大容量キャパシタ市場に関する調査結果 2015

2015 年 7 月 3 日
大容量キャパシタ市場に関する調査結果 2015
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内大容量キャパシタ市場の調査を実施した。
1.調査期間:2015 年 4 月~6 月
2.調査対象:キャパシタ(電気二重層コンデンサ)メーカ、及びキャパシタ原材料メーカ等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<大容量キャパシタとは>
本調査における大容量キャパシタとは、静電容量が 1F(farad)以上で、セル形状が捲回型(円筒型)や積層型(角
缶型)、ラミネート型のキャパシタを指し、ボタン電池形状のものは除く。
<大容量キャパシタ市場とは>
本調査における大容量キャパシタ市場は、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double-Layer Capacitor)とリチ
ウムイオンキャパシタ(LiC:Lithium-ion Capacitor)を合算し、算出した。
【調査結果サマリー】
‹ 2015 年度の大容量キャパシタ市場規模は前年度比 140.1%の 136 億 5,600 万円と予測
国内の大容量キャパシタ市場は、300F 以上の容量帯の電気二重層キャパシタ(EDLC)で拡大が続き、
リチウムイオンキャパシタ(LiC)も高い伸びを示し、2014 年度の大容量キャパシタ市場規模は前年度比
118.0%の 97 億 5,000 万円(メーカ出荷金額ベース)となった。今年度もセル単価の高い 300F 以上の
EDLC が牽引することで市場は拡大し、2015 年度の大容量キャパシタ市場は前年度比 140.1%の 136 億
5,600 万円(同ベース)と予測する。
‹ 自動車のアイドリングストップシステム用途が 300F 以上の EDLC を牽引
300F 以上の容量帯の EDLC では、2014 年度で最も構成比率が高いのが自動車用途となる。この傾向
は今後も続き、EDLC はアイドリングストップシステムを中心とした自動車用途での需要拡大が期待できる
と考える。また、LiC もさまざまな新規需要分野での拡大が期待できる。一方、拡大傾向にある日本市場
であるが、それでもワールドワイドでの市場規模に比べ、用途が限定され規模も小さい。日系キャパシタメ
ーカで目立った海外進出の事例は見られず、世界進出という点では出遅れていると言わざるを得ない。
‹ 市場予測:2018 年度の大容量キャパシタ市場は 200 億円を超す規模へ成長
自動車のアイドリングストップシステム向けのキャパシタ需要は拡大し、EDLC が採用の中心となるが、
低価格化も進行する見通しである。一方で、LiC でも用途開拓が進み、多くの需要分野で採用が進む。
2016 年度以降も 300F 以上の容量帯の EDLC と LiC の需要開拓が進み、市場は順調に拡大していく。
2018 年度の大容量キャパシタ市場は 200 億円を超す規模(メーカ出荷金額ベース)に成長すると予測す
る。ただ、メーカ間での競合関係もこれまでより厳しくなり、用途によっては使い分けが進む。
◆ 資料体裁
資料名:「大容量キャパシタ市場 2015」
発刊日:2015 年 6 月 25 日
体 裁:A4 判 134 頁
定 価:150,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
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2015 年 7 月 3 日
【 調査結果の概要 】
1.市場概況・予測
・国内の大容量キャパシタ市場は 300F 以上の容量帯の電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric
Double-Layer Capacitor、以下 EDLC)で拡大が続き、リチウムイオンキャパシタ(LiC:Lithium-ion
Capacitor、以下 LiC)も高い伸び率を示し、2014 年度の大容量キャパシタ市場は前年度比 118.0%の
97 億 5,000 万円(メーカ出荷金額ベース)となった。今年度もセル単価の高い 300F 以上の EDLC が
牽引することで市場は拡大し、2015 年度の大容量キャパシタ市場は前年度比 140.1%の 136 億 5,600
万円(同ベース)と予測する。
・2016 年度以降も単価の高い 300F 以上容量帯の EDLC と、セル容量が大きく単価も高い LiC の需要
開拓が進み、大容量キャパシタ市場は順調に拡大していく。2018 年度の大容量キャパシタ市場は
200 億円を超す規模(メーカ出荷金額ベース)に成長すると予測する。ただ、メーカ間での競合関係も
これまでより厳しくなり、用途によっては使い分けが進み、市場が大きく変わってくる可能性はあると考
える。
2.注目すべき動向
2-1.EDLC の容量帯別動向
・100F 未満の容量帯の EDLC は、民生機器や産業機器類の RAM や IC のバックアップ、RTC
(Real-Time Clock)向け電源が需要用途のほとんどを占める構造に変化はない。
・300F 以上の容量帯の EDLC では、最も構成比率が高いのが自動車用途で 2014 年度数量全体の 4
分の 3 程度を占める。この傾向は今後も続き、2018 年度頃までアイドリングストップシステムを中心とし
た自動車用途での需要拡大が期待できるが、低価格化も進行する見通しである。そのため、300F 以
上の EDLC を主力製品とするメーカは、設備投資と需要確保のバランスを取りながら売上規模は小さ
くても確実に需要を確保し、事業基盤を確立したうえで事業拡大を図る必要があると考える。
・300F 以上の容量帯の EDLC 日本市場の参入メーカは、日系メーカの事業撤退や譲渡が相次ぐこと
で、積極的な展開を行うメーカは一部の日系メーカと海外メーカに絞られてきている。同様に 300F 以
上に限定し大容量キャパシタの世界市場を見ると、世界で展開するメーカは限られている。
・撤退する EDLC メーカが出たことは事業成立の難しさを現し、大容量の 1000F クラスを主力にする
EDLC メーカはまずは確実に利益を出し、事業を継続していくことが求められていくと考える。
2-2.LiC の動向
・LiC では用途開拓が進み、多くの需要分野で新規採用が進むが、特定分野に依存しているものでは
ない。LiC で先行する日系メーカでは需要拡大の手応えを掴んでいるようで、今後さまざまな分野で
の需要拡大を想定しているが、今のところはまだ顕在化していない。
・今後、EDLC に加えて LiC が棲み分けて採用されていくのか、LiC が代替していくのかで、自動車向
けの大容量キャパシタの需要量と供給価格は大きく変動していくと考える。
3.将来動向
・日本の大容量キャパシタ市場は拡大傾向にあるが、それでもワールドワイドでの市場規模に比べると、
日本市場は需要用途が限定され、規模も小さいレベルに止まる。今後、自動車向けにて新規採用が
続き、採用車種も一気に拡大すれば、日本市場も確立されるが、現在は未だその兆しは見えてこな
い。
・日系キャパシタメーカで目立った海外進出の事例は見られない。日系メーカが海外進出に出遅れて
いるのは事実で、世界市場への進出には意欲を見せるが、現状では少なくとも世界市場における日
系メーカの影は薄い。
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2015 年 7 月 3 日
図表 1. 大容量キャパシタ市場規模推移・予測
(単位:百万円)
( )内は前年度比(%)
25,000
20,140
17,480
20,000
15,870
13,656
(110.1)
(116.2)
(140.1)
15,000
10,000
(115.2)
9,750
(118.0)
8,265
5,000
0
2013年度
年度
大容量キャパシタ市場規模
2014年度
2013年度
8,265
2015年度
(予測)
2014年度
9,750
2016年度
(予測)
2015年度
(予測)
13,656
2017年度
(予測)
2016年度
(予測)
15,870
2018年度
(予測)
(単位:百万円)
2017年度
2018年度
(予測)
(予測)
17,480
20,140
矢野経済研究所推計
注 1:メーカ出荷金額ベース
注 2:2015 年度以降は予測値
注 3:大容量キャパシタ市場は、電気二重層キャパシタ(EDLC)とリチウムイオンキャパシタ(LiC)を合算し、算出した。
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