「第3回 日本くすりと食品機能フォーラム」 平成27年11月29日(日) 講 演 概 要 と 受 講 者 の 声 受 受 講 講 者 者 概 理 解 要 度 機 能 性 食 品 に 関 す る 患 者 ・ お 客 様 へ の 対 応 講演1 「ヒトの健康とビフィズス菌・乳酸菌の生理作用」 森永乳業株式会社 素材応用研究所 村田 麻衣先生 講演2 「オメガ3脂肪酸の生理機能~EPAを中心として~」 日本水産株式会社 研究・学術顧問 辻 智子先生 「第3回 日本くすりと食品機能フォーラム」の概要と受講者の声 講演 1 講演1 「ヒトの健康とビフィズス菌・乳酸菌の生理作用」 森永乳業株式会社 素材応用研究所 受講者 の声 ビフィズス菌と 乳酸金の違い が明確になっ た。 乳酸菌の更 なる可能性に 期待したいと 思った。 村田 麻衣先生 腸内フローラをバラ ンスよく保つことが 健康維持に縦横で あると思った。 ビフィズス菌B-3 の抗肥満効果 について興味を 持った。 BB536を患者さ んに進めたい が、食品なの で、どう進める かが難しい。 概要 【腸内細菌の世界】 ヒトの腸内に棲みつく腸内細菌は数百種類、100兆個以上存在し、善玉菌(ビフィズス菌など)、悪玉菌(有害菌)、日和見菌(中間菌)か らなる腸内フローラを形成している。腸内細菌のバランスは、食事や老化、ストレスの影響を受ける。また、腸内細菌の作用が、がんや 心疾患、動脈硬化、肥満、アレルギー、精神疾患などさまざまな疾病リスクと密接に関わることが明らかにされつつある。そのため、良 好な腸内フローラを維持するための腸内メンテナンスが重要である。 【ビフィズス菌と乳酸菌の違い】 乳酸菌は糖を分解して乳酸を作り出すのに対し、ビフィズス菌は糖を分解して乳酸と酢酸を作り出す。ビフィズス菌が生成した酢酸は、 悪玉菌の抑制、抗炎症作用、腸管バリア機能の改善などをもたらし、大腸菌O-157感染防御作用も示す。また、ビフィズス菌は主にヒト や動物の腸管に棲息する嫌気性菌であるのに対し、乳酸菌は酸素感受性が比較的低く環境中に広く分布している。遺伝的背景から 見ても乳酸菌とビフィズス菌は全く異なる菌であり、いずれも同じ菌種でも菌株が異なると全く性質や機能を示す。 【ビフィズス菌について】 ビフィズス菌は40種類以上発見されており、ヒト常在性と非ヒト常在性に分類される。ビフィズス菌は生後間もない乳児の腸内細菌の約 99%を占め、特に乳幼児の腸内に見られるビフィズス菌はヒト母乳中で良好な生育が見られ親和性が高い。また、ヒト常在性ビフィズス 菌を摂取した動物では、葉酸産生能が亢進し、血中ヘモグロビン含量が増加することが明らかにされている。 【森永乳業のビフィズス菌・乳酸菌の臨床・基礎研究】 ビフィズス菌BB536は、整腸作用により腸内環境改善を促し、免疫調節作用、インフルエンザの感染防御作用、アレルギー予防、血中 脂質改善、がん予防など様々な生理機能を示す。ビフィズス菌M-16Vは、低出生体重児の腸内ビフィズス菌数を増加させ、乳児のアト ピー性皮膚炎症状改善作用、新生児性壊死性腸炎予防作用を示す。また、ビフィズス菌B-3は脂肪蓄積を抑制し、血中脂質、血糖値、 インスリン値を低下させる。さらに皮膚老化の予防作用、皮膚水分状態の改善を示す。また、モラック酸乳酸菌は免疫力を増強し、抗イ ンフルエンザ作用やワクチン抗体の効果を高める作用を有する。 【ビフィズス菌・乳酸菌の安全性】 最新の研究成果に基づき有害な遺伝子がないこと、ヒト臨床試験により有害性のないことを確認している。また、ビフィズス菌と医薬品 に関して相互作用が認められるとの報告はこれまでない。ただし、ビフィズス菌と抗生物質とを飲み合わせた場合にビフィズス菌の効 果が減弱すること、また、ピロリ菌の除菌治療時にビフィズス菌含有ヨーグルトを摂取することにより除菌率が増加したとの報告がある が、いずれも安全性には問題ないと考えられる。 「第3回 日本くすりと食品機能フォーラム」の概要と受講者の声 講演 2 講演2 「オメガ3脂肪酸の生理機能~EPAを中心として~ 」 日本水産株式会社 研究・学術顧問 受講者 の声 EPAとDHAの違 い、アラキドン酸と のバランスが大切 であることが、作 用メカニズムの点 から理解できた。 EPAとス ポーツと の関連が 興味深 かった。 辻 智子先生 患者さんへのアド バイスとして一歩 踏み込んだアドバ イスができると 思った。 実験例の紹 介があり、わ かりやすかっ た。 メタアナリシスの 方法までスライド 化されていて、信 用できるデータ だと思った。 概要 【食品に含まれる脂肪酸】 食品に含まれる脂肪酸は常温で固体の飽和脂肪酸と常温で液体の不飽和脂肪酸に分類され、植物や海産物に不飽和脂肪酸が多 く、蓄肉の油には飽和脂肪酸が多く含まれている。また、不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類でき、さらに 多価不脂肪酸にはリノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸(AA)に代表されるn-6系不飽和脂肪酸と、α-リノレン酸、EPA、DHAに代表される n-3系不飽和脂肪酸に分類される。卵や揚げ物の摂取機会の多い現代の食生活ではn-6系の摂取は容易であるが、主として海産物に 含まれるn-3系の摂取は不足しがちである。AAとEPAのバランスが崩れAAが優位になると炎症性脂質メディエーターが体内で優位にな る。これに対し抗炎症性脂質メディエーターへ変換されるEPAの摂取の必要性が疾病予防の観点で注目されている。 【医薬品として】 魚油などの食品に含まれるEPAは、トリグリセリド構造(グリセリンのエステル)として存在しているが、医薬品では精製魚油を原料にエ チルエステル化され高純度に精製されたEPAエチルエステルとなっており、閉塞性動脈硬化症、あるいは高脂血症に投与される。 【EPA経口摂取後の体内挙動】 EPAは細胞膜に取り込まれ、必要に応じて他の物質へ代謝されて機能を発揮する。連続経口摂取によって血中のEPA濃度は上昇し摂 取期間中は維持されるが、摂取を中止し、供給不足になると血中濃度は低下する。一方、DHAは摂取を中止しても急激に低下すること はない。EPAは、連続的に摂取する方が効果的である。 【EPAの血液・血管における薬理作用】 血清脂質を改善し、血小板の凝集を抑制し、さらに血管壁に弾力性を持たせることより脳梗塞、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発 症率、死亡率の低減をもたらす。 【運動とEPA】 EPA摂取群では赤血球変形能の向上により血液粘度が低下し、心臓や末梢循環への負担が軽減される。その結果、組織への酸素 供給量が維持され、運動持久力が高まる。長距離選手の1万メートルレースタイムの向上、また、健常成人におけるエクササイズエコノ ミー(同じ運動に対して酸素摂取が少なくてすむ)の改善などの効果が報告されている。 【EPA・DHAの安全性評価と推奨摂取量】 EFSAによる安全性評価結果では、EPA+DHAとして、1日5gの日常摂取は成人への安全性上の懸念はない。ノルウェー食品安全科学 委員会では1日5.4gほどの高摂取でも出血時間の延長を認めないとしている。 推奨摂取量は、各国で異なるが欧米ではEPAとDHAをあわせて250mg~500mg/日。日本では、2015年以前はEPAとDHAをあわせて1g/ 日、2015年版日本人の食事摂取基準では、n-3系脂肪酸として成人で約2g/日となっている。 「第3回 日本くすりと食品機能フォーラム」 受講者(回答者)の概要 回答者内訳 男性 11人(25%) 男性 25% 女性 33人(75%) 女性 75% 回答 44名(60%)/ 73名 年代 70代 2% 全体 20代 14% 60代 14% 男性 女性 60代 9% 50代 9% 30代 20% 50代 23% 70代 9% 40代 27% 20代 37% 30代 27% 40代 9% 20代 6% 60代 15% 30代 18% 50代 27% 40代 34% アクセスポイント その 他 5% 雑誌 7% 情報 サイト 19% 全体 ILSI 2% 本校 HP 39% チラシ 14% 本校 以外 HP 14% その 他 9% 男性 本校 HP 37% 本校 以外 HP 9% 雑誌 18% 情報 サイト チラシ 18% 9% その 他 5% 雑誌 情報 7% 女性 ILSI 2% 本校 HP 39% 本校 以外 HP 14% サイト 19% チラシ 14% 職業(職場) 全体 教育・研 究 4% その他 5% 卸 2% ドラッグ ストア 7% 病院・診 療所 25% 薬局 57% 教育・研 究 9% ドラッグ ストア 18% 病院・ 診療所 27% 男性 薬局 46% 卸 3% ドラッグ ストア 3% 病院・診 療所 24% 教育・ 研究 3% 女性 薬局 61% その他 6% 「第3回 日本くすりと食品機能フォーラム」 講演の理解度 講演 1 「ヒトの健康とビフィズス菌・乳酸菌の生理作用」 少し難 しかっ た 12% 全体 少し難 しかった 22% とても よく理 解でき た 44% ほぼ理 解でき た 44% 男性 ほぼ理 解でき た 22% 少し難 しかった 9% とてもよ く理解で きた 56% 女性 ほぼ理 解でき た 50% とてもよ く理解で きた 41% 講演 2 「オメガ3脂肪酸の生理機能~EPAを中心として~ 」 少し難 しかった 7% ほぼ理 解でき た 54% 少し難 しかった 11% 全体 とてもよ く理解で きた 39% ほぼ理 解でき た 33% 男性 少し難 しかった 6% とてもよ く理解で きた 56% ほぼ理 解でき た 59% 女性 とてもよ く理解で きた 35% 「第3回 日本くすりと食品機能フォーラム」 患者様、あるいはお客様からの機能性食品(トクホを含む)に 対する質問、相談について 誰から受けましたか? 全体 お客様 ご家族 5% お客様 ご家族 5% 男性 お客様 22% お客様 11% 患者様 ご家族 24% 患者様 60% 女性 お客様 11% 患者様 56% 患者様 ご家族 22% 患者様 ご家族 24% 患者様 60% 質問の内容 全体 原材料 3% 原材料 11% 効果・ 効能 32% 成分 13% 医薬品 との飲 み合わ せ 44% 男性 成分 11% 安全性 8% 医薬品 との飲 み合わ せ 47% 成分 14% 効果・ 効能 26% 安全性 5% 女性 効果・効 能 34% 医薬品 との飲 み合わ せ 43% 安全性 9% 回答について その他 3% 説明書 をよみ ながら 30% 全体 じゅうぶ んでき た 12% なんと かでき た 55% 説明書 をよみ ながら 11% なんと かでき た 67% 男性 その他 4% じゅうぶ んでき た 22% 説明書 をよみ ながら 38% 女性 じゅうぶ んでき た 8% なんと かでき た 50%
© Copyright 2024 Paperzz