藤枝市立総合病院市民公開講座乳癌だったらーーーその1 乳癌だったらどうしよう（本当に乳癌かしら）診断はどうしよう（本当だったらどうすればいいの）治療は死んでしまうのでは再発、予後は良かったのに？？？外科金丸仁 2008,4,18（金）藤枝市立総合病院講堂乳癌は防げるの予防は患者さんの訴え診断胸（むね）が痛い胸（むね）にしこりがある乳首から汁が出るわきの下にしこりがある乳癌だったらどうしよう診察室での会話どうされましたか胸が痛いんです失恋でもしましたか英語では乳房痛冗談です、お乳が痛いということですかｂｒｅａｓｔ(乳房），ｃｈｅｓｔ(胸）何年も前からしこりがありました乳癌の9割以上は無痛痛むのはほとんどの場合乳腺症痛みだけで腫瘤がない場合まず癌ではないしこりがあって痛い場合普通は癌ではない痛かったら癌じゃないよ(例外もあります） 1 乳腺のしこり触診診断痛くもかゆくもなかったから大丈夫と思っていた良性悪性形丸い不整形硬さ弾力性硬い境界明瞭不明瞭動き良い悪い良性の要素を持った癌もたくさんある見ただけでしこりがわかる乳癌男性乳癌男性乳癌最近の乳癌触ってみなければわからないものがほとんど触ってみればわかる自己検診のすすめ 2 乳頭分泌(お乳から汁が出ます）血液が出る片方の乳首でしかも特定の乳管から出る乳癌のことがある両方の乳首でしかもいろいろな乳管から血液ではない汁が出る心配なしマンモグラフィー画像診断マンモグラフィーエコーＭＲＩＣＴ来月の公開講座で詳しく放射線科五十嵐先生ＭＲＩ MRI エコー US マンモグラフィーＭＲＩ MRI エコー US 3 病理診断細胞診の器具細胞診組織診ＣＮＢ針生検マンモトーム切除 scirrhous Ca 病理検査細胞診 MRI US 細胞診組織診組織診乳がんの組織 papi-tubu Ca MRI 細胞診 US 組織診 4 治療手術抗がん剤放射線ホルモン療法分子標的治療その他手術定型的乳房切除術非定型的乳房切除術単純乳房切除術 * （乳房再建術）乳房温存術扇状部分切除円状部分切除切除部分が縮小してきても生存率は変わらない美容への配慮定型的乳房切除術非定型的乳房切除術乳房温存術乳房温存術 5 乳房温存術乳房再建術（腹直筋皮弁）乳房再建術（腹直筋皮弁）乳房再建術(広背筋皮弁）センチネルリンパ節癌がリンパ節に転移するとき最初にたどり着くリンパ節これを探し出す方法が発見されたどんな意義があるのセンチネルリンパ節に転移がなければ、ほかにも転移がない無駄なリンパ節郭清を行わなくてすむ 6 抗がん剤抗がん剤の副作用アンスラサイクリン系薬剤アドリアマイシン、エピルビシンＡＣ，ＣＡＦ，ＥＣ，ＦＥＣタキサン系薬剤ドセタキセル、パクリタキセルピノレルビンカペシタビンＴＳ-1 吐き気、嘔吐骨髄抑制(白血球、好中球減少）脱毛その他手足のしびれ、むくみ、口内炎、爪の異常、味覚の障害、下痢、便秘、倦怠感メソトレキサートそれぞれに対処方法がありますＣＭＦホルモン治療ホルモン治療剤がん細胞がホルモン受容体を持っているかどうか抗エストロゲン剤ホルモン受容体あり-----ホルモン(エストロゲン）によって育つ癌アロマターゼ阻害剤ｱﾘﾐﾃﾞｯｸｽ､ﾌｪﾏｰﾗ､ｱﾛﾏｼﾝ黄体ホルモン製剤ＭＰＡ LH-RHｱｺﾞﾆｽﾄﾘｭｰﾌﾟﾘﾝ､ｿﾞﾗﾃﾞｯｸｽ卵巣摘除ホルモン治療剤は乳癌に女性ホルモン(エストロゲン）が働くのを阻止する副作用ノルバデックス（タスオミン）、フェアストン更年期障害のような症状血栓症、骨粗鬆症など放射線治療乳房温存療法の後、乳房への照射リンパ節への照射骨転移などの再発に対して分子標的療法ハーセプチンがん細胞中のＨＥＲ2タンパクＨＥＲ2陽性＝がん細胞の手がたくさんある＝えさをたくさん取り込む =癌の増殖のスピードが速いハーセプチンは手錠がん細胞だけに利く 7 治療法選択の考え方補助療法なし生存曲線生存率の比較補助療法ありＥＢＭ（ＥｖｉｄｅｎｓＢａｓｅｄＭｅｄｉｃｉｎｅ）臨床試験ある治療を加えたグループと加えないグループで、生存率を比較する生存率に差があればその治療はお勧め患者を実験台にするのか！考え方次第乳癌だったら--死んでしまう？再発(転移）再発の診断再発乳房内再発胸部レントゲン腹部エコー骨シンチＣＴＰＥＴ遠隔転移（肺、肝臓、骨、遠隔リンパ節など）転移したらなおるのはむずかしい肺転移肝転移骨転移全体全体 } } 年に2~3回必要に応じて (症状があれば）ほとんど必要なしできるだけ何回も検査してほしい早く見つければ治るという誤解 8 再発の治療緩和ケア乳房内再発の場合のみ外科治療(手術）がんを治すことはできなくても症状を和らげ、人間らしく生きるお手伝いをする転移の場合は薬物治療がんの進行を遅らせ、症状を出させない痛み苦痛（痛み）の除去身体的痛み精神的痛み社会的痛み最終的には治らないことが多い霊的痛み緩和ケアの必要性昨年9月に吉野吾朗先生が講演しました納得の死癌が治るか治らないかは運命医師の腕より、癌の性質や進み具合による治らなくなったときこそ医者(医療者）が必要 8年前に書いた本「乳癌」(角川書店）をお読みください乳癌だったら乳癌を防ぐことはできるの良かった？？？一次予防脂肪摂取量と乳癌の関係今まで気に留めなかったことにも感動患者同士のつながりすみれもんの会二次予防乳癌検診 9 乳癌検診触診マンモグラフィーエコー当院の図書室にあります自己検診の勧め当院の乳癌担当スタッフ ⇒ 外科医金丸横山高津その他外科病棟、外来看護師病棟担当薬剤師岡部放射線科医(診断）五十嵐関寺内マンモグラフィー、超音波技師放射線科医(治療）小杉放射線治療室技師手術室スタッフ病理医甲田病理検査技師緩和ケア医吉野緩和ケア認定看護師佐々木化学療法科医村田外来化学療法センターがん治療認定看護師萩原薬剤師 10 乳癌と関係ありませんが最後に医師として言いたいこと荒川沖駅で8人が刺され１人が死亡した事件悪いのは犯人であり、病気であるこれにうまく対応できない場合、警官は逮捕されず、医師は逮捕される犯人は２０台の若い男老人を殺して指名手配されていた次の犯行の予告があった警察の不手際非難を受けた福島の産婦人科医師帝王切開のときの出血が多く妊婦が死亡ほかへ送るべきだったのにそうしなかった医師の不手際医療事故は刑事事件とすべきではない危ないことには誰も手を出さなくなる救急のたらいまわし医師不足の原因のひとつノブレス・オブリージュ逮捕、起訴されたご清聴ありがとうございました 11