26P-pm091 未病に適用する医療資源の開発-中国・日本における伝統生薬の薬理活性の検証- ◯宮村 充彦 1 , 野町 由衣 2 , 孫 広臣 2 , 横田 淳子 1 , 常風 興平 1,2 , 宅間 大祐 1,2 , 濱田 篤秀 1 , 小野川 雅英 1,2 , 吉岡 三郎 1 , 京谷 庄二郎 1 , 張 宇 3 , 西岡 豊 1,2 2 3 ( 1 高知大病院薬, 高知大院医, 佳木斯大学薬) 【目的】高齢化社会の到来に伴い未病に対する医療は極めて重要である。未病に 適用する医療資源の探索を目的に、高知大学は中国佳木斯大学と合同で、抗酸化 活性を指標とした薬理活性の検証等の研究体制を確立し、数種の有用な医療資源 を見出している。今回、有用性が期待される医療資源の一例として、中国東北部 で各種炎症性疾患に繁用される山査子(Crataegus pinnatifida Bge.)及び補剤で ある南蛮毛(Zea mays L.)について、病態モデル動物への投与実験により検討を行 った。 【方法】山査子及び南蛮毛は佳木斯大学より恵与された。各生薬及び合剤を 水及びエタノールの配合比率を変えた溶媒で抽出、各種エキスを作成し、抗酸化 活性を指標として抽出溶媒の最適化を行った。病態モデルは、LPS 惹起炎症モデル を用い、Wistar 系雄性ラットに LPS を腹腔内投与し、作成した。モデル動物を、 対照群、山査子投与群及び山査子・南蛮毛合剤投与群に分け、各種抽出エキスを LPS 投与前 1 週間投与した。対照群には水道水を投与した。LPS 投与 24 時間後に ラットを屠殺し、血液を採取した。薬理活性の評価は、血漿中 NO 量、SOD 活性値 及び生化学検査値を指標として行った。【結果・考察】LPS 惹起炎症モデルラット の血漿中 NO 量及び SOD 活性値は、山査子及び山査子・南蛮毛合剤投与群において、 対照群に比べ低値を示した。また、血漿中 ALT 及び AST 量は、山査子及び山査子・ 南蛮毛合剤投与群において、対照群に比べ低値を示した。一方、いずれの指標値 も、山査子投与群と山査子・南蛮毛合剤投与群間に差は認められなかった。これ らのことより、補剤としての南蛮毛の有用性は認められなかったが、山査子は抗 酸化活性を示し、未病に適用する医療資源として有用と推察される。今後、さら に有用な医療資源を探索し、製剤化、臨床試験等の検討を行いたい。
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