28aC01P レーザー駆動原子力電気推進ロケットの検討 Laser- plasma Driven Nuclear Electric Propulsion System : Twin Star 九大・総理工 ○中島秀紀、川淵亮、松田伸夫、林田憲治、梶村好宏、山本直嗣 H. Nakashima, R. Kwabuchi, N. Mtsuda, K. Hayashida, Y. Kajimura , N. Yamamoto 電源として宇宙用原子炉を利用する電気推進システムを提案する。また、設計用のデータベース構築についても言 及する。 キーワード:宇宙用原子炉、レーザープラズマ推進,電気推進、木星探査 1.緒言 本研究の目的は、木星探査機の実現可能性を検討することである。すなわち、宇宙用原子炉を搭載し、 日本独自の技術を装備した次世代の原子力利用電気推進機システムを設計し、その検討を行い、木星探査の実現可 能性を明らかにすることである。 宇宙探査機「はやぶさ」は、幾多の試練と戦い、2005 年 11 月に、小惑星「イトカワ」に世界で初めて舞降り、 そして飛び立つと言う快挙を成し遂げた。この探査機には、メインエンジンとして、世界に先駆けて開発され た マイクロ波放電型イオンエンジン が搭載され、十分に性能を発揮し、快挙達成を支えた。このエンジン の動力は、太陽電池から得た電力であるが、次に期待される木星探査において、木星は太陽から離れているた め、太陽電池では十分な電力を得ることが困難である。従って、太陽からの距離に依存しない安定な電源が求 められている。 ミッションとしては、日本の得意分野のロボット技術を駆使するもので、木星におけるロボットプローブを 用いた 3He(理想的な核融合燃料)の埋蔵量の調査である。 2.システム概要 現在検討中のものを以下に示す。図1参照。 原子炉:原子力研究開発機構で開発が進んでいる高温ガス炉を参考にする。炉設計には、SRACコードシステ ムを採用する。MHD変換において冷却材をプラズマ化する必要があるため、冷却材にはHe/ArまたはHe/Xe混合ガス を用いる。仕様は、原子炉出力100kWth,冷却材出口温度1800K,連続運転時間10年,原子炉重量500kgを目標とす る。 エネルギー変換:原子炉で生じた高温のガスを利用して MHD 変換による発電を行う。この技術については、長 岡科学技術大学の原田信弘教授等との共同研究を進める。今のところ、MHD 変換とヒートパイプの質量のバラン スを考慮し、ヒートパイプの放射温度を 600K に設定する。その結果プラント効率は約 20%になり、駆動系に 20kW の電気を供給する。 レーザー:半導体励起固体レーザーを採用する。レーザー核融合炉[KOYO-Fast]を参考にする。 磁気ノズル:レーザーによりターゲット/ペレットをプラズマ化し、磁気ノズル2基で推力を得る。ロシアの レーザー物理研究所の Zakharov 教授等との共同研究である。 なお、 磁気ノズル内のプラズマ挙動については、 レーザー核融合ロケットの研究の中で、過去にプラズマ挙動の数値解析を実施し、推進効率の推定や推進 ベクトル制御手法の検討等を行った実績[1]があり、ミッション検討も含め、本開発に有効に活用できると 考える。 推進系には、イオンエンジンも検討する。 3.検討内容・結果 こ れ ら の 設 計 用 デ ー タ ベ ー ス を 構 築 し 、 ホ ー ム ペ ー ジ 上 で 公 開 し て い る 。 http://art.aees.kyushu-u.ac.jp/research/index-j.html 順次改訂し、システムを構築していく。 図1 原子力電気推進ロケット TWIN STAR 概念図 [1] Y. Kajimura, et al., Fusion Engineering and Design, 81, 2871-(2005).
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