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今年の海外医療情報交換会に参加して

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JOMF NEWS LETTER
No.250 (2014.11)
海外メンタルヘルスの現場からⅡ
(19)今年の海外医療情報交換会に参加して
シンガポール日本人会クリニック
医師
日暮
真由美
2014 年 10 月 9 日 に JOMF 恒 例 の 海 外 医 療 情 報 交 換 会 に 参 加 さ せ て 頂 き ま し た 。
今年は感染症がテーマだったので、メンタルヘルスとは一見あまり関係ないよ
うに思われた方も多いと思いますが、まったく無縁というわけでもないことを
少しお話させていただきました。今回は再度その報告の内容を書いてみたいと
思います。
一 つ は 、た と え ば SARS や 鳥 イ ン フ ル エ ン ザ な ど の パ ン デ ミ ッ ク が 予 想 さ れ る
重症感染症に対する社会心理的反応です。人々の心理状態がその感染症が大流
行するかしないかまでも左右しかねない可能性もあります。
不安や恐怖でパニックに陥ることが噂、流言を生む土壌となる。それが進ん
で し ま う と 、事 実 で は な い 噂 や 嘘 を 人 々 が 心 か ら 信 じ て し ま う 妄 想 状 態 と な る 。
妄想状態が広まってくると、そのような人々に正しい情報を与えようとしても
対応が大変難しくなってしまいます。また、誤った情報からは差別やいじめの
問 題 も 生 ま れ 、 感 染 自 体 が あ る 程 度 落 ち 着 い て も ト ラ ウ マ ( PTSD) の 問 題 が 出
てくることがあります。
ではどうしたらいいのか?
重要なのは、信頼できる機関、海外の邦人社会
に お い て は 大 使 館 だ っ た り 医 療 機 関 や 学 校 、駐 在 員 を 置 く 日 系 企 業 だ っ た り が 、
在外の日本人社会に対して逐次情報を提供していくことであり、そのためには
危機管理の一環として日頃からそういった対策を考え、整えていく必要があり
ます。残念ながらというか幸いにもというか、私にはまだ海外での大きな感染
症流行時の実体験がありませんが、シンガポール政府は種々の感染症の流行に
備えて注意喚起を促すレターやメールをかなり頻繁に医療関係者個人個人に宛
てて出してくれています。医療の専門家としてその情報をさらに皆さんへ伝え
ていく使命があると考えています。
ま た 、 2003 年 に 北 京 で 医 務 官 の 立 場 で SARS の 現 場 に 身 を 置 か れ た 勝 田 吉
彰先生という方がご自身の貴重なご経験から多くの論文を書かれたり講演をし
てくださっており、そこからもたくさん勉強させていただいています。海外駐
在員の健康を管理されていらっしゃる企業の皆さんにとっても大変参考になる
ことがたくさんありますので、ぜひ勝田先生が公開されている情報にアクセス
してみてください。
JOMF NEWS LETTER
No.250 (2014.11)
も う 一 つ 、感 染 症 が ら み で 日 常 診 療 で 出 会 う メ ン タ ル ヘ ル ス の 問 題 と 言 え ば 、
エイズになってしまったかもしれない、エイズになったに違いない、という性
感染症がらみの心気症、不安症の病気です。当院ではそのような訴えで、1 年
に 1~ 2 人 く ら い の 駐 在 員 男 性 の 受 診 が あ り ま す 。シ ン ガ ポ ー ル で は 日 本 の よ う
に 気 軽 に 匿 名 で HIV 検 査 を 行 う こ と が で き ま せ ん 。 も し 陽 性 が 判 明 し た 場 合 に
は国外退去となってしまうため、検査をして安心するということも簡単には決
心できず、誰にも相談できずに悩みが深くなってしまうのかもしれません。病
院に現れるときには抑うつ状態で仕事にもさしつかえていたケースもありまし
た。エイズ感染に関してはいまだに偏見、不確かな知識がはびこっており、そ
の わ り に は 海 外 へ や っ て く る 日 本 人 の HIV 感 染 予 防 へ の 意 識 が 低 い の が 現 実 で
す。やはりパンデミックの感染症と同様にこの場合も正しい情報提供を持って
いることは大事です。駐在先の国、土地柄に合わせた感染予防の知識が派遣企
業からも提供されることがのぞましく思います。
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