HIV 感染症 HIV 感染症および AIDS の概念 HIV(Human Immunodeficiency Virus、ヒト免疫不全ウイルス)感染症は、HIV の感染によっ て引き起こされる病態である。HIV 感染症の臨床症状は、無症状の状態から、重症の免疫不全 状態まで幅広く、また多彩である。この HIV 感染症を理解する上で最も大切な点は、HIV が CD4 陽性のリンパ球に感染し、そしてこの感染した細胞を破壊し、CD4 陽性のリンパ球を体内 から減少させてしまうことである。その結果、HIV 感染者は病状が進行すると、免疫不全状態 となり、日和見感染症や悪性腫瘍を合併した AIDS (Acquired Immunodeficiency Syndrome、 後天性免疫不全症候群)と呼ばれる状態になる。 疫学 HIV 感染者推定 全世界 4200 万人以上、新規感染者約 500 万人 日本は約 8000 人 (2002 年) 感染経路 感染源として重要なものは血液、精液、膣分泌液である。唾液感染や昆虫媒介感染はない。 1) 性行為感染:主要感染経路。アメリカ、ヨーロッパでは AIDS 患者の 70 80%、アフリ カでは AIDS 患者の約 80%は異性間性的接触。男性同性間の性行為感染は肛門性交による。 2) 血液媒介感染:HIV 感染者の血液を輸血することで HIV 感染する。本邦では HIV 感染者 血液由来の血液製剤(凝固因子製剤)輸注によっても感染した。その他汚染された臓器の 移植、注射の回し打ち、不潔な入れ墨、医療事故などが感染の原因となる。 3) 母子感染:経胎盤、産道感染、時には母乳感染もある。感染率は約 30%。 臨床像と経過 1)急性初期感染期: HIV 感染成立の 2 3 週間後に HIV 血症は急速にピークに達し発熱、咽頭痛、筋肉痛、皮疹、 リンパ節腫脹、頭痛などのインフルエンザあるいは伝染性単核症様の症状で発症する。症状 は全く無自覚から、無菌性髄膜炎に至るまで様々である。初期症状は数日から 10 週間程度続 き、自然に軽快する。この時期は HIV 抗体検査では陰性(ウインドウピリオド)である。 2 )無症候期 中期:(AC A RC) 感染後 6 8 週で血中に抗体が産生され、ピークに達していたウイルス量は 6 る一定のレベルまで減少し定常状態となる。その後数年 8 カ月後にあ 10 年間ほどの無症候性キャリア (AC: asymptomatic carrier)の時期に入る。無症候期を過ぎエイズ発症前駆期(中期)に なると、発熱、倦怠感、リンパ節腫脹などが出現し、帯状疱疹などを発症しやすくなる。 AIDS 関連症候群(ARC: AIDS related complex)の時期。 15 - 1 - 3)AIDS 発症期: HIV 感染がさらに進行すると CD4 T 細胞の破壊が進む。CD4 T 細胞数が 200/mm3 以下でカリ ニ肺炎などの日和見感染症を発症しやすくなり 50/mm3 を切るとサイトメガロウイルス感染症、 非定型抗酸菌症、中枢神経系の悪性リンパ腫などを発症しやすくなる。この間、食欲低下、 下痢、低栄養状態、衰弱などが著明となる。発症して未治療の場合の予後は 2 3 年である。 サーベイランスのための AIDS 診断基準(厚生省エイズサーベイランス委員会、1994) I HIV 検査で感染が認められた場合 酵素抗体法(ELISA)又はゼラチン粒子凝集法(PA)といった HIV の抗体スクリーニング検 査法の結果が陽性で、かつ Western Blot 法又は蛍光抗体法(IFA)といった検査、ウイルス 培養、PCR 法などの病原体に関する検査(以下、「病原検査」という)により HIV 感染が認め られた場合であって、下記の特徴的症状(Indicator Diseases)の 1 つ以上が明らかに認め られるときは AIDS と診断する。 なお、周産期に母親が HIV に感染していたと考えられる生後 15 カ月未満の児については、 II によることとする。 II 周産期に母親が HIV に感染していたと考えられる生後 15 カ月未満の児の場合 周産期に母親が HIV に感染していたと考えられる生後 15 カ月未満の児については、HIV の 抗体確認検査が陽性であっても、それだけでは HIV 感染の有無は判定できないので、さらに 以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合で免疫不全を起こす他の原因が認められ ないものを AIDS と診断する。 (1)HIV 抗原検査、ウイルス分離、PCR 法などの病原検査法が陽性で、特徴的症状の 1 つ以 上が明らかに認められる時 (2)血清免疫グロブリンの高値に加え、リンパ球数の減少、CD4 陽性 T リンパ球数の減少、 CD4 陽性 T リンパ球数/CD8 陽性 T リンパ球数比の減少といった免疫学的検査所見のいずれか を有する場合であって、特徴的症状の 1 つ以上が明らかに認められるとき 15 - 2 - (特徴的症状) 1 カンジダ症(食道、気管、気管支又は肺) 2 クリプトコックス症(肺以外) 3 クリプトスポリジウム症(1 カ月以上続く下痢を伴ったもの) 4 サイトメガロウイルス感染症(生後 1 カ月以上で、肝、脾、リンパ節以外) 5 単純ヘルペスウイルス感染症(1 カ月以上継続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの 又は生後 1 カ月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの) 6 カポジ肉腫(年齢を問わず) 7 原発性脳リンパ腫(年齢を問わず) 8 リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13 歳未満) 9 非定型抗酸菌症(結核以外で、肺、皮膚、頸部もしくは肺門リンパ節以外の部位、 又はこれらに加えて全身に播種したもの) 10 ニューモシスチス(カリニ)肺炎 11 進行性多発性白質脳症 12 トキソプラスマ脳症(生後 1 カ月以後) 13 化膿性細菌感染症(13 歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌による 敗血症、肺炎、髄膜炎、骨関節炎又は中耳・皮膚粘膜以外の部位の深在臓器の 濃瘍が 2 年以内に、二つ以上、多発あるいは繰り返して起こったもの) 14 コクシジオイデス症(肺、頸部もしくは肺門リンパ節以外に又はそれらの 部位に加えて全身に播種したもの) 15 HIV 脳症(HIV 痴呆、AIDS 痴呆又は HIV 亜急性脳炎) 16 ヒストプラスマ症(肺、頸部もしくは肺門リンパ節以外に、又はそれらの 部位に加えて全身に播種したもの) 17 イソスポラ症(1 カ月以上続く下痢) 18 非ホジキンリンパ腫(B 細胞もしくは免疫学的に未分類で組織学的に切れ込みの ない小リンパ球性リンパ腫又は免疫芽細胞性肉腫) 19 活動性結核(肺結核(13 歳以上)又は肺外結核) 20 サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く) 21 HIV 消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病) 22 反復性肺炎 23 浸潤性子宮頸癌 AIDS の臨床像 サーベイランスのための AIDS 診断基準に掲げた条件を満たせば AIDS と診断される。 CD4 陽性リンパ球は顕著に減少し、ほとんどの例で 200 個/μl 以下である。CD4/CD8 比も 15 - 3 - 逆転し、0.3 0.1 程度となる。β2 ミクログロブリン、ネオプテリン、IgG,IgA などが上昇す る。経過観察の指標は CD4 陽性リンパ球数、その%、CD4/CD8 比、β2 ミクログロブリン等。 (1)全身症状 全身症状としては発熱、全身倦怠感、易疲労、慢性的あるいは反復する下痢、食欲不振、 体重減少など ARC 様の症状を認める。リンパ節腫脹は、AIDS 発症の頃には消失することが多 い。脂漏性皮膚炎、カポジ肉腫などの皮膚症状もみられることがある。 (2)日和見感染症 ニューモシスチス肺炎が最も多く、約 4 分の 3 の症例に認められる。ニューモシスチス肺 炎のほか、クリプトスポリジウムによる下痢症、トキソプラスマ症、イソスポラ症などの原 虫症も見られる。 ニューモシスチス肺炎に次いで多いのがサイトメガロウイルス感染症で、3分の1以上の 症例に認められる。ウイルス感染症として単純ヘルペス、帯状疱疹が多く、EB ウイルス感染 も少なくない。AIDS で見られる口腔毛状白板症、進行性多発性白質脳症もウイルス感染症で ある。 細菌感染症では抗酸菌症が多い。サルモネラ症や一般細菌感染症の例もある。 特に耐性結核菌による結核症は増加傾向にあり、今後大きな問題となる可能性がある。 真菌症では口腔や食道のカンジダ症、肺アスペルギルス症、クリプトコックス髄膜炎など。 AIDS の主要な日和見感染症 微生物 主要感染部位 主要疾患 +-クリプトスポリジウム 原| トキソプラスマ | 赤痢アメーバ 虫| 糞線虫(腸外) +-イソスポラ 腸 脳 腸 肺、胃腸、脳、血液 腸 下痢症、胆嚢炎 脳炎 下痢症 播種性感染症(下痢症) 下痢症 +-カンジダ属 |ニューモシスチス・イロベツィー 真|クリプトコックス 菌| +-ヒストプラスマ 口腔、咽頭、食道 肺 脳、肺、リンパ節、皮膚、眼、血液 肺 口腔カンジダ症、食道炎 肺炎 髄膜炎、肺炎、リンパ節炎、膿疱、網膜炎、 真菌血症 肺炎、播種性感染症 +-非定型抗酸菌 細| 菌| サルモネラ +-結核菌 リンパ節、骨髄 肝、脾、血液、肺 腸、血液 肺、腸、髄膜 リンパ節炎、播種性感染症、 肝脾腫、肺炎 下痢症、反復性菌血症 結核症 ウ+-サイトメガロウイルス イ| ル|単純ヘルペスウイルス ス|水痘帯状疱疹ウイルス 肺、腸、眼 肝、脳、副腎 皮膚、粘膜 皮膚 肺炎、腸炎、脈絡網膜炎、肝炎、脳炎、 副腎感染症炎 単純へルペス、口腔ヘルペス、性器ヘルペス 帯状疱疹(多層性) 15 - 4 - (3)呼吸器症状 ニューモシスチス、サイトメガロ、結核、非定型抗酸菌、真菌などによる肺炎 (4)消化器症状 口腔カンジダ症、口内炎、口唇ヘルペス、下痢(ウイルス、細菌、原虫など) (5)神経症状 AIDS 痴呆症候群、脳トキソプラズマ症 (6)悪性腫瘍 カポジ肉腫、非ホジキンリンパ腫 HIV 感染症の病態のモニター (1)CD4 陽性 T リンパ球数(感染者の免疫状態の指標) (2)血漿中ウイルス量(HIV 感染症の進行速度の指標) HIV感染症の治療法 (1)HIV そのものに対する抗ウイルス療法(抗 HIV 療法) (2)低下した免疫力を回復させ、HIV に対する免疫力も増強させようとする免疫調節療法 (3)合併した日和見感染症、悪性腫瘍などに対する治療 治療の原則 ・治療目標は血中ウイルス量(HIV RNA 量)を検出限界以下に抑え続けること。 ・治療は原則として 3 剤以上を投与する強力な多剤併用療法(HAART)を行なう。 ・免疫能のいくつかの指標が改善したからといって治療を中止してはならない。 患者個々の状態や環境に応じた治療 戦略 をたてる ・抗 HIV 療法の効果維持にはアドヒアランスが重要である ・安易な治療開始や薬剤選択・変更・中止を行ってはならない ・現在の抗 HIV 療法は HIV の増殖を抑制するだけで体内から排除するものではない ・その時点での最新の情報を提供する アドヒアランス:患者が積極的に治療方針決定に参加し、自らの決定に従い服薬することを 目指す姿勢 多剤併用療法(HAART: H ighly Active Anti-Retroviral Therapy) HIV 感染症に対して治療開始を決定したら、血中ウイルス量を検出限界以下に抑え続けるこ とを目標に、多剤併用療法(HAART)を行う。それにより、HIV 感染症の進行を抑え免疫能を 保持し、QOL を改善し、HIV 感染に関連した臨床症状を改善し、死亡を減らすことを目指す。 15 - 5 - 抗 HIV 療法の目標 ・血中ウイルス量を最大限かつ長期にわたって検出限界以下に抑え続ける ・免疫能を回復/維持する ・QOL を改善する ・HIV 関連疾患および死亡を減らす 15 - 6 - 治療開始時期 ・HIV 感染症に関連した症状がある。 ・無症状でも、CD4 陽性 T リンパ球が 200/μl 未満。 目標達成のために ・抗 HIV 薬の服薬アドヒアランスを最大限 維持する(95%以上の服薬率) ・最も適切な治療戦略をたてる ・将来の治療の選択肢(抗 HIV 薬)を 考慮する ・必要に応じて、薬剤耐性検査を実施する 予防 AIDS の治療やワクチンの見通しが立っていない現在は予防が重要である。 血液媒介感染、性行為感染、HIV 感染妊婦の出産 医療機関では、感染防止の手引きを日常診療に活用して事故発生防止に努めるとともに 事故を想定してあらかじめ対応を定めておく必要がある。 15 - 7 - 医療機関内における HIV 感染予防対策 感染予防対策 汚染物の消毒法 汚染事故時の対処 職員の教育及び健康管理 HIV 感染者に対する教育及び保険指導 血液・体液曝露時の対応 HIV の血液・体液曝露時に感染成立を完全に予防する方法は確立していない。 2001 年の CDC ガイドラインでは、感染のリスクが高い場合には 曝露後に抗レトロウイルス薬 多剤併用投与を開始して、可能であれば 4 週間予防内服を継続することを推奨している。 血液または体液に曝露された創 部または皮膚は、石鹸と流水によって十分に洗浄する。 被曝露者の抗 HIV 抗体は、曝露直後を含めて曝露から 6 週間後、3 ヶ月後、6 ヶ 月後、お よび 12 ヶ月後に検査することが望ましい。 サイトメガロウイルス感染症 ヒトサイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染症は、CMV の初感染、再感染ある いは再活性化によって起こる病態で、感染と感染症は異なることを明確にする必要がある。 通常、幼小児期に不顕性感染の形で感染し、生涯その宿主に潜伏感染し、免疫抑制状態下で 再活性化(回帰感染)し、種々の病態を引き起こす。 発症するのは主に胎児、未熟児、移植後、AIDS 患者、先天性免疫不全患者などであるが、免 疫学的に正常であっても肝炎や伝染性単核症などを発症する場合がある。 感染経路は母乳感染、尿や唾液による水平感染が主経路であるが、産道感染、輸血、性行為 による感染も認められている。 臨床症状 1)先天性 CMV 感染症 低出生体重、黄疸、出血斑、肝脾腫、小頭症、脳内(脳室周囲)石灰化、肝機能異常、 血小板減少、難聴、脈絡網膜炎、DIC など多彩かつ重篤。 2)新生児、乳児期感染 水平感染が主で、ほとんどが不顕性感染かあるいは軽症に経過する。ただし、早産児や 低出生体重児の場合は、重篤な症状を呈することが多く、肝機能異常、間質性肺炎、 単核症などが主となる。 15 - 8 - 3)健常人における感染症 思春期以降に初感染を受けた場合には、伝染性単核症様の症状を呈することが多い。 発熱、肝機能異常、頸部リンパ節腫脹、肝脾腫などが主な症状であり、EB ウイルスの 初感染像と鑑別することは困難。 4)移植患者における感染症 臓器移植では、ドナー陽性、レシピエント陰性の場合に初感染のハイリスク者となり、 定期的なモニタリングが必要。早期診断、早期治療がなされない場合は、発熱、間質性 肺炎、腸炎、肝炎、網膜炎、脳炎を発症し、移植臓器を失うことにもなる。 骨髄移植の場合はドナー陰性、レシピエント陽性の場合がハイリスクである。 症状は同様であるが、その他、骨髄抑制を認めることが多く、臓器移植よりも重篤である。 5)HIV 感染者における感染 症 CD4 陽性 T 細胞が 500/mm3 以下になると、CMV を含め日和見感染症を発症するリスクが 高くなる。特に 50/mm3 以下の場合は頻度、重症度共に高く、あらゆる臓器にウイルスが 感染する。網膜炎、腸炎、脳炎を発症することが多く、間質性肺炎は移植患者の場合と 異なり、頻度は低い。 病原診断 1)先天性 CMV 感染症の診断 2(ないし 3)週間以内の尿からウイルスが分離されると確定される。最近では、抗原血症 や分子生物学的手法による DNA 診断や mRNA 診断が用いられる。 2)それ以外の時期における感染症 の診断 mRNA 検出のための NASBA (nucleic acid sequence based amplification )法、ウイルス 抗原を検出するための antigenemia 法、DNA 検出のための PCR 法、直接ウイルスを分離する 方法、ウイルス特異的 IgM 抗体の測定。 保険適用は antigenemia 法とウイルス特異的 IgM 抗体の測定のみである。 治療 CMV 高力価γグロブリン、ガンシクロビル、ホスカルネットが用いられる。 CMV は単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスと異なり、ウイルス特異的酵素である thymidine kinase (TK)を有さないウイルスのため、アシクロビルは有効ではない。 15 - 9 - HTLV-1 感染症 病態・症候 ヒトレトロウイルス HTLV‐1 は逆転写後 DNA となり、CD4 陽性 T 細胞の遺伝子 DNA に組み 込まれ、プロウイルスとなる。プロウイルス遺伝子は発現し、体内で二次感染を生ずるため 感染細胞は多クローン性である。感染細胞は生涯消えず、感染者を HTLV‐1 キャリアという。 ・成人 T 細胞白血病(Adult T-cell leukemia/lymphoma: ATL)は、幼少時に母乳を介し母親か ら感染した HTLV‐1 キャリアにのみ発症する。 CD4 陽性 T 感染細胞が数種類の突然変異で腫瘍化し、単クローン性に増殖したのが ATL である。 ・HTLV-I-associated myelopathy/tropical spastic paraparesis (HAM/TSP)や ぶどう膜炎などの自己免疫性疾患は慢性に経過し、それ自体致命的になることは 比較的少ない。自己免疫性疾患は成人感染によっても発症するが、生涯発生率は ATL より少ない。 ATL の症候 リンパ節腫脹、皮膚症状、高 Ca 血症、肝腫、脾腫 HAM の症候 緩徐進行性の痙性歩行障害、排尿障害、感覚障害 HTLV-1 関連疾患 HTLV-I 関連ブドウ膜炎(HTLV-I-associated uveitis: HAU) HTLV-I 関連関節症(HTLV-I-associated arthropathy: HAAP) HTLV-I 関連気管支肺胞症/細気管支肺胞異常症 (HTLV-I associated bronchitis/bronchiolo- alveolar disorder: HAB/HABA) 診断 キャリアの診断は抗体検査による。臨床的に白血病、リンパ腫を疑った場合の ATL 診断は、 HTLV-I 抗体陽性、血液像 (flower cell) 、腫瘍細胞への HTLV-I プロウイルス DNA の モノクローナルな組み込みの証明。(southern blotting)。 他の疾患に関しては、除外診断と HTLV-I 抗体陽性によって診断する。 15 - 10 - 治療 ・キャリアの治療は必要ない。 ・急性型 ATL VEPA 療法:ビンクリスチン(VCR)、シクロホスファミド(CPM)、ドキソルビシン(ADM)、 プレドニゾロン(PSL) G‐CSF を加えた多剤化学療法(LSG15)でも 50%生存期間は約 1 年にすぎない。 同種幹細胞移植。 ・くすぶり型、慢性型は経過観察する。 ・HAM/TSP 抗痙縮薬による対症療法、副腎皮質ステロイド 15 - 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