第4回グローバル 30 産学連携フォーラム西日本分科会報告

第4回グローバル 30 産学連携フォーラム西日本分科会報告
幹事校 名古屋大学
西日本分科会は第4回グローバル 30 産学連携フォーラム「グローバル人材を活かす産学
連携」において、以下の通り進行された。
1, 事前勉強会での議論の内容報告
名古屋大学
理事・副総長 渡辺芳人
平成 25 年 9 月 4 日、京都大学国際交流センター 多目的ホールにて開催した。
大学側からは西日本地区におけるグローバル30参加校(京都大学、大阪大学、九州大
学、同志社大学、立命館大学、名古屋大学)及び神戸大学に加えフォーラム取りまとめ校
の東京大学を含めた8大学、産業界からはトヨタ自動車株式会社、SG ホールディングス株
式会社及び卒業生パネリストの参加を得た。
まず、名古屋大学から問題点共有のためにグローバル30プロジェクトの目的と産学連
携フォーラムの課題について提示し、参加者のプレゼンテーションに入った。企業側 2 社
からは、グローバル人材育成の取り組みが説明され、神戸大学及び参加大学からもそれぞ
れの事例が紹介された。
意見交換では以下の問題点について議論を行った。
① グローバル人事における採用、評価、処遇、研修制度等の動向
② グローバル人材の教育と育成の場として、企業は大学に何を求めるか
③ 大学は、学生に企業論理、企業文化、多様な国の文化・宗教・習慣を理解させ、問題
開発解決力、チームワーク力、創造性をどのように延ばすのか。
④ 大学は、どのように学生の英語力や日本語力を付けさせるのか。
⑤ グローバル人材育成のために産学の接点、共同の取組み等をどう進めていけばよいか。
2, パネリストによるプレゼンテーション
① 企業側のグローバル人材育成の取り組み紹介
・トヨタ自動車(株)人材開発部採用・計画室長 朝稲 寛様
グローバル競争に勝ち残るための若手教育を行っており、OJT や入社前海外留学制度など
が特徴的な取り組みとして挙げられる。タフな調整力・的確な対応力が期待される働き方、
精神力・胆力を鍛え、最後まで仕事を粘り強くやりきる力、グローバル適応力などが、若
手のうちに強化したい資質である。
・SG ホールディングス(株)執行役員 漆崎博之様
海外に事業展開を進めており、有為な人材を質量共に充実させること目指している。望
ましい資質としては、違いを感じる感受性、ゼロベースの構築力、コミュニケーションの
粘り強さなどが挙げられ、入社時はプレゼンテーション力、ヒアリング力、ロジカルシン
キング、コラボレーションの 4 つの力を求めている。
② 大学の取り組み紹介
・神戸大学 理事・副学長
井上典之様
重点的な取り組みとして、EU 総合学術センター(ブリュッセルオフィス)やアジア総合学
術センターを設置し、研究協力と学生教育を行っている。また、若手教員長期海外派遣に
も取り組んでいる。
③ 卒業生パネリストの体験
・丸紅(株) 古賀 嵩様(九州大学卒業生)
留学先のタイで学んだ、同じ目線と違う目線の使い分けすることで「異文化理解」と「創
意工夫」が生まれ、所々の課題が解決できること、また、敷かれたレールはなくて、自発
的に考える必要があるプログラムの方がよいと実体験から感じていることが報告された。
・三井物産(株)ナルギザ
ナスプベコワ様(九州大学卒業生)
キルギスから日本への留学経験が発表された。異なる環境での適応性・柔軟性の重要さ
を感じて努力した結果、現在では、日本の社内で円滑なコミュニケーションがとれるよう
になった。また、キルギスと日本との交流に寄与したい。
3, 議論の概要
西日本分科会に参加した2社や総合商社のパネリストは、企業が希望している能力や資
質については、英語力はあったほうがいいが、それ以上にタフさや柔軟性などの精神性が
重要であることを指摘した。大学としては、卒業生がそれらの能力を高めることに力を入
れるべきだと考えている。また、企業の業種や置かれている状況が異なるため、大学にお
いて、企業文化を理解させるための充分な取り組みが必要となる。
留学生の日本語能力については、採用企業により異なるが、日本社会の中で働くのであ
れば必ず必要となる。
分科会を終えて、今後の取り組みへの提案としては次のことがあげられる。
グローバル人材としての留学生を教育するために重要なことは、まず大学においては日
本語・日本文化教育の充実をすることが不可欠である。また、企業側には、留学生にとっ
てより就職しやすい環境を、グローバル企業として構築することを依頼したい。
そして、日本人学生をグローバル人材として養成するためには、今後とも企業と大学が
連携して情報発信し、国際的なインターンシップなどの教育プログラムを共同開発してい
くことが望まれる。