G.獣医繁殖学分科会 - 帯広畜産大学 技術情報データベースサーバ 案内

特別企画
A解 剖
B病 理
C寄生虫
G.獣医繁殖学分科会
微生物(細菌)
DB
一般演題:36題(G-1~G-36)
DI
G-21~G-23
大滝 忠利(日本大学)
吉岡 耕治(動物衛生研究所)
G-24~G-26
片桐 成二(酪農学園大学)
G-7~G-9
村瀬 哲磨(岐阜大学)
G-27,G-28
居在家義昭(岩手大学)
G-10~G-12
菱沼 貢(鳥取大学)
G-29,G-30
田中 知己(東京農工大学)
G-13~G-15
永野 昌志(北海道大学)
G-31,G-32
加茂前秀夫(東京農工大学)
G-16,G-17
河上 栄一(日本獣医生命科学大学) G-33,G-34
羽田 真悟(帯広畜産大学)
G-18~G-20
北原 豪(宮崎大学)
G-35,G-36
松井 基純(帯広畜産大学)
F公衛生
堀 達也(日本獣医生命科学大学)
G-4~G-6
E家 禽
G-1~G-3
DV
微生物
(ウイルス)
9 月16日
(木)
9:00~16:20 第 6 会場
微生物
(免疫)
座長
G繁 殖
G繁 殖
臨床
(産業動物)
HL
臨床
(小動物)I生理・化
HS
J薬・毒
K実動医
G-2
○永見俊典1、鳩谷晋吾1、鳥居隆三2、杉浦喜久弥1、大村 雅1、
川手憲俊1、玉田尋通1、高橋正弘1、稲葉俊夫1(1大阪府大院
大学院生命環境科学・先端病態解析学、2滋賀医大 動物生
命科学研究センター)
○Ali Mohammed、清水 隆、浅野智由、鈴木宏志(帯畜大
原虫病研セ・ゲノム機能学)
FSHおよびLHによるイヌ卵子の体外成熟率の改善
The effect of bovine and canine granulosa monolayers
on in vitro maturation of canine oocytes
DV
微生物
(ウイルス)
E家 禽
HL
臨床
(産業動物)
HS
臨床
(小動物)I生理・化
J薬・毒
K実動医
【背景と目的】リラキシンは妊娠期の哺乳動物の卵巣・子宮など
から分泌されるホルモンで、豚においては精子の体外受精能を向
上させることが報告されている。今回、ネコ卵母細胞を用いて体
外成熟培地へのリラキシン添加が、その後の発育に対してどのよ
うな効果を及ぼすのか検討した。【方法】山口、広島県内の動物
病院において避妊手術により摘出されたネコ卵巣を約4℃で1日保
存・輸送後、細切法により卵母細胞を採取した。採取後、リラキ
シン0 (対照区), 10, 20, 40 ng/ml添加したTCM199培地で24時間培
養した。実験1:卵母細胞の体外成熟能に及ぼす影響を調べるために、
体外成熟培養後、固定・ヘキスト染色して顕微鏡下で核相を調べ
た。実験2:一部の卵母細胞は、体外成熟培養後に2×106 sperm/
mlの凍結融解精液を含む体外受精用培地で18時間共培養し、卵丘
細胞を除去した後、7日間培養した。培養後、全ての胚を固定染色
し、分割率と胚盤胞発生率を調べた。【結果】卵母細胞の核成熟率
において、リラキシン添加効果は認められなかった。さらに、分
割率も同様に添加効果が認められなかったが、胚盤胞発生率にお
いてリラキシン10 ng/ml添加区が対照区および40 ng/ml添加区に
比較し有意に高い値を示した(P<0.05)。【考察】体外成熟培地への
リラキシン添加は、ネコ卵母細胞の核成熟能を改善しなかったが、
胚盤胞発生率を向上させたことから、リラキシン添加は卵細胞質
の成熟を促進することにより、体外受精後の後期胚発育を支持し
たものと推察された。
G繁 殖
○花立敬祐1、照那木拉2、楓井雪音2、Vien Luuviet2、藤原 彬1、
木村太一1、児玉里紗1、音井威重1(1山口大 農・獣医繁殖、2山
口大院連獣)
G繁 殖
ネコ卵母細胞の体外成熟・体外発育に及ぼすリラキシ
ンの添加効果
F公衛生
【背景と目的】特異な繁殖生理をもつイヌにおいて、卵胞の発育
および排卵等について、内分泌学的手法を用いた報告が多数ある
ものの、形態的な卵胞動態についての報告は少ない。超音波観察
による卵胞発育について、卵巣が深部にあるため、発情前期等に
発育する小卵胞の観察は困難である。皮膚近位部へイヌ卵巣を生
着させることが可能となれば、超音波診断装置により詳細な卵胞
発育の観察が可能になると考えられる。しかし、卵巣移植に関す
る報告の多くは、マウス・ラット等であり、イヌを用いた報告は
少ない。本研究では、皮膚近位部である大腿筋膜下に自家移植し
た卵巣について、腎臓皮膜下に移植した卵巣と比較を行うことに
より、
その移植部位の適正および卵胞の生存性を検討した。
【方法】
常法に従い5頭のビーグル犬の卵巣を採取し、直ちに腎臓皮膜下と
大腿筋膜下に卵巣組織片(各1/2卵巣移植)を自家移植した。移植
後28日~30日目に卵巣を外科的に採取し、その病理組織像および
卵母細胞の成熟能について検討した。さらに、大腿筋膜下の移植
片は7日毎に超音波診断装置にてサイズ(長径・短径)を測定し
た。
【結果】腎臓皮膜下および大腿筋膜下から採取した組織片から、
それぞれ5個および6個の卵母細胞が回収され、その内3個および1
個が正常な形態を示したが、体外成熟培養後の核相はいずれもGV
期であった。組織学的検査では、両者ともに血管新生および卵胞
顆粒膜細胞の生存が確認された。さらに、大腿筋膜下移植片の大
きさは徐々に減少する傾向であった。【考察】大腿筋膜下移植でも
腎臓皮膜下と同等の組織片および卵胞の生存性が得られたことか
ら、イヌ卵胞発育動態の観察に適した部位であると推察された。
DI
微生物
(免疫)
○寺園 司、谷 健二、田浦保穂、井上 誠、音井威重(山
口大院連獣)
DB
微生物(細菌)
G-4
C寄生虫
G-3
B病 理
The effects of bovine granulosa monolayers (BGML) and canine
granulosa monolayers (CGML) for their ability to support nuclear
maturation of canine oocytes with or without cumulus cells
were examined. The COCs or denuded oocytes were cultured
in DMEM with BGML or CGML for 72 h at 38.5 ° C in 5%
CO2, 5% O2 and 90% N2. In oocytes enclosed by cumulus cells,
the highest percentage of M-II oocytes was observed in BGML
group (18%) compared to the CGML group (4.5%) and the control
group (4.6%). In denuded oocytes, more oocytes in M-II stage
were found in BGML group (8.3%) than in CGML group (4%) and
control group (3.9%). The results indicate that the use of BGML
co-culture for IVM procedure enhanced the meiotic resumption
of canine oocytes and presumably decreased oocyte degeneration
compared with other experimental groups.
A解 剖
【目的】本研究はイヌ卵子の体外成熟(IVM)効率の改善を目的
として、イヌ卵子卵丘細胞複合体(COCs)を卵胞刺激ホルモン
(FSH)
、黄体形成ホルモン(LH)添加培地で培養し、卵子の体
外成熟率およびCOCsの膨化について検討した。
【方法】避妊手術
で得た非発情期のイヌ卵巣からCOCsを回収した。実験1:培養し
たCOCsの卵丘細胞におけるFSH受容体(FSHR)およびLH受容体
(LHR)のmRNA発現を、RT-PCR法により調べた。実験2:(1)ウ
シ胎子血清(FBS)含有M199培地にヒト組換えFSH(hrFSH)を
添加して培養した。24時間後,培地交換の際にhrFSHを添加(FSH
群)
、あるいはLH作用を持つヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)
を添加(FSH+LH群)し、さらに培養した。合計48時間もしくは
72時間培養後、COCsの直径、卵子の核成熟を比較した。(2)FBSを
ウシ血清アルブミン(BSA)に置き換えた培地を用いて、(1)と同
様の実験を行った。【結果】実験1:イヌ卵丘細胞に、FSHRおよび
LHRのmRNA発現が認められた。実験2:(1)COCsの直径は、48時
間培養群と比較し、72時間培養群で有意に増加した。また、成熟
(M2)卵子の割合について、群間で有意差は認められなかった。(2)
COCsの直径は、48時間培養群と比較し、72時間培養群で有意に増
加した。また、M2卵子の割合について、72時間培養したFSH+LH
群で他の群より有意に増加した。さらに、COCsの直径は、(2)の
BSA含有培地で培養した群と比較し、(1)のFBS含有培地で培養し
た群で有意に増加した。
【結論】膨化したCOCsを得る上で、FBS
含有培地が有用であることが示唆された。また、成熟卵子を得る
上で、BSA含有培地にhrFSHを添加して24時間培養した後、hCG
を添加して合計72時間培養する手法が、有用であることが示唆さ
れた。
犬卵巣の自家移植における移植部位と卵胞の生存性
特別企画
G-1
G-5
G-6
○藤原 彬1、花立敬祐1、児玉里紗1、木村太一1、楓井雪音2、
照那木拉2、Vien Luu viet2、音井威重1(1山口大 獣医繁殖
学研究室、2山口大院連獣)
○村木美帆1、高橋祐司2、石井寿幸1、久和 茂1、吉川泰弘1(1東
大 農・実験動物、2国立成育医療センター 周産期診療部
不妊診療科)
【背景と目的】野生動物において、ドナーとなる体細胞の確保は
容易であると考えられるが、同一動物種からのレシピエント卵子
の確保は困難である。このような背景から、他の動物種由来の卵
母細胞を活用することにより、異種間でのクローン動物作出を目
指した研究が行われている。しかし、異種間による体細胞クロー
ン胚の発育率は低い。一方、体細胞クローン胚作製において細胞
周期を調整することにより胚発育を改善することが報告されてい
る。そこで本研究では、細胞周期を調整するサイクリン依存性キ
ナーゼ(Cdk)阻害剤であるロスコビチンおよび微小管形成阻害剤で
あるデメコルシンを用いてネコ体細胞を処理し、除核したウシ卵
母細胞との融合後の胚発育を指標に細胞周期同調剤の効果を比較
検討した。
【方法】除核卵母細胞は、常法により採取したウシ卵母
細胞を22時間成熟培養後に除核することにより準備した。ネコ体
細胞は卵丘細胞を用い、15μg/mlロスコビチンおよび0.05μg/ml
デメコルシン添加培養液で24時間培養したのちドナー核として用
いた。なお、対照として両阻害剤無添加の培養液で培養したネコ
卵丘細胞およびウシ卵丘細胞を用いた。異種間および同種間での
体細胞移植胚は常法により作成し、その融合率および発生率を調
べた。
【結果】ロスコビチンで培養したネコ体細胞の融合率は、異
種間(ネコ-ウシ)の対照に比較して有意に高い値を示し(P<0.05)、
同種間(ウシ-ウシ)の対照と同等であった。分割率においてロス
コビチン処理の効果が認められず、すべての異種間での融合胚は
16細胞期で発育を停止した。【考察】ロスコビチン処理により、融
合率が改善されることが示唆されたが、融合後の胚発育には効果
が認められなかった。
【背景・目的】ヒトにおいては30代後半になると生殖能力が徐々
に低下するといわれている。その要因として、老化による酸化ス
トレスの増大が挙げられ、卵子や顆粒膜細胞の機能低下を導く重
要な要因とされている。これまで我々はヒト及びマウスの材料を
用い、抗酸化ストレス作用を持つglutathione-S-transferase(GST)
ファミリー遺伝子群の一つである、GST theta1(GSTT1)が卵
子や顆粒膜細胞の老化マーカーとなりうることを報告した。本研
究では卵子に及ぼすGSTT1の影響について検討したので報告する。
【材料・方法】C57BL6マウスの受精卵にFlag tagを下流に結合し
たmGSTT1遺伝子を組み込んだベクター(CAGGS-mGSTT1-Flag)
を構築し、マイクロインジェクション法により前核に打ち込み、
GSTT1の過剰発現を行なった。また、mGSTT1のantisense RNA
を作製し、マイクロインジェクション法により受精卵に打ち込み
GSTT1の発現抑制を行った。【結果・考察】GSTT1の卵子に及ぼ
す影響を評価するため、マイクロインジェクション法を用いてマ
ウス卵子における過剰発現系および発現抑制系を作製し、発生率
を調べた。その結果、GSTT1を過剰発現させた場合は初期発生に
は特に影響は見られなかったが、GSTT1を発現抑制した場合には
発生率が向上した。GSTT1が卵子においてどのような機能を果た
しているかは不明であるが、初期発生能に直接もしくは間接的に
影響を及ぼしていることが示唆され、高齢の卵子の発生率の低下
と、GSTT1の発現量の亢進とを関連付ける結果となった。GSTT1
が初期発生においてどの様な機能を有しているのか引き続き検討
を行っていく予定である。
G-7
G-8
○木村太一1、花立敬祐1、藤原 彬1、児玉里紗1、楓井雪音2、
照那木拉2、Vien Luu Viet2、音井威重2(1山口大 農・獣医
繁殖、2山口大院連獣)
○浅野智由1、阿部靖之1、諏訪義典2、鈴木宏志1(1帯畜大
原虫病研究センター、2北海道盲導犬協会)
異なる機序の細胞周期同調剤で処理したネコ体細胞と
除核ウシ卵母細胞との融合後の胚発育
犬精液の長期液状保存におけるビタミンC添加効果
【背景と目的】我々は、第146回日本獣医学会で緑茶ポリフェノー
ルの添加により4週間保存後の犬精液の運動性が改善されることを
報告した。一方、ビタミンC(アスコルビン酸)は、強い抗酸化作用
を持つ水溶性ビタミンで、活性酸素による細胞損傷を減少させる
ことが知られている。本研究では、緑茶ポリフェノールを含む保
存液へのビタミンC添加による、犬精液の液状保存後の精子性状
について検討した。
【方法】雄犬5頭より採取した精液を遠心後上
清を取り除き、トリス-スキムミルク-クエン酸-希釈液で希釈した。
実験1:希釈した精液を0.75 mg/ml緑茶ポリフェノール添加希釈液
にアスコルビン酸が最終濃度0、0.5、1 mM/mlとなるよう添加し
た保存液で緩徐に5℃まで冷却し、その後5℃で4週間保存した。なお、
上記保存液の対照として、緑茶ポリフェノールおよびアスコルビ
ン酸不含の対照群を設けた。保存期間中1週間ごとに精液性状 (運
動性・生存率・HOST・先体膜正常性)を検査した。実験2:上記保
存液を使用しアスコルビン酸の最終濃度を0、0.1、0.5、1、5、10、
20 mM/mlに設定し、精液を5℃で4週間保存した後の精液性状を
検査した。
【結果】実験1:0.5、1 mM/mlアスコルビン酸添加保存
液で2週間以上保存された精子の運動性および生存率は、対照群に
比較して有意に高い値を示した(P<0.05)。実験2:アスコルビン
酸濃度0~20 mM/mlの比較においても、0.5、1 mM/ml添加保存液
で4週間保存された精子の運動性および生存率は、他の群に比較し
て高い値を示した。【考察】アスコルビン酸添加により長期液状保
存した犬精子の運動性および生存率が改善されることが示唆され
た。さらに、アスコルビン酸添加濃度は0.5、1 mM/mlが適してい
ると思われた。
生 殖 細 胞 に お け る 老 化 マ ー カ ーglutathione-Stransferase theta1の初期胚発生への影響
スキムミルクと糖を用いた凍結希釈液によるイヌ精液
の凍結保存と人工授精
イヌ精液の凍結保存は、長期保存と輸送に耐えうることから遺伝
子資源の有効活用が期待でき、繁殖のマネジメントの改善に役立
てることが出来る。特に盲導犬では、我が国における慢性的な不
足状況を改善するために、凍結精液を用いた経子宮頸管人工授精
が有用であると考えられる。これまで、イヌ精子の凍結保存には
凍結保護物質として卵黄が用いられてきたが、近年のトリインフ
ルエンザの世界的な蔓延によって、国際的な流通に支障を来すよ
うになった。そこで卵黄の代替物質として、マウス、ヤギなどで
汎用されるスキムミルクの適応が可能ではないかと考え、スキム
ミルクとグルコースを用いた凍結希釈液によるイヌ精子の凍結保
存法を開発した。本研究では、スキムミルク希釈液に添加する糖
の種類とその至適濃度の検討と人工授精による受胎能の検証を
行った。凍結融解後の精子の運動性に及ぼす糖の至適濃度はグル
コース、トレハロース、ラフィノースでそれぞれ0.3M、0.2M、0.2M
であった。融解後の運動精子率はスキムミルク/トレハロース希
釈液(74.3± 7.04 %)とスキムミルク/ラフィノース希釈液(70.9
± 10.2 %)がスキムミルク/グルコース希釈液(59.6 ± 8.63 %)
と卵黄希釈液(53.7 ± 9.28 %)よりも高いことが示された。スキ
ムミルク/ラフィノース希釈液を用いた凍結精液を3頭の雌犬に人
工授精したところ、全例で妊娠が確認され、合計16頭の産子の娩
出に成功した。これらの結果より、スキムミルクとラフィノース
若しくはトレハロースを用いた凍結希釈液は、従来の卵黄を用い
た凍結希釈液の代替として適用することが可能であると示された。
Cryopreservation of microencapsulated canine sperm
DV
微生物
(ウイルス)
E家 禽
F公衛生
G-12
室温保存した精巣上体から回収した尾部精子の性状
HL
臨床
(産業動物)
HS
臨床
(小動物)I生理・化
J薬・毒
K実動医
【目的】演者らは、本学会(第148回)で報告したように、24時間
低温保存した猫精巣上体から回収した尾部精子の凍結精液による
子宮内および卵管内授精によって産子を得ることに成功した。し
かし、これらの結果は、死亡直後に精巣上体を摘出して、低温で
輸送することを前提としており、野外に放置された場合を考慮し
なかった。そこで、今回は、摘出された精巣上体を室温(20℃)
で各種時間保存した後に、尾部精子の凍結精液を作成し、融解後
の性状から、人工授精に利用できる保存時間について検討した。
【材料および方法】実験に用いた精巣上体は、動物病院に去勢手
術を目的として来院した年齢1~6歳の雄猫15頭のものである。精
巣上体は、片側を0時間、対側を6、12または24時間(各5頭ずつ)、
20℃で保存した。保存後に、回収した尾部精子を凍結保存し、融
解後の性状を比較検討した。【結果】室温保存した猫精巣上体から
回収した尾部精子の凍結融解後の精子活力は、6および12時間保存
群では、それぞれ平均32.0±5.5%および26.0±2.7%で、0時間のも
のに比較して有意な差は認められなかった。しかし、24時間保存
群は、平均9.0±1.1%と低値を示し、他群に比較して有意に低値を
示した(p<0.01)。精子生存率も、精子活力と同様に、24時間保
存が他群に比較して有意に低値を示した(p<0.01)。精子奇形率は、
24時間保存群は他群に比較して高値を示したが、有意な差は認め
られなかった。【結論】猫の精巣上体を室温保存した場合、人工授
精に利用可能な凍結精液を作成するための保存時間は、12時間ま
でと考えられた。
G繁 殖
○豊永真理、甲斐原綾、佐々木彩子、堀 達也、筒井敏彦(日
獣大 獣医臨床繁殖)
G繁 殖
【背景と目的】本研究は、豚精液の保存方法として家庭用冷蔵庫
を使用し、約5℃前後での保存期間の延長を目的に、保存液へのス
キムミルクの添加効果を検討し、さらに浸透圧の影響を調べた。
【方
法】試験1:モデナ修正液にスキムミルクを0(対照群)、2.5、5、7.5、
10 mg/ml添加し、最終濃度1.0 x 108/mlとなるよう精子を調整した。
調整後5℃で2週間保存後、運動性・生存率・HOST・先体膜正常
性を検査した。試験2:スキムミルクの添加濃度を0、7.5、15、30、
50 mg/mlに調整し、5℃で2週間保存し、精子性状を調べた。試験
3:スキムミルク(7.5 mg/ml)添加モデナ修正液を用い、グルコー
ス濃度により各浸透圧300、315、330 、345 、360 mOsm/kgに調
整し、5℃で2週間保存後、精子性状を調べた。試験4:受精に及ぼ
す浸透圧の効果を調べるため、各浸透圧(315、330 mOsm/kg)
に調整したスキムミルク(7.5 mg/ml)添加モデナ修正液で5℃、2
週間保存後、体外成熟培養した豚卵母細胞と体外受精を行い、受
精率を調べた。
【結果】2週間保存後の精子運動性は、対照区と比
較して7.5、10 mg/ml添加区が有意に高い値(P<0.05)を示した(試
験1)。また、0~50 mg/ml添加区間の比較では、対照区に比較して
7.5 、15 mg/ml添加区が有意に高い値(P<0.05)を示した(試験2)。
さらに、各浸透圧で2週間保存後の精子運動性および生存率は、対
照区と比較して315、330 mOsm/kg区が有意に高い値(P<0.05)
を示した。一方、2週間保存精子の受精率は対照区と比較して315
mOsm/kg区が高い値(P<0.05)を示した。
【考察】卵黄の代替物
質として使用したスキムミルクの添加は、2週間保存後の精子運動
性を改善し、浸透圧は315 mOsm/kgが最適であることが示唆され
た。
DI
微生物
(免疫)
○照那木拉1、Vien Luu Viet1、楓井雪音1、児玉里紗2、木村太一2、
花立敬祐2、藤原 彬2、音井威重2、島田芳子3(1山口大院連
獣、2山口大 農・獣医繁殖、3農水省 山口県農林総合技術
センター畜産技術部)
DB
微生物(細菌)
豚精液の5℃液状保存におけるスキムミルクの添加およ
び浸透圧の影響
【背景と目的】豚精液の低温保存において卵黄が低温障害防止物
質として使用されているが、卵黄には未知物質が含まれるほか、
細菌感染等により精子活力への影響が危惧される。一方、マウス
精子の凍結保存においてスキムミルクが精子膜保護物質として用
いられている。今回、豚精液を長期間液状保存する目的で、卵黄
に代わる代替物質として、スキムミルクの添加効果を検討した。
【方法】山口県農林総合技術センターにおいて採取された豚精液を、
徐々に約25℃まで温度を下げながら実験室に輸送後、遠心処理し
精子分画を得た。実験1:モデナ修正液にスキムミルクを0(対照
区)、2.5、5、7.5、10 mg/ml添加し、最終濃度1.0 x 108/mlとなる
よう精子を調整した。調整後15℃で2週間保存後、運動性・生存率・
HOST・先体膜正常性を検査した。実験2:スキムミルクの添加濃
度を0(対照区)、7.5、15、30、50 mg/mlに調整し、15℃で4週間
保存し、精子性状の変動を検査した。実験3:受精に及ぼすスキム
ミルク添加効果を調べるため、7.5、15 mg/mlに調整した保存液で
15℃、2週間保存後、体外成熟培養した豚卵母細胞と体外受精を行い、
受精率および胚盤胞発生率を調べた。【結果】2週間保存後の段階
では精子性状におけるスキムミルクの添加効果は認められなかっ
たが、保存期間に従い運動性は低下し、4週間保存後の精子運動性
においては、対照区に比較して7.5 mg/ml添加区が有意に高い値(P
<0.05)を示した。一方、2週間保存精子の受精能および胚盤胞発
生率においてスキムミルク添加効果は認められなかった。【考察】
卵黄の代替物質として使用したスキムミルクの添加は、4週間保存
後の精子運動性を改善し、かつ添加濃度は7.5 mg/mlが最適である
ことが示唆された。
C寄生虫
G-11
○児玉里紗1、花立敬祐1、藤原 彬1、木村太一1、楓井雪音2、
照那木拉2、Vien Luuviet2、音井威重1、島田芳子3(1山口大
農・獣医繁殖、2山口大院連獣、3農水省 山口県農林総合技
術センター畜産技術部)
B病 理
The objective of this study was to develop the freezing method
for canine encapsulated sperm. Pooled ejaculates extended in
EYT extender were encapsulated using alginate and lysine
at room temperature. The microcapsules were cooled at 4 ℃ ,
immersed in the precooled extender including glycerol (7 % v/
v) and Equex STM paste (0.75% v/v) and were equilibrated for
5, 30 and 60 min at 4 ℃ . After equilibrium the microcapsules
were loaded in 0.5 ml plastic straw and were frozen in liquid
nitrogen. In experiment 1, characteristics of encapsulated canine
sperm were evaluated after cooling and glycerol addition at 4℃.
Glycerol exposures at 4 ℃ did not influence on sperm motility
and viability. In experiment 2, characteristics of frozen-thawed
canine encapsulated sperm were evaluated at 0, 3, 6 and 9 hr
of culture at 38.5 ℃ . Glycerol exposure at 4 ℃ did not influence
on post-thaw sperm quality in unencapsulated sperm. However,
post-thaw motility of encapsulated sperm with glycerol exposure
at 30 and 60 min increased than those of unencapsulated sperm
after the culture period of 6 and 9 hr (p<0.05). Post-thaw motility
of encapsulated sperm decreased in the 5 min glycerol exposure.
In conclusion, encapsulated canine sperm can be successfully
cryopreserved and microencapsulation could be the alternative
technique for the preservation of canine sperm.
豚精液の15℃液状保存におけるスキムミルクの添加効
果
A解 剖
○Shambhu Shah1、 大 月 翼2、 藤 村 千 加2、 山 本 直 樹1、
山下泰尚3、檜垣彰吾2、菱沼 貢1,2,3(1山口大院連獣 臨床
2
鳥取大 獣医繁殖学教室、3鳥取大 応用動物学教室)
繁殖学、
G-10
特別企画
G-9
G-13
馬精巣上体尾精子の運動性に対する精漿の影響
○菊池元宏、大竹瑠衣、細谷 崇、三浦 弘、大浪洋二(北
里大 獣医・獣医臨床繁殖)
【目的】前進運動をあまり示さない精巣上体尾精子に対し、精漿
を添加することによって運動性にどのような影響が現れるのかを
観察した。
【材料】本研究に用いた精子は、3~10歳のサラブレッド種雄馬9
頭から摘出した精巣上体尾を灌流・採取し、凍結保存したもので
ある。これらの凍結融解後の運動精子率は、灌流直後に比べ1.8~
72%まで低下し個体による差が大きかったため、40%以上のもの(H
群)、40%未満のもの(L群)に群別して結果をまとめた。また、精漿
は5~20歳のサラブレッド種種牡馬5頭から採取したものであった。
【結果】実験1では精漿の個体差を観察するため、それぞれ5頭分
の精子と精漿を使用し添加実験を行い、精子前進運動率への影響
を比較した。その結果、前進運動率の上昇率は精漿によって大き
く異なり、
5つの精漿のうち3つは有意に前進運動率を上昇させたが、
2つはその効果が低かった。また、精漿の前進運動率上昇作用が精
漿提供馬の精子運動性に相関していなかった。実験2では、実験1
で最も精子運動率を上昇させた精漿を用いて、異なる9頭の精子に
添加した。その結果、精漿添加後の前進運動率は有意に高くなり、
また、凍結による運動精子率の低下が著しかったL群も、精漿添加
によって前進運動率が有意に上昇した。さらに、その上昇は添加
前の前進運動率に係わらず一定の割合で発現し、特に(+++)の増加
が顕著に認められた。
【総括】以上のことから、精漿添加による凍結融解精子の前進運
動率上昇作用には、精漿側の要因が影響するが、精漿を採取した
個体の精子性状、また添加される精子の運動性の高低における精
子側の要因には係わらず、一定の割合で認められることが明らか
となった。
G-14
Biphasic changes in testosterone with changes in
estradiol from the testes of thoroughbred stallion in
response to human chorionic gonadotropins (hCG)
○Dhakal Pramod1,2、角田修男3、伊藤匡広1,2、登石裕子2、
谷山弘行4、渡辺 元1,2、田谷一善1,2(1岐阜大院連獣、2農工
大 農・獣医生理、3社台コーポレーション、4酪農大 獣医
病理)
[Purpose] To investigate the dynamics in testicular hormones
and possible phenomena in single intramuscular hCG injection.
[Methods] Matured Thoroughbred stallions received a single
intravenous or intramuscular injection of 10,000 IU hCG or
gonadotropins releasing hormome (GnRH). Jugular blood
samples were collected just before the injection as control and
every 1 hour for 6 h, and then daily for seven days. [Results]
There was biphasic (1 h and 3 day) and only first increase of
testosterone with and without increase in estradiol (E2) in hCG
and GnRH group respectively. E2 peaked later than testosterone.
Testosterone production was stronger in hCG group. The
phenomena were similar with intramuscular and intravenous
injection. [Conclusion] Persistent effect was observed with hCG.
The first non-significant rise of testosterone might have been the
emptying of the reserve in leydig cells and the second rise could
have been through the synthesis by stimulation of P450scc by
hCG. Although the mechanism responsible to the second increase
of testosterone is not clear, E2 may be one of the factors. E2
might have induced the 17βHSD further to aggravate the
production of Testosterone. The production of testosterone and
it’s abundance in circulation may have been caused through
the increased circulation to and from testis as a result of the
increased vasodilatation effect of estrogen.
G-15
G-16
○KAEWMANEE Saroch1,2、 渡 辺 元1,2、 鶏 尾 め ぐ み2、
山本ゆき1,2、山本達也1,2、成島悦雄3、片柳雅之3、中尾理幸3、
桜井裕子3、森久保秀3、金子美香子3、吉原正人3、岸本海織2、
田谷一善1,2(1岐阜大院連獣、2農工大 農・獣医生理、3多摩
動物公園)
○Indunil Pathirana1、芦田ゆきの1、田中 翔2、辻 誠2、
鳩谷晋吾1、稲葉俊夫1、高橋正弘1、玉田尋通1、川手憲俊1(1大
阪府大院 先端病態解析学、2いしづか動物病院)
A clear seasonality of Musth in a captive bull African
elephant (Loxodonta africana) in Japan
【Objective】To investigate correlations among profiles of
reproductive hormones, musth, and seasonal changes in a male
African elephant.【Methods】Blood samples were collected
weekly from an ear vein without anesthesia for 5 years.
Concentrations of immunoreactive (ir-) inhibin, testosterone,
follicle stimulating hormone and luteinizing hormone (LH)
were measured. Musth was identified by the typical behaviors
(aggressiveness, temporal gland swelling and secretion and urine
dribbling) were apparent for more than 3-day/week.【Results】
The elephant exhibited regular yearly musth cycles (AprilOctober) and lasted 8.1±1.7 months in duration. Clear annual
changes of LH, testosterone and ir-inhibin were observed. High
levels of testosterone and ir-inhibin were observed from April to
October. There were positive correlations among testosterone,
ir-inhibin, musth behavior and seasonal changes. LH increased
4 weeks before musth, maintained at high level for 5-week and
was followed by abrupt decline to baseline.【Conclusions】These
results suggested that LH in the pre-musth might stimulate
testosterone and ir-inhibin secretion, associated with musth
behavior. These results also suggest that high level LH before
musth might be a useful biomarker for the beginning of musth
season. Clear seasonality of day length and temperature in Japan
might be responsible for seasonal musth profiles.
Comparison of secretory response of insulin-like
peptide 3 and testosterone to hCG in cultured
testicular cells of cryptorchid and normal dogs
Objective The secretory responses of insulin-like peptide
(INSL) 3 and testosterone to hCG in cultured testicular cells of
cryptorchids were compared with those of normal dogs.
Methods Retained testes were obtained from cryptorchid smallbreed dogs and scrotal testes taken from normal dogs. Testicular
tissues were dispersed and cells were plated with different
concentrations (0-10 IU/mL) of hCG for 18 h in multiwell-plates.
The concentrations of INSL3 and testosterone in the same spent
medium were measured by EIA. The EIA for canine INSL3 was
newly established.
Results INSL3 secretion was significantly increased at 10 IU/
mL hCG compared with non-addition control in cells of scrotal
testes while such stimulation was not observed in cells of
retained testes. Dose-response stimulation of hCG on testosterone
secretion was observed in both of retained and scrotal testes.
However, incremental rate of testosterone secretion was
significantly lower at 0.1, 1 and 10 IU/mL hCG in cells of retained
testes than in scrotal testes.
Conclusions Higher concentrations of LH may acutely stimulate
INSL3 secretion in testis of normal dogs, but not in retained
testes of cryptorchid dogs. LH-induced testosterone secretory
capacity is possibly reduced in retained testes compared with
testes of normal dogs.
G-18
○北原 豪1、白尾優佳1、佐藤知広2、森山千穂2、二瓶和美3、
邉見広一郎4、小林郁雄4、上村俊一1(1宮崎大 農・獣医臨
床繁殖、2西諸県農業共済組合、3宮崎大 大学連携支援プロ
グラム、4宮崎大 農・住吉フィールド)
RMBSK Ranasinghe1、○中尾敏彦2(1山口大院連獣 獣医
繁殖、2University of Veterinary Medicine Hannover, Clinic
for Cattle)
黒毛和種牛の血中抗ミューラー管ホルモン( AMH )
濃度による潜在精巣の評価
Characteristics of prolonged luteal phase in highproducing dairy cows postpartum
F公衛生
G繁 殖
G繁 殖
HL
臨床
(産業動物)
HS
臨床
(小動物)I生理・化
J薬・毒
K実動医
【目的】甲状腺機能低下症に陥ったラットやマウスでは不規則な
性周期や無排卵が起こると報告があり、演者らは第146回本学会
において、分娩後の卵巣機能回復が遅い乳牛は分娩後の甲状腺ホ
ルモン濃度が低いことを報告した。しかし、乳牛における甲状腺
ホルモンと他のホルモンとの関連については明らかにされていな
い。そこで本研究では、抗甲状腺薬である6-n-propyl-2-thiouracil
(PTU)を用いてホルスタイン種雌牛に甲状腺機能低下状態を
誘発し、甲状腺ホルモンと肝機能および性ホルモンとの関係につ
いて検討した。【方法】本学飼養のホルスタイン種非妊娠乾乳牛
6頭を用いた。試験牛は、甲状腺機能低下群(3頭)と対照群(3
頭)に分け、甲状腺機能低下群にはPTU(4mg/kg/day)を1日1
回37日間経口投与し甲状腺機能低下状態を作出した。PTU投与開
始後、Ovsynch法+CIDR法を用いて発情同期化を実施した。そ
の後CIDRを9日間挿入し、人工的に黄体期を作った。黄体期にイ
ンドシアニングリーン(ICG)排泄試験、LHパルス、インスリン
負荷試験を行った。週2回採血し、甲状腺ホルモン(T3、T4)濃
度、P4、E2濃度、血液生化学性状を測定した。【結果】インスリン
負荷試験における投与30分後の血糖低下率では、甲状腺機能低下
群(60.1%)が対照群(48.2%)と比べて感受性が低い傾向にあった。
また、ICG半減時間(T1/2)において、甲状腺機能低下群(10.0分)
は対照群(7.3分)と比べて長い傾向にあった。甲状腺ホルモン以
外の性ホルモン動態にPTU投与の影響は見られなかった。以上の
結果より、甲状腺機能低下による明らかな性ホルモン分泌に与え
る影響は認められなかったが、甲状腺機能低下が肝機能を低下さ
せる可能性が示唆された。
E家 禽
【目的】分娩後の乳牛は、泌乳に伴うエネルギー不足から周産期
疾病に陥りやすく、特に代謝機能を司る肝機能との関係が重要で
あると考えられている。乳牛における肝機能検査として、血液生
化学性状の他、BSP排泄試験などが挙げられる。この色素排泄に
よる肝機能検査は、肝の血流状態や肝機能を鋭敏に反映し、肝機
能全般を判定することができる。そこで、本研究では分娩後2週で
の色素排泄試験と血液生化学性状ならびに繁殖機能との関係につ
いて検討した。
【方法】本学飼養のホルスタイン種乳牛延べ16頭を用いて、分娩
前4週から分娩後16週まで週2回の採血および週1回のBCSと体重測
定を行った。採取した血液から、プロジェステロン、エストラジ
オール-17β(E 2)、IGF-1濃度を測定し、血液生化学性状を調査した。
また、分娩後2週に15分間隔で8時間連続の採血によるLHパルス頻
度の調査を行うとともに、肝機能検査としてインドシアニングリー
ン(ICG)色素を用いた排泄試験を行った。ICG排泄試験の血漿中
半減時間(T 1/2)が6分以上のものを代謝低下群(n=8)、6分未満
のものを正常群(n=8)として区分した。
【結果】分娩後の総ビリルビンおよびγ-GTP濃度は、代謝低下群
が正常群に比べ高い傾向にあり、分娩後2、4週に有意に高かった。
AST濃度も代謝低下群が正常群に比べ分娩後2週に有意に高かった。
また、分娩後2週のLHパルス頻度は、代謝低下群が正常群に比べ
低く、初回排卵日数は遅い傾向にあったが、分娩後2週のIGF-1、E
2濃度は両群に差が認められなかった。以上の結果から、分娩後の
ICG排泄試験は肝機能を鋭敏に評価することができ、分娩後の肝機
能が分娩後のLH分泌に影響していた可能性が考えられた。
DV
微生物
(ウイルス)
○高橋啓人1、大野真美子2、大滝忠利1、津曲茂久1(1日本大
獣医臨床繁殖、2日本大院 獣医臨床繁殖)
DI
微生物
(免疫)
○大野真美子1、大滝忠利2、野呂幸代2、津曲茂久2(1日本大
院 獣医臨床繁殖、2日本大 獣医臨床繁殖)
ホルスタイン種雌牛における甲状腺機能低下が肝機能
と性ホルモン分泌に与える影響
DB
微生物(細菌)
G-20
C寄生虫
G-19
B病 理
Aim of this study was to identify the characteristics and risk
factors for prolonged luteal phase (PLP) and its effects on
subsequent reproductive performance of Holstein cows. Milk
samples were collected from 497 cows from three dairy herds
twice weekly and progesterone concentrations in whole milk
were determined by ELISA. Prolonged luteal phase was defined
when progesterone concentrations were 5 ng/mL or higher
for 20 d or more of duration in any cycle postpartum. Delay of
first ovulation to 35 to 60 d, or more than 60 d , a short luteal
phase, and the cessation of cyclicity were considered to be the
other categories of abnormal resumption of ovarian cyclicity
postpartum. The Overall incidence of PLP in the three herds was
11.9% and higher proportion of PLP was observed in the first
cycle postpartum compared with the 2nd and 3rd. Approximately
83% of the PLP were of 20 to 28 d of duration. Higher parity,
commencement of luteal activity within 28 d postpartum and
postpartum complications significantly increased the occurrence
of PLP. Cows with PLP showed reduced conception rate to first
AI, and reduced pregnancy proportions. In conclusion twelve
percent of lactations had PLP of which approximately two third
was seen in the 1st cycle postpartum. Most of the PLP were of
20 to 28 d of duration. Higher parity, postpartum complications
and early commencement of luteal activity postpartum increased
the risk for PLP.
A解 剖
【目的】抗ミューラー管ホルモン( AMH )は、セルトリ細胞と顆
粒層細胞から分泌され、ヒトでは潜在精巣の存在や機能の評価に
用いられる。今回、黒毛和種牛において血中 AMH 濃度を測定し、
潜在精巣の評価法を検討した。
【方法】6カ月齢の黒毛和種雄子牛(IM ; n = 19)、実験的に右側精
巣を去勢し、左側精巣のみとした6カ月齢の牛(UC ; n = 6)、通常
去勢牛(BC ; n = 17)、片側潜在精巣で、正常下降した反対側精巣
を去勢した牛(CM ; n = 18)、雌子牛(FM ; n = 6)の5牛群について、
hCG 3,000 IUの筋肉内投与による負荷試験(Day 0)を行い、Day 0、5、
7に採血した。血中 AMH 濃度とテストステロン( T )濃度を測定し、
精巣の有無を診断するカットオフ値を求め、5牛群で比較した。
【結果】Day 0の血中 AMH 濃度では、CM 群がBC・FM 群より
有意に高く(P < 0.05)、IM・UC 群と差がなく(P = 0.52、P = 0.41)、
カットオフ値は0.006 ng/mlだった。血中 T 濃度では、CM 群は
IM・UC 群より有意に低く(P < 0.01)、FM 群(P = 0.12)と差がな
く、カットオフ値は0.9 ng/mlだった。血中 T 濃度では、IM・UC
群はDay 5に(P < 0.01)、CM 群はDay 7に増加したが(P < 0.05)、
BC・FM 群では0.9ng/ml以下で推移した。Day 0の血中 AMH 濃
度と T 濃度、および hCG 負荷後の血中 T 濃度(Day 5、7の血中
T濃度 > 0.9 ng/ml)により潜在精巣の有無を的確に診断できる割
合は、それぞれ100、56、57 %だった。
【総括】黒毛和種牛における血中 AMH 濃度は、潜在精巣の評価
法として有用である。
乳牛の分娩後2週における肝機能と血液生化学性状なら
びに繁殖機能との関係
特別企画
G-17
G-21
人工授精後の追い移植が暑熱期の乳牛に与える影響
○谷千賀子1,2、友川浩一郎1、舩越大資1,2、阪谷美樹3、高橋昌志3、
北原 豪2、谷 峰人4、上村俊一2(1たくま家畜診療所、2宮
崎大、3九州沖縄農研センター、4東海大)
G-22
人工授精後、黄体期のCIDR挿入が黒毛和種の繁殖成績
に与える影響
○加治佐誠1,2、日高亨介3、鈴木義人3、中間由規3、邊見広一郎3、
小林郁雄3、北原 豪3、上村俊一3(1山口大院連獣、2曽於農
業共済組合 家畜診療所、3宮崎大)
【目的】熊本県は乳牛頭数が国内第4位で、夏季は高温となる西南
暖地にある。熊本市では気温が35℃を超える猛暑日が例年20日以
上あり、受胎率の低下や、空胎日数の延長、人工授精(AI)回数
の増加となっている。一方、発情後7日での胚移植には暑熱の影響
が少ないとされる。今回、AI後の追い移植が暑熱期の乳牛の繁殖
成績に与える影響を調査した。
【材料と方法】熊本市内13戸の酪農場で8~9月の発情時(0日)にAI
を行い、7日目に黄体のある卵巣と反体側の子宮角に胚を移植し
(AI/ET群、n=82)、残りは対照とした(AI群、n=367)。2007年は
黒毛和種凍結胚、2008年は同新鮮胚を移植した。AI時と移植時に
直腸温と環境温、湿度を測定し、温湿度指数(THI、0.8×温度+
0.01×相対湿度(温度-14.4)+46.4)を算出した。また、日最高、最
低、平均気温を調査した。成績は、受胎率、AI回数、胚・胎子死率、
新生子の品種 (AI由来のホルスタイン種、ET由来の黒毛和種)を確
認した。
【 結 果 】 受 胎 率 は2007年AI/ET群30.4% 、AI群13.8% (P<0.01)、
2008年同30.8% 、21.5%(P=0.294)で、牛群毎ではAI/ET群が有
意に高かった(30.5%、17.4%;P<0.01)。牛舎内温度とTHIは、
2007年31.1℃、81.8、2008年30.1℃、80.8で、平均気温は同28.5℃、
26.9℃であった。胚死・胎子死は2007年AI/ET群38.1%、AI群7.4%
(P<0.05)
、2008年同12.5%、0%(P<0.05)で差がなく、合計で
はAI/ET群31.0%%がAI群3.1%(P<0.01)より高かった。
【まとめ】AI後の追い移植は、暑熱期の乳牛の受胎率を向上させ
るが、高い胚・胎子死率となった。
【目的】牛の繁殖管理において、人工授精(AI)後、早期に不受胎牛
を摘発し、再AIを行うことは重要である。しかし、不受胎牛が次
回発情予定日に発情を回帰する割合は低く、発情の見逃しもある。
今回、AI後、黄体期にプロジェステロン製剤(CIDR)を腟内に挿
入し、その後の繁殖成績に与える影響を検討した。
【方法】畜産農家で飼養され、正常分娩した黒毛和種80頭(6.0±2.9
産)を供試した。発情時(0日)AIを行い、その5日後からCIDRを2
週間腟内に挿入する牛群(CIDR2週群、n=3)と、17日から1週間挿
入する牛群(CIDR1週群、n=28)、およびCIDRを挿入しない対照群
(n=49)に分けた。一部の牛には、歩数計(牛歩、コムテック宮崎)を
装着し、毎時間の総歩数を記録し、データをテレメトリー法でパ
ソコンに送付した。そして、当日の歩数が直前2週間の平均の2倍
以上に増加したときを発情と認識し、肉眼観察による発情徴候と
比較した。AI後の受胎率、発情の回帰率、発情回帰日数の平均と
幅を解析した。
【結果】受胎率は、CIDR1週群64.3%、CIDR2週群100%、対照群
53.2%と差が無く、不受胎牛の発情回帰日数は対照群の平均21.9日
(AI後17日~28日)に比べ、CIDR1週群は同26.6日 (AI後25日~29日)
と集約した。発情が回帰した日の総歩数は直前と比較しCIDR1週
群197.1±69.8%(n=8)、対照群で198.1±62.9%(n=13)の増加で、歩
数計による発情認識率はCIDR1週群80%が対照群31.8%より有意に
高かった(P<0.05)。
【まとめ】AI後のCIDR挿入では、受胎率の向上はみられないが、
対照群に比べ発情回帰日数の集約により発情発見率が向上し、最
終的な空胎日数が短縮した。
G-23
G-24
○中田彰子、瀧藤眞一、中田 健、及川 伸(酪農大 獣医
ハードヘルス)
○谷 峰人1、谷千賀子2、友川浩一郎3、舩越大資2、山本浩通4、
二瓶和美5、邉見浩一郎5、小林郁雄5、北原 豪5、上村俊一5(1東
海大 大動物臨床繁殖、2宮崎大 医獣総合大学院、3詫麻家
畜診療所、4山本動物クリニック、5宮崎大 獣医臨床繁殖)
酪農家の経営指標と牛群管理に用いる繁殖成績指標と
の関連性
【目的】乳用牛群の健康および生産管理を行う際に、農家の現状
にあった生産目標の立案を行う。繁殖管理においても同様に繁
殖成績の目標を掲げ、その改善効果を評価する。それらの目標
が、経営改善に反映することが望ましいが、それらについての評
価が十分に行われていない。そこで、本研究は、酪農専業地域の
農家の経営指標と牛群の繁殖成績指標との関連性について検討す
ることを目的に行った。
【材料と方法】北海道酪農専業地域の1農
業協同組合が管理する酪農家166戸の2008年1年間のデータを使用
した。農家の経営指標には、農業所得率(所得率、%)、経産牛1頭
当たりの所得(1頭所得、円)、および乳飼比(%)を、繁殖成績の指標
には、平均分娩間隔(日)、平均空胎日数(日)、経産牛に対する人工
授精実施頭数割合(授精割合、%)、経産牛に対する受胎確認頭数割
合(受胎割合、%)および経産牛の人工授精実施頭数に対する受胎確
認頭数割合(授精受胎割合、%)を使用した。各項目で要約統計量の
算出および正規性の検定を行い、正規性の有無に従い、各項目間
の関係をピアソンまたはスピアマンの相関分析で行った。【結果お
よび考察】経営指標3項目と分娩間隔、空胎日数および授精割合と
の間に関連性は認められなかった。経営指標3項目と受胎割合(p<
0.05)および授精受胎割合(p<0.01)との間に関連性が認められ、所得
率および1頭所得と正の相関、乳飼比と負の相関が認められた。もっ
とも関連性が高かった授精受胎割合と所得率の相関係数はr=0.321、
所得率の回帰式=15.2+0.35×授精受胎割合であった。以上より、
牛群の繁殖成績の指標には、経産牛の人工授精実施頭数に対する
受胎確認頭数割合が農家経営と関連する良い指標であることが示
唆された。
携帯型超音波診断装置を用いて観察した牛の子宮肥大5
型23症例
【目的】産業動物では、生理的空胎期間を経過後に肥大した子宮
を時々経験する。これには主に5型(子宮蓄膿症、子宮筋炎、子宮
水症、子宮腫瘍、子宮外膜炎)があるが、直腸検査での診断には
限界がある。今回、産業動物への普及が進む携帯型超音波診断装
置(エコー)を用いて子宮の病態を検討した。
【材料と方法】直腸検査で子宮の肥大を認めたホルスタイン10頭
と黒毛和種13頭について、携帯型エコー(7.5MHZ、SonoSite180)
で子宮内膜や筋層、子宮内容物を観察した。超音波画像はエコー
に記録し、パソコン上で画像解析を行った。観察後、病態に応じて、
PGF2α(ジノプロスト)25mg、E2(安息香酸エストラジオール)
1mgの投与、ヨード液50mlの子宮内注入を1~6回実施し、予後不
良の2頭は病理組織学的に検査した。
【結果】エコー輝度の高い粒子を含む子宮内容液から、子宮蓄膿
症(n=12)と診断し、PGF2α 投与とヨードの子宮内注入を1~3回処
置したところ、
9頭が妊娠した。肥厚した子宮筋層と膿汁の貯留から、
子宮筋炎(n=4)と診断し、PGF2αとE2の投与、ヨード液の子宮内注
入を1~6回処置したところ、3頭が妊娠した。子宮内腔の拡張とエ
コーフリーな子宮内容液から、子宮水症(n=4)と診断し、PGF2αを
投与したが、受胎しなかった。処置後も、子宮肥大が亢進し、病
理解剖で異型と核分裂像を示す大型リンパ球が子宮内膜と筋層に
浸潤したリンパ腫(n=3)があった。
【まとめ】直腸検査では限界のある子宮疾患の診断において、携
帯型エコーにより、類症鑑別と診断的治療が可能となった。今後
一層エコーの普及を図り、早期診断により子宮肥大の症例を治癒
できる可能性が高まった。
G-26
○三浦亮太朗1、羽田真悟1、李 旭薫1,2、松井基純1(1帯畜
大 臨床獣医学研究部門 獣医臨床繁殖、2岐阜大院連獣
臨床獣医学連合講座)
○中間和浩1,2、阿久根淳1、朝日隆行1、谷口康徳1、門倉豪臣1、
川手憲俊2、高橋正弘2、稲葉俊夫2、永田良一1、玉田尋通2(1株
式会社新日本科学 研究5部、2大阪府大院 先端病態解析学)
【目的】我々はこれまでに、黄体形成期あるいは開花期に発育し
た卵胞を排卵誘起した場合、形成期に発育した卵胞で排卵前の
血流分布の上昇が大きいことを示した。ウシやげっ歯類の排卵
前卵胞では血管拡張作用をもつプロスタグランジンE2の合成酵素
(PGES)の発現が上昇し、ラット排卵前卵胞では血管作動性因子
である一酸化窒素の合成酵素(NOS)の発現が変化することが知
られている。そこで、黄体形成期あるいは開花期に発育した卵胞
について、排卵誘起処置後の排卵前卵胞におけるNOSおよびPGES
の発現を調べた。【材料と方法】乾乳牛(黄体形成期群:n=4、黄
体開花期群:n=5)を実験に供した。黄体形成期群では1st Wave
に着目し、D7(排卵確認日;D1)にPGF2αを投与、その48時間
後(D9)にGnRHを投与し、その24時間後(D10)に排卵前卵胞
から卵胞液および顆粒層細胞を吸引、採取した。黄体開花期群で
は、2nd Waveに 着 目 し、D6に2nd Wave 誘 起 を 目 的 にGnRHを
投与、D8に排卵を確認した。D14にPGF2αを投与、その48時間後
(D16)にGnRHを投与し、その24時間後(D17)に排卵前卵胞を
吸引した。顆粒層細胞におけるiNOS、eNOSおよびPGESのmRNA
発現量をreal-time PCRにより定量した。
【結果】排卵前卵胞の顆
粒層細胞において、黄体形成期群と黄体開花期群間でiNOSおよび
eNOSのmRNA発現量に差はなかった。またPGESのmRNA発現量
においても両群間で差異は認められなかった。
【考察】NOSおよび
PGESの発現に差異がないことから、黄体形成期群と黄体開花期群
間で血管拡張作用を有するNOおよびPGE2の産生に差がなかった
と考えられる。よって、形成期に発育した卵胞での排卵誘起後の
血流分布の上昇はNOおよびPGE2による血管拡張によるものでは
ないと推察される。
【目的】カニクイザルは,近年毒性試験などへの需要の急激な増
加から,その繁殖効率の向上が求められている。我々は,合成黄
体ホルモンであるレボノルゲストレル(LNG)を飼料に添加して,月
経後2日目から2週間カニクイザルに給与すると,最終給与後の一
定期間に排卵が起こることを示唆した(第148回日本獣医学会学術
集会)。本研究では,月経周期中のいくつかの異なる時期にLNG添
加飼料を給与して,カニクイザルの排卵同期化を試みた。【方法】
25~35日の月経周期が連続して2回みられた中国産カニクイザル(8
~12歳)を使用した。LNG 50μgをコーン油に溶解して固形飼料
に注入した。この飼料を月経後2~15日,9~22日,16~29日ある
いは23~36日に1日1回給与した(各群4頭)。LNG添加飼料の給与
を開始する前の月経日からその後月経が2回確認されるまで,3日
毎に大腿静脈から採血した。血漿中プロジェステロン(P)およびエ
ストラジオール-17β(E2)濃度をEIA法で測定した。E2濃度がピーク
を示した日の2日後を排卵推定日とし,P濃度が増加後に基底値に
復した日を黄体期終了日とした。【結果】LNG 添加飼料を月経後2
~15日,9~22日,16~29日あるいは23~36日に給与した群の排卵
推定日は,それぞれ最終投与の19.3±1.5,22.5±3.9,25.8±3.8及び
15.5±2.5日後であった。排卵推定日から黄体期終了日までの黄体
期の期間は13~19日であった。【結論】カニクイザルにLNG 50μg
を添加した飼料を2週間毎日給与することにより,排卵を同期化で
きる可能性が示唆された。また,排卵後の黄体は正常に機能する
ものと推察された。
G-27
G-28
黄体形成期あるいは開花期に発育したウシ卵胞におけ
る血管拡張関連因子の発現
C寄生虫
DB
微生物(細菌)
DI
微生物
(免疫)
DV
微生物
(ウイルス)
E家 禽
HL
臨床
(産業動物)
HS
臨床
(小動物)I生理・化
J薬・毒
K実動医
【目的】新たに発見された神経ペプチド、キスペプチン(K)は、
GnRH分泌促進作用を有する。しかし受容体は下垂体にもあり、そ
の他の作用については未だ不明点が多い。演者らは、Kによる培
養下のウシ下垂体からのプロラクチン(PRL)分泌刺激作用を報
告したが、vivoでの作用は不明であるため、本課題において、K
が輸送ストレスと共にPRL分泌に与える効果を調べた。
【方法】天然型Kの全アミノ酸配列中で薬理作用に重要な配列で
あるキスペプチン10(K10)を用いた。試験日前日に黒毛和種牛
にカテーテルを装着した。試験日には、輸送ストレス群には2時間
のトラック輸送を負荷し、対照群は同時間牛舎で飼育した。これ
らの処置後に、K10または生食を投与し、15分間隔で5時間の採血
を実施した。 得られた血漿は凍結保存し、イムノアッセイによる
コルチゾル、LH、PRLの濃度測定に用いた。群間の有意差は、反
復測定分散分析等により検定した。
【結果】輸送ストレスは血中コルチゾル濃度を増加した。K10投
与後にLH濃度はサージ状に増加したが、ピーク濃度やピーク時間
などに対する輸送ストレスの有意な効果は認められなかった。K
10投与後に血中PRL濃度は有意な増加を示さなかった。しかし投
与後4時間以後において、K10投与群では、生食投与群よりも血中
PRL濃度が有意(P<0.05)に高く推移した。このような投与物によ
る差は、特に輸送ストレスを負荷された群同士の比較で大きかった。
【総括】K投与にはPRL濃度を短時間で急増させる有意な効果は認
められないが、遅延してPRL分泌に影響する可能性が考えられた。
このような遅延効果についての、今後の更なる研究の必要性が考
えられた。
G繁 殖
○角川博哉1、野口広太郎1、羽尻雄輝1、ダニラフジサキ1、
竹下和久2、藤井陽一2(1山口大 獣医繁殖、2山口県農林総
合技術センター 畜産技術部)
G繁 殖
黒毛和種牛における血中プロラクチン濃度に対する輸
送ストレスとキスペプチンの影響
F公衛生
Stress is one of the important factors adversely affecting the
health and productivity of dairy cows. It would be very useful if
a long-acting ACTH challenge based on cortisol concentrations in
milk collected at a routine milking can be used as an indication
of stress in cows. This study examined adrenocortical response
to ACTH-Z and its effect on adrenocortical function in beef cows,
and applied ACTH-Z challenge in postpartum dairy cows based
on skim milk cortisol concentrations. Exp.1: Four beef cows were
challenged with a long-acting ACTH (ACTH-Z). A rapid ACTH
test was conducted before and after the ACTH-Z challenge.
Exp. 2: Response of milk and plasma cortisol up to 24 h after
ACTH-Z injection was monitored and compared in 3 dairy cows.
Exp. 3: Eight lactating dairy cows were tested for adrenocortical
function by ACTH-Z challenge. All the 4 beef cows responded
with elevation of plasma cortisol for 10 h after ACTH-Z
challenge and showed no depression of adrenocortical function.
Change of milk cortisol concentrations after ACTH-Z treatment
corresponded well with plasma cortisol. Eight postpartum
Holstein cows challenged with ACTH-Z showed an increase of
cortisol in plasma as well as milk collected 8 h after treatment.
A practical adrenocortical function test was established using
ACTH-Z and milk cortisol analysis, and the recovery of adrenal
function in dairy cows postpartum was successfully monitored.
B病 理
○N. C. Thinh1、Toshihiko Nakao1,2、Chikako Yoshida3、
S. T. Long1、M. Yusuf1(1山口大院連獣 臨床獣医、2山口
大 獣医繁殖、3新潟大 フィールド科学教育研究センター)
レボノルゲストレル添加飼料の給与によるカニクイザ
ルの排卵同期化
A解 剖
Adrenocortical Response in Cows after Intramuscular
Injection of Long-Acting Adrenocorticotropic Hormone
(Tetracosactide Acetate Zinc Suspension)
特別企画
G-25
G-29
G-30
○羽尻雄輝、野口広太郎、角川博哉(山口大 農・獣医繁殖)
○野口広太郎、羽尻雄輝、角川博哉(山口大 農 ・獣医繁殖)
【はじめに】エネルギーバランスの変化に応じた成長ホルモン
(GH)の分泌調節機構には未解明な点が残っている。AMPKは近
年発見されたキナーゼで、細胞内のAMP:ATP比の増加により活
性化され、他の蛋白の作用を調節する。そこでAMPKの活性化剤
であるAICARを雌ラットの第3脳室に投与し、投与後の血漿中GH
濃度の推移を調べた。
【方法】卵巣を摘出し、エストロゲンインプラントを挿入した成
熟雌ラットを用い、第3脳室と頸静脈にカテーテルを留置した。6
分間隔30分間の採血と輸血の実施後、生食に溶解した5μg(5μg
投与群)または50μg(50μg 投与群)のAICAR、あるいは生食
のみ(生食群)を脳室内に投与し、引き続き6分間隔180分間の採
血と輸血を続け、血漿採取した。凍結保存後にラジオイムノアッ
セイによる血漿中GH濃度の測定を実施した。
【結果】血漿中GH濃度は全群において投与後に有意な増加を示し
たが(P<0.001)、最大値への到達時間やその後の推移で群間差が
認められた(P<0.01)。すなわち生食群と5μg投与群ではそれぞ
れ投与から120分後、132分後に最大値に到達した。一方、50μg投
与群では生食群や5μg投与群よりも有意(P<0.05)に早いタイミ
ングである投与72分後に最大値に到達した。また最大値に到達し
た後の時期では、生食群ではほぼ同濃度で推移し、5μg投与群で
はやや低下傾向を示したが、50μg投与群では明瞭に低下した。
【総括】第3脳室周辺部位へのAMP:ATP比の増加を模倣させる
処置では、投与量に応じた異なるタイミングでの血中GH濃度の増
加と減少を示した。今後は、このような変化を起こすメカニズム
を解明する必要がある。
【はじめに】成長ホルモンと協調し泌乳を調節するプロラクチン
(PRL)の分泌は、エネルギーバランスの変化に応じて調節され
ると考えられるが、調節機構には不明点が多い。一方、近年発見
されたキナーゼ、AMPKは、細胞内のAMP:ATP比の増加により
活性化され、他の蛋白の作用を調節する。そこでAMPKの活性化
剤であるAICARを雌ラットの第3脳室に投与し、投与後の血漿中
PRL濃度の推移を調べた。
【方法】卵巣を摘出し、エストロゲンインプラントを挿入した成
熟雌ラットを用い、第3脳室と頸静脈にカテーテルを留置した。6
分間隔30分間の採血と輸血を実施した後、生食に溶解した5μg(5
μg投与群)または50μg(50μg 投与群)のAICAR、あるいは生
食のみ(生食群)を脳室内に投与し、引き続き6分間隔180分間の
採血と輸血を続けた。さらに翌日の同時刻にも同様の採血を反復
した。凍結保存後に血漿中PRL濃度を測定した。
【結果】第1日には、血漿中PRL濃度は全群において投与後に変化
を示した(P<0.01)。特に50μg 投与群において投与後に明瞭に上
昇した後に減少したが、このような変化は生食群や5μg投与群で
は認められなかった(P<0.01)。第2日においても、血漿中PRL濃
度は全群において変化を示したが(P<0.01)、第1日に認められた
ような一過性の上昇は全群で認められず、群間の有意差もなかった。
【総括】第3脳室内周辺部位に対する、AMP:ATP比の増加を模
倣するAICARの投与により、投与量に応じて、血中のPRL濃度が
変化したが、投与の翌日にはAICARの効果は消失していた。今後は、
このような変化を起こすメカニズムを解明する必要がある。
G-31
G-32
國 重 公 嗣、 川 手 憲 俊、 稲 葉 俊 夫、 鳩 谷 晋 吾、 高 橋 正 弘、
○玉田尋通(大阪府大院 先端病態解析学)
○田中良法、角川博哉(山口大 農・獣医繁殖)
細胞内AMP:ATP比の増加を模倣させる薬物(AICAR)
の脳室内投与が成長ホルモンの分泌に及ぼす影響
ゼアラレノンのマウス妊娠に及ぼす影響
【目的】Fusarium属真菌は麦類、トウモロコシ等を汚染し、エス
トロジェン活性を持つマイコトキシン、Zearalenone (ZE) を産生
する。本研究では、ZEの妊娠に及ぼす作用に関する基礎的知見を
得るために、妊娠初期に処置したZEが着床、胎子発育等に及ぼす
影響について検討した。【方法】成熟ICRマウスを用いた。ZEまた
はEstradiol-17β(E2)を妊娠1~5日 (腟栓=1日) に1日1回皮下投与し
た。対照群には溶媒のみを投与した。(1)ZE 2、4、8 mg/kgまたは
E2 0.8、1.6、3.2 µg/kgを投与し、妊娠5日に着床数、卵管の卵およ
び未着床卵(子宮灌流)を調べた。また、妊娠18日に受胎産物を観察
し、生存胎子の重量を測定した。(2) ZE 8 mg/kgまたはE2 3.2 µg/
kg を投与した。a)妊娠4日に右子宮角へゴマ油を注入し、脱落膜反
応の有無を調べた。b)妊娠6日に血漿黄体ホルモン濃度をEIA法で
測定した。c)妊娠9日と14日に着床数を調べた。
【結果】(1)着床数
はZEとE2のどちらでも投与量に依存して減少した。卵管内に胚の
停留がみられ、子宮灌流により胚盤胞が観察された。妊娠18日に
はZEとE2のどちらでも、高投与量群では多くの個体で受胎産物が
認められなかったが、低投与量群では生存胎子がみられ、その重
量は対照群と比べて低値を示した。(2) a)脱落膜反応はみられなかっ
た。b)黄体ホルモン濃度は両投与群ともに対照群と比べて低かった。
c)両投与群の複数例で着床の遅延が認められた。
【結論】ZEは低投
与量では着床後の胎子の発育を抑制し、高投与量では胚移動や脱
落膜反応の阻害および黄体機能の低下を誘起して着床や妊娠を阻
害するものと推察された。これらの作用はエストロジェン活性に
よることが示唆された。
細胞内AMP:ATP比の増加を模倣させる薬物(AICAR)
の脳室内投与がプロラクチンの分泌に及ぼす影響
ラットで観察された交尾直後からの摂食量と体重の増
加、ならびに妊娠後半の飼料品質と難産等との関係
【目的】妊娠した雌ラットは母子双方のために栄養を摂取する必
要があるが、どのように全妊娠期間に及ぶ必要量を充足している
かには、未だ不明点が多い。また妊娠後半での飼料中のエネルギー、
蛋白質、脂肪は母子の代謝機構に重要な役割をもつと考えられるが、
プロラクチン、成長ホルモン、プロジェステロンといった重要な
ホルモンや、分娩状況に対してどのように影響するかは不明である。
そこで妊娠後半の異なる時期に、低品質の飼料(L餌)から高品質
の飼料(H餌)に改善し、比較検討した。
【方法】全雌ラットをD0(交配日)からD11までL餌を自由採食さ
せた後、3群に分けた。早期改善群と遅延改善群には、D11以降ま
たはD16以降にH餌の自由採食へ変更し、無改善群には引き続きL
餌を自由採食させた。体重と乾物摂取量(DMI)を毎日測定した。
採血はD0、D1、D3、D7、またD11から分娩後3日までの毎日行い、
血漿中ホルモン濃度を測定した。分娩状況の観察と娩出時間の測
定も行った。
【結果】D2以後の体重はD0と比べて、またD4以後のDMIはD1と
比べて有意に高く増加した(P<0.05)。分娩1週間前から全群の
DMIは減少したが(P<0.01)、この時期でも体重は増加した(P
<0.01)。どのホルモン濃度にも群間の有意差は認められなかった。
無改善群の娩出時間は早期改善群(P<0.01)、遅延改善群(P<0.05)
よりも有意に長かった。分娩中の死亡と、分娩後の子殺しが無改
善群のみで観察された。
【総括】ラットは妊娠の極めて初期からDMIを増加させ妊娠後半
のエネルギー不足に備えている可能性、ならびに、周産期のトラ
ブル防止に対する妊娠後半での良質飼料の重要性が示唆された。
○原田健弘1、南保泰雄2,3、渡辺 元1,3、田谷一善1,3(1農工
大 農・獣医生理、2JRA 日高育成牧場、3岐阜大院連獣)
○琴寄泰光1、横尾直也2、伊藤克己3、木村慶純4、村瀬晴崇5、
南保泰雄5(1JRA総研、2NOSAI日高、3日高軽種馬農協、4日
本軽種馬協会、5JRA 日高)
【目的】サラブレッド種の妊娠期間中における7種類の生殖関連ホ
ルモンの血中濃度を測定することにより、妊娠時の内分泌学的変
化を明らかにする。
【方法】2004年から2006年に、北海道日高地区で飼養されていた
サラブレッド種の雌ウマ12頭を用いた。最終交配日を妊娠0週と
し、妊娠期間中に1週間おきに頚静脈から採血した。プロラクチ
ン(PRL)
、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、
インヒビン(INH)、エストラジオール(E2)、テストステロン(T)、
プロジェステロン(P4)を測定した。
【結果と考察】PRLは、妊娠46週までは妊娠とは無関係に日照時
間の長い時期に高い値を示したが、妊娠47週から分娩まで急激な
上昇を示した。LHは、妊娠7週から上昇し、11週にピークに達した後、
急激に低下し、33週には基底値まで低下した。このLHのピークは
ウマ絨毛性性腺刺激ホルモンと推定された。FSHは、6週から25週
に高値を示し、その後は低値で経過した。INHは、妊娠中は低値
を示し、分娩後に上昇が認められた。E2は、妊娠13週から上昇し、
36週まで高い値を示した後、分娩まで漸減した。Tは、妊娠1週か
ら上昇し、7週にピークに達した後、45週まで緩やかな減少を示し、
46週から再び上昇して、分娩後には急激に低下した。P4は、8週か
ら15週まで高い値を維持した後、25週から約5ng/mlを維持し、45
週から再び上昇して、分娩後には急激に低下した。
本研究の結果は、日本産のサラブレッド種の全妊娠期間にお
ける7種類の生殖関連ホルモンの分泌変化を明らかにしたものであ
り、妊娠期の内分泌検査の標準値になりうるものと推察された。
【目的】雌ウマの発情検査や妊娠鑑定には二次元超音波画像診断(2
Dエコー)が広く利用されている。一方、ヒト産科領域では、三次
元超音波画像診断(3Dエコー)による胎児観察が普及しており、胎
児の表面構造や奇形の有無を診断する方法として確立されつつあ
るが、ウマ胎子の3Dエコーに関する研究は報告されていない。そ
こで本研究では妊娠前半期にある雌ウマに対し3Dエコーによる胎
子の形態学的観察を行い、その有用性を検討した。
【方法】妊娠35-180日にあるサラブレッド種雌ウマ17頭を用いた。
超音波診断装置(α10、ALOKA)に経腹壁型3Dプローブ(AUS-1010)
を接続し、直腸壁を介した検査法を検討した。2Dエコーにより胎
子を描出した後、3D画像を描出した。胎子の頭部、四肢、生殖
突起などの表面構造の胎齢に伴う形態変化や胎動の観察を行った。
内部構造については胃内腔を立体描出し、その容積を計測した。
【結果】1)3Dエコーで胎子全体像が観察されたのは胎齢46-100
日前後であった。その後は、胎子の成長、描出深度、胎位、胎向
の影響により、頭部、四肢、臍帯等の部分的観察のみ可能であった。
2)胎齢63-76日で生殖突起が、胎齢90-150日では外部生殖器が
描出された。3)胎齢70日以降に胃特有の形態が描出され、胎齢に
伴いその容積は増加した。4)立体動画描出により観察が容易とな
り、胎齢58日以降胎向を変える動きが継続的に認められた。
【総括】本研究では、直腸を介した経腹壁型プローブによる3Dエ
コーによりウマ胎子を鮮明に描出することに成功した。これによ
り、2Dエコーで困難だった各胎齢における形態学的特徴の観察に
3Dエコーが有用であることが示唆された。今後は、奇形や流産等
との関連を検討する予定である。
G-35
G-36
○今枝紀明1,3、高島 諭2、大場恵典3、田口和夫1、加藤 勉1、
2
3
岐阜大院連獣、
岐
安藤麻子4、北川 均3(1岐阜県畜産研究所、
阜大 応生・獣医内科、4東海大学 医学部)
○高須正規1、平松那々1、戸崎晃明2、栫 裕永2、中川 剛3、
村瀬哲磨1、長谷川晃久4、向山明孝5(1岐阜大 獣医臨床繁
殖学、2競走馬理化学研究所、3木曽馬保存会、4JRA総研、5日
獣大)
C寄生虫
DB
微生物(細菌)
DI
微生物
(免疫)
DV
微生物
(ウイルス)
E家 禽
F公衛生
G繁 殖
HL
臨床
(産業動物)
HS
臨床
(小動物)I生理・化
J薬・毒
K実動医
【はじめに】木曽馬は,中部山岳地帯において飼育されてきた在
来馬の1つである.現在,木曽馬の飼育頭数は149であり,絶滅が
危惧されている.希少動物の保護管理において,その遺伝学的特
徴を把握することは重要である.そこで,今回,木曽馬の遺伝学
的特徴を把握することを目的とし,マイクロサテライト座位の多
型を明らかにした.【材料と方法】木曽馬125頭から血液を採取し,
DNAを抽出した.31個のマイクロサテライト座位をPCRで増幅し,
それらを型別した.総アリル数,各マイクロサテライト座位あた
りのアリル数,ヘテロ接合度の観察値および期待値,有効集団サ
イズ,多型情報含有値,父権否定率を算出した.また,集団にお
けるボトルネックの有無を検証した.さらに,個体間のアリル共
有率を算出し,近隣接合法により系統樹を作成した.【結果】 総
アリル数は196,マイクロサテライト座位あたりのアリル数は平均
6.3であった.へテロ接合度の観察値は平均0.676,期待値は平均0.664
であった.木曽馬の遺伝的多様性は各国の希少在来馬種と同程度
であることが明らかになった.また,木曽馬が遺伝的ボトルネッ
クを経験したことが示された.木曽馬の有効集団サイズは28.2と
小さかった.多型情報含有値は平均0.621であった.父権否定率は
0.999971と高かった.さらに,近隣結合系統樹から,木曽馬は5つ
の分集団に分けられた.【結論】木曽馬の遺伝学的情報の一部が明
らかになった.今後,ミトコンドリアや表現型等の遺伝学的特徴
を明らかにし,保護管理に活用していく必要があると考えられた.
B病 理
【目的】我々はブタ組織適合性抗原複合体(SLA)ハプロタイプ
がHp-27.30とHp-60.13の2種類に固定された近交系デュロックブタ
を開発維持している。これら近交系の免疫生物学的特徴等につい
て第146回本学会において報告した。今回は、世代の経過とSLAハ
プロタイプの違いが産肉能力と死亡率に及ぼす影響について調査
した。
【方法】調査は、平成13年から平成21年の9年間に生産され
たSLAハプロタイプの明らかな421頭を用いて実施した。調査項目
は、産肉能力として、105 kg到達日齢、体重30から105 kgまでの
一日平均増体重(DG)
、体重105 kg到達時の体長1/2部位の背脂肪
厚(BF)
、および体重105 kg到達時の体長1/2部位のロース断面積
(EM)と生時から体重105 kg到達時までの間の死亡率とした。【結
果】産肉能力および死亡率とも世代の経過に伴う変化は認められ
なかった。ハプロタイプの違いは、105 kg到達日齢、DGおよび
BFに影響を与えなかったが、EMはHp-27.30ホモがHp-60.13ホモや
Hp-27.30/60.13ヘテロより有意(P<0.01)に小さかった。圧死等
の事故死の多い1週齢までの死亡率は、Hp-25.70ホモとHp-60.13ホ
モとの間に差はなかったが、1週齢以降の死亡率はHp-25.70ホモが
Hp-27.30/60.13ヘテロやHp-60.13ホモより有意(P<0.01)に高かっ
た。
【総括】SLAハプロタイプ固定近交系デュロックブタでは、ハ
プロタイプの違いによりEMと死亡率が異なっていた。これらの差
異についての詳細は不明であるが、SLAハプロタイプが産肉成績
あるいは死亡率に関与することは、SLAハプロタイプが育種マー
カーとして使用できることを示唆する。
マイクロサテライト座位の多型に基づいた木曽馬の遺
伝的多様性
A解 剖
ブタ組織適合性抗原複合体ハプロタイプはブタの産肉
能力や死亡率に影響を与えるか
ウマ胎子における3D超音波画像診断の検討
G繁 殖
G-34
サラブレッド種における妊娠時の内分泌学的変化
特別企画
G-33