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遠隔放射線治療計画システムの開発 - 公益財団法人 北海道科学技術

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遠隔放射線治療計画システ
ムの開発
鈴木 恵士郎[独立行政法人国立病院機構北海道がん
センター放射線科/医師]
青 山 英 史[北海道大学大学院医学研究科放射線医
学分野/講師]
影 井 兼 司[市立釧路総合病院放射線科/医師]
平 澤 之 規[株式会社メディカルイメージラボ/代
表取締役社長]
島
勝 美[独立行政法人国立病院機構北海道がん
センター放射線科/診療放射線技師]
八重樫 祐司[市立釧路総合病院放射線科/診療放射
線技師]
宮 本 英 樹[株式会社バリアン・メディカル・システ
ムズ]
白 土 博 樹[北海道大学大学院医学研究科放射線医
学分野/教授]
西 尾 正 道[独立行政法人国立病院機構北海道がん
センター/副院長]
宮 坂 和 男[株式会社メディカルイメージラボ/代
(放射線治療専門医)
が行う。この②の操作を放射線治療
専門医が、サーバーが設置されている施設外部
(がんセ
ンター、大学等)
から遠隔操作できるシステムの基礎を
構築することが本研究開発の内容である。最終的には遠
隔地からサーバーを制御する制御プログラムの開発を
目標として、現在ブラックボックス化されている治療計
画装置のプロトコル、コマンドの開示を求め、制御プロ
グラムの開発が可能であるか検討する。しかしながら現
時点では治療計画装置のソフトウェア(アルゴリズム)
には企業秘密的な要素があることやメーカー間でデー
タの互換性が無いこと等克服しなければならない部分
が多いため、第一段階として WindowsXP のリモートデ
スクトップ機能の利用も検討する。リモートデスクトッ
プ機能の検討では Varian 社の放射線治療計画用ソフト
ウェア Eclipse を使用する。遠隔端末と治療計画装置は
安全性確保のため遠隔画像診断で実績
(年間3万件以上)
のあるメディカルイメージラボ社のネットワークをバッ
クボーンにして放射線治療計画ネットワーク(VPN)
を
構築する。VPN ルータは暗号化、ファイアウォール、ア
ンチウィルスー体型の FortiGate 60 A 4 台を対向で接続
しセキュリティを確保する。
表取締役会長]
山 本
結果・成果
強[北海道大学大学院情報科学研究科/教授]
背景・目的
近年、我が国におけるがん
(悪性新生物)
による死亡が
死因の約 1/3 に及び
(人口動態調査、2004 年)
、がんに対
する治療の治療法の一つである放射線治療の需要は飛
躍的に増加している。しかしながら放射線治療の専門的
知識を有する医師(放射線治療医)
や診療放射線技師は
対人口あたりで米国などと比較しても極めて少なく
(日
本放射線腫瘍学会 2005 年定期構造調査)
、地域格差のな
い一定の水準を満たす安全で有効な治療を提供するに
は限界があると考えられる。我々は地域病院の医師ある
いは放射線技師が大学病院・がんセンターなどの専門医
師・技師から遠隔操作支援を受けるシステムの構築が有
用であると考え、基本構成を検討してきた。本研究は情
報保護と動作速度に重点をおき、また広く普及させるた
めより簡潔な遠隔放射線システムの開発を行なうこと
を目的とするものである。
内容・方法
現時点における標準的な放射線治療計画の作成は、①
医療用直線加速器とリンクした治療計画用ソフトウェ
アを搭載した専用サーバーに治療対象のコンピューター
断層写真
(CT)
あるいは磁気共鳴画像
(MRI)
を取り込み、
②そのソフトウェア上で体内の臓器や腫瘍(がん)
の輪
郭を抽出し 3 次元的にその大きさや位置などの情報を把
握し、最適な線量分布を得るべく適切な角度から適切な
照射野を設定することにより行われる。この治療計画の
操作は腫瘍学および物理学の知識をする熟練した医師
Eclipse 搭載サーバーを市立釧路総合病院および北海
道がんセンターに設置し、北海道がんセンター・北海道
大学病院・メディカルイメージラボ・研究者自宅に設置
したクライアント PC から遠隔操作を行う実験を行った。
遠隔操作用ソフトウェアに関しては、今回は導入費用が
最小で済むと考えられる Windows XP professional 標準
装備となっている Remote Desktop とフリーウェアであ
る VNC を用いた。インターネット接続環境に関して研
究者自宅は ADSL、その他に関しては光ファイバーを介
した接続である。
接続について
初期設定および初回接続に関しては、インターネット
を介する VPN 接続であるため専門知識を必要とするが、
一度接続が確立すれば以後は容易な操作で遠隔操作が
可能であった。Remote Desktop では接続が確立すると
ホスト(サーバー)
側ではモニタ表示が行われないが、
VNC ではホスト・クライアントともに表示が可能であり、
例えば遠隔操作を通して同一の画面表示を見ながら地
域病院の医師あるいは技師が指導を受けるといった活
用法が考えられた。なお、Remote Desktopを用いた場合、
クライアント側のウインドウを最大サイズで表示させ
るとホスト側のモニタ解像度に依存することなく最適
な解像度で自動的に(ホスト側の)
全画面が表示される
ため、さまざまなクライアント PC(Windows:デスク
トップ型およびノートブック型、Mac OS:デスクトッ
プ型)
が混在する今回の環境下では有用であった。
― 82 ―
回線速度について
回線速度そのものの測定は今回の検討項目ではない
が、参考値として釧路∼札幌間の接続で試験的に測定を
行った(www.speedtest.jp における測定値を便宜的に用
いた)
。研究者自宅(ADSL)
と釧路
(光)
間では平均 1.283
Mbps、北海道がんセンター(光)
と釧路間は 2.335 Mbps
であった。
とで全国的に普及可能なシステムが構築できると考え
られる。また、VPN 接続に関しても今回は自前でネット
ワークの構築を行ったが、NTT などの回線事業者ある
いはプロバイダが提供する VPN ネットワークの導入に
関して対費用効果を検討することも必要と考える。一方
で遠隔放射線治療システムの原資となりうる診療報酬
適用を目標にした費用解析や、適切で安全な運用の指標
となるガイドラインの作成も不可欠と考える。
Eclipse 操作速度に関して
釧路∼札幌間接続:研究者自宅に設置された PC
(Mac
OS X)
上で動作するRemote Desktop Client for Mac
(RDC
for Mac)
を用いた接続では、わずかに画面書き換え時の
速度低下を感じるが、ほぼストレスなく操作可能であっ
た。さらに VM fusion 上で起動された Windows Vista
(仮想マシン)
に搭載された Remote Desktop でも操作を
行ったが、RDC for Mac と比べ画面表示に遅れを感じる
ものの実用に耐えるレベルであった。いずれの接続にお
いても市立釧路総合病院で撮像された CT を用いて実際
の放射線治療計画を行ったが、釧路で共同研究者
(影井)
が作成に要した時間と札幌で研究代表者が要した時間
に明らかな差
(50%以上)
は認められなかった。メディカ
ルイメージラボおよび北海道大学に設置された PC
(Windows)
からのアクセスではほぼサーバーを直接操作
している感覚で操作可能であり、放射線治療計画作成に
要する時間はほぼ同じであった。
札幌市内聞接続:北海道がんセンターに設置された
サーバーを研究者自宅およびメディカルイメージラボ
から操作したがほぼサーバーを直接操作している感覚
で操作可能であり、放射線治療計画作成に要する時間は
ほぼ同じであった。
動画表示について
近年、呼吸同期照射あるいは動体追跡照射など臓器の
動きに対応して放射線を照射する技術が開発されてお
り、このような治療(画像ガイド下放射線治療:IGRT)
においては放射線治療計画にも動画表示が必須とされ
る。今回の実験ではランダムに撮像された胸部 CT を呼
吸相
(1 呼吸を 10 分割)
にあわせて並べ替え、これらを再
合成して立体表示し動画として表示させた画面を遠隔
操作で観測したが、釧路∼研究者自宅間ではコマ落ちの
現象が見られたもののその他の接続ではスムースな動
画表示が可能であった。高度な先進医療を地域病院でも
提供できる可能性が示唆された。
今後の展望
上述した初期実験の結果を元に、さらに安定した動作
が 期 待 で き る Symantec 社 pcAnywhere や Citrix 社
Presentation Sever などのリモートデスクトップ用ソフ
トウェアに関しても評価を行い、さらには今回の実験で
は 使 用 し な か っ た CMS 社 Xio や Philips 社 Pinnacle
などの治療計画装置との接続に関しての検証を行うこ
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