0−67 診断に苦慮した肺類基底細胞癌(bas&loid cardnoma)の1例 0

172
日本臨床網胞学会雑誌
0−67
診断に苦慮した肺類基底細胞癌(bas&loid
0−68
cardnoma)の1例
肺門部に発生したCast}em段nリンパ腫の
1例
帝蒙大学病院病理部工),帝京大学医療技術学部臨床検査
千葉大学医学部附属病院病理部1),千葉大学大学院医学
学科2)
研究院胸部外科学2)
○小島
赤嶺
貴(CT)1),富田佳奈(CT)1),鈴木亮子(CT)1),
亮(CT)1),河野純一(CT)1),石井美樹子(CT)圭〉,
島田智子(CT)2),田中文彦(MD)21
術萬に組織型推定が困難であった肺類基底細胞癌(basa−
10id
carcinoma)を経験したので報告する.
O板倉朋恵(CT)1),堀内文男(CT)1〉,谷澤
徹(MD)1),
中谷行雄(MD)1),中島崇裕(MD〉2),安福和弘(MD)2},
渋谷
潔(MD)21,藤澤武彦(MD)2)
【はじめに)Castlemanらにより報告されたリンパ節の良
性増殖性疾患である.その組織像は特徴的所見を示し,
【症例】70歳男性.咳・疹…が続き精査したところ,胸部
hyalin−vascular
CTにて異常陰影指摘.気管支鏡で易出血性の粘膜不整
に大きく分けられているが,その中間像も存在すると言
を認め,生検および気管支ブラシ擦過,肺胞洗浄液細胞
われている.今圓我々は穿刺吸引細胞診で,}{yalin物質
診を施行.組織診,細胞診ともに異型細胞が確認された
を確認したCastlemantumorを経験したのでその細胞像
ため,右肺下葉切除術が施行された.
を供覧する.
type(HV型)と,plasma
cell
type(PC型〉
【細胞診所見】壊死性背景に,N/C比が非常に高く裸核
【症例】16歳女性
状,核小体のやや目立つ異型細胞が,集塊形成または散
検診にて胸部異常陰影を指摘され,当院呼吸器内科を紹
在性に多数出現していた.核はhyperchromaticで一部挫
介され受診.現症状:自覚症状は認めない.既往歴、:気
滅像を伴いne犠roen60crine
管支喘息
originを疑わせる一方,核縁
の脆弱性に欠け,閲質成分を伴った乳頭状集塊も見られ
15.2U
主訴:胸部異常陰影
現病歴:学校
検査成績:IgG2032mg/dl,TTT5.5U,ZTT
腫瘍マーカー:NSE11.5ng/ml.
腺癌の可能性も否定できなかった、
【細胞所見】穿刺標本では小型成熟リンパ球が主体で,
【組織診所見】N/C比が高く,類円または楕円形の核を
一部に少数の幼若リンパ球も散見された.またごく少数
有する異型細胞が胞巣状に増殖していた.胞巣は血管増
の形質細胞,好中球も患現し,全体に異型性は確認でき
生を伴った線維東で仕切られており,内部にも血管や壊
なかった.背景には少数ではあるが,パパニコロウ染色
死を伴っていた.辺縁の細胞は核が柵状に配列する
にてライトグリーンを示す無構造物質が観察された.
pallsadlng構造を示しており,類基底細胞癌と診断され
【病理所見】濾胞内と濾胞間には著明な血管増生を認め,
た.免疫染色では34βE12が一部陽性,TTF−1陰性を
リンパ球の岡心円状配列も認められ,濾胞調囲には硝子
示した.
化も観察され,hyalln−vascular
【まとめ】肺原発の類基底細胞瘍は稀であり,本学会でも
1結語】細胞景の少ない細胞診検体からCastleman
小細胞癌や大細胞神経内分泌癌,および腺癌との鑑甥が
を確定診断することは困難であるが,上記臨床像と,こ
間題となっている.今圓の症例も組織型推定に苦慮した
れら細胞所見を念頭に置き観察すれば,ある程度の推測
が,核クロマチンパターンや細胞の結合形態に違いが見
は可能であると思われた.
られた.裸核状でhyperchromatic,核が引き伸ばされた
り挫滅した細胞が巨!立つ点が腺癌との鑑別に,微細穎粒
状クロマチンが充満し不規則な凝集が見られ,核縁の肥
厚があり,間質成分を伴う乳頭状集塊が出現している点
が小細胞癌・大細胞神経内分泌癌との鑑別に有用と考え
られる.
typeと診断された.
tumor