322号 - 結核予防会

総裁秋篠宮妃殿下
ご動静
資金寄付者感謝状贈呈式並びにお茶会
平成20年5月14日/リーガロイヤルホテル東京
妃殿下は,結核予防事業資金として結核予防会に多額のご寄付を下さった方々に,
感謝状をお渡しになりました。また,式典に続き記念撮影とお茶会が行われ,資金
寄付者のテーブルをまわって,お一人おひとりにお声をかけてくださいました。
感謝状の表彰をされる妃殿下
お茶会にて,お声をかけられるご様子
Message
結核国際協力
飛躍の年に寄せて
本年は,日本において大きな国際会議が複数開催
されております。本誌が発刊される頃には,北海道
洞爺湖で行われたG8サミットの結果も判明している
ことと思われますが,5月には横浜で第4回アフリ
カ開発会議(TICAD蠶)が開かれ,保健システム
の強化,母子保健の向上とともに結核を含む感染症
対策について,①世界エイズ・結核・マラリア対策
基金を支援(日本政府は5億6000万ドルの資金支援
を誓約)②DOTSによる予防,検査及び治療活動等
を通じ,2015年までに結核有病率及び死亡率を1990
年比で50%削減するという国連のミレニアム目標を
達成するための取組を支援する,と宣言されました
(横浜行動計画)。
このTICAD蠶とG8北海道洞爺湖サミットでの感
染症対策をうけて,7月24,25日には「世界におけ
る結核制圧に向けて」と題する2日間の国際結核シ
ンポジウムが開催されます。主催者は外務省,厚生
労働省,WHO西太平洋地域事務局(WPRO),ストッ
プ結核パートナーシップ日本と結核予防会の5者で,
結核分野における世界の専門家を招聘した画期的な
場にしたいと考えております。
その趣旨を要約すれば,次のようなものになろう
かと思われます。
結核予防会理事長
仲村 英一(なかむら えいいち)
① 国際社会全体として結核対策を強化すべきという
不退転の強い意志を確認し,併せて保健システ
ムの強化への取組が有効であるというメッセー
ジを世界に向けて発信する。
② 世界の結核死亡者の1割を救う行動計画を目標に
したわが国の官民のパートナーシップによる取
組を発表する。
③ 日本及びアジア,特に西太平洋地域の経験を生か
して,HIV/エイズと結核との二重感染や多剤耐
性,超多剤耐性結核等が深刻で有病率が増加し
ているアフリカや世界の結核対策に貢献する。
④ 結核予防会結核研究所で研修した結核専門家2,000
人超のネットワークづくりと,世界基金を活用
した対策等への積極的な関与方策を検討する。
そして何よりも,このシンポジウムを機に,官民
一体となって結核対
策が進むとの堅固な
決意で,今年が結核
ゼロに向けた希望の
第一歩になることを
願っております。
Contents
■メッセージ 結核国際協力飛躍の年に寄せて 仲村 英一・・・・・・・・1
■結核病学会報告
●第83回結核病学会総会印象記
大森 正子・・・・・・・・2
●公開シンポジウム
今結核対策がおもしろい:世界への日本の貢献・・・・・・・・4
■ストップ結核パートナーシップ日本だより№3 いまなぜ「ストップ結核パートナーシップ日本」なのか?
森 亨・・・・・・・・5
■アフリカンフェスタ2008に結核予防会が出展参加をした 冨名腰 あん・・・・・・・・6
■ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟
「マニラ首都圏都市貧困層における結核対策プロジェクト」視察
鈴木 真帆・・・・・・・・7
■国際結核シンポジウムのご案内
・・・・・・・・・8
■シリーズ 結核予防会創立70周年を迎えるにあたって(2)
わが国の結核病学の特徴
青木 正和・・・・・・・・9
■トピックス
35年ぶりに抗結核薬(リファブチン)が承認された ・・・・・・・・・11
■シリーズDOTS 結核の病院連携クリティカルパスの作成について
青笹 美香・・・・・・・・12
■平成19年度フィルム評価会報告
尾形 英雄・・・・・・・・14
■結核サーベイランス研究会(TSRU)に参加して
山田 紀男・・・・・・・・16
■ザンビアでの住民主導による結核・HIVコミュニティー
DOTSプロジェクト
堀井 直子・・・・・・・・17
■平成20年度結核予防会広報・シール担当者会議
「心ひとつに,夢をもって」
松枝 尋子・・・・・・・・18
■シールだより 平成19年度複十字シール募金結果報告 ・・・・・・・・19
■呼吸の日記念フォーラム2008
家族を守れ! 肺の健康を考える
・・・・・・・・20
■肺年齢測定体験会
呼吸の日記念イベントin横浜開催される
・・・・・・・・・21
■2008年世界禁煙デー記念シンポジウム
子どもをたばこから守るために
・・・・・・・・・22
■タバコ問題首都圏協議会主催 2008年世界禁煙デー記念シンポジウム
受動喫煙のない環境−タバコの煙のない社会をめざして ・・・・・・・・23
■結核予防会の禁煙ポスターが出来ました!
・・・・・・・・23
■東京都内の街頭に肺年齢体験希望者の行列−「世界禁煙デー
記念移動肺年齢測定体験会」開催−
三宅 新吾・・・・・・・・24
■第44回日本循環器病予防学会参加報告 上田 博子・・・・・・・・24
■結核予防会支部紹介の頁 京都府支部 佐藤 篤彦・・・・・・・・25
■エイズ ASEAN・日本HIV/AIDSワークショップ
−アンコールは遠かった−
山崎 厚司・・・・・・・・26
■新型インフルエンザに関する最近の情報 森兼 啓太・・・・・・・・27
■健康ネットワーク通信№20
菊地 健司・・・・・・・・28
▽予防会だより
●ハッセイ博士の講演会行われた
・・・・・・・・29
●公共広告機構(AC)第34回通常総会で
結核予防会広告紹介される
・・・・・・・・29
●60年間結核と闘ってきた日患同盟が記念集会・
祝賀会を開催
・・・・・・・・・30
●複十字病院工藤翔二院長が平成20年度環境保全功労者
表彰を受ける
・・・・・・・・30
●結核研究奨励賞受賞者決定
・・・・・・・・30
●切手に見る結核 5.結核に悩んだ国家元首
・・・・・・・・32
〔表紙〕平成20年度複十字シール運動ポスターより
〔カット〕佐藤奈津江
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1
第83回結核病学会総会印象記
大森 正子
結核研究所研究部主任研究員 2008年4月23∼24日の両日,結核予防会結核研究
所長石川信克会長のもと日本教育会館(東京都千
代田区)にて,第83回結核病学会総会が行われま
した。「低まん延に向けた結核対策−世界の結核
対策と手を結んで−」のテーマには,長年海外協
力の分野で活躍されてきた石川会長の思いが込め
られているように感じました。今回の総会は,ミ
ニシンポジウムも含めてシンポジウムが11セッショ
ン,要望課題が3セッションと,テーマを絞って
の発表や討議が特徴的でした。一方,一般演題も
口頭発表とポスターを含めて148題にのぼり,結核
研究がまだまだ健在であることを印象づけるもの
でした。
結核感染をめぐって
結核菌の遺伝子分析やQFT検査が広く行われる
ようになり,感染ルートや感染の有無の確認に関
心が集まっています。本学会でも1つの招請講演「結
核分子疫学から何を学ぶか」と,3つのシンポジ
ウム(「結核感染の実態に迫る」,「分子疫学研
究の進歩と対策への応用」,「新しい感染診断法
を使った研究の展開」)が関連する内容でした。
シンポジウム蠡「結核感染の実態に迫る」に参
加しました。いかなる人が感染源となるかでは,
疫学的な状況分析と分子疫学の双方から,社会的
活動が活発と考えられる30-40歳代の患者で感染源
となる確率が高い。逆に,いかなる人が感染する
かでは,まず同世代,次いで周辺世代で感染の確
率が高いとのことでした。また,都市部では,住
所不定者と一般住民の間での結核菌の伝播も少な
くなく,特に,M株と名付けたSM耐性の菌は若者
の利用が多いネットカフェ等を介して感染が広がっ
ているとの指摘がありました。結核病棟を有する
病院職員の結核発病率の高さは以前から報告され
ていますが,これまでは発病率がリスクの指標になっ
ていました。しかしQFTによるフォローが可能になっ
たことで,これからは感染危険率がリスクの指標
となる可能性が見えてきました。結核専門病院の
演者2名が示す職員の感染危険率は0.4%から1%で
したが,これは全国の推計感染危険率0.05-0.07%と
比べても非常に高い値です。一方,感染危険率は
まだ高いものの施設整備とマスク装着指導,QFT
2
7/2008 複十字 No.322
でのフォローを導入してから発病者は激減したと
の報告は明るいニュースでした。
ミニシンポジウム蠡「新しい感染診断法を使っ
た研究の展開」に参加しました。QFTでは過去と
最近の感染の区別がつかないので,結核感染のモ
ニタリングという点での使用は難しいといわれて
いますが,治療開始から治療終了後もQFTの検査
結果を,時間を追って観察していた事例で,QFT
が治療終了後に上昇し内因性再燃で排菌した例が
報告されました。治療完遂者のフォローの必要性
も含めこの方法を結核対策に取り入れるかどうか
は別の議論ですが,QFTから再発が確認できそう
だということは興味深く拝聴しました。その他,
T-SPOT.TB(結核感染診断キット)が免疫的に脆
弱な小児やHIV陽性者に有用であること,QFT-3G
では採血から抗原刺激までの時間的問題が解決さ
れ感度が高まること等,基礎系ではない自分にとっ
て多くの情報を得て,勉強になったと思います。
QFT検査も含めた総称であるIGRA(InterferonGamma Release Assay)検査はまだ歴史が浅く,
現在も多くの研究が行われており,感染診断の技
術的進歩はまだまだ続くと思われました。一方,
このように検査法の技術が次々と進展し,多くの
検査機関で商業的に実施されるようになってきた
なかで,精度の問題も起こっているようです。
QFT検査実施検査機関の精度測定の結果,24%は
技術改善の指導を受ける必要があるとの結果だっ
たそうです。これからますますIGRA検査技術は進
歩し、現場で容易に実施可能となるでしょう。また,
その技術は感染診断から発病診断にまで広がって
いくものと思われます。そうなれば、技術的にも
機械的にも高い検査精度が要求されます。演者が
強調するように,QFT検査機関全てが参加すべき
精度管理システムの早急な確立を感じました。
多剤耐性結核の背景
Soolingen先生の招請講演蠡と松本先生の今村賞
受賞記念講演を拝聴し,共感するものがありました。
分子疫学の技術的な開発・発展を進めていく過程
で多剤耐性の様々な問題が明らかになってきた点
は両先生に共通しています。Soolingen先生は,
RFLPとVNTRの関係も講演の主題として話されま
第82回日本結核病学会報告
したが,疫学を専門とする自分には,北京株の疫
学的な状況に興味を覚えました。北京株が多剤耐
性になりやすいということには異論もあるようで
すが,先生によれば,「世界の北京株の分布は世
界のMDR-TB(多剤耐性結核)の分布とよく似て
おり,北京株と非北京株を比較すると多剤耐性率
は北京株で高い。北京株でもモダン北京株の系統
がMDRの拡散に影響している」。また,印象に残っ
たことは、このような疫学事象は,検査をongoing
(現在進行中)で行っている研究があってわかっ
たことだ、と強調されていたことです。
松本先生の場合も,病院においてongoingで行っ
ている検査結果から「多剤耐性は治療の失敗だけ
ではなく感染によって伝播している」と実感し,
しかも「治療の失敗によってできた多剤耐性菌よ
りも初めて感染して発病した多剤耐性菌の方が多
くの抗結核薬に耐性である」という事実に気付き,
感染拡大を防ぐことの重要性を訴えられました。「研
究とは,求めたい結果を予想し,その結果を出す
ために,どれだけのサンプルサイズが必要で,
云々・・」とよく研究の理想が語られます。全く
その通りです。しかし,このように公衆衛生学的
あるいは臨床学的にongoingで行っている業務から
も、貴重な結果は見いだせるのです。本学会で「サー
ベイランスを用いた対策評価」という教育講演を
させていただきましたが,ongoingで動いている業
務は、結核サーベイランスも同様です。このシス
テム運用の維持・管理、そして発展までを考えた
場合,単なる努力ではできないと落ち込む日々で
したが,両先生の報告から力を頂いた気がしました。
DOTSによる結核対策
結核病学会総会では,近年,DOTS
関連のシンポジウムが続いています。 〈写真〉
今年もまたシンポジウム蠹で「地域
DOTSの展開」が取り上げられました。
病院・保健所の方々の創意工夫に満ち
た努力で,患者さんの治療完遂にむけ
て頑張っている様子が伝わってきまし
た。その中で,地域連携クリニカルパ
スについては,保険適用は可能かなど
の質問もあり,フロアの関心も高いよ
うでした。入院期間が短くなり,その
分地域DOTSの期間が長くなっている
実情から,様々な機関の連携と協働が
必要になっているからでしょう。ただ,
まだバリアンス(パスで想定された経過からの逸脱)
発生時の対応など,いろいろ克服すべき問題があ
るようですし,病院内でも,入院パスから発展し
たシステムなので,入院パスと間違われやすいな
ど悩みもあるようです。しかし,地域連携パスは、
まだ開発されて間もないこともあり,これから多
くの地域で同様のパスが作られ,その結果の報告
が積み重なれば,更に改善が進み地域に根ざした
連携パスに発展していくでしょう。今後の展開が
楽しみです。
人間の安全保障
会長講演のテーマは「社会的弱者の結核−人間
の安全保障の視点から−」でした。安全保障とい
う用語からは,国家の集団的な安全保障がまず頭
をよぎるのですが,人間の安全保障は,国という
枠組みから人間に焦点を移したものであり,社会
福祉の理念に直結する新鮮な響きを受けました。
結核の分野に当てはめれば,結核という不幸への
取り組みを通して,患者や社会のエンパワメント
を起こし,社会的に脆弱な人々の生きる力を強化
することが根底にあるそうです。長年のバングラ
デシュや新宿での活動から紹介された多くの写真は,
まさにその証拠を如実に示すものでした。会場で,
結核の患者体験をした野宿生活体験者と一緒に作っ
たというパンフレットを頂きました(写真)。学
会で紹介された人々の自信に満ちた明るい顔とパ
ンフレットの行間に溢れる成長の証を眺めつつ,細々
ながら隅田川でホームレス支援のボランティアを
している自分も,いつか,仲間と一緒に生きる力
を強化したと思える体験をしたいと思いました。
以上、かなり私的な思いを込めて結核病学会総会
印象記をまとめさせていただきました。
会場入口にて(左は森結核研究所名誉所長)
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第83回日本結核病学会総会公開シンポジウム
今結核対策がおもしろい:世界への日本の貢献
4月24日(木)17:10∼19:30,日本教育会館(千
代田区)一ツ橋ホールにおいて,200名近い参加を得
てシンポジウムが開かれた。今回は,一般も参加で
きるという企画で病学会としては初めての試みだった。
最初に座長のWHO本部結核対策部の小野崎郁史
先生から,「これから話すスピーカーはすべて40代
です。若いと取るか,おじさんと取るかは聞き手に
ゆだねますが,色々な国で結核やエイズ,母子保健
の世界で活動されてきた方々の話を聞いてください」
と学生と思われる参加者に呼びかけた。
シンポジストからの発言
一人目は,カンボジア結核対策をされた結核予防
会の杉山達朗先生で,暗い歴史から復興を迎えたカ
ンボジアにおいて,1994年からJICAの長期支援が始
まり,結核対策が国全体に広がっていった経緯をお
話された。患者発見率は,ヘルスセンターでDOTS
を行うことによって増えたが,さらにその裾野を広
げるためにコミュニティに入る活動を紹介した。そ
のためにお金だけではなく,病院などのインフラや
人材開発など,それぞれを得意とするNGO,WHO,
その他の専門集団と提携して進める現状も説明した。
二人目は,結核実態調査をされた結核研究所の山
田紀男先生が,結核の実態調査の意義や結核対策の
方向性について解説した。ミャンマーで現場に出か
け調査した結果,約10年前と比べて,ヤンゴンでの
調査(2006年)では患者のピークが40代から30代に
移行しており,現在進行形の病気と理解することが
できた。また,調査を通して多くの人(チーム)で
活動し,コミュニティに行って現地の人と話しなが
ら問題点を掘り起こし,住民参加で行った健診が,
住民へのサービスになっているところが,おもしろ
さを感じるとまとめられた。
三人目は,SHARE国際協力市民の会の澤田貴志氏。
今まで世界5ヵ国の支援活動をNGOとして続け,地
域のボランティアとの活動を報告された。日本にお
ける結核対策として治療に結びつきにくい外国人の
対策を実施した事例をあげた。治療を完了するため
に健康相談会を実施し,言葉が理解できない方に
DOTSを行う方策を検討された。支援員として通訳
の方をDOTS事業に盛り込むなど,東京都や結核予
防会と協力して実施して治療成績を上げた。
四人目は様々な国で結核のみならず母子保健,保
健政策など幅広いご経験をお持ちのWHOパキスタン
の江上由里子先生が,バングラデシュでの母子保健
対策の経験をお話された。8ヵ月の服薬確認記録の
考え方を反映して,妊産婦健診の記録を中期的かつ
継続的なフォローアップと位置づけ,機能させてい
かれた経緯がお話された。現在健診数が増え,それ
によって必要になる薬や医療体制の整備,現場のニー
ズにあった研修のフィードバックを課題とし,今の
日本に求められているのは,世界への協力体制と人
材の貢献と大学や研究所,そして民間との連携が重
要と話した。
五人目は,ザンビアJICA専門家をされていた座間
4
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智子先生。横浜市で6年間の保健師活動後,結核研究
所で勉強され,ソロモン諸島で対策を実践後,ザン
ビアに94年から2006年までTB/HIVの専門家として
活動された。ザンビアでは,すべての結核患者に
HIVのテストをする国家プロジェクトが始まり,効
果を出しているが,現場では,医療関係者の感染へ
の不安,検査を受けることへの抵抗,治療したくて
も生活のために望むようにできないという本音も紹
介した。お金も必要なものもないという状況の中で,
現地の人と協議して一緒にやっていくことが醍醐味
と語られた。
最後には,座長でもあるWHO東地中海地域事務所
の清田明宏先生が,WHOでどんな仕事をしているか
わかりやすく説明した。東地中海地域には22ヵ国あり,
その国の問題点を上げ,改善のための計画を策定,
支援するという仕事と概略を説明した。結核対策の
おもしろさは,「もの」が動き,「人」が動き,「金」
が動くこと。目に見えて治療を受ける人が増え,そ
のために色々な人が連携しながら,GDFなど500億
円ものお金が22ヵ国で使われているということは,
非常に面白い。「日本は,経験もネットワークも資
金も対策をする受け皿まで整っていて未来は明るい!
結核より早く感染する熱意が必要」と聴衆に訴えた。
壇上のシンポジスト
会場からの発言
スピーカーが壇上にあがって,会場からの質疑
に答えられた。海外で母子保健の国際協力をした
いと考えている看護学生からは,今までの活動の
障害になったことをきかせてほしいという質問が
出た。文化の違いや良かれと思ったことが相手を
傷つけたり,時間の感覚がちがっていてイライラ
したりという様々なエピソードを伺った。また英
語力の問題についても,簡潔に話す,内容がある
かどうか,相手の話を聞き自分の主張を伝えて納
得させることが必要とされ,身振り手振り,ホワ
イトボードに書いて説明するなど,言葉だけでは
ないコミュニケーション能力も問われると話した。
最後に,石川結核研究所長から国際協力に興味が
ある方には,ぜひ「人間力」を養ってほしいと話さ
れた。日本で学ぶことには限界があり,現地に行っ
てまずコミュニティに関わって現場を知り,公的機
関にも掛け合いながら,理解しあってはじめて国際
協力がなしえると説明した。所長自身が「世界平和」
の実現という理念で苦しくてもやり続けている。若
い皆さんにもぜひ今日のシンポジウムを聴いて,国
際協力,また結核対策の扉をたたいてほしいとまと
めた。
(文責:編集部)
いまなぜ「ストップ結核パートナーシップ日本」なのか?
ストップ結核パートナーシップ日本
1970年代,予防,診断,治療の近代的な道具立てがそろったころ,
欧米そして途上国を巡る国際社会で,医療や政治の関心は結核からど
んどん消えていきました。「結核はこのまま惰性で消える――」と。
これが15年,20年後にたいへんなツケとなって返ってきました。1980
年代後期の米国はじめ多くの先進諸国の結核逆転・停滞,そして多剤
耐性結核の出現,そして途上国の「結核爆発」です。折からのHIVの
流行がこの火に油を注ぎました。
いささか遅まきながらこれに気づいた国際社会は1990年代後半から
DOTS(ドッツ)を武器に結核との戦いを,先進国,途上国双方で展開しました。その中
で当事国はもとより,それらに関連する官民すべての組織,機関が一つの目標を目指すパー
トナーとなって,同じ舟(ship)に乗り,結核流行の荒海を漕ぎ切ろう,という運動が起き
ました。2000年に出帆したStop TB Partnershipの運動です。この世界的な努力の甲斐あっ
て,ごく最近ではようやく明るい将来が見えかけてきたところです。しかしまだまだ手を
ゆるめるわけにはいきません。
このパートナーシップの「お国版」がいくつもの国で作られています。先進国で真っ先
に(2001年)できたのはカナダでした(Stop TB Canada,www.stoptb.ca)。カナダの結
核罹患率は人口十万対4(日本の5分の1)ですが,世界の結核問題に対する政府の関与を
強めることを目的としてこのパートナーシップができたのです。このなかでカナダは世界
抗結核薬基金の最大の資金提供国となり,パートナーシップの議長国となりました。
さて,それで日本です。1999年の結核緊急事態宣言以来国内の結核問題への関心は幸い
にして大変盛り上がりました。それに並行して結核対策の見直し(我々関係者の思い入れ
では「強化」)が検討されました。そして,紆余曲折を経て結核対策は感染症法への統合
というかたちで新たな出発を果たしました。しかし,「これで一段落」「結核も減ったか
ら,これからは感染症の one of themね」と思われたら大変です。今の日本の結核は,米
国の逆転上昇の原因となった「手抜き」を始めた1960年代終わりから1970年代初めの状況
と似たレベルにあります。ここでいい加減なことをすれば前車の轍,10年後にツケが来る
ことは目に見えています。大いに緊張して新しい結核対策の現場への適用を果たさなけれ
ばなりません。しかし現実には医師や看護師不足,結核医療の構造不採算,結核病床廃止,
保健所の統廃合...問題が次々と浮上しています。その一方で結核問題は,対策の見直
しを始めた8年前よりもさらに眼に見えて手強くなっています。社会的,医学的弱者への
集中,集団発生の増加・複雑化等々。これらへの取り組みの大もとはやはり,医療や行政
の結核に対する意識というか緊張というか,「結核はまだある!」という姿勢でしょう。
一方,日本を含む世界の結核に目を転ずれば,その対策に対する日本の果たすべき役割
について考えないわけにはいきません。世界第二の経済大国として日本は国際協力にそれ
なりの貢献をしなければなりません。具体的に何を,どう,という面でみると,いわば日
本のお家芸だった「結核対策」を押し出さない手はないでしょう。長く続いた不景気のな
かで政府開発援助の予算はひところの半分くらいに減ってしまい,実際結核についてもう
一つ元気がありません。
多くの先進国では,国内で発生する結核患者の半分以上が外国人です。日本も近い将来
必ずそうなります。近視眼的ないい方をすれば,途上国の結核対策は日本の結核対策にな
るのです(情けは人のためならず)。もっと重要なのは,世界の結核への関心や関わりは,
足もとの結核問題への適切な対応につながる,ということでしょう。
そこでストップ結核パートナーシップ日本の立ち上げとなります。国の内外の結核問題
に対して,医療界や行政,そして国民一般の「関わり」「関心」を強化しよう,それを通
して「結核のない国,世界を作ろう」というのがこの運動の目標です。そのために,いろ
いろな持ち場や業務をもっている団体(パートナー)がこのスローガンのもとで大同団結
して,大きな声を上げよう,声を掛け合おう,というのが趣旨です。昨年11月発足しま
したが,おりからのG8サミットや第4回アフリカ開発会議(TICAD-IV)の日本開催もあっ
て,国際協力に対して深く関心を持たれている国会議員さんたちが熱心に支持して下さっ
ていることも心強いことです。今後この運動をいかに強力に推進していくか,最大のパー
トナーとして,また事務局を引き受けている組織の一つとして,結核予防会は重い責任を
問われることになります。
タイトル:俳人尾崎放哉の「咳をしても一人(Coughing even; alone)」から。咳をしても1人じゃないぞ!
Coughing even; not alone
森 亨
代表理事 ス
ト
ッ
プ
結
核
パ
ー
ト
ナ
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シ
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プ
日
本
だ
よ
り
No.
3
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5
アフリカンフェスタ2008に
結核予防会が出展参加をした
結核予防会事業部普及課(兼)国際部業務課
冨名腰 あん
平成20年5月17日∼5月18日の二日間,横浜赤レ
ンガ倉庫イベント広場において外務省主催のアフ
リカンフェスタ2008が開催された。外務省による
と赤レンガ倉庫の広場には二日間合わせて約20万
人が足を運び,前年比の2倍を超える人出であった。
アフリカンフェスタは過去に東京の日比谷公園に
おいて開催されてきたが,今年度は第4回東京ア
フリカ開発会議(TICAD IV)の開催に合わせて初
めて横浜で開催された。TICAD IVは平成20年5月
28日∼30日までパシフィコ横浜の会議場で開かれ,
G8サミットは北海道洞爺湖おいて7月に開催される
ため,今年は日本のリーダーシップを世界に示す
機会が多い重要な年と言える。結核予防会は本イ
ベントにおいてNGO団体日本リザルツ(東京)と
共同でブースを初出展し,結核対策(国内・海外)
の啓発活動におけるリーダーシップを示した。
活気あふれる展示ブース
共同出展ブースにおいては世界の複十字シール
のパネルの展示,複十字シールのPR,ストップ
結核パートナーシップ日本の資料配布や説明等を行っ
た。多くのイベント来場者や参加者が本ブースに
立ち寄り,職員から世界の複十字シールのパネル
の説明やストップ結核パートナーシップ日本の活
動の説明等を受け,結核は今も重要な課題という
認識を新たにしていった。更に昔結核にかかった
ことがあると話してくれた中高齢者の存在が大変
印象深く,結核は昔のように強い偏見を持たれて
いる病気ではないと考えさせられた。
活動報告「知りたい! もっとアフリカのこと
∼アフリカと結核(けっかく)∼」
また,会場内に設置された活動報告ブースにお
いて結核予防会と日本リザルツが合同で結核に関
する発表を17日(土)の13時から35分間行った。シー
ルぼうやの着ぐるみ,職員やスタッフによる呼び
かけの結果,多くの方々の参加があった。
結核予防会の専門家より結核とその対策に関す
る説明,日本リザルツよりアフリカにおける結核
対策の話題提供が行われ,参加者の結核に対する
関心・興味を高めると共にアフリカにおける結核
問題を認識してもらうことに貢献した。
続いて結核に関するクイズ大会が行われ,10問
の結核に関するクイズが出題された。本クイズは
参加者が積極的に参加でき,結核に関する基礎知
識を得られるような形式で行われた。また,クイ
ズ実施中,活動報告ブースを通りがかった人たち
も足を止め,入りきらない会場の外からクイズに
参加をしてくださるという場面もあった。最後に残っ
て直接質問をする参加者が出る等,発表は盛況であっ
た。
活動報告ブース発表の様子
所感
アフリカを含む世界では結核は大きな問題とし
て存在し続けている。そのような現状を国内・外
に向けて発信をし,結核対策の強化につながる活
動を進めて行くことが重要である。今回の経験は
結核予防会の一職員として、今後日本国内・外の様々
な活動場面において活かすことで貢献ができると
感じた。更に,結核対策の重要性を訴える仲間の
結核予防会活動報告ブース参加呼びかけの様子
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一人となったことを心から誇りに思った。
ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟
「マニラ首都圏都市貧困層における
結核対策プロジェクト」視察
結核予防会国際部フィリピンプロジェクト
現地プロジェクトマネージャー いよいよ動き出したフィリピンプロジェクト
フィリピンでは死亡原因の第6位が結核で,依
然として多くの国民が結核により命を落としてい
ます。結核予防会は1992年よりJICA技術協力のもと,
フィリピン国結核対策向上プロジェクトを行って
きました。このプロジェクトは2007年8月末を以
て終了しましたが,今年1月に現地NGO法人
「RIT/JATA Philippines. INC,(以下:RJPI)」
を立ち上げ,引き続きフィリピン国内における結
核対策に取り組んでいくことになりました。更に
5月8日には在フィリピン国大使館と結核予防会
の間で外務省NGO無償資金協力贈与契約の署名式
が行われ,いよいよ本格的にRJPIの活動がスター
トしました。このプロジェクトでは,現地NGOや
住民組織,それに関連する公的・私的医療機関と
の協力体制のもと,「マニラ首都圏都市貧困地域」
を対象に結核対策を実施していくというものです。
このプロジェクトの対象地区は,東洋一のスラム
と言われる「トンド地区」と,フィリピン最大の
ゴミ廃棄場がある「パヤタス地区」で,劣悪な生
活環境から他の地域と比べて結核罹患率が高く,
治療率が低いのが特徴です。
ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟事務
局長浜田昌良参議院議員の現地視察
日本NGO無償資金協力供与にあたり,供与獲得
にご尽力下さったストップ結核パートナーシップ
推進議員連盟事務局長浜田昌良参議院議員(結核
予防会本部より金子洋専務理事と山下武子事業部長,
日本リザルツ三沢さんが同行)2008年6月13日∼
15日の日程で事業地視察のため来比されました。
鈴木 真帆
住環境がどれだけ結核が蔓延しやすい状況にある
かなどを実際に視察されました。
浜田先生は,RJPI現地理事Dr Lagahid(フィリ
ピン保健省感染症課部長)とDr Voniatis(WHO
Stop TB for the Philippines Medical Officer),熱
帯病財団総裁のDr Tupasiとも面談し,今後,結核
予防会と現地の関係者の協力で設立されたRJPIが
将来的に世界基金による結核対策を実施していく
ための具体的な話し合いがされました。熱帯病財
団は2003年より世界基金の供与によるフィリピン
国内の結核対策,特に多剤耐性結核に力を入れた
事業を開始しています。
浜田先生(中央左)と熱帯病財団総裁Tupasi先生(中央右)
RJPIが近い将来に世界基金からの供与を受け,フィ
リピン国内で結核対策を実施するためには,JICA
プロジェクトで培ってきた人的財産や他団体との
繋がり,現在の外務省資金供与による結核対策従
事者の人材育成が基盤となっていきます。ご多忙
な折,浜田先生が来比して下さったことにより,
RJPIは今後の方向性を見据えたプロジェクト運営
の必要性や,このプロジェクトの意義を改めて認
識することが出来ました。また,現地スタッフにとっ
てもこのプロジェクトがフィリピン国民にとって
どれだけ重要な意味を持っているかを理解する良
い機会となりました。皆様のご訪問に心から感謝
致します。
結核患者さんに質問する浜田昌良参議院議員
過密スケジュールの中,プロジェクトサイトで
あるパヤタス・トンド両地区を訪問され,DOTSク
リニックの訪問,結核患者さんへのインタビュー
喀痰検査室の見学,また,強い日差しが照りつけ
る足場の悪いコミュニティの中を歩き,結核患者
さんの自宅を訪問しました。そこでは患者さんの
今回の視察団とRJPIのスタッフ(筆者は前列右端)
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国際結核シンポジウムのご案内
外務省,厚生労働省,WHO西太平洋地域事務局(WPRO),ストップ結核パートナーシップ日本(STBJ),
結核予防会の主催で,7月24日,25日の両日に国連大学にて国際結核シンポジウムが行われます。結核予防会
総裁秋篠宮妃殿下がご臨席されます。
このシンポジウムでは,これまでの日本の世界の結核対策への貢献を振り返り,TICAD蠶やG8の成果も踏
まえて今後の日本の役割とパートナーシップについて日本政府,結核予防会,グローバルファンド,WHOな
ど日本国内外の組織が参加し発表や討議が行われる予定です。また,国際研修卒業生の中からもパネリスト
として参加される方もおり,これまでの結核予防会が築いてきた結核専門家ネットワークの貢献・役割につ
いても討議されると期待されます。
会場の関係から,残念ながら一般の方の参加はできませんが,本誌でご報告する予定です。
(文責:編集部)
「国際結核シンポジウム(世界における結核の征圧に向けて:
アジアからアフリカまで)」プログラム(案)
共同議長:石川信克 (財)結核予防会結核研究所長,早川 修 外務省専門機関課長
7月24日(木) 13:45 開会挨拶 秋篠宮妃殿下(結核予防会総裁)お言葉
津島雄二 「ストップ結核パートナーシップ」推進議員連盟会長(元厚生大臣)
西川京子 厚生労働副大臣(調整中)
宇野 治 外務大臣政務官
14:30∼15:30 基調講演
「TICAD蠶及び北海道洞爺湖サミットの成果と今後の課題」
山崎 純 外務省国際協力局参事官
「日本とWHO西太平洋地域の結核対策」
尾身 茂 WHO西太平洋地域事務局長
「世界の結核対策:ミレニアム開発目標とストップ結核インパクト・ターゲッツは
達成されるか」
マルコス・エスピナル ストップ結核パートナーシップ事務局長
15:30∼15:50 休憩
15:50∼17:30 パネルディスカッション
「日本の経験と地域別結核戦略への貢献」
パネル議長: 石川信克 (財)結核予防会結核研究所長
井上 肇 厚生労働省国際協力室長
パネリスト: 山田紀男 (財)結核予防会結核研究所国際協力部長
ジェイム・ラガヒッド フィリピン国立疾病対策予防センター部長
ジョセフ・シティエネイ ケニア国家結核対策課長
アスマ・エルソニー スーダン疫学研究所所長,前世界結核肺疾患予防連合会長
ピーター・ヴァン・マーレン WHO西太平洋地域事務局結核課長
18:00∼20:00 宇野治外務大臣政務官主催レセプション
7月25日(金)
9:30∼11:00 パネルディスカッション
「よりよい結核対策に向けたパートナーシップ」
パネル議長: ジェイコブ・クマレサン WHO神戸センター所長
井上 肇 厚生労働省国際協力室長
パネリスト: ステファノ・ラッサーリ
世界エイズ・結核・マラリア対策基金
シニア・ヘルス・アドバイザー
ピーター・スモール ゲイツ財団シニア・プログラム・オフィサー
テルマ・トゥパシ フィリピン熱帯病財団会長
磯野光夫 JICA国際協力客員専門員
ウィンストン・ズル 結核/エイズ活動家
11:00∼11:20 休憩
11:20∼11:50 総括セッション
ヤープ・ブルックマン オランダ結核予防会上級政策顧問
ジェイコブ・クマレサン WHO神戸センター所長
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創立70周年を迎えるにあたって(2)
わが国の結核疫学の特徴
結核予防会 会長 前号で,わが国に結核菌が侵入してから1,800年
経つが,①結核の本当の流行は明治の産業革命と
共に始まったこと,②それ以来の140年のうち,流
行最盛期からの70年間,結核予防会は活動してき
たこと,③この70年で結核は見違えるほど減ったが,
先進国では今も最下位に留まっていること,④こ
れから,結核対策は大きな改革期を迎えることな
どを述べた。それでは,わが国の結核の現状,あ
るいは,今後10年位どんな状態か,簡単に整理し
てみたい。
1)以前ほど多くない,しかし,少なくもない
わが国の結核患者登録の統計がほぼ整った昭和
26年には1年間の新登録患者が590,662人だったが,
平成18年には26,384人,22分の1に減った。特に著
しいのは子供(0∼14歳)の結核の減少で,手許に
ある最も古い年齢階級別罹患数で昭和36年には
53,532人だったの対し,平成18年には全国で85人だっ
たので,この45年間だけで見ても,630分の1になっ
ているのである。結核がもっと多かった昭和26年
頃と較べれば1,000分の1程度になっているのである。
昭和26年頃にはわが国には結核に有効な薬はなく,
病気になればひたすら安静の日々を何年も過ごさ
ねばならず,59万人を超える登録患者は病んで絶
望的な日々を送っていた。健康な若者も何時結核
になるか分からない。それに較べれば今は,結核
の薬は幾つもあるし,6ヵ月で治療を完了する患者
も少なくない。今では治療中の患者は2万2,000人。
隔世の感を抱かざるを得ない。
結核は今や国民病として国を挙げて戦わなけれ
ばならないほど多い病気ではない。しかし,少数
の専門家が特定の病院で対応すれば済むほど少な
い病気でもない。以前ほど多くはないが,特定の
専門家だけで対応できるほど少なくもない。実際に
青木 正和
は多くも少なくもないことが,結核への対応を困
難にしている。しかも空気感染で拡がる可能性を
持つ最大の感染症なのである。
2)結核患者の偏在化はますます進行する。
47都道府県の中で結核が最も少ないのは長野県
で10万対11.8,最も多いのは大阪府で38.1,その差
は3.2倍である。長野県が今の大阪程度の罹患率だっ
たのは今から27年前の昭和56年のことである。他
の都府県はこの間にあるが,時間で表せば10年,
20年の差というのは大きな違いである。
さらに,結核患者は高齢者,社会的弱者,外国人,
若者の一部など,一定のグループへの偏在化を進め
ている。
欧米先進国の結核対策の歴史を見ると,罹患率
が10万対20から10になる頃,何処でも大きな変革
が行われている。10万対20を割る頃から古典的な対
策から新しい対策に大きく変わらなければならない。
わが国は今,この時期に入っており,しかも地域
格差が大きい。地域により対策を変えなければな
らない時を迎えているのである。都道府県別に罹
患率の推移を見ると,罹患率,減少の早さ,患者の
分布などはさまざまである。地域の実情にあった
対策の実施が望まれる。この先を考え,将来に備
えるべき時を迎えているのである。
(1)高齢者で高い罹患率
わが国の新登録患者(26,384人:2006年)の47.0%,
12,389人は70歳以上の高齢者で占められている。
60歳以上で見れば61.5%の16,226人である。高齢者
はいろいろな基礎疾患を持ち,これらの症状があ
る上に,結核の症状は比較的軽微なことが多く,し
ばしば診断が困難である。また,抗結核剤の副作用
も出易く,治療に難渋することも少なくない。60歳
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以上では治療にも拘わらず診断後1年未満で結核の
ために死亡される方が11.2%,その他の理由で亡く
なられる方が24.4%,合計35.6%の患者が今も救命で
きないでいるのである。
図に見るように,欧米先進国では高齢者の結核
罹患率は極めて低い1)。ところが,つい最近まで結
核が蔓延していたアジア諸国では高齢者の罹患率
が著しく高い。わが国の結核は今後ますます70歳,
あるいは80歳以上の高齢者の割合が高くなると予
想される。高齢者の結核対策を進めることが望ま
れる。 特に結核罹患率が低くなっている農村部で
は高齢者の比率が高いので重要な問題である。
図 年齢階級別 塗抹陽性罹患率
100
人口10万対率
80
60
40
20
0
(2)難しい都市の結核
一方,大都市を中心に若者の結核の問題が徐々に
大きくなってきている。ネット・カフェやパチンコ
店での感染など,従来と異なる感染の場が見られ,
発病すれば受診が遅れ,広がりが大きくなることも
少なくない。
40歳代以上の人々の間では,ホームレスや無職
の人々の結核,あるいは,建設飯場やサウナでの
結核感染なども最近,注目される大都市での結核
問題の一つである。
また,結核の院内感染,とりわけ看護師の結核
も憂慮に堪えない問題である。罹患率は一般女性
に比して4.3倍も高く,しかも最近,年々高くなっ
ている。先進国にあるまじき問題である。緊急に
解決が望まれる。
(3)次第に問題となる外国人の結核
欧米先進国の多くで移民・難民・出稼ぎ労働者な
ど外国生まれの人々の結核が新登録患者の半数以
上を占めている。英国のように,このために結核
10
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が増加している国もある。わが国でも外国人の結
核は徐々に増加しているが,つい最近まで新登録
患者の1.5%だったのが3%になった程度の問題である。
しかし,今後を考えると,労働力の不足,外国人
の増加など外国人の結核が増える可能性が大きい。
対応を進めることが必要である。
(4)その他の問題
わが国では今はHIV感染者の結核はそれほど広がっ
ていないが,最近の傾向を見ると不気味に増加し
ている。多剤耐性結核の動向にも注意が必要である。
多くの先進国のように,今後結核減少が鈍化する
可能性も否定できない。結核に対する国民の関心
が低下し,政治的に軽視されて対策の実施が困難
になる可能性も否定できない。
3)結核が少ない国まであと10年
結核研究所の大森ら2)は,5歳階級ごとのコホー
ト分析をいくつかの条件のもとで試算し,2030年
までの将来推計を行った。推測される数字は条件
によってかなり大きく変わるが, 最も高い予測と
低い予測を捨て,中間の予測値の平均を取ってみると,
表に見るように罹患率が10万対10となり結核が少
ない国の仲間入りするのは2020年頃と予測された。
この頃になると,新登録患者の37%が75歳以上の
高齢者で占められる。一方,22%は25∼44歳の働
き盛りの年齢の人達であり,この比率は徐々に高くなっ
ていく(新登録数,罹患率,75歳以上の%などを
見ると表のとおり)。
表
2005年
2010年
2015年
2020年
2025年
2030年
新登録数
29,319人
21,885人
16,546人
12,409人
9,473人
7,413人
罹患率
22.2
17.2
13.2
10.1
7.9
6.5
25∼44歳
18%
20
21
22
23
24%
75歳∼
35%
38
39
37
38
37%
つまり,老人施設や1人暮らしの高齢者の結核が
増え,発病後早期に亡くなる方も少なくない。一方,
都市では50∼69歳のホームレスやワーキングプア
などの結核が増え,20∼44歳の働き盛りでは不特
定多数が利用するサウナや終夜映画館などさまざ
まな場所での感染が起こる。保健サービスが届き
難い人達が火種になって社会的弱者に結核を広げ
ていく。若者の間でHIV感染が広がれば,結核の様
相はさらに複雑かつ深刻になっていく。
今,世界の結核学者が使っている「結核根絶」の
レベル,罹患率10万対0.1以下に達するのは,わが
国では恐らく今から100年以上も先のことであろう。
次号では,このような疫学的状況の下でどんな
問題が発生するか,これに国民,政府,あるいは
結核予防会や結核予防婦人会はどう対応すべきか
について述べたいと思う。
文献
1) WHO.Global Tuberculosis Control 2008
2)大森正子,吉山崇,石川信克 日本の結核蔓延に関
する将来予測. 結核 2008;83:365−377
トピックス
35年ぶりに抗結核薬(リファブチン)が承認された
5月23日(金)厚生労働省薬事食品衛生審議会医薬品第二部会において審
議され,リファンピシン(RFP)以来久々に抗結核薬としての承認がなされ
ました。7月にも薬事分科会で承認され,秋頃発売される見通しです。
欧米では20年前から使われているリファブチンですが,日本ではHIV感染
者の結核発病予防や治療のため,希望する主治医に研究費で配布され使用さ
れてきました。HIVの薬と一緒に服用しても,RFPより問題にならないため,
今後,HIV感染が日本で増えてくればこの薬が広く結核(非結核性抗酸菌症
も)の治療に役立てられることが期待されています。
また,これが日本でいまだに承認されていないキノロン剤などの結核への
適応承認の足がかりになってくれるよう願いたいものです。
(文責:編集部)
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Use DOTS More Widely
結核の病院連携クリティカルパス
の作成について
島根県浜田保健所総務保健部
主任保健師
はじめに
日本版DOTSも浸透し,院内DOTSは各病院で,
地域DOTSは各保健所で工夫され実施しているとこ
ろです。当保健所では,平成17年に策定した「浜
田圏域結核予防計画」の10の基本方針の1つであ
る管内の地域DOTSを推進しています。特に,医療
機関との連携強化による退院前DOTSカンファレン
スをふまえ,登録除外までの患者管理にむけて,
結核の病院連携クリティカルパスを患者本人の立
場にたって作成しました。以下に,作成までの経
過や活用方法などについて述べます。
青笹 美香
1,浜田圏域の概要
1)地域の概要
浜田保健所は,島根県西部の浜田市と江津市を
管轄し,人口約9万人,65歳以上人口割合30.4%で
す。医療機関は病院11,診療所98ヵ所ですが,結
核の専門医療機関は管内になく,独立行政法人国
立病院機構松江病院または益田赤十字病院に入院
を委ねる状況です。
2)圏域の結核患者の概要
管内における年間新規登録患者数は,20人弱と年々
少なくなっている状況です(年次推移は図1を参照)。
最近は約9割が70歳以上の患者が占めていること
から,高齢者の結核対策が重要となっています。
図1.結核登録患者数(年末現在)
・新規登録患者数(非結核性抗酸菌症・潜在性結核感染症は除く)
2,浜田保健所における結核対策
1)業務体制
当所は,総務保健部と環境衛生部で組織し,総
務保健部に健康増進グループ,医事・難病支援グルー
プ,総務担当スタッフで構成されています。結核
業務は,医事・難病支援グループが行っており,
医師(課長)1名,放射線技師1名,事務職1名,
保健師2名の構成です。2名の保健師のうち1名
が放射線技師と共に結核業務をしています。
2)結核対策における現状と課題
当所における結核患者登録者数は平成 18 年末 41
12
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名で,新規登録者の 70 歳以上の割合は平成 18 年で
87.5%を占め,年々高齢者の割合が高くなっていま
す。また,新登録肺結核患者の菌陽性及び喀痰塗
抹陽性割合も増加しています。そして,受診の遅
れ(発病∼初診まで2ヵ月以上の割合)の割合も
上昇傾向にあります。
また,浜田圏域では,ほとんどが独立行政法人
国立病院機構松江病院に入院しますが,退院後は
地域の病院・かかりつけ医に紹介され,通院治療
する患者が多い現状にあります。
そこで,退院後も一貫した治療・管理をしてい
くために,通院時のクリティカルパスを作成する
必要性がありました。
結核予防法から感染症法への移行の時期にあた
りましたので,併せて行政説明も行いました。
3,結核の病院連携クリティカルパスの概要
1)作成の背景
近年,病院内で糖尿病や大腿骨骨折のクリティ
カルパスなどが,日常的に活用されています。結
核についても,県内では独立行政法人国立病院機
構松江病院が結核患者入院時のクリティカルパス(院
内パス)を作成し,活用しています。
しかし,結核管理においては病院内だけにとど
まらず,自宅に帰ってからの健康管理が重要であ
ることから,当保健所の平成 18 年度の結核対策事
業として,結核で入院治療後,通院治療を継続す
る患者の適切な療養支援及び患者管理の徹底にむ
けて,退院後のクリティカルパスを作成すること
としました。
2)目的
結核患者自身が積極的に体調管理できること,
また,担当保健師が変わっても,同じサービスが
提供できること,そして,医療機関と連携した効
果的な支援ができることを目的としました。
3)作成時の経過
クリティカルパスを作成するにあたっては,一
般的な結核患者(糖尿病などの合併症がなく,標
準治療が最後までできた患者)がどういう経過を
たどるかをイメージしながら,県内外の医療機関
が作成されたクリティカルパスも参考にしました。
また,タイムリーに保健師の指導ができるように,
「患者様への説明」としてつけ加えました。
そして,独立行政法人国立病院機構松江病院の
医師・看護師,管内にある独立行政法人国立病院
機構浜田医療センターの呼吸器科医師の協力・助
言を得て完成しました。
クリティカルパスの用紙
4)活用方法
島根県は,地域 DOTS を平成 17 年度から開始し
ています。その地域 DOTS へ移行する前に,退院
前 DOTS カンファレンスが,結核患者が入院して
いる医療機関にて開催されます。カンファレンスの
出席者は,主治医と担当看護師,担当保健師の3名
(必要時,薬剤師や栄養士も同席)
。カンファレンス
後,患者の病室へ行き,カンファレンス時の話とク
リティカルパスの説明をし,患者本人に手渡します。
クリティカルパスの用紙は,原則,患者本人に登録
除外まで持ってもらいます。島根県地域 DOTS 実
施計画に従い,DOTS パターンに沿って訪問・電話
DOTS を実施する度に,クリティカルパスの用紙を
患者と一緒に見ながら確認していきます。
5)管内・全県への波及
保健所が開催する結核読影技術セミナー(結核
研修会)で,管内医療機関に紹介・周知しました。
また,県が開催する担当者会議等で報告し,県内
各保健所でも検討・活用を図ってもらうようにし
ています。
結核読影技術セミナーの模様
6)活用による効果
保健師として実際に活用してみると,誰が何を
するか一目でわかり,患者自身が自分のゴールを
理解した上で,治療について納得頂けると実感し
ています。活用したケースは少ないですが,服薬
手帳も使いながら,患者2名が治療完了し,現在
経過観察中で順調です。
また,医療機関から「よいものができましたね。
患者さんのために共に頑張りましょう」とエール
や期待が寄せられました。
4,今後に向けて
今後,実際にクリティカルパスを活用した患者・
医療機関・地域関係者・保健師などから,結核コホー
ト検討会議や結核担当者会議等で情報収集し,さ
らに治療完了という成功に結びつくクリティカル
パスを検討していきたいと思います。
また,標準治療から外れた患者(薬剤耐性結核
患者や糖尿病を合併している患者など)の場合,フォ
ローをどうするのかという課題は残っています。
クリティカルパスというツールを最大限活用でき
るよう,引き続き検討していくこととしています。
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平成19年度フィルム評価会報告
結核予防会胸部検診対策委員会
精度管理部会長
(結核予防会複十字病院副院長)
尾形 英雄
毎年師走に行われるフィルム評価会は,12 月 13 日・
14 日の 2 日間結核研究所講堂を借りて開催された。
全国の結核予防会支部から 80 名以上の医師と診療放
射線技師が集まり,これに技術的アドバイスを行うフィ
ルムメーカーの専門家が加わって,
「よい胸部写真」
を選びその技術を学ぶための検討会を行った。この
日のために予め各支部から送付されていたフィルム
は間接 110 本,アナログ撮影直接 104 枚,デジタル
撮影直接 68 枚だった。これを 6 班に分かれて初日は
間接フィルム,2 日目は直接フィルムを予防会評価
基準に従って 1 本・1 枚ずつ検討して A・B・C 上・
C 中・C 下・D の総合評価を下した。A 評価は誰も
が認める「よい写真」で,B はこれに次ぎ C 上はよ
い写真ではないが読影に耐えられる写真,C 中以下
は読影に不適な写真に相当する。
19 年度の新たな試み
フィルム評価会が発足した 1985 年には胸部 X 線
写真はアナログ撮影装置しかなかったので,この評
価会における精度管理とは,すなわちアナログ撮影フィ
ルムの精度管理を指していた。その後徐々に CR(=
computed radiography)装置を導入する支部がでて
きたので,1998 年からはアナログ撮影直接フィルム
の評価後に,デジタル撮影フィルムを参考程度に評
価するようになった。このころデジタルフィルムの
評価は高く,全て A 評価か B 評価だったが,同じ A
評価同士を比べるとアナログ撮影フィルムより一段
落ちるというのがベテラン評価者たちの意見だった。
アナログ撮影フィルムなら放射線技師の技量と努力
がそのまま「よい写真」に結びつくが,デジタルで
は撮影機器のできとメーカー技術者の初期設定しだ
いで技師の腕の見せ所が少ないためと考えられた。
しかし保険診療上のインセンティブに後押しされた
こともあって,多くの支部が撮影機器の更新を機会
に CR 装置に切り替えている。長年胸部検診で使わ
れてきたミラーカメラ(間接写真撮影装置)は,メー
カーが新規製造を打ち切ったため,新たに導入され
たレントゲン検診車には CR 装置が搭載されている。
更に 20 年度の診療報酬改定では,フィルムを現像せ
ずモニター診断する施設にインセンティブを与える
ことが決定されている。デジタルカメラがアナログ
カメラを駆逐したように,デジタル画像が胸部エッ
クス線写真の主流になることは明らかである。こう
した現状から今回のフィルム評価会では直接フィル
ムの評価時にアナログ画像フィルムとデジタル画像フィ
14
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ルムを無作為に混ぜて同じ目線で評価する初めての
試みを行った。
19 年度のフィルム評価成績
今年度の間接フィルム 110 本は,A 評価 5.5% B
評価 31.8% C 上評価 60.0% C 中評価 2.7% C 下・D
評価 0% であった。過去の評価成績と比べると「よ
い写真」である A 評価と読影に不適な C 中はともに
減って,中間的な C 上が多くなる傾向がみられた。
アナログ画像直接フィルム 104 枚は,A 評価 9.6% B 評価 48.0% C 上評価 40.4% C 中評価 1.0% C 下・
D 評価 0% であった。A 評価・B 評価とも昨年より
は増加しているが,2003 年ごろには 16.3% あった A
評価は大幅に減少した。年々各支部の撮影装置・フィ
ルム材料・増感紙・現像機といった撮影機材のパフォー
マンスは向上しているので C 中以下の減少は至極当
然のことである。一方 A 評価の減少の原因が,「よ
い写真」を作るこだわりを持った支部が減ったため
ならゆゆしき事態といえる。デジタル画像フィルム
68 枚は A 評価 8.8% B 評価 33.8% C 上評価 50.0%
C 中評価 7.4% C 下・D 評価 0% であった。初めて評
価を行った 1998 年には A 評価が 1/3,B 評価が 2/3
と好成績だったが,その後これほどの年はないこと
から,デジタル画像に慣れるにつれて厳しい評価になっ
た可能性が高い。それ以上に注目されるのは 2004 年
から読影に不適な C 中評価のフィルムが現れ,今年
も 7.4% とアナログ画像を上回る読影不適なフィルム
がみられた点である。デジタルフィルムにあった失
敗のない写真というイメージを完全に覆す結果となっ
た。フィルム評価会事務局のまとめた報告書『評価フィ
ルムの集計と技術的事項について』では,「CCD カ
メラを用いた簡易型デジタル画像装置」を導入した
支部があったので,これがデジタル画像の評価を下
げた一因ではないかと推察している。この装置は販
売の終わった間接ミラーカメラを CCD カメラに換
えてローコストでデジタル撮影に改造することが可
能と謳っているが,結核研究所で行った従来の撮影
装置との比較試験では解像特性・ノイズ特性に問題
が見つかり明らかに精度管理上問題のある装置とし
てその導入に警鐘を鳴らしている。
デジタル画像の精度管理について
フィルム評価会では,これまでも胸部検診のトピッ
クスや精度管理に関する新たな知見を勉強するため
外部講師による講演会を企画してきた。今年度は滋
賀医科大学放射線医学講座の村田喜代史先生に「胸
部エックス線写真にもとめられるもの」と題して講
演していただいた。胸部単純レントゲン写真とは肺
内の正常構造で説明できない異常影を拾い上げるた
めの検査法であるから,この目的のために死角とな
る部分を減らして可見域を広げることがいかに重要
であるか,多くの実例を示しながら解説していただ
いた。ついで我々が最も興味をもっているデジタル
胸部 X 線写真の精度管理について言及された。デジ
タル画像は自由自在に画像処理を変更できるが,病
変が肺癌なのか肺線維症なのかによってそれぞれ最
適な画像処理が異なるため,特定の病変に合わせた
画像処理をすると正常像まで変化して他の病変を見
逃す危険性のあることを指摘された。健診で胸部単
純レントゲン写真を撮るときには対象となる病変は
予め決まっていないので,デジタル画像でも病気の
種類を選ばないストライクゾーンの広い画像処理条
件が必要である。したがって
デジタル写真のセッティング
はアナログの「よい写真」を
お手本にして,できるだけこ
れに近い写真になるよう近づ
けることがよいと述べられた。
CR 装置を導入するとき,メー
カーはその施設の希望する画
像を提供できると宣言するが,
結局はメーカー任せになって
いないだろうか。アナログ装
置で「よい写真」を撮ってい
る施設なら,デジタルで同一
被写体を何人か撮ってこれを
アナログに近づければその伝
統が守られることになる。勿
論そのためにはアナログ画像
の質を維持する努力が必要に
なることは云うまでもないだ
ろう。結局今回の講演会で村
田先生から,結核予防会がア
ナログ写真で行ってきたこれ
までの精度管理を,デジタル
画像の精度管理でも同様に行
えばよいとお墨付きをもらっ
たことになる。
今後のフィルム評価会
今回,初めて試みたアナロ
グとデジタル画像を混ぜた評
価方式は多くの参加者からは
不評であった。デジタルのフィ
ルムサイズにばらつきがある
ことも一因と思うが,それ以
上にアナログとデジタルを交
互に続いて読影すると目が疲
れるという意見が強かった。
これまで CR 装置を導入した
多くの施設のデジタル画像は,
従来のアナログ画像とはかなり違った特別な強調処
理がかかっているため,デジタル画像と瞬時にわかっ
てしまう。それをこれまでは画像処理を加えたこと
によって読影しやすくなったと有り難がってきたが,
替わりに見えなくなった陰影もあるはずである。実際,
開業医のさしてよいとも思えないアナログ写真では
確認できる腫瘤影が,筆者の病院で撮ったデジタル
写真では全く見えないことを時々経験する。デジタ
ル画像の見た目のすっきり感にだまされず,よいと
されてきた画像処理を見直す必要があるのかもしれ
ない。評価会が目指すところはアナログとデジタル
が交互にでてきても違和感なく読影可能なデジタル
画像処理であろう。アナログと間違われるようなA
評価のデジタル写真が登場すれば,完全デジタル化
の時代に移行してもフィルム評価会の継続性が保証
されることになるであろう。
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結核サーベイランス研究会(TSRU)
に参加して
結核研究所国際協力部長
山田 紀男
2008年の結核サーベイランス研究会(TSRU)は,
フィンランド国ヘルシンキで,4月2日から4日までの
ン分布であることが多く,正確に既感染率を求め
間行われました。Finnish Lung Health Association
ることが困難な場合が多いことです。一方,「経
(FILHA)の100周年記念として,今回フィンラン
時的に感染が減少しているか増加しているか」,「対
ド開催となったということです。日本からは,結
策を強化すると感染が減少するか」などを調査す
核研究所加藤副所長と私が参加いたしました。また,
るためには使うことが出来る可能性はあり,今回
昨年12月まで結核研究所国際協力部長で現在WHO
のカンボジアでの調査からもそれが示されている
の結核対策課に勤務している小野崎先生が参加さ
と考えられました。有効な対策を行うためには,
れました。ヘルシンキは北緯60度10分という地域
対策の効果,特にMDGやStop TB Partnership目標
で日本よりもかなり北に位置しますが,加藤副所
や,結核対策の目的のひとつである新たな感染を
長は出身地の北海道に風景が似ているという印象
減少させるということが達成されているかを評価
を持たれたようです。木々は針葉樹なので,空気
することが重要です。日本は国内外で結核実態調
が透明で遠くまで見通せるような印象がありました。
査の経験があり,この分野で国際的に貢献できる
研究会議は,5つのセッションで構成されており,
と期待されます。
最初の2日間は4つのテーマが設定されたセッショ
第4セッションでは,加藤副所長が,昨年度実
ンで,最終日はそれらに該当しない自由演題とい
施された日本における慢性排菌者の調査結果を発
う構成になっています。テーマセッションは,初
表しました。DOTSの基本的な目的は,未治療結核
日が「HIV及びその他の結核のリスク要因」と「有
患者をいかに耐性菌の出現を防ぎ治療することです。
病率調査によるMDG目標達成状況の評価」,2日
しかし,WHO等が注意を促しているように,既に
目が「小児結核」と「薬剤耐性と再治療結核患者」
耐性をもった結核が存在するわけで,新結核患者
とういう構成でした。このTSRUは,一般の学会よ
への適切な治療とともに,慢性排菌患者を中心と
りも発表時間が長く(20分間),テーマセッショ
した再治療例とその薬剤耐性に関する調査・対策
ンではモデレーターという討議進行役のもとで発
が求められており,今回のTSRUでもそれが現れて
表後に専門家である参加者の間で討議する時間が
いると考えられます。
十分(1時間ほど)取ることができるのが特徴です。
研究会ため参加者の多くは毎回参加されます。
結核研究所からは,第2セッションで山田が,
そのため,私がロンドン衛生熱帯医学大学院で勉
第4セッションで加藤副所長が発表いたしました。
強したときのコースの責任者や,特に私が結核研
また最終日の自由課題のセッションの司会を加藤
究所に就職して2年目に参加した国際研修で同級生だっ
副所長が担当いたしました。第2セッションでは,
た韓国結核予防会結核研究所のLew先生と旧交を温
カンボジアで実施された結核有病率調査(住民を
めることが出来るのも会議に参加する楽しみとなっ
対象に結核スクリーニングを実施し,人口10万あ
ています。次回のTSRUは,この国際コースで同級
たりに何人結核患者がいるかをあきらかにする調査)
生だったLew先生が所長である韓国結核研究所の主
とツベルクリン調査(小児を対象に,ツベルクリ
催で開催されます。この複十字誌でも紹介されま
ン調査から結核既感染率を推定する)を組み合わ
したように,日本中国韓国の間での研究所のネッ
せて,ツベルクリン調査によるDOTSの効果につい
トワークもありますので,発表だけでなく様々な
て発表しました。
意見を交換できることが期待されます。
ツベルクリン調査のひとつの問題点は,未感染
16
者と既感染者を判別することが困難なツベルクリ
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ザンビアでの住民主導による
結核・HIV
結核・
結核・HIVコミュニティー
HIVコミュニティー
コミュニティー
DOTSプロジェクト
DOTSプロジェクト
結核研究所国際協力部
●アフリカザンビアの現状
「家には十分な食べ物がなくて,空腹を抱えなが
ら薬を飲み込むのがつらい」結核患者報告率が人口
10万対512(ザンビア保健省,2005年)を超えるザン
ビアの首都ルサカ市の貧困地区で,患者の一人がた
め息を漏らして語っていた。
経済インフラの投資と成長が目覚ましいザンビア
だが,いまだ国民全体の7割が貧困層と見なされ,
そのうち半数以上が1日に必要な食糧さえ手に入れ
ることができない生活を余儀なくされている(ザン
ビア国統計庁,2005年)。現在,結核陽性者のうち
約7割近くがHIV/エイズとの重複感染を患ってい
るとされる。結核はもはや不治の病でなく,抗結核
薬の服薬を完了すれば完治することができる。とこ
ろが,結核・HIV重複感染の場合,結核治療を受け
なかった場合の死亡リスクは極めて高い。ザンビア
の平均寿命は世界最下位の177位38.5歳(UNDP,
2008年)であり,結核の発見と治療が遅れたため命
を落とす住民が後を絶たない。
慢性化した貧困と栄養不良の問題は根が深く,結
核発症の危険因子となって貧困層住民の肩に重くの
しかかる。結核・HIV感染拡大そして結核治療の脱
落を防ぐために,彼らに今何が必要とされているの
だろうか。医療従事者,援助者側からの視点だけで
はなく,住民側の視点に立ち,住民主導による住民
エンパワメントのための持続可能な結核対策支援が
急務である。
●JATAの新プロジェクト
現在結核予防会は,ルサカ市バウレニ貧困地区6.5
万人を対象とする貧困問題に配慮した結核・HIVコミュ
ニティーDOTSの新規事業の準備にあたっている。
本プロジェクトが目指す到達目標は,バウレニ地区
住民に対して結核・HIV検査のためのモバイル検診サー
ビス,カウンセリングを無料提供することで,結核
感染者発見数を50%以上引き上げることにある。結
核検査のために自宅と病院を一日がかりで何往復も
することは,一日一ドル以下の収入でその日暮らし
を強いられた住民にとって多大な経済的負担を意味し,
患者本人のみならず患者家族の死活問題にかかわる
といっても過言ではない。「教会に行ってお祈りし
たわ。ヘルスセンターは遠いし,毎日すごい行列で
待ち時間が長くて大変」,「健康保険に加入してい
堀井 直子
ないので,(ヘルスセンターで外来診察を受けるた
めのユーザーフィー:診察代を払う)お金がないか
ら診てもらえないの」という住民たちの声が,現実
を物語っている。
最前列で活躍する立役者が,コミュニティーの推
薦を受けた住民代表で構成される結核ボランティアだ。
住民動員のためドラマや歌,もと結核患者による体
験談等による啓発活動により早期発見の重要性につ
いて訴えるのも,ボランティアの重要な役割となる。
結核予防会の仮設モバイルクリニック(移動診療所)
で結核・HIV陽性の診断を受けた患者は,地域ヘル
スセンターの結核外来もしくはART外来看護師の指
導下で治療を開始する。8ヵ月間の治療期間中は,本
プロジェクトで実施予定のトレーニングを受けた結
核ボランティア達により,服薬指導,自宅ケア,食
糧援助等,様々な支援活動が行われる。貧困に苦し
むのは結核患者だけではない。結核ボランティアも
結核・HIV感染のハイリスクグループである。本プ
ロジェクトでは,ボランティアを対象とした小規模
融資を実施し,生活向上のための支援を提供する。
これは無償奉仕活動を継続して行うことが現実に難
しく定着率の低いボランティアを定着させる上で重
要なインセンティブ(動機付け)となる。
住民参加型手法を用いて,住民一人ひとりが結核・
HIVの問題意識を「自分たちの問題」として捉え,
地域ヘルスセンターが「コミュニティーのもの」と
いうオーナーシップ(主体性)を強化する。結核・
HIVの予防と治療により住民の健康状態を改善する
ことが,コミュニティー全体にどれほど利益をもた
らすかについて理解と協力を得ることが本プロジェ
クトのねらいだ。患者,家族ひいてはコミュニティー
全体が一体となって結核とHIVエイズの予防と治療
に取り組むための基盤作りが事業成功のカギとなる。
JATA新規事業プロジェクトの結核ボランディアの皆さん
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平成20年度結核予防会広報・シール担当者会議
「心ひとつに,
夢をもって」
はじめに
全国支部から27名の担当者が集まり,第8回広報・
シール担当者会議が5月30日(金)に開催されました。
今年は日程を従前の2日間から1日に短縮,場所
を東京国際フォーラム(千代田区)へ移し,事業
部長をはじめ係員も合わせて合計31名が参加しま
した。
最初に,佐藤資金課長によるオリエンテーショ
ンが行われました。シーンとした雰囲気をほぐす
べく「自己紹介」から。参加者全員が立ち上がり,
一斉に挨拶回りをスタート。それぞれがドキドキ
しながらの初対面,また1年ぶりの再会を果たし,
会場全体が和んだ雰囲気となったところで次のプ
ログラムへと進みました。
平成19年度の支部活動報告
続いて,4支部(宮城・静岡・兵庫・山口)か
ら昨年度の活動報告,募金活動の現状,取り組み
を聞かせていただきました。4支部の代表の方に
発表していただき,地域によって,募金の依頼方
法や対象,また実情も様々であることが分かりま
した。市町村合併による保健所等施設・婦人会の
会員数減少,少子高齢化などの問題が挙げられます。
しかし,そのなかでも地道な募金依頼や,知事へ
の表敬訪問や教育委員長・婦人会への働きかけなど,
各支部でそれぞれの地域の特色を生かし,熱意を持っ
て普及活動をされていると感じました。
グループ討議・全体討議
グループ討議では4班に分かれ,「募金を何に使っ
て、複十字シール運動を広めるか?」をテーマにディ
スカッションが行われました。この討議では,昨
年度とは形式を変え,自由な発想で「募金を何の
ために,どんなものに利用し,どのように複十字シー
ル運動を広めていくか」ブレインストーミングに
基づき,案を挙げていきました。結核の現状・知識,
複十字シール募金について,一般の方々に知って
いただくために必要な活動とはどのようなものか,
様々な意見が挙がりました。
全体討議では,各グループ個性的な発表を行い
ました。出た案として,「各支部から益金を集め,
夢の検診車全国リレー」「シールぼうやアニメーショ
18
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結核予防会事業部
資金課
松枝 尋子
ン製作」「NHKみんなのうたでイメージソング放送」
「ジャンボジェット機にシールぼうや」など,夢
のある意見が多数挙げられました。
熱心な議論がはずむグループ討議の模様
講演『結核予防会の公益活動と複十字シール』
山下事業部長から『結核予防会の公益活動と複
十字シール』と題し,シール募金運動を担当でき
ること,同じ仕事へ携わる仲間が全国にいること,
熱意・夢をもって仕事をしてほしいというお話が
ありました。まずは,目標・目的を明確にし,そ
れに対する情熱を高く持ち続け,実現させようと
努力することが大切だというお話を聞きました。
私自身,資金課で勤め始めて2ヵ月経ちますが,
複十字シール運動に携わる者として誇りを持ち,日々
感謝の気持ちを忘れずに仕事していきたいと感じ
ました。
最後に
今回はじめて担当者としてこの会議に参加させ
ていただき,貴重な時間を過ごすことが出来ました。
全国の担当者の方々と直接お会いできたことは大
変心強かったです。会議後の意見交換会では,よ
り密接な交流ができ,本部の一員として,各支部
の活動に少しでもお役に立てるよう日々の業務を
通じてより理解を深めていきたいと感じました。
また,これまで長い間続いてきた複十字シール運
動の目的を心に留め,ご理解いただけるような普
及活動,募金活動の発展に貢献していきたいと思
います。これを読んでくださった皆様,結核予防
会職員の皆様,今後とも複十字シール募金へのご
協力をよろしくお願いいたします。
シール
だより
平成19年度複十字シール募金結果報告
平成19年度の複十字シール募金総額は,3億7,790
万円となりました。募金にご協力いただいた皆様
には本当にありがとうございました。また,結核
予防会支部ならびに結核予防婦人会の皆さまには,
結核予防週間での街頭キャンペーンなど様々な場
を通じて活動いただきありがとうございました。
経費を除いた益金の使いみちは,グラフのとお
りです。結核予防のための教育資材の作成と国際
協力関連への支出で全体の半分を占めています。
途上国では毎年165万人が結核で死亡しており,
いまだに結核は最大の感染症です。交通が発達し
渡航が容易になった今,外国の結核は私たちにとっ
て遠い問題ではありません。国内の結核対策と同様,
途上国の結核問題にも目を向けていきたいと思い
ます。
使途内訳
胸部検診の機器整備
などに16% 4,612万円
途上国の結核対策
支援に28%
7,916万円
結核予防週間行事や
教育資材の作成
に25% 7,366万円
結核対策などの調査
研究事業などに14%
4,131万円
全国各地域の結核予防
団体の活動費に17% 4,979万円
出産を募金とともに永遠の思い出に・・・
「うぶごえ募金」
お子様(お孫様)の誕生は,大変輝かしいものであ
り今後の生活に胸を躍らせていることと思います。
この幸せな気持ちを永遠に形として残し,ご家族
にとって思い出深い募金を今年度から始めました。
世界には「結核」という病で苦しんでいる人も
多くいます。途上国では結核治療に最も大切な初
期2ヵ月の薬代が一人千円で,治癒までの6ヵ月
が2千円でまかなえます。お子様(お孫様)の人生の
スタートに,募金をはじめて結核と戦っている人々
に手を差し延べてみませんか?
人生の大きなイベントである「出産」は募金の
一つの機会です。幸せな時期に募金をすることで
更に思い出深いものとなるでしょう。
一万円以上の募金を頂いた方には,お子様(お孫様)
のお名前と生年月日・出生時体重・身長の入った
感謝状を贈呈させて頂きます。額に入れてご自宅
にお届けいたします。
五十万円以上の多額の募金を頂いた方におかれ
ましては,総裁秋篠宮妃殿下による高額寄付者感
謝状贈呈対象となります。
これからご出産される方,うぶごえ募金にご興
味のおありの方,すでにご出産された方からも受
け付けております。お気軽にご連絡下さいませ。
([email protected])
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呼吸の日記念フォーラム2008
家族を守れ! 肺の健康を考える
社団法人日本呼吸器学会と財団法人結核予防会
の主催で,5月9日の呼吸の日を記念して,5月9日
(金)
13:00∼16:00有楽町朝日ホール(千代田区)で,
急増する肺の生活習慣病を予防するために,みん
なで呼吸や空気のことを考えることを目的に記念
フォーラムが開催されました。
当日は,女子マラソン五輪メダリストの有森裕
子さんの特別講演や,パネルディスカッションが
行われました。また,厚生労働省生活習慣病対策
室の森淳一郎たばこ対策専門官から挨拶を賜り,
649名の方の参加がありました。
また,ホールのひとつ下の階では,肺年齢測定
体験会が機器メーカー5社の協力を得て実施され,
9台のスパイロメトリーが出て,501名の方が体験
されました。
主催者挨拶
呼吸器学会理事長の工藤翔二先生は,肺の日(8
月1日)に加えて,新たに呼吸の日(5月9日)
を制定し,もっと呼吸や空気のことを考えていた
だきたいというメッセージとともに,作家の大江
健三郎さんの言葉
を紹介し,「人間
は生まれてから息
を引き取るまでずっ
と呼吸をしている」,
だからたばこのこ
とも含めて肺の大
切 さ 考 え ま し ょ う,
と聴衆に訴えました。
挨拶される工藤先生
メダリストの言葉
有森裕子さんは,自分の体験から私たちにいろ
いろなことを教えてくださいました。もともと股
有森さんのお話はとても楽しかったです
20
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関節脱臼やくるぶしを事故で傷めて,アスリート
としては非常にマイナスの要素を持っていたけれど,
その状況を自分で理解し,その上で自分に何がで
きるか,何を目指したいかを問いかけ,目標に向かっ
て突き進むという生き方を語ってくださいました。
お母様からも「まゆげのちょっと上のあたり,自
分で見える範囲の目標をたてて,それを達成して
いけばいずれ大きな目標に近づいていく」という
言葉をもらって,失敗も納得のうえで,プラスに
変えるというお話をされました。現在,メダリス
トとしてどのように生きていくかが課題で,その
ためにNPOや会社を立ち上げ,その仕事をしつつ,
自分のなりたい姿を求めているというお話をされ
ている時のお顔は,本当に生き生きとしていらっしゃ
いました。
パネルディスカッションの様子
パネルディスカッション
続いて,ジャーナリストの池上彰氏を迎え,有
森さんとともに千住秀明氏(長崎大学大学院教授),
別役智子氏(北海道大学大学院准教授),渋谷章
氏(日本呼吸器疾患患者団体連合会患者代表幹事)
の5人で,「あなたの肺は大丈夫?」,「COPDと
向き合う方法論」,「みんなで支える呼吸器患者」
の3部に分けて,議論されました。
まず,肺の生活習慣病であるCOPDについての簡
単なVTRが流れ,自分の肺の状態を測る「肺年齢」
での計測が有森さんの実演で行われました。なんと,
41歳の有森さんは,実年齢より18歳若い23歳とい
う結果でした。しかし,多くの人が加齢現象と思っ
て,関心が薄いため,COPDで重症になると,生活
の質も低下する恐れがあると,渋谷氏はお話され
ました。やはり,かかりつけ医に相談し,呼吸器
専門の内科にかかることが重要であると説明され
た千住先生は,それでも地域によって相談機関が
よくわからない場合には,保健所に相談してみて
くださいと言われました。確かに呼吸器専門医を
紹介するホームページはあるのですが,自分で探
し出すことができるのは若い人などに限られていて,
もっと広く普及啓発する必要性を実感しました。
続いて,予防とリハビリテーションについて話
されましたが,ここでは,治療のひとつでもある
禁煙活動や呼吸リハビリというものがあることが
説明されました。ただ,新しい禁煙薬の保険適用
など明るい話題もありましたが,呼吸リハビリが
まだまだ脳卒中などのリハビリに比べて診療点数
が低いなど,障害を取り除く必要があり,将来は,
COPD検診が40歳以上の節目検診で実施されていく
ことが望ましいという発言もありました。
多くの方が関心を寄せていただける機会となり
ました。来年もまた,呼吸の日に皆さんにお会い
できることを楽しみに会場を後にしました。
(文責:編集部)
肺年齢測定体験会
呼吸の日記念イベント
in横浜開催される
5月10日(土)11:00∼18:00,横浜みなとみらい
クイーンズスクエア横浜クイーンズサークルにお
いて,肺年齢という言葉やその意味を啓発し,ス
パイロメーターによる呼吸機能検査の体験を行う
イベントが行われました。
けている娘さんや,「私は,以前にこの検査やっ
たことがあるから,10歳も若いの! でもお友達は,
初めてだから」と一緒に測定した友人を慰める方や,
「ちょっとショックです。来年もまた測定できま
すか? これから気をつけます」おっしゃって会
場を後にされる方などがいらっしゃいました。
やはり,スパイロメーターという呼吸機能検査
について知っている人は少なく,また肌年齢や骨
年齢などのように,身近に感じることができる「肺
年齢」という言葉は,今まで関心がなかった人に
測定会場の模様
当日は,5社のスパイロメーター9台が設置され,
道行く人に「肺年齢を測ってみませんか?」,「無
料ですからぜひ」と声をかけました。あいにくの
曇り空でしたが,開場1時間前から,受付前には人
が並び始め,若い人から高齢者まで,幅広い層の
方に測定して頂くことができました。
測定された後の会話では,「そんなに肺年齢が
実年齢と違うって出ているので,もうたばこをや
めないとまずいでしょう!」とお父さんに話しか
検査技師に声を掛けられ,一気に息を吐き出す測定風景
も「肺」という機能を少し大切に感じていただけ
る良い機会だなと感じました。
最終的には,7時間で1,125名の方に測定してい
ただき,大変盛況なイベントとなりました。
(文責:編集部)
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2008年世界禁煙デー記念シンポジウム
子どもをたばこから守るために
5月30日(金)科学未来館みらいCANホール(東京・江東区)
21回目を迎えるWHO世界禁煙デーのスローガンは,
“TOBACCO−FREE YOUTH(たばこの害から
若者を守ろう)”です。昨年7月に開催の「たば
この規制に関する世界保健機関枠組み条約」の第
2回締約国会議を受け,「たばこの煙にさらされ
ることからの保護(第8条)」の強化で,今年3月
から「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」
が始まっています。
4月からは,「特定健診・特定保健指導」が始
まり,対象者が喫煙者である場合には,食事・運
動に加えて“禁煙”指導も行われることになって
います。今年のテーマは「子どもたちをたばこか
ら守るために」とし,議論を深めました。
政府における主なたばこ対策
厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室たば
こ対策専門官の森淳一郎氏は,まず日本が締約し
ている「たばこ規制枠組み条約」の概略と,世界
で進めている「MPOWER」
(たばこの使用と予防政
策を見つめる5つのテーマ①受動喫煙からの保護
②禁煙支援③知識普及④広告や後援禁止要請⑤た
ばこ税引き上げ)を解説し,日本での取り組みを
説明しました。また,禁煙することのメリットは1
日でも効果があり,リスクが減るので,何度失敗
しても禁煙を試みることは大切ですと語りました。
講演中の模様(熱心に聴く多くの聴衆)
妊娠期から子どもたちの置かれた状況と対策
子どもをとりまくたばこの状況は非常に厳しい
ものであることを実感させられました。神奈川県
立こども医療センターの萩原聡子先生は,妊娠で
一旦禁煙しても再喫煙する女性が多いことや妊娠
をきっかけに禁煙する男性が意外と少ないことな
どを報告されました。さらに,青山病院小児科の
青山恒夫先生は♪おさかな天国のメロディーに合
わせて『ニコチン監獄』という歌をギターの弾き
語りで紹介し,会場を沸かせました。
22
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また,タバコの関心が思春期に集中していて,「大
人は,本当は吸いたくない」ことを理解させるこ
とが重要との和歌山県田辺市第三小学校元校長の
北山敏和先生のお話は印象的でした。また,子ど
も向けに卒煙外来を行い,中学生や高校生の言葉
に耳を傾けている静岡市保健福祉子ども局の加治
正行参与は,子どもに浸透している「タバコで集
中力があがる」というイメージを払拭し,喫煙行
動に対して謹慎ではなく治療をというお話には納
得させられました。
喫煙者へのメッセージも忘れずに・・・「肺年齢」
久留米大学医学部の相澤久道先生は,たばこが
9割の原因とされる「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」
について,新しい肺の健康指標である「肺年齢」
という概念を紹介しながら,肺のありがたさを実
感する講演がありました。
肌年齢,血管年齢,骨年齢など,巷には様々な
健康を測る指標がありますが,呼吸を司り生命活
動の根源となる「肺」は,空気のような存在です。
その意識を変えるために呼吸機能検査であるスパ
イロメーターを使って,実際の年齢で衰える呼吸
機能とどれくらい差があるか関心が持てるように
開発した経緯を説明し,色々なイベントで肺年齢
を測る機会があればぜひチャレンジしてください
と呼びかけました。
閉会挨拶
たばこと健康問題NGO協議会の島尾忠男会長は,
今回のシンポジウムを終わる前に,参加者へうれ
しいニュースを報告しました。翌日の「世界禁煙デー
(5月31日)」にWHOから日本の若者(静岡市の
大石悠太君)が表彰され,このシンポジウム会場に,
喜びと「たばこのない夢の国」を作りたいというメッ
セージを寄せてくれたことを報告しました。若者
にも後押しされながら,大人ももっと頑張りましょ
うと会場に呼びかけました。
(文責:編集部)
挨拶をされる島尾会長
タバコ問題首都圏協議会主催 2008年世界禁煙デー記念シンポジウム
受動喫煙のない環境−タバコの煙のない社会をめざして
5月31日(土)14:00∼17:30,東京しごとセンター
講堂(千代田区)にて,タバコ問題首都圏協議会
主催で世界禁煙デー記念シンポジウムが開かれま
した。今年は,嫌煙権運動発足30年,健康増進法
施行5年,タバコ規制枠組み条約発効3年の節目の
年として,受動喫煙対策が遅れている飲食店を中
心にシンポジストが講演しました。
飲食店における分煙対策の実態
全国飲食業生活衛生同業組合連合会の専務理事
小城哲郎氏や,禁煙スタイルを主宰する岩崎拓哉
氏は,日本における飲食店の課題と解決策について,
また禁煙席ネットを主宰する医学博士宮本順伯氏は,
欧米オセアニア地域での全面禁煙飲食店の情報を
提供しました。やはり,日本はまだまだ「たばこ
は体に悪い」ということより「たばこは嗜好」が
重要視されていて,海外の意識と離れていること
を実感しました。
最後にすべての人のための受動喫煙防止対策を
目指して,「タバコ規制枠組み条約に沿った対策
とは」で産業医科大学健康開発科学教室研究員の
中田ゆり先生が,この条約で決められた日本が守
らなくてはならない約束(第8条):たばこの煙
にさらされることからの保護を遵守する意味を話
しました。日本で初めてとなる神奈川県の「公共
的施設における禁煙条例(仮称)」は,現在委員
会において検討中で,色々な意見が出ているが,
ぜひ「完全禁煙」を実践したいという意気込みと
多くの人の賛同を力にしたいと話されました。
さまざまな活動を通して
JR東日本労働組合委員長の千葉勝也氏が,JR東
日本の禁煙化への取り組みまでの経緯をお話したり,
禁煙推進議員連盟事務局長の小宮山洋子衆議院議
員が挨拶で,「財政再建のために『たばこ1箱1000円』
を合い言葉に活動を始める議員連盟とも共闘して
いきたい」と発言したり,巣鴨のお寺でお坊さん
が境内を全面禁煙にした話をするなど,色々な立
場の人が活動していることを実感し,またその勢
いが加速していると感じました。
(文責:編集部)
結核予防会の禁煙ポスターが出来ました!
結核予防会では,「吸えば吸うほど・・・」
という禁煙ポスターを作成しました。
無料で配布していますので,ぜひ,病
院や施設,学校や飲食店など人が集まる
ところに掲示してください(ただし,送
料は実費ご負担いただきます)。
お問い合わせは,結核予防会普及課(033292-9288)まで。
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東京都内の街頭に肺年齢体験希望者の行列
−「世界禁煙デー記念 移動肺年齢測定体験会」開催−
三宅 新吾
結核予防会事業部普及課長 5月23日(金)午前10時から午後8時,東京都内
の深川,渋谷,有楽町の順に3ヵ所移動して,日
本呼吸器学会,財団法人結核予防会の共催により,
「世界禁煙デー記念移動肺年齢測定体験会(深川,
渋谷,有楽町)」を開催しました。
高齢者,若者,中年層の肺年齢測定を実施して,
各年代の呼吸器疾患への関心を高めることを目的
として,それぞれの年代の方々が多く集まる都内
の代表的地域3ヵ所を移動して行い,テレビ取材,
インタビュー等にも応じました。
その模様はTBSテレビ番組「イブニング・ファ
イブ」で世界禁煙デーの前夜5月30日(金)午後
5時30分頃から約10分間放映されました。
開催時間,場所,体験者数は,①深川―午前10
時から12時,高齢者が多く集まった深川ギャザリ
アセンター広場,52名。②渋谷―午後1時30分か
ら4時30分,若者が多く行き来する渋谷109イベン
トスペース,82名。③有楽町―午後6時から8時,
勤め帰りの中年層が多く通った有楽町マリオンスペー
ス,73名でした。
関心を持つ若者たちの行列(渋谷)
今年の春に誕生して間もない「肺年齢」の概念,
スパイロメーター(肺機能検査)による「肺年齢」
を街頭で実際に体験していただくことによってP
Rし,「呼吸の日」,「世界禁煙デー」を知っていた
だき,COPDの早期発見とたばこ対策の重要さを認
識していただくことができるよい機会となりました。
第44回日本循環器病予防学会参加報告
結核予防会健康ネットワーク事業部
特定保健指導課管理栄養士
上田 博子
5月23日(金)∼24日(土),カレッジプラザ(秋
田市)において,上記学会が開催され,参加しま
したので,報告します。
今回の参加の目的は,生活習慣病予防について
の最新情報を収集することと,取り組み団体の事
例を学び,平成20年度結核予防会健康支援者養成
研修会(第6期)の企画(栄養とアセスメント)
のためでした。
また,第一健康相談所岡山明所長が,「日循協
認定生活習慣改善保健指導士制度委員会教育研修」
と題して,特定健診・特定保健指導にまつわる保
健活動の演題(兵庫県丹波市と岩手県矢巾町)を
座長としてとりまとめました。
講演やシンポジウムを通して,結果を出す保健
指導のためには,対象者の生活習慣を客観的に把
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握するための帳票づくりやアセスメント方法,ま
た具体的な伝達方法など,総合的に支援者をバッ
クアップする研修が求められており,またそのた
めの研修計画が必要だと実感しました。
特に丹波市が取り組んでいる健診時のワンポイ
ントアドバイスの報告は,現在結核予防会が実施
している事業の参考になりました。
これから,ワンポイントアドバイスを行う支援
者の層を拡大していく構想が始まっています。さ
らに効率よく対象者の実行を伴う支援のために,
ワンポイントアドバイスのマニュアル作成と,対
象者の生活習慣改善に対する関心度・意欲度を客
観的に把握するツールを開発し,課内で検討して
いきたいと気持ちを新たにしました。
結核予防会支部紹介のページ
京 都 府 支 部
疾病の早期発見につながる
総合的な健康支援
佐藤 篤彦
をめざして
結核予防会京都府支部
(財)京都予防医学センター
支部外観
専務理事・附属診療所所長
ビスを受診者の方に提供するため,平成19年には
日本病院会・日本人間ドック学会による「人間ドッ
ク・健診施設機能評価」の認定を受けました。
外来診療では,呼吸器内科・循環器内科・消化
器内科・糖尿病外来・感染症外来・乳腺外来・骨
粗鬆症外来など各専門医による診察を行っています。
また,保健指導や普及啓発活動にも力を入れて
おり,保健師や管理栄養士,健康運動指導士によ
る事後指導や健康相談のほかに,結核予防週間の
頃に行う講演会「結核の予防とがんを考えるつどい」
では、一般市民を対象に約40年前から行われており,
結核やがんに関する啓発の場として定着しています。
一方,情報セキュリティの維持にも努めており,
平成19年4月には,情報セキュリティマネジメン
トの国際規格ISO/IEC27001の認証を取得し,
職員各自が遵守することで,組織の信頼向上に取
り組んでいます。
はじめに(沿革)
京都府支部は昭和15年3月に設立され,結核予
防知識の普及啓発や健康相談事業を行ってきました。
昭和27年に財団法人の認可をうけ,その後,平成
3年4月に(財)京都循環器病予防会と統合し,
京都府民の健康福祉の向上に寄与することを目的
とした(財)京都予防医学センターが発足しました。
事業概要
当支部では,市町村や事業所へ赴いて健診を行
う出張健診,施設へ来所いただいて人間ドック等
を行う総合健診そして精密検査や一般診療を行う
外来診療の3つの事業を柱に活動しています。
出張健診では京都府内の市町村・事業所・学校
などで定期健診や特殊健診,各種がん検診を実施
しています。京都府は地理的に南北に長いため,
府北部でも地域に密着した活動ができるように丹
後支所を設けて事業を展開しています。
総合健診では,人間ドックを中心とした各種健
康診断を実施しています。近年は,自己の健康管
理に関心を持たれる方が多く,肺のCT検査や腹
部のCTによる内臓脂肪計測などオプション項目の
充実にも力を入れています。昨今は,肺の生活習
慣病(COPD)や肺線維症例に肺年齢を測定し,禁
煙指導を充実させています。また,高品質の健診サー
ISO/IEC27001
おわりに
平成20年度は,医療制度改革に伴う特定健康診査・
特定保健指導が始まり,また,新しい公益法人制
度がスタートするなど,当支部をとりまく環境は
大きく変化しています。
こうした中にあっても支部が設立された当初の
目的を忘れることなく,職員が一丸となって,予
防医学の専門機関として総合的な健康支援を行っ
てまいります。
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ASEAN・日本HIV/AIDS
ワ ークショップ
−アンコールは遠かった−
山崎 厚司
財団法人エイズ予防財団 オープニングセレモニー(右から2番目が島尾会長)
平成19年度 ASEAN(東南アジア諸国連合)・日
本HIV/AIDSワークショップが,2008年2月18日
から22日まで,カンボジア王国プノンペン市にお
いて開催された。
このワークショップは,今後のHIV/AIDS予防
における国際協調,特にアジア地域の協調の重要
性に鑑み,わが国が同地域における国際協調に積
極的貢献を果たすべく企画されたものである。
対象国は,国際的な保健問題に取り組む際の枠
組みとなるWPR(西太平洋)やSEAR(南東アジア)
といったWHOの地域区分によるものではなく,
ASEANという共通の目的によって結ばれた地域協
力機構に加盟する10ヵ国(シンガポールとブルネ
イは欠席)で,より地域に共通した課題を取り上
げることができた。また対象者は,HIV/AIDS予
防対策を検討する際の重要なファクターである,
①HIV/AIDS対策担当者,②医療従事者,③患者・
感染者をサポートするフロントラインワーカーの,
各国3名である。
エイズ対策のモデルを求めて
カンボジアのエイズ流行は1990年代後半急速に広
がった。そのため政府は1998年に国立エイズ・皮膚
病・性感染症センター(NCHADS)を設置,翌99
年には関係省庁の活動を調整するNational AIDS
Authorityという組織を作り,エイズ対策を最優先
課題として取り上げた。その結果,98年には2.0%と
推計された成人(15∼49歳)のHIV感染率を,06年
には0.9%にまで減少させることに成功した。カンボ
ジアのエイズ対策の現状を視察し,成功要因を探り,
参加各国のモデルとなることを期待して,カンボジ
アで開催することとなったのである。
ワークショップ初日は,カンボジア保健省Mam
Bun Heng大臣の挨拶から始まり,エイズ予防財団
からも島尾会長が主催者の一人として挨拶を行った。
引き続き,カンボジアの経験に学ぶと題し,
NCHADSセンター長Mean Chhi Vun医師による,
カンボジアのHIV/AIDSの状況・対策に関する講
演が行われた。その中で,①諸機関の連携とコミュ
ニティの参加,②政府のコミットメント,③国際機
関などとの協調が,成功の鍵となることが話された。
2日目はフィールドトリップに当てられ,予防
対策2グループとケア・治療2グループの,計4
グループに分かれ現状視察を行った。島尾会長と
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筆者は予防対策グループの一つに参加し,
Cambodia Women for Peace and Development
(CWPD)というNGOを訪問,ピア・エデュケーショ
ン,セックスワーカーへの100%コンドーム使用推
進活動を見学した。少女たちが2ドル足らずで体
を売る,バラックのような売春宿の訪問はショッ
クであった。
3,4日目にはフィールドトリップのレビュー,
カントリーレポートの発表,職種ごとのグループワー
クなどのプログラムが組まれていた。日本からも
「Beyond ART(抗HIV治療の先)」と題して,
HAART療法により著しく予後の改善されたHIV感
染者の,エイズ以外の医療問題について発表があった。
また,各国の行
政担当者を対象と
した会議を開催し,
青少年のエイズ予
防対策問題を話し
合った。
ワークショップ
は3年計画の2年
CWPDのドロップインセンターでの会合
目で,初年度はタ
イの成功要因を学び,締めくくりとなる平成20年
度は日本での開催を予定している。このワークショッ
プが今後のASEAN各国のHIV/エイズ対策推進に
寄与することを期待するところである。
カンボジア訪問を終えて
さて,カンボジアといえばアンコールワット
である。初めてのカンボジア訪問。日本を発つ
前からアンコール訪問を企てた。しかしいざ始まっ
てみるとなかなか抜け出すのは難しく,かといっ
て「お腹の調子が悪いので部屋で休んでます」
と嘘をつく度胸もない。島尾先生から「カンボジ
アは初めてかい」と尋ねられたときに,一瞬優し
い言葉を期待したのだが・・・。この度のカンボ
ジア訪問に触発され,またいくつかの偶然が重なっ
て,国際協力を専門に行っている団体にリクルー
トすることとなった。アンコールを訪れる機会は
近いかもしれない。
最後に,現地情報提供など便宜を図っていただ
いた,同国結核ハンセン病対策センターで結核対
策プロジェクトに活躍されている結核研究所の諸
氏に深く感謝申し上げる。
新型インフルエンザに関する最近の情報
国立感染症研究所感染症情報センター
森兼 啓太
主任研究官 鳥インフルエンザA/H5N1の状況
2003年にアジアで始まり,その後中東やヨーロッ
パ,アフリカ大陸に至るまでを巻き込んだ鳥イン
フルエンザA/H5N1の流行は,衰える気配を見せ
ていません。最近,お隣の韓国でA/H5N1の集団
発生が報じられ,日本でも東北地方や北海道で野
鳥のH5N1感染が確認されています。鳥での流行を
背景に,鳥からヒトへの感染も散発的ですが持続
していて,原稿執筆時点(2008年5月28日)におい
て全世界で累計382人,今年に入ってからだけでも
31人に達しています。
最近の症例も,以前からの症例と同様に致死率
が高く(50%以上),発症から急速に症状が悪化
して死亡しているケースが多いと言えます。その
一方でヒト−ヒト感染はほとんど起こっていない
と考えられています。最近では中国江蘇省で2007
年12月に発生した親子の2症例がヒト−ヒト感染と
考えられ,ヒトからヒトへの2世代にわたって感染
したと思われる事例は2006年にインドネシアの
Karo地区の事例以降ありません。ウイルス学的にも,
依然として鳥型ウイルスの形態を保っており,ヒ
トで流行しやすい形に変化しているとはいえません。
新型インフルエンザへの備え
とはいえ,いつどのような変化がウイルスに起
こるかは予測不可能です。ヒトからヒトへ効率よ
く感染伝播する新型インフルエンザウイルスがあ
る日突然出現し,東南アジアのどこかで数十名の
患者発生が確認された時点ではすでに感染者が日
本を含む世界各国へ散らばっていた,ということ
もあり得ます。
日本を初め各国では,その出現への対応を速や
かに行うべく様々な対策を立案しています。厚生
労働省は2005年11月に「新型インフルエンザ対策
行動計画」という,国としての大まかな指針を策
定しました。その後,2007年3月までに,これに沿っ
た各論としてのガイドラインが13種類作成されま
した。抗ウイルス薬やワクチンの接種・投与タイ
ミング,医療体制の維持,症例数がごくごく少な
い時点での,積極的疫学調査と様々な薬物的・非
薬物的介入による疾患の押さえ込み(流行拡大の
阻止または遅延),などです。
2007年から今年にかけての国の動きとしては,
主にワクチンと抗ウイルス薬の備蓄を進め,ワク
チンは2000万本,抗ウイルス薬は2100万回の治療
分(2億1000万カプセル)をそれぞれ備蓄しました。
また,厚生労働省が主催する新型インフルエンザ
対応訓練が2007年2月に徳島県で行われ,国内発生
第1例目を想定した患者の搬送訓練や,国内で患者
が多数発生した場合を想定した患者のトリアージ(ふ
るい分け)訓練などが行われました。内閣府に対
策部署ができ,関係省庁を含めた対策が話し合わ
れています。消防庁が主催して,2008年5月に救急
隊による患者の搬送訓練も行われました。
訓練の模様
都道府県や大都市など各自治体レベルでも,国
のガイドライン策定を受けてそれぞれのガイドラ
インを策定し,医療機関の病床確保などに取り組
んでいます。国と同様の実地訓練も行っています。
企業のレベルでも,新型インフルエンザ大流行の
際の事業継続プランを策定する動きが目立ちます。
今後必要な動き
しかし,一方で議論が進んでいないことが多い
のも事実です。プレパンデミックワクチンをいつ
どのような形で打ち始めるか,優先度をどうするか,
備蓄している抗ウイルス薬の配分の優先度をどう
するか,水際対策をどこまで徹底してやるか,徹
底するなら留め置く海外からの帰国者の一時滞在
場所をどのように確保するのか,航空便の運行を
どの時点で停止し,それを誰が決断するか,など,
課題は山積しています。今新型インフルエンザが
発生したら,国内1例目や2例目の患者に対しては
適切に対応できるでしょうが,流行拡大の阻止や
抑制,大流行になった際の医療体制などにおいて
は間違いなく大混乱になるでしょう。これらに関
する議論を深め,国としての方針を定めておくこ
とが今必要とされています。厚生労働省では新型
インフルエンザ専門家会議を随時開催し,部門別
に議論を深めています。
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健康ネットワーク通信
健康ネットワーク事業部企画調整課長 菊地 健司
ネットワーク推進委員会を開催
5月28日(水)14:30∼17:30,本部5階会議室に
おいて,推進委員会が開かれました。
今回は,4月17日に開催された推進本部での議題
事項を推進委員会にかけ,ご承認いただくために
開催致しました。また,今後の体制を見直すこと
がテーマでしたので,オブザーバーとして,結核
予防会特定健診・特定保健指導渉外プロジェクト
委員会委員長で熊本県支部保健指導部長の原耕介
氏にも参加していただきました。
1)「ネットワーク推進体制の改組についてのご提案」
岡山所長より現在の体制について,次の3点を問
題提起しました。1)意思決定のしくみを作る。2)
決定事項を報告する流れにする。3)各部会・委員会・
本部の関係と役割を明瞭にする。 次に,下記図を提示し,新体制 (案)説明しました。
推進委員会について,1)意見を頂く場から意思決
定機関への変更,2) 決定事項を本部・支部へ伝え
る機能を明確化,3)各部会と本部間の運用ルールの
決定することを提案し,部会は地区組織を作って
検討し,部会内での方針を決めます。その後,推
進委員会に上げ,更に議論後,正式な決定事項と
なるしくみにしたいと述べました。続いて委員の
選任について,地区別代表・3部会代表が集まり
推進委員を組織することを報告しました。
委員からは,概ね了承いただきましたが,本部
がもっと主導権を握ること,リーダーシップを取
ることが求められました。一部検討が必要な部分
についは本部で検討することが決まり議事は終了
しました。
2)「ネットワーク健診事業進捗状況」
初めに渉外プロジェクト部会リーダー熊本県支
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7/2008 複十字 No.322
20
No.
部原保健指導部長からお話し頂きました。
昨年8月に渉外プロジェクト委員会を作った経緯
や現在のシステム(ヘルスデータバンク)につい
て現状認識を報告しました。
今後の課題は,1)結核予防会は一方通行の組織体
制であるため,解決の考え方として『双方向の会
話型』を提案し,2)渉外運用として根幹の売り込む
システムが遅れているのを取り戻すことだと意見
を述べました。
続いて,ネットワーク拡大について受託状況を
報告し,現在の結果処理体制の課題とネットワー
ク医療機関の拡充について厳しいが,200ヵ所を目
指していることを報告しました。
次に,特定保健指導課亀ヶ谷課長より平成20年
度基本方針について抱負を話しました。
最後に保健指導システムについて,5月19日納品
完了し,本部テスト後支部発送予定とお知らせし
ていたが遅れている。本日データ取り込みがよう
やく確認できた。来週位を目途に注文支部様へは
発送する意向を示しました(著者注:6月9日現在
納品完了しています)。
さらにネットワーク事業部吉田副部長よりHDB
は4月14日から稼働し,現在利用者数(各支部,
友好3団体,提携医療機関など61万件)で,各支部
でデータアップロードのためのファイル作成に時
間がかかっていることを報告しました。今後のネッ
トワーク健診拡大に向けて,各支部で結果を電子ファ
イル化するしくみ作りが必要で,ネットワーク健
診における標準的な問診,標準的な読影コード作成,
標準的な健診結果データファイルレイアウト作成
が必要と説明しました。
報告の最後は菊池より各支部間で受託数・受診
数に差があるため,各支部間の収入格差是正が課
題であり,価格調整基本方針を説明し一律方式と
分配方式について報告しました。新規ユーザー獲
得時に本部出張費用(交通費)・派遣料などの一
部を一定期間限定で「立ち上げ経費」として支部
にご負担頂く提案をしました。
ネットワーク推進本部での報告
6月18日(水)16:00∼17:00,本部5階会議室にお
いて,ネットワーク推進委員会の報告と今後の体
制について検討しました。
詳細については,6月30日(月)の臨時全国支部
事務局長会議にて報告致します。
(6月25日現在)
予防会だより
ハッセイ博士の講演会行われた
4月28日(月)16:00∼17:00,結核研究所4階
講堂において,来日中の南アフリカ・ケープ大学
のハッセイ先生(Dr. Hussey, Gregory)が,南ア
フリカ結核ワクチンイニシアティブ(satvi;South
African TB Vaccine Initiative)での活動について
講演された。
すでに2006年パリで開催されたIUATLDでも発
表されたが,2001年∼2005年の間に12,000人の新生
児にBCG接種を行った実験について説明された。
その結果として日本のBCGの副作用が少ないこと
が証明されたこと,またBCGは,幼児の重症化を
防ぎ,死亡率を下げ,アレルギー疾患等も防ぐと
いうことが言われている。その一方で,HIVとの二
重感染の患者には使えないという弱点があり,新
しいワクチン(MVA85A等)を開発中であり,
2050年までに結核撲滅につなげたいと希望を述べ
られた。
医師を対象とした講演だったため,少し難しい
内容だったが,日本のBCGが海外で役立っている
ことと,新しいワクチンが近い将来(2015年を目処)
にできるという期待に胸が躍った。
(文責:編集部)
公共広告機構(AC)第34回通常総会で結核予防会広告紹介される
5月26日(月)東京會舘(千代田
区)において,標記会議が開催され
ました。そこで,新規団体の一つと
して,結核予防会のテレビCMの模
様が発表されました。
総会では,理事長の佐治信忠氏が
佐治氏
挨拶をし,平成19年度の実績や20年度の取り組み
などが報告されました。結核予防会が属する支援キャ
ンペーンの部門では,9団体のうち,5団体が新
たな支援を受けることが決まっています。
懇親会の様子
その後に催された懇親会では,
「やってみなはれ!」と相談役にな
られた寺尾睦男氏のご挨拶がありま
した。これから2年間続く結核予防
会のキャンペーンに対して,背中を
押していただいたようで,胸がいっ
寺尾氏
ぱいになりました。
結核予防会の「地球の咳」というタイトルのテ
レビCMは,咳が出ている地球くんとお医者さん
の会話のシーンで始まります。そこで,結核は過
去の病気ではないこと,今でも世界人口の3分の
1が感染していること,結核について前向きに行
動することをメッセージにしています。7月から
テレビ,新聞,ラジオ,ポスター等で展開され,
本誌が届く頃には,皆様のお目に止まっているこ
とと思います。
とてもおだやかなイメージのCMですが,世代を
越えて多くの方々に「結核」を意識していただけ
るものになったと確信しています。普及課に届き
ました反響については,また複十字誌上でも報告
致します。ご期待ください。
事業部普及課
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60年間結核と闘ってきた日患同盟が記念集会・祝賀会を開催
名称から直接はわかりませんが,日本患者同盟は
結核患者によって結核との闘いのために組織された,
結核予防会と縁の深い患者団体です。平成20年6月
10日火曜日午後2時から,結核研究所(東京都清瀬市)
4階講堂において,日本患者同盟主催,ストップ結
核パートナーシップ日本,結核研究所の後援により,
「日本患者同盟創立60周年記念集会・祝賀会」が開
催されました。
第1部の記念集会は,まず日本患者同盟の小林義
雄会長の主催者挨拶に始まり,次に『結核との闘い
60年』副会長・都患同盟会長で,今年満90歳を迎え
た小島貞夫氏からの創立者代表挨拶と続きました。
プログラムは,結核研究所石川信克所長による記念
講演「結核治療は患者や地域を元気にする」へと進
みました。内容は大きく4点で,1点目は日本の結核
はまだまだ安心できないこと。2点目は世界の結核
はいまだ盛んであること,3点目は,結核の治療と
DOTSは患者や地域を元気にするということで,石
川所長が今までバングラデシュで経験したことと,
東京都新宿区の路上生活者へ現在取り組んでいるこ
とを紹介し,具体的な事例に会場内の皆が熱心に聴
き入りました。4点目は,「ストップ結核パートナー
シップ日本」設立についてふれ,全地球の結核制圧
を目指し,世界の人々が手を取り合って健康で平和
な社会を築きましょうと結びました。
100名の参加者を得て催された記念集会終了後,
休憩をはさんで3時半から祝賀会が開催されました。
開会挨拶をされる小林義雄日本患者同盟会長
第2部の祝賀会は,日本患者同盟の小林義雄会長
が開会を宣言し,来賓を代表して,厚生労働省健康
局結核感染症課の三宅智課長,ストップ結核パート
ナーシップ日本の森亨代表理事の2名から挨拶があり,
日本医療労働組合連合会の田中知恵子会長の乾杯発
声で,和やかな懇談がスタートしました。
懇談中に,結核予防会の島尾忠男顧問をはじめ各
分野,多くの方々からの挨拶がありました。日本国
憲法で保障された「生存権」は自分達が闘って勝ち
取るものであり,そのために国民運動に発展させて
展開してきた日本患者同盟の60年にわたる活躍の歴
史を祝福し,これからも人間の尊厳や人権を尊重し
て関係者皆が協調して前進していきましょうと,多
くの方々からメッセージがありました。
宴たけなわの中,日本患者同盟の山本幸男副会長
(高知県患者同盟事務局長)が中締めを行い,午後
5時に盛会裏に閉会しました。 (文責:編集部)
複十字病院工藤翔二院長が平成20年度環境保全功労者表彰を受ける
6月11日(水)ホテルフロラシオン青山(東京都
港区)において,工藤先生は環境大臣から表彰され
ました。環境保全,地球環境保全及び地域環境美化
に関して,特に顕著な功績があったものに対して,
毎年表彰されています。今年度の環境保全功労者は,
18名と1団体に贈られ,そのお一人に工藤先生が選
ばれています。工藤先生は,呼吸器疾患の診療活動
とともに環境省における大気汚染による呼吸器疾患
への影響に関する呼吸器系への健康影響に関する調
査研究において,委員として,呼吸器症状に係る助
言を行うなど,中心的な役割を果たした功績を讃え
られました。
誌面上ではありますが,どうぞこれからも変わら
ず研究に努められ,さらなる成果が実を結びますよ
うお祈り申し上げます。 (文責:編集部)
結核研究奨励賞受賞者決定
平成20年(第23回)結核研究奨励賞(結核予防会主催)の受賞者4名が,3月12日の選定委員会にて選定され,3月13
日の常任理事会にて承認された。後日表彰状が各受賞者に授与される。受賞者及び業績表題は以下の通り。
○正木 孝幸氏((財)化学及血清療法研究所)
Mycobacterium kumamotonense Sp.Nov.
recovered from clinical specimen and the first isolation
report of Mycobacterium arupense in Japan:Novel slowly
growing,nonchromogenic clinical isolates related to
Mycobacterium terrae complex
○島村 珠枝氏(東京大学大学院医学系研究科健康
科学・看護学専攻地域看護学分野修士課程)
「多剤耐性結核患者の病気の受けとめと入院生活で
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感じていること」
○吉嶺 敏子氏 (産業医科大学産業保健学部第3看
護学講座)
「結核塗抹陽性患者に対する服薬継続のための保健
師の支援の特徴」
○別所 右一氏(地方独立行政法人大阪府立病院機
構大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)「胸
部単純X線画像のモニタ診断における最適画像サイ
ズに関する研究」
●平成20年度資金寄付者感謝状贈呈式並びに
永年勤続職員表彰式
5月14日(水)13:00より,リーガロイヤルホテル東京に
おいて永年勤続職員表彰式が,また14:00より総裁秋篠宮妃
殿下の御臨席を賜り,資金寄付者感謝状贈呈式が行われた。
永年勤続職員には青木会長から表彰状が,また結核予防事
業資金として多額のご寄付を下さった方々に総裁から感謝状
が授与された。引き続き記念撮影とお茶会が行われた。
【感謝状贈呈者(順不同,敬称略)】
・事業資金(個人:3名)
上田裕子,柳澤弘仁,頼兆昌
・事業資金(団体:4社)
懸賞TV,シーアンドシー,ティ・オーオー,日本ベーリ
ンガーインゲルハイム
・複十字シール募金協力者(個人:6名)
稲葉定雄,椎橋信夫,河津秋敏,高木勇,中島達晃,吉田
福子
・複十字シール募金協力者(団体:4社)
アロエベラエンタープライズ,岡山県愛育委員連合会,川
昌エスエス献材林業オフィスビルディング,群桐産業
【永年勤続職員表彰者(敬称略)】
・30年勤続者(28名)
谷津昌弘(宮城県),山根則幸(栃木県),吉橋久(埼玉
県),四條英樹,深沢喜久美(山梨県),加藤健蔵,野沢
善一,五十嵐良夫,佐竹正子,田中泉(新潟県),小宮幸
子,矢追晴代(大阪府),中内かおり,若林千恵,津野峯
多額のご寄付をくださった方々
<指定寄付等>(敬称略)
並木丈夫,松下米子,秋山俊孝,小塚茂(複
十字病院),熊木シナ,児玉敦朗,蜷川輝昌,
柳澤弘仁(保生の森),北島弘美,橋本忠之(新
山手病院),常磐会,シーアンドシー,懸賞TV,
ヤンセンファーマ(本部)
<複十字シール募金>(敬称略)
岩手県−赤坂祐三,熊安旅館,田村太志(坂
の上野田村太志クリニック),松誠会滝沢中
央病院,中央臨床ビーシーエル,川嶋印刷,
宮川慶吾,北関東メディカルサービス,二戸
信用金庫,晃生会近藤医院,岩手県対ガン協会,
真如苑東北本部,遠山美知,智徳会岩手晴和
病院,みちのくディエスジャパン,岩手銀行
人事部,岩手日野自動車,石川洋子,川口印
刷工業,高橋孝(高橋医院),安井豊,時田
一雄(時田整形外科医院),日新堂八角病院,
釜石商工会議所,小野寺功,立正堂医院,鈴
木道隆(廣徳寺),岩手アライ,コニカミノ
ルタヘルスケア盛岡営業所,江村洋弘(江村
胃腸科内科医院),佐々木久夫,八木橋伸之,
岩手県予防医学協会あおぎり会
福井県−松原病院,三精病院,福井赤十字病院,
福井県済生会病院,福井総合病院,福仁会病院,
福井循環器病院,慈豊会田中病院,泉水会山
田病院,藤田記念病院,小林病院,福井愛育
病院,嶋田病院,福井厚生病院,佐藤整形形
成外科病院,西浦病院,光陽生協病院,吉田
小児科医院,南場小児科医院,辻医院,梅田
整形外科医院,雄久会奥村外科胃腸科,宮崎
整形外科医院,荒川整形外科医院,本多整形
外科医院,眼科原医院,畑内科,山内整形外科,
打波外科胃腸科医院,松田外科胃腸科医院,
柏原脳神経クリニック,福井環境衛生協会,
福井食品衛生協会,福井健康福祉センター,
丹生郡医師会,福井市結核成人病予防婦人会,
坂井市,三国土木事務所,坂井農林総合事務所,
あわら市,坂井地区医師会,金津高等学校,
坂井健康福祉センター,大野東高等学校,勝
山高等学校,大野市保健センター,勝山市健
康長寿課,さつき苑,さくら荘,大日園,九
頭竜ワークショップ,大野市連合ふわわ女性
の会,大野市医師会,勝山市医師会,福井社
会保険病院,鯖江市愛育会,池田町結核成人
病予防婦人会,みどりヶ丘病院,今立中央病院,
鯖江市医師会,JAたんなん,鯖江商工会議所,
信越化学工業武生工場,福井村田製作所,ア
イシン・エイ・ダブリュー工業,日本原子力
発電,日本原子力研究開発機構敦賀本部,関
子,板東綾乃,水田数枝(高知県),天本良子(福岡県),
浦上具子(長崎県),江原陽一,津地三津子(熊本県),
政所公正(鹿児島県),照屋耀子(沖縄県),青木俊明(結
核研究所),菅沢恵子(複十字病院),飯田亮(新山手病
院),飯岡健(第一健康相談所),安田みゆき(本部)
・20年勤続者(79名)
佐藤千鶴子,中村孝彦,梅木葉子(北海道),対馬泰三,
佐藤亮(青森県),熊谷里美,高橋恵美子,村松弘,高橋
郁子(宮城県),松浦武,木戸光彦,正野宏樹,市田直美,
海藤美喜,渡邉真由美,安部直美,佐藤啓吾,永沼博(山
形県),中村多加良,佐藤朝子,鈴木御幸,佐藤奈美,吉
田二紀,村野井英子,大内真樹子(福島県),石川知己,
川和田晃,松本紀子(茨城県),増田二三代,馬場三千枝,
大塚みどり(群馬県),内田要一,開孝雄(埼玉県),久
保田順(東京都),植村幸江,山崎慎一(神奈川県),山
内良子,角野潤子,千野千里(山梨県),百都礼子,片山
栄子,後藤紀代美,池上喜久夫,齋藤功英(新潟県),武
内務,加藤登志子,池本敬博(京都府),川原隆宏,野口
佐知子,植田京子,市川正恵,田中美保子,松山節子,宮
之脇幸子,伊藤裕江,下瀬雅子,平田香,田路奈津子,南
山幸代,前田偉津子,後藤真理子,尾崎千賀子(大阪府),
渡辺光宣(愛媛県),三嶋泰(高知県),河村洋子,外山
真理子,海老沢義行,山本ひで子,本田裕之,鈴木京子,
下谷幸子,長島シメ(複十字病院),雨宮謙太,樋口陽一
(新山手病院),中村佳朗,山中了子,森井嘉浩,滝沢幸
江(第一健康相談所),久保田登子(本部)
西電力美浜発電所,東洋紡績敦賀事業所,敦
賀ライオンズクラブ,二州健康福祉センター,
敦賀市赤十字奉仕団,敦賀市連合婦人会,J
A敦賀市女性部,美浜町女性の会,小浜市,
おおい町,高浜町,若狭町,嶺南振興局,小
浜土木事務所,若狭地区建設業協会,小浜ラ
イオンズクラブ,杉田玄白記念公立小浜病院,
嶺南病院,社会保険高浜病院,小浜医師会,
福井県赤十字血液センター,北陸公衆衛生研
究所,福井県産業廃棄物協会,福井県理容美
容専門学校,福井県予防医学協会,福井市農
業協同組合,福井県栄養士会,福井県薬種商
協会,越前町保健推進員会,越前市健康づく
り推進員会,坂井市三国町婦人福祉協議会,
福井県食生活改善推進員連絡協議会,福井県
医師会,福井県看護協会,谷川病院,高野病院,
林病院,笠原病院,中村病院,相木病院
静岡県−勝呂福太郎,多々良新聞店,正覚寺,
大井山洞泉寺,渡辺政一,二の岡フーヅ,龍
澤寺,天理教本磐分教室,後藤磯吉,大熊,
洞雲寺,柳原社会保険労務士事務所,光正寺,
普賢院,東嶋功,高田幸子,ゆざわ,小原八郎,
名波医院,遠藤勝男,感應寺,静居寺,鈴木
医院,龍豊院,海長寺,郡定寺,甘露寺,菅ヶ
谷内科医院,龍雲寺,普門院,植田設備工業,
佐野,丸誠石材,竹内弘明,大乗王院,かめや,
国東産婦人科医院,樹の花会立花クリニック,
三晃建設,佐野電気研究所,西琳寺,緒明實,
庵原郡医師会,芝田工業,宗徳寺,山益衛生,
コーチ,吉村正己,指出泌尿器科,静岡浅間
神社,村松みさ,ニッシン,平岡工業所,山
田勝平,東芝メディカルシステムズ,カイゲ
ン
福岡県−福岡県庁職員,福岡県警察職員,福
岡県教育庁職員,福岡市職員,北九州市職員,
アドバンスウェア,うきは市地域婦人会,エス・
アール,エスシーシー,エンゼル病院,かど
もと眼科医院,嘉穂郡桂川町婦人会,カンノ
製作所,クリスタルビルクリニック,さかう
え内科・循環器科,さく病院,たかはし医院,
千代校区婦人会,つくし会病院,ツジ胃腸科
医院,のぞえ総合心療病院,ヘルスケア経営
研究所,三潴郡大木町婦人会,みやま市女性
倶楽部,阿部筆子,井上内科医院,井上福三,
一律電機,遠賀郡婦人会連絡協議会,加納内
科医院,嘉麻市婦人会連絡協議会,河野弘道,
介護老人保健施設青海山荘,甘木朝倉医師会,
岩橋文吉,亀山クリニック,吉浦事務所,吉
住正子,吉田耳鼻咽喉科,吉富あいあいセンター,
久野循環器科内科医院,久留米市三潴町婦人会,
久留米市女性の会連絡協議会,久留米市城島
町婦人会,久留米市田主丸町地域婦人会,久
留米市田主丸町婦人会,宮の陣病院,宮若市
健康センターパレット,宮若市婦人会連絡協
議会,金隈病院,九州建設技術管理協会,九
州女子高等学校,熊谷和俊,健康保険直方中
央病院,原医院,御所病院,工藤耳鼻咽喉科
医院,広真ビルテック,江崎佐規,甲斐電気
工事,荒木眼科医院,高宮外科胃腸科医院,
高比良昌一,黒瀬純子,佐久間啓,佐藤チヨヱ,
佐藤安弘,佐伯整形外科医院,山王興業,志
摩町・志摩町社会福祉協議会,糸島医師会,
糸島歯科医師会,篠栗病院,篠闢社労士事務所,
柴田稔,重松外海,春日市婦人会,小宮公認
会計士事務所,小財スチ−ル,小竹町役場,
小波瀬病院,小野成子,小林政人,松岡病院,
松原俊幸,城浜保育園,浄土真宗本願寺派光
林寺,新古賀病院,深江保子,水戸病院,水
戸病院有志,水三島紙工,西村他家彦,西鉄
エム・テック,西日本プラント工業,石橋清助,
石橋内科循環器科医院,石蔵富士子,川合辰雄,
前原市役所,糟屋郡連合婦人会,村上巧,太
宰府市婦人会,大川市連合婦人会,大脇久和,
竹下誠二,筑後市連合婦人会,筑後川温泉病院,
筑紫南ヶ丘病院,筑紫野市総合保健福祉センター,
筑紫野市地域婦人会,筑前町役場,中間市婦
人会,中山幸一,直方鞍手医師会,直方鞍手
薬剤師会,直方歯科医師会,直方商工会議所,
津田商事,田原整形外科医院,田主丸中央病院,
田中医院,田中喜代次,刀根五月,唐原内科
クリニック,島松循環器内科クリニック,嶋
田病院,東福間病院,那珂川町婦人会,南当
仁校区婦人会,二丈町役場,二日市共立病院,
二日市中町病院,梅林寺,箱崎校区婦人会,
箱田病院,八女市連合婦人会,飯塚市婦人会,
美野島校区婦人会,富士フイルムメディカル,
扶桑薬品工業,福岡ビレジ,福岡浦添クリニッ
ク,福岡県鞍手保健福祉環境事務所,福岡県
医師会,福岡県遠賀保健福祉環境事務所,福
岡県嘉穂保健福祉環境事務所,福岡県久留米
保健福祉環境事務所,福岡県京築保健福祉環
境事務所,福岡県済生会福岡総合病院,福岡
県歯科医師会,福岡県信用保証協会,福岡県
筑紫保健福祉環境事務所,福岡県田川保健福
祉環境事務所,福岡県八女保健福祉環境事務所,
福岡県立精神医療センター太宰府病院,福岡
鳥飼病院,福元孝三郎,福津市地域婦人会,
片井整形外科病院,穂積会計事務所,豊前市
役所,北九州市衛生総合連合会,北九州市歯
科医師会,北原靖久,木原利幸,目野秀夫,
野田尚武税理士事務所,柳川市地域婦人会連
絡協議会,養老滝明王院,林法生,和田治彦
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切手解説
国家元首の中にも結核に悩まされた人物がいます。
今回は,紀元前のエジプト・ツタンカーメン王から,アメリカのケネディ大統領までを紹介します。
上段左の2つの切手は,ツタンカーメン(B.C.1342∼1324?・古代エジプト第18王朝ファラオ)です。
1922年に発見され,その死因は謎とされていますが,結核を患ったことは知られています。エジプトのナ
セル大統領は,アラブ統合を目指し,シリアが賛同して1958年にアラブ連合(UAR)を結成。しかし現実
は厳しく,1961年にシリアが離脱,その後1971年までエジプトは,UARを国名に使用し,1972年からはア
ラブ・エジプト共和国(AR EGYPT)になりました。上段最左端の国名は,UARとなっていますが,実際
はシリア分離後のものです。
上段右の2つの切手は,ルイ14世とアンリ4世です。中世ヨーロッパでは,王が患部にふれることで病気
を治すとされ,「ロイヤル・タッチ」として結核の一種に対して有効とされた時代が18世紀ごろまで続き
ました。切手は紹介できませんが,ルイ15世は戴冠式で2,000人の人にふれたという逸話が残っています。
「フランス・1969年」の切手は1598年に出された「ナントの勅令」を記念して発行したものです。このお
かげで,新教徒は信仰の自由を得ました。
下段左は,ナポレオンです。彼の息子ナポレオン2世(ナポレオン・フランソワ・シャルル・ジョゼフ・
ボナパルト,Napoleon Francois Charles Joseph Bonaparte, 1811年∼1832年)は,幼少の頃結核に罹った
とされています。
下段中央のベネズエラの切手は,革命家シモン・ボリヴァール(Simon Bolivar 1783∼1830年),解放者
として知られる南アメリカの政治家です。ベネズエラの独立運動に参加し,1819年ボヤカの戦いでスペイ
ン軍を破り,現在のコロンビア・パナマ・ベネズエラ・エクアドルを含む地域を統合した大コロンビア共
和国を建設し,大統領となりました。彼は,1830年結核によって死亡しました。ちなみに,「ベネズエラ・
ボリバル共和国」という国名はこのボリヴァールが由来です。
下段右は,アメリカ大統領のジョン・フィッツジェラルド・ケネディ(John Fitzgerald Kennedy , JFK ,
1917∼1963年)が登場するコスタリカの切手です。彼は幼少の頃,病弱でアジソン病(副腎皮質機能の低
下が慢性的になる病気で結核が原因となる)を患っていました。しかし,彼の病気は,実際には結核が原
因ではなかったようです。
*お詫びと訂正 前号(№321)で紹介した琉球の切手につきまして,誤りがありましたのでお詫びして訂正します。額面(誤)3ドル→(正)3セント
結核予防会役員人事<敬称略>
《支部》
氏 名
《本部》
発 令 日
支部名
発
令
内
容
H20.3.25
大阪府
小 倉 剛 支部長を委嘱する(重任)
H20.1.31 西 平 哲 郎 理事の委嘱を解く
H20.3.18
千葉県
小 川 雅 司 副支部長の委嘱を解く
H20.3.31 尾 形 正 方 理事の委嘱を解く
H20.4.1
徳島県
小 森 將 晴 副支部長を委嘱する
H20.4.1 菅 野
H20.3.31
徳島県
三 木 章 男 副支部長の委嘱を解く
H20.4.1 澁 谷 いづみ 評議員を委嘱する
H20.4.1 杉 田 博 宣 評議員を委嘱する
発 令 日
氏 名
発令内容
通 評議員を委嘱する
H20.4.1
新潟県
石 上 和 男 副支部長を委嘱する
H20.3.31
新潟県
鈴 木 幸 雄 副支部長の委嘱を解く
H20.4.1
香川県
山 田 哲 也 副支部長を委嘱する
H20.3.31 石 塚
H20.3.31
香川県
細 松 英 正 副支部長の委嘱を解く
H20.3.31 角 野 文 彦 評議員の委嘱を解く
H20.4.1 丸 瀬 和 美 評議員を委嘱する
實 評議員の委嘱を解く
H20.4.1
愛知県
伊 藤 敏 雄 支部長を委嘱する
H20.3.31 深 澤 道 子 評議員の委嘱を解く
H20.3.31
愛知県
藤 岡 正 信 支部長の委嘱を解く
H20.3.31 松 田
朗 評議員の委嘱を解く
H20.4.1
栃木県
小 林 恒 夫 支部長を委嘱する
H20.3.31 矢 部
く
勤 評議員の委嘱を解く
H20.3.31
栃木県
富 永 慶 晤 支部長の委嘱を解く
H20.6.24 笹 井 康 典 理事を委嘱する
H20.4.1
栃木県
小 林 雅 與 副支部長を委嘱する
H20.6.23 五 十 里 明 理事の委嘱を解く
H20.3.31
栃木県
小 島 直 樹 副支部長の委嘱を解く
H20.6.24 荒 田 茂 夫 評議員を委嘱する
H20.4.24
福井県
松 田 尚 武 支部長を委嘱する(重任)
H20.6.23 関 戸
H20.4.1
福井県
小 竹 正 雄 副支部長を委嘱する
H20.3.31
福井県
品 谷 義 雄 副支部長の委嘱を解く
H20.3.31
福井県
竹 内 駿 男 副支部長を委嘱する(重任)
H20.4.16
熊本県
蒲 島 郁 夫 支部長を委嘱する
H20.4.15
熊本県
潮 谷 義 子 支部長の委嘱を解く
H20.4.1
富山県
金 森 忠 夫 副支部長を委嘱する
H20.3.31
富山県
前 田 昭 治 副支部長の委嘱を解く
H20.5.31
福島県
闍 地 英 夫 副支部長の委嘱を解く
平成20年7月15日 発行
複十字 2008年322号
編集兼発行人 山下 武子
発行所 財団法人結核予防会
〒101- 0061 東京都千代田区三崎町1-3-12
電話 03(3292)9211(代)
印刷所 日本印刷株式会社
東京都千代田区外神田6-3-3
電話 03(3833)6971
結核予防会ホームページ
URL http://www.jatahq.org
く
衛 評議員の委嘱を解く
本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。
複十字シール運動
みんなの力で目指す,結核・肺がんのない社会
平成19年度複十字シール
複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病
気をなくすため100年近く続いている世界共通の
募金活動です。複十字シールを通じて集められた
益金は,研究,健診,普及活動,国際協力事業な
どの推進に大きく役立っています。皆様のあたた
かいご協力を,心よりお願いいたします。
運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。
問合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直)
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● 切手にみる結核 5.結核に悩んだ国家元首たち
岡西雅子様から貴重な切手のご紹介は5回目となり,有名な国家元首を集めてみました。
フランス・1970年
アラブ連合・1967年
モナコ・1969年
エジプト・1972年
ベネズエラ・1969年
フランス・1969年
コスタリカ・年代不詳
*切手の下には、発行地域と発行年を記載しています