レジュメ

Remenbering Trauma
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4 - 2.
2. MEMORY FOR TRAUMA
<トラウマ的出来事
トラウマ的出来事の
的出来事の再体験>
再体験>
1.侵入的想起
苦痛な考えやイメージが考えたくなくても頭に浮かんできてしまうこと
2.悪夢
睡眠中に再発するトラウマ記憶
3.フラッシュバック
実際に経験しているように過去の出来事の感覚や感情を再体験すること
4.精神病理的な
精神病理的な身体反応
トラウマを連想させるものに直面したときの過度な生理的反応(例:恐怖による発汗,
震え,動悸)
3.フラッシュバック
・ 実際に経験しているように過去の出来事の感覚や感情を再体験すること
・トラウマ記憶の特殊な形なのか、侵入的想起の一形態なのかは明らかでない
・フラッシュバックはトラウマ的出来事に限らない(Berntsen, 2000)
→ とても Happy なことでもフラッシュバックすることがある
■ フラッシュバックに
フラッシュバックに関する実験
する実験
①なにがフラッシュバック
なにがフラッシュバックを
フラッシュバックを引き起こすのか?
こすのか?
・無意図的で予測の出来ないフラッシュバックをどのように研究するのか?
・フラッシュバックはしばしばパニック発作を伴う
→ パニック発作を引き起こすものがフラッシュバックも引き起こす?
(Southwick ら,1993 ほか)
<実験>
実験>
・PTSD 患者と統制条件の被験者にある薬(パニック障害の患者には発作を引き起こすが無
害な薬:ヨヒンビン)を投与
→ PTSD 患者がフラッシュバックを引き起こすか?
(結果)
結果)
・統制条件:パニック発作もフラッシュバックもなし
・PTSD 患者:パニック発作とフラッシュバックが有意に発現
パニック障害の発症に関与している物質がフラッシュバックにも関与している
可能性が高い
②フラッシュバックの
フラッシュバックの正確性
・フラッシュバックがどの程度正確にトラウマ体験を反映しているか
・Rainy ら(1987)
(方法)
元ベトナム従軍兵士で PTSD を発症している患者に対し、フラッシュバックを引き起こ
すと考えられる物質(乳酸ナトリウムなど)を投与。想起されたトラウマ的出来事の正
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確性を測定させる。
(結果)
想起した出来事は、実際のトラウマ体験とはかなり異なっていた(大抵は実際以上に重
症をおったイメージが想起された)。
③フラッシュバックの
フラッシュバックの性質
・フラッシュバックは実際にトラウマ的出来事の経験や目撃がなくても起こる
・最愛の人が殺害された 18 名
→ 17 人が目撃していない殺害光景についてフラッシュバック
・ある父親:実際に現場に居合わせていなかったにもかかわらず、息子が熱湯で火傷をし
た場面をフラッシュバック
■ フラッシュバックと
フラッシュバックと侵入的想起
・侵入的想起:苦痛な考えやイメージが考えたくなくても頭に浮かんできてしまうこと。
フラッシュバックと異なり、トラウマ的な経験をしていなくても起こる
例)強迫神経症患者の侵入的想起など
・強迫神経症患者の侵入的イメージが、抑圧されたトラウマ記憶の発現と間違われ
たケースも。
・トラウマ的経験があったかの診断には注意が必要
■ まとめ
・フラッシュバックはトラウマの再体験である
・しかし、正確な出来事の再現ではなくしばしば歪みを伴う
4.精神病理的な
精神病理的な身体反応
・トラウマを連想させるものに直面したときに生じる過度な生理的反応
(例:恐怖による発汗,震え,動悸)。過去の出来事に関連のある刺激に対して生じる。
・恐怖症や不安障害の患者にみられる過度な生理的反応:未来や現在に関連のある刺激に
対して身体的症状が見られる
■ トラウマの
トラウマの精神病理的な
精神病理的な身体反応
身体反応に
反応に関する実験
する実験
・トラウマ的出来事
トラウマ的出来事に
的出来事に関連する
関連する視聴覚素材
する視聴覚素材の
視聴覚素材の視聴
・素材:ベトナム戦争関連するビデオ・ニュートラルなビデオ
統制条件:トラウマ的経験のない人々
実験条件:PTSD を発症したベトナム従軍兵士
・結果:ベトナム従軍兵士は、ベトナム戦争に関連するビデオ視聴時に心拍数が有意に増加
・トラウマ的出来事
トラウマ的出来事の
的出来事の想起
・素材:トラウマ的出来事に関連する文章・トラウマではないがストレスフルな出来事の文章
・結果:PTSD 患者:トラウマ的出来事に関する文章を聴いているときに有意に身体反応が発現。
ストレスフルな出来事に関しては統制条件と身体反応は変わらず。
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■ 精神病理的な
精神病理的な身体反応の
身体反応のコントロール
・Laor et al(1998)
イメージコントロールで高得点を記録した PTSD 患者
→ トラウマ的出来事に関連する文章を聴いても身体的反応が少なかった
→ 心的イメージをコントロールする能力によって、感情的な反応を鎮めることが出来
る可能性を示唆
■ まとめ
・PTSD 患者の過度の身体的反応は、恐怖症や不安障害の患者と異なり、過去の出来事に関
連した刺激に対して生じる
<”覚えていない”
えていない”トラウマ的出来事
トラウマ的出来事の
的出来事の再体験>
再体験>
■ はじめに
・トラウマ的出来事を経験 → PTSD
・トラウマ的出来事であっても、意識がないなど経験したことが認識できない状態では
PTSD を発症しない?
・Freud(1898)
生命を脅かすような経験であっても、経験しているという意識がなければ(トラウマ的
な)ノイローゼは発症しない。(例:交通事故で頭を強打した人々など)
・Freud の説明はいくつかの研究で支持されている(Bryant & Harvey, 1995 ほか)
・しかし、意識のない場合でも PTSD を発症する事例もある(Brant ら, 2000)
・経験したことを”覚えていない”トラウマ的出来事の再体験はありうるのか?
■ Brewin の二重表象理論
・トラウマ記憶は以下の 2 つのタイプの記憶表象からなる
①言語的に
言語的に接近可能な
接近可能な記憶(verbally accessible memodes;VAMs)
トラウマ体験に関する言語化された知識,自伝的記憶としての情報を含む記憶表象であり,
意図的にアクセスや操作をすることが可能。
②状況的に
状況的に接近可能な
接近可能な記憶(situationally accessible memories;SAMs)
トラウマ体験の中で体験した感覚的(例:視覚,聴覚,触覚),生理学的,筋肉運動的な経験に関
わる詳細な情報を豊富に含んだ記憶表象。手がかり刺激があるときにのみ,無意図的・自動的
にアクセスされる。
・出来事を”覚えていない”、つまり言語的に接近可能な記憶になっていない場合でも、状況的に
トラウマ的出来事の再体験はありうる。
接近可能な記憶として符号化されている場合は
(支持する
支持する事例
する事例)
事例)
・例:労働災害で生き埋めにされた男性
→ 意識がなかったにもかかわらず、関連する刺激に対して恐怖反応を発現
・交通事故で意識を失った被害者
→ 事故のことは覚えていないが、事故を起こしたものと同じ車に対して恐怖反応
・しかし、これらの事例は別解釈でも説明可能
→ 事故の記憶ではなく、事故に関連する情報や知識によって PTSD が起こっている可能性
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・事故当時のことを聞く,写真で見る → 恐怖 → PTSD
・Brant & Harvey(1998)
①出来事を鮮明に思い出せる PTSD 患者:より客観的な内容の侵入的想起を経験
②出来事を覚えていない PTSD 患者:実際には起こったことと矛盾した内容の侵入的想起を経験
(事故当時のことを聞く,写真で見るなどの情報がもととなっている可能性)
・①と②の侵入的想起の激しさに差はない
・しかし、一方は歴史的に正確であり、他方は正確ではない
■ まとめ
・経験したことを”覚えていない”トラウマ的出来事の再体験はありうる。
・しかし、意識がない間に出来事が符号化されているのか、もしくは事後の情報に
恐怖の条件付けが生じているのかは慎重に議論する必要がある。
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