の実践的なプロセスを紹介しています。根はネガティブでも、ポジティブに考えられるよう
になりたいですよね。僕はそうありたいと思います。
商学部
松本 雄一 先生
『フレームを変えると、世界が変わる
コトバのマジック』
*著者名 :
則定隆男著
*出版者 :
関西学院大学出版会
*出版年 :
2014.12.
請求記号
304:N84:2015-1
私たちの物の見方がフレームを変えて見ると、全く違ったものとなることに気づかせてく
れる本。具体的な事例を通して、学問、組織、広告、マスコミ、といった外部から与えられ
たフレームを通して、物の見方が形成されていることを解明している。自分のフレームを
持つことの大切さが最後に書かれている。著者がこれまで、専門の国際ビジネスをコトバ
や文化の側面から分析してきたことへの集大成応用版。読みやすく一気に読破できる好
著。
商学部
17
山本 俊正 先生
『龍馬を継いだ男 岩崎弥太郎』
*著者名 :
安藤優一郎著
請求記号
921.3:I96:2015-1
*出版者 : アスキー・メディアワークス
*出版年 :
2009.12.
幕末時代、大政奉還後に夢半ばに横死した坂本龍馬の意思を受け継ぎ、世界の三菱を
つくった同じく土佐藩士、岩崎弥太郎。そのイメージから経済人として語られることが多い
が、それ以前より土佐藩の経済官僚として商才を発揮し、龍馬率いる海援隊の活動を支
えていた。龍馬と同時代をともに生き、維新回天を支えた岩崎弥太郎を通じて、学生諸
君に今一度日本企業の礎に触れて頂きたい一冊として推薦します。
人間福祉学部
溝畑 潤 先生
『サーバント・リーダー
「権力」ではない。「権威」を求めよ』
*著者名 : ジェームズ・ハンター著 ; 高山祥子訳
*出版者 :
海と月社
*出版年 :
2012.5.
請求記号
380.25:H94:2015-1
この本によって、マネジメントで耳にする「サーバント・リーダー」は、忍耐、優しさ、謙虚、
無私、敬意、許し、正直、献身というキリスト教の「愛」「隣人愛」に基づく行為であることを
知りました。組織の長としてのみならず、家族や友人と、サークル・部活やバイト先で、広
く日常生活のなかで人と係わるとき、愛に根ざして振る舞うとはどういうことなのか、優し
く分かりやすい口調で語りかけてくれます。
人間福祉学部
18
安田 美予子 先生
『日本人の値段
中国に買われたエリート技術者たち』
*著者名 :
谷崎光著
*出版者 :
小学館
*出版年 :
2014.12.
請求記号
609:T16:2015-1
日本の大企業をリストラされた技術者が、新天地の働き場所を求めて、中国や韓国に大
量に移動している。技術流出を防止したいという日本企業の建前と新しい技術を貪欲に
吸収しようとする、中・韓両国とのせめぎ合いの様相を明らかにしている。
国際学部
『アブサロム、アブサロム!
*著者名 :
フォークナー作 ; 藤平育子訳
*出版者 :
岩波書店
*出版年 :
2011.10.- 2012.1.
榎本 悟 先生
(上)(下)』
請求記号
813:F26:2015-1
肌の色、目の色、髪の色が異なる人々とどう付きあうか―グローバル時代の課題であ
る。ひとつのヒントが『アブサロム、アブサロム!』に見つかる。アメリカ南部が舞台となっ
たこの小説は、人種を隔てる壁が「実体」のない無意味なものではないか、と問う。「黒
人」の血が流れる(らしい)白人青年のために破滅する一家をとおし、「アメリカ南部」の過
ちが語られる。むづかしい。だが、読み終えたとき得られるものも多い。
国際学部
19
杉山 直人 先生
『Dispatches』
*著者名 :
Michael Herr 著
*出版者 :
Alfred A.Knopf
*出版年 :
2009
請求記号
070:H56:2015-1
Michael Herr’s account of his experiences as a war correspondent for Esquire magazine during the
Vietnam War in 1967-68 is simultaneously a historical critique of the American prosecution of the
war, and a poignant memoir of great literary eloquence.
Herr vividly describes the horrors experienced, and inflicted, by US troops, at battles including Khe
Sanh and Hue, among other operations.The challenges he and his fellow correspondents faced in
covering such a traumatic and divisive conflict is also passionately documented.Dispatches is now
widely considered to be one of the finest examples of war journalism of modern times.
国際学部 マーク クレイグ 先生
『地図にない国からのシュート
サッカー・パレスチナ代表の闘い』
*著者名 :
今拓海著
*出版者 :
岩波書店
*出版年 :
2003.8.
請求記号
309:K82:2015-1
今年開催されたサッカー・アジアカップで、日本代表は初戦でパレスチナ代表と対戦し
た。しかし、グーグル・マップには「パレスチナ」という独立国家の記載はない。困難な状
況下でもサッカーをする選手達には、パレスチナという「国家」の存在を世界に知らせた
いという願いもあるのだ。はたして選手達は対戦相手以外の何と「闘って」いるのだろう
か。サッカーという視点から国家とは何かを考えさせてくれる書籍。
国際学部
20
吉村 祥子 先生
『ワインと外交』
*著者名 :
西川恵著
*出版者 :
新潮社
*出版年 :
2007.2.
請求記号
327:N72:2015-1
華やかなイメージのある外交の舞台につきものなのが、晩餐会などで供される美食の
数々である。しかし、要人が出席する外交の場のメニューには政治的なメッセージが見え
隠れすることも、、、意図的に「フリーダムフライ」と言い換えたブッシュ米大統領に、シラ
ク仏大統領が「フレンチフライ」を供したのはなぜか?国際交渉の成否をも左右する「お
もてなし」の裏側を、ワインやメニューから読み解く、異色の国際政治本。
国際学部
吉村 祥子 先生
『メディアとコミュニケーションの文化史』
*著者名 :
伊藤明己著
*出版者 :
世界思想社
*出版年 :
2014.9.
請求記号
301.15:I89:2015-1
メディア社会といわれる今日、改めて、人間とメディアとの関係が問われています。本書
は「文字の誕生」から「印刷術の発明」「ジャーナリズムの誕生」、さらには「マス・メディア
時代」から「ネット時代」と、人間の長いメディアとの関わりを丁寧に通観した書物です。学
生がメディアのあり方とその将来を考えるうえで、適切な書物であり、推薦します。
教育学部
21
芝田 正夫 先生
『きのね
(上)(下)』
*著者名 :
宮尾登美子著
*出版者 :
新潮社
*出版年 :
1999.4.
請求記号
853.5:M68:2015-1
私、高内が聖和大学受験の際に、高校の今は亡き女性恩師より「新聞は読んでいます
か?」と訊ねられ、「あまり読む暇がありません。」と返答した際、「何か楽しみにできるも
のを見つけないと。例えば、連載小説を読むなど良いですよ。」と勧められ、当時朝日新
聞に連載されていたのが、先日亡くなられた宮尾登美子氏の著書「きのね」でした。その
後新聞をよく読むようになり、私が聖和大学の受験を決めたのもその恩師のお陰です。
教育学部
高内 正子 先生
『愛するということ』
*著者名 :
エーリッヒ・フロム著 ; 鈴木晶訳
*出版者 :
紀伊國屋書店
*出版年 :
1991.3.
請求記号
173:F93:2015-1
本書にある次のような言葉は、おそらく学生のみなさんの興味をそそるのではないでしょ
うか。
「ひとりでいられる能力こそ、愛する能力の前提条件なのだ。」
自分の生き方を考える上で、また、人とのかかわりを考える上で、幾つになって開いて
も、心に残る言葉が随所に散りばめられている一冊です。
教育学部
22
日浦 直美 先生
『ひとりの集団
*著者名 :
加藤久著
*出版者 :
講談社
*出版年 :
1997.4.
「個性」を束ねて勝つ』
請求記号
796.4:K19:2015-1
著者の加藤久先生は、「世間では、学問とサッカー(クラブ活動)が両立するかどうか議
論しているが、そんなものは両立するに決まっている」、「それが出来ないヤツは、情熱と
工夫が足らないだけだ」と本著の中で述べられている。日本代表選手ながら早稲田大
学、筑波大学大学院を経て、最後は東京工業大学大学院にて学位を取得された先生の
行動力は、何にも増して説得力があり、ブレがない。特に、本学の体育会所属学生たち
にお勧めしたい良書である。
教育学部
藤木 大三 先生
『君よ、青春の当事者たれ
京大フットボール部全国制覇の記録』
*著者名 :
真継伸彦著
*出版者 :
講談社
*出版年 :
1985.2.
請求記号
796.4:M43:2015-1
本書は、京都大学アメリカンフットボール部全国制覇の記録を追ったものであるが、それ
以上に水野弥一監督の人間教育の素晴らしさや、「よく生きるための実践力」を数多く学
ぶことが出来る良書である。
何よりも、「1つのことに一流になる」ことが、結局は全てのことにも妥協しない人間を造り
上げる。という水野監督の指導信念は、本当に意義深く尊い。
教育学部
23
藤木 大三 先生
『High Hopes
Taking the Purple to Pasadena』
*著者名 : Gary Barnett 著
*出版者 :
Warner Books
*出版年 :
1996
請求記号
796.4:B26:2015-1
本書は、万年弱小チームだったノースウェスタン大学(Northwestern University)アメリカ
ンフットボール部を、僅かの間に全米屈指の強豪に育て上げた名将 Gary Barnett の自
伝である。Northwestern は、単なるフットボール強豪校ではなく、学問研究の分野でも全
米最難関の名門校であり、文武両道の根幹と、人間教育の重要性を常に示唆してくれ
る、私の座右の書である。
教育学部
『国富論
藤木 大三 先生
実業と公益』
*著者名 :
渋沢栄一著 ; 国書刊行会編集部現代語訳
*出版者 :
国書刊行会
*出版年 :
2010.9.
請求記号
304:S55:2015-1
「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一の講演録や談話をまとめたものである。彼は
日本近代産業の発展において重要な役割を果たした株式会社制度の導入・普及に努
め、企業活動では社会に対する公益と個人の私益の相互追求の重要性を唱えるなど、
そこからは現在、混迷する日本企業がどのように経営の舵取りを行うべきかのヒントを得
ることができる。
総合政策学部
24
安 熙錫 先生
『ジオツーリズムとエコツーリズム』
*著者名 :
深見聡著
*出版者 :
古今書院
*出版年 :
2014.11.
請求記号
790:F96:2015-1
本書は、エコツーリズムとジオツーリズムという観光形態(着地型観光)を地域の現状に
迫りながら取り上げて課題を指摘する。また、両者を「地域づくり」と「環境保護」を両立さ
せる有効な手段としてとらえ、将来的な可能性について論じている。
また、地域が主体的に関わる観光形態として両者を評価することの重要性についてわか
りやすく述べた図書である。
総合政策学部
今井 一郎 先生
『負けんとき
ヴォーリズ満喜子の種まく日々(上)(下)』
*著者名 :
玉岡かおる著
*出版者 :
新潮社
*出版年 :
2011.11.
請求記号
853.5:T15:2015-1
関西学院の関係者なら、誰もが建築家 W.M.ヴォーリズの名前を知っている。だがその
妻、満喜子のことはどうだろう。旧播州小野藩主一柳家に生まれ、女性実業家広岡朝子
との出会いやアメリカ留学を経て、ヴォーリズと結婚。独自の教育理論をふまえて、近江
八幡で未就学児童の教育に取り組む。明治から昭和戦後期における女性の国際化と幼
児教育というテーマを、ヴォーリズとの出会いを補助線にして取り上げたダイナミックな近
代史小説である。
総合政策学部
25
角野 幸博 先生
『スタンフォードの自分を変える教室』
*著者名 : ケリー・マクゴニガル著 ; 神崎朗子訳
*出版者 :
大和書房
*出版年 :
2012.10.
請求記号
159:M47:2014-1
意志の力を身につけることは成功の鍵といわれています。しかし、これを鍛えるための具
体的な方法はまだ十分に確立されておりません。本書は、科学的なアプローチから意志
の力を高めるための具体的な方法が丁寧に解説されています。スタンフォード大学での
講義録ですが、内容はやさしく、まさにノウハウ集といえます。私も若いころにこの本に巡
り合い、また著者の講義を受けるチャンスがあればよかったのにと思います。
総合政策学部
『ある明治人の記録
客野 尚志 先生
会津人柴五郎の遺書』
*著者名 :
柴五郎著 ; 石光真人編著
*出版者 :
中央公論社
*出版年 :
1971.5.
請求記号
921.3:S55:2015-1
徳川幕府を支えた会津藩は明治維新で「賊軍」とされた。本書は藩士の子の、想像を絶
する生涯を記録した遺書である。祖母、母、姉妹は自刃(じじん)し、事実上の「流罪」とさ
れた地で飢餓と闘い、生き延び、のち陸軍大将になった人物の少年期を記している。小
説でもなく伝聞でもなく、自筆の文章の迫力に圧倒されるであろう。それほど、昔ではな
い時代の出来事である。
総合政策学部
26
小池 洋次 先生
『「終戦」の政治史
*著者名 :
鈴木多聞著
*出版者 :
東京大学出版会
*出版年 :
2011.2.
1943-1945』
請求記号
955.5:S96:2015-1
ここ数年、終戦史研究が急速に進んでいるが、本書はその最も優秀なもののひとつであ
る。徹底的な史料研究に基づき、かつわかりやすく議論しており、学生諸君にはよき手本
となる。終戦史研究では、これまで国際関係史の立場からの長谷川毅『暗闘』(中央公論
新社、2006 年)が有名であるが、終戦を決めた大日本帝国政府・軍部の政策決定過程
の叙述内容に関して、歴史家麻田貞雄からの恣意的・一方的であるとの批判が寄せら
れていた。本書は、この問題をかなりはっきりと解決している。
総合政策学部
『自然の権利
柴山 太 先生
環境倫理の文明史』
*著者名 :
ロデリック・F・ナッシュ著 ; 松野弘訳
*出版者 :
ミネルヴァ書房
*出版年 :
2011.4.
請求記号
614.1:N24:2014-1
自然の権利の考え方を歴史的に紹介した体系書。
環境思想・倫理の歴史が奥深い所から学べる。
環境問題を学ぶ際の入門書として最適。
総合政策学部
27
関根 孝道 先生
『檀流クッキング』
*著者名 :
檀一雄著
*出版者 :
中央公論新社
*出版年 :
2002.9.
請求記号
641:D16:2015-1
高度成長期、「男子厨房に入らず」等の言説を笑い飛ばす檀一雄の傑作。例えば、オニ
オン・スープを熱く語りながら、「面倒くさかったら、固形スープでだしをとったって、本人の
食べることだ、私はいっこうにかまわない」と言い放つ個人主義。インロウ漬けの紹介
で、シロナスがなければふつうのナスの皮をむけばよい、「無いものは、無くてすませる
に限る」とうそぶく合理主義。料理を通じて、貴方の生き方を変える一書です。
総合政策学部
『百日紅
高畑 由起夫 先生
(上)(下)』
*著者名 :
杉浦日向子著
*出版者 :
筑摩書房
*出版年 :
1996.12.
請求記号
740:S94:2015-1
江戸文化も爛熟を極めた文化文政期、往来で老人が倒れ込みます。駆け寄った弟子に
「どうだ。立って見る時と、(寝転んで見れば)景色が違うだろう」、「人間と犬とは別々の
景色を見ているんだ」と言い放つ。これこそ浮世絵界のトリックスター、鉄蔵こと勝川春
朗、または百姓八右衛門、さらには画狂老人、そして(皆さんご存じ)葛飾北斎。人と犬が
別の見方をしている! この傑作コミックで新しいものの見方を身につけましょう!
総合政策学部
28
高畑 由起夫 先生
『南極越冬記』
*著者名 :
西堀栄三郎著
*出版者 :
岩波書店
*出版年 :
1958.7.
請求記号
919.9:N72:2015-1
日本人が初めて南極で越冬する。その隊長として何を覚悟して、何を用意しなければな
らないか、そして酷寒の極地でどう振る舞うべきか? 西堀栄三郎の究極のリーダーシッ
プが展開します。ある日、隊長が言う能率とは何ですか? と部下に問い詰められた時、
平然と、能率とは「目的を果たしながら、もっとも要領よく手をぬくこと」だと言い放つ姿
に、皆さんは仰ぐべきリーダー像を理解するでしょう。
総合政策学部
高畑 由起夫 先生
『特許の文明史』
*著者名 :
守誠著
*出版者 :
新潮社
*出版年 :
1994.12.
請求記号
608:M85:2015-1
特許にとっつきにくいと感じている人も多い。この本は特許が生まれる迄のいろいろな事
情を説明しており、特許を身近なものとしてくれる。商社マンが著者であることから、多く
の人が興味をもって読めると思います。
総合政策学部
29
眞壽田 順啓 先生
『実証分析入門
データから「因果関係」を読み解く作法』
*著者名 :
森田果著
*出版者 :
日本評論社
*出版年 :
2014.6.
請求記号
340.1:M86:2015-1
データや数式にアレルギーのある文系の学生にも興味を持ってもらえ、きちんとした数学
的な考え方を文章で抑えながら、アニメなど大学生に身近なネタに絡めて解説した本。
数式を読む前にこの本でトレーニングした上で統計学の本を読めばおそらく理解が深ま
ると思います。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1406/04/news030.html
総合政策学部
山田 孝子 先生
『だれが原子をみたか』
*著者名 :
江沢洋著
*出版者 :
岩波書店
*出版年 :
2013.1.
請求記号
539.7:E99:2015-1
科学的知識を、後世にたった一文しか残せないとしたら何を残すか? に対し、天才ファ
インマンは ``I believe it is the atomic hypothesis that all things are made of atoms'' と
答えた。私達は、原子を知識として知っているが、その根拠を答えられる人は多くない。
実は、我々がこの重要な知見の確証を得たのは、100 年ほど前のことである。本書は、
科学的知見がどのように得られるのかを、中学生向けに解説した名著である。電卓とペ
ンを片手に、ゆっくり読むと楽しめます。
理工学部
30
岡村 隆 先生
『The Terrorist's Son
*著者名 :
Zak Ebrahim 著
*出版者 :
Simon & Schuster
*出版年 :
2014
A STORY OF CHOICE』
請求記号
323.2:E16:2015-1
これは 1993 年に起きた世界貿易センター爆破事件に関わった El-Sayed Nosair を父親と
して持った息子の物語である。著者が 12 歳の時に父親のテロ事件が起こったという。し
かし、著者はテロの訓練を拒み、普通の人間として生きる決心をする 120 ページ足らずで
英語もかなり平易である。テロリストはどのように作られるのか、何故人はテロという負の
方向の人生を選択するのかなど、著者の生の声が聞ける迫力ある書である。
理工学部
尾鼻 靖子 先生
『新・微分積分学』
*著者名 :
竹之内脩著
*出版者 :
培風館
*出版年 :
2002.3.
請求記号
517:T13:2015-1
微分積分の入門書であるが、効率よく多くの内容を解説するというスタイルではなく、現
象の解析という立場で微分方程式を導入したり、関数の近似を扱っていたりと入門段階
から微分積分の必要性を感じられるように書かれている点が良いと思う。身構えずに微
分積分を楽しむつもりで最初に読んでもらいたい本である。
理工学部
31
北原 和明 先生
『ファインマンの手紙』
*著者名 : リチャード・P・ファインマン著 ; 渡会圭子訳
*出版者 :
ソフトバンククリエイティブ
*出版年 :
2006.4.
請求記号
921.5:F43:2015-1
読んで気に入った手紙には付箋を張り付けている。いま自宅のそれを数えてみたら 17
枚。気に入った手紙は読み返す度に数も含めて微妙に変化してきた。皆さんはお気に入
りの手紙を幾つ見つけられるだろうか。他の本には掲載されていないと思われる写真も
多く、その点もまた嬉しい。
理工学部
高橋 功 先生
『最新全有機化合物名称のつけ方』
*著者名 :
廖春栄著
*出版者 :
三共出版
*出版年 :
1999.3.
請求記号
547:R99:2013-2
「命名法が嫌で有機化学に抵抗がある」という声を良く聞く。確かに命名法は複雑だ。加
えて日本語字訳の問題も立ちはだかる。しかし、本書はこの迷信を払拭してくれる。学生
諸君が「ChemDraw® に構造式を入力すれば命名できる」というのでは絶対に困る。著
書の廖先生はこの難題に明快かつコンパクトな解答を本書で示してくれている。座右の
辞書とだけでなく通読書(1週間もあれば概略を把握可)としても推薦する。
理工学部
32
田辺 陽 先生
『医薬品のプロセス化学』
*著者名 :
日本プロセス化学会編
*出版者 :
化学同人
*出版年 :
2012.4.
請求記号
615:N69:2013-1
好評を博した待望の書の第二版である。近年「プロセス化学」は学術・技術として確立し
てきた。「プロセス化学は」は「創薬化学」と車の両輪と例えられるが、宝探しの創薬から
宝づくりのプロセスは From mg to ton の医農薬の生産とも言える。
本書は医農薬品開発の過程・成功例を通じ、有機合成化学を基軸に簡潔明瞭に解説し
ている。有機化学特論Iでテキストとして用いる。院生には無償配布する。
理工学部
田辺 陽 先生
『シーシュポスの神話』
*著者名 : カミュ著 ; 清水徹訳
*出版者 :
新潮社
*出版年 :
2006.9.
請求記号
842.4:C21:2015-1
不条理の哲学書である。「巨岩を山頂まで運び上げるが、その途端に巨岩は真っ逆さま
に転げ落ちる。シーシュポスは下山する。巨岩を再び運び上げるために」ことほど左様
に、シーシュポスの苦役に終焉はない。
「異邦人」の作者として知られる著者はノーベル文学賞を若くして受け、程なく交通事故
死する。同じく受賞者であるサルトルと究極の論争を繰り広げる。実存主義かはたまた
不条理か・・・カミュ=サルトル論争も果てしない。
理工学部
33
田辺 陽 先生
『図解・プレートテクトニクス入門
なぜ動くのか?原理から学ぶ地球のからくり』
*著者名 :
木村学, 大木勇人著
*出版者 :
講談社
*出版年 :
2013.9.
請求記号
551:K49:2015-1
地震や火山のしくみなど、プレートテクトニクスを柱とした「固体地球科学」の基礎につい
て、最先端の研究成果を交えながら分かりやすく解説している。理工学部で「基礎地学」
の講義を受ける学生や、環境・応用化学科で「地学」を専攻する学生にとっては必読の
書と言えるであろう。
理工学部
壷井 基裕 先生
『なぜ疑似科学を信じるのか
思い込みが生みだすニセの科学』
*著者名 :
菊池聡著
*出版者 :
化学同人
*出版年 :
2012.10.
請求記号
504:K47:2014-2
世間には、「科学」の名をまといながらも、科学的手法に基づくとはとても言えない「疑似
科学」と呼ばれるものが多数あります。それらを信じるのはどのような理由によるのか、
私たちの心理・信念のシステムを通じて説明しています。疑似科学は巷にあふれており、
高名な科学者たちでも信じ込んでしまっていることが多いのが実情です。その背景を理
解しておくことは、「だまされない」ために必須の知識といえるでしょう。
理工学部
34
前川 裕 先生
『「科学ブーム」の構造
科学技術が神話を生みだすとき』
*著者名 :
五島綾子著
*出版者 :
みすず書房
*出版年 :
2014.7.
請求記号
609:G86:2015-1
科学にも「はやり」があります。本書は「はやりの科学」がどのように生まれ、神話化して
いくかを、DDT とナノテクノロジーを例にして説明していきます。専門家の役割は何か、一
般社会はどのように科学を受け取るのか。これからの科学と科学のあり方を考えるため
に、文系理系問わずに読んでほしい本です。
理工学部
前川 裕 先生
『地球温暖化論争
標的にされたホッケースティック曲線』
*著者名 :
マイケル・E.マン著 ; 藤倉良, 桂井太郎訳
*出版者 :
化学同人
*出版年 :
2014.3.
請求記号
551:M28:2015-1
地球温暖化問題を考える本である。ハワイのマウナロア山頂で 1958 年から観測されて
来た大気中二酸化炭素濃度の増加曲線は温室効果による環境破壊への警告とされて
いるが、そもそも産業革命以前の地球表面温度の観測データが存在しないために、いわ
ゆる「温暖化」が本当に地球の長い歴史の中で有意の気候変化を表しているのか論争
になっている。著者は古気候学の立場からその本質を科学的に見極めようとしている。
理工学部
35
御厨 正博 先生
『パズル・ゲームで楽しむ数学
娯楽数学の世界』
*著者名 :
伊藤大雄著
*出版者 :
森北出版
*出版年 :
2010.2.
請求記号
510:I89:2015-1
パズルやゲームは、一般的に試行錯誤の過程を楽しむものです。しかし、その数学的背
景を考察していくと、実はかなり奥が深いものも多く、その解明の過程も興味深いので
す。良く知られた「天秤を使った偽金貨発見」や、「ケーキの公平な分割方法」、「ジャンケ
ンの一般化」などを題材に,こんなところまで一般化できるのかという驚きの世界を見せ
てくれます。講義で扱う「数学」だけが数学ではありません。新たな数学にようこそ。
理工学部
巳波 弘佳 先生
『アンティキテラ
古代ギリシアのコンピュータ』
*著者名 : ジョー・マーチャント著 ; 木村博江訳
*出版者 :
文藝春秋
*出版年 :
2009.5.
請求記号
609:M31:2015-1
二千年前の沈没船から、奇妙な機械が見つかった。何十個もの歯車が複雑に組み合わ
さっており、現代の時計に似ている。腐食した文字を何とか解読すると、星座の名前が出
てきた。使い道は? 超一流の学者が説明をつけたが、博物館学芸員のライトは納得せ
ず、 逆境に耐えつつ研究を続けた。そこにCTとCGを駆使する強力なライバルが現れ
て... 機械の謎解きも人間模様も興味深い科学史の傑作である。
理工学部
36
山根 英司 先生
『鼻行類
新しく発見された哺乳類の構造と生活』
*著者名 :
H.シュテュンプケ著 ; 日高敏隆, 羽田節子訳
*出版者 :
平凡社
*出版年 :
1999.5.
請求記号
590:S93:2015-1
外界から隔絶された世界では、時に生物は独自の進化を遂げたり、または生き残ること
がある。ガラパゴス諸島の数々の固有種、オーストラリア大陸の有袋類、そしてハイアイ
アイ群島の鼻行類――。
本書は、1941 年に発見され、そして秘密核実験により永遠に失われてしまったハイアイ
アイ群島において、独自の進化を遂げた鼻で歩く一群の哺乳類=鼻行類に関する――
ほとんど唯一の――調査報告書である。
経営戦略研究科
緒方 勇 先生
『中空構造日本の深層』
*著者名 :
河合隼雄著
*出版者 :
中央公論社
*出版年 :
1999.1.
請求記号
150.4:K22:2015-1
人々が「生きる」ことに関する強い不安をもった現代を科学の知では解消できず、神話の
知について考える必要があると河合はいう。また、日本人の思想、宗教、社会などの構
造の目に見えぬ支えとして日本の神話の『古事記』の構造があるという。私も、この本を
読んでいて、なんとなく感じていた日本についての様々な疑問が解けていき、膝をうつ瞬
間が何度もあった。また、神話の知に救われるような気持ちにもなった。
経営戦略研究科
37
加藤 雄士 先生
『現代の超克
本当の「読む」を取り戻す』
*著者名 :
中島岳志, 若松英輔著
*出版者 :
ミシマ社
*出版年 :
2014.8.
請求記号
195:N16:2015-1
私たちの時代にはもっと「読むこと」と「対話すること」が必要なのではないだろうか、と危
機感を覚える学生に開いていただきたい本です。私自身も含め、「そうは言っても何から
手をつけたらよいのか」と躊躇する現代人に向けて、二人の現代思想家が、近代の思想
家の言葉を、iPS 細胞、原発、TPP など現在の問題に照射しつつ行う対話を、そのまま見
せてくれています。「対話ってこういうものなんだ」と体感できる本でもあります。
災害復興制度研究所
松田 曜子 先生
『プレゼンテーション・パターン
創造を誘発する表現のヒント』
*著者名 :
井庭崇, 井庭研究室著
*出版者 :
慶應義塾大学出版会
*出版年 :
2013.2.
請求記号
301.15:I12:2015-1
学生の皆さんにとって、プレゼンテーションはどのようなものでしょうか。自分の考えを聞
き手に伝えるだけのものだと思っていませんか。この本が画期的なのは、プレゼンテーシ
ョンを「創造的」なものにするヒントが網羅されていることです。本書を読み、自分のプレ
ゼンテーションを見直すことで、話し手のみならず、聞き手の発想や発見を誘発するよう
な、インタラクティブなプレゼンテーションを目指してみませんか。
産業研究所
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市川 顕 先生