第 2回「価値観国際比較調査」

グローバリゼーションがすすむ中で
自信を喪失する日本人・ドイツ人
未来を確信するアメリカ人・イギリス人
― 芽生える改革への意欲 ―
【第2回「価値観国際比較調査」から】
1998年7月
株式会社
電通総研
第2回「価値観国際比較調査」について
「価値観国際比較調査」は、人々の価値観変化を、日本、日本以外のアジア各国
及び欧米を相互に比較分析することに主眼を置いて設計し、それぞれの国の人々の
価値観の傾向を、主要な都市の生活者を調査対象とすることで把握するものである。
97年度の第2回調査では、東京及び欧米の6都市で実施した。調査の概要は下
記の通りである。
なお、解説文中では便宜上、すべて国名で表記している。
<第2回調査の概要>
国名
調査地域
日本
東京
(首都圏)
アメリカ
イギリス
フランス
ドイツ
スウェーデン
ニューヨーク ロサンゼルス
ロンドン
パリ
ベルリン
ストックホルム
調査対象者
18歳∼69歳の男女個人
住民票
からの
調査方法
2段抽出
による
訪問留置法
消費者パネル
からの
無作為抽出法
による
郵送調査
消費者
パネル
からの
無作為
抽出法
による
郵送調査
無作為
抽出法
による
訪問面接法
電話
スクリー
ニング
による
郵送調査
郵送調査
回収標本数
1,020
300
300
285
312
304
280
調査時期
1998.3
1998.3
1998.3
1998.3
1998.3
1998.3
1998.3
なお、本報告書では、
アジア諸国との比較のため、第1回調査結果を併記している
部分がある。第1回調査の調査概要は、下記の通りである。
<第1回調査の概要>
国名
日本
中国
タイ
シンガポール
インドネシア
インド
調査地域
東京
北京
バンコク
シンガポール
ジャカルタ
ボンベイ
321
311
調査対象者
18歳∼69歳の男女個人
回収標本数
1,000
300
調査時期
1996.11
1996.12∼
1997.1
307
301
1996.11
※この調査は株式会社電通の依託により実施されたものである。
調査結果の概要
<激変を反映する価値観調査>
<日本人のレジャー志向は世界の先端、男女意識では最も保守的>
グローバルな経済競争が「開かれた自由な市場」の下で繰り広げられている。
アメリ
カは長期の好況を維持する反面、日本やアジアは金融システムの動揺による経済危機
を迎え、
ヨーロッパ各国はEUによる結束で事態に対処しようとしている。
今回の調査には、
そうした状況がはっきり反映されている。
生活意識や社会意識の側面では先進国の間で価値観の共通化が進んでいる。
「時間をかけたいこと」
としては
「趣味・レジャー」
、
「家族とともに」が各国とも上位を占
める。
とくに「趣味・レジャー志向」で日本人はアジア人の中で突出するだけでなく、欧米
人を凌ぐまでになっている。仕事ではまじめでも、時間は遊びに使いたい、のが現代の
日本人と言えそうだ。
「男女の役割」に関しては
「自由に決めるべき」がアジアも含め世界共有意識となっ
ており、日本も急速にその方向へ向かいつつある。
しかし、現状では世界で最も保守
的な国と言えそうだ。
<未来を楽観するアメリカ人・イギリス人、経済にすら自信を失う日本
人>
未来への期待と自国への自信にあふれるアメリカ人、
イギリス人に対し、
とりわけ悲
観的な日本人とドイツ人の姿が明らかになった。アメリカ人は自国の軍事力、政治力、
経済力全てに自信を持ち、21世紀こそアメリカの時代と考えるのに対して、
日本人は今
や、
その経済力にも自信を失いつつある。
<「平等より自由競争社会」で突出するアメリカ人・イギリス人>
こうした楽観と悲観の背景には、各々の経済システムを支える社会観、企業観の差
があると思われる。
「平等社会」を目指すか、
「自由競争社会」か、の設問に世界の殆
どの国では多数派が「平等社会」であるのに対して、
アメリカ人、
イギリス人だけが6割
を超える支持を
「自由競争」に与えている。市場原理に基づく自由競争を掲げる
「グロ
ーバル・スタンダード」
とは、
「アングロ
・サクソン・スタンダード」
である、
という側面が価値観
からもはっきりうかがえる。
企業の役割でもアメリカ人、
イギリス人は「株主の配当」を相対的に重視するのに、
日本人は
「利潤の追求」
さえ二の次という特色がある。
<環境保護意識は世界の常識>
環境を守るためには、負担増も不便も規制も受け入れる、規制は各国バラバラでは
なく世界統一で、
というのが今や先進国の共有意識となっている。
この共有意識を実
体化することが国際政治の課題であろう。
<見えてこない社会像と、余りにあいまいな日本人>
日本は抜本的な改革を迫られている、と言われるが目標とすべき社会像への合意
は、
と言うと、今のところ全く見えてこない。
「平等か、競争か」
「官主導か、民主導か」
「規制緩和か、規制続行か」の設問に対して、半数近くが「どちらとも言えない」
とあい
まいに答え、残りの約半数ずつに意見が分かれる。
選択を迫られているという危機感がないのか、優柔不断か。いずれにしろ、
このあい
まいさを背景にしていたのでは明確な政策とビジョンを掲げての政治は成立しづらい。
<情報化とグローバリゼーションに意識面でも乗り遅れる日本人>
<日本の政治不信、政党不信はK点越え>
日本人の自信喪失の背景には、変革の駆動力ともなっている情報革命とグローバリゼ
ーションの動きに、実態としても意識においても乗り遅れてしまったことがあげられそうだ。
インターネットやパソコン通信の利用では、
アメリカだけでなくドイツを除くヨーロッパ各
国にも後塵を拝している。情報革命が社会にもたらすメリットへの期待も低く、情報処理
能力への自信度も低い。国際化の受け入れでは、英語という事実上の世界共通語を
母国語とするアメリカ人、
イギリス人以上に外国語が苦手であり、海外情報への関心も
薄く、外国人とのつきあいでも、
いざ結婚となると強い抵抗感を示している。
しかし世界の日本と日本人を見る目は必ずしも冷たくない。密接な関係を築くべき国と
して高い順位に「日本」はあげられており、日本人への好感度も高い。
「ジャパン
・バッシ
ング」
や「ジャパン・パッシング」
は、一般人のレベルでは今はまだ広まっていないようだ。
「政治は国民の考えを反映していない」
の答えは、日本では「全く」
と
「ほとんど」
を合
わせると77.1%、世界一の不信率である。
(ここでもドイツは71.7%と日本に近い)
「支持
政党なし」は3人に2人。政党離れは先進国の共通現象とは言え、
「支持政党なし」
が過半数を超える国はなく、政党政治の危機とも言える。
<日本人はまじめで努力家、の特色は変わっていない>
「目標に向かって努力する」
ことこそ重要とする日本人は、他国を大きくリードしてい
る。
「仕事にまじめに取り組む」でも9割を超え、
ドイツやスウェーデンを押さえてトップに
立つ。こうしたまじめさは「実情に合わなくても規則を守る」
の項目でドイツ人に次いで高
い回答率であることにも反映している。
ソフト化の時代のにあっては、
これらは古臭い硬直した価値観である、
という批判もあ
るだろうが、信義を守り、
まじめに努力する価値観は日本人やドイツ人の守り続けるべき
美徳でもあろう。
<芽生える日本改革への意欲>
それでは日本は全く停滞し、自信を失ったままでいるのかと言うと、次なる改革へ向
けての覚悟や意欲が芽生え、拡がってもいるようだ。
日本型経営の象徴とも言える
「年功序列賃金」や「終身雇用制度」離れは、意識面
では明確に進んでいる。企業の情報開示にも前向きな姿勢が現れている。職場では
「創造性」がもっと評価されるべきだとし、子供には専門的能力を身につけることを求め
ている。
このように勤労観を中心に世界標準に適合し、新しい時代に立ち向かおうとす
る意欲が、日本人の間に現れ始めている。また、乗り遅れたとも思われる情報化・国際
化においても10代、20代の若者は、
より積極的な姿勢を示している。
CONTENTS
1. 明暗が分かれる未来への展望と自国への評価
1
期待と自信にあふれる英米人、先行きへの自信揺らぐ日本人・
ドイツ人
1
「21世紀こそアメリカの世紀」
と考えるアメリカ人
2
「軍事・経済・政治」全てに自信を持つアメリカ人、
「経済」への自信さえも失いつつある日本人
3
2. 差異の見られる社会像・企業像
4
「平等より自由競争」で突出するアメリカ人・イギリス人
4
「株主への配当」
を重視するアメリカ人・イギリス人、企業の利潤追求は二の次の日本人
5
3. 情報ネットワーク化に後れをとる日本人
6
パソコン通信・インターネット利用での出遅れも目立つ日本人
6
携帯電話の利用は日本国内で急速に普及
7
情報化への期待低い日本人
8
「情報・コミュニケーション能力」への自信度も低い日本人
9
4. 国際化への道遠い日本人
10
海外情報への関心希薄な日本人
10
ほとんど外国語を話せない日本人
11
「近所にいる」のはいいが
「結婚」には抵抗感
5. グローバリゼーションの中で、高い日本への期待
「密接な関係」
を求められている日本
12
14
14
高い対日好感度
15
6. 勤労観に特色の見られる日本人の価値観
16
「目標に向って努力する」日本人
16
「闘争心」の重視度が低く、
ライフスタイルの「格差」
も小さい日本人
17
「まじめにコツコツ」
「規則遵守」は日本人・
ドイツ人の共通性
18
7. 生活・社会意識の世界共有化が進む
20
これからは仕事よりもレジャー −欧米水準を超えた日本−
20
「社会福祉は内容を見直し、負担は現状維持」が共通認識に
21
「男女の役割は自由に」の方向は共通、
もっとも保守的な日本人
22
8. 共有される環境保護の意識
23
環境を守るためには負担や不便や規制も受け入れる
23
環境への規制は世界が一致して受け入れるべき
24
9. 見えてこない社会像と、余りにあいまいな日本人。そして政治への不信
25
「平等」か「自由競争」かでは
「平等」が優勢だが、
「どちらともいえない」
が42%に達する
25
「官主導」か「民主導」かでも、
「どちらともいえない」
が過半数を超える
25
「規制緩和」の大合唱にも関わらず、態度の揺れる日本人
25
「政治は民意を反映していない」
が77.1%
26
「支持政党なし」67.6%で危機に瀕する政党政治
27
10.芽生える改革への意欲
28
過半数が「能力主義」賃金を受容
28
2割を切った「終身雇用」志向
29
企業の
「情報開示」には前向き
30
企業での「創造性」への評価は大転換
31
子どもには専門的能力を
32
11.若者ほどグローバリゼーションと情報化に積極的
33
若者ほど高い英会話能力、少ない外国人との結婚への抵抗感
33
若者ほど高いパソコン・インターネットヘの接触期待
34
1. 明暗が分かれる未来への展望と自国への評価
期待と自信にあふれる英米人、
先行きへの自信揺らぐ日本人・ドイツ人
【資料1 自国の将来について】
「21世紀こそアメリカの世紀」と考えるアメリカ人
アメリカの自信は相当強固なものと考えられる。なぜなら、
「アメリカの最もよかった時
アメリカと、
シティのビッグバンによって世界の金融センターとしての地位を回復した
イギリスは、自国の将来とリーダーシップに関して強い自信を示している。
一方、その将来に確たる自信を失っているのが、
ドイツと日本である。その背景には、
代、あるいは最もよい時代は?」
との問いに対して、
「21世紀以降」
と31.3%の人が答え
ているのである。これは、
アメリカの「絶頂期」と言われてきた「5 0年代」への回答率
21.3%を大きく上回った。
世界市場一体化の中で、いわゆる
「日本型経営・社会システム」
や「ドイツ型経営・社会
システム」では変化に対応できないのではないかという不安が横たわっているとみら
【資料2 アメリカの最もよかった/よい時代は
(アメリカ)
】
れる。
1
第2回「価値観国際比較調査」
DIHS
2
2. 差異の見られる社会像・企業像
「軍事・経済・政治」全てに自信を持つアメリカ人、
「経済」への自信さえも失いつつある日本人
「平等より自由競争」で突出するアメリカ人・イギリス人
このアメリカの自信はどこに起因するものであろうか。
「自国が優れている点」
をみる
と、
アメリカ人は自国の「軍事力」
「経済力」
「国際政治力」に対して高い評価を与えて
いる。冷戦の終結に伴う軍事面での圧倒的優位とそれを背景とする国際政治におけ
自信にあふれるアメリカとイギリスの人々が目指す社会像は「平等より自由競争」を
優先する社会である。資料4にみるように、
イギリスを除く大陸ヨーロッパの各国や日本
と比べ、対照的な数値を示している。
るリーダーシップ、情報化社会におけるデファクト・スタンダードの確立などによって、
これ
【資料4 目指すべき社会・国家像】
らの自信は裏付けられている。
一方、過半数の日本人が自信を持っているのは、
「治安」
と
「教育水準」のみである。
「経済力」は29.7%と、景気低迷と構造的将来不安からか、極めて低い数値を示し、
かつてみられた
「経済大国・日本」への自負はほとんど失われている。
ちなみに、
イギリス、
フランスは
「歴史・伝統」
「文化・芸術」への自信を保っている。
またドイツでは歴史的背景を持った
「社会のしくみ」への強い自信に加え、
「経済力」に
関しても、約3分の2の人々が、今なお高い評価を与えている。スウェーデンは経済の
停滞から、全体に低い評価だが、
「教育水準」
「社会のしくみ」
に対して、相対的に高い
評価が与えられ、特色を示している。
【資料3 自国が他国に比べて優れている点】
日本
(東京)
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
1
治安
71.4
軍事力・防衛力
80.2
歴史・伝統
87.7
2
教育水準
50.7
経済力
65.3
文化・芸術
54.0
3
歴史・伝統
45.7
国際政治力
53.8
自然・景観
46.0
国民性・資質
43.5
4
経済力
29.7
5
文化・芸術
28.9
自然・景観
国際的なリーダーシップ
46.8
6
国民性・資質
25.2
治安
44.0
7
自然・景観
21.4
国民性・資質
8
社会のしくみ
8.0
文化・芸術
9
国際政治力
2.4
10
軍事力・防衛力
11
国際的なリーダーシップ
治安
38.9
軍事力・防衛力
35.4
42.7
社会のしくみ
31.6
37.2
教育水準
26.0
歴史・伝統
33.7
国際政治力
18.9
1.4
社会のしくみ
29.3
経済力
16.8
1.0
教育水準
28.3
国際的なリーダーシップ 16.1
フランス
(パリ)
ドイツ
(ベルリン)
文化・芸術
90.1
社会のしくみ
70.1
自然・景観
75.0
2
歴史・伝統
82.4
経済力
65.5
教育水準
38.2
3
社会のしくみ
63.1
4
自然・景観
57.7
文化・芸術
歴史・伝統
59.5
5
教育水準
32.7
教育水準
6
軍事力・防衛力
28.5
7
国民性・資質
22.8
8
国際政治力
18.9
経済力
10.6
社会のしくみ
37.9
歴史・伝統
28.9
44.4
治安
28.2
国民性・資質
39.5
国民性・資質
23.6
自然・景観
37.8
文化・芸術
8.6
治安
24.0
経済力
8.2
5.4
国際政治力
21.1
国際政治力
10
治安
9.3
軍事力・防衛力
15.8
国際的なリーダーシップ
4.6
11
国際的なリーダーシップ
1.9
国際的なリーダーシップ
軍事力・防衛力
4.3
第2回「価値観国際比較調査」
(参考資料 1996年度実施 第1回「価値観国際比較調査」
より)
スウェーデン
(ストックホルム)
1
9
3
(%)
イギリス
(ロンドン)
8.9
DIHS
4
3. 情報ネットワーク化に後れをとる日本人
「株主への配当」を重視するアメリカ人・イギリス人、
企業の利潤追求は二の次の日本人
パソコン通信・インターネット利用での出遅れも目立つ日本人
また、
「企業の重要な役割」に関する質問についても、特徴ある回答が得られた。
「株主への配当」の重視では、
アメリカが突出し、次いで2位がイギリスとなった。日本
では14.3%と極めて低い。
金融や情報のグローバル・ネットワーク形成が急速に進展する中で、
その波に一歩乗
り遅れた感のある日本は、
やはり今回調査の結果からも、
パソコン通信やインターネット
の利用の面で欧米先進諸国の後塵を拝していることがうかがえた。
さらに、
「利潤の追求」
という基本的役割に関しては、各国とも高い数値を示したが、
【資料6 インターネットやパソコン通信の利用環境】
日本では41.8%と過半数を下回る唯一の国となった。
ここでは、日本における企業観の特異性が浮き彫りになった。
【資料5 企業の重要な役割】
の 提 良 従 給
い 業 料
向 供 商 員 上 に 、 福
品 の よ ・ る サ 満 利
国 ー 足 厚
民 ビ 実 生 生 ス 現 に よ 活 る 日本
(東京)
地
域
社
会 へ の 貢
献
経
済
成
長 へ の 貢
献
利
潤 の 追
求
技
術
進
歩 へ の 貢
献
雇
用 の 維
持 ・ 拡
大
従
業
員 の 自
己
実
現
価経
値営
観 者 の の 実理
現 念 や 芸
術 ・ 文
化
活
動
の 支
援
株
主 へ の 配
当
71.1
65.2
46.6
44.7
43.0
41.8
41.6
38.9
36.2
22.3
16.3
14.3
アメリカ
71.3
(N.Y.+L.A.)
65.8
43.3
65.0
66.3
67.5
50.5
61.8
64.2
28.0
26.0
47.5
イギリス
65.3
(ロンドン)
61.1
50.2
57.2
61.4
61.4
44.9
71.9
58.6
26.7
14.0
36.1
56.7
63.1
48.1
31.7
74.0
61.9
57.4
71.2
58.0
25.0
25.6
26.3
ドイツ
69.1
(ベルリン)
59.5
71.7
38.5
75.0
74.7
60.9
80.9
31.3
13.5
31.3
23.7
スウェーデン
56.8
(ストックホルム)
58.6
54.6
29.3
53.2
78.2
36.8
63.2
45.7
67.1
19.6
32.1
フランス
(パリ)
5
地
球
環
境 改
善
に 寄
与
(%)
第2回「価値観国際比較調査」
DIHS
6
携帯電話の利用は日本国内で急速に普及
情報化への期待低い日本人
一方、日本における携帯電話の普及については、急速なものがある。携帯電話も
ネットワーク
・システムであるが、現状ではドメスティックな利用が中心となっている。
情報通信技術の進展については、全体的に日本人の期待度が低いことがうかがえ
る。特に、
「ビジネスチャンスが増える」
「世界中の」
「最新の」
「大量の情報に接する」
な
どの点では、日本人の期待は現状では低い。とはいえ、
デジタル化が家庭でもオフィス
【資料7 情報機器の所有・加入・利用しているもの】
でも実現していく中で今後は理解も深まり期待も広がると考えられる。
(%)
携帯電話・
PHS
ファックス
衛星放送
受信機
パソコン通信・
インターネット
電子手帳・
PDA
CATV
日本
(東京)
64.1
37.0
30.9
15.8
12.6
07.5
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
35.8
21.8
04.3
36.0
07.3
71.5
イギリス
(ロンドン)
36.5
13.3
16.1
23.2
11.6
19.6
フランス
(パリ)
31.4
18.6
03.2
17.3
19.9
28.2
ドイツ
(ベルリン)
22.4
21.4
21.7
27.6
13.8
64.8
スウェーデン
(ストックホルム)
57.5
16.4
12.1
35.0
03.6
56.1
【資料8 情報通信技術が進展するメリット】
(%)
経
済 が 活
性
化
日本
(東京)
第2回「価値観国際比較調査」
科
学
技
術 が 発
展
仕
事 の 効
率
化
趣
味
活
動 が 充
実
人
間
関
係 が 親
密
化
機 人 増 ビ ジ や え 会 が 異 る ネ ス 増文
チ 加化
ャ 接
ン 触
ス の が 世
界
中 の 情
報 を 知 る
大
量 の 情
報 に 接 す る
最
新 の 情
報 に 接 す る
オ ン ラ イ ン シ ョ ッ ピ ン グ
無
回
答
42.8
22.5
24.9
53.8
37.5
13.3
39.8
21.7
46.8
33.9
49.5
25.6
0.8
アメリカ
59.7
(N.Y.+L.A.)
28.8
60.8
71.5
52.8
23.7
47.7
62.8
72.5
70.5
73.3
41.8
5.8
イギリス
44.6
(ロンドン)
18.9
51.6
60.4
48.4
14.0
34.7
56.5
66.7
61.8
68.4
38.6
3.9
38.1
44.9
51.6
51.0
23.4
17.3
49.7
50.3
67.3
61.5
45.5
26.6
0.6
ドイツ
67.8
(ベルリン)
28.6
67.1
69.1
28.3
13.8
49.3
51.3
75.3
71.7
60.2
29.9
5.3
スウェーデン
31.1
(ストックホルム)
17.1
48.9
58.2
31.8
23.2
43.6
47.9
78.9
63.2
59.6
33.2
5.7
フランス
(パリ)
7
芸
術 や 文
化 が 誕
生
DIHS
8
4. 国際化への道遠い日本人
「情報・コミュニケーション能力」への自信度も低い日本人
海外情報への関心希薄な日本人
また、回答結果から見るかぎり、日本人は、全体的に
「情報・コミュニケーション能力」
への自信度も低い。情報受信に関しては、
「世の中の動きを、
リアルタイムで知っておき
たい」が欧米と比較して低く、消極的である。さらに、情報発信に関しては、
「多量の情
報に対しても、整理して結論を出せる方だと思う」
と
「他人に向って説明したとき、
わか
欧米先進諸国の人々と比べ、
日本人は基本的に海外への関心が低いのが目立つ。
半数の日本人は、海外の情報をリアルタイムに知る必要性を感じていないのが実態と
いえる。
りやすいとほめられることがある」
という項目で、欧米よりも極めて低い水準にあり、情
【資料10
報・コミュニケーション能力に対する自信の低さを示している。
【資料9 あなたにあてはまるもの】
知 リ 世 っ ア の て ル 中 お タ の き イ 動 ム た き い で を 、 9
出 整 多
せ 理 量 る し の て 情
結 報 論 を を (%)
ほ き 他
め 、 人 わ ら に か れ 説
り る や 明 こ す し と い が た と あ い る
と 日本
(東京)
38.2
11.9
16.6
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
65.7
47.5
54.0
イギリス
(ロンドン)
70.2
33.7
46.3
フランス
(パリ)
70.2
45.5
33.7
ドイツ
(ベルリン)
68.4
61.5
38.8
スウェーデン
(ストックホルム)
66.1
40.0
41.4
第2回「価値観国際比較調査」
海外情報への接触】
DIHS
10
ほとんど外国語を話せない日本人
英語を母国語とするアメリカ人、
イギリス人は外国語を習得する必要に迫られる機会
「近所にいる」のはいいが「結婚」には抵抗感
より本音の部分での国際感覚についても調査を行った。
まず、職場や子どもの学校、
が少ないため外国語が苦手と言われる。
しかし、世界中でほとんど通用する地域のな
近隣などに外国人がいることについては、
「歓迎する・抵抗感はない」
とする日本人が
い日本語を母国語とする日本人の81.7%が日本語しか話せない現状は大きな問題と
76%に達しており、他国に比べても遜色がない
(資料12)
。
言えよう。
しかし、
「国際結婚」
となると、様相が一変してくる。
「抵抗を感じる」
が66.3%に達し、
【資料11 話せる外国語の数】
日本は突出している
(資料13)。
【資料12
職場や子どもの学校、近隣に外国人がいることについて】
(参考資料 1996年度実施 第1回「価値観国際比較調査」より)
11
第2回「価値観国際比較調査」
DIHS
12
5. グローバリゼーションの中で、高い日本への期待
【資料13 あなた自身や家族の外国人との結婚について】
「密接な関係」を求められている日本
さて、冷戦後の世界では、アメリカの圧倒的な影響力がみられ、今回の調査でも、
「密接な関係を築くべき国」
として、日本、イギリス、
ドイツで1位が「アメリカ」
となった。
しかし、日本への期待も決して、低くはない。アメリカにおいては、
カナダに次いで2位、
ドイツではアメリカ、
フランスに次いで3位、
フランスでは4位、
イギリスでは5位といず
れも高い位置を占めた。
【資料14
密接な関係を築くべき国・地域】
(%)
1位
2位
3位
4位
日本
アメリカ
(東京)
72.2
中国
56.0
韓国
33.3
ドイツ
25.8
アメリカ
カナダ
(N.Y.+L.A.) 66.3
日本
54.2
イギリス アメリカ
(ロンドン) 75.1
フランス
(パリ)
ドイツ アメリカ フランス
(ベルリン) 67.8
64.5
カナダ
54.5
日本
59.2
日本
46.8
6位
7位
8位
9位
10位
イギリス ロシア フランス オーストラリア カナダ 特にない
23.2
22.1
21.2
19.2
17.9
17.7
イギリス メキシコ ドイツ
52.3
48.5
45.3
カナダ オーストラリア ドイツ
57.5
51.6
44.9
ドイツ アメリカ
65.7
57.1
5位
ロシア
44.7
中国
42.2
オーストラリア フランス イタリア
41.5
34.5
32.3
日本
44.6
フランス ロシア オランダ
40.4
35.4
33.7
中国
31.2
スウェーデン
24.6
中国
46.5
イギリス スペイン イタリア ロシア ベルギー
46.2
44.9
40.7
39.4
35.9
ロシア イギリス オーストリア オランダ イタリア スウェーデン 中国
57.9
54.6
50.7
49.3
46.4
45.7
44.1
スウェーデン ノルウェー アメリカ フィンランド、デンマーク ドイツ
(ストックホルム) 68.6
52.5
51.8
50.4
イギリス
42.5
日本
40.4
ロシア
34.6
中国
30.7
フランス
28.2
(参考資料 1996年度実施 第1回「価値観国際比較調査」より)
(%)
1位
2位
3位
日本
アメリカ
(東京)
64.3
中国
54.6
韓国
31.9
中国
アメリカ
(北京)
75.0
香港
70.7
日本
65.7
タイ
アメリカ
(バンコク) 79.8
日本
62.5
中国
48.5
シンガポール マレーシア
(シンガポール) 74.4
中国
61.1
インドネシア アメリカ マレーシア
(ジャカルタ) 73.5
70.1
インド
日本
(ボンベイ) 65.9
13
第2回「価値観国際比較調査」
アメリカ
57.6
4位
5位
オーストラリア ドイツ
22.3
21.9
台湾
63.0
韓国
59.3
ロシア
39.5
7位
イギリス
19.5
台湾
18.0
シンガポール ドイツ
58.0
51.0
イギリス フランス シンガポール ドイツ
43.3
34.2
31.6
31.3
アメリカ インドネシア 日本
56.1
53.2
47.5
日本
56.4
6位
シンガポール ドイツ
52.3
43.6
中国
31.8
タイ
33.6
オーストラリア
38.3
8位
ドイツ シンガポール オーストラリア
28.3
27.7
23.2
10位
フランス シンガポール ロシア
17.2
16.0
15.9
ロシア
50.7
フランス イギリス
43.7
41.3
オーストラリア マレーシア ロシア
30.6
24.8
24.1
オーストラリア フィリピン
29.2
28.2
中国
33.3
9位
イギリス
32.7
香港
15.8
イギリス、
香港
27.6
韓国
24.9
タイ
23.1
イギリス、
フランス
12.9
DIHS
14
6. 勤労観に特色の見られる日本人の価値観
高い対日好感度
「目標に向って努力する」日本人
また、対日感情の面でも、調査データからは悲観的要素はみられない。
「日本人を好
きか嫌いか」の問いに、各国ともほぼ70、ないし80%以上が「好き」
と答えている。経済
的脅威の薄れたことがプラスに作用しているとしても、
この数値自体は心強いものであ
り、日本からの積極的なコミュニケーションの展開が望まれる。
【資料15
日本人の価値観の特徴として、
「目標に向って努力する」
という
「達成主義」
ともいう
べき傾向があげられる。この考え方に関して、
「重要」、
「やや重要」とする人が合計
90.6%に達する。
日本人を好きか嫌いか】
*好き
(計)=「非常に好き」
+「まあ好き」
嫌い
(計)=「嫌い」
+「やや嫌い」
(参考資料 1996年度実施 第1回「価値観国際比較調査」より)
15
第2回「価値観国際比較調査」
DIHS
16
【資料16
目標に向って努力する】
【資料18
消費・生活様式における格差】
「まじめにコツコツ」
「規則遵守」は日本人・ドイツ人の共通性
「闘争心」の重視度が低く、ライフスタイルの「格差」も小さい日本人
日本人の「横並び意識」が、
よく話題とされるが、今回の調査結果で、
「現状におけ
る企業人や組織人としての評価の重視点」への回答のうち、日本人の「闘争心」の数
値が最も低かったことは、日本人の「横並び意識」
を傍証するものの一つと言えよう
(資
日本人とドイツ人の価値観の共通性もよく話題にのぼるが、
「仕事にまじめに取り組む」
と
「規則遵守」がその特徴的な項目としてあがった。
「仕事にまじめに取り組む」
ことを
「重要」
とする日本人は42.9%(「やや重要」
を加え
ると90.8%)
、
ドイツ人は31.3%と他国を大きく上回る
(資料19)
。
料17)
。
また、
「格差」に関する質問への回答をみると、
「消費・生活様式」に関しては、
「あま
り格差はない」
「ほとんど格差はない」
とする日本人が15.5%存在し、
ひとけたの他国と
差異を示した。他国では「かなり格差がある」がほとんど半数以上に達しているのに対
し、日本では35.9%と低い。このような格差の小ささ
(高い均質性)
は、良くも悪く
も日本
また、
「実情に合わなくても決められた規則はきちんと守るべき」
という項目も日本人
46.1%、
ドイツ人51.6%ときわめて高い(資料20)
。
まじめで、規律正しい日本人とドイツ人という伝統的な人間像が今日においても、再
確認されたわけである。
人のライフスタイルの大きな特徴である。
【資料19
【資料17
日本
(東京)
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
イギリス
(ロンドン)
フランス
(パリ)
ドイツ
(ベルリン)
スウェーデン
(ストックホルム)
仕事にまじめに取り組む】
企業・組織が個人を評価する基準】
社会常識・ 規律
一般常識 正しさ
努力
向上心
創造性
利益を
生む力
無回答
81.2
82.1
76.1
86.0
2.4
84.2
89.0
85.3
85.2
91.2
2.7
86.0
90.5
91.6
87.4
85.3
90.9
0.4
81.4
83.3
86.9
88.1
88.8
87.2
95.2
1.3
84.5
62.2
90.1
60.2
90.5
82.2
76.6
91.8
3.6
97.5
95.7
75.4
91.1
91.4
81.4
88.6
87.1
1.1
協調性
忠誠心
闘争心
81.1
74.8
59.8
79.8
93.7
86.0
78.3
94.0
90.5
92.0
(%)
17
第2回「価値観国際比較調査」
DIHS
18
7. 生活・社会意識の世界共有化が進む
【資料20 規則に関する意識】
これからは仕事よりもレジャー −欧米水準を超えた日本−
先進各国で価値観の共有化の進んでいるものに、
「生活分野の重視点」がある。
「今後5年間に時間をかけたいこと」
を聞くと、各国とも
「趣味・遊び・レジャー」
「家族と
過ごすこと」が上位を占めた。順位は日本では「趣味」が1位、
「家族」が2位で、他
国ではその逆だが、数値は極めて似通っている。
ワーカホリックと言われてきた日本人も
「レジャー志向」の強さの水準については、欧
米レベルを凌ぐまでに達していることがうかがえる。
また、宗教活動をあげた人が多いのが、
アメリカ、
イギリスの特徴と言える。
【資料21
趣味、 家族と
遊び、 ともに
レジャー すごす
(参考資料 1996年度実施 第1回「価値観国際比較調査」より)
今後5年間に時間をかけたいこと】
交際、
ひとづ
きあい
仕事
休息
スポーツ
勉強
けいこ
ごと、
習い事
ボラン
ティア
活動
宗教、
信仰 活動
日本
(東京)
69.6
62.6
36.6
30.0
22.6
17.2
12.3
10.8
05.0
04.5
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
61.8
78.0
28.8
18.8
42.2
08.8
06.7
11.3
10.7
17.3
イギリス
68.4
(ロンドン)
74.0
35.4
20.4
42.8
11.2
08.1
08.1
07.7
08.4
63.8
67.6
23.4
42.6
32.7
23.4
09.3
05.1
11.9
04.5
ドイツ
56.3
(ベルリン)
72.4
49.0
30.6
42.1
12.2
05.3
10.9
05.9
04.3
スウェーデン
52.1
(ストックホルム)
68.9
46.1
30.4
33.6
20.4
21.4
03.9
06.1
02.1
フランス
(パリ)
(参考資料 1996年度実施 第1回「価値観国際比較調査」より)
(%)
19
第2回「価値観国際比較調査」
趣味、
遊び、
レジャー
家族と
ともに
すごす
交際、
ひとづき
あい
仕事
休息
スポーツ
勉強
けいこ
ごと、
習い事
ボラン
ティア
活動
日本
(東京)
70.1
56.4
38.0
26.1
22.6
15.2
11.6
12.3
06.1
中国
(北京)
28.3
56.0
26.3
60.3
14.7
31.7
41.7
38.0
03.0
タイ
35.5
(バンコク)
84.0
30.6
58.3
50.2
06.2
13.0
17.9
02.9
シンガポール
29.6
(シンガポール)
80.7
34.2
51.8
43.2
11.0
17.9
17.3
12.3
インドネシア
(ジャカルタ)
05.0
90.3
69.2
50.8
34.3
09.7
15.9
09.3
13.7
インド
13.8
(ボンベイ)
85.9
41.2
54.3
28.9
05.8
22.8
16.7
22.2
DIHS
20
「社会福祉は内容を見直し、負担は現状維持」が共通認識に
(%)
【資料22
社会福祉と費用負担について】
「男女の役割は自由に」の方向は共通、もっとも保守的な日本人
一方、高齢化に伴う社会負担の増加も先進国共通の悩みとなっているが、
「社会福
「男女の役割」
に関しては欧米では
「自由に決めるべき」
が圧倒的に高く、日本でも、
祉と費用負担」に関する問いに対しても、
「社会福祉は内容を見直し、負担は現状維
前回(96年)調査に比べ、
「自由に決めるべき」が約7ポイント上昇し、逆に、
「男は外、
持」
というほぼ共通の意識が広がっていることがわかった。
女は家庭」
が約5ポイント減少した。
「性役割」に関しても、意識面では、日本も欧米型
近代社会に急速に近づきつつあるようだ。
しかし、男女の役割問題に関しては日本は
(%)
福祉水準低下しても、
内容を見直し、
費用負担を減少
費用負担は現状維持
福祉水準維持、
費用負担を増加
福祉水準向上、
費用負担をかなり増加
日本
(東京)
09.6
53.1
31.4
05.8
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
18.3
44.0
17.5
13.8
イギリス
(ロンドン)
05.6
42.1
26.0
フランス
(パリ)
06.1
54.2
ドイツ
(ベルリン)
06.9
スウェーデン
(ストックホルム)
11.8
アジア各国と比べても保守性が強い。
【資料23
男女間の役割意識】
男は外で働き
女は家庭を守るのが本来の姿だ
男女の役割は自由に決めるべき
日本
(東京)
16.2
46.4
23.9
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
10.5
81.2
22.1
16.3
イギリス
(ロンドン)
10.5
81.8
71.1
14.1
04.3
フランス
(パリ)
03.2
91.3
36.8
37.1
10.7
ドイツ
(ベルリン)
02.6
92.1
スウェーデン
(ストックホルム)
03.2
80.4
(参考資料 1996年度実施 第1回「価値観国際比較調査」
より)
(%)
21
第2回「価値観国際比較調査」
男は外で働き
女は家庭を守るのが本来の姿だ
男女の役割は自由に決めるべき
日本
(東京)
21.3
39.7
中国
(北京)
20.3
57.0
タイ
(バンコク)
23.5
58.6
シンガポール
(シンガポール)
25.6
53.5
インドネシア
(ジャカルタ)
22.7
58.9
インド
(ボンベイ)
37.0
53.4
DIHS
22
8. 共有される環境保護の意識
環境への規制は世界が一致して受け入れるべき
環境を守るためには負担や不便や規制も受け入れる
日欧米の各国で共通価値観となりつつあるものの一つが
「環境保護意識」である。
各国とも
「家計負担増」
「快適性の犠牲」
「広範囲な規制」
を受け入れている。
【資料24
れるものという考え方も共通のものとなっている。
「世界標準で統一すべきもの」のリスト
では、日本の2位を除き、各国とも1位が「環境規制」である。
少なくとも先進工業国においては、
「地球環境」への危機意識は共有される時代とな
環境保護や省資源に関して】
(%)
環境保護や省資源の
ためなら、
負担増は
やむを得ない
環境保護や
省資源のため、
利便性や快適性を
犠牲にしても
やむを得ない
環境破壊や健康に
害のある疑いが
あるものは、
すべて
規制の対象にすべき
日本
(東京)
56.0
71.1
60.1
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
56.5
イギリス
(ロンドン)
64.6
66.0
66.3
フランス
(パリ)
59.3
89.7
84.6
ドイツ
(ベルリン)
56.9
スウェーデン
(ストックホルム)
また、
このような「地球環境保護」は「世界標準」で統一された規制によって達成さ
っていることは間違いない。
【資料25
日本
(東京)
1
62.7
アメリカ
(N.Y.+L.A.)
環境規制
度量衡単位
78.6
2
環境規制
薬品許認可
に関する法律
57.9
3
薬品許認可
に関する法律
4
携帯電話
システム
83.6
72.9
5
環境規制
6
ドイツ
スウェーデン
(ベルリン) (ストックホルム)
環境規制
キャッシュ
カード
システム
道路交通
規則
環境規制
30.8
30.3
39.0
8
企業情報
公開に関する
法律
27.2
経済取引の
慣行
38.1
9
経済取引の
慣行
道路交通
規則
32.4
25.3
企業情報
公開に関する
法律
33.6
企業情報
公開に関する
法律
34.2
32.1
ビジネス
言語
30.1
経済取引の
慣行
19.6
35.9
31.4
23.2
38.9
薬品許認可
に関する法律
ビジネス
言語
ビジネス
言語
経済取引の
慣行
52.3
52.6
27.0
51.8
キャッシュ
カード
システム
薬品許認可
に関する法律
企業情報
公開に関する
法律
道路交通
規則
52.6
53.2
30.2
53.9
道路交通
規則
キャッシュ
カード
システム
キャッシュ
カード
システム
ビジネス
言語
55.3
56.1
36.5
55.7
度量衡単位
携帯電話
システム
薬品許認可
に関する法律
キャッシュ
カード
システム
58.2
59.6
36.8
61.4
携帯電話
システム
道路交通
規則
携帯電話
システム
度量衡単位
キャッシュ
カード
システム
62.8
42.5
32.2
64.1
度量衡単位
道路交通
規則
企業情報
公開に関する
法律
企業情報
公開に関する
法律
ビジネス
言語
56.1
35.0
ビジネス
言語
67.9
度量衡単位
携帯電話
システム
携帯電話
システム
39.7
7
薬品許認可
に関する法律
度量衡単位
45.0
第2回「価値観国際比較調査」
フランス
(パリ)
61.1
42.2
46.7
23
環境規制
49.8
54.6
67.5
イギリス
(ロンドン)
(%)
53.8
65.4
70.7
世界標準で統一すべきもの】
26.1
経済取引の
慣行
27.6
経済取引の
慣行
26.3
16.4
DIHS
24
9.見えてこない社会像と、余りにあいまいな
日本人。そして政治への不信
「政治は民意を反映していない」が77.1%
「平等」か「自由競争」かでは「平等」が優勢だが、
「どちらともいえない」が42%に達する
意識の多様化が進む先進諸国において、民主主義を遂行する政治システムは必ず
先に見たように、平等か自由競争か、に対して、日本人は「平等」に傾いているが、
しも十分に機能していない。
「国民の考えは政治に反映しているか」の問いに、
「反映
一番多いのは、
「どちらともいえない」
で42%に達している。グローバル化に対応して変
している」
とする比率は、
スウェーデンの53.6%が最高で、
アメリカの43.1%を始め他の
化への志向性を見せつつも、
「平等重視」の伝統との間でのディレンマを示している。
国々は過半数に達しない。
しかし、日本はその中でも最低の15.5%である。
「官主導」か「民主導」かでも、
「どちらともいえない」が過半数を超える
【資料27
政治における民意の反映度】
基本的な争点の一つである
「官主体」か「民主体」かに関しては、
「どちらともいえな
い」が過半数を突破し、問題の複雑さを垣間見せている。
「規制緩和」の大合唱にも関わらず、態度の揺れる日本人
適切な規制を維持すべきか、規制を緩和すべきかに対しても、
「どちらともいえない」
が51%を超えた。
「規制緩和」
という大合唱にも関わらず、迷いを示す日本人の姿が表
れている。
国民全体として、目指す社会像への合意はとれておらず、多くの日本人が態度をあ
いまいにしたままと言える。
【資料26
目指すべき社会像(日本)
】
(%)
25
第2回「価値観国際比較調査」
DIHS
26
10. 芽生える改革への意欲
「支持政党なし」67.6%で危機に瀕する政党政治
改革を巡って意見は割れているが、日本人の現実の政治への幻滅感は深く、
「支持
政党なし」が67.6%に達した。前回よりも7ポイント増加し、国際比較しても圧倒的な高
さで、日本の政党政治は崩壊の危機に瀕している。
過半数が「能力主義」賃金を受容
「あいまいな日本人」
も、勤労観では「改革への覚悟」を固めつつある。
「年功序列
賃金よりも能力や成果に応じた賃金」
をよしとする考えが日本でも55.2%に達し、
「年功
序列」の10.8%を大きく上回っている。
賃金体系は最も基本的な価値体系の一つであり、変革へ向けて日本社会が胎動し
【資料28
政党支持】
つつあることを示唆している。
【資料29
27
第2回「価値観国際比較調査」
給料の支払われ方について】
DIHS
28
2割を切った「終身雇用」志向
年功序列型賃金体系と並ぶ、日本型雇用のもう一つの特徴とされる
「終身雇用」
も
企業の「情報開示」には前向き
日本型経営に関連して論議されているのが「情報開示」の問題である。
「会社にと
崩れつつある。日本でも、
「条件のよい会社があれば移りたい」が「定年まで働きたい」
って不利益であっても情報はすべて開示すべき」
という意見への賛成率を見ると、日本
を大きく上回った。終身雇用を明確に志向する日本人は2割を切った。
では36.7%。逆に、
「不利益な情報は開示しなくてもよい」
は日本では9%と極めて低い。
「どちらともいえない」
がやはり多く、今後の論議の必要性を痛感させるが、一般の人々
【資料30 条件のよい会社に移りたいか、定年まで働くか】
の感覚は開示に前向きになりつつある。
【資料31
29
第2回「価値観国際比較調査」
企業の情報開示について】
DIHS
30
企業での「創造性」への評価は大転換
グローバル経済の荒波にもまれつつある日本人にとっては、
これからのビジネスマン
子どもには専門的能力を
また、子どもの育て方に関連して、
「何でもそつなくこなせる人間」
よりも
「一芸に秀で
像も大きく変化することが予想されるが、今回の調査結果からも、
その兆しが見られる。
た人間」
に育てたいとする考え方が上回った。他国では
「何でもそつなく」が高いが、
こ
企業や組織が個人を評価する基準として、
「 創造性」が「現在重視されている」は
れまで「ゼネラリスト」
への評価がきわめて高かった日本では逆に、
「専門的なスキル」
を
76.1%と調査対象国中最も低い数値であるが、
「今後重視すべき」では96.3%と逆に
持った人の価値が高まりつつあり、
これはその風潮の反映と見られる。
最も高い数値である。
「創造性」への評価は大転換しつつあるようだ。
【資料33
【資料32
31
子どもをどのような人間に育てたいか】
企業や組織における
「創造性」の評価】
第2回「価値観国際比較調査」
DIHS
32
11.若者ほどグローバリゼーションと
情報化に積極的
若者ほど高い英会話能力、少ない外国人との結婚への抵抗感
若者ほど高いパソコン・インターネットへの接触期待
情報化の進展とともに、パソコンやインターネットへの接触が増えると10代・20代ほど考
●英会話能力
英会話能力を「自由に話すことができる」
と
「日常的に話すことができる」
の比率
の合計で国際比較してみた。若年層ほど英会話能力が高く、10代・20代、30代と40
えている。特にインターネットへの接触度は、3分の2を超える若者が接触の増大を予想
している。
代以降との差が大きい。
【資料36
情報化により接触が増加する
(パソコン通信)
】
【資料37
情報化により接触が増加する
(インターネット)
】
【資料34 国際化度(英会話能力 話せる
(計)%)】
●外国人との結婚
若年層ほど外国人には抵抗感がなく、ほぼ年代に応じて「歓迎する
・抵抗感はな
い」
と回答する比率は減っている。
【資料35 国際化度(外国人との結婚)
(「歓迎する・抵抗感はない」の比率[%])】
33
第2回「価値観国際比較調査」
DIHS
34
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