平成25年度 一橋大学経済学部様 グローバル・リーダーズ・プログラム 「エアライン・アライアンスから見た欧州ビジネスの考察」 2013年7月16日 ANAセールス株式会社 中村 晃 1 本日お話をする内容 1. はじめに (自己紹介) 2. 航空会社にとってのアライアンス(提携)とは 3. ルフトハンザ・ドイツ航空とのアライアンス 4. 欧州ビジネス考察 5. Q&A 2 1.はじめに (自己紹介) 1958年 大阪生まれ。大学卒業まで大阪で育つ。 1981年 神戸製鋼入社。新入社員でリビアに海外赴任。 1989年 ANAに転職。主に国際線マーケティング部門を経験。 マイレージ提携を契機にスターアライアンス業務に従事。 2006年 営業推進本部 顧客マーケティング部長(2年間) 2008年 中国・広州支店長(2年間) 2010年 ドイツ・中欧地区総括支店長(在フランクフルト、3年間) 2013年 ANAセールス 副社長・旅行商品事業本部長を担当。 3 本日お話をする内容 1. はじめに (自己紹介) 2. 航空会社にとってのアライアンス(提携)とは 3. ルフトハンザ・ドイツ航空とのアライアンス 4. 欧州ビジネス考察 5. Q&A 4 なぜ提携が必要なのか 多様化するニーズへの対応 事業展開の制約 二国間協定 多様化する消費者ニーズ 地点・便数 に関する取り決め グローバル化 国籍条項 外資規制 (日本1/3未満、米国25%未満) M & A は、事実上不可能 目的地へのスムーズな乗り継ぎ どんなに大きな航空会社であっても、自社資源のみで全ての市場 ニーズに応えることは不可能 パートナー社を活用して グローバル + ローカルに展開 5 FFP(マイレージ・プログラム)提携 1991年 米国USAirのFFP(マイレージ・プログラム)にANAが参加。 1992年 豪州Ansett航空のFFPにANAが参加。 1993年 ANA国際線マイレージ・プログラム“Program A”開始。 (欧州BA/OS/SR、アジアCX/MH/SQとFFP相互提携開始。 その後米州DL/USとも相互提携開始。) 1997年 “ANA Mileage Club”(内際共通マイレージ)開始。 (エアライン、ホテル等のトラベル・セグメントに加えて、 ショッピング・マイル等のノン・トラベル・セグメントとの 提携開始。Edy、楽天ポイント、Suicaとの提携実施。) 6 O&D 需要を取り込む 例 ANA / NH 8便 成田⇒サンフランシスコ 線 2012年4月17日 総座席数 262席 搭乗旅客数 210人 (L/F 80%) ビハインド O rigin オリジン ローカル NRT D estination ビヨンド デスティネーション SFO Destination Origin オリジン デスティネーション ブリッジ 13% ビハインド ローカル 23% ビヨンドをカバーするため 30% 提携先が必要 34% ビヨンド Source : MARIA 7 O&D 需要を取り込む 北米=アジア間の ゲートウェイ 8 提携モデルの深化 Relationship M&A 2010 - Joint Venture & Alliance 2000 - Codeshare & Interline/SPA Star Alliance (1997-) Time 9 ①インターライン ANAによる他社便販売 Interline: 他社フライトを自社航空券に切り込んで、複数の航空会社にまたがる運送を提供する X航空会社 205券 各社への収入 運 賃 X社への収入 NHへの収入 クラス バルセロナ←成田 ¥100,000 ¥400,000 Y ¥500,000 ¥50,000 ¥200,000 B ¥250,000 ¥20,000 ¥80,000 V ¥100,000 プロレーションにて按分(原則距離) 10 ①インターライン 他社によるNH便販売 米国内・ カナダ ORD SFO ICN IAD JFK LAX 111券 (X社券) NRT HKG HNL TPE 中南米 BKK SGN MNL 運 賃 SIN 各社への収入配分 アジア⇔北米 CGK ¥500,000 X社への収入 NHへの収入 (アジア域内区間) (日米区間) ¥100,000 ¥400,000 =インターライン収入 11 ② Special Prorate Agreement (SPA) SPA: インターライン精算において、特定の区間の販売額を2社間で取り決める 205券 各社への収入 NHへの収入 LH ¥100,000 ¥400,000 AF ¥150,000 ¥350,000 BA ¥150,000 ¥350,000 運 賃 クラス バルセロナ←成田 Y ¥500,000 優位なSPA契約により、競争力の ある運賃の提供が可能 12 ③コードシェア 目的と意義 Codeshare: 一つの定期航空便に複数の航空会社の便名を付与し、販売を拡大する ① 自社便が運航している路線 ⇒ 生産量や時間値の補完 NRT=FRA、NRT=MUC ④自社便が運航している国内・国際線 ⇒ 自社へのフィードによる収入の拡大 ③以遠コードシェア ⇒自社便の品揃え強化 ②自社便が運航していない路線 ⇒ネットワークの補完 NRT=IST、VIE、ZRH、AUH、DOH 13 ③ ANAのネットワーク(自社のみ) 14 ③ ANAのネットワーク(コードシェア含む) ※NRT発着・GRU/JNBのみ以遠を表示 NH運航便 他社運航便 15 ③ コードシェアパートナー 16 ③ コードシェアによる効果 CRSでの優位表示 キャリア運賃の設定 法人契約の設定 GMP + HND 上位表示を通じた予約をとら れやすい環境の設定 運賃ラインナップの充実 競争力のある運賃設定 17 法人ニーズへの対応 ③ コードシェア 他社によるNH便販売 成田 例: LAX 以遠地点 以遠地点 186人 ① ANA 6便 ② ユナイテッド航空9686便 ③ エアカナダ6232便 ④タイ航空6092便 ⑤USエアウェイズ5157便 他社販売によるインターライン収入 18 出典:MARIA 2010年12月実績 グローバルアライアンスとは B社 B社 C社 G社 C社 D社 F社 D社 E社 グローバルアライアンス 2社間提携 線の太さ : 提携の強弱 マルチアライアンス 航空連合 19 グローバルアライアンス スルーチェックイン ラウンジの提供 マイレージプログラム 土台の共通化 一部のサービス 共通の運賃商品 統一されたサイネージ 20 グローバルアライアンスが提供するプロダクト シームレスな旅の提供 Move Under One Roof • • • • Common Baggage Facility Star Alliance Lounge TCI (Thru CK IN) Star Alliance Connection Center 21 グローバルアライアンスが提供するプロダクト スターアライアンスのMUOR London 2008-12 Seoul 2Q2008 Paris Los Angeles 2015 Miami Mexico 2005-09 Beijing NRT 1Q2008 2007 Barcelona Cairo 2008 Delhi Shanghai 2008 1Q2010 2Q2008 4Q2007 Bombay 2008-2010 Nagoya FEB2005 Bangkok SEP2007 Singapore 3Q2008 Johannesburg 2010 22 グローバルアライアンスが提供するプロダクト マイレージプログラムの相互利用 27社でのマイル積算 27社での特典席利用、アップグレード利用 スターアライアンス・ゴールド、シルバーとしてのベ ネフィット 23 Star Alliance Status Benefits • Gold Status offers – – – – – – – access to 950 airport lounges worldwide (plus guest) priority check-in priority airport stand-by priority boarding priority reservations wait listing priority baggage handling extra baggage allowance • Silver Status offers – priority airport standby – priority reservations wait listing 24 グローバルアライアンスが提供するプロダクト Star Alliance Fare Products Star Alliance offers 14 global fare & discount products Round the World Fares 3 Circle Fares 10 Airpasses Conventions Plus 25 グローバルアライアンスが提供するプロダクト Star Alliance Brand 統一されたブランド → ブランド力 → 世界でのブランドプレゼンス 26 アライアンス加盟キャリア (1997年5月14日~、26社) (2000年6月22日~、15社) ANA:1999年10月30日加盟(9社目) Star Alliance (1999年2月1日~、11社) SkyTeam oneworld LCC etc... Gulf others 27 (2012年11月現在) グローバルアライアンスの旅客数シェア (2011年) Global Passenger Shares Gulf LCC 18% Operating Revenue Shares Gulf 2% LCC 6% 3% = 25% 29% = 28% = 25% 16% = Others 14% PAX(m): Star SkyTeam Oneworld 579 358 312 18% LCC Gulf Star LCC Gulf 408 16% REV (bil): 160 42 SkyTeam Oneworld 100 88 LCC Gulf 35 17 Sources: StarAlliance, Innovata, IATA WATS 54 (published 2010) & Air Transport Intelligence. RPK shares based on 98.6% of the world ASK capacity with 1.4% estimate Operating revenues stated in billions USD and based on 86% of the world ASK capacity, 14% estimated. 28 【資料編】世界の旅客数 IATA データ 25億人(2009年実績) 世界の旅客数 1.8倍 地域別旅客数 国際線 国内線 単位 : 億人 45 億人 33 億人 20 アジア太平洋、14年に欧米を抜く 中国・インド国内線 10%越えの成長 アジア太平洋 北米 20 10 40 30 単位 : 億人 欧州 50 45億人(2020年予測) 25 億人 17 0 2 13 アフリカ 中東 20 10 中南米 296 28 10 15 20 10 154 0 0 2009 2014 2020 左 2009 中 右 2014 2020 29 データ元 : IATA Forecast 2010-2014 2020年データ、2010-2014平均成長率を適用 【資料編】アジア太平洋の国際線旅客数 旅客数 (単位:億万人) アジア太平洋域内 (国際線のみ) 1 0.4 億人 0.8 億人 4 1 3.4 億人 0.4 億人 欧州 0 北米 3 1 0.4 億人 0.7 億人 0 0.9 億人 中東 2 1.6 億人 2 0 1 1 0.3 億人 0.5 億人 2倍 0 0 アジア=中南米旅客流動 2009年 データ元 : IATA Forecast 2010-2014 2020年データ、2010-2014平均成長率を適用 1 296 アフリカ 0 中南米 30 154 2020年 2009年:79万人 2010年:101万人 世界の航空アライアンス そして・・・・・・LCCの追い上げ・・・・ +5% +0% +6% -1% +10% -2% Growth since 2007 +X% LCC Market Share -15%* +3% Non-LCC Market Share Source: Star Alliance Business Development with schedule data provided by Innovata for SEP12 and SEP07 - Note: The doughnut shows capacity for LCCs vs. non LCC-Carriers . The number in the centre is the number of percentage points by which LCC capacity share has grown since SEP07 – Regions displayed: North America, Central America and the Caribbean, Europe, Africa, Middle East, Asia, Australasia 31 * due to re-classification of Virgin Australia from LCC to Network Carrier Market shares within the displayed regions 世界の航空アライアンス Double Squeeze 機材発注数・予測数と退役機材数による座キロ予測 過去の推移 中東キャリア ワンワールド スカイチーム 3% 19% 18% スターアライアンス 25% 15% LCC 4% 19% 18% 4% 18% 17% 5% 5% 5% 6% 7% 8% 9% 9% 10% 10% 10% 11% 11% 18% 16% 16% 15% 14% 14% 13% 13% 13% 12% 12% 11% 11% 16% 25% 25% 25% 16% 17% 18% 16% 16% 15% 15% 14% 14% 13% 13% 13% 13% 13% 13% 24% 23% 22% 22% 21% 21% 20% 19% 24% 25% 26% 28% 30% 31% 33% 36% 25% 25% 25% 24% 19% 19% 20% 22% 中東 中東 と LCC の 台頭 LCC 他 20% 2005 19% 2006 19% 2007 18% 2008 19% 2009 19% 2010 19% 2011 18% 2012 32 17% 2013 16% 16% 15% 13% 13% 12% 10% 2014 2015 2016 2007 2018 2019 2020 本日お話をする内容 1. はじめに (自己紹介) 2. 航空会社にとってのアライアンス(提携)とは 3. ルフトハンザ・ドイツ航空とのアライアンス 4. 欧州ビジネス考察 5. Q&A 33 ルフトハンザドイツ航空(LH)とのアライアンス実践 スター アライアンス加盟日 May 1997 マイレージプログラム Miles & More 年間搭乗者数 65.43 million 1日あたりの運航便数 1,900 定期便運航国数 83 定期便運航空港数 217 拠点空港 Frankfurt, Munich, Duesseldorf 有償旅客キロ数 141.04 billion 総売上高(USドル) 20.62 BUSD 従業員数 39,392 機材数 407 機材の種類 Airbus A319-100, Airbus A320-200, Airbus A321-200, Airbus A330-300, Airbus A340-300/600, Airbus A380-800, Boeing 737-300/500, Boeing 747-400, , Bombardier CRJ700/900, Bombardier DH8 Q400, ATR 72500, Avro RJ85, Embraer ERJ-190/195 最終更新日 April 2013 34 ルフトハンザドイツ航空(LH)とのアライアンス実践 『ルフトハンザドイツ航空は、世界最大規模の大手航空会社の1つで あり400社以上の子会社を抱える航空グループです。 子会社には、①航空会社(ルフトハンザドイツ航空、オーストリア航空 、ブリュッセル航空、ジェットブルー航空、ジャーマンウィングス、(略) 、スイス インターナショナル エアラインズ)や、 ②ロジスティクス(Lufthansa Cargo)、③整備(Lufthansa Technics)、④ケータリング(LSG)、⑤IT(Lufthansa Systems) 分野を運営するサービス会社が含まれます。』 (スターアライアンス・ホームページより抜粋。一部追記。) 35 提携の深化 難易度 提携 と 競争 の関係 M&A ジョイントベンチャー グローバルアライアンス コードシェア マイレージプログラム さらなる信頼関係が必要 インターライン 提携の深化 0 36 ジョイントベンチャーのコンセプト Guiding Principle: “Metal Neutrality” マイレージ ネットワーク プライシング セールス プログラム 空港サービス お客様へ メタルニュートラルな商品を提供して、利便性を追及する Source: Star AMB Meeting JUN 2010 37 ATI Anti Trust Immunity (ATI) 米国運輸省(DOT)が連邦航空法に基づき許可した航空会社間の商務協定が、 一定の条件下で、アメリカ反トラスト法(Anti Trust Laws)適用を免除された状態 ・通常、以下の行為は競争法違反とみなされる ☆ 運賃の共通化 ☆ ダイヤ調整 ☆ 収入プール ☆ 共通で座席を管理する ☆ 社外秘情報を共有する ⇒ 独占禁止法適用除外の認可を受けると、上記の行為が合法化される! ・適用除外認可権限 日本 – 国土交通省, 米国 – DOT, EU – 認可制度なし(Self Assessment) 38 UA・LHとのJVの歩み 2010年 10月 11月 国土交通省 認可 DOT認可 2011年 2月 5月 共同運賃発売開始 成田=ニューアーク、成田=ヒューストン コードシェア拡大 2012年 7月 10月 2013年 1月 シアトル就航 ニューヨークダブルデイリー化 サンノゼ新規就航予定 2011年 6月 8月 国土交通省 認可 普通運賃の統一化 2012年 1月 羽田=フランクフルト就航 フランクフルト、ミュンヘン以遠コードシェア拡大 共同運賃発売開始 2月 2012年 後半 LHに加え、LX(ZRHハブ)・OS(VIEハブ)もJVに参加 39 【資料編】世界のJV AA/BA/IB DL/KL/AF/AL UA/AC/LH NH/LH JL/BA NH/UA JL/AA SQ/SK DL/DJ* *Virgin Australia NZ/DJ* *Virgin Australia 40 本日お話をする内容 1. はじめに (自己紹介) 2. 航空会社にとってのアライアンス(提携)とは 3. ルフトハンザ・ドイツ航空とのアライアンス 4. 欧州ビジネス考察 5. Q&A 41 欧州ビジネス考察 『ドイツに駐在してみて、これまでの出張では解らなかった様々な欧州 の顔が見えてきました。 ドイツ人の生活は、緑豊かな環境の中に しっかりとスポーツと文化が根付き、健康を土台に活動的な生活を 謳歌するライフスタイルは極めて質の高いものだと実感しています。 経済の好調さがより生活の質を高めているのでしょうが、現在の ドイツは通貨危機の懸念はあるものの欧州経済の牽引役として自信 にあふれている様にも感じます。』 (デュッセルドルフ日本商工会議所 2012年9/10月号会報の 「欧州夢想」寄稿文より抜粋) ⇒ 在欧州の日系企業(日本の窓口:英国、実ビジネス:独 or 大陸側) ⇒ 今後の注目市場(西欧・中欧・東欧から中近東・アフリカ・旧ソ連圏へ) 42 42 欧州ビジネス考察 『また欧州各国を訪問する度に、国毎に考え方も文化も異なることに 驚かされます。 国と国あるいは民族と民族が接して生活するのが 当たり前の感覚であること、それ故に絶えず緊張感を持ち不断の 備えを持って生活する様子は、明らかに島国・日本とは違います。』 (デュッセルドルフ日本商工会議所 2012年9/10月号会報の 「欧州夢想」寄稿文より抜粋) ⇒ グローバル化するドイツ(欧州)経済 * 英語は出来て当たり前 (UA機内風景、ギムナジウムの学生) * ドイツ車は今やグローバル車 ⇒ EUの盟主ドイツの役割 * Eurovison Song Contestでの風景 43 本日お話をする内容 1. はじめに (自己紹介) 2. 航空会社にとってのアライアンス(提携)とは 3. ルフトハンザ・ドイツ航空とのアライアンス 4. 欧州ビジネス考察 5. Q&A 44 中村のコンタクト先は、[email protected]まで! 45
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