・ミュンヘン工科大学 ミュンヘン工科大学(TUM)はドイツ・バイエルン州の南部、ミュンヘン市にある。ミ ュンヘンには TUM の他に LMU(ルートヴィヒ・マクシミリアン大学) 、HFF(ミュンヘ ン映像映画大学)があり、TUM は工学、理学、医学等の理系分野や経済学、土地管理学な どを主に取り扱っている。数多くの著名人やノーベル賞受賞者を輩出しており、ドイツ国 内でも名高い名門大学と言われている。 キャンパスは主に二つに分かれており、建築・土木、電気情報、薬学、スポーツ科学は 街中心部のミュンヘンキャンパス(セントラル)に、化学、情報、数学、機械工学、物理 学はミュンヘン市北東部のガーヒングキャンパスに所属している。ガーヒングキャンパス は近年新しくできたキャンパスで設備が新しい(らしい)。他にも TUM 所属の機関や研究 室がミュンヘン市内に多数存在する。 私が研究をしている LVK(Lehrstuhl für Verbrennungskraftmaschinen、熱機関工学研 究室)には多くの学生や研究者が所属しており、エンジンに関する研究が非常に活発に行 われている。研究室には FIRE、CATIA V5、MATLAB 等のソフトウェアが揃っていてシ ミュレーションや設計・制御についての知識が豊富に蓄えられているためこれらについて 学びたい学生にとっては非常にいい環境だと思う。 留学をするにあたって ~ミュンヘン工科大学編~ ・ 渡欧する前 1.留学意思の提示 留学意思の提示は直接留学生課、あるいは教授を通して(推薦の場合のみ)行う。 留学説明会の日時、応募方法・面接などは留学生課 HP に詳しく掲載されているので目を 通しておくようにする。面接は英語でも可能。 2.入学手続き 留学が決まると留学生課からの通知の後に留学先大学から手続きについてのメールが来 る。それに応じて回答すれば入学手続きは終わるはず。 少してこずるかも知れないのが、留学 3 ヶ月前くらいに現地留学生課から送られてくる であろうメールに書かれてある現地での保険の契約と student entrance fee の振込み。現地 での健康保険は学生用 VISA を取るために必須なのでドイツ国内の保険会社と契約するの が楽。AOK という保険会社が有名で日本国内からでも保険の契約を受け付けてくれる。 AOK 英語ページの質問フォームから申し込みの旨を伝えれば丁寧に対応してくれる。 Student entrance fee は学生登録に必要な金額(だったと思う)。42€をドイツの銀行の 口座に振り込むので海外送金を受け付けているゆうちょ銀行もしくは民間銀行から海外送 金をすることになる。注意するのは日本国内だけでなくドイツの銀行側でも 5€ の手数料が 発生すること(銀行によって違う可能性があるので要確認)。そのため、日本の銀行で支払 うのは 47€+日本の銀行での手数料となる。 これらをメールで指定された期間内(後期留学だと 8 月中)に行い、保険会社から送られて きた PDF と振込みの控えを E メールに添付して現地留学生課に送ればよい。 住処も studentenwerk から寮の手配についてのメールが 2~3 ヶ月前から何回か来るの で確保して欲しい旨をその都度伝えるとよい。希望の場所があるならば studentenwerk に 伝 え れ ば 考 慮 は し て く れ る と 思 う 。 私 が 知 っ て い る 限 り で は LVK に 通 う な ら Olympiazentrum、Garching キャンパスに通うなら Studentenstadt の方が何かと便利だ と思う。これらの寮に入居できるのは新学期が始まってからなのでそれ以前に渡欧する場 合はそれまでの宿泊場所の確保が必要。後期組は 9 月半ば~10 月始めががオクトーバーフ ェストというお祭りの時期でホテルは殆ど埋まってしまうことに注意。 3.飛行機のチケット 予約はインターネットでもなんでも大丈夫だと思う。ちなみに、私はトルノスという JTB 子会社のサイトを利用した。予約して支払いが終わると e-チケットがネット上で見られる ようになる。それがチケット代わりになるので印刷して空港の窓口に持って行けばいい。 なお、メールで領収書を請求すれば郵送してくれる。渡航費補助が貰える人は請求するの がよい。 渡欧のパターンとしては成田経由で欧州着か、福岡発で国外を経由して現地着の 2 通り ある(と思われる) 。国外経由の場合は経由地での待ち時間が長かったり、経由地からの便 に日本人乗務員がいないなど考えられるので気になる人は注意。私の場合はスイス航空で チューリッヒ経由ミュンヘン行きの便を使用したが、経由地での待ち時間も短く非常に快 適だった。 4.VISA の申請準備(現地での生活費用の準備) 日本から EU 圏内に行く際には観光ビザで入国できるため日本国内で留学ビザを取る必 要なない。しかし、観光ビザは 3 ヶ月しか有効でないため現地で留学ビザを取得する必要 がある。 現地でビザを申請する際、現地での生活費が確保できていることを保障する書類を提出 する必要がある。ミュンヘンでの最低月額生活費 648€であることから、月々648€の生活費 を保証する書類の提出が必要である。そのため、英語で半年分のお金が入った銀行口座の 残高証明や奨学金の証明書を用意すること。1 種奨学金を貰う人であれば金銭額的には問題 ないと思われる(2010 年 11 月現在) 。 4.現地に送金する方法 渡欧時に留学用のお金全額を全部持っていくのはリスクが高いためある程度は日本から 送金する必要がある。送金に必要な要件や注意事項は十分に理解しておくこと。オンライ ンバンキングで国際送金が出来るようであればそれが一番楽に送金できる方法だと思われ る。私は 3000€弱を現地の銀行口座に入れて家賃と保険の引き落とし専用にし、日常生活品 はほぼクレジットカードの 1 回払いで買った。(1 回払いだと両替手数料しかかからないた め安く済む) 5.現地での流通貨幣 現地ではユーロが流通しているので渡欧する前にある程度のお金をユーロに変えておくの が望ましい。流通紙幣は 5,10,20,50€札。100€、500€札なんてのもあるらしいが殆ど流通し ておらず、それらで支払おうとすると困惑される。また、自販機や券売機では低額紙幣し か取り扱ってくれない所が多い。そのため、日本でユーロを買う場合は低額紙幣を多めに してもらうのが望ましい。また、不慮の事態に備えて 2000€くらいは持って行ったほうがい いと思う。 6.証明写真 ビザ、寮の契約、定期の発効にそれぞれ必要。パスポートサイズを 4 枚くらい持っていく と便利。 7.留学開始前の旅行 お好みで。9 月後半の旅行であれば地中海沿岸がお勧め。9 月になるとドイツはもう寒い。 ・ ミュンヘン空港に着いてから~ ミュンヘン空港に着いて荷物を受け取ったら関税品が有る人用の出口と無い人用の出口 がある。出口を出ると赤い文字で DB の標識があるからそれに従って歩く。 空港内のある建物内でも切符が売っている。券売機には英語の表示もあるがわかりにく い。その中の Streifenkarte を買おう。これは回数券みたいなもので 10 枚綴りの券が発行 される。11.5€ で券売機のボタンを押してからお金を入れる仕組。紙幣は 5€ 、10€、20€札し か受け付けてくれないので注意。 切符を買ったらホームに向かう。地下に降りるエスカレーターの前に青い刻印機がある ので買った Streifenkarte を 8 と 9 の間で折って切符に書いてある矢印の方向で刻印機に差 し込む。これで S バーン(S1 もしくは S8)でミュンヘン市内まで行ける。ミュンヘン市内の 交通機関はドアが自動では開かないため注意。 ・ 手続き~ 1.学生証 新学期が始まるとまず大学に学生証を取りに行こう。手続きは地下鉄 U3 または U6 の Universitat 駅最寄の Central キャンパスで行う。学生証は一階のガラス張りの部屋で、留 学生用の手引きなどは一階留学生課(0192 号室)で受け取ることが出来る。留学生課では Immatrikulationsbescheinigung(入学証明書)が貰えるか、それとも自分で印刷(TUM Online 経由)しないといけないかを聞くこと。これがないと VISA が発行してもらえない ので、もし自分で印刷しないといけないのであれば VISA 取得は研究室訪問以降になる。 必要なもの:パスポート、TUM 受け入れ通知書(Zulassungsbecheid) 2.寮 寮を希望した場合は新学期開始初日の午後から寮で受付が行われる。長蛇の列になるの で注意。メールで予約の旨を伝えた者であることを言えば受付してくれるはず。この時に 自分の部屋の住所を確認しておこう。後々KVRでの住所登録で使用する。 必要なもの:パスポート 3.住所登録 寮の住所がわかったら早めにKVRに住所登録しに行こう。KVRは地下鉄 U3 もしくは U6 で Poccistaβe 駅下車。苗字のアルファベットごとに部屋が分かれているので自分の苗字 の部屋に入って、受付で待ち番号の紙をもらう。自分の待ち番号が来たら部屋に入って登 録しよう。手続きが終わると住所届出証明書(Anmeldebestatigung)が貰える。これはその まま住所証明になる。営業日時に注意。 必要なもの:パスポート、TUM 受け入れ通知書(Zulassungsbecheid)、自分の住所 4.携帯電話 保険や銀行などの手続きで番号が必要になるため契約する。マリエン広場(Marienplatz) には多くの携帯電話店があるためそれらの店のどれかで携帯電話とプリペイド SIM を購入 する。主なキャリアは T-Mobile、Vodafone、O2 等。 必要なもの:パスポート、 (住所届出証明書(Anmeldebestatigung)) 5.銀行 家賃の引き落としや健康保険の支払いは銀行口座を通して行うため、ドイツ国内の銀行 で口座を開く必要がある。手続きが楽なのは Marienplatz にあるドイツ銀行(Deutsche Bank) 。口座を開きたいと伝えれば英語で丁寧に説明してくれる。ただし、開口期間は1年 と言わないと口座を開かせてくれない(半年だと短すぎるらしい)。 必要なもの:パスポート、住所届出証明書(Anmeldebestatigung)、電話番号 6.学生ビザ申請 3.の KVR にまた行く。2 階に学生ビザ取得のコーナーがあり、そこにある書類に必要事 項を記入して提出し、番号札をもらう。親の生年月日も書かないといけないので覚えてお く。番号で呼ばれると部屋で書類の不備がないかを確認され、何事もなければ書類を渡さ れ会計で 50€支払うようにと言われる。会計で支払い、少し待つと無事ビザが手に入る。 必要なもの:パスポート、Immatrikulationsbescheinigung(入学証明書)、生活費を証明で きる書類、健康保険関連の書類、証明写真、50€ 7.健康保険 銀行口座が出来たら健康保険会社に出向いて住所、銀行口座、電話番号を登録する。 Tram18 か 19 で Barthstraße 駅下車。降りて進行方向右側の建物。すでにネットで契約し ていれば手続きは 10 分以内に終わる。 必要なもの:保健の書類、住所届出証明書、銀行口座番号、携帯電話番号 8.MVV 定期券 定期券の発行には TUMOnline で印刷できる MVV 用の書類と Hauptbahnhof 駅1階窓口 にある購入用の書類が必要。購入用の書類には必要事項を記入して、研究室でサインと判 子を押してもらう。 定期券を入れる定期入れの発行は Hauptbahnhof 駅でしてもらえる。場所は1階売り場の 購入用書類が置いてある窓口。手続きをすると写真つきの定期入れを作ってもらえて買っ た定期をその中に入れる仕組。1週間(Wochenkarte)と1ヶ月(Monatkarte)の定期があるが 有効期間は月曜から日曜まで、あるいは月の初めから終わりまでと期間が決められている。 定期券自体は地下鉄の券売機(カードで支払うタイプのみ)でも買えるらしい。 必要なもの:パスポート、住所届出証明書、MVV の書類、購入用書類、証明写真 補足 1.寮 私は Studentenstadt と Olympiazentrum の 2 箇所に行ったことがあるのでそれぞれの 利点と欠点を述べておく。 Studentenstadt ・利点 寮内にスポーツバーがある Garching キャンパスに近い ・欠点 スーパーマーケットが少し遠い(地下鉄 1 駅分) 周りのファストフード店が駅のキオスクのみ Olympiazentrum ・利点 LVK まで自転車で 20 分 スーパー、ファストフード店が近くにある ・欠点 近くにバーがない(らしい) 補足 2.体調不良 私はドイツに入ってから腹痛や腹が緩くなることが度々あった。原因は市販されている 硬水が体に合わなかったことだったようで、鉱分の少ない水に変えた所症状は治まった。 補足 3.クレジットカード クレジットカードのキャッシングは手数料が高いためお勧めできない。ショッピングで あれば両替手数料しか基本的にはかからないはずである。カードによっては変わるかもし れないので要確認。 補足 4.日曜日 日本とは違って日曜日には殆どのスーパーやお店は閉まっている。レストランは所によ って開いているが期待してはいけない。Studentenstadt のバーは日曜日にも開いている。
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