菅 政 権 へ の建 自書 一 国益 の旗 を堂 々と掲 げ、戦 略 的外 交 へ 舵 を切 れ ! 民主 党衆 参 国会議 員 有 志 平成 22年 9月 27日 1.は じめに 沖縄県尖閣諸 島沖 で起 こった 中国漁船衝突事案 をめ ぐる今回の結末は、日清戦争後の 三 国干渉 に匹敵する国難である。日本国の政治家、いや、日本国民として、まさに痛恨の極み である。しか し、同時に、す べ ての責 めを現政権 にのみ帰す ることもできない と考 える。 す なわち、台頭す る中国へ の戦略的な対応 を怠 り、我 が 国領 土へ の理不尽 な挑戦 を拒否 す る断 固 た る姿勢 を欠 い た これ まで の 日本政治そ の ものが招 い た危機 であ った とい わ ざるを得 ない。 したがって 、私たちは単なる現政権批判 には与しない。もちろん、国民 の 間に 「弱腰」 「屈従」とい う非難 が巻 き起 こつてい る こ とも認識 してい る。同時 に、そ の苦渋 の決 断 に至 るまでには、政府 でなけれ ば知 り得 ない判断材料 があった ことも想像 に難 くない。 に もかかわ らず 、今回政府が危機回避 を企図して行つた一連の措置は、少なくとも三つの意 味で将来に禍根を残すものであつたとの深 71jな 憂慮を禁じ得ない。 2.事 案解決 における三つの憂慮 第 一 に、あ くまで も法 と証拠 に基 づい て粛 々 と法執行 を貫徹す べ き検察 が 、「今後 の 日中関係 」とい う高度 な政治判断 を行 うな どとい うことは、本来 あ つて はな らない こと である。従 って、政治的な意思決定な しに行 政機 関た る検察が独断で判断 した と信 じて い る国民 は殆 どお らず、総理 は じめ閣僚 が 「検察 の判断」 と繰 り返す ことは却 って責任 転嫁 との批判 を免れ ない。 このように中国からの圧力 によつて国内法秩序が歪められてしま つたことは、今後、類似 の事案における法執行に悪影響を与えるおそれがある。 第 二に、今 回 の よ うな事案 の解決 には、短期的な危機 回避 とともに、中長期的な東 シ ナ海 の海洋秩序 づ く りとい う視点 が必要であ つたが 、そ の点で も政府 の意識 は希薄であ つた とい わ ざるを得 ない。不透明な決着は、結果として、日本 の尖閣領有という歴 史的事実 を真 つ向から否定する中国政府の主張を明確に拒否できなかつたと取られかねない。延 いて は 、将来的な域 内秩序 の形成 における我が 国 の役割 に暗 い影 を落 とす ことに な った。 と くに、近年南 シナ海 で 中国 の圧迫 を受 けてきたASEAN諸 国 は、今 回 の 日本 の対応 を 注視 していたであろ うか ら、 この結末 に大 い なる失望 を抱 い て い るに違 い ない。 第 二 に、この 2週 間余 りの海外 メデ ィアによる報道 ぶ りを振 り返 つた とき、とくに国 際世論 に対 し、我 が 国 の領有権 主張 と国内法秩序 をめ ぐる一連 の措置 の正 当性 を理解 し ・ディプロマシーの努力 て もら うべ きであ つたが 、確 かな支持 を獲得す るためのパブリック が決定的に欠如していたことは甚だ遺憾である。 今後の課題 今 回 の結末 は、我 が 国 の国力 の実態 と対 中戦略 の欠落 とい う現状 を鋭 く反映 して い る。 長年 にわた り、尖閣諸島に対す る不十 分な実効支配 を放 置 し、レアアー ス等戦略資源 の 供給や市場 を中国に過度 に依存 し続 け、「戦略的互 恵関係」 とい う抽象的な ス ロー ガ ン に胡 坐 をか いて 、増大する中国の経済力や影響力に対し長期的な視点で具体 的な関与戦略 を構築して来なかつたツケを… 気 に支払わされたと解さざるを得ない。 3。
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