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公益財団法人
地球環境戦略研究機関
アジア水環境パートナーシップ [ WEPA ]
アジア水環境管理アウトルック
WEPA Outlook on Water Environmental Management in Asia 2015
2015
WEPA
アジア水環境管理アウトルック
アジア水環境パートナーシップ(WEPA)
環境省
公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
ⓒ 2015 Ministry of the Environment, Japan. All rights reserved
ISBN: 978 - 4 - 88788 - 183 - 9
この出版物の内容は執筆者の見解であり、WEPAパートナー国の公式見解を述べたものではありません。
環境省
水・大気環境局水環境課
〒100 - 8975
東京都千代田区霞が関 1 - 2 - 2
Tel: 03 - 3581 - 3351
http://www.env.go.jp/
公益財団法人 地球環境戦略研究機関( IGES )
自然資源・生態系サービス領域
〒240 - 0115
神奈川県三浦郡葉山町上山口 2108 - 11
Tel: 046 - 855 - 3700
http://www.iges.or.jp/
WEPA 水環境管理アウトルック2015 IGES 執筆チーム:
[ 原稿執筆チーム ]
自然資源・生態系サービス領域
マネージャー(水資源管理)久山哲雄
政策研究員 Binaya Raj Shivakoti
政策研究員 Bijorn Kumer Mitra
政策研究員 Pham Ngoc Bao
プロジェクトマネージメントオフィス
シニアコーディネーター 片岡八束
[ 支援チーム ]
自然資源・生態系サービス領域
アドミニストラティブアシスタント 上松紀代子
プロジェクトアシスタント 荒井麻里
目次
はじめに
............................................................................................................................................................................................................................
WEPAからのメッセージ
謝辞
5
..............................................................................................................................................................................
6
..........................................................................................................................................................................................................................................
8
略語 ............................................................................................................................................................................................................................................... 9
[ 第1章 ] WEPAパートナー国の水環境管理の概況
. ..................................................................................
14
[ 第2章 ] WEPAパートナー国における水環境管理に関する国別情報
2.1
カンボジア
2.2
中国
2.3
インドネシア
2.4
...........................................................................................................................................................................................
30
.............................................................................................................................................................................................................
36
.....................................................................................................................................................................................
42
日本
.............................................................................................................................................................................................................
48
2.5
韓国
.............................................................................................................................................................................................................
56
2.6
ラオス人民民主共和国 ...................................................................................................................................................... 62
2.7
マレーシア
. .........................................................................................................................................................................................
68
2.8
ミャンマー
...........................................................................................................................................................................................
74
2.9
ネパール
................................................................................................................................................................................................
78
2.10 フィリピン ............................................................................................................................................................................................. 84
2.11 スリランカ ............................................................................................................................................................................................ 92
2.12 タイ .............................................................................................................................................................................................................. 98
2.13 ベトナム .............................................................................................................................................................................................. 106
付録
WEPA諸国における社会、経済、水に関する指標
.............................................................................................
118
参考文献 ........................................................................................................................................................................................................................ 122
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
3
はじめに
アジア諸国は近年経済成長による恩恵を享受している一方で、深刻な水質汚濁の問題に直面している。
水質汚濁は生活環境の悪化とともに利用可能な水の減少を引き起こす可能性がある。このような背景のも
と、ガバナンスの観点から水環境問題を解決することを目的とし、2003 年の第 3 回世界水フォーラムにお
いてアジア水環境パートナーシップ( WEPA )が環境省によって提唱された。
WEPAでは、2004 年から、アジア13 カ国のパートナー国(カンボジア、中国、インドネシア、日本、韓国、
ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム)の協力のもと、水環境
問題を解決するために、関係者の能力向上及び解決策の情報・知識共有を行ってきた。
アジア地域の水質に関する問題を解決するためには、関係者の間で共通認識を持つことが重要であるこ
とを考慮し、このイニシアティブで蓄積された情報及び知識、並びに人的ネットワークを活用して、
「水環境
管理に関するWEPAアウトルック」を作成した。この報告書は、アジア地域の行政官、専門家及び水セク
ターのその他関係者を対象に、水環境の現状及び管理の状況に関する最新かつ有益な情報を提供するこ
とを目的としている。世界のその他の地域において水質問題に取り組んでいる関係者に有益な情報源とし
て、2009 年にイスタンブールで行われた第 5 回世界水フォーラム及び 2012 年にマルセイユで行われた第
6 回世界水フォーラムの際に、それぞれ第 1 版及び第 2 版が既に出版されている。
本書はその第3版にあたり、主に「第1章WEPAパートナー国の水環境管理の概況」及び「第2章WEPAパー
トナー国における水環境管理に関する国別情報」の 2 つの章によって構成されている。第 1 章では、各国の
水環境管理に関する制度の枠組みについての分析結果を概説する。第 2 章は、WEPA パートナー国それぞ
れの水環境管理の最新情報を提供する。また、これまでの WEPA 年次会合で議論された、持続可能な水環
境管理を実現するために解決するべき現在の課題及び今後の取り組みについて示した「WEPAメッセー
ジ」も掲載する。
WEPAアウトルック2015 は韓国大邱及び慶尚北道で行われる予定の第 7 回世界水フォーラムに向けて
出版される。この報告書がアジア地域のみならず世界の他の国で水環境問題に取り組んでいる人々にとっ
て有益な情報源となるとともに、アジア地域の持続可能な水環境管理に貢献することを願っている。
2015 年 3月
環境省
公益財団法人 地球環境戦略研究機関( WEPA 事務局)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
5
アジアの持続可能な水環境管理に向けて必要な行動
WEPAからのメッセージ
1
リオ+ 20 の成果文書「私たちが望む未来」において強調されているように、水は持続可能な開発の中心となる
存在であると広く考えられており、そのほかの主要な地球規模の課題と密接に関係している。安全な水供給及
び適切な衛生施設へのアクセスは依然として持続可能な開発にとって世界的な課題であり、貧困撲滅、社会的
公正及び人間の幸福と関係がある。過去 15 年にわたって、水の目標、特に衛生に関する目標を達成するため
に、国際社会は努力を重ねてきた。しかしながら、それらの衛生施設から排出される排水の影響、すなわち、
処理水及び汚泥については、ほとんど注目されることがなく、現在取り組むべき課題となっている。
2
アジア地域は一般的に水の恩恵を享受している。しかしながら、洪水や干ばつのように、水量に関する両極端
な季節変動による被害も被ってきた。このことは、水資源管理の一端として、この地域が水資源管理に関係す
る複雑な課題に直面していることを意味している。さらに、過去 20 年間において、経済及び人口の点において
急成長を遂げており、その発展は時に持続不可能な開発をも伴ってきた。このため、この地域の人々は、特に
貧困者への不十分な水のアクセス、
飲料水源の汚染、特に都市地域及
び郊外地域において生活系、工業
系、農業系から排出される未処理排
水による深刻な水質汚濁、水系生態
系の劣化といった水量・水質双方へ
の負の環境影響を経験している。
3
汚濁物質の中で、有機系汚濁及び富栄養化は、特に人口密集地の水域で依然として共通の問題として認識さ
れている。この汚染の問題は、地域によってその深刻度は異なるものの、地域社会の幸福、生物多様性、自然
資源及び生態系に深刻な負の影響を与えている。この観点から、生活系及び工業系から排出される排水はよ
り適切に処理されなければならず、適切な管理枠組み及び実施手段が必要であり、地域のニーズ、状況及び
能力を考慮に入れながら計画しなければならない。
4
社会経済の発展に伴う圧力に加えて、気候変動による大きなリスクが水資源に対して深刻な問題を引き起こし
ている。気候変動に備えかつ適応するためには、現在の水環境管理システムに「後悔しない」考え方をより良
く組み込むことが不可欠であり、さらに、気候変動影響に関する科学的な知識が必要であり、広い範囲の政策
立案プロセスの中で考慮しなければならない。
5
過去 20 年間において水質管理に進展がみられる
が、WEPA パートナー国はこの傾向をさらに加速さ
せるためには以下に示させる課題に取り組むべき
であるという共通の認識を有している。
a )産業構造や実際の排水水質に基づく排水基準
の見直しを含む、社会経済状況や水環境の現
状に見合った既存の法制度の見直し
6
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
b )中長期的な気候変動課題に対応するための時系列データに
重点をおいた、水質のモニタリング及び評価に関する能力強
化。データ及び知識管理の重要な要素として、モニタリング
結果を様々な関係者に公表する。
c )水質汚濁防止の適切かつ効果的な地域の行動を促進するた
めの、現場レベルでの水環境に対する汚染源及び負荷量の
特定
d )生活排水による水質汚濁を防止するために、特に人口密集地域において、生活雑排水による影響により着
目する。
e )自然社会条件及び開発のレベルに見合った処理技術の選定も組み合わせた、排水処理施設の改善。特
に、処理施設の維持管理のための人的及び組織的な強化。従来型の排水処理手法に比べて、維持管理が
簡易であり、低コストで環境にやさしく社会的に受け入れ可能な技術に高い優先順位をつける。
f )遵守の強化。特に排水及び汚泥管理を対象とした、水質管理に関する法政制度を強化する。
g )行政官と研究者との対話の促進を含む、水環境を改善するた
めの水環境管理における科学的知見の活用
h )革新的かつ効果的な資金調達及びインセンティブメカニズム
による排水及び汚泥管理における資金的持続可能性の確保
i )民間企業やコミュニティーに代表される多様なステークホル
ダーの水環境管理への関与の促進。適切な官民協同( PPP )
モデルの推進。
6
7
さらに、WEPAでは、ポスト2015 国際開発アジェンダ(ポストMDG 及び SDGs )の議論は、水資源の問題には引
き続き重点を置き、さらに水質及び排水管理の問題に範囲を広げていると認識している。WEPAでは、このよ
うな国際的な目標は、アジア地域の水環境を改善するための行動に拍車をかけると予見している。
この点に配慮し、WEPAでは 2014 年に始まった第 3 期において、WEPA データベース、政策対話及びワーク
ショップといった既存の WEPAのスキームを通して、引き続きWEPA パートナー国間の教訓と知識の共有を促
進する。さらに、実施上の課題に取り組むことを目的とし、WEPA パートナー国における行動を促進する枠組み
も開始した。この枠組みでは、水環境政策及び管理の健全な計画及び実施に隠されている「ボトルネック」に
なっている具体的な問題に対処するための小規模な行動(アクション)の実施を支援する。このアクションプロ
グラムで蓄積された実践的な教訓及び知見は、パートナー国間だけでなく、WEPA データベースを通してより
広い関係者に共有される計画である。また、WEPAの活動による影響を最大化するための機会を広げるため
に、同じ考えを持つネットワーク、国際機関や援助機関との関係強化も図っていく。
8
アジア地域の人々の幸福と持続可能な開発を考え、WEPAは、協力を強化し、知識を利用し、保全や保護に関
する行動を起こすことで世界の水環境の改善に取り組んでいく。われわれは、これらの努力が、水環境ガバナ
ンスの改善、関係者の能力向上及びポスト2015 国際開発アジェンダの実施にも貢献することを確信している。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
7
謝辞
WEPA 事務局は、本書作成にあたって多大な貢献と建設的なご助言、並びに多くの支援を頂いた WEPA パートナー
国の担当者及び協力提供者の方々、また多大なご支援と貴重なご意見を頂いた WEPA 国内検討委員会委員の方々
に対し、厚くお礼申し上げます。
カンボジア
Sokha Chrin* 環境省技術局 副局長
中国
Li Liping* 環境保護部 環境経済政策研究センター
国際環境政策研究所 研究員
インドネシア
Budi Kuruniawan* 環境省インフラ・サービス課 課長
ラオス
Phengkamla Phonvisai
天然資源環境省汚染管理局法律・情報課 課長
日本
二村 英介
環境省水大気環境局水環境課 課長
安田 将広 *
環境省水大気環境局水環境課 課長補佐
韓国
Teagu Kang* 国立環境研究院( NIER )水質管理センター 上席研究員
ミャンマー
Tint Zaw*
農業灌漑省灌漑局 副局長
Mu Mu Than
農業灌漑省灌漑局事業計画課 アシスタントエンジニア
マレーシア
Ahmad Jamalluddin bin Shaaban*
天然資源環境省水文研究所( NAHRIM ) 所長
ネパール
Kamal Ram Joshi* 水エネルギー委員会事務局 上級水文担当官
8
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
* WEPAメンバー国のフォーカルポイント
所属、役職は、2015 年 2月現在のものです。
フィリピン
Vincente B. Tuddao Jr.
環境天然資源省地方業務運営担当次官室
ガバナンス・執行担当局長
Erlinda A. Gonzales* 環境天然資源省環境管理局 環境顧問技術員
スリランカ
R.M.S.K. Ratnayake*
中央環境庁 課長(環境汚染防止)
Himali Karunaweera
中央環境庁 主任補佐(環境汚染防止)
タイ
Wijarn Simachaya
天然資源環境省 事務次官補
Thiparpa Yolthantham*
天然資源環境省汚染管理局計画課 課長
ベトナム
Do Nam Thang
天然資源環境省国際協力局 副局長
(地球環境ファシリティベトナム実務フォーカルポイント兼務)
Nguyen The Dong*
天然資源環境省ベトナム環境庁 副長官
WEPA 国内検討委員会
鈴木 基之
東京大学 名誉教授
岡田 光正
放送大学 教授
福士 謙介
東京大学サステイナビリティ学連携研究機構( IR 3 S ) 教授
風間 聡
東北大学大学院工学研究科 教授
略語
ADB
Asian Development Bank
アジア開発銀行
DoNRE
Department of Natural Resources and Environment
天然資源環境局(ベトナム)
AMDAL
Environmental Impact Assessment Statements
環境影響評価報告書(インドネシア)
DPWH
Department of Public Works and Highways
公共事業・高速道路省(フィリピン)
AN
Ammonium Nitrogen
アンモニア性窒素
DWSS
Department of Water Supply and Sewerage
水供給・下水局(ネパール)
BOD
Biochemical Oxygen Demand
生物化学的酸素要求量
EHS
Environmental Health Service
環境保健事業公団(フィリピン)
BOI
Board of Investment
投資委員会(タイ)
EIA
Environmental Impact Assessments 環境影響評価
BFAR
Bureau of Fisheries and Aquatic Resources 農務省漁業水産資源局(フィリピン)
EMB
Environmental Management Bureau 環境管理局(フィリピン)
BSWM
Bureau of Soil and Water Management 農業省土壌・水管理局(フィリピン)
EPA
Environment Protection Act 環境保護法(ネパール)
CBS
Central Bureau of Statistics 中央統計局(ネパール)
EPL
Environmental Protection Law 環境保護法(ラオス)
CDC
Council of Development of Cambodia
カンボジア開発協議会
EPLs
Environmental protection licenses 環境保護ライセンス(スリランカ)
CEA
Central Environment Authority
中央環境庁(スリランカ)
EQA
Environmental Quality Act
国家環境保全推進法(タイ)
CEM
Centre of Environmental Monitoring
環境モニタリングセンター(ベトナム)
EQS
Environmental Quality Standards 環境基準(日本)
CNMC
Cambodia National Mekong Committee
カンボジア国家メコン委員会
ESSO
Environmental and Social Services Office 環境社会事業室(フィリピン)
COD
Chemical Oxygen Demand
化学的酸素要求量
EVN
Viet Nam Electricity Corporation ベトナム電気会社
CRMP
Coastal Resource Management Project
沿岸資源管理事業(スリランカ)
FAO
Food and Agriculture Organization 国連食糧農業機関
CWTPs
Combined Wastewater Treatment Plants
複合排水処理施設
FCB
Faecal Coliform Bacteria 糞便性大腸菌群
DAO
DENR Administrative Order
環境天然資源省令(フィリピン)
FMB
Forest Management Bureau 森林管理局(フィリピン)
DA
Department of Agriculture
農業省(フィリピン)
GB
Chinese National Standards 国家基準(中国)
DDA
Department of Development Affairs
開発局(ミャンマー)
GB/T
Recommended Standards 地下水質基準(中国)
DDCs
District Development Committees
地区開発委員会(ネパール)
GDP
Gross Domestic Product 国内総生産
DENR
Department of Environment and Natural Resources
環境天然資源省(フィリピン)
ICIMOD
International Centre for Integrated Mountain Development
国際総合山岳開発センター(ネパール)
DHM
Department of Hydrology and Meteorology
環境省気象局(ネパール)
ID
Irrigation Department 灌漑局(ミャンマー)
DILG
Department of Inferior and Local Government
国務地方自治省(フィリピン)
IETS
Industrial Effluent Treatment Systems 産業排水処理システム(マレーシア)
DKI
Special Capital City District
ジャカルタ首都特別州(インドネシア)
IGES
Institute for Global Environmental Strategies
公益財団法人 地球環境戦略研究機関
DO
Dissolved Oxygen
溶存酸素
IMF
International Monetary Fund
国際通貨基金
DoE
Department of Environment
環境局(マレーシア)
ISES
Industry-Specific Effluent Standards
産業別排水基準(フィリピン)
DoEPC
Department of Environmental Pollution Control 汚染管理局(カンボジア)
ISO
International Organization for Standardization
国際標準化機構
DoH
Department of Health
保健省(フィリピン)
IWK
Indah Water Konsortium
インダウォーター共同企業体(マレーシア)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
9
KeTTHA
Ministry of Energy, Green Technology, and Water
エネルギー・水・通信省(マレーシア)
MPWT
Ministry of Public Works and Transportation
公共事業運輸省(ラオス)
LAO
Local Administrative Organisation 地方行政機関(中国)
MRC
Mekong River Commission
メコン河委員会
LGUs
Local Government Units 地方自治体(フィリピン)
MWQCS
Marine Water Quality Criteria and Standards
海洋水質基準及び規格(マレーシア)
LLDA
Laguna Lake Development Authority ラグナ湖開発公社(フィリピン)
MWQI
Marine Water Quality Index
海洋水質指標(マレーシア)
LSGA
Local Self Governance Act 地方自治法(ミャンマー)
MWR
Ministry of Water Resources
水利部(中国)
LWUA
Local Water Utilities Administration 地方水道公社(フィリピン)
MWSS
Metropolitan Water Works and Sewerage System
首都圏上下水道公社(フィリピン)
MARD
Ministry of Agriculture and Rural Development 農業・農村開発省(ベトナム)
NA
National Assembly
国民議会
MBAS
Methylene Blue Active Substances
界面活性剤
NAA
Non-Attainment Areas
未達成地域
MDG
Millennium Development Goal
ミレニアム開発目標
NCEA
National Commission for Environmental Affairs
国家環境問題委員会(ミャンマー)
MENR
Ministry of Environment and Natural Resources
天然環境資源省(スリランカ)
NCSD
National Council for Sustainable Development
持続可能な開発国内評議会(スリランカ)
MEP
Ministry of Environmental Protection
環境保護部(中国)
NDWQS
National Drinking Water Quality Standards
国家飲料水基準(フィリピン)
MEPA
Marine Environment Protection Authority
海洋環境保護庁(スリランカ)
NEA
National Environmental Act
国家環境法令(スリランカ)
MLIT
Ministry of Land, Infrastructure,
Transport and Tourism of Japan
NEB
National Environmental Board
国家環境委員会(タイ)
NEDA
National Economic and Development Authority
経済開発庁(フィリピン)
NGO
Non Governmental Organization
非政府組織
国土交通省(日本)
MoAIMD
Ministry of Agriculture,
Irrigation and Mahaweli Development
農業灌漑マハヴェリ開発省(スリランカ)
MoC
Ministry of Construction
建設省(ベトナム)
NIA
National Irrigation Administration
国家灌漑庁(フィリピン)
MoCT
Ministry of Construction and Transportation
建設交通部(韓国)
NIS
National Institute of Statistics
計画省統計局(カンボジア)
MoE
Ministry of Environment
環境省(カンボジア、インドネシア、日本)
NLCDC
National Lake Conservation Development Committee
国家湖沼保全開発委員会(ネパール)
MoECAF
Ministry of Environmental Conservation and Forestry
環境保全林業省(ミャンマー)
NLMA
National Land Management Authority
国有地管理庁(ラオス)
MoEJ
Ministry of the Environment, Japan
環境省(日本)
NPC
National Power Corporation
国家電力公社(フィリピン)
MoF
Ministry of Finance
財務省(ベトナム)
NRE
Ministry of Natural Resources and Environment
天然資源環境省(マレーシア)
MoH
Ministry of Health
保健省(ベトナム)
NSDW
National Standards for Drinking Water
国家飲料水基準(フィリピン)
MoHA
Ministry of Home Affairs
内務省(ベトナム)
NSO
National Statistics Office
国家統計局(フィリピン)
MoIT
Ministry of Industry and Trade
工業貿易省(ベトナム)
NTNC
National Trust for Nature Conservation
自然保護ナショナルトラスト
(ネパール)
MoNRE
Ministry of Natural Resources and Environment
天然資源環境省(ラオス、タイ、ベトナム)
NWP
National Water Plan
国家水計画(ネパール)
MoSTI
Ministry of Science, Technology and Innovation
科学技術革新省(マレーシア)
NWQS
National Water Quality Standards
国家水質環境基準(マレーシア)
MoT
Ministry of Transport
交通省(ベトナム)
NWRB
National Water Resources Board
国家水資源委員会(フィリピン)
MoU
Memorandum of Understanding
覚書
NWS&DB National Water Supply and Drainage Board
MoWRAM Ministry of Water Resources and Meteorology
水資源気象省(カンボジア)
MPI
10
Ministry of Planning and Investment
計画・投資省(ベトナム)
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
国家給水排水公団(スリランカ)
ONEP
Office of Natural Resources and
Environmental Policy and Planning
天然資源環境政策計画局(タイ)
PC
City of Provincial People’s Committee
行政区人民委員会(ベトナム)
PCAs
Pollution Control Areas
汚染防止地域
TP
Total Phosphorus
全リン
PCB
Polychlorinated Biphenyl
ポリ塩化ビフェニル
TPLCs
Total Pollutant Load Control System
総量規制制度
PCD
Pollution Control of Department
公害規制局(タイ)
TSS
Total Suspended Solids
全浮遊物質
PCE
Perchloroethylene
ペルクロロエチレン
TSGL
Tonle Sap Great Lake
トンレサップ大湖
PD
Presidential Decree
大統領令(フィリピン)
UKL-UPL
Environmental Management Effort and
Environmental Monitoring Efforts
pH
Power of Hydrogen( hydrogen-ion concentration )
水素イオン指数
UNDESA
PNSDW
Philippines National Standards for Drinking Water
国家飲料水水質基準(フィリピン)
United Nations Department of Economic and Social Affairs
国連経済社会局
UNDP
PPP
Polluter Pay Principal
汚染者負担原則
United Nations Development Programme
国連開発計画
UNEP
PPSDAL
Research Centre for Natural Resources and Environment
自然資源・環境研究センター(インドネシア)
United Nations Environmental Programme
国連環境計画
UNESCO
PRC
People’s Republic of China
中華人民共和国
United Nations, Educational, Scientific and
Cultural Organization
国連教育科学文化機関
RA
Republic Act
フィリピン共和国法令
UNICEF
United Nations Children’s Fund
国連児童基金
RBIMS
River Basin Integrated Information Management Systems
河川流域の統合情報管理システム(フィリピン)
VAT
Value Added Tax
付加価値税
ROK
Republic of Korea
大韓民国
VDCs
Village Development Committees
村落開発委員会(ミャンマー)
PROPER
Pollution Control Evaluation and Rating
環境管理評価(インドネシア)
VEA
Viet Nam Environment Administration
環境庁(ベトナム)
PU
Ministry of Public Works( Indonesia )
公共事業省(インドネシア)
VOC
Volatile Organic Compounds
揮発性有機化合物
SEPA
State Environmental Protection Administration, China
国家環境保護総局(中国)
WATSAN
Water and Sanitation
水・衛生管理専門家
SLS
Sri Lanka Standards( test method )
標準規格(調査法)
(スリランカ)
WCP
Wastewater Charge Programme
排水料金徴収プログラム(スリランカ)
SMEs
Small and Medium Enterprises
中小企業
WDI
World Development Indicator
世界開発指標
SOEs
State Owned Enterprises
国有企業
WECS
Water and Energy Commission Secretariat
水エネルギー委員会事務局(ネパール)
SS
Suspended Solids
浮遊物
WEPA
Water Environment Partnership in Asia
アジア水環境パートナーシップ
SSD
Sewerage Service Department
下水道事業局(マレーシア)
WHO
World Health Organisation
世界保健機構
TCB
Total Coliform Bacteria
全大腸菌群数
WQC
Water Quality Criteria
水質基準(インドネシア)
TCE
Trichloroethylene
トリクロロエチレン
WQI
Water Quality Index
水質指標(マレーシア、タイ)
TCVN
National Environmental Standards
国家基準(ベトナム)
WQMA
Water Quality Management Areas
水質管理地域(フィリピン)
TDS
Total Dissolved Solids
総溶解固形物
WQMAP
Water Quality Management Action Plan
水質管理行動計画(フィリピン)
TKN
Total Kjehldahl Nitrogen
総ケルダール窒素量
WREA
Water Resources and Environment Administration
水資源環境庁(ラオス)
TMDLs
Total Maximum Daily Load System
総合最大負荷量規制
WRUD
Water Resources Utilization Department
水資源利用局(ミャンマー)
TMS
Tele-Monitoring system
水質遠隔モニタリングシステム(韓国)
WWF
World Wide Fund for Nature
世界自然保護基金
TN
Total Nitrogen
全窒素
YCDC
Yangon City Development Committee
ヤンゴン市開発委員会
TOC
Total Organic Carbon
全有機炭素
環境管理及びモニタリング活動(インドネシア)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
11
第
WEPAパートナー国の
水環境管理の概況
1章
WEPAパートナー国の水環境管理の概況
アジア水環境パートナーシップ(WEPA)は、13 のパート
各国が抱えている水環境汚染問題の種類や規模によっ
ナー国における水環境ガバナンスを改善することで、水環
て、枠組みの進展状況は当然変わってくる。よって、ここで
境問題に取り組み事を目的に設立されたものである。この
は各国の進展を比較・評価することは意図せず、各国の進
目的のために、WEPAでは解決策を探るためのパートナー
展を概観することに焦点を置く。また、ここで扱うのは枠組
国間の知識共有を促進してきている。異なる自然条件及び
みの概況であり、枠組みの実施状況やその効果について
社会経済状況の下、WEPA パートナー国はお互い異なる水
は原則的に検討の対象としない。
の問題に直面しているため、その問題に対処するために計
画されている政策や対策もそれぞれの国で異なり、独自に
制定されている状況である。それ故に、上記をレビューし、
パートナー国間でどのような相違点や共通点があるのかを
01. 水環境管理の目的
法制度
明らかにするとともに、WEPA パートナー国における水環
ほとんどの WEPA パートナー国で、持続可能な開発の基
境管理制度の課題を明確にすることは大変有益であり、ま
盤として、人間の健康、安全な生活環境、環境保全を目的と
た、お互いの共通認識を持つことで深い議論が今後可能
した基本的な環境法が整備されている。これらの目的は、
になる。
水環境管理に関しても適用されている。
本章では、次章で取り上げられている各国の水環境管理
ミャンマーでは、2012年3月に「環境保護法(Pyidaungsu
の概況をもとに、WEPA パートナー国の水環境管理の状況
Hluttaw 法 No. 9 / 2012)」が制定され、2012 年 4 月に施
を横断的に整理し、パートナー国間の共通の課題を明らか
行されている。
にすることを目的とする。 本章ではまた、各国の水環境管
水環境汚濁防止のための個別法(水質汚濁法や特定の
理の枠組みについて以下の視点で整理する。
公共水域を保全するための法律)を定めている国の中
1)法制度や水質環境基準を含む水環境管理の目的、
には、水環境を保全する目的をさらに詳しく規定してい
2)水環境のモニタリング、
る国がある。
3)実施や遵守を確保するための方策、
特に排水管理に着目する。
表1.1. WEPAパートナー国における基本法及び水質汚濁防止のための個別法
国
環境基本法
水質汚濁防止のための個別法
カンボジア
環境保護と天然資源管理に関する法律
• カンボジア王国水供給及び衛生に関する法案
中国
環境保護法
• 水質汚濁防止法
• 海洋環境保護法
インドネシア
環境保護管理法(法律第 32 / 2009)
日本
環境基本法
• 水質汚濁防止法
• 湖沼水質保全特別措置法
• 瀬戸内海環境保全特別措置法
• 有明海及び八千代海等を再生するための特別措置法
• 特定水源利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する
韓国
環境政策基本法
• 水質及び水生態系保全法
• 漢江水質改善及び地域社会支援に関する法律
• 洛東江流域管理及び地域社会支援に関する法律
• 錦江流域管理及び地域社会支援委関する法律
• 栄山江―蟾津江流域管理及び地域社会支援に関する法律
• 海洋汚染防止法
ラオス
環境保護法
特別措置法
14
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第一章 WEPA パートナー国の水環境管理の概況
マレーシア
環境法
ミャンマー
環境保護法
ネパール
環境保護法第 2053 号
• Selangor 水管理庁法
• Kedah 水資源法
• サバ環境保全法
• サバ水資源法
• サラワク天然資源環境条例
• 共和国法(PA)9275 水質浄化法
• DAO 第 2005 - 10 PCWA 実施規則
フィリピン
スリランカ
国家環境保護法第 47 号( 2000 年改正第 53 号)
• 海洋汚染防止法第 35 号
• 沿岸保全法( 1984 年法律第 57 号、1988 年改正第 64 号)
タイ
国家環境保全推進法(EQA)B.E. 2535
• 地下水法
ベトナム
環境保護法
行政目標としての水質環境基準
環境基準が提案されたが、その承認が遅れている状況
スリランカとミャンマーを除くすべての WEPA パートナー
である。
国で水質環境基準が設定されている状況である。
ミャンマーでは、2012 年に制定された環境保護法で、表
表流水の水質環境基準に比べると、地下水について設
流水、海水及び地下水の水質環境基準の設定について
定している国の数は少ない。
規定されており、設定に向けた議論が始まった段階であ
スリランカでは、2000年に中央環境庁により陸水の水質
る。
表1.2. WEPAパートナー国における水質環境基準
国
表流水
地下水
海洋・沿岸
出典
カンボジア
公共用水域における
水質基準
公共用水域における
水質基準
公共用水域における
水質基準
• 水質汚濁の管理に関する政令
中国
表流水環境基準
地下水質基準
海水質基準
• 表流水質基準(GB 3838 - 2002)
• 地下水質基準(GB/T 14848 - 9)
• 海水質基準(GB 3097 - 1997)
インドネシア
水質基準
水質基準
海水質基準
• 政令第 82 号( 2001 年)
• 環境大臣令第 51 号( 2004 年)
日本
水質汚濁に係る
環境基準
地下水環境基準
水質汚濁に係る
環境基準
• 水質汚濁に係る環境基準
韓国
水質及び水生生態系
の環境基準
水質及び水生生態系
の環境基準 *
水質及び水生生態系の環境
基準
• 環境政策基本法に基づく大統領令( 1990)
ラオス
表流水質基準
地下水質基準 *
マレーシア
国家水質基準
**
海水質基準
• マレーシア国家水質基準
• 海水質基準
スリランカ
***
***
***
• ネパール公報(第 10 号、2008 年 6月16日)
フィリピン
表流水質基準
沿岸域及び海域の水質基準
• 環境天然資源省令第 34 号( 1990 年)
• 国家環境委員会告示第8号B.E. 2537(1994年)
• 国家環境委員会告示第8号B.E. 2543(2000年)
(第 27 号 , 1999 年)
( 1971 年、2013 年に最新の改正)
• 地下水環境基準
( 1998 年、2009 年に最新の改正)
• ラオスにおける環境国家基準に関する合意
( 2009 年)
ミャンマー
スリランカ
タイ
表流水質基準
地下水質基準 *
海水質基準
ベトナム
表流水質に関する国家
技術基準
地下水質に関する国家
技術基準
沿岸水質に関する国家技術
基準
• QCVN 第 08( 2008 /BTNMT)
表流水質に関する国家技術基準
• QCVN 第 09( 2008 /BTNMT)
地下水質に関する国家技術基準
• QCVN 第 10( 2008 /BTNMT)
沿岸水質に関する国家技術基準
* 飲料用の地下水については、飲料用地下水質基準が制定されている。
** 地下水の水質基準が制定されていないが、地下水の状況は保健省が定める飲料用水質国家ガイドライン(2000年12月改正)に基づき確認している。
*** ネパールについては利水別の水質基準が制定されている
(飲料用、灌漑用、畜産、工業等)。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
15
類型化
方法のみでフィリピン飲料水国家基準を満たす水域とさ
類型の数は異なるものの、WEPA パートナー国では水利
れている。
用の目的に応じた水質(水質環境基準)に基づき水域の
類型化が行われている。例えば、フィリピンでは水利用
水質項目
に基づき、表流水に対して5 つの類型(AA、A、B、C、D)
水質の項目に関しては、数やパラメーターは国により異
を、海水について4 つの類型(SA、SB、SC、SD)を設定し
なるものの、物理指標、金属、有機栄養塩、微生物指標
ている。表流水の AA 類型は、主に流域を持つ水源であ
等が含まれている。表流水の水質環境基準における各
り、無人水域あるいは保護水域であり認可を受けた消毒
国の水質項目数は下図のとおりである。
0
10
20
30
40
50
60
70
80
カンボジア(河川)
物理指標
カンボジア(湖沼及び貯水池)
化学指標(有機塩)
中国
インドネシア
化学指標(金属)
日本(河川)
化学指標(農薬)
日本(湖沼)
韓国(河川及び水路)
化学指標(その他)
韓国(湖沼)
ラオス
微生物
マレーシア
放射能
ネパール(レクレーション)
ネパール(水生生物の生態系保護)
その他
フィリピン
タイ
ベトナム
図1.1. 表流水の水質環境基準における水質項目数
02. 水環境のモニタリング
ネパールでは、複数の省や機関が水質をモニタリングし
水質のモニタリングシステム
グは行われていない状況である。
水環境基準を設定している11 カ国の WEPA パートナー
国のうち、ラオス及びネパールを除く9 カ国については
公共用水域の定期的なモニタリングを行っている。
ラオスでは、2009 年の国家環境基準に関する合意に基
づき、環境局が全国規模の組織とモニタリングに関する
責任機関であるが、現時点では水質の定期的なモニタリ
ングは実施されていない(WREA 2010)。
16
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
ているが、公共用水域に対する体系的な水質モニタリン
それ以外の 9 カ国では中央政府及び地方政府が公共用
水域の水質モニタリングを実施しているが、モニタリン
グ地点数、頻度、モニタリング項目は国によって異なる
状況である(表 1 . 3 参照)。
第一章 WEPA パートナー国の水環境管理の概況
表 1.3. WEPAパートナー国における公共用水域の水質モニタリングの実施状況
国
モニタリング地点数
頻度
水質項目
責任機関
年
カンボジア
10 地点
毎月
BOD, DO, pH, 水温 , TSS,
大腸菌群数
環境省
2011
中国
469 地点(河川)
26 地点(主要な湖沼及び貯水
池)
4 地点(三峡ダム)
4100 地点(地下水)
279 , 225 km 2(海水)
不明
水質基準に規定されている
項目
地方政府(環境保護部)
2011
インドネシア
不明( 40 河川)
少なくとも月に 1 回
不明
地方環境管理局
2011
日本
人の健康保護に関する項目:
3 , 947 地点(河川)
405 地点(湖沼・貯水池)
1 , 057 地点(海域)
毎月
環境基準に規定されている
項目
地方自治体(環境省)
2013
環境基準に規定されている
項目
水質モニタリング
ネットワーク
2008
国家環境基準に規定されて
いる項目(河川)
環境局(天然資源環境省)
2013
生活環境項目:
4 , 550 地点(河川)
475 地点(湖沼・貯水池)
2044 地点(海域)
水生生物:
1 , 447 地点 地点(河川)
150 地点(湖沼・貯水池)
125 地点(海域)
地下水:
3 , 680 地点(概況調査)
韓国
マレーシア
697 地点(河川)
185 地点(湖沼)
2 , 499 地点(地下水)
901 地点( 477 河川)
(マニュアルモニタリング:
891 地点、10 地点 自動継続
モニタリング)
毎月
(主要地点は年 48 回)
(河川及び湖沼)
年 2 回(地下水)
不明
揮発性有機化合物、農薬、
重金属、アニオン、微生物
(大腸菌)、フェノール化合
物、硬度、TDS、pH、温度、
電気伝導度、DO(地下水)
105 地点(地下水)
321 地点(海域)
フィリピン
192 地点(河川)
4 地点(湖沼)
88 地点(地下水)
不明(海域)
毎月もしくは年 4 回
(河川)
不明(地下水、海域)
DO, BOD, TSS, TDS 、重金属* 環境管理局
(河川)
(環境天然資源省)
糞便性大腸菌、硝酸性窒素
(地下水)
2001 2005
DO、大腸菌群数、重金属
(海域)
タイ
ベトナム
366 地点( 48 河川及び 4 湖沼) 年 4 回(河川及び湖沼)
620 地点(地下水)
年 2 回(海域)
170 地点(海域)
表流水基準に規定されてい
る23 項目(河川及び湖沼)
汚染管理局、地下水局
(天然資源環境省)
2012
248 地点( 116 表流水域)
BOD, COD, DO, TSS, 窒素、
リン、金属
ベトナム環境総局
(天然資源環境省)
環境モニタリングセンター
2007
年4回
不明(地下水及び海域)
* 重金属は、鉱業、電気めっき、なめし及び類似の産業が行わなれている地域以外は、環境管理局によって定期的に測定されてはいない。
(出典:参考文献参照)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
17
モニタリング結果の評価
類している。この評価に基づくと、モニタリング地点がど
定期的なモニタリングを実施しているWEPA パートナー
の水利用に適しているかを判断することができる。中国
国では公共用水域の水質モニタリング結果を評価して
環境保護部では、環境公報でそれぞれの類型に国全体
いる。評価方法を表 1 . 4 に整理している。
で何地点のモニタリング地点が分類されているかを公
表している。
WEPA パートナー国で採用されている評価方法を大まか
に分類すると2 種類の方法がある。1 つ目は、日本、韓国
マレーシアとタイでは、中国と同様の考え方を適用して
及びフィリピンで行われているように、まず水域の類型
いるが、環 境 基 準 の 類 型とは 別 に水 質インデックス
化を行い、その後評価を行うものである。この方法で
(WQI)を適用している。水質インデックスは各国で定め
は、まず、各水域の類型が定められ、水質モニタリング
られた計算式に基づき計算されている(Box 1 . 1 参照)。
の結果に基づき、各水域が類型の環境基準を満足して
両国ともに年ごとにこのインデックスを使い、国のモニ
いるかどうかを政府が確認し、その結果を国全体の環境
タリング結果を公表している。
基準達成率として表現している。
2 つ目のタイプは、水質モニタリングの結果と水質環境
基準に基づきモニタリング地点の類型化を行うものであ
る。例えば、中国では、河川の地点を環境質基準に規定
されている6 つの類型(I、II、III、IV、V 及び V 以下)に分
ベトナムとカンボジアでは , 水質モニタリングの結果を
単純に比較している。
WEPA パートナー国のモニタリング報告書における水質
結果を図 1 . 2 に示す。 表1.4. WEPAパートナー国における水質モニタリングの評価方法
国
評価方法
カンボジア
モニタリング結果を水質基準と比較
中国
モニタリング結果及び環境基準に基づきモニタリング地点の類型化(表流水、海域、地下水)
インドネシア
公共用水域における環境基準達成率(表流水)
日本
公共用水域における環境基準達成率(表流水、海域、地下水)
韓国
公共用水域における環境基準達成率(表流水、地下水)
マレーシア
モニタリング結果及び水質インデックスに基づくモニタリング地点の分類
( 6 つの指標:DO、BOD、COD、アンモニア性窒素、SS、pHの結果に基づき計算)
(表流水、海域)
飲料水質の国家ガイドラインの超過サンプル率(地下水)
フィリピン
タイ
ベトナム
18
公共用水域における環境基準達成率及び達成率に基づく公共用水域の格付け(表流水、海域)
モニタリング結果及び水質インデックスに基づくモニタリング地点の分類
( 5 つの指標:DO, BOD, 総大腸菌 , 糞便性大腸菌、アンモニア性窒素の結果に基づき計算)
(表流水、海域)
モニタリング結果を水質基準と比較(表流水、海域)
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第一章 WEPA パートナー国の水環境管理の概況
Box 1.1. マレーシアの水質インデックス
マレーシアでは、D O、B O D、C O D、
アンモニア性窒素、S S、p Hの6つの水質項目に対して、公式に基づきまずサブインデックス値
を計算し、下記の計算式に基づき各サブインデックスに重みづけを行い、足し合わせて最終的に水質インデックスを求めている。
WQI =(0.22* SIDO)+(0.19* SIBOD)+(0.16* SICOD)+(0.15* SIAN)+(0.16* SISS)+(0.12* SIpH)
ここで、
SIDO = Subindex DO(% saturation)
SIBOD = Subindex BOD
SICOD = Subindex COD
SIAN = Subindex NH3-N
SISS = Subindex SS
SIpH = Subindex pH
0<=WQI<=100
水質インデックスに基づく環境局の水質評価分類
良好:81–100, 若干の汚濁:60-80, 汚濁:0–59
(出典:Department of Environment, Malaysia 2012)
水質モニタリング結果の公開
多くのパートナー国で、年度毎に水質モニタリングの結
果が整理・公表され、政策評価が行われている。
多くの国で、年に一度、環境報告書(環境白書)等で水質
の状況が公表されている。ウェブサイトで環境報告書が
入手できる国は、中国、日本、韓国、マレーシア、タイ、ベ
トナムである。
中国、韓国、タイ、ベトナムなどでは、ウェブサイトなどで
連続観測地点からアップロードされたリアルタイムの水
質の状況が確認できるシステムを持つ。日本などの他国
では出版された結果をウェブサイトで利用できるように
なっている。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
19
中国
100%
100%
80%
80%
>V
60%
40%
IV,V
60%
I-III
40%
20%
>V
IV,V
I-III
20%
0%
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
表流水
0%
Year
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
湖沼
タイ
100%
>IV
80%
100%
著しく悪化
80%
普通
60%
良好
40%
IV
60%
悪化
III
40%
II
20%
I
0%
非常に良好
Year
20%
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 Year
海域
2012
2011
2010
2008
2009
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1998
1999
1997
1996
0%
表流水
100%
著しく悪化
80%
悪化
60%
普通
良好
40%
非常に良好
20%
日本
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
0%
韓国
中国
海域
カンボジア
BOD (mg/L)
7
メコン河上流(Chroy Changvar)
メコン河下流(Kien Svay)
バサック川(Ta Khmao)
Phnom Penh港(トンレサップ川)
6
5
ベトナム
タイ
フィリピン
カンボジア
4
3
マレーシア
2
1
0
基準値:1~10(mg/L)
2004
2006
2008
インドネシア
2010
マレーシア
100%
100%
80%
80%
汚濁
60%
若干の汚濁
40%
良好
2005
2006
2007
2008
2009
表流水
2010
2011
2012
図1.2. WEPAパートナー国における表流水及び海域の水質の状況
(出典:参考文献参照)
20
普通
40%
良好
清廉
20%
20%
0%
汚濁
60%
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
0%
2010
2011
海域
2012
第一章 WEPA パートナー国の水環境管理の概況
日本
韓国
100%
達成率
90%
COO
T.P
BOD
80%
漢江(八堂)
70%
4.0
0.070
60%
3.0
0.050
50%
0.060
0.040
2.0
40%
0.030
0.020
1.0
30%
20%
全体
河川
湖沼及び貯水池
0.010
0
海域
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
10%
0%
1974
1979
1984
1989
1994
1999
2004
2009
Year
錦江(大青)
5.0
河川、湖沼、海域
0.040
4.0
インドネシア
0.030
3.0
2008
70%
2009
2010
2011
0.020
2.0
2012
0.010
1.0
60%
0
50%
0.000
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
40%
0.000
30%
20%
洛東江(勿禁)
10%
群数
腸菌
腸菌
総大
水素
性大
硫化
糞便
剤
塩素
遊離
脂
界面
と油
石油
河川
活性
ル
ン
ノー
フェ
塩
全リ
硫酸
亜硝
水質項目
酸園
D
D
BO
CO
S
DO
S
TD
TS
pH
0%
ベトナム
mg/L
2005
16
8.0
0.016
6.0
0.012
4.0
0.080
2.0
0.040
0
2006
2007
2008
QCVN 08:2008(A1)
2009
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
0.000
QCVN 08:2008(B1)
栄山江- 蟾津江(住岩)
14
12
10
8
6
4
2
0
紅河
ハノイ
2007
mg/L
Lam 川
Nghe An
Cam 川
Hai Phong
2008
Perfume 川
Hue
Han川(1)
Da Nang
Han川(2)
Da Nang
河川(BOD)
2009
2010
サイゴン川
ホーチミン
Dong Nai 川
Dong Nai
QCVN 08:2008 (A1)
2011
Hau 川
Can Tho
4.0
0.020
3.0
0.015
2.0
0.010
1.0
0.005
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
0.000
四大河川
QCVN 08:2008 (B1)
70
60
50
40
フィリピン
30
20
10
0
Muong Te
Reservoir
Thai
Nguyen
Lai Chau
Vi Xuyen
Lake
Ho Nui
Coc
Goong
Lake
Nam Dinh
Tinh Tam
Lake
Vinh
Bau Tram
Lake
Hue
Nam Dinh
Phu Ninh
Irrigational
Lake
Tam TraQuang Nam
Phu Hoa
Lake
Cam Ranh
Lake
Binh
Dinh
Long An
Lake
Khanh
Hoa
Thanh Nien Dau Tieng
Lake
Lake
Dong Nai
100%
湖沼(BOD)
2005
mg/L
350
2006
2007
2008
QCVN 08:2009 A(B)
2009
汚濁
普通
80%
良好
60%
300
250
40%
200
20%
150
100
0%
50
a
An
Gi
ch
Ra
u
Ta
rg
in
h
D
uy
Vu
ie
t
Q
Th
u
Ph
an
g
Tr
Ph
an
on
Nh
uy
Nh
a
t
h
yn
Hu
Sa
海域(TSS)
Q
ng
ua
Q
g
un
D
An
n
Na
a
D
Co
n
ua
Co
Th
i
D
on
g
Ha
g
an
Ng
n
Lo
a
Cu
eo
D
La
t
So
m
Sa
Ba
c
n
So
D
o
Lu
a
Tr
Cu
a
Co
0
DO
BOD
TSS
TDS
表流水及び海域
(2001-2005)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
21
03. 排水管理
に伴い、生活排水及び工業排水量も増加していると推測
できる。
排水量の状況
農業用水の取水については、WEPA パートナー国間で状
下表に WEPA パートナー国における取水量の変化を示
況が異なる。カンボジア、インドネシア、韓国、ラオス、
す。
ミャンマー、フィリピン、スリランカ、タイ及びベトナムで
まず、自明なことであるが、取水量は国によって異なる。
は増加傾向にあり、その他の中国、日本、マレーシア及
これは、人口、工業化及び農地規模の違いによるところ
びネパールでは減少傾向にある。
が大きい。
農業排水については、各国で行われている農業活動の
人口増加、社会発展及び生活の質の向上に伴い、日本
違いによって、どのように排水が環境中に排出されるか
以外の WEPA パートナー国では生活系及び工業系の取
は異なる。そのため、農業セクターからの排水量の発生
水量が増加傾向にある。これらの国では、取水量の増大
を推測するのには、より詳細な調査が必要である。
表 1.5. WEPAパートナー国におけるセクター別取水量の変化
国
カンボジア
セクター別取水量(km3)
(1980–1990年代)
生活系
工業系
農業系
セクター別取水量(km3)
(2000年代)
年
生活系
工業系
農業系
年
0.03
0.01
0.49
1987
0.10
0.03
2.07
2006
26.27
94.58
404.60
1993
67.60
128.55
357.95
2005
4.46
0.74
69.14
1990
13.14
7.36
92.79
2000
日本
17.37
15.54
58.50
1992
15.66
12.36
54.38
2008
韓国
6.15
2.60
14.91
1994
6.63
3.06
15.81
2002
ラオス
0.08
0.10
0.81
1987
0.13
0.17
4.00
2005
マレーシア
1.40
1.65
9.67
1995
3.89
4.79
4.51
2005
ミャンマー
0.28
0.12
3.56
1987
3.32
0.33
29.55
2000
ネパール
0.29
0.00
28.71
1994
0.15
0.03
9.62
2005
フィリピン
4.43
2.22
48.77
1995
6.20
8.24
67.08
2009
スリランカ
0.20
0.20
9.38
1990
0.81
0.83
11.35
2005
タイ
1.66
1.33
30.15
1990
2.75
2.75
51.80
2007
カンボジア
2.17
5.43
46.72
1990
1.23
3.03
77.74
2005
中国
インドネシア
(出典:参考文献参照)
汚染源の特定
表1.6に各国の環境報告書や世界銀行の報告書からデー
で、BODもしくは COD 負荷の大半が生活系である。ま
タを入手した WEPA パートナー国のセクター別汚濁負荷
た、多くの国及び流域で、産業系も主要な汚染源となっ
量を示す。データに限りがあり、また、データ年や対象物
ている。
質が国によって異なっている。中国では、2011 年から農
業セクターからの COD 及びアンモニア性窒素が国家統
計に追加されるようになっている。
22
表に示されているように、中国を除く対象の国及び流域
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
いくつかの国では農業系もある一定の割合を占めてい
る。例えば、中国では COD負荷の 47 %、アンモニア性窒
素の 32 %が農業系からの汚濁負荷量であることを示し
第一章 WEPA パートナー国の水環境管理の概況
ている。しかしながら、「農業系発生源」の定義は国に
負荷発生源として大きな寄与がある可能性があるが、日
よって異なる。中国やタイでは、農地からの流出水も農
本を除いては詳細なデータがない状況である。アジア
業系に含むが、マレーシアでは含まれない。フィリピン
地域において、農業系汚染源や非固定発生源による水
では農地からの流出水は非固定発生源に含まれている。
質汚濁の対処方法を議論するためには、まずは、これら
インドネシアの農業系汚染源の詳細は不明である。加え
の発生源からの汚濁負荷量を適切な方法で評価するこ
て、フィリピンの結果に示すとおり、非固定発生源は汚濁
とが第一歩であると考えられる。
表1.6. WEPAパートナー国におけるセクター別の汚濁負荷量
国
中国
対象物質
汚濁負荷量(tons/年)
セクター別汚濁負荷割合
COD
25 . 0 million
生活系:38 %
工業系:14 %
農業系(水産、畜産、耕作地):47 %
集中処理施設:1 %
アンモニア性窒素
2 . 6 million
生活系:56 %
工業系:11 %
農業系(水産、畜産、耕作地):32 %
集中処理施設:1 %
日本(東京湾)
COD
66 . 8 thousand
生活系:68 %
工業系:20 %
その他:13 % 日本(伊勢湾)
COD
57 . 7 thousand
生活系:47 %
工業系:41 %
その他:12 %
日本(瀬戸内海)
COD
43 . 1 thousand
生活系:70 %
工業系:22 %
その他:8 %
日本(大阪湾)
COD
66 . 8 thousand
生活系:68 %
工業系:20 %
その他:13 %
フィリピン
BOD
4 . 2 million
生活系:33 %
工業系:27 %
農業 - 畜産:29 %
非固定発生源:11 %
マレーシア
BOD
0 . 4 million
下水処理場:49 %
製造業:45 %
畜産(養豚):4 %
農業系産業:2 %
タイ
BOD
2 . 3 million
家庭:42 %
工業:44 %
農業(養豚 , 牛舎、養殖、耕作):14 %
BOD
0 . 2 million
生活系:58 %
工業系:18 %
農業系:15 %
インドネシア
(Jatunseluna 川流域)
(出典:参考文献参照)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
23
濃度規制(排水基準)
日本においては、国の一律基準が制定されているが、一
WEPA パートナー国において、濃度規制が生活排水及び
工業排水の管理における基本的なアプローチである。表
1 . 7 に示すとおり、ミャンマーを除くすべての国で国の排水
基準が定められている。ミャンマーについては、ヤンゴン
で独自の基準を持っているが、それ以外の地域については
現在国家排水基準の設定が議論されている。
中国、ラオス、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナムで
は、産業別の排水基準が制定されている。
律基準だけでは水質目標の達成が難しい地方自治体に
ついては、より厳しい上乗せ基準を設定している。
カンボジアでは、環境・生態系保全に重要な地域につい
ては、発生源の近接度に応じて様々な排水基準の設定
が可能である。
中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、スリランカは
2000 年代後半に排水基準の改訂を行い、規制強化、基
準の明確化を図っている。
表 1.7. WEPAパートナー国の排水基準
国
工業排水
家庭排水
備考
カンボジア
中国
家庭排水:都市排水処理施設用
インドネシア
日本
韓国
ラオス
家庭排水:都市部用
マレーシア
ミャンマー
-
-
ヤンゴン市が独自に排水基準を設定している。国レベルの排水基準に
ついては現在中央政府により議論されている状況である。
ネパール
家庭排水の排水基準があるかどうか不明
フィリピン
家庭排水:municipal 排水
スリランカ
タイ
ベトナム
生活排水処理 - 現状及び課題
る。しかしながら、各国で普及率の算出方法が異なるため、
アジアの国々、特に都市部では、下水処理場での好気的
普及率だけでは異なる国の生活排水集合処理の状況を比
条件下での集合処理、あるいは腐敗槽(SepticTank)による
較するのは難しいことは言及しておかなければならない。
嫌気的な条件下での個別処理が主流である。
オンサイト処理(腐敗槽)
集合処理的アプローチ
24
下水処理場等による集合処理が普及していない地域で
アジア地域の特に都市部では、下水処理場での好気的
は、都市部を中心に腐敗槽による個別処理が一般的となっ
条件下で生活排水を集合処理する方法が一般的である。
ている。表 1 . 8 にその普及状況を示す。腐敗槽の設置状況
図 1 . 3 は WEPA 各国の最新の生活排水集合処理普及率を
についての定量的なデータが整備されていない国が多い
示している。下水処理場の建設投資に注力した結果、現在
が、下水処理場の普及が進んでいない国では、特に都市部
では日本と韓国では全国の生活排水集合処理普及率が
において腐敗槽の普及率が高い状況であることが推測さ
80 %を超えている。また、マレーシア(マレー半島及び直
れる。
轄市のみ)
と中国都市部では 60 ~ 70 %台、タイでは 20 %
腐敗槽による処理は水質汚濁防止の観点から課題を抱
代の普及率となっている。これに対し、その他のWEPAパー
えている。まず、腐敗槽による BOD の削減効果について
トナー国では、普及率が未だ 5 %を下回っている状況であ
は、複数の研究成果があるが、おおむね 30 ~ 60 %の除去
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第一章 WEPA パートナー国の水環境管理の概況
100
生活排水集合処理普及率(%)
80
生活排水集合処理普及率
(し尿及び雑排水)
60
40
20
韓
国(
20
11
)
日
本(
20
14
中
)
国(
2
マ
01
レ
0)
ー
*
シ
ア(
20
10
)*
*
タ
イ(
20
ベ
08
ト
)
ナ
ム(
20
フィ
10
)
リ
ピ
ン(
20
ミャ
10
ン
)
マ
ー(
ネ
20
パ
10
ー
)
ル(
イ
20
ン
10
ド
)
ネ
シ
ア(
20
カ
ン
10
ボ
)
ジ
ア(
2
01
ラ
オ
0)
ス(
20
10
ス
リ
)
ラ
ン
カ(
20
10
)
0
* 中国のデータは都市部のみである
** サバ州とサワラク州は除く
国(年)
図1.3. WEPAパートナー国における生活排水集合処理普及率
(出典:参考文献参照)
表1.8. アジア諸国における地域ごとの腐敗槽の普及率
ベトナム
年
2008
マレーシア
2010
インドネシア
2011
フィリピン
2010
地域
普及率(%)
全国平均
41
都市部
79
地方部
26
全国平均
21
全国平均
60
ジャカルタ
93
マニラ
71
(出典:参考文献参照)
生活排水集合処理普及率(%)
国
100
韓国
80
中国
日本
*
マレーシア**
60
40
20
0
タイ
フィリピン、
インドネシア、ベトナム、
カンボジア、
ラオス、
ミャンマー、ネパール、
スリランカ
10,000
20,000
30,000
40,000
国民一人当りGDP(USD)
50,000
*中国の普及率は都市部のみ
率である。下水処理場で行われている好気的な処理に比
較すると、その削減効果は低いと言える。さらに、し尿だけ
が腐敗槽で処理され、BOD 負荷の高い雑排水が未処理の
** マレーシアの普及率はサバ州とサワラク州を除く
図1.4. WEPAパートナー国における生活排水集合処理
普及率と一人当たりGDPの関係
(出典:参考文献リスト参照)
まま放流されている地域もアジアの国では見受けられる。
生活排水処理施設建設に関する課題
かかると指摘されている。WEPA 各国の生活排水集合処
水質汚濁を軽減もしくは防止するためには、特に、生活
理普及率と一人当りGDPの関係をみると(図 1 . 4 参照)、そ
排水の集合処理が普及していない地域において、し尿及び
の間にある程度の正の相関がある。生活排水集合処理普
雑排水を含む生活排水全体を汚濁負荷除去率の高い処理
及率の低いアジアのほとんどの国では、一人当りGDPが
プロセスで適切に処理することが必要である。しかし、国
4 , 000 米ドル以下の状況であるため、腐敗槽に比べてコス
連のデータ(UNDP 2006)によると、生活排水集合処理施
トがかかる生活排水集合処理施設の建設という政策オプ
設の建設には、腐敗槽の設置に比べて2 ~ 3 倍のコストが
ションが経済的に大きな負担になる可能性が高い。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
25
生活排水処理施設運営に関する課題
止する手段であり、ラオスでは、全ての事業者は環境影
すでに建設され、運転の段階に入っている生活排水集合
響評価に関する政令(No 112 /PM)のもとで環境適合証
処理施設についても、運営面での課題を抱えているケース
明書(Environmental ComplianceCertificate: ECC)を
が多く確認されている。下水道料金の支払いを嫌い、生活
取得することが求められている。また、カンボジアの環
排水集合処理普及地域でありながら住民が下水道に接続
境影響評価に関する政令においても、カンボジア開発評
しないため、処理能力よりも少ない流入量しかないケース
議会からの許可が必要な全ての開発行為・投資及び、
が報告されている。さらに、下水道料金の回収も運営上の
EIAの対象となっている事業者は、EIAに関するガイドラ
課題の一つである。タイではほとんどの処理場で利用者か
インに従ってモニタリングとそのレポートを行わなけれ
ら下水道料金を回収できておらず、地方自治体の資金で運
ばならない。法令や規則の違反に対しては、WEPA パー
営費を賄っている状況である。下水道運営が地方自治体の
トナー国全てがすでに立ち入り検査制度、政府の指導や
財政に負担になっているという理由から、近年では下水道
罰則を導入しているが、必ずしも効果的に実施されてい
料金徴収を求める地方政府が多く、下水道料金設定の手
るとは言えない。理由は様々あるが、例えば、手続きの
続きに関する規則を中央政府で定めているが、実際の徴収
長さ、企業の非協力、軽すぎる罰則などが挙げられる。
についてはまだほとんどできていない状況である。
日本とベトナムは近年、これらの問題に対処し、遵守を
促すために、関連する法令を改正している。
産業排水規制 - 現状と課題
国により影響の程度に差があるものの、産業排水は、
WEPA パートナー国における水質汚染の主要原因の一つ
である。水質汚染を防止または軽減するために、WEPA
パートナー国は産業部門からの排水を管理するための制
度を構築してきたが、未だ多くの国々では、構築した制度
の実施と法・規制の遵守に課題を抱えている。
アジア地域における産業排水
中国、フィリピン、マレーシアやタイといった WEPA パート
ナー国では、全国的に見れば、産業セクターが必ずしも有
一般的には環境関連の省庁(環境省等)が環境汚染管理
を担当しているが、産業排水管理では、関連する産業・経済
開発分野の省庁もその責務を負うことがある。これにより、
責務の重複を招き、法規制の実施における課題のひとつと
なっているケースもある。工場が密集している工業団地や
経済特区では、異なる法・規制が適用されていることが多
く、集合排水処理施設の設置が義務付けられている。この
ような特別な地域では、工業団地に対する許認可省庁など
の異なる省庁が水質汚染を管理している国が多い。
機汚染物質の最大の排出源とは限らない。これは、これら
ほとんどの国では、事業者に対し、排水を伴う操業を開
の国々が、1970 年代後半から80 年にかけ、産業排水に対
始する前に、担当省庁(国又は地方レベル)に届出を提出
する取り組みを始め、工場排水、特に大規模な工場や工業
するか、承認又は許可の申請をするよう求めているが、そ
地帯からの排水に対する汚染管理規制を実施してきたこと
の内容は産業の種類や規模等によって様々である。
も関係している。他方、産業排水が適切な処理をされない
まま河川などに放流されている流域では、産業排水は水質
汚染の主要原因のひとつであるとともに、有機汚染物質に
加え、有害物質も政策立案者の大きな懸念となっている。
法制度
全ての WEPA パートナー国において、未処理又は一部し
排水モニタリング
排水のモニタリングは工場が排水基準を達成しているか
をチェックする上で重要である。原則として、全ての WEPA
パートナー国で、汚染物質を排出する汚染者が排水の水質
モニタリングを行う義務がある。
韓国とタイでは、ある一定の排水を伴う汚染物質排出源
か処理されていない産業排水による汚染の防止又は軽減の
に対してオンラインモニタリングが導入されている。他方、
ための法制度を整備しており、そのほとんどの国では産業セ
事業者(汚染者)がモニタリングを自ら実施するとは限らな
クターが遵守しなければならない排水基準を設けている。
いケースや、モニタリング結果へのアクセスが容易な形で
環境影響評価(EIA)は事業が開始される前に汚染を防
26
制度的措置
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
保持されていないケースなど、関係省庁がモニタリングの
第一章 WEPA パートナー国の水環境管理の概況
結果を必ずしも入手できるとは限らない。このため、許認
を生み、法・規制の実施に悪影響を与える場合もある。
可官庁が遵守の状況を確認することも、対策の効果を評価
情報入手の可能性: WEPA パートナー国では、事業者数
することもできない状況が起きることがある。日本では、
2010 年に水質汚濁防止法の改正によって、排水の水質モ
ニタリングとその記録の保存を事業者の責務とし、違反し
た場合には罰則が科せられることとなった。
法令順守の促進
罰則制度以外の対策が、事業者の法令遵守をより効率
的に促す場合がある。
例えば、インドネシアの PROPERプログラム(環境管理に
おける企業の評価格付けプログラム)は、事業者の環境
パフォーマンスを公表することで、事業者が排水基準や
環境法令を遵守するように促している。
また日本では、法令で定められている排水基準を満たす
ことが難しい一部の業種に対して、一定の期間の間に排
水基準を満たすための改善を求めるために排水基準よ
り低い暫定的な基準を設けている。
や事業の種類だけでなく、排水量や水質のデータといっ
た事業者及び排水に関する情報が不十分である。特に、
汚染管理に関する制度が近年整備されたばかりの国や
産業活動がまだ活発でない国においてこの問題が顕著
である。また、中小企業による地元の河川の汚染が疑わ
れているが、大規模事業者に比べると中小規模の事業
者に関する情報を集めることは難しい。さらに、整理さ
れたインベントリーの欠如は効果的または戦略的な汚
染管理対策の計画と実施の妨げになる可能性がある。
情報へのアクセス: 情報の欠如そのものに加えて、産業
排水に関する情報内容がセンシティブなため、事業者が
情報共有に消極的であり、計画・実施の妨げとなってい
るということが産業セクターへの聞き取りで垣間見れた。
この背景には、機密事項が公表されるかもしれないと
いったデータの使用に関しての事業者の不信がある。ま
マレーシアも同様に、建設中又は改善中の処理施設に
た、省庁間での情報共有のための調整の仕組みも問題
対して、排水基準の遵守をある一定期間免除する規則を
で、WEPAが実施した質問調査では、産業排水に関する
定めている
情報を手に入れるために、各国担当者がいくつもの異な
共通の課題
文献及び質問調査やインタビューを通して明らかになっ
る省庁を訪れる必要があった。
人材不足: 規制官庁(国家及び地方レベル)における担
た WEPA パートナー国における法令実施に関わる共通課題
当官の能力及び数の不足がしばしば指摘された。
を以下にまとめた。次ページは一般的な規制フローに基づ
予算不足: 法令遵守状況を確認するための排水及び水
いて、課題として指摘された項目の例を示したものである。
質モニタリング の実施、特にデータベースやインベント
法令の不備、実施の手続きに係る細則の欠如: 産業排
リー構築には予算が必要不可欠であるとされた。
水に関連する異なる法律がそれぞれに義務を規定し、
現場に混乱をもたらすことがあるが、関連省庁における
排水管理を強化するための取り組み
調整、法・規則の改正は、長いプロセスを必要とする。ま
下表に示すとおり、中国、日本及び韓国では濃度規制を
た、法令を確実に実施するために必要な細則やガイドラ
通じた排水管理に加えて、全国もしくは特定流域を対象と
インを整備する必要のある国もある。例えば、従うべき
した総量規制制度(TPLC)を適用している。
ガイドラインがなく、事業者が異なる排水モニタリング
の手順や分析法を使っていた場合、排水水質のデータ
の信頼性や比較が難しくなるなど、不遵守を証明する上
で問題を生じさせる可能性が出てくる。
関連省庁間の調整不足: 少なくとも産業排水管理に関
連する省庁が(通例、環境分野と産業分野)が国家レベ
表1.9. アジア諸国における総量規制制度の状況
国
対象地域
対象物質
中国
全国
COD, NH 3
日本
東京湾、伊勢湾、瀬戸内海
COD(Mn),TP, TN
韓国
洛東江、錦江、栄山江、蟾津江
BOD, TP
ルで 2 つ以上存在し、省庁間の職務の重複や調整不足さ
らには利害の衝突(「産業の発展」対「環境の保全」等)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
27
産業や住民の環境意識の低さ
法・規制の重複/
詳細規定の欠如/
弱い罰則規定
罰則が緩い
環境部局ではない部署が担当するケースで
能力不足や環境部局との調整の問題ある場合がある
異なる分野の
組織間調整が弱い
人材不足
モニタリングの
手順や方法が
規定されていない
行政による
排水モニタリング
実施能力不足
(人材、知識、機材)
罰則
措置
法令・規則
モニタリング・
報告がない事例
報告
受理
届出/申請
審査
すべての事業所の
登録ができていない/
把握が難しい
(特に中小)
データ
許可
保持
蓄積
システマティックな記録の
保持ができていない、
データベース化されていない
排水監視・報告
データの
保持・蓄積
内容
検証
体系的に
蓄積できて
いない
データ保持
蓄積
改善計画
違反行為に
対する指導
企業が
非協力
立ち入り
担当者不足
企業側の
アクション
住民の苦情
権限の重複、調整不足
規制官庁(政府)
図1.5. インタビュー及び文献調査から明らかになった産業排水管理における課題
28
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
行政側の
アクション
第
WEPAパートナー国における
水環境管理に関する国別情報
2章
2.1 カンボジア
01. 国別情報
まで拡大し、水深は平均で 8 〜 10 mとなる。
この独特な水文システムにより、雨季のカンボジアでは、
表2.1.1. 基本指標
18万1,035(2013)
国土面積(km2)
1,510 万(2013)
総人口(人)
152 億(2013)
名目GDP(米ドル)
一人当り名目GDP(米ドル)
1,007(2013)
平均降水量(mm/年)
1,904(2009)
476.1*(2009)
水資源量(km3)
2.2(2006)
年間水使用量(10億m3)
セクター別
年間水使用率
農業用水
94%(2006)
工業用水
1.5%(2006)
都市用水(生活用水を含む)
4.5%(2006)
(付録参照)* 推計値
主にメコン河、トンレサップ川、バサック川及びその他の支
流から水が豊富に供給される。しかし乾季には、貯水槽や
貯水池、用水路や灌漑システムといったインフラが未整備
のため、各地で生活用水や灌漑用水等の不足に直面する。
カンボジア国内の水資源はほんの一部が管理されている
にすぎず、水供給量が雨季には過剰となり、乾季には不足
する。
地下水の利用可能量は 176 億 m 3 と推定されており、主と
して生活用水と灌漑用水に使われているが、近年、首都郊
外及び地方に立地する工業部門の取水量が増加している
(Sokha 2005)
。トンレサップ及びメコ ン氾濫原/デルタの
沖積層は、地下水涵養量が大きい最良の浅部帯水層である
と考えられている。地下水及びそ 利用に関するデータ及び
02. カンボジアの主な流域
ラオス
タイ
情報は依然として不足しているが、浅井戸が利用可能な面
積は全国で 48 , 000 km 2 と推 定されている
(Sokha 2005)
。
04. 水質状況
カンボジアの表流水質は概ね国家水質環境基準を満た
トンレサップ湖
しており、汚染されていないとみなされている。しかし、地
域によっては水質が脅かされているところがある。また、農
トンレサップ川
業排水に加え、都市部での活動からの排水が未処理のまま
メコン河
プノンペン
ベトナム
タイ湾
バサック川
公共用水域に流入しており、水質汚濁はとりわけ乾季に顕
著となる。さらに、水質は各種開発活動によっても悪化し
ている。例えば、湿地や森林の農地転用により、農薬残留
図2.1.1. カンボジアの主な流域
物を含む農業排水による水質汚濁のリスクが高まっている
(MoE 2009)。他にも水質に大きな影響を与える汚染源は、
03. 水資源の現状
製造業・鉱業、サービス・観光業からの未処理排水、屠殺場
や畜産場、さらには水運から排出される固形及び液体廃棄
メコン河の集水域はカンボジア国土面積の約 86 %を占
物等多種多様である。
める。乾季にはトンレサップ湖の水がメコン河に流入し、
雨季にはメコン河の水がトンレサップ湖に流入する。トン
30
河川
レサップ湖の面積は約 2 , 500 km 、乾季の水深は 1 〜 2 mで
カンボジア環境報告書 2013 年版によれば、公共用水域
ある。しかし雨季には湖の面積が大きく変化し、メコン河か
の水質は全体として良好であり、水質汚濁は大きな問題と
らの流入水量の増加に伴っておよそ面積は 13 , 000 km 2 に
は考えられていない( MoE 2010 )。カンボジア環境省環境
2
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
グ 地点(例えば、C h r o y C h a n g v a r、P h n o m P e n h 港、
いる 。表 2 . 1 . 2 は 、最近のメコン河水質モニタリング結果
の生物化学的酸素要求量( BOD )を示しており、河川の水
い ることが分かる。他の水質項目に関する各モニタリング
地点の結果は、図 2 . 1 . 2 から2 . 1 6 に示す通りである。
BOD値(mg/L)
年
最大値
最小値
2009
3 . 80
0 . 20
2010
4 . 80
0 . 27
2011
6 . 50
0 . 10
2012
4 . 20
0 . 55
2013
6 . 87
0 . 30
BOD水質環境基準値
1 – 10 mg/L
インドネシア
質は BODの国家水質環境基準( 10 mg/L 未満)を満たして
表2.1.2. メコン河のBOD計測値
中国
Stoung Chouv、Kien Svay )
で毎月、サンプル採取を行って
カンボジア
汚染管理局( DoEPC/MoE )は、メコン河の指定モニタリン
(出典:MoE 2014 )
日本
酸度・アルカリ度(pH)
全浮遊物質(TSS)
(mg/L)
8.2
700
600
7.8
500
7.6
0
300
基準値:6.5~8.5
200
100
2004
図2.1.2.
2006
2008
2010
0
2008
2010
2006
2008
2010
導電率(μs/cm)
7
5
600
3
400
4
図2.1.3.
2006
2008
2010
0
2004
図2.1.6.
ネパール
200
基準値:2.0~7.5
(mg/L)
2004
ミャンマー
800
6
0
2006
1000
8
1
2004
図2.1.5.
マレーシア
溶存酸素(DO)
(mg/L)
2
ラオス人民民主共和国
7
基準値:25~100
(mg/L)
400
7.4
7.2
韓国
8
フィリピン
BOD(mg/L)
7
6
メコン河上流(Chroy Changvar)
4
メコン河下流(Kien Svay)
3
バサック川(Ta Khmao)
2
Phnom Penh港(トンレサップ川)
0
基準値:1~10
(mg/L)
2004
図2.1.4.
2006
タイ
1
スリランカ
5
2008
2010
ベトナム
図2.1.2. 〜 2.1.6. 主要なモニタリング地点における各水質項目のモニタリング結果
(出典:Sokha 2011 )
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
31
湖沼及び貯水池
生活用水源としての地下水への依存度が 62 〜 100 %と高
複数の文献によれば、トンレサップ湖の汚染レベルは概
い州( MoWRAM 2008 )において、地下水がヒ素に汚染さ
して低いとされているが、水上集落及びその周辺では局地
れていることが2000年の全国飲料水質評価で判明している
的に水質の低下が見られている。環境省は 2009 年以来、 ( Arsenic Center of Cambodia 2010 )
サンプルを採取して湖の水質を検査しているが、2010 年、
2012 年及び 2013 年の化学的酸素要求量( COD )のモニタ
リング結果では、最大値が水質環境基準を上回っている
法整備
(表 2 . 1 . 3 )。
カンボジアの水環境に関する現行の法的枠組みは、図
表2.1.3. トンレサップ湖の水質
年
05. 水環境管理の枠組み
COD値(mg/L)
最大値
最小値
2009
4 . 80
1 . 27
2010
8 . 57
1 . 00
2011
6 . 83
2 . 20
2012
9 . 90 *
3 . 60
2013
8 . 40 *
3 . 13
COD水質環境基準値
2.1.7に示す通りである。水を含む天然資源管理の目的は、
環境の質及び公衆衛生の保護ならびに増進である
(環境保
護と天然資源管理に関する法律、第 1 条)。水資源管理法
1 – 8 mg/L
( 2007 年)にも水質管理に関連する条項があり、水質及び
人間や生態系の健全性に悪影響を及ぼす恐れのある活動
に対して、排水に関する認可書または許可の取得を義務付
最大値は毎年一回、乾季( 3月から5月の間)に記録された値である。
試料のサンプリングは特定のモニタリング地点にて毎月実施される。
(出典:MoE 2014)
けている(第 22 条)。また、水質、水量及び生態系のバラン
スが脅かされている地域を、水利用の危険 / 制限区域とし
て指定している
(第 23 条)
。
沿岸水域
水環境保全については、環境保護と天然資源管理に関
カンボジアの海岸線はタイ湾に沿って435 kmあり、沿岸
する法律の下で 1999 年に制定された、水質汚濁の管理に
水域の海側境界は同国の排他的経済水域の外境によって
関する政令で詳細に述べられている。同政令の目的は、公
区切られ、沿岸域面積は 55 , 600 km になる。陸側境界に
共用水域(例えば、河川、湖、地下水、海水等)
を汚染する恐
関しては、未だ十分には定められていないが、現在は海岸
れがある、もしくは既に汚染している各種活動を規制する
から約 5 kmと考えられている。沿岸水域は、Koh Kong、
ことにある。同政令により、人間の健康及び生物多様性の
Kmapot、Sihanoukville 及び Kep 各州にまたがっている。
ための水質環境基準(第 7 条)や、汚染源の排水基準(第 4
沿岸水の水質は全般的に割合良好と考えられている。しか
条)が定められている。他には、汚染源及びその排水のモ
し、排他的経済水域及び海港で進められているような開発
ニタリング(第 4 章)、公共用水域のモニタリング(第 5 章)
事業は、そこから発生する固形廃棄物及び排水の健全な管
ならびに検査規則(第 6 章)も同政令に含まれる。また、環
理が然るべく実施されなければ、沿岸水及び沿岸生態系に
境保護と天然資源管理に関する法律の下で定められてい
悪影響を及ぼす可能性がある。2005 年から2006 年にかけ
る、固形廃棄物の管理に関する政令、環境影響評価( EIA )
て実施され た モ ニタリング 結果 によると、全浮遊物質
手順に関する政令等にも、水環境保全に関わる条項が含
2
( TSS )
、溶存酸素( DO )、生物化学的酸素要求量( BOD )、
全窒素( TN )、全リン( TP )において水質悪化は確認されな
かった( MoE 2006 )。
まれている。
2011 年現在、水質管理に関する2 つの法案が起草され
ている。環境省による環境汚染防止法案と、水資源気象省
による水質に関する政令案である。環境汚染防止法案は、
地下水
地下水の水質に関するデータは非常に限られているが、
メコン河、バサック川及びトンレサップ川各流域に位置し、
32
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
水、大気及び土壌の汚染に対するモニタリングと対策につ
いて規定するものである。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
環境保護と天然資源管理に
関する法律(1996年12月)
水資源管理法(2007年)
中国
カンボジア王国水供給及び
衛生に関する法案
飲料水基準(2004年)
インドネシア
水質汚濁の管理に関する政令(1999年4月)
国家水供給及び衛生に関する政策
(2003年2月)
固形廃棄物の管理に関する政令(1999年4月)
カンボジア王国国家水資源政策
(2003年1月)
環境影響評価プロセスに関する政令(1999年8月)
日本
カンボジア王国水供給及び衛生に
関する政策枠組み(2001年2月)
韓国
図2.1.7. カンボジアの水環境管理に関する法的枠組み
(出典:MoEJ 2009 )
ラオス人民民主共和国
制度的措置
域に排出するよう命令することができる( MoE 2009 )。地
方及び都市の環境部局は、水質モニタリング等の水環境管
づき、カンボジアの環境及び天然資源 * 1 の保護と管理を所
理に責任を負う。1999 年に設立された水資源気象省も水
管している(第 9 条)。詳細については、Box 2 . 1 . 1 に示す。
環境管理に従事し、水質をモニタリングしている。原則とし
同国の環境法制に基づき、環境省は化学物質 やその他の
て、環境省は水質汚濁に関連する業務を所管し、水資源気
汚染源を使用する工場に対し、排水を処理 してから放流水
象省は水質に関する業務を所管する。
マレーシア
環境省は、環境保護と天然資源管理に関する法律 に基
ミャンマー
Box 2.1.1. 環境保護と天然資源管理に関する法律に基づくカンボジア環境省の所管事項
実施中及び実施予定の全プロジェクト及び活動に対する環境影響評価(EIA)実施(第 6 条)。
天然資源に対する環境影響の調査及び評価(第 9 条)。
ネパール
天然資源の保全及び合理的利用を担保するため、他関連省庁に対し勧告を行う
(第 9 条)。
汚染源をすべてリストアップする
(第 12 条)。
汚染を防止し、緩和するための政令を策定する
(第 13 条)。
汚染源及び天然資源の開発活動をモニタリングする
(第 14 条)。
フィリピン
汚染源の立ち入りを行い(第 15 条)、違反した場合には改善を命令する
(第 20 条)。
スリランカ
タイ
* 1 天然資源に含まれるのは、土地、水、空域、大気、地質、生態系、鉱物、石油・ガス、岩・砂、貴石、森林・林産物、野生生物、魚類及び水産資源等である
(環境保護と天然資源管理に関する法律、第 8 条)。
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
33
水質環境基準
るかどうかは、適宜採取される水質サンプルの検査により判
公共用水域の水質環境基準は、水質汚濁の管理に関す
明する。これは、カンボジアにおいて地下水の水質に関す
る政令により定められている。水質基準は 2 種類ある。一
る定期的なモニタリングシステムが未整備なためである。
つは生物多様性保全に関する水質基準で、河川( 5 項目)
、
湖・貯水池( 7 項目)及び沿岸水域( 7 項目)がそれぞれ対象
排水基準
として定められている。もう一つは公衆衛生に関する水質
汚染源からの排水管理を目的として、水質汚濁の管理に
基準で、人の健康に有害な影響を及ぼす25項目に関して基
関する政令の下、排水を公共用水域へ排水する汚染源に対
準値が定められている。地下水に関する水質環境基準はな
する排水基準が定められた。基準値は 52 項目を対象に定
いが、国家飲料水質基準といった個別用途の基準を用いて
められており、これらの項目には水温、pH、BOD、重金属、
水質が評価されている。
農薬及び有機溶剤等が含まれる。基本的にこうした基準
は、下位基準により定められる産業及び他の汚染源すべて
公共用水域におけるモニタリング
に適用される。また、人の健康及び生物多様性の保護のた
環境省はカンボジア国内の公共用水域における水質汚
めに特別な取り扱いを必要とする地域においては、環境省
濁の防止及び定期的なモニタリングを所管する(「06 . 水質
は当該地域にある汚染源に対し個別の排水基準を定めるこ
管理に係る最近の動き」を参照)。水質項目の詳細は、表
とができる
(水質汚濁の管理に関する政令第 5 条)
。
2 . 1 . 4 に示す通りである。地方分権により地方政府・行政は
モニタリングをはじめ様々な業務を負うことになったが、水
質分析に経験豊富な人材及び検査機関が不足しているこ
排水モニタリング
水質汚濁の管理に関する政令により、事業者はすべて、
とにより、業務実施が制約されている。このため、環境省の
排水を自己モニタリングし、その結果を定期的に環境省に
中央の行政官が地方の関係者の能力構築及び制度的能力
報告しなければならない。しかし、この義務を遵守しない
開発と併せて、こうした業務を担い続けている。
企業も存在する。それゆえ、環境省は定期的に現場への立
表2.1.4. 環境省が実施する水質モニタリングの現況
ち入りを行い、排水及び処理水のサンプルを採取、分析し、
排水基準を遵守しているかどうかチェックしなければなら
水質項目
BOD, DO, 酸度・アルカリ度(pH),温度 , TSS, 大腸菌 ,
TP, TN, 六価クロム(Cr.+6)
サンプル
採取場所
Phnom Penh 港 , Chroy Changva, Ta Khmoa, Kien
Svay, Stoung Chenit, Stoung Sen, Stoung Siem
Reap, Stoung Sangke, Stoung Pursat, Kampong
Loung, Chhnok Trou, SESAN 川 , SEKONG 川 ,
Kampong Chhnang 、Kampong Cham
ング、
( ii )45日以内の間隔で、生産工程で化学物質及び/
毎月1 回
グの 2 種類がある。
頻度
(出典 :カンボジアWEPAフォーカルポイントによる提供データ 2014 )
水質モニタリングネットワーク
(メコン河委員会( MRC )
ない。汚染源に対するモニタリングは、
( i)90日以内の間隔
で行われる通常の工場やホテルを対象とする定期モニタリ
または化合物を使用する工場を対象とする定期モニタリン
不遵守に対する措置
排水基準の違反が判明すると、環境省は当該企業に対
のプログラム)に基づき、水資源気象省も定められたモニ
し、現行の活動を是正して当該基準を遵守するよう書面で
タリング地点でサンプルを採取、分析するとともに、カンボ
命じる。こうした環境省の命令に従わない場合、水質汚濁
ジア国内メコン委員会( CNMC )を通じ、メコン河委員会に
の管理に関する政令で定められた排水に関するモニタリン
報告している。モニタリング対象の水質項目は、水温、pH、
グや報告及び遵守における違反をしたとして、罰金または
TSS、導電率、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウ
罰則が科される。
ム、アルカロイド、塩素、四酸化硫黄、全酸化鉄、ケイ素、
DO、COD、マンガン、硝酸態窒素、アンモニア性窒素、リン
酸態リン及び全リンである。モニタリング結果は、データ
ベースを通じ、また要請があれば一般にも公開される。
地下水の水質が飲料水や生活用水の基準を満たしてい
34
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
06. 水環境管理に係る最近の動き
地域の開発途上国の多くが、水質及び汚染源からの排
水に係るデータ不足が水質管理の推進の妨げとなってい
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
る点を指摘しており、カンボジアも例外ではない。カンボ
ジア政府は、15 年以上に渡り、水質及び排水質のモニタリ
中国
ング及び評価の強化に努め、より良い水質管理に向け、科
学的基盤を改善し、これに立脚することを目指している。一
例として、1993 年に水資源気象省は公共水域において毎
インドネシア
月の水質検査を開始した。また環境省は、多様な分野で定
期モニタリングプログラムを行っており、1999 年からは水
質のモニタリングも実施している。このようなモニタリング
活動は、より効果的な水質管理政策のための科学的根拠
日本
を形成し、今後、戦略的計画、行動計画、具体策を打ち出す
ことにつながる
( Sokha 2011 )。
韓国
07. 現在及び今後の課題
ラオス人民民主共和国
カンボジアにおける水質管理の現況を踏まえると、次の
ような管理上の主な課題が挙げられる。
1 . 人の健康やレクリエーションのような個別用途・目的別
の水質基準の欠如等、法的枠組みが脆弱である。
2 . 具体的な水質管理政策、戦略、基本計画が未策定であ
マレーシア
る。
3 . 試験所や現場の水質検査用機器の不足。水質の適切な
ミャンマー
管理に対し支障となっている。
4 . 十分な水質管理を遂行することができる専門知識を有
する国及び地方レベルの技官の不足。
ネパール
5 . 政府の予算不足。特に、施設インフラ/ 機器及び人材の
面から試験所の能力を改善するための予算か不足して
いる。
フィリピン
6 . ステークホルダー間、特にカンボジアの水質を保全し、
改善することに責任を有する企業との調整不足。コミュ
ニケーションとデータ共有の促進を図る必要がある。
スリランカ
7 . 国及び地方の両レベルにおける技術能力不足。水質モ
ニタリングや分散的な生活排水処理技術等の分野で、
国際的支援が必要である。
タイ
8 . 地域住民を含めた関係者の意識が水環境の維持及び
保全に向けられていない。意識不足から、こうした関係
者の参加も大体限定的である。
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
35
2.2 中国
01. 国別情報
03. 水資源の現状
表2.2.1. 基本指標
960万(2010)
国土面積(km2)
13億5,700万(2013)
総人口(人)
9兆2,402億(2013)
名目GDP(米ドル)
6,807(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
645(2009)
平均降水量(mm/年)
水資源量(km3)
2,840(2009)
年間水使用量(10億m3)
554.1(2005)
セクター別
年間水使用率
農業用水
64.6%(2005)
工業用水
23.2%(2005)
都市用水(生活用水を含む)
12.2%(2005)
(付録参照)
中国の水資源総量は世界第 6 位であるが、人口が多い
ため 1 人当りの水資源量は約 2 , 100 m 3 と少なく
(世界開発
指標)、世界平均の 5 分の 1 に過ぎない。しかも、中国の水
資源の分布は偏っており、水資源が豊富な南部に対し、北
部は乏しい( MWR 2011 )。都市の約 3 分の 2で水不足が生
じており、110 都市以上で切迫した状況となっている
(MWR
2011 )。北京や天津といった巨大都市も、深刻な水不足に
直面している
( World Bank 2008 )。
04. 水質状況
中国環境保護部( MEP )の環境状況広報 2013 年版によ
ると、中国全土の表流水は僅かに汚染されている。都市部
02. 中国の主要 7 流域
を流れる河川については、部分的な汚染が依然深刻である
( MEP 2014 a )。表流水の水質に対しては評価が実施され
松花江
までの 5 つに分類される(表 2 . 2 . 2 )。海水と地下水に関し
遼河
ては、前者は海水の水質基準に、後者は地下水の環境基準
北京
海河
黄河
淮河
揚子江
ており、表流水の環境基準に基づき、クラス I からクラス V
に従い、表流水と同じく類型にて評価される(表 2 . 2 . 3 . 及
び表 2 . 2 . 4 . )。
河川水
珠江
全国のモニタリング結果によると、河川水の水質は、
71.7%がクラスIからクラスIII、19.3%がクラスIVからV、9.0%
がクラス V 以下と等級付けられた主要 10 水系(揚子江、黄
河、珠江、松花江、准河、海河、遼河、浙江省と福建省を流
れる河川、南西部の河川、内陸部の河川)の水質は、全体
的 に「 僅 か に 汚染 さ れ て い る 」と 報告 さ れ た( M E P
図2.2.1. 中国の主要7流域
2014 a )。2011 年比では水質に大きな改善が見られたこと
になる(表 2 . 2 . 5 . )。図 2 . 2 . 2 は 10 大河川の 2013 年の状
態を示す。揚子江、珠江、浙江省と福建省を流れる河川、南
西部及び内陸部の河川は、良好或いは普通との評価を受
けている。黄河、松花江、准河、遼河については僅かに汚
染が進み、海河は中程度に汚染されている。こうした汚染
を示す主な水質基準は、化学酸素要求量( COD )及び生物
学的酸素要求量( BOD )
である
( MEP 2014 a )。
36
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
分類
カンボジア
表2.2.2. 表流水環境基準の分類
表2.2.4. 地下水の水質基準の分類
説明
分類
説明
主として水源水や国家自然保護区に相当。
I
地下水の天然化学成分バックグラウンド含量が低いことを示す。
II
主として一級保護区の飲料水資源、希少魚類保護区及び魚類と
エビ類の産卵地域に相当。
II
III
主として二級保護区の飲料水資源、一般魚類保護区及び遊泳区
に相当。
地下水の天然化学成分バックグラウンド含有を示す。
様々な用途に適用可能である。
III
IV
主として工業用水資源及び直接人体に接触しないレクリエー
ションの用途に相当。
人の健康に関する基準値に基づく。主として、集中式飲料水源及
び工業用水や農業用水に適用可能である。
IV
V
主として農業用水資源及び景観のために必要な水域に相当。
工業用水及び農業用水要件に基づく。主として工業用水として、
また、一部の農業用水としても適用可能である。適切に処理がな
されると、飲料水にも適用可能である。
V
飲料水には不適。他の用途によっては、こうした分類の水が選択
されることがある。
分類
(出典:UNEP 2010 )
説明
III
一般的工業用途のための水資源に適している。
IV
港湾及び海洋開発活動のみに適している。
年
クラス
I~III
クラス
IV~V
クラスV
よりも劣る
2011
61 . 0 %
25 . 3 %
13 . 7 %
2013
71 . 7 %
19 . 3 %
9 . 0 % (出典 : MEP 2014 a )
備考
469 区間の表流水質モニタリングに
基づく
( MEP 2012 a )
ラオス人民民主共和国
II
海洋栽培、海水浴、マリンスポーツまたは身体が直接海水に接触
するレクリエーション活動及び人の消費に関係する工業用水源に
適している。
表 2.2.5. 中国の主要10水系の水質(2011年及び2013年)
韓国
I
海洋漁業、海洋自然保護区、希少種または絶滅危惧種海洋生物
保護区に適している。
日本
表2.2.3. 海水の水質基準の分類
インドネシア
(出典:表流水環境基準)
中国
I
(出典:MEP 2007 )
100
80
マレーシア
クラスI~III
60
クラスIV~V
40
クラスV 以下
0
揚子江
黄河
珠江
松花江
准河
海河
遼河
湖沼及び貯水池
内陸部の
河川
ネパール
図2.2.2. 中国の主要10水系の水質状況(2013年)
(出典:MEP 2014 a )
浙江省と 南西部の
福建省を
河川
流れる河川
ミャンマー
20
10 %は重度に汚染されていると評価されている。主な汚染
源は COD 及び全リン(Total Phosphorus:TP)
である。雲南
基づく主要 61 の湖沼及び貯水池の水質状況を示す。対象
省の滇池は「中程度の富栄養化(栄養指数 60 超)」に分類
湖沼の 60 % 以上の水質が良好或いは普通と分類され、約
されている
( MEP 2014 a )。
フィリピン
表 2 . 2 . 6 は、中国の全国水質モニタリングプログラムに
スリランカ
表2.2.6. 主要湖及び貯水池の水質(2013年)
水域の種類
水域数
良好
雲南省の三湖 *
普通
僅かな汚染
中程度の汚染
重度の汚染
0
2
0
1
大淡水湖
31
5
9
10
1
6
大貯水池
27
12
11
4
0
0
合計
61
17
20
16
1
7
28
33
26
2
11
2013 年の構成比( % )
(61)
ベトナム
0
タイ
3
(出典:MEP 2014 a )* 三湖 : 太湖、滇池、巣湖
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
37
沿岸水域
遼寧省
北京
海水 の 水質 は 全体的 に 良好と言える。沿岸域海水 の
天津市
66 . 4 %は国家海水水質基準のクラス I 或いは IIに、15 %が
クラス III 或いは IVに分類されている(図 2 . 2 . 3 . 参照)。4 主
山東省
要沿岸水域に限ると、黄海、南シナ海、渤海の水質は良好
或いは普通であり、東シナ海の水質は悪い。沿岸水域の水
は僅かに汚染されている
( MEP 2014 a )。
江蘇省
地下水
全般的に、地下水の水質は要注意であるという結果が報
クラスI
クラスII
クラスIII
クラスIV
クラスV
告されている。2013 年の地下水水質モニタリングの結果、
全4,778のモニタリング地点の内、43.9%の水質は「悪い」、
15.7%は「非常に悪い」と評価されている
(MEP 2014a)
(図
2 . 2 . 4 . )。汚染源の種類は不明であるものの、2013 年のモ
ニタリングでは、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性
上海市
安徽省
広西チワン族
自治区
江西省
浙江省
福建省
台湾
広東省
窒素、鉄、マンガン、硝酸塩、フッ化物、塩化物、溶解性物
質、全硬度が主な水質指標とされた( MEP 2014 a )
。国務
院は、地下水汚濁の主な原因として、過剰揚水、下水から
の汚染、生活廃棄物及び産業廃棄物、化学肥料、農薬を特
定している
( Jin 2011 )。
Hainan
南シナ海諸島
図2.2.3. 2013年の中国本土の沿岸海水水質状況
(出典:MEP 2014 a )
排水及び主要汚染源
工業排水、都市部の生活排水、農業排水を合わせた総排
水量は増加しているものの、COD 及びアンモニア性窒素は
非常に良い
減少している。2013 年の排水排出総量は 695 億 4 千万トン
良い
であり、内、工業排水は 209 億 8 千万トン、生活排水は 485
悪くはない
悪い
億1千万トンであった。2012年(総排水量659億2千万トン)
非常に悪い
比では約 5 % 増加している。2011 年以降、中国政府はプラ
ンテーション、漁業、畜産業といった農業排水から検出され
る COD 及びアンモニア性窒素をモニタリングしている。
COD 排出総量は 2 , 352 万 7 千トンであり、2011 年( 2 , 499
万 8 千トン)から5 . 9 % 減少した。この内、48 %は農業排水
によるものである。アンモニア性窒素量は 245 万 7 千トン
で、その内およそ 58 %は生活排水中に発生している。2009
年( 260 万 5 千トン)からは 5 . 7 %の減少であった( MEP、
2014 b )。
38
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
図2.2.4. 地下水質モニタリング結果(2013年)
(出典 : MEP 2014 )
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
生態及び生活環境の保護と改善、そして汚染防止は、中
環境保護法
表流水及び地下水の水質保全
水質汚濁防止法
華人民共和国憲法により国家の責任と定められている。中
- 表流水環境基準
- 地下水の水質基準
健康を保障し、水資源の有効利用と海洋資源保全を維持
展を増進すること」と定めている。図 2 . 2 . 5 は、中国におけ
海水の水質保全
他の水質基準
華人民共和国環境保護法は、環境基本法として1989 年に
- 漁業水質基準
- 灌漑用水質基準
施行された( 2015 年改正)。表流水及び地下水の水質汚濁
韓国
年に制定され、その下で表流水環境基準、地下水環境基準
日本
海洋環境保護法
る水質汚濁防止に関する法律体系の概略を示している。中
防止に関しては、中華人民共和国水質汚濁防止法が 1984
インドネシア
水質基準
華人民共和国環境保護法は、水環境保全の目的を「人間の
し、生態系のバランスを維持し、そして現代社会主義の発
中国
法整備
カンボジア
05. 水質環境管理の枠組み
図2.2.5. 水質に関する法的枠組み
(出典 : MoEJ 2009 )
ラオス人民民主共和国
及び水質汚濁物質排出基準が定められた。海水に関して
は、中華人民共和国海洋環境保護法が 1982 年に制定さ
れ、同法の下で、海水の水質基準が定められた。以上の法
律に加え、汚染排出費徴収に関する暫定措置といった水質
汚濁防止に関連した規制及び行政命令/規則も存在する。
公共用水域の水質モニタリング
水質モニタリングは、河川、地下水、湖沼及び海水の水
質をチェックするため、全国に設置されたモニタリング地
制度的措置
象は、204 河川の 409 モニタリング地点、182 都市の 4 , 110
( SEPA )から格上げされたもので、環境保護管理の全体的
km 2 に及んだ( MEP 2011 a )。水質の分析方法は、各水質
監督ならびに調整を通じ、中国の環境汚染を防止する使命
基準で規定されている(表流水環境基準( GB( 国家基準)
を負っている。省および市も、地方の法律及び基準により、
3838 - 2002 ))、地下水水質基準( GB/T 14848 - 93 )及び海
汚染防止に重要な役割を果たしている。
水水質基準( GB 3097 - 1997 )。
水環境管理政策
排水基準
ネパール
地下水モニタリング地点、26 の湖、沿岸海水面積 279 , 225
ミャンマー
環境保護部( M E P )は、2 0 0 8 年 に 国家環境保護総局
都市下水処理場の排水地点における生活排水の水質
文書であり、水環境管理の達成目標も定められている。ま
は、都市下水処理場汚染物質排出基準( GB 18918 - 2002 )
た、主要流域の水質汚濁防止に関する国家 5 カ年計画も、
により規制されている。また、産業排水の汚染物質レベル
重要な水環境管理政策文書として策定されている。
は、汚水総合排出基準( GB 8978 - 1996 )の規制を受ける。
フィリピン
中国国民経済・社会発展 5 カ年計画は中国の基本政策
マレーシア
点で行われている。2010 年に実施されモニタリングの対
スリランカ
しかし、上記基準の対象とならない鉄鋼業や食肉加工業等
水質環境基準
表流水環境基準では、24 の基本水質項目について表
の産業については、個別の基準が定められている。汚水総
合排出基準(GB 8978-1996)
では、1997年12月31日以前、
質基準では 39 の項目、また、海水の水質基準では 35 項目
の汚染物質に関する達成目標値がそれぞれ策定されてい
について基準値を定めている。漁業水質基準及び灌漑用
る。2008 年以降、新しく追加された排水基準は 10 余りにの
水質基準は、追加的な水質基準として定められている。
ぼる
( 2011 年 10月現在)
( MEP 2011 c )。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
また、1998 年 1 月1日以後に設立された企業に対し、個別
タイ
2 . 2 . 2 .にて示す 5 分類の基準値を定めている。地下水の水
39
Box 2.2.1. 汚染削減目標の達成に向け講じられている主な措置
中国は汚染削減に成果をあげてきているが、
これを可能とした主な措置の一つは、汚染防止規制であると考えられる。具体的に
は、環境影響評価(E I A)
プロセスの厳格化、排出汚濁負荷総量規制、主要流域の境界をまたぐ河川区間の水質検討制度及びこうし
た手段の執行制度(地方政府の実績評価手法を含む)等である。
E I Aプロセスでは、環境保護部は水質に影響を及ぼす建設事業に対してより厳格な規則を適用している。削減目標を達成できな
かった流域や地域では、新規投資や工場拡張の許可が制限された。同様に、一定期間内に水質基準を満たさなかった工場も閉鎖さ
れた。2008年2月施行の中華人民共和国水質汚濁防止改正法18条において汚染物質の排出総量が所定の水準を超えた地域に対
し、中国政府は建設事業のEIA文書に対する検討と承認を停止すると規定されており、
これらの措置は法的に妥当なものであった。
また、従来の汚染濃度に基づく規制に代わって、排出汚濁負荷総量規制が導入され、排水の放流先水域の受容能力が考慮され
るようになった。
この新しい規制の実施により、汚染者に対し排出負荷許可証が出され、基準を超える排出量には排出代金が課さ
れるようになり、関連する規制に違反する企業は閉鎖されている。以上の措置を実施、執行するため、中央政府は地方政府と取り決
めを交わしている。
この取り決めにより、地方政府は汚染削減目標を達成する義務を負い、達成できなかった場合には当該政府の
首長を含め、責任を負う行政官は昇進することはなく、降格させられる可能性さえある。
この実績評価指標と汚染削減目標との連
携は、第11次5カ年計画中に講じられた最新の取り組みである。
(出典:World Bank 2008 )
06. 水質環境保護に関する最近の政策的成果
理政策を具体化したところであり、これには資源節約の側
面以外に文化的及び生態学的な側面も含まれている。飲
第 11 次国家 5 カ年計画( 2006 〜 2010 年)では、COD 排
料水の水源保護は引き続き優先順位が高く、地下水管理
出量を 2005 年比で 10 % 削減する義務的達成目標を定め
は中国の水質管理における新しい優先課題分野となって
た。2006 年以来、環境影響評価( EIA )の結果、水質汚濁防
いる。
止規制を満たさないために中止または延期となった建設
汚染削減に関しては、第12次5カ年計画(2011~ 2015年)
事業は 822 件にのぼっている。また、排水の放流で環境保
では、2010 年比で COD 排出量を 8 %、アンモニア性窒素を
護法の要件を満たさなかったために閉鎖された企業は 2
10 % 削減するとの目標が定められている。また、農業に関
万社余りに達する。こうした措置により、第 11 次 5 カ年計
する非固定発生源の防止も重視されている
(MEP 2011d)。
画期間中、COD 排出量は 2005 年比で 12 . 45 % 減少し、削
第 12 次五カ年計画では、全国モニタリングプログラムの対
減目標が達成された( MEP 2011 b )。さらに、全国モニタリ
象で水質がクラス V 以下と評価される表流水測点を全体の
ング制度の対象河川区間のうち、2010 年末時点で国家表
15 % 未満に抑え、主要 7 河川水系の中で水質がクラス III 以
流水質基準を満たした区間は 80 . 9 %にのぼっている。ま
上のモニタリング対象測点を全体の 60 % 以上とする必要
た、過マンガン酸濃度の平均値は 2005 年に比べ 31 . 9 % 低
があると述べている
( MEP 2013 )。
下し、また、主要 7 河川で水質基準クラス IIIを満たした区間
第 11 次 5 カ年計画の COD モニタリングは、ほとんど固
の割合は、2005 年の 41 %から2011 年の 59 . 9 %へと増加し
定発生源の排出量を対象としているが、中国の水環境汚染
ている( MEP 2011 d )。汚染削減目標を達成するための主
に対し包括的に取り組むには非特定発生源のモニタリング
な措置を Box 2 . 2 . 1 に示す。
が必要となっている。2010 年の第 1 回全国汚染源調査によ
れば、水質汚濁の 40 % 以上の原因を肥料・農薬や家畜糞
07. 現在及び今後の課題
中国は同国の健全な発展の基礎となる水環境の管理を
強化してきた。現在、中国の水環境管理は新たな戦略的管
40
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
の流出や埋立て漏れといった農業汚染物質が占めている。
農業汚染物質は、水中の全窒素の 57 . 2 % 及び全リンの
67 . 4 %を占めている( MEP 2010 b )。こうした結果が、アン
モニア性窒素の新たな削減目標設定へとつながっている。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
経済成長とともに生活用水量も増えており、下水処理場の
整備といった生活排水に対する措置も検討対象となる可能
中国
性がある。
さらに第 12 次 5 カ年計画では、環境保護の強化に重点
が置かれている。具体的には、人間の健康を守るために、
インドネシア
重金属汚染や大気及び土壌汚染の削減が強調されている
( MEP 2011 d )。水環境の観点からは、中国の飲料水源や
地下水供給の安全性を特に脅かしているのが重金属汚染
である。国務院によれば、同国の水供給の 18 %は地下水を
日本
水源としており、657 都市のうち 40 % 余りが地下水を主要
飲料水源としている(中国政府公式ウェブポータル 2011
年)。2010 年 1月から2011 年 5月までの 2 年で重金属汚染
韓国
は 21 件あり、この中には鉛中毒や保護区の損害も含まれ
ている( Wang 2011 )など、地下水の汚染は引き続き深刻
ラオス人民民主共和国
な問題となっている。地下水源の安全性を確保し、汚染防
止に取り組むため、国務院は 2011 年 8 月に国家計画を採
択した。この計画では、地方政府は 2015 年までに地下水
環境モニタリングシステムを、2020 年までに汚染防止メカ
ニズムを整備しなければならない( Jin 2011 )。
マレーシア
ミャンマー
ネパール
フィリピン
スリランカ
タイ
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
41
2.3 インドネシア
01. 国別情報
( Indonesian Drinking Water and Environmental Health
Work Group )の報告によると、2000 年のジャワ島における
表2.3.1. 基本指標
191万931(2014)
国土面積(km2)
2億4,900万(2013)
総人口(人)
8,680億(2013)
名目GDP(米ドル)
一人当り名目GDP(米ドル)
3,475(2013)
平均降水量(mm/年)
2,702(2009)
水資源量(km3)
2,019(2009)
年間水使用量(10億m3)
113.3(2000)
セクター別
年間水使用率
農業用水
81.9%(2000)
工業用水
6.5%(2000)
11.6%(2000)
都市用水(生活用水を含む)
(付録参照)
利用可能水量は一人当り1 , 750 m 3 に止まり、2020 年には
一人当り1 , 2 0 0 m 3 に 減少 すると予測されている( M o E
2013 )。近年、水消費量に大幅な増加傾向がみられる。
2000 年の総水需要量は年間約 1 , 560 億 m 3 であったが、
2015 年までにこの 2 倍となる年間 3 , 566 億 m 3 に増加する
ことが予測されている。インドネシアでは、環境悪化と汚染
の影響で安全な水が減少しており、重大な危機に直面して
いる。
インドネシアの家庭で使用されている水は、一日一人当
り平均 110リットルと推定されている。2013 年の人口は 2
億 4 , 880 万人であるため、全人口に対して最低一日2 , 730
万 m 3 の水が必要となる(年間必要量は 99 億 6 , 000 m 3 )。
2012 年には、人口のわずか 59 %のみが改善された衛生施
02. インドネシアの主な流域
設を利用しており、85 %が改善された飲料水源へのアクセ
スを有していた( WHO/UNICEF 2014 )。
04. 水質状況
Mahakam
カリマンタン島
Barito
Kapuas
Salo Walanae
スラウェシ島 マルク諸島
パプア島
スマトラ島
Kampar
Indragiri
Batanghari
Musi
ジャカルタ
Salo Maros
Citarum Brantas バリ及びNusatenggara
Bengawan Solo
インド洋
インドネシアには 5 , 590 の主要河川がある。様々な汚染
源が影響し、大河川のほとんどが水質汚濁を経験している
Cisadane
ジャワ島
河川
オーストラリア
図2.3.1. インドネシアの流域
( MoE 2011 )。2008 年から2012 年にかけて実施された政
府のモニタリングでは、特にジャワ島やスマトラ島におい
て、河川の水質が着実に悪化していることを示している
( MoE 2013 )。政令 2001 年第 82 号に定められている水質
分類クラス IIの基準に基づけば、重度に汚染されている河
川の割合は2008年に既に60%を超えていた。この割合は、
03. 水資源の現状
2011 年には 82 %に上昇し、2012 年には 75 . 2 %に下降して
いる。
インドネシアの水資源量は世界のほぼ 6 %、アジア太平
主要な汚染源の一つは、未処理の生活排水と河川水域
洋地域の約 21 %を占める。同国の年間一人当りの利用可
に直接廃棄される家庭廃棄物である。検査された水質項
能 な 水量 は 1 万 6 , 8 0 0 m で、世界平均 を 上回る( M o E
目中、有機物負荷及び大腸菌群は、ほとんどの場合におい
2013 )。しかし、利用可能ではあってもその分布は地域毎、
てクラスII類の水質基準を満たしていなかった(図2.3.2.)。
季節毎に異なり、均等ではない。
通常、有機物負荷や大腸菌群は家庭の汚染源に関係があ
3
インド ネ シア 飲料水及 び 環境衛生 ワ ークグ ル ープ
42
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
る。ほぼ全州の河川水の有機物は、政令 2001 年第 82 号に
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
のみであることから、家庭を汚染源とする水質汚濁の軽減
る25 mg/L を超えていた。現在、管理が可能なのは一日の
は最大の課題である。
カンボジア
て規定されている化学的酸素要求量( COD )の基準値であ
(%)
2008
2009
2010
2011
中国
総生活廃棄物量のわずか 5 . 4 %にあたる 1 億 3 , 969 万 kg
2012
70
インドネシア
60
50
40
30
日本
20
10
糞
便
性
大
腸
菌
総
大
腸
菌
群
数
硫
化
水
素
全
リ
ン
硫
酸
塩
D
フ
ェ
ノ
ー
ル
石
油
と
油
脂
界
面
活
性
剤
遊
離
塩
素
韓国
亜
硝
酸
園
CO
D
BO
D
O
TS
S
TD
S
pH
00
水質項目
ラオス人民民主共和国
Figure 2.3.2. 水質汚濁の防止及び水質管理に関する政令(2001年第82号)におけるクラスII類水質基準を満足しない水質項目の割合
(出典:MoE 2013 )
農業、繊維業、パルプ・製紙業、石油化学、鉱業、石油・ガ
スといった産業セクターの小規模事業者からの排水も、水
となるDO 値は非常に低かった。Sapan、Cijeruk、Burujul、
Dayeuhといった地点では、DO 測定値はゼロであった。
質汚濁の大きな原因である。インドネシアの汚染防止・評
グや認可制度では、汚濁負荷の軽減に取り組んでいる。
湖沼及び貯水池
河川の状態と同様、湖の水質も悪化しており、生活、農
荷量は 198 . 9 億 kg 減少した。これは、産業全体の有機系
起こしている。政府の重点湖沼一覧にある 15 箇所の湖で
排水量の 52 . 3 %が削減されたことになる。この他、ジャワ
行われた水質モニタリングによると、12 箇所の湖が富栄養
島やスマトラ島以外の汚染源には農業や土壌侵食があり、
化状態にあり、残りの 3 箇所の湖では極度の富栄養化が進
部分的には違法伐採や農業経営によって引き起こされてい
んでいた( MoE 2013 )。しかし、富栄養化状態にある12 箇
る( MoE 2011 )。このような汚染源からの汚染は、管理や
所の湖中 5 箇所の湖において2012 年に実施されたモニタ
モニタリングが難しい。
リングによると、2 箇所の湖( Batur 湖及び Singkarak 湖)で
Ciliwung 川、Citanduy 川、Cilamaya 川の 7 河川を対象に実
わずかな改善が見られている
(表 2 . 3 . 2 . )。
表2.3.2. 5湖の栄養状態及び水質(2012年)
湖
軽度に汚染
されている
割、Citarum 川の 6 割は生活排水によって汚染されており、
Tempe 湖
残りの 2 割及び 4 割はそれぞれ小規模事業者(畜産業及び
過栄養型(総リン濃度に基づく)
貧栄養型(総窒素濃度に基づく)
重度に汚染
されている
Batur 湖
中栄養型
軽度に汚染
されている
Singkarak 湖
入江において富栄養型(総リン濃度及び
窒素濃度に基づく)
中流域において中栄養型(総リン濃度及
び窒素濃度に基づく)
汚染されて
いる
いことを表すクラス D 類であった。Ciliwung 川のおよそ 8
農業)と産業からの排水が汚染源である( MoE 2013)
。
Citarum 川流域のいずれの地点の水質も、クラス II 類の水
質基準を満たしていない。全計測地点において、糞便性大
(COD)
、浮遊物質の含有量は高く、水域の衛生状態の指標
Kerinci 湖
富栄養型
(総リン濃度及び窒素濃度に基づく)
軽度に汚染
されている
ベトナム
腸菌、生物化学的酸素要求量( BOD )
、化学的酸素要求量
タイ
水質
富栄養型(総リン濃度及びクロロフィル a
濃度に基づく)
貧栄養型(総窒素濃度に基づく)
スリランカ
栄養状態
Toba 湖
施された調査では、全河川の水質分類は、水質が非常に悪
フィリピン
る。Cimanuk川、Citarum川、Cisadane川、Kali Surabaya川、
ネパール
業、畜産、林業、工業等、様々な汚染源が水質汚濁を引き
ミャンマー
2010 年から2012 年にかけて、産業を汚染源とする汚濁負
さらに、西ジャワ州の河川の水質は危機的な状態にあ
マレーシア
価・格付けプログラム( PROPER )を通じた集中モニタリン
(出典:MoE 2013 )
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
43
2004 年に PT Indonesia Powerと西ジャワ州バンドン市の
また、地下水域は 72 万 3 , 629 km 2 の面積に広がり、30 万
パジャジャラン大学天然資源環境研究センター( PPSDAL )
8 , 288 m 3 の集水能力を有すことから、その潜在性は複数
が共同で実施した調査の結果、Sagulingダム貯水池の水
の島で有望視されている( MoE 2013 )。水質汚濁防止に関
質は正常値を既に超えていた。例えば、水銀( Hg )含有量
する保健大臣令 1990 年第 416 号では、地下水の水質基準
は、基準値が 0 . 002 mg/m であるところ、0 . 236 mg/m に
を定めている。ジャカルタ環境白書 2006 年によれば、ジャ
達していた( MoE 2011 )。
カルタ地域のモニタリング対象の井戸は大半が住宅密集
PPSDALによると、金属水銀は、魚肉やプラスチック産業か
地にあるが、この内約 39 %にて基準値を超える大腸菌が検
ら検出されている。他の重金属は、繊維工場の染色工程で
出されている
(Environmental Management of DKI Jakarta
水域に排出される。このような大量の重金属は、既に危機
2007 )。
3
3
的な状態のインドネシアの水質をさらに悪化させることに
なる。現在、Sagulingダム貯水池の水は、消費、農業、漁業
にはもはや不適合とされている
( MoE 2011 )。
05. 水環境管理の枠組み
法制度
沿岸水域
インドネシアにおける環境管理の目的は、環境的に持続
インドネシアは世界最大の島嶼国であり、1 万 3 , 466 の
可能 な 開発 の 達成である。水資源統合管理 は 水資源法
大小の島から成り、580 万 km の海域と81 , 000 kmの海岸
(2004年第7号)にて定められている。同法令は、水資源は、
線を有する。汚染はインドネシアの海も脅かしている。
持続可能な水資源の恩恵を実現するため、環境という考え
1997 年から2012 年までの間に、36 件の油流出事故が報
方に従い包括的かつ統合的に管理されなければならない
告されており、沿岸域は部分的に油による汚染の影響を受
と述べている。
2
けやすい状態にある( BPS 2012 )。インドネシア環境白書
その目標の下、また人間やその他の生物の安寧を維持
( State of the Environment Report of Indonesia )2012 年
する上で水が重要な役割を果たすこと、そして現・次世代
版によると、数カ所の海港( Tanjung Priok 港(ジャカルタ
に恩恵をもたらし、生態系のバランスを維持するために、
市)、Ciwandan 港( Banten 州)、Gorontalo 港、Parigi 港 ,
適切に管理する必要性があることが認識されている。図
T o m i n i 湾)及 び 観光地( T o m i n i 湾、P a r i g(
i P a l u 市)、
2 . 3 . 3 . は水環境管理の基本的な法体系を示す。インドネ
Pahuwato(Gorontalo 州))
では、透明度が低く
(3 m 未満)、
シアで環境管理基本法( 1982 年第 4 号)等、環境法令が導
高濃度のアンモニア、全浮遊物質( TSS )、沖合の油と油脂、
入されたのは 1980 年代のことである。最初の環境管理
フェノールが検出されている、これは、港湾地区の海洋水
法、後継の環境管理法( 1997 年第 23 号)は、現在では環
質基準を超えている(海水の水質基準に関する環境大臣令
境保護管理法( 2009 年第 32 号)に代わっている。同法には
2004 年第 51 号)。特に、2012 年のフェノールの濃度は
次の目標が示されている
(第 3 条):
2011 年のモニタリング結果に比べ増加している。
西ジャワ州の北部には環境悪化が見られる地域がある
( a )インドネシアを環境汚染及び/または損害から守ること
( b )人間の安全、健康及び生活を保証すること
が、このような地域は、マングローブ林の破壊、沿岸侵食、 ( c )人間及び動植物の生命と生態系保全の持続を
船舶の運航に影響を及ぼす河川の堆泥が見られる場所で
保証すること
ある。海岸侵食は、南部沿岸域で年間約 35 . 35 ha、北部沿
( d )環境機能を保全すること
岸域で年間およそ 370 . 3 haであり、海水水質汚濁指数は
( e )環境調和・同調性・バランスを達成すること
7 . 391 から9 . 843 であった。これは重度に汚染されている
( f )現・次世代のための正義を保証すること
ことを示している
( MoE 2011 )。
( g )環境への権利を満たし、擁護すること
( h )天然資源利用を規制すること
地下水
( i )持続可能な開発を実現すること
地下水は潜在量が 30 . 61 %と多く、重要な水源である。 ( j )地球環境問題に取り組むこと
44
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
環境保護管理法(2009年第32号)
水質汚濁の防止及び水質管理に関する政令
(2001年第82号)
海洋水質の保全
インドネシア
水質基準(陸水)
中国
陸水水質保全
産業排水の基準に関する環境大臣令
(1995年第51号)
家庭等からの排水基準に関する環境大臣令
(2003年第112号)
海水の水質基準に関する環境大臣令
(2004年第51号)
水質基準(海洋水)
その他大臣令
日本
排水基準
図2.3.3. 水質管理の法体系
(出典:MoEJ 2009 )
韓国
水質汚濁の防止及び水質管理に関する政令( 2001 年第
( 9 )Musi(南スマトラ州)
水質分類が定められている。
制度的措置
ラオス人民民主共和国
82 号)は水質管理の基本となる法であり、この法律の下、 ( 10 )Barito(南 Kalimantan 州)
( 11 )Mamasa(南 Sulawesi 州)
湖沼:
インドネシアでは、環境省(MoE)や公共事業省(PU)等、 ( 1 )Limboto( Gorontalo 州)
( 2 )Toba(北スマトラ州)
及び水質汚濁を所管し、公共事業省は水の量及び用途に
( 3 )Tempe(南 Sulawesi 州)
重点的に取り組みながら水資源管理を担っている。2015
( 4 )Tondano(北 Sulawesi 州)
年、環境省と林業省が統合され、環境・林業省となった。
( 5 )Maninjau(西スマトラ州)
マレーシア
水管理にあたる省庁が複数存在する。環境省は水質管理
ミャンマー
( 6 )Singkarak(西スマトラ州)
水環境管理政策
インドネシア国家中期開発計画( 2010 ~ 2014 年)は、水
680 産業からの汚染負荷削減
( 8 )Matano(南 Sulawesi 州)
( 9 )Swamp Dizziness(中部ジャワ州)
ネパール
環境の保全に関する数値目標を定めている:
( 7 )Poso(中部 Sulawesi 州)
( 10 )Batur( Bali 州)
汚染レベルを 50 %まで低下させる
インドネシア環境白書 2010 年版によれば、特に環境の
水質基準
水質基準( WQC )は、水質汚濁の防止及び水質管理に関
する政令( 2001 年第 82 号)の下、水質保全のための基準と
河川:
して定められた。これらの基準は中央政府により定められ
た最低基準であるため、地方政府はそれを満たした上で独
( 2 )Cisadane
自に基準を定める - すなわち、現地の事情を踏まえ、中央
( 3 )Citarum(西ジャワ州);Solo(中部ジャワ州)
政府の定めた数値よりも厳しくすることができる。また、国
( 5 )Progo(ジョグジャカルタ市)
の基準には含まれていない水質項目を追加することもでき
( 6 )Siak( Riau 州)
る。
水質基準( WQC )には、用途の種類に基づいて決められ
ベトナム
( 8 )Batanghari( Jambi 州 Edinburgh 市)
タイ
( 1 )Ciliwung
スリランカ
改善が優先される河川及び湖沼は次の通りである。
( 7 )Kampar( Riau 州)
フィリピン
11 の優先流域における環境悪化の防止
た 4 分類、45 項目が定められている(表 2 . 3 . 3 . )。しかし、
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
45
河川の類型あてはめが十分ではないため、水質状況の評
グに関するメカニズムと手続の詳細は、大臣令で規定する。
価は、計測値がクラス IIに定められている数値を満たして
2004 年以来、33 にのぼる各州の地方環境管理局がイン
いるかという判断に基づいて行われている。海洋水質保全
ドネシアの 40 河川で水質項目のモニタリングを実施し て
に関しては、海水の水質基準に関する環境大臣令( 2004 年
いる。
第 51 号)の下で定められた基準値が海洋水質基準に用い
られている。海洋水質基準は、海水の用途または特性に基
排水基準
づき、港湾水、海洋観光、そして海洋生物の 3 種類が設けら
国家排水基準は、関連省庁からの提案を考慮しつつ、大
れている。表流水の水質基準に関しては、前出のとおり地
臣令により定められる(水質汚濁の防止及び水質管理に関
方政府はより厳格な基準を定めることが認められており、
する政令)。水質基準同様、当該州政府は国家排水基準と
ジャカルタ首都特別州( DKI )知事規則 2006 年第 93 号によ
同等、またはより厳格な排水基準を規定できる。
り、首都及び特別地域(ジャカルタ首都特別州)ではより厳
格な基準が適用されている。
2001 年、インドネシア政府は 14 の産業活動を対象に初
の産業活動別の排水基準を定めた。産業排水の基準に関
2012 年 1月現在 、インドネシア環境省は 2009 年法律第
する環境大臣令( 1995 年第 51 号)により、2005 年までに対
32 号を反映させるため、現行の 2001 年政令第 82 号を改
象は 21 種類の活動に増えている。環境大臣は個々の規制
訂して新しい政令を起草しており、承認待ちの段階にある
に沿って排水基準の数値を定める。DKIジャカルタ、西ジャ
(インドネシア WEPAフォーカルポイントによる提供情報
ワ州及びジョグジャカルタ州は、中央政府よりも厳格な排
2011 年)。
水基準を定めている。
表2.3.3. 陸水水質基準の分類
分類
用途
クラス I
飲料水及び/または同等の水質を要する他の用途の原
水として利用できる水。
クラス II
水に関するレクリエーション、インフラ/手段、淡水養
殖業、畜産業、園芸用水及び/または同等の水質を要
する他の用途に利用できる水。
クラス III
淡水養殖業、畜産業、園芸用水及び/または同等の水
質を要する他の用途に利用できる水。
クラス IV
園芸用水及び/または同等の水質を要する他の用途に
利用できる水。
(出典:MoEJ 2009 )
06. 水環境管理に係る最近の動き
環境保護管理法( 2009 年第 32 号)は、2009 年に制定さ
れた。その前身である環境管理法( 1997 年第 23 号)
よりも
包括的な内容を持つ( Syarif 2010 )。同法では、予防措置、
環境調和及びバランス、エコリージョン、生物多様性、参
加、地域固有の知恵、グッドガバナンス、地域自立といった
新しい原則を採用している(第 2 条)。また、汚染源管理の
強化のため、次に示すような従来よりも厳格な条項を含ん
でいる。
環境許可制度及び環境回復のための信任金の導入:環
公共用水域における水質モニタリング
水質モニタリング制度は、水質汚濁の防止及び水質管理
に関する政令で次のように定められている:
( 1 )地方自治体における水源のモニタリングは、地方政府
により実施される。
ログラム及び環境モニタリングプログラム(UKL-UPL-同略)
に 加 え、環境許可制度 が 導入 さ れ た( 第 3 6 ~ 4 1 条 )。
AMDALもしくは UKL-UPLを要する事業及び/または活動
はすべて、環境大臣、州知事及び/または市長により発行
( 2 )一つの州内における二つ以上の県/市にまたがる水
される環境許可を取得する義務を負う(第 36 条)。また、環
源のモニタリングは、当該州政府が調整をはかり、各
境許可は操業許可書を取得するための要件の一つとなっ
地方自治体が実施する。
ている。つまり、環境許可が取り消しになれば、操業を中止
( 3 )二つ以上の州にまたがる水源及び/または他国との
国境上にある水源のモニタリングは、中央政府が行う。
水質モニタリングは少なくとも6カ月毎に 1 回の割合で実
施し、その結果は環境大臣に報告される。水質モニタリン
46
境影響評価書( AMDAL- インドネシア語略)や環境管理プ
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
しなければならない。提出種類に虚偽記載のあることが判
明した場合も、取り消しの対象となりうる。環境許可保有者
は、
「環境機能回復のための信任金を拠出する」義務を負う
(第 55 条)。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
環境リスク分析:重大な環境影響を生じる恐れのある事
業及び/または活動はすべて、
「環境分析」を実施しなけ
中国
ればならず、これはリスク評価、リスク管理及びリスクコ
ミュニケーションから成る。詳細は今後、政令により定めら
れる
(第 47 条)。
インドネシア
環境監査:定期的な環境監査は負の環境影響を及ぼす
可能性の高い事業及び/または活動の一要件となってい
る。不遵守事業/活動を担当する職員もまた、環境大臣に
より環境監査を行うよう要請されている。認定環境監査人
日本
が監査を実施する
(第 48 ~ 51 条)。
不遵守に対する罰則の強化:新法では、不遵守に対する
行政及び刑事罰則の強化を定めており、条項は環境基準
韓国
及び 排出基準を含む関連法で規定される。
事業に関連した条項の強化に加え、環境保護管理法は
ラオス人民民主共和国
政府による開発計画及び経済活動の中に環境への懸念を
取り込 み(第 42 及び 43 条)、国民の参加を促進する条項を
定めている。
「05 . 水環境管理の枠組み」にて述べたとおり、環境省と
林業省が統合され、環境・林業省として 2015 年に発足し
マレーシア
た。環境・林業省に関するインドネシア共和国大統領規則
( 2015 年第 16 号)は、総局及び関係機関の義務として、新
設省内の各部局の管轄業務を定めている。水環境管理に
ミャンマー
関しては、汚染・環境破壊防止総局が、水質汚濁の防止及
び回復に係る政策の策定及び実施義務を担う。
ネパール
07. 現在及び今後の課題
インドネシアの水環境を向上、促進するため、次のよう
フィリピン
な取り組みが必要とされる。
産業界が既存の規制を遵守するためのインセンティブ
の創出。
河川における排水管理の実施の保証。
スリランカ
水質回復のための政策手段の改善と履行。
データベース及び情報システムの強化及び試験所の能
力構築活動の改善。
タイ
空間規制の導入と空間計画策定プロセスにおけるすべ
てのステークホルダーの参加促進。
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
47
2.4 日本
01. 国別情報
る。一方、これに国土面積を乗じ全人口で除した一人当た
り年降水総量でみると、我が国は約 5 , 000 m 3 /人・年とな
表2.4.1. 基本指標
37万7,962(2013)
国土面積(km2)
総人口(人)
1億2,730万(2013)
名目GDP(米ドル)
4兆9,196億(2013)
3万8,634(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
1,690(2005)
平均降水量(mm/年)
水資源量(km3)
430(2011)
年間水使用量(10億m3)
82.4(2008)
セクター別
年間水使用率
農業用水
66%(2008)
工業用水
15%(2008)
都市用水(生活用水を含む)
19%(2008)
(付録参照)
り、世界の一人当たり年降水総量約 16 , 000 m 3 /人・年の
3分の1程度となっている。
一人当たり水資源賦存量を海外と比較すると、世界平均
である約 8 , 000 m 3 /人・年に対して、我が国は約 3 , 400 m 3
/人・年と2分の1以下である。さらに、我が国は地形が
急峻で河川の流路延長が短く、降雨は梅雨期や台風期に
集中するため、水資源賦存量のうちかなりの部分が水資源
として利用されないまま海に流出する。
04. 水質状況
日本における水質保全の目標は、人の健康の保護と生
活環境の保全の2つの観点がある。これらの目標を達成す
02. 日本の主な流域
石狩川
るため、環境基本法に基づき、公共用水域等で維持される
最上川
十勝川
信濃川
天竜川
木曽川
琵琶湖
淀川
江の川
太田川
ことが望ましい基準として、水質汚濁に係る環境基準が定
北海道
北上川
本州
霞ヶ浦
瀬戸内海
筑後川
有明湾
東京
利根川
荒川
東京湾
四国
九州
多摩川
富士川
伊勢湾
四万十川
沖縄
図2.4.1. 日本の主な公共用水域
められている。この基準( EQS )は、2 種類ある。すなわち、
全国各地の公共用水域及び地下水すべてに適用可能な一
律基準である人の健康の保護に関する環境基準と、公共用
水域の利用目的に応じた基準値を適用する生活環境の保
全に対する環境基準である。
河川、湖沼、貯水池及び沿岸海域
人の健康に関する環境基準はほとんどの場所で達成さ
れており、2013 年度の達成率は 99 . 2 % に達する。生活環
境の保全に関する環境基準に関しては、代表的な有機汚
染の水質指標である生物化学的酸素要求量( BOD )
または
化学的酸素要求量( COD )の環境基準達成率は 87 . 3 %に
達する。水域種別の達成率は、河川が 92 . 0 %、湖沼・貯水
池が 55 . 1 % 及び沿岸海域が 77 . 3 % である。河川の達成
03. 水資源の現状
48
率は高いものの、湖沼・貯水池の達成率は依然として低い
状況にある(図 2 . 4 . 2 )。湖沼・貯水池の全窒素及び全リン
我が国は、世界でも有数の多雨地帯であるアジアモン
の環境基準達成率も50 . 4 %と低かった。一方、沿岸海域
スーン地域の東端に位置し、年平均降水量は1,690mmで、
の全窒素及び全リンの環境基準達成率は 88 . 6 % で、前年
世界(陸域)の年平均降水量約810mmの約2倍となってい
度より高い状況となった。
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
環境基準達成率(%)
100
90
中国
80
70
60
インドネシア
50
40
30
河川
全体
20
湖沼・貯水池
沿岸水域
10
74
77
80
19
83
19
86
19
89
19
92
19
95
19
98
19
01
19
04
20
07
20
10
20
日本
0
19
13
20
20
年度
図2.4.2. 環境基準達成率の推移(BOD又はCOD)
(出典:MoEJ 2014 a )
韓国
地下水
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の測定値が基準値を超過し
ていた(図 2 . 4 . 3 )。この主な原因は、過剰施肥、不適切な
本の井戸においていずれかの項目で環境基準超過が見ら
家畜排せつ物処理及び生活排水からの窒素負荷であると
れ、全体の環境基準超過率は 6 . 1 % であった。とりわけ、
考えられる。
ラオス人民民主共和国
2012 年度に調査を実施した 3 , 655 本の井戸のうち、224
環境基準超過率(%)
7
5
4
マレーシア
硝酸性窒素・亜硝酸性窒素
ヒ素
フッ素
テトラクロロエチレン
トリクロロエチレン
鉛
6
ミャンマー
3
2
1
0
90
19
91
19
92
19
93
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
19
00
20
01
20
調査年
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
ネパール
89
19
20
フィリピン
注1:概況調査で測定された井戸は、年毎に調査対象の井戸が異なるため、単純な比較はできない。
注2:地下水質の水質汚濁に係る環境基準は1997年に定められた。同年より前の基準は評価基準とみなされる。
また、1993年には評価基準の改定があり、ヒ素は「0.05mg/L以下」から
「0.01mg/L以下」に、鉛は「0.1mg/L以下」から
「0.01mg/L以下」に変更された。
注3:1999年、新たな環境基準項目として、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素、及びフッ素が加えられた。
図2.4.3. 地下水の環境基準超過率の推移(主な項目)
(出典:MoEJ 2015 )
を目的として制定されており、工場や事業所からの排出規
法整備
ための条項を定めている。公共用水域の保全に関するそ
環境基本法の目的は、
「現在及び将来の国民の健康で文
制、水質モニタリング、総量規制制度といった水質保全の
の他法関連は図 2 . 4 . 4 に示す通りである。
すること」
(環境基本法第 1 条)である。水質汚濁に係る環
めに下水道法が定められており、また下水道以外の生活雑
境基準は、行政上の水質の目標として環境基本法により定
排水を処理する施設である浄化槽については、浄化槽法に
められている。
おいてその設置、保守点検、清掃及び製造について規制等
ベトナム
また、生活排水対策としては、下水道の整備を進めるた
タイ
化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献
水質汚濁防止法は、人の健康の保護と生活環境の保全
スリランカ
05. 水環境管理の枠組み
が定められている。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
49
公共用水域の水質保全
一般措置
環境基本法
水質汚濁に係る環境基準
水質汚濁防止法
排出水の排出の規制等
生活排水対策の推進
水質の汚濁の状況の監視等
下水道法
下水道の整備
浄化槽法
浄化槽の設置、保守点検、
清掃及び製造についての規制
浄化槽工事業者の登録制度、
浄化槽清掃業の許可制度等
閉鎖水域に対する特別措置
湖沼及び貯水池
湖沼水質保全特別措置法
湖沼水質保全計画の策定、特別規制
閉鎖性海域
水質汚濁防止法
総量規制及び富栄養化対策
瀬戸内海
瀬戸内海環境保全特別措置法
有明海/八代海
有明海及び八代海等を再生するための特別措置法
さらに、水生生物保全の観点からの水質汚濁に係る環境
基準として、2003年に全亜鉛、2012年にノニルフェノール、
2013 年に直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩を
設定した。
公共用水域と地下水のモニタリング
水質汚濁防止法では、都道府県知事は公共用水域及び
地下水の水質汚濁の状況を常時監視し、その結果を環境
省へ報告し、公表する義務を定めている。都道府県知事
は、環境省により定められたモニタリング方法に基づき、
国の関連機関と協力して測定計画を作成し、水質のモニタ
リングを定期的に実施している。
全国の公共用水域およそ7 , 000 地点におけるモニタリン
グ結果は、環境省のウェブサイトで公開されている(図 2 . 4
. 5 )。
飲料水源
特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の
水質の保全に関する特別措置法
地下水質保全
一般措置
健全な水循環
環境基本法
地下水環境基準
鍋川
伝右川
菖蒲川
水質汚濁防止法
工場からの有害物質の排出規制、
汚濁地下水の浄化措置命令、
モニタリング継続
水循環基本法
水循環に関する施策を総合的かつ
一体的に推進
大場川
荒川
石神井川
坂川
綾瀬川
妙正寺川
水環境に関する他の法律
ダイオキシン類対策特別措置法
河川法
水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律
水道法
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律
北十間川
神田川
仙台堀川
古川
墨田川
大横川
じゃほうがわ
公共用水域における水質汚濁に係る環境基準は 1971
年に定められた。現在、人の健康の保護に関する水質汚濁
に係る環境基準(環境項目)は、27 項目が全国一律の基準
50
荒川
新中川
左近川
旧江戸川
図2.4.4. 日本における水環境管理の法体系
河川水質測定地点
(出典:MoEJ 2009 )
水質汚濁に係る環境基準
小松川 境川
旧中川
立合川
凡例【BOD(75%値)】
1.1mg/L~2.0mg/L
2.1mg/L~3.0mg/L
3.1mg/L~5.0mg/L
5.1mg/L~8.0mg/L
図2.4.5. 水環境に関する総合情報サイト
(出典:MoEJ 2011 )
排水基準
値として定められている。生活環境の保護に関する水質汚
水質汚濁防止法に基づき、人の健康の保護に関する28
濁に係る環境基準(生活環境項目)には、BOD、COD 及び
項目に対し全国一律の排水基準が定められており、工場及
溶存酸素(DO)
といった環境基準が定められている。また、
び事業所に適用されている。生活環境に関する15 項目の
全窒素及び全リンも、湖沼及び海域における富栄養化の防
排水基準は、一日当りの排水量が 50 m 3 を超える工場や事
止のための目標として生活環境項目に含まれている。
業所のみを対象としている。地方自治体(都道府県及び政
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
に対し、違反を防止するために排水処理方法及び排水の
めることができる。水質汚濁防止法は、工場及び事業所か
質・量に関する報告の義務付けや、立ち入りを行うことがで
らの排出水の水質をモニタリングし、記録することを規定し
きる。また、違反が判明した場合、報告及び立ち入りの結
ている。総量規制対象地域に立地する工場及び事業所は、
果に従い、改善を求める命令を出す等、行政措置を講じる
排水の汚濁負荷を測定し、記録する義務を負っている。都
権限を持つ。
インドネシア
不十分であると考えられる場合、より厳しい排水基準を定
中国
県知事ならびに政令指定都市の市長は、工場及び事業所
カンボジア
令指定都市)は、一律排水基準が水質目標を達成するのに
道府県知事ならびに政令指定都市の市長は、工場及び事
総量規制制度( TPLCs )
業所に対し、違反を防止するために排水処理方法及び排
総量規制制度は、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海等の選定
ができる。また、違反が判明した場合、報告及び立ち入り
した閉鎖性水域に流入する汚濁負荷総量を削減することで
の結果に従い、改善を求める命令を出す等、行政措置を講
水質を改善する排水規制メカニズムである。対象となる水
じる権限を持つ。
域は、規制汚染物質の濃度のみによる排水の規制方法で
は環境基準の達成が困難なところである。総量規制制度で
は、国が 5 年毎( 1 期 5 年)に汚濁負荷量の目標値を定め、
び事業所に適用されている。生活環境に関する15 項目の
関連する都道府県は各排出源に対する目標値を定める削
排出基準は、一日当りの排水量が 50 m を超える工場や事
減計画を策定し、目標値を達成するために必要な方法を定
業所のみを対象としている。地方自治体(都道府県及び政
める。
3
不十分であると考えられる場合、より厳しい排水基準を定
徐々に低減してきた(図 2 . 4 . 6 )。一例として、図 2 . 4 . 7 は東
めることができる。水質汚濁防止法は、工場及び事業所か
京湾の COD 濃度の改善状況を示している。窒素及びリン
らの排水水質をモニタリングし、記録することを規定してい
の負荷量も2001 年に総量規制項目に追加されて以降、着
る。総量規制対象地域に立地する工場及び事業所は、排水
実に低減している。2011年7月には、目標年を2016 年とす
の汚濁負荷を測定し、記録する義務を負っている。都道府
る第 7 次水質総量削減のための基本方針が定められた。
ミャンマー
1979 年から現在に至るまで、対象水域の COD 負荷量は
マレーシア
令指定都市)は、一律排水基準が水質目標を達成するのに
ラオス人民民主共和国
項目に対し全国一律の排水基準が定められており、工場及
韓国
水質汚濁防止法に基づき、人の健康の保護に関する27
日本
水の質・量に関する報告の義務付けや、立ち入りを行うこと
1,012
1,000
95
その他
800
産業
生活
900
89
82
0
324 290
243
197
167 144
183
23
36
307
37
177
22
36
124 119
79 84 89 94 00 05 09 14
19 19 19 19 20 20 20 20 値)
119
101
151
150
309
561
55
286
245
272
34
97
246
221
29
27
83 76
141 134
118
186
22
65
99
158
20
57
81
146
19
56
71
488
444
400 365
319
瀬戸内海
261
468 472
56
54
193 215
221 201
79 84 89 94 00 05 09 14
79 84 89 94 00 05 09 14
19 19 19 19 20 20 20 20 値) 19 19 19 19 20 20 20 20 値)
注:1979~2009年の数値は実績値、2014年の数値は削減目標値。
標
(目
伊勢湾
標
(目
大阪湾
144
118
10
9
32
26
102 83
116
10
26
80
05 009 014 )
2 値
2
20
標
(目
年度
タイ
標
(目
286
35
356
67
スリランカ
200
286
30 247
59 28 211
25
52
42
伊勢湾
672
フィリピン
400
東京湾
746
72
367
477
38 413
115 40 355
36
83
76
東京湾
838
429
600
大阪湾
瀬戸内海
ネパール
COD発生負荷量(トン/日)
図2.4.6. 汚濁負荷量及び目標値の推移(COD値)
(出典:MoEJ )
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
51
東京都
東京都
6.1
神奈川県
4.0
3.8
4.0
神奈川県
3.1
凡例
(mg/L)
2.3
2.7
2.9
2.9
3.0
2.5
2.2
1.5 - 2.0
2.0 - 2.5
2.5 - 3.0
3.0 - 3.5
3.5 - 4.0
4.0 - 4.5
4.5 - 5.0
5.0 - 6.0
6.0 <
2.2
1982 - 1984(平均)
3.5
千葉県
2.4
2.9
2.4
3.4
2.7
4.3
3.7
3.1
3.3
3.3
3.8
3.3
2.8
3.3 3.4 3.2
5.2 4.1
千葉県
3.7
3.5
4.3 3.4
5.2 5.4 4.5
4.8
4.4
5.0
3.9
6.2 5.2
7.3
4.6 3.9
5.3
3.6
3.8
4.4
4.5
4.1
4.2
1.7
凡例
(mg/L)
1.5 - 2.0
2.0 - 2.5
2.5 - 3.0
3.0 - 3.5
3.5 - 4.0
4.0 - 4.5
4.5 - 5.0
5.0 - 6.0
6.0 <
2006 - 2008(平均)
図2.4.7. 東京湾のCOD濃度の改善の状況
(出典:MoEJ )
生活排水対策と浄化槽整備
た個別分散型の特性から人口散在地域に適している浄化
※1
平成 25 年度末における全国の汚水処理人口普及率
槽※ 2 が整備される傾向が高くなることから、今後の汚水処理
(東日本大震災の影響により調査不能な市町村があった福
における浄化槽整備の重要性は一層高まるものと考えられ
島県は除く。)は 88 . 9 %となっている。
る。さらに、今後の少子高齢化、人口減少といった社会情
汚水処理人口普及率の状況としては、図 2 . 4 . 8 のように
勢の変化を踏まえると、汚水処理未普及人口の解消に向け
人口規模の小さい所ほど、汚水処理人口普及率が低く、ま
て、新たな浄化槽の整備及び単独処理浄化槽※ 3 から合併
100
90
99.5%
下:99.0%
(平成 25 年度現在)
93.1%
下:86.8%
92.0%
下:83.4%
88.0%
下:75.6%
80
82.5%
下:62.9%
75.6%
下:48.7%
70
普及率(%)
汚水処理施設(全体)
60
50
40
30
コ:0.5%
20
農:4.6%
10
0
人口規模
浄:0.3%
100万人以上
農:0.5%
浄:5.6%
農:2.7%
浄:7.4%
浄:9.5%
50~100万人 30~50万人
図2.4.8. 都市規模別汚水処理人口普及率
(出典:MoEJ 2014 b )
52
農:1.0%
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
10~30万人
農:8.1%
浄:14.7%
浄:18.3%
5~10万人
5万人未満
汚水処理人口普及率
全国平均:88.9%
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
である。
カンボジア
処理浄化槽※ 3 への転換を効果的に進めていくことが重要
処理浄化槽の撤去費用に対する対して助成を行っている。
今後の汚水処理施設整備においては、下水道、集落排
置費用を助成する浄化槽設置整備事業、市町村が設置主
性等を総合的に勘案し、社会情勢の変化等に応じた効率
体になって浄化槽の整備を行うのに必要な費用を国が助
的かつ適正な整備及び持続的な汚水処理の運営に向けた
成する浄化槽市町村整備推進事業に加え、既設の単独処理
効率的な改築・更新や運営管理手法を講じていくことが重
浄化槽から合併処理浄化槽への転換を推進するため、単独
要である。
インドネシア
水、浄化槽等それぞれの汚水処理施設の有する特性、経済
中国
環境省では、浄化槽の設置を行う者に対し、市町村が設
日本
※1 汚水処理人口普及率には、
し尿のみを処理して生活雑排水を未処理で放流している場合はカウントしない。
※2 郊外部を中心に日本で広く使われている分散型生活排水処理施設。現在、
し尿と生活雑排水を合わせて処理することができ、曝気することで良好な水質
(構造基準はBOD20mg/L以下)を確保でき、最近は窒素・リンを除去できる高度処理型が普及しつつある。2005年の浄化槽法改正で、放流水に係る水
質の基準が定められた。
時代と社会の要請にしたがって、環境基準の設定や、
行動に対処するため、この改正では事業所に対し、モニタ
リング記録を一定期間保存するよう義務付けている。さら
に、記録や保存の怠慢、または記録の虚偽記載等を行った
事業者に対しては罰則が新しく設けられた。
マレーシア
様々な水質汚濁防止法の改正が行われてきた。以下では、
ラオス人民民主共和国
06. 水環境管理の最近の動向
韓国
※3 単独浄化槽は、
し尿のみを処理できる古いタイプの浄化槽。現在の浄化槽法では、浄化槽はし尿と生活雑排水を合わせて処理できる合併処理浄化槽の
みを指し、単独処理浄化槽はみなし浄化槽として扱われている。単独処理浄化槽は生活雑排水を処理できない上、処理性能が低く、合併処理浄化槽の約
8倍の汚濁負荷があるとされる。
このため、2000年の浄化槽法改正により、原則として新規設置が禁止された。以後の設置基数は着実に減少しているが、
平成25年度末現在においても、なお約437万基が残存している状況にあり、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換が課題となっている。
最近の主な改正について概説する。
( 2010 年水質汚濁防止法改正)
(2011 年水質汚濁防止法改正)
地下水は貴重な淡水資源で、水道用水供給量のおよそ
染の原因を検知することは困難である。また、自然浄化作
が事故時の対象としているのは、同法で規定されている有
用はあまり期待できないので、一度汚染されるとその回復
害物質を含む汚濁水と石油だけである。こうした実態と水
は困難である。工場や事業所からの有害物質漏出による
質汚濁防止法で規定されている措置とのギャップを埋める
地下水質汚染の事案は、毎年の調査によって明らかになっ
ため、同法の 2010 年改正では、工場及び事業所が事故時
ているが、こうした漏出の大半は、生産及び貯蔵施設の劣
の流出に対して緊急措置及び報告義務を負う対象物質の
化や、生産施設の作業中におけるミスなど、非意図的な漏
範囲を拡大した。また同改正では、それら対象物質を単に
えいによるものである。
設も緊急措置及び報告義務の対象施設として追加された。
スリランカ
排出される化学物質は広範囲に及ぶ一方、水質汚濁防止法
フィリピン
25 % を占めている。地下水の移動経路は複雑なので、汚
ネパール
水質事故件数は近年、増加傾向にある。水質事故により
排出する施設のみならず、製造、貯蔵、使用又は処理する施
ミャンマー
事故時の措置の範囲の拡大
地下水質汚濁を未然に防止する積極的措置
こうした背景により、施設設置届出の要件が拡大され、
有害物質を使用する施設だけでなく、有害物質を保管する
施設も対象に含まれることになった。さらに有害物質を含
( 2010 年水質汚濁防止法改正)
近年、排水負荷量及び水質の測定値を虚偽に記録する
等に関する基準の遵守ならびに施設構造物に対する定期
点検とその記録の保存の義務が新しく課されることになっ
た。
(図 2 . 4 . 9 )
ベトナム
という、事業者の不適切な行動が相次いでいる。こうした
む水の地下浸透を未然に防ぐため、事業者に対し、構造物
タイ
排出水測定結果の未記録等に対する罰則の創設
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
53
図的・意図的に作られた変化物、複数物質による複合効果
を生じる物質等の影響を必ずしも全て捉えることはできな
い。
このため、化学物質の水環境への影響や毒性の有無を
総体的に把握・評価する生物応答を利用した排水管理手法
の導入について検討を進めている。導入によって、例えば、
工場等からの排水に生物応答試験を適用することにより、
工場排水が水生態系にリスクを与える可能性があるかどう
かの判断材料が得られ、事業場周辺の水生態系の改善の
図2.4.9. 有害物質の生産施設から地下水への浸透
(出典:MoEJ )
ための取組に活用することが期待される。
また、2012 年 5月に利根川の上流でヘキサメチレンテラ
ミンを含んだ廃液が河川中に流され、この水を浄水場で浄
放射性物質のモニタリング
( 2013 年水質汚濁防止法改正)
化処理をした際に、有害なホルムアルデヒドが生成された
ため、広範囲にわたって長時間断水し、36 万戸 87 万人に
2011 年 3 月の東日本大震災時の福島第一原子力発電所
影響を及ぼす事態となった。このため、このような事態を
の事故により放出された放射性物質による環境の汚染が
引き起こす恐れのある消毒副生成物前駆物質について、工
発生したことを契機に、放射性物質の存在状況を把握する
場・事業場からの排水や環境水中の存在状況を把握し、水
ため、公共用水域及び地下水について測定を開始し、随時
道や産業廃棄物処理を所管する省庁・部署と連携しながら
公表するとともに、定期的に有識者による評価を実施して
リスク管理を強化していくための取組を進めている。
いる。
水循環基本法の成立(2014 年)
湖沼及び貯水池の水質改善
湖沼及び貯水池の水質は徐々に改善しているものの、実
水に関する施策を総合的かつ一体的に推進することを
際の環境基準達成率は 50 % 前後と低い。生態系の変化に
目的に水循環基本法が新たな法律として成立した。水に関
よる魚類の在来種や漁獲高の減少、悪臭及び濾過障害の
わる施策は上下水道や治水、環境、農業用水、工業用水な
発生による水利用への支障、ならびに人と湖沼のふれあい
ど多岐にわたっていることから、複数の省庁に所管がまた
の場の減少による関係の希薄化等数多くの課題が山積し
がって施策が進められているが、本法律の成立を受けて政
ている。今後は、日本に暮らす人々の実際のニーズに対応
府内に水循環政策本部が設立したことで、今後は、健全な
した新たな水質指標や各水域の自然条件や目標を反映し
水循環の維持又は回復という目標に向け、これらの施策の
た目標値をさらに検討していくべきである。また、湖沼及
連携が強化され、より効果的な取組が進められることが期
び貯水池の汚染メカニズムの解明に努めるとともに、湖沼
待されている。
及び集水域の両方で自然浄化メカニズムを利用した対策
本法に基づき、今後5ヶ年程度の取組を見据えた水循
を促進していくことが大切である。
環基本計画を政府として策定する予定。
07. 今後の課題
新たな排水管理の取組
54
「里海」づくり
里海は、
「人手が加わることにより生物生産性と生物多様
性が高くなった沿岸海域」と定義される。里海は水産や流
通だけでなく、長年にわたって地元文化や他地域との交流
工場・事業場からの排水には、低濃度であっても多様な
をも支えてきた重要な海域である。健全な里海は、人に
化学物質が含まれている場合があり、現行の個別物質によ
よって陸域と沿岸海域が一体的に総合管理されているの
る排水規制では、少量で排出される物質、事業場内で非意
で、物質循環機能が適切に保たれている。豊かで多様な生
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
態系及び自然環境が保全されることにより、里海では貴重
な財産が次世代へと継承されており、水環境の保護におけ
中国
る重要な場となっている。
地球規模の水問題に関する取り組み
インドネシア
日本の水環境は地球規模の水環境と密接に関連してい
る。日本は、かつての激甚な水質汚濁による公害を克服し
てきた経験を有しており、その制度や技術を活用して、開
発途上国をはじめとする諸外国における水環境の保全と
日本
改善に寄与することが大切である。このため、日本の有す
る技術や知見を活用し、制度移転や技術支援といった国際
協力の取り組みを促進していくこととしている。そのため
韓国
に、これまでに取り組んできたアジア水環境パートナーシッ
プ事業(WEPA)や、日本が有する優れた水処理技術を官民
ラオス人民民主共和国
が連携して海外に普及させるための取組を、さらに積極的
に取り組んでいくこととしている。
生物多様性
物質循環
適正な栄養塩
健全な物質循環
水質・底質
マレーシア
生態系
保全と再生を支える3要素
ふれあい
多様性と生産性
資源管理漁業
自然との共生
地域の協働
ミャンマー
里海
活動の主体
漁村・都市
流域(山・川・里・海)
漁民等の沿岸住民
海を利用する都市住民
流域(山・川・里・海)
の住民
ネパール
活動の場
持続性
フィリピン
実践を支える2要素
図2.4.10.「里海」の概念
(出典:日本 WEPAフォーカルポイントより情報提供 2012 )
スリランカ
タイ
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
55
2.5 韓国
01. 国別情報
9月までの期間に集中しており、多雨期の洪水と少雨期、と
りわけ春季の干ばつは重大な課題である。過去一世紀間の
表2.5.1. 基本指標
9万9,700(2009)
国土面積(km2)
5,020万(2013)
総人口(人)
名目GDP(米ドル)
1兆304億(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
2万5,977(2013)
平均降水量(mm/年)
1,274(2009)
水資源量(km3)
69.7*(2009)
年間水使用量(10億m3)
25.5*(2002)
セクター別
年間水使用率
農業用水
62%*(2002)
工業用水
12%*(2002)
都市用水(生活用水を含む)
26%*(2002)
(付録参照)* 推計値
つの程度が激しさを増している( MoCT 2007 )。韓国の主
な流域は漢江、錦江、洛東江及び栄山江-蟾津江の 4 つで
ある。湖沼及び貯水池の大半は人工のものである。地下水
賦存量は、およそ 117 億 m 3 /年である。地下水総使用量
は約 39 . 8 億 m 3 /年であり、主な用途は生活用水( 44 % )
と農業用水( 50 % )
である
( MoE 2013 a )。
04. 水質状況
河川
韓国全土の河川は 114 区間に分類されており、それぞれ
について水質目標値が定められている。韓国の水質は
02. 韓国の主な流域
漢江
トレンドをみると、年間降水量の変動と洪水ならびに干ば
1990 年代以来、全体として改善されている。図 2 . 5 . 2 は主
八堂湖
仁川 ソウル
錦江
要 4 河川系(八堂(漢江)、勿禁(洛東江)、大青(錦江)及び
住岩(栄山江-蟾津江))の選定地点において、生物化学的
酸素要求量( BOD )が改善傾向にあることを示している。
洛東江
B O D 値 が 改善傾向 に ある 一方 で、化学的酸素要求量
( COD )値は大きな改善はみられてない(図2. 5 . 3 )。COD
濃度の改善がみられない理由としては、非固定発生源から
栄山江
蟾津江
の非分解性有機物質及び化学物質の増加が考えられる
( MoE 2013 b )。全リン( TP )も増加傾向にあるが、これが
原因で藻類の発生を引き起こしている( MoE 2013 b )。
光陽湾
主要な 4 流域及びその他の流域で水界生態系の調査が
2007 年位開始された。河川は、付着藻類、魚類、底生大型
図2.5.1. 韓国の主な流域
無脊椎動物、居住 / 水辺環境及び生物生息地の 6 つの指標
03. 水資源の現状
からなるインデックスを使い、最適、良好、普通、悪化 4 つ
の類型に分類される。
韓国では水不足が常態化している。同国の一人当り使用
可能水量は約 540 m 3 で( MoCT 2007 )で、世界平均の約
河川水質と同様、湖沼及び貯水池におけるCOD 濃度も
るかに少ない( FAO 2012 )。人口成長と経済発展を背景
近年増加傾向にある。図 2 . 5 . 4 及び図 2 . 5 . 5 は、主要貯水
に、総水使用量は 1965 年から2003 年にかけて6 . 6 倍に急
池におけるCOD 及び全リンに関する水質の傾向を示して
増した( MoE 2011 )。水利用可能量の季節的ばらつきも水
いる。
3
管理上の課題である。年間降水量の約 3 分の 2 が 6 月から
56
湖沼及び貯水池
6 , 400 m 及び南・東アジア平均の約 3 , 100 m と比べては
3
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
す主な水質項目は総大腸菌群、硝酸性窒素、トリクロロエ
2011 年に行われた調査では、4 , 879 サンプル中 8 % の
漢江(八堂)
6
5
4
3
3
2
2
1
1
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
図2.5.2. 主要な4流域におけるBOD値の推移(1996~2012年)
(出典:MoE 2006、2011、2013 a )
COD
TP (mg/L)
TP
0.04
2
0.03
0.02
1
0.01
2000
2002
2004
2006
図2.5.4. 八堂第2ダムの水質の推移
2008
2010
0
(出典:MoE 2011 及び 2012 年におけるフォーカルポイントからの提供情報)
2004
2006
2008
2010
2012
5
0.08
COD
4
0.06
0.05
3
0.04
2
TP
1
0
0.07
0.03
0.02
0.01
2000
2002
2004
2006
図2.5.5. 大青第1ダムの水質の推移
2008
2010
0
ミャンマー
0
2002
マレーシア
COD (mg/L)
3
0.05
2000
図2.5.3. 主要な4流域におけるCOD値の推移(1996~2012年)
0.07
0.06
1998
(出典:MoE 2006、2011、2013 a )
0.08
4
1996
ラオス人民民主共和国
5
0
韓国
1996
栄山江―蟾津江(住岩)
7
日本
4
COD(mg/L)
5
錦江(大青)
8
COD (mg/L)
BOD(mg/L)
6
インドネシア
栄山江―蟾津江(住岩)
7
洛東江(勿禁)
9
錦江(大青)
8
漢江(八堂)
10
洛東江(勿禁)
9
区及び都市居住地区で検出されている
( MoE 2013 b )。
TP (mg/L)
10
チレン( TCE )及びテトラクロロエチレン( PCE )で、工業地
中国
サンプルが地下水基準を満足していなかった。不遵守を示
0
カンボジア
地下水
(出典:MoE 2011 及び 2012 年におけるフォーカルポイントからの提供情報)
ネパール
Box 2.5.1. 汚染源に関するいくつかの事実
• 2010年に、1日あたりの産業排水量は5,229トンに達し、48,226箇所の施設から排出されている。
フィリピン
• 1日あたりに発生している畜産排水が118,000トンに達している。排水量の観点からは畜産排水は数パーセントしか寄与していな
いが、汚濁負荷の観点からは37%を占めている。
(出典:MoE 2013 )
スリランカ
05. 水環境管理の枠組み
境の保護、ならびに安全な水及び水生態系の保全を掲げ、
いる。主要 4 河川に対しては個別に法が定められており、こ
で、同法の下に環境基準が定められている。水質及び水生
れらの河川を対象とした再生プロジェクトの基礎を成して
態系保全法は、水環境管理の主目的として人の健康及び環
いる。図 2 . 5 . 6 に水環境管理に関する法的枠組みを示す。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
韓国における環境管理政策の基本法は環境政策基本法
タイ
韓国における水環境管理の枠組みについて概要を定めて
57
環境政策基本法
陸水の水質保全
一般措置
水質及び水生態系保全法
個別河川に対する特別措置
水質及び水生態系の環境基準
- 人の健康保護に関する基準(河川及び湖沼)
- 生活環境の保全に関する基準(河川)
- 生活環境の保全に関する基準(湖沼)
地下水の水質基準
漢江水質改善及び地域社会支援に関する法律
洛東江流域管理及び地域社会支援に関する法律
錦江流域管理及び地域社会支援に関する法律
栄山江- 蟾津江流域管理及び地域社会支援に関する法律
沿岸水域における水質保全
海洋環境管理法
沿岸水質基準
- 人の健康保護に関する基準
- 生活環境保全に関する基準
水環境に関する他の法律
水供給・水道設置法
上下水道整備法
下水道法
飲料水管理法
畜産廃棄物の管理及び利用法
図2.5.7. 水質管理法の枠組み
(出典:MoEJ 2009 を改変)
水環境管理の基本政策方針
韓国の近年の政策方針には、次の原則が盛り込まれてい
る
( Yu 2010 )。
生態的に健全な水環境の創出
非自然河川の 25 % を自然河川に再生する。
水質の基本的な基準を 9 項目から30 項目へと増やす。
上流のうち河川エコベルトとして買い上げられた緩衝
地帯の 30 %を保全する。
有害物質に対する水質の保護
最新の水質基準及び評価方法の導入
環境部は中央レベルの水質及び生態系管理に責任を負
湖沼、沿岸水域及び河口に対する国家水質政策の強化
う。また、飲料水供給や下水処理、さらには河川再生のた
水質汚濁総量管理制度の本格的実施
めの計画を策定し、実施している。
非固定発生源及び家畜汚染に対する管理の重点化
水循環機能の改善及び水需要管理の強化
環境インフラに対する投資の合理化及び効率化
環境部( MoE )は、水環境管理基本計画で、2006 ~ 2015
年の期間を対象とした水環境保全の目的ならびに目標値
を定めており、
「子どもたちが水生生物と共に泳ぐことがで
きる安全な水環境の創出」という目的の下、次の指標が定
めている
( Yu 2010 )。
水質改善(遵守率)を 76 % から85 % へと引き上げる。
下水道普及率を 81 % から90 % へと引き上げる。
58
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
表2.5.2. 韓国における主要な水環境管理政策
名称
内容及び政策
上水供給に対する
包括的対策
水質、飲料水供給及び水源保全関するその他
の項目を含む一連の水管理対策
4 大流域に対する
包括的水質改善対策
総量規制システム、水辺の緩衝地帯の計画、水
利用料金、流域管理ファンドを含む 4 大流域の
改善するための一連の対策
水環境管理
マスタープラン
支流河川管理システムを含む、4 大流域に対す
る包括的水質改善対策をフォローするための
活動
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
表流水の水質基準には 2 種類ある。一つは人の健康の
カンボジア
水質環境基準
期間( 1 週間後)及び 3カ月予測が水管理を行っている機関
に対して提供されている。
ル( PCB )等の 20 項目)で、河川及び湖沼の両方に適用さ
中国
保護に関する基準(カドミウム、ヒ素及びポリ塩化ビフェニ
排水基準
排水基準は、水質及び水生態系保全法(第 32 条)に基づ
沼それぞれに定められている。河川の生活環境基準には 9
き、環境部令により定められている。現行排水基準の対象
項目、湖沼の基準は 7 分類 10 項目が含まれている( MoE
は官民両方の下水処理施設からの排水である。環境基準
2013 b )。項目数は有害化学物質に対応して増加傾向にあ
と同様、都市や「道」が必要に応じて地元の排水基準を定
る。
めることができる。
インドネシア
れる。もう一つは、生活環境に関する基準で、河川及び湖
が適用されている。飲料水管理法により定められている飲
日本
地下水に関しては、水の用途にしたがって、様々な基準
排水モニタリング
活用水、農業用水、養殖用水及び産業用水といった他の用
なければならない当事者により行われる。また、近年、排
途に関しては、地下水基準を用いて地下水質が評価され
水モニタリングのコンピュータネットワーク化が導入され
る。水利用に応じて、基準には 14 から19 項目が含まれる。
ている。遠隔モニタリングシステムを通して、リアルタイム
( MoE 2013 b )。
特別市、広域市または「道」は、地元の環境状況を勘案し
ラオス人民民主共和国
排水の水質モニタリングは基本的に、排水基準を遵守し
韓国
料水基準は、47 項目が含まれ飲料用水に適用される。生
のデータの入手が可能である。入手されたデータは排水
費の信頼性を向上することに利用している( MoE 2013 b )。
遠隔モニタリングシステムが設置されている施設は 4 . 3 %
い環境基準を定めることができる(環境政策基本法第 10
に過ぎないが、総排水量の 95 % をカバーしている。98 %
条 3 項)。
の公共排水処理施設が遠隔モニタリングシステムに接続さ
マレーシア
て必要と判断した場合、国の基準よりも厳しいまたは幅広
れているが、プライベートセクターについては 73 % にとど
公共用水域及び地下水の水質モニタリング
減に寄与している
(図 2 . 5 . 7 )。
ミャンマー
公共用水域及び地下水の水質モニタリング水質は全国
まっている。遠隔モニタリングシステムは汚濁負荷量の削
のモニタリングネットワークを通じてモニタリングされてい
る。モニタリング分野は河川 26 項目、湖沼 30 項目及び地
運転のモニタリング地点は 52カ所ある。水質モニタリング
の対象は、溶存酸素( DO )、全有機炭素( TOC )及び pH 等
17 選択項目である。検査の効率化を図るために、モニタリ
ング地点は用途によって分類されている。すなわち、河川
SS(トン)
ニタリングネットワーク、及び、市、県及び地方環境局を含
存在している。
4 大河川の 16 の支流の水質汚濁を効果的に抑制するた
BOD(トン)
0
20000
40000
60000
80000
汚濁負荷量(トン)
100000
図2.5.7. 遠隔モニタリングシステムに接続している施設からの
汚濁負荷量の削減状況
(出典:MoE 2013 b )
水基準の不遵守が判明すると、環境部は当該事業所に
対し改善命令を出す。当該事業所が求められている排水質
を守ることができない場合、操業停止及び罰則を科され
る。
ベトナム
めに、水質予測システムが 2012 年に開始された。これによ
2011
タイ
む地方自治体によって管理されている地方ネットワークが
2010
スリランカ
地下水については、4 省庁により管理されている国家モ
2009
COD(トン)
水、湖水、飲料用水、灌漑用水、産業用水及び都市部を流
れる河川水である。
2008
フィリピン
の 5 共通項目、ならびに揮発性有機化合物( VOC )を含む
T-N(トン)
ネパール
下水 15 項目となっている。とりわけ、表流水に関する自動
T-P(トン)
り、7日間のクロロフィル a 濃度及び水温が提供される。短
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
59
一日当り総合最大負荷量規制
一日当り総合最大負荷量規制は、通常の濃度ベースの規
制に加え、汚染物質負荷量の削減目標を定めることで、水
質の改善に寄与するものである。この規制制度では、指定
Box 2.5.2. 韓国における下水道システム
2011年には68億トンの排水が発生している。2007年水
循環利用マスタープランでは、2016年までに1年間あたり
12.4億トンの排水を採用するという目標が設定されてい
された汚染源はその汚染物質負荷量を「一日当り総合最大
る。排水の適切な再利用を推進するために、排水の再利
許容負荷量」以内に抑え続けなければならない。この許容
用の計画、実施、運営及び管理を説明する
「処理水の再利
負荷量は、科学的事実に基づき、また、個別の便益に応じ
た水利用等、対象地域すべての現地事情を勘案して決定さ
れる。2004 年以来現在まで同規制が適用されているのは、
用に関するガイドブック」が2007年に出版された。
これは
2011年の排水再利用の促進と支援法が2011年に施行さ
れたことによりさらに強化された。
2011年の段階で90.9%の人口が下水道システムに接
3 大河川、すなわち洛東江、錦江及び栄山江である。現行
続している。下水処理システムの総処理能力は1日あたり
の対象水質項目は BODであり、近い将来には全リンが加え
2,522,800m3であり、500m3/日の処理能力を有する公共下
られる予定である。同規制は 2013 年より、漢江でも実施さ
れる予定である
( Yu 2011 )。
面源汚染に対する措置
非固定発生源の水質汚濁寄与率は、2020 年までに固定
発生源を上回り68 ~ 75 % に達するものと予測されている
( MoE 2012 )。面源汚染に対処するため、国務総理室が主
導して関連省庁と協力しながら、4 大河川における面源汚
染管理のための包括的措置を 2004 年に定めた。この包括
水処理施設は505か所あり、500m3/日未満の施設は2858
箇所である。
水源の保護のため特別な対策が取られている。2004年
から2011年にかけて、28の都市で多目的ダムの保全のた
めに、1.17兆ウォンが投資され、2011年には434箇所の公
共下水処理施設が建設された。下水道法のもと、下水道シ
ステムの効率的な建設及び運転を行うためには、流域下
水道管理計画が2015年までに39流域で策定されなけれ
ばならない。
(出典:MoE 2013 b )
的措置における重点は、政策体系改善、面汚染処理施設の
建設・管理、調査・広報の 3 つである。また、面源汚染に対
都市水道利用者に対して水使用料を導入している。この水
して脆弱な地域が面汚源汚染防止区域として指定されてお
使用料の収入を使い、水環境プロジェクト及び活動を流域
り、昭陽湖、住岩湖、臨河湖及び光州広域市等がその指定
レベルで促進するための流域管理ファンドが制定された。
を受けている( Yu 2011 )。具体的には、第 1 期( 2004 ~
2005 年)では政策体系改善とパイロット事業に、第 2 期
藻類の発生対策
( 2006 ~ 2011 年)では 4 大河川の主要流域における最適
韓国において藻類の発生が主要な汚染の1つとなってお
な管理事業に重点が置かれた。2011 年 3 月現在、非固定
り、固定発生源及び非固定発生源からの窒素やリンといっ
発生源負荷量削減のための施設が都市部、農地及び駐車
た栄養塩の対策を進めてきている。これらの対策には、総
場といった種々の土地利用において43カ所、パイロット事
リンを処理できる処理施設の建設や総リンの排水基準の
業として整備されている( Yu 2011 )。面汚染に対応する努
強化が含まれる。改正水質及び生態系保全法では、1000
力を続けていくために、第 2 次面汚染管理包括的対策が制
万 m 3 以上の能力を有するもしくは「若干悪化( IV 類型)」の
定された。
水質の農業用の貯水池、あるいはより良い管理が必要な
「普通( III 類型)」よりも水質が悪い他の貯水池が、集中的
流域レベルの水環境管理
60
な管理が必要な貯水池と設定されている。政府はこれらの
4 大河川の水質改善事業を通して流域管理アプローチが
貯水池に対して水質改善対策を要求している。前述した水
国全体に普及した。このアプローチを促進するために、
「水
質予測システムや 22 の湖沼に整備されている藻類警告ス
辺緩衝帯」が計画され、レストラン、ロッジ、公衆浴場、工
テム( 1998 年に設置)により政府や地方関係者がこの藻類
場及び屠殺場のような水質汚濁を引き起こす危険性があ
発生の問題に対処する適切な予防策を講じることを可能
る施設の新設を規制した。水の利用量に応じて原水及び
になると期待されている。
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
06. 既存及び今後の課題
的な水環境管理政策の実施が、表流水の観点から水環境
管理政策が強く強調している主要な課題である。進行中の
いる。4 大河川再生事業の一環として行われている水質改
社会経済変化に対応することが、水環境管理で配慮しなけ
善事業や他の関連する政策は、水質改善の確実な実施を
ればいけない課題であるとともに、政策手段の強化を通し
目的としている。貯水池からの窒素やリンをはじめとする
てだけでなく、管理に一般市民を参加させることを通じて、
汚染物質負荷量の削減と、流域及び支流レベルでの包括
包括的もしくは統合的アプローチが強化されてきている。
インドネシア
高齢化社会、都市化の拡大及び所得水準の向上といった
中国
韓国では様々な対策を通じて水環境の問題に対処して
日本
Box 2.5.3. 2015年環境政策方針
環境省は毎年環境政策方針を策定しており、2015年の政策方針には下記のような水環境に関連する課題が含まれている
課題
政策
活動
• 四大河川の藻類発生に寄与する汚濁物質の削減のための人工湿地の建設
• リアルタイムモニタリングや 3 D自動計測のような藻類モニタリングシステムの改善
• 市民とのコミュニケーションの促進
• 藻類発生警告システムの水路から湖沼・河川への拡大
• 124 万人の市民に対する高度処理された水の供給
産業排水及び
廃棄物
海洋及び沿岸に対する
ゼロ排出
• 廃棄物処理施設ファンドを活用した内陸部への廃棄物処理施設の普及
• 再利用資源交換の活用(海洋・漁業省との連携)
環境管理
(ライセンスシステム)
ラオス人民民主共和国
小規模河川の
上流部の復元
韓国
藻類
マレーシア
• 9 つのライセンスシステムの統合
• 状況に応じた管理サービスの提供
• ライセンスシステムを簡素化するための環境汚染施設の統合的管理法の施行
(出典:http://eng.me.go.kr/eng/web/board/read.do?pagerOffset=0&maxPageItems=10&maxIndexPages=10&searchKey=&searchVal
ue=&menuId= 20 &orgCd=&boardId= 492190 &boardMasterId= 521 &boardCategoryId=&decorator= )
ミャンマー
ネパール
フィリピン
スリランカ
タイ
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
61
2.6 ラオス人民民主共和国
01. 国別情報
中で最も多い。しかし、水関連のインフラが十分整備され
ていないため、ラオスの水供給能力は限られている。
表2.6.1. 基本指標
23万6,800(2005)
国土面積(km2)
総人口(人)
680 万人(2013)
名目GDP(米ドル)
112.4 億(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
1,661(2013)
平均降水量(mm/年)
1,834(2009)
333.5*(2009)
水資源量(km3)
3.5*(2005)
年間水使用量(10億m3)
セクター別
年間水使用率
農業用水
91%*(2005)
工業用水
5%*(2005)
都市用水(生活用水を含む)
4%*(2005)
(付録参照)* 推計値
他の東南アジア諸国と同様、ラオスの水資源量は季節に
よって変動する。年間降水量のおよそ 80 %は雨季( 5 月か
ら10月)に集中し、残る20 %は乾季( 11月から4月)に分布
する。中部から南部を流れる Se Bang Fai 川、Se Bang
Hieng 川、Se Done 川では、乾季の河川の流量が年間平均
の 10 %から15 %にまで減少する。
ラオスには主要な河川流域が 12 箇所ある(図 2 . 6 . 1 . )。
ラオス国土のほぼ全体はメコン河流域内に位置しており、
ラオス内のメコン河支流の流量は全体の年間平均流量の
35 %に相当する。これは全流域面積の 25 %にあたる
(MRC
2005 )。
2012 年には、全人口の 65 %が改善された衛生施設を使
用し、7 2 %は 改善され た 飲料水源 へ のアクセスがある
02. ラオスの主要流域
( WHO/UNICEF 2014 )。
Nam Tha
Nam Ou
Nan Suang
Tongking湾
04. 水質状況
Nam Ma
ラオスの表流水の水質は良好と考えられているが、都市部
Nam Khan
を流れる河川や支流では悪化がみられる。これは、未処理ま
Nam Ngum
Nam Kading
ビエンチャン
Sebangfay
Nam Ngiep
Sebanghieng
メコン河
タイ
Sekong
Sedone
たは処理が不十分な排水や廃棄物の増加が原因である。首
都ビエンチャンを含むいずれの都市にも、総合的な下水道
システムあるいは排水の収集・処理・処分システムはない。
メコン河下流のビエンチャンでは、溶存酸素
(DO)濃度の低
下が確認されている
(MRC 2010)
。
採鉱と水力発電は水質悪化の主因であり、特に土砂堆積
が問題である。農業からの排水または流出水も、肥料や農
図2.6.1. ラオスの主な流域
薬の使用により高い栄養塩や有害化学物質を生じる原因に
なり得る
(MRC 2010)
。
03. 水資源の現状
都市部の廃棄物管理が不十分なことも、特に雨季の水質
の懸念材料となっている(MoNRE 2012)
。危険廃棄物や感
ラオスは豊富な水資源に恵まれた国である。年間平均
染性廃棄物は他の廃棄物と同じ場所に廃棄されているにも
降水量は、南部の高山地帯では約 4 , 000 mm、北西部の渓
かかわらず、ごみ埋立地では、浸出液が地下水質に及ぼす
谷部では 1 , 300 mmである。人口はおよそ 680 万人で、年
影響や雨季に表流水(河川や湖沼)へ流れ込む排水の影響
間一人当たりの使用可能水量は約 5 万 982 m である。こ
がモニタリングされていない。
3
の量は、WEPA(アジア水環境パートナーシップ)参加国の
62
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
河川水
する可能性があると指摘している。
ラオスの河川の水質は、総じて良好であるが、人間活動
同国で水質問題を引き起こす一番の原因は土砂堆積で、
特 に 雨季 に 顕著 と な る。図 2 . 6 . 2 に、北部 の L u a n g
2009 年から2010 年にかけて、Mak Hiao 川の本流とその
Prabangで観測された土砂堆積の季節変動を示す。
主 な 支流でありビエンチャン県を流 れる H o n g K e 川、
(mg/L)
(m3/秒)
14000
2000
~ 35 mg/Lであった( Phonvisai 2011 )。メコン河委員会
( MRC )のモニタリング結果では、水質汚濁が都市部で確
1500
10000
1000
6000
8000
4000
500
養塩レベルやリン濃度、アンモニウム濃度が、2000 年から
0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2008 年にかけて増加した( MRC 2010 )。2010 年の MRC
日本
認された。ビエンチャン付近のモニタリング地点では、栄
12000
水量
浮遊砂濃度
の結果によると、生物化学的酸素要求量( BOD )の値は 10
16000
インドネシア
2500
Hong Xeng 川で実施された定期及び長期モニタリング
中国
が 河川 の 水質 に 与える影響 が 増している( 表 2 . 6 . 2 . )。
2000
0
業等)の影響で河川流量が減少すれば、汚染レベルが悪化
韓国
図2.6.2. ラオス、Luang Prabangにおけるメコン河の流水量と
流砂量の季節変動
報告は、上流で行われる人為的活動(ダムの稼働や灌漑事
(出典:MRC 2010 )
ラオス人民民主共和国
表2.6.2. ラオス国内のメコン河水質モニタリング地点における水質に人間活動が及ぼす影響の度合い
及び水生生物の保護を利用目的とした場合の水質分類(2007〜2011年)
モニタリング地点
水質に人間活動が及ぼす影響度合い
水生生物の保護を利用目的とした場合の水質分類
2008年
2009年
2010年
2011年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
Houa Khong
C
B
B
C
B
A
A
A
A
A
Luang Prabang
B
C
B
C
B
A
A
A
A
A
ビエンチャン
C
C
B
C
A
A
A
A
A
A
Savannakhet
C
C
C
B
C
A
A
A
A
A
Pakse
B
B
B
C
A
A
A
A
A
A
マレーシア
2007年
ミャンマー
注:影響度合い( A:影響無し;B:わずかに影響を受けている;C:影響を受けている;D:深刻な影響を受けている)/
水生生物保護を利用目的とした場合の水質( A:非常に良好;B:良好;C:適当;D:不適当)
(出典:Kongmeng 2012 )
一年中干上がることのない池や沼地、三日月湖は、ラオ
スの低地・氾濫原によくみられる。これらの水域は通常浅
の水生植物や軟体動物、甲殻類、両生類、爬虫類等の生息
地となっている。湖沼と貯水池の水環境に関するデータは
Ngumダム(第 1、第 2 )貯水池では、水力発電開発プロジェ
クトの一環として2006 ~ 2011 年にかけて水質モニタリン
グが実施された。9 地点におけるモニタリングの結果(図
低下傾向がみられた(図 2 . 6 . 4 )。2009 年には、全リン濃度
Nam Mo
Nam Ngun
Huay Kal
Huay Pamom
ST-5
ST-6
サンプル採取地点
B.NaTou
Naw Ngum
Nam Ngum第2ダムサイト
Nam Bak
ST-7
ST-8
Nam Ngum
第1ダムサイト ST-9
ベトナム
えられている
(図 2 . 6 . 5 )。
ST-4
Huay Dokmal
が国家基準(0 . 05 mg/L )を大幅に上回るモニタリング地点
も複数みられた。肥料や洗剤が、汚染源の一つであると考
ST-2
ST-3
Nam Ngun
B.Komee
B.NaLuang
タイ
2 . 6 . 3 )、複数の地点で DO 濃度(基準値は 6 mg/L 以上)の
ST-1
スリランカ
現在、プロジェクト単位でしか入手できない。例えば、Nam
B.Pha Yaeng Tai
B.Pha Yaeng Neua
B.Lak 37
B.Lak 33
Nam Tong
Nam Koung
B.Lak 24
B.Phone Xay Neua
B.Phone Xay Kang
B.Phone Xay Tai
B.Koua Lek
フィリピン
く、その大きさは年間を通してかなりの変動があるが、多く
B.Phone Khan
Nam Muay
B.Phone Keo
B.Phone Thong
B.Houay XayHhan
B.Vleng Keo
ネパール
湖沼及び貯水池
図2.6.3. 水質モニタリング地点
(出典:Komany 2011 )
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
63
DO (mg/L)
10.0
第1地点
第2地点
第3地点
第4地点
5.0
第5地点
第6地点
第1~第9地点のDO値
0.0
7月 9月 11月 1月 3月
06 06
06
07
07
第7地点
5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月
07 07 07 07 08 08 08 08 08 08 09 09 09 09 09 09 10 10 10 10 10 10 11
モニタリング期間
図2.6.4. DO濃度の推移
第8地点
第9地点
(出典:Komany 2011 )
全リン (mg/L)
1.00
第1地点
0.80
第2地点
第3地点
0.60
第4地点
0.40
第1~9地点の全リン値
第5地点
第6地点
0.20
0.00
第7地点
7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月
06 06
06
07
07
07
07 07
図2.6.5. 全リン濃度の推移
07
08
08
08
08 08
08
モニタリング期間
09
09
09
09 09
09
10
10
10
10 10
10
11
第8地点
第9地点
(出典:Komany 2011 )
地下水
め、環境保全に関する一連の規則を定めている(第 1 条)。
ラオスでは、地下水資源の資源潜在性、用途、水質と
国内外における社会・経済状況の変化を反映するととも
いったデータが非常に乏しい。表流水は供給に足る量が十
に、再編された各省庁の所掌を明確にする必要が生じた
分であることから、地下水は表流水が利用できない場合と
ため、同法は現在、改正作業中である。
地域でのみ水源と捉えられている( Chanthavong 2011 )。
この改正では、環境モニタリング及び監査に係る規定と
しかし、地下水は生活用水、小規模灌漑、小規模産業にとっ
環境影響評価( EIA )に係る条項が強化される予定である。
て重要な水源でもある。地下水の水供給量は水の生産量
天然資源環境省( MoNRE )は、EIAのプロセスにおける審
全体のおよそ 5 % 程であるものの(湧水を含めるとおよそ
査、承認、監査について全権を付与される。また、プロジェ
2 0 % )、 都 市 の 水 は 地 下 水 を 供 給 源 と し て い る
クトの進行過程で環境と社会への影響に対する注意深い
( Chanthavong 2011 )。ラオス社会指標調査( MoH 及び
配慮が保証されるよう、戦略的 EIAのための法的要件につ
LSB 2012 )によると、ラオスの家庭の約 32 %は地下水や湧
いても盛り込まれる。改正案は 2009 年に提出されており、
水を飲料目的に使用している。水質に関しては、中国との
2011 年 11 月現在、国民議会で審議中である( Phonvisai
国境付近( MRC 2010 )及び Attapeu 県にてヒ素による汚染
2011 )。
が確認されている。
1996 年に公布された水及び水資源法は、水の管理、利
用及び開発に関する原則を規定している。その目的は、国
05. 水環境管理の枠組み
法整備
64
民生活に必要な量と質の水を確保し、環境の持続可能性
を保証することにある。ただ、水供給と排水の問題につい
ては明記していないため、公共事業・運輸省( MPWT )は世
ラオスにおける水質管理の基盤は、1999 年に採択され
界銀行の支援のもと、新たに水道法を起草した。この水道
た環境保護法( EPL )である。この法律は、国民の健康と天
法案は 2009 年 11 月に国民議会の承認を受けたが、条項
然資源を守り、持続可能な社会・経済開発を保証するた
の多くが主に水供給サービスに重点を置いたものである
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
2009 年 5 月に提出されており、2011 年 11 月現在、承認待
になっている。こうした変化を反映するため、アジア開発銀
ちである
( Phonvisai 2011 )。
まっている。新たな水資源政策の枠組みに関する最終案は
環境管理と関連がある。
管理手段
インドネシア
政策的枠組み
図 2 . 6 . 6 の通り、このほか森林法や鉱山法等の法律も水
中国
行( ADB )の支援のもと、水及び水資源法の改正作業が始
カンボジア
ため、公衆衛生と下水処理に係る規定は政令で定めること
支援ツール
憲法
水及び水資源法
国家水セクター戦略及び行動計画
日本
水及び水資源法施行に関する首相令
環境保護法
環境保護法施行に関する首相令
韓国
国家環境戦略及び行動計画;
EIA規制;排水環境基準の
モニタリングと管理に係る規制
森林法
森林と生物多様性に関する規制:
国家生物多様性保全地域(NBCA)
と
水産資源
土地法施行に関する政令
湿地、土地利用及び土地所有権に
関する規制
ラオス人民民主共和国
森林法施行に関する首相令
土地法
• 国家水関連部門プロフィール
• ラオス環境モニター
農業法
農業普及、畜産業及び水産業に
関する規制
• その他関連するデータ及び
情報
マレーシア
農業法施行に関する首相令
• 関連する研修及び啓蒙活動
水利組合、灌漑施設の維持管理、
給排水等に関する規制
鉱山法
鉱山の採掘及び管理に関する規制
電力法
電力プロジェクトにおける
環境管理基準
衛生・疾患予防法
飲用水基準
ネパール
工業及び手工業からの排水に
関する規制と基準
ミャンマー
産業処理法
フィリピン
水供給と衛生及び基準
都市計画、住宅供給、
生活排水設備と設計に関する規制
スリランカ
都市計画法
図2.6.6. ラオスの水環境管理に係る法制度
(出典:MoEJ 2009 )
タイ
制度的措置
境庁( WREA )
、国有地管理庁( NLMA )
と地質局の一部、森
水基準の設定を担っている。2011 年 11 月現在、各局の役
ベトナム
2011 年 6 月に設立された天然資源環境省は、水資源環
2011 )。環境局は主に水環境を管理し、水質環境基準と排
割及び権限については最終審議が続いている。
林局保護・保全課 が 統合 さ れ た も の で ある( M o N R E
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
65
水質環境基準
ラオスの環境基準は、1999年の設置以降、改正が続いて
おり、最新のラオス国家環境基準は、2009 年 12月7日に発
布された。水質基準は、天然資源環境省が主導し13 の関
連機関と協議した上で制定されたものである。
水質環境基準には、表流水と地下水の 2 種類がある。ラ
オスではこれまで表流水の水質基準がなかったため、基準
は全く新たに定められており、その詳細は表 2 . 6 . 3 .に示す
通りである。この基準はかなり野心的なもので、現時点で
基準 を 満 た す 水質 を 確認 するの は 非常 に 困難 で ある
( Phonvisai 2011 )。例えば、BOD 5 の基準値 1 . 5 mg/Lを満
たすのは、概して農村部の渓流だけである。このため、首
水質項目
No.
単位
基準値
1
色度、臭気、味
2
温度
3
pH
4
溶存酸素( DO )
5
重クロム酸カリウムによる
化学的酸素要求量( CODCr )
mg/L
5
mg/L
1.5
5日間の生物化学的酸素要求量
(BOD5)
6
-
自然レベル
°
C
自然レベル
-
5-9
mg/L
6
7
大腸菌群数
MPN/100mL
5,000
8
糞便性大腸菌群数
MPN/100mL
1,000
9
硝酸態窒素( NO 3 -N )
mg/L
< 5.0
10 アンモニア性窒素
( NH 3 -N )
mg/L
0.2
11 フェノール
( C 6 H 5 -OH )
都ビエンチャン市水環境改善基本計画等のプロジェクトレ
mg/L
0.005
12
銅( Cu )
mg/L
0.1
ベルの調査では、現実に即した BOD 値が採用されている
13
ニッケル( Ni )
mg/L
0.1
14
マンガン( Mn )
mg/L
1.0
15
亜鉛( Zn )
mg/L
1.0
mg/L
0.005
( Phonvisai 2011 )。
なお、飲用水、有蓋容器内の飲用水及び飲用地下水の水
質基準も、この国家環境基準のもとで定められた。これら
の基準は、世界保健機関(WHO)
と国連児童基金(UNICEF)
の協力を得て、主に保健省衛生予防局が策定した。
公共用水域における水質モニタリング
16 カドミウム
( Cd )
17
六価クロム( Cr+ 6 )
mg/L
0.05
18
鉛( Pb )
mg/L
0.05
19
水銀( Hg )
mg/L
0.002
20
ヒ素( As )
mg/L
0.01
mg/L
0.005
0.1
-
21 シアン
( CN )
2009 年の国家環境基準に関する取り決めによると、管理
22
総放射線量:α線
ベクレル(Bq)/L
及びモニタリング活動は、国内全土において環境局が所管
23
総放射線量:β線
ベクレル(Bq)/L
1.0
24
全有機炭素( TOC )
mg/L
0.05
μg/L
1.0
する( WREA 2010 )。また、水資源局は他機関と連携し、調
査の実施及び表流水・地下水の水質評価とモニタリングを
担うことも明記されている。ラオスでは現在、水質の定期
的モニタリングは体系的に実施されていないが、水質モニ
タリングと試験所での分析を適宜実施している機関が複数
存在する
(表 2 . 6 . 4 )。
排水基準
25
ジクロロジェフェニルトリクロエタン
( DDT )
ベンゼンヘキサクロライド(αBHC )
μg/L
0.02
27 デルドリン
μg/L
0.1
28 アルドリン
μg/L
0.1
26
29
ヘプタクロール及び
ヘプタクロルエキスポサイド
μg/L
0.2
30
エルドリン
μg/L
ND
(出典:WREA 2010 )
2009 年 12月発布の国家環境基準に基づき、次の排水基
園、親水公園、湿地・池等のエリアごとに分類されている。
準が定められている。1 )一般工業排水基準、2 )特定工業
2009 年の国家環境基準に関する取り決めでは、規定の
に対する基準、3 )養豚場の排水基準、4 )給油所の排水基
違反者 に は 警告、罰金、また は 刑罰 を 科 すとしている
準、5 )都市部排水基準( WREA 2010 )。詳細を表 2 . 6 . 5 .に
( WREA 2010 )。また、2005 年に工業・手工業省(現・商工
示す。
都市部の排水基準は、ホテル、宿舎、病院等の建物を、
66
表2.6.3. 表流水の水質基準
省)が発布した産業処理工場からの排水に係る規制によ
り、すべての工場において排水の排出許可が必要となった
部屋の数と排水量に応じて、また、住居、寺院、学校、事務
ほか、規模の大きい工場は排水処理及び管理計画の提出
所、市場、レストラン等の建物は、床面積ごとに基準が定め
も義務付けられている。また、排水処理システムとサンプ
られている。公共区域の排水処理基準では、史跡、公共公
ルのモニタリング・分析に必要な設備を導入すること、また
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
機関名
サンプルの
種類
モニタリング対象
水質項目
調査目的に応じて
14 項目( DO、溶解
23 種類のサンプル 塩、栄養塩、有機物)
を表流水・地下水・ (ヒ素、水銀、
排水から個別回収 カドミウム、鉛も
検査予定)
表流水
個別検査
エネルギー
鉱業省
水力発電ダム 個別採取
からの表流水
24 項目(有機化合
物及び農薬)
約 8 項目(温度、
pH、DO、COD 等を
含む)
商工省
( MIC )
産業排水
個別採取
(サンプルは
灌漑局または
天然資源環境
省が採取)
農村水供給
地下水、新規の
掘削孔及び公共
水道用の表流水資
源の個別検査
7 項目(鉄、銅、
バリウム、pH、
電気伝導率( Ec )、
TDS、硝酸性窒素)
(出典:Komany 2008 )
工業排水管理のための方策の強化が図られ、2009 年に
は排水基準も導入された。
現在、環境保護法が改正の承認過程にある。この改正法
には、水質モニタリングの強化、汚染源の査察、戦略的
な環境評価の導入が盛り込まれることになる。
天然資源環境省が 2011 年に立ち上げられた。
07. 現在及び今後の課題
基準の種類
1 . 一般工業に対する基準
2 . サトウキビ工場に対する基準
3 . 糸染めを行う織物・縫製工場に対する基準
4 . パルプ製品に対する基準
5 . 紙製品に対する基準
6 . 食肉解体工場に対する基準
を含むいずれの都市にも、総合的な下水道システムまたは
排水の収集・処理・処分システムは存在しない。都市の拡
大に伴い未処理排水の流入量が増加すれば、近い将来、
都市河川の水質はさらに悪化する可能性がある。
ラオス政府は関連法規の改正等を通して、環境管理の枠
組みの構築と改善を行ってきたが、その実施にあたっては
養豚場の排水基準
課題が残る。例えば、さまざまな省や部局がモニタリング
給油所の排水基準
や分析等による水質管理を独自に行っているが、その結果
都市部の排水基準
(出典:WREA 2010 )
が共有されることはない。また、法規に重複もみられる。例
フィリピン
1 . 排水基準
2 . 公共区域の排水処理基準
ネパール
1 . 有機物取扱い工場に対する基準
2 . 無機物取扱い工場に対する基準(金属めっき)
3 . バッテリー向上に対する基準
では悪化が進んでいる。前述のとおり、首都ビエンチャン
ミャンマー
特定工業
排水基準
制定された。
マレーシア
一般工業
排水基準
2009 年に一連の水質環境基準(地下水及び表流水)が
ラオスの水質は概して良好な状態にあるが、主な都市部
表2.6.5. 排水基準
基準名
06. 環境管理に係る最近の動き
ラオス人民民主共和国
保健省
モニタリング対象
項目は主に
産業廃棄物の
モニタリング関連
罰金及び他の関連規制に対する罰金( Phonvisai 2011 )。
韓国
排水
11(ビエンチャン市) 4 項目(全浮遊物質
(都市/産業) 3(ビエンチャン県) ( TSS )、全溶解物質
( TDS )、BOD、pH )
倍の罰金、
( 3 )第 3 段階:許可取得手数料の 10 ~ 15 倍の
日本
環境局
( MoNRE )
生産の一時停止、
( 2 )第 2 段階:許可取得手数料の 5 ~ 10
インドネシア
保健省、
農業試験所
定められている。
( 1 )第 1 段階:警告、輸出入の一時停止、
中国
農林省灌漑局 表流水、
(分析は水質
地下水、
研究所が実施) 産業排水
モニタリング
地点の数
カンボジア
表2.6.4. 水質モニタリングを実施している公的機関
えば、産業処理工場からの排水に係る規制、環境保護法、
EIA 規制、工業部門に関する EIA 政令には、環境適合証明
提出・承認を事業所に義務付けている点で重複がある。排
職員は工場の環境監査官として工場内のすべての敷地へ
水の排出許可制度は現在、運用されておらず、各規制にし
の立ち入りが認められており、公共用水域へ放流される排
たがって立ち入りが実施されているという( Phonvisai
水の検査、モニタリング、測定、サンプル採取、モニタリン
2011 )。関係諸機関に対し、全体的な水質モニタリング・管
グを実施できる。違反が見つかった場合は排水許可が一
理に対する能力を強化し、組織的な連携手順を確立する必
時停止されるほか、改善と規定の遵守が確認されるまで、
要がある。先に行われた天然環境資源省の組織改編によ
工業局長により排水放流の一時停止または中止処分を命
り、ラオスにおける水環境管理が促進、強化されることが期
じられる可能性がある。違反に対する罰則は、次のように
待される。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
長または各県に報告することが求められている。産業局の
タイ
書の取得、また排水の排出工場に対する環境管理計画の
スリランカ
排水を頻繁にモニタリング・分析し、結果を同省の工業局
67
2.7 マレーシア
01. 国別情報
に豪雨をもたらすが、南西モンスーンは通常、比較的乾燥
した気候を示す( MoSTI 2010 )。干ばつが時々発生し、エ
表2.7.1. 基本指標
33万034(2013)
国土面積(km2)
総人口(人)
2,970万(2013)
名目GDP(米ドル)
3,132億(2013)
10,538(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
2,875(2009)
平均降水量(mm/年)
水資源量(km3)
580*(2009)
年間水使用量(10億m3)
11.2*(2005)
セクター別
年間水使用率
農業用水
22.3%*(2005)
工業用水
42.8%*(2005)
都市用水(生活用水を含む)
34.8%*(2005)
(付録参照)* 推計値
ルニーニョ現象と同時期に起こることもある。1998年には、
近年で最も厳しい干ばつが発生した。干ばつの管理は、灌
漑排水局による乾燥イベントのモニタリングを通じて実施
される。また、洪水の管理は、構造的及び非構造的な対策
を用いた種々の洪水緩和戦略により実施される。表流水
は、生活用水、工業用水及び農業用水供給の 97 %を賄って
いる。河川系からの取水量の約 80 %は灌漑用途である。
将来的には、生活用水及び工業用水として使われる割合が
増えるものと見込まれる。上水道は国内のほぼ全域を網羅
しているが、少数の孤立した地域では、物理的または地理
的要因により上水道の普及が依然として困難か、またはア
クセス不能である。こうした地点では、地下水井戸もしくは
地方給水計画が実施に移される予定である。
02. マレーシアの主な流域
04. 水質状況
Kinabatangan 川
Perak 川
Kelantan 川
水質インデックス( WQI )を用いて、河川の水質状況を評
南シナ海
ブルネイ
Baram 川
Pahang 川
クアラルンプール
Bernam 川
河川
Rajang 川
シンガポール
価している。河川水質は、溶存酸素( DO )、生物化学的酸
素要求量( BOD )、化学的酸素要求量( COD )、アンモニア
性窒素( NH 3 -N )、浮遊物質( SS )、pHの 6 つの水質項目の
測定値を用いて算出される( DoE 2012 )。水質インデック
インドネシア
図 3.7.1. マレーシアの主な河川
スでは水質状況を「良好」、
「若干の汚濁」、
「汚濁」の 3 分類
に分けている。図 2 . 7 . 2 に、2005 年から2013 年までの河
川モニタリング地点における水質インデックス分類の構成
比を示す。また、図 2 . 7 . 3 及び図 2 . 7 . 3 は、それぞれ、同期
間に測定した河川モニタリング地点においてBOD 値及び
03. 水資源の現状
に比べ、2013 年においてBODで「汚濁」に分類された河川
マレーシアには豊かな水資源があり、季節によって異な
の割合が増加しており、逆にアンモニア性窒素では減少し
る様相を見せる。マレー半島の大半とサバ州及びサラワク
ている。2013 年の重金属分析の結果からは、鉛( Pb )及び
州における降水量は全国平均の 2 , 500 ~ 3 , 500 mmに達
カドミウム( Cd )では、全てのサンプルで水質基準の IIB 類
する。マレーシアの気候は2つのモンスーン型に分類され、
型を満足しており、亜鉛( Zn )はほぼすべてのサンプルで
5 月下旬から9 月にかけては南西モンスーン気候、11 月か
満足している。IIB 類型の最も低い達成率はヒ素( As )であ
ら3 月にかけては北東モンスーン気候となる。北東モン
り、達成率は 98 . 15 %であった( DoE 2012 )。
スーンは、特にマレー半島の東海岸各州とサラワク州西部
68
アンモニア性窒素値を 3 分類した構成比を示す。過去数年
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
「良好」の割合
80
「汚濁」の割合
70
60
63
58
57
58
53
50
40
28
15
20
10
0
28
10
8
34
8
51
38
9
36
59
32
34
8
7
13
リング地点において、海洋水質のモニタンリングが実施され
58
た。海洋水質は、溶存酸素(DO )
、硝酸性窒素(NO 3 )
、
リン酸
37
5
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
年
(oil and grease)及び TSSの 7 つの水質項目の測定値を用
いて算出される海洋水質インデックス
(MWQI)により評価
される。2011 年から2013 年の水質の状況では、ほとんどの
沿岸のモニタリング地点数が「普通」に分類されている一方
で、
「良好」に分類される地点数は 39 地点から15 地点に減
少している(図 2 . 7 . 5)
。同期間に行ったモニタリング結果に
よると、河口域及び島嶼部では悪化傾向を示している。
100
90
50
良好
40
30
20
10
2010
2011
2012
140
120
良好
60
清廉
40
0
2011
2012
2013
図2.7.5. 沿岸水域の海水質インデックスの変化
(出典:DoE 2014 )
年
(出典:DoE 2014 )
90
70
80
汚濁
70
若干の汚濁
60
良好
40
30
20
60
汚濁
50
普通
40
ネパール
50
Number of Stations
80
ミャンマー
100
(%)
普通
80
20
2013 Year
図2.7.3. BODサブインデックスによる水質の状況
良好
30
清廉
20
10
0
2009
2010
2011
2012
2013
Year
図2.7.4. アンモニア性窒素サブインデックスによる水質の状況
2011
2012
図2.7.6. 河口域の海水質インデックスの変化
2013
フィリピン
10
0
汚濁
100
マレーシア
2009
Number of Stations
若干の汚濁
60
ラオス人民民主共和国
(%)
160
汚濁
70
韓国
180
80
0
日本
図2.7.2. 水質インデックスによる河川水質状況
(出典:DoE 2014 )
態リン
(PO 4 )
、アンモニア性窒素(NH 3 )糞便性大腸菌、油類
インドネシア
30
31
59
2013 年に 155 の沿岸モニタリング地点、76 の河口モニタ
中国
(%)
沿岸水域
「若干の汚濁」の割合
90
カンボジア
100
年
(出典:DoE 2014 )
(出典:DoE 2014 )
スリランカ
100
湖沼及び貯水池
湖沼と貯水池は、所有や運営等の点で互いに異なる機
リングは実施されておらず、水質インベントリーも存在しな
沼と貯水池の水質に関する研究によると、調査対象の 62 %
で水質の富栄養化が確認されている
( Sharifuddin 2011 )。
70
汚濁
60
普通
50
40
良好
30
清廉
20
10
0
2011
2012
図2.7.7. 島嶼部の海水質インデックスの変化
2013
ベトナム
い。マレーシア環境・水資源管理・技術研究所が行った湖
80
タイ
関の管理下にあるため、環境局による包括的な水質モニタ
Number of Stations
90
年
(出典:DoE 2014 )
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
69
地下水
地下水質の評価には、保健省の未処理飲料水の水質に
関する国家指針( 2000 年 12月改正)が基準として用いられ
ている。2013 年には、105 の観測井から380 のサンプルが
採取された。観測井の設置場所は、9 つの異なる土地利用
区域(工業、埋立地、農業、都市上水道、都市部及び準都市
部、ゴルフ場、屠殺場、農村部、採鉱跡地(金採掘))に分類
される。検査の結果、すべての土地利用区域で、ヒ素、鉄、
マンガン、総大腸菌数、フェノールについて指針を上回る
測定値がみられた。総大腸菌数については、すべての土地
利用区分で不遵守率 100 %であった。フェノール、ヒ素、
鉄、マンガン等他の水質項目についても、すべての区分で
高い超過率がみられた。一方、クロム、銅、亜鉛について
は、すべてのサンプルが指針値を満たしていた。
マレーシアにおける水質管理を含めた環境管理の最終
的な目標は、国民の生活水準を向上させ、生活の質を維持
することである。2002 年に承認された環境に関する国家政
策では、
「国は、経済、社会及び文化の継続的な成長と、マ
レーシア国民の生活の質向上を図るため、環境的に健全
で持続可能な開発を実施する」と述べられている(マレー
シア科学技術環境省 2002 )。これに沿う形で、国家政策で
は同国の経済と環境を統合するために、次の 8 原則を定め
ている。
環境の管理
生命力と多様性に満ちた自然の保全
環境の質の継続的な向上
天然資源の持続的利用
汚濁発生源
マレーシアにおける最大の汚濁発生源は下水処理場で
あり、1日あたりの総 BOD 発生量の 38 % を、SSの 33 %、ア
ンモニア性窒素の 78 % を占めている。BOD 負荷発生量に
ついては減少傾向にあり、2010 年には 1 日あたり1021 t、
2012 年には 1日あたり848 t、2013 年には 1日あたり758 t
となっている
(図 2 . 7 . 8 及び図 2 . 7 . 9 参照)。
製造業 4%
農業関連産業
6%
生鮮市場 1%
畜産場
(養豚場)
25%
下水処理場
38%
民間部門の役割
コミットメントと説明責任
国際社会への積極的な参加
環境法( 1974 年)は、汚染の防止、排除、管理及び環境
増進に関連する目的のための法律である。この法律によ
り、大臣は環境質委員会との協議の上、水質環境基準及び
排水基準を指示し、また、陸水域への排出源に対する最大
できる。その他の法規制は図 2 . 7 . 10 に示す。水質改善の
国家目標に関しては、第 10 次マレーシア計画( 2011 ~
2015 年)の中で、主要水源である河川の水質汚濁に関し、
主要汚染源に対する取り組みを実施するとしており、具体
図2.7.8. 2013年におけるセクター別BOD汚濁負荷の状況
(出典:DOE 2014 )
農業関連産業 9%
総合的な意思決定
許容量を公共のまたは特定の水域について定めることが
食品加工業
26%
製造業 1%
生鮮市場 0%
的な汚濁対策には以下が含まれる( Sharifuddin 2011 ; 首
相府経済企画院 2010 )。
- 下水・産業排水に関する環境規制に従い、下水・産業排
水基準の実施を強化する。
畜産場(養豚場)9%
- 固定発生源及び非固定発生源の汚濁負荷総量について
食品加工業 3%
下水処理場
78%
図2.7.9. 2013年におけるセクター別アンモニア性窒素汚濁
負荷の状況
(出典:DOE 2014 )
70
05. 水環境管理の枠組み
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
評価する。
- 水質インデックスを改正し、河川水をより正確に分類する
ための水質項目を追加する。
-「国家海洋水質インデックス」を策定する。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
制度的措置
術イノベーション省は水に関する研究開発、保健省は飲料
2004 年の省庁再編で創設された天然資源環境省(NRE)
水の水質、地方自治体は水資源計画及び開発に関わって
いる。水質汚濁管理に関しては、主に NREの環境局( DoE )
もいくつかの省庁が水資源管理に関与している。例えば、
が 1974 年環境法の実施にあたっている。
中国
は、水の量的・質的管理を含む環境保全を所管する。他に
エネルギー・水・通信省は公共水道供給及び下水、科学技
インドネシア
水質保全
日本
全般
環境法
表流水環境基準
排水基準
韓国
特定地域
サバ水資源法(1998)
サラワク天然資源環境条例
ラオス人民民主共和国
Selangor水管理庁法(1999)
Kedah水資源法(2007)
サバ環境保全法
特定部門
サバ州及びサラワク州の状況
1. 農業
1953年灌漑地区法
1954年排水工事法
1. 農業
サバ排水灌漑法(15/1956)
1966年サラワク排水工事条例
2. 林業
1984年国有林野法
2. 林業
1965年サバ森林法
サラワク森林条例(Cap 126)
6. 鉱業
1936年鉱山法
8. 漁業
1963年漁業法
6. 鉱業
鉱山法(1960年サバ)
鉱山法(1949年サラワク)
7. 地方及び地域計画
サバ都市・農村計画法(Cap 141)
サラワク都市・農村計画法(Cap 87)
8. その他
地方自治法、サバ条例(11/1961)
サラワク地方自治条例(Cap 117)
タイ
9. その他
1976年地方政府法
1974年街路・排水・建築物法(1994年改正)
地質調査法
1969年省所管法
5. 生活給水
上下水道事業法
スリランカ
7. 地方及び地域計画
1976年都市・農村計画法
4. 土地管理
1930年サバ土地条例
1958年サラワク土地規定
フィリピン
5. 生活給水
上下水道事業法
3. 河川管理
サラワク水域条例
1993年サラワク河川輸送料金条例
ネパール
4. 土地管理
1965年国土規定
1960年国土保全法
土工事に関する法令
ミャンマー
3. 河川管理
1920年水域法、1989年改正
Perak河川水利権法
1955年Kelantan河川交通法
Pahang河川航行法(6/49)
マレーシア
半島マレーシア
ベトナム
図2.7.10. 水質管理に関する立法一覧
(出典:MoEJ 2009 )
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
71
水質環境基準
排水基準
表流水に適用される国家水質環境基準( NWQS )
では、6
環境質法( 1974 年)では、
「認可を受けている場合を除
つの水利用分類に対し72 項目の基準値を定めている(表
き、いかなる者も第 21 条に定められた許容範囲の条件に
2 . 7 . 2 )。すべての表流水が特定の水分類の基準を満たす
違反し、環境有害物質、汚染物質または廃棄物を陸水域に
ことを目標とせず、現在より高い水分類の基準達成に向け
放出、排出、堆積させてはならない( 1974 年環境質法 第
て段階的に水質を改善することを目指している。
25 条)」と述べている。排水の排出に関する規則と手続を
表2.7.2. 国家水質環境基準における水質分類
クラス
I
用途
自然環境の保全
飲料水用 :
I 実質的に処理不要
漁業 :
I 水質に非常に敏感な水生生物が生息する
IIA
飲料水用 II:標準的な処理が必要
漁業 II:水質に敏感な水生生物が生息する
IIB
親水レクリエーション用
III
飲料水用 III:完全な処理が必要
漁業 III:経済的価値のあるよくみられる種、耐性種及び家畜用
飲料水
IV
灌漑用水
V
上記以外
定 める下水・産業排水 に 関 する環境規制( 1 9 7 9 年)は、
2009 年、3 つの新たな規制へと改められた。すなわち、下
水に関する環境規制、産業排水に関する環境規制、固形廃
棄物の処理場及び埋立地からの汚染管理に関する環境規
制である。これらの規制の下、下水排出基準、産業排水放
流制限及 び 浸出液排出基準 が 定 め ら れ て い る( D o E
2010 )。
排水モニタリング
新たに制定された下水及び産業排水に関する環境規制
は、規制対象すべてに対し、排水のモニタリング及びモニ
(出典:DoE 2011 )
タリング結果の記録と管理の履行を義務付けている。その
海洋水質に関しては、7 つのサブインデックスを有する海
洋水質インデックス( MWQI )が設定されている。
際、分析方法とモニタリングの水質項目については指定が
ある。また、すべての規制対象について、環境局への排水
マレーシアの地下水の水質基準は定められていない。し
放流に係る月次報告書の提出が義務付けられており、郵送
かし、地下水は表流水の代替水源として有用なため、地下
による書類提出のほか、オンラインでの報告システムも用
水の水質モニタリング結果の評価にあたっては、未処理水
意されている。権限を有する環境局職員は、すべての条項
の水質に関する国家指針を基準として採用することがで
が確実に遵守されるよう、対象すべてにおいて抜き打ち検
きる。
査を含む立ち入りを実施できる。規制に対する違反が見つ
かった場合は、汚染者に対し直ちに罰則が科される。ま
水質のモニタリング
た、排水の水質改善策として、排水処理の最適な運用と維
天然資源環境省環境局が河川、海洋水及び地下水のモ
持管理を促すことを目的として、産業排水処理システム
ニタリング計画を実施している。表 2 . 7 . 3 に、環境局が実施
( IETS)が導入されている。企業は IETSを利用することで、処
している水質モニタリングの状況を示す。
理システムの欠陥の早期発見、適切な薬品使用量の決定
表2.7.3. 環境局が実施する水質モニタリングの状況(2013年)
モニタリング地点数
河川
地下水
沿岸水域
マニュアルモニタリング地点 *:891 地点( 477 河川)6 , 057 サンプル
自動継続モニタリング地点:10 地点
105 観測井(マレー半島:78 箇所、Sarawak 12 箇所、Sabah 15 か所)
沿岸域:155 地点 648 サンプル
河口域:76 地点 334 サンプル
島嶼部:90 地点 327 サンプル
* マニュアルモニタリング地点には、801 箇所の環境・ベースライン地点、特定取水口の上流部に位置する
55 箇所の新規地点、
「生活の川」事業における35 か所を含む
(出典:DoE 2014 )
72
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
(Keong 2008)
、予防措置を確認する機会の増加
(How2008)
といった恩恵が得られる。IETSの利用を促すため、環境局は
中国
技術指導を実施している。企業内では、環境局長官の認定
を受けた有資格者が、IETSの監督任務に就かなければな
らない。IETSの導入によって、汚染管理に対する産業界の
インドネシア
より積極的な関与が促され、公的機関による強力な執行措
置が不要になるものと期待されている。
日本
06. 今後の課題
環境法( 1974 年)は、固定発生源及び非固定発生源の管
理により汚染削減に一定の成果を上げること、また水環境
韓国
の継続的なモニタリングと評価を促すことに成功してきた。
しかし、包括的な水環境管理を実現するには、依然として
ラオス人民民主共和国
取り組むべき課題が山積している。前項で述べたとおり、
水環境管理の方向性は、第 10 次マレーシア計画ですでに
定められている。マレーシアにおける水環境の明るい未来
を保証するには、次の要素が不可欠と考えられている。
河川流域モデリング、個々の水域の実情に即した局所的
マレーシア
な排水基準の検討等、水域レベルでの水環境管理を推
進する。
ミャンマー
排水管理政策の強化と水質状況の改善を図る。その一
環として、汚染管理に対する自己規制の取り組みを一層
促進させる。
ネパール
表流水の限定的利用または利用不能地域において地下
水の賦存量を特定する。
湖沼と貯水池の管理向上を目指し、ステークホルダーの
フィリピン
役割と責任を明確化する。この目標の達成に向けて、さ
らなる研究と適切なデータ管理が求められる。
スリランカ
タイ
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
73
2.8 ミャンマー
01. 国別情報
03. 水資源の現状
表2.8.1. 基本指標
67万6,578(2011)
国土面積(km2)
5,326万(2013)
総人口(人)
名目GDP(米ドル)
568億(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
1,113(2013)
平均降水量(mm/年)
2,091(2009)
水資源量(km3)
1,168(2009)
33.2(2000)
年間水使用量(10億m3)
セクター別
年間水使用率
農業用水
89%(2000)
工業用水
1%(2000)
10%(2000)
都市用水(生活用水を含む)
(付録参照)
ミャンマーは豊富な水資源に恵まれており、年平均降水
量は約 2 , 341 mmである。しかし、降雨の 8 割が南西モン
スーン期( 5 ~ 10月)に集中する等、その分布は一様ではな
い。
ミャンマー国内にある8 つの主要な河川流域は併せて約
7 3 万 7 , 8 0 0 k m 2 で あり、主要 な 湖沼として、I n l e 湖と
Indawgyi 湖がある。それ以外にも、人工構造物により表流
水の 15 . 46 km 3 が貯水されている。
3
ミャンマーの地下水包蔵量は 580 km(河川流域の年間
潜在地下水量を図 2 . 8 . 2 に示す)で、再生可能な水資源は
1 兆 460 億 m 3 と推定される。開発済みの水資源は、332 億
m 3 で、ミャンマーの再生可能な水資源全体のわずか 3 %に
過ぎない。全取水量の約 91 %は表流水、9 %は地下水から
02. ミャンマーの主な流域
で、地下水は主に、生活用水及び野菜や高付加価値作物栽
培を目的とした灌漑用水として利用されている。
中国
Putao
Tanintharyi川流域
48.3
メコン河
Chindwin 川
Thanlwin(Salween) 川
Sittaung 川
ネピドー
メコン河流域
70.8
Ayeyarwady
(イラワジ)川
ベンガル湾
Bassein
Thanlwin川流域
88.3
Chindwin川流域 8.7
Mandalay
Sittwe
Rakhine川流域
51.4
Sittaung川流域
34.9
Ayeyarwady川
下流域
163.9
Ayeyarwady川
上流域
113.9
図2.8.2. 河川流域の年間潜在地下水量(km3)
ヤンゴン
(ラングーン)
タイ
(出典:MoEJ 2009 )
Moulmein
04. 水質状況
Andaman 島及び
Nicobar 島
内陸表流水
ミャンマーでは、家庭用水、農業用水、工業用水を内陸
表流水に大きく依存しているが、表流水は不適切な衛生管
図2.8.1. ミャンマーの主な河川
理により汚染されやすい状態にあり、人の健康や水生生態
系には適さない場合もある。Ayeyarwady 川、Chindwin
川、Thanlwin 川、Sittaung 川等の水質モニタリングデータ
によれば、これらの川の水質は灌漑用に適している(表
74
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
酸素量( DO )等が観測され、そのほとんどは農薬の流出や
地下水の管理の必要性が高まっている。同様に、帯水層の
未処理廃棄物の投棄によるものと考えられる(表 2 . 8 . 3、
回復のため、表流水と地下水の統合的管理が必要とされて
Box 2 . 8 . 1 )。また、Inle 湖の大腸菌群及び大腸菌は基準値
いる。さらに、ヤンゴン市等で都市中心部及び工業中心地
を超えており、飲料用には適さない。
が急速に拡大しており、地域の水需要が急速に増大してい
鉄
ナトリウム
( mg/L )
塩素
る。一方、工業排水、都市排水、農業排水(農薬や肥料の無
制限な使用)による水質汚濁が進んでいるため、淡水の供
河川名
溶存酸素
Ayeyarwaddy 川
4.02
0.45
0.57
0.30
Chindwin 川
4.17
0.01
0.69
0.52
だけでなく、内陸部でも塩水侵入が報告されている。乾燥
Thanlwin 川
3.56
0.02
0.62
0.35
Sittaung 川
4.19
0.50
0.77
0.62
地域における同河川のモニタリング結果からは、夏期を中
水質項目
pH
数値
また、塩水侵入は、ミャンマー第 3 の人口集中地域であ
所見
7.8-8.0
アルカリ
高濃度
0.0078-0.28
高濃度
硝酸態窒素( mg/L )
0.7-0.9
高濃度
溶存酸素( mg/L )
0.6-8.6
大腸菌群( CFU )
18-137
飲料用に適さず
0-23
飲料用に適さず
リン酸態リン( mg/L )
大腸菌( CFU )
り、米作の大半が行われているデルタ域を中心に深刻な問
題となっている。図 2 . 8 . 3 は塩水侵入の度合いを示す。
Yandoon
Pathein
Maubin
(出典:Khin Lay Swe 2011 )
ラオス人民民主共和国
30.0-50.4
カルシウム( mg/L )
心に過度の汚染が確認されている。
韓国
表2.8.3. Inle 湖の水質
給量が減っている。また、Ayeyarwady 川水系の感潮区域
日本
(出典:2011 年におけるフォーカルポイントによる提供データ)
インドネシア
表2.8.2. 主な河川の水質
中国
な汲み上げは地盤沈下や塩水化をもたらすため、適切な
カンボジア
2 . 8 . 2 )。Inle 湖では、高濃度のリンや硝酸、低濃度の溶存
4.4.2007
20.3.2007
4.3.2007
ヤンゴン
Box 2.8.1. Inle 湖の水環境
マレーシア
Bogalay Pyapon
Labutta
ミャンマー
ミャンマーで2番目に大きい Inle 湖は、家庭用水道水の
唯一の供給源である。湖の水質は様々な要因の影響を受
けており、特に西部・北部流域における森林破壊及び集約
的農業と湖の浅さとが相まって、沈泥と栄養塩が増加して
態窒素
(NO3-N)等の濃度が比較的高く、富栄養状態になっ
ているとの報告がある。生活排水が直接流れ込むことも水
質汚濁のさらなる原因となっている。また、大腸菌群の多
全・森林省(MoECAF)は、Inle湖の環境保全及び持続的な
管理の五カ年計画(2010年〜2014年)を策定しており、幾
は、植林、土壌・水質保全、啓発活動を行い、灌漑局は水質
モニタリング及び沈泥の浚渫にあたっている。政府は、Inle
法整備
ミャンマーには水質汚濁を管理する特定の法律がない。
公衆衛生法( 1972 年)第 9 条の一般的な規定により、保健
省は、ごみの処分、飲料用等の水使用、放射能や大気汚染
の防止、食品と薬剤の安全等環境衛生に関する措置を実
湖の水質汚濁対策として、コミュニティ水供給・衛生プロ
施する権限を持つ。しかし、これらの効果的かつ包括的な
ジェクトの水・衛生管理専門チーム(WATSAN)の協力を得
管理のための規定はない。同様に、ホテルや観光業界に
(出典:Than 2007、Akaishi 他 2006、MoECAF 2014 )
対する規則には、汚染に関する規定は存在しない。港湾法
タイ
て、
トイレ設備を導入した。
スリランカ
つかの政府機関が同計画を実施している。例えば、森林局
05. 水環境管理の枠組み
フィリピン
さが報告されており、湖水は飲料用には適さない。環境保
ネパール
いる。リン酸態リン
(PO4-P)、亜硝酸態窒素(NO2 -N)、硝酸
図2.8.3. 2007年夏に測定した塩水侵入フロントの状態
(出典 : Ra 2011 )
( 1908 年)には港の汚染に関する規定があるが、航海にお
地下水
ベトナム
いて損害をもたらすものしか扱っていない。水質汚濁につ
いて唯一規制しているのは、ミャンマー投資委員会が 1994
人口増加と経済活動による水需要の増大が、ミャンマー
年 6月に発表したガイドラインのみである。このガイドライ
における地下水の汲み上げに拍車をかけている。無秩序
ンでは、新たな投資事業は、排水処理システムを整備しな
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
75
ければならない。ミャンマーでは下水、工業排水、固形ご
質汚濁対策等を推進する上で、複数の省の間の責任の明
み処理による河川や湖沼の汚染が深刻な問題となってい
確化が課題として残っている。
るが、明確に規制する法律はなく、汚染に関する新法の制
定が必要となっている。現在、環境保護に関する法案が政
府による承認待ちである。正式な承認が下りれば、国の環
境基準が設定されることになる。
表2.8.4. 環境への影響に関するミャンマーの法的枠組み
No.
1
2
法令〈水質管理に関する具体的内容〉
刑法( 1860 年)
〈公共の水源地または貯水池の水をその意図した目的に
合わず故意に汚染した者は、自治体管轄下の水域を汚染
した罪で禁固刑または罰金を科せられる。〉
ヤンゴン水道法(1885 年)
3
運河法(1905 年)
4
ヤンゴン港湾法(1905 年)
5
6
7
8
管轄省
緊急規定法(1950 年)
工場法(1951 年)
〈事業者は、排水を放流する前に、汚染を引き起こす可能
性を除去または低減させる処理施設を備えなければなら
ない〉
部局及び政府機関
責務
環境保全・
森林省
環境保全局
環境保全及び管理
農務灌漑省
灌漑局
農地への灌漑用水分配
運輸省
気象水文局
主要河川の水質評価、
データ収集・分析
畜水産・
農村開発省
ミャンマー水産公社
水産工場、水域のモニタ
リング・管理
保健省
保健局
環境衛生、水質評価・管
理、水質モニタリング
国境地域少数
民族開発省
開発局
生活用水・農村地域の水
供給及び公衆衛生管理
-
水資源利用局
市開発委員会
(ヤンゴン市、Mandalay
市、ネピドー市)
港湾法( 1908 年)
ヤンゴン市法(1922 年)
〈ヤンゴン市の水域の汚染に対する罰則〉
農村地域における水供給
都市の水供給及び公衆
衛生管理、水の保全及び
保護に係る工事
(出典:Sein Aung Min 2014、Khin Ni Ni Thein 2013 )
水質基準
原則として、地方都市の開発委員会が水質保全に責任を
持つ。住居、オフィスビル、工場等からの排水処理につい
9
領海及び連続水域法(1977 年)
10
外国漁船の漁業権に関する法律(1989 年)
11
ミャンマー海洋漁業法(1990 年)
質汚濁の主な原因は、未処理の都市排水、工業、農業から
12
殺虫剤法(1990 年)
13
淡水漁業法(1991 年)
の固形廃棄物及び排水である。急速な工業化により、旧首
開発委員会法(1993 年)
14 〈下水及び汚染水の適切な処理を含む、改正ヤンゴン市法
( 1922 年)〉
ミャンマーにおけるホテル及び観光業に関する法律
(1993 年)
15
〈公共の排水路への適切な排水を行うための排水処理施
設の建設に関する基準を含む〉
野生動植物の保護及び自然地域の保護に関する法律
(1994 年)
16
〈上流域における水質管理を目的とする野生生物保護区
及び保護林に関する規制〉
17
ミャンマー鉱山法(1994 年)
〈上流域における採掘作業の禁止〉
18
資源及び河川保護法(2006 年)
〈表流水、地下水等の水資源管理及び河川管理〉
19
ミャンマーにおける環境保護・保全に関する国家環境問題
委員会( NCEA )の法律(法案は作成されたが承認はまだで
ある)
(出典:MoEJ 2009 )
制度的措置
ては、環境保全・森林省が管轄する。ミャンマーにおける水
都ヤンゴン等多くの都市で環境負荷が増えている。未処理
の工業排水が河川等に直接放流されるのが汚染の最大の
原因となっているが、都市の下水道にも放流されるため、
問題 が さら に 複雑化して い る。国家環境問題委員会
( NCEA )及び NGOが、工場からの排出基準を提案している
が承認されていない。
また、政府は、農業による水質汚濁を緩和するため、有
害な殺虫剤の使用を一部禁止し、化学肥料の代替物として
伝統的なバイオ肥料の利用を促進している。 現在、各省
庁・部局は、公共用水域の水質悪化に対処するため水質管
理を強化している。飲料水の水質に関する国の基準は現
在策定中で、まだ承認されていない。
現在、水質評価は世界保健機関(WHO)及び国連食糧農
業機関( FAO )の基準を使用して実施されている。水質管
理対策、特にボトル入り飲料水については、ケースバイ
政府内には現在、保健、灌漑、鉱業、輸送、産業等、各部
ケースで実施されている。ヒ素及びその他の水質項目の検
門で水環境管理を担当する組織がある
(表2.8.5.)。例えば、
査は、水資源利用局( WRUD )
と開発局( DDA )、国連児童
ヤンゴン市開発委員会( YCDC )は、旧首都の水質管理を担
基金( UNICEF )が共同で行っている。保健省の環境衛生課
当している
( Ra 2011 )。
は、健康管理機関と共同で上水道プログラムを実施し、旧
また 2011 年 9月、森林省は環境保全・森林省へと省名を
改め、環境保護法(案)の実施を所管することになった。水
76
表2.8.5. 水環境管理に係る制度的枠組み
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
首都のヤンゴンで水質管理モニタリングのパイロット事業
を行っている。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
ミャンマーには、水質を定期的にモニタリングする国レ
ヤンゴン市開発委員会は、配水システム改善に関する法
カンボジア
水質モニタリング
律(法令第 6 号 / 99 )を成立させた。同法の内容として、
ベルのプログラムは存在しておらず、各政府機関がそれぞ
水の漏洩探知、水道管の建設、修理、維持、配管規則の
れの目的に沿って実施している。
変更、不法接続の取り締まりが盛り込まれている。
を設置した。内訳は、Ayeyarwady 川( 8カ所)、Chindowin
設の整備・管理、整地、水の価格付け、用水路補強、肥料
川( 3 カ所)、Thanlwin 川( 2 カ所)、Sittoung 川( 2 カ所)で
及び農薬の適切使用が挙げられる。水の効率的な利用を
ある。pH、導電率( ECw )、混濁度、水温、全硬度、全溶存
目指し、灌漑施設新設の代わりに既存の施設の補修工事
物質、塩分濃度、ナトリウム吸着率( SAR )、残留炭酸ナトリ
が実施された。灌漑効率促進を目的とするプログラムは、
ウム( RSC )、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、カリ
農業従事者のエネルギー、労働、コストの削減に成功し、
ウムイオン、コバルトイオン、炭酸水素イオン、酸化硫黄、
効率性向上、或いは、生産性の増大に寄与している。
塩素といった 16 の水質項目を季節毎(年 2 回)にモニタリ
水資源及び環境管理に係る法規制は、環境評価に沿っ
ングする。また、灌漑局は夏期、デルタ域での塩水侵入も
て見直された。
韓国
た。具体的には、作付調整、水供給計画の作成、灌漑施
日本
ニタリングするため、4 つの河川に 15 のモニタリング地点
インドネシア
農業用水の保全を目的として数種の有効な対策が取られ
中国
例えば灌漑局は 2006 年、灌漑用水と飲用水の両方をモ
モニタリングする。
気、騒音、排水、有害化学物質に関する基準等、ヤンゴンに
持つのが現状であるが、統合的な実施が望ましい。事業の
適用される環境基準案を提出した。同様に、ヤンゴン市開
効果的な運営のため、機関間の調整メカニズムを強化す
発委員会の政府部局は、管轄地域の環境保護に関して独
る必要がある。
自の基準を設定した。国家環境問題委員会(NCEA)の主な
事業者
(点汚染源)
と農地
(面汚染源)による水消費量と汚
目的は、水、土地、森林、鉱物、海洋等の天然資源を利用す
染物質の排出を減らすため、水利用の効率性向上は灌漑
る際の環境保護とその悪化の防止である。これらの措置
セクターにおける水資源保全の重要な要素と考えられる。
は、国家環境問題委員会が提出したミャンマーの国家環境
水質悪化の主な原因は、下水、産業廃棄物、農業用化学物
政策に基づいている。
質の排水等である。水質保全を通した水資源保護は市の
ミャンマー
複数の政府機関が上水道と衛生の事業計画実施に責任を
マレーシア
2001 年 7 月、ヤンゴン市開発委員会は会議を招集し、大
ラオス人民民主共和国
排水基準
07. 現在及び今後の課題
開発委員会が行っているが、排水規制は自治体と産業界双
方の課題として捉える必要がある。工業化が進む都市で
ネパール
06. 水環境管理に係る最近の動き
は、自治体による処理は依然複雑な体制のまま実施されて
Development Standing Committee )が組織された。
輸入を禁じ、化学肥料に代えて伝統的なバイオ肥料を使用
2013年7月、大統領令により国家水資源委員会(National
するよう勧めている。
Water Resources Committee、ミャンマーの最高位機
集水域及び水源付近の森林破壊により、深刻な水質悪化と
関)が立ち上げられた。
水量の減少が起きている。その結果起きるガリー浸食及び
住民参加を通じた大衆意識の向上は、効率的な水の使
面状浸食により表土が流失し土地の劣化が進むため、流入
用及び保全において非常に重要である。社会開発プロ
する水の混濁度が過度に上がり、河川と湖底の堆積物によ
グラム、教育プログラム、情報プログラムは、見識ある市
りオフサイト
(開発区域から離れた場所)
で生態学的・物理
民を育て、市民による政府の政策決定過程への積極的な
的影響が生じている。化学物質を吸着した土砂と粘土が堆
関与にもつなげている。また、森林生育、薪の代用品の
積し、水界生態系に取り込まれているためである。
ベトナム
は、農業部門の水質悪化を緩和するため、既に有害農薬の
タイ
な水資源開発常任委員会(Sustainable Water Resources
スリランカ
いるため、水質を規制する法律の強化が必要となる。政府
フィリピン
2012 年 11 月19日、経済特別区を対象として、持続可能
生産、植林技術に関する小冊子配布に関する訓練が行
われ、森林保全活動における地域住民の啓発を目指して
いる。また、政府は 7月を全国植林月間に指定した。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
77
2.9 ネパール
01. 国別情報
る( WECS 2000 )。ネパールには約 6 , 000もの河川があり、
その流域面積の合計は 19 万 1 , 000 km 2 である。その内
表2.9.1. 基本指標
14万7,181(2008)
国土面積(km2)
2,780万(2013)
総人口(人)
193 億(2013)
名目GDP(米ドル)
一人当り名目GDP(米ドル)
694(2013)
1,500(2009)
平均降水量(mm/年)
210.2*(2009)
水資源量(km3)
9.5(2006)
年間水使用量(10億m3)
セクター別
年間水使用率
農業用水
98.1%(2006)
工業用水
0.3%(2005)
都市用水(生活用水を含む)
1.6%(2006)
(付録参照)* 推計値
ネパールの河川は、流出量別に 3 水系に分類される。第
一の河川水系は、ヒマラヤ山脈に端を発するMahakali 川、
Karnali 川、Sapta-Gandaki 川、Sapta-Koshi 川の四大流域
から成る。この水系は年間総流出量の約 80 %に相当する。
第二は、Babai 川、West Bapti 川、Bagmati 川、Kamala 川、
Kankai 川から構成される水系となり、中規模河川流域で、
合わせて年間総流出量の約 7 %にあたる。第三は南部の小
規模河川流域で、Silwalk 丘陵地帯に端を発し、乾季には干
上がる。Bering 川、Balan 川、Khutiya 川、Pathraiya 川、Lal
Bakaiya 川、Ratu 川、Sirsia 川、Manusmara 川、Banganga
川がこの水系に属する( WECS 2011 )。最近実施された評
価において、ネパール国内に 5 , 358 の湖沼を確認している
02. ネパールの主な流域
Mahakali
74 %はネパール国内を流れている
( WECS 2011 )。
( NLCDC 2009 )。この数は、ヒマラヤ山脈の高地に位置す
る氷河湖、自然湖、池、ダム、小規模の湿地帯を合計したも
Karnali
West Rapti
のである。利用可能な表流水は 2 , 250 億 m 3 と推計されて
中国
Gandaki
Bagmati
いる( WECS、2011 )。潜在地下水量は多く、年間潜在取水
量は約 120 億 m 3 である。低地であるTerai 地域、中間山地
の丘陵地域に住む住民は、地下水を生活用水として取水し
Koshi
Kamala
Kankai
カトマンズ
Babai
インド
その他南部の河川
図2.9.1. ネパールの流域
03. 水資源の現状
ている。
ネパールの水資源は水力発電、灌漑、生活用水、養殖、
遊漁といった用途に有利に利用可能である。とりわけ、水
力発電開発は、ネパールにとって有力なエネルギー源の開
発として注目されてきた。その理論上の潜在的水力発電量
能力は 8 万 3 , 000メガワットと言われており、内 4 万 5 , 610
メガワットが経済活動に利用できると考えられている。非
常に高い潜在的発電能力にもかかわらず、実際の発電容
量は低く2 % 未満である
( WECS 2011 )。
2012 年、改善された衛生設備を使用している人々は人
ネパールは豊富な水資源を有する国である。年平均降
口のわずか 37 %に過ぎなかったが、88 %は改善された飲
水量は 1 , 530 mmであるが、中央ネパールにあるアンナプ
料水源へのアクセスを有していた( WHO/UNICED 2014 )。
ルナ山脈の南側山麓沿では6,000mmを超える一方、チベッ
ト高原付近のネパール中北部では 250 mm 未満である等、
地域によって降水量に幅がある。雪を頂くヒマラヤ山脈
は、特に乾季にネパールの河川の主要な水源地となってい
78
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
04. 水質状況
ネパールの水質データは非常に限られるが、公共用水
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
未処理または処理が十分でない生活・工業排水、また河川
理がなされていないため、汚染が進んでいる。首都カトマ
や湖沼に直接廃棄されるごみ等が増えているため、水質悪
ンズを流れるBagmati 川はネパールで最も汚染された川
化が起きている。また、肥料と農薬の使用量が増えている
である。図 2 . 9 . 2 .は、Bagmati 川流域の複数の地点におけ
ため、特に農村部での水質が急激に悪化している。衛生施
る最新の水質データをまとめたものである。現在の状態で
設の利用が少ないことも、表流水及び地下水の水質に悪
は、都市部を通過する Bagmati 川下流は、飲料用、遊泳、
影響を及ぼしている。特に農村部では、雨季になると浸食
灌漑の何れの用途にも適していない。未処理の生活排水
による堆砂が問題になる。また、農村部では、雨季には水
が同河川の水質汚濁の最大の原因と考えられており、その
を媒介する感染症が頻繁に発生している。これは、安全で
生物化学的酸素要求量( BOD )負荷は全体のおよそ 42 %
ない衛生設備から発生する汚染が理由である。
に上る( NTNC 2009 )。加えて、家庭廃棄物、産業廃棄物、
日本
都市を流れる河川は、廃棄物及び排水の適切な処理や管
インドネシア
しかし、首都カトマンズのように都市化が進む地域では、
中国
る。堆砂を除けば、大部分の河川の水質は概ね良好だが、
カンボジア
域の水質は、都市部を除き、一般に良好と考えられている。
畜産業からの排水も汚染の原因である( NTNC 2009 )。ま
河川
侵食は、河川水系の水質変化を引き起こす大きな原因
濁度(NTU)
250
砂採掘、河岸侵食、不適切な河岸保護工事といった開発事
業も堆砂の問題を引き起こしている。
ラオス人民民主共和国
である。毎年雨季に大量の堆砂が河川に起こるためであ
韓国
た、様々な産業セクターによる汚染負荷の増加に加え、土
溶存酸素(DO)
(mg/l)
10
9
8
200
マレーシア
7
6
150
5
4
100
ミャンマー
3
2
50
1
0
l
Sun
上流
a
a
n
ri
al
a*
arn
swo ilgang mang bhawa nohar
Gok Guhe
T
a
n
i
Ma
S
Min
下流
0
上流
ijal
dar
Sun
a
arn
Gok
ori
esw
Guh
a
ang
Tilg
l
*
wan ohara
nga
n
bha
a
n
i
M
M
下流
ma
a
Sin
ネパール
ija
dar
化学的酸素要求量(COD)
(mg/l)
300
200
23/04/2014
150
15/10/2014
100
20/10/2014
50
24/11/2014
0
a
a
ri
al
a*
an
arn eswo lgang
ang bhaw nohar
Ti
am
Guh
Ma
Sin
Min
下流
Gok
タイ
ijal
dar
Sun
上流
スリランカ
02/02/2014
フィリピン
250
ベトナム
Figure 2.9.2. Bagmati川流域の複数地点の水質
(サンプル採取地点はManohara支流とBagmati川との合流地点からすぐに下流)
(2014年)
(出典:Bagmati 文明統合開発のための高次委員会( High Powered Committee for the Integrated Development of the Bagmati Civilisation )の
ウェブサイト<http://www.bagmati.gov.np/bagmati-water-quality-test-report.php> )
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
79
定期的な水質モニタリングが行われていないため、他の
流域の水質データの入手は非常に限定的である。ネパー
において11~50ppb、1万8,799本において50ppb超であっ
た( CBS 2014 )。
ルの最新の環境統計( 2008 年)によると、乾季の 8 つの主
要河川の水質は 1998 年のデータを基にしているものの、
世界保健機関( WHO )
ガイドライン( CBS 2008 )が定める4
つの水質項目( pH、全溶解物質( TDS )、溶存酸素( DO )、
BOD )の基準値を満たしている。
05. 水環境管理の枠組み
法整備
環境に対する国民の意識は、第6次5カ年国家計画(1980
~ 1985 年)が環境保護の必要性を公式に謳った 80 年代か
湖沼及び貯水池
ら高まっている。1980 年代以来、水資源法( 1992 年)
、環境
河川同様、湖沼の水質は概して良好だが、経済発展と人
保護法(1996 年)等、環境と水に関する様々な法令が制定
口増加の影響を受け水質が悪化しているものもある。例え
されている。ネパールの環境保護の目的は、人間及び自然
ば、南部の Terai 地域の Phewa 湖やその他の湿地では、地
生態系への悪影響を防止し、持続可能な開発を達成するた
域の生態系の破壊につながる富栄養化が観測されている。
めの天然資源の保護である(1997 年環境保護法)
。環境保
以下の表は、複数の調査結果に基づいた特定の湖沼の水
護法(EPA)は、基本方針、環境影響評価、汚染管理証明書
質である。
の発行、環境調査、悪影響に対する補償制度及び環境保護
地区等、環境悪化に対応する措置を含む包括的な法令で
表2.9.2. 代表的な湖の水質状況
水質項目
単位
Phewa湖 Begnas湖
Rupa湖
Gosainkunda湖
ある。水環境管理または水質汚濁に関する法律は存在し
BOD
mg/L
2
2
2.68
不明
ない。汚染管理及び環境影響調査に関する概要と規則を
定める環境保護法と環境保護規則に加えて、国家水資源戦
全窒素
mg/L
260
233.6
176.4
210
リン酸態リン
mg/L
30
18.7
23.3
3
葉緑素
mg/L
8
5.5
6.5
1.2
(出典:CBS 2008 )
地下水
略( 2002 年)及び国家湿地政策( 2003 年)も、環境保護に
関する規則・基準の設置と強化の重要性を謳っている。水
環境保護に関する規定の概要を、図 2 . 9 . 3 に示す。
この他にも、土地利用、建築基準、廃棄物管理、天然資
ネパールの浅層地下水及び深層地下水はどちらも汚染の
源及び文化遺産の保護・保全に関する法律等、河川・湖沼
危険にさらされている。浅層地下水は、病原菌、農業用化
への環境影響の低減に寄与する法律がある
(表 2 . 9 . 3 )。
学物質、産業・生活排水に含まれる硝酸塩等に汚染されて
いる。農業用化学物質と硝酸塩による汚染は、農業部門に
おける無機肥料の使用と農薬散布によるところが大きい。
80
制度的措置
環境省は、ネパールの環境保護政策及び施策を実施し、
無計画な都市開発と不十分な廃棄物処理が、地方におけ
環境保護に責任を持つ。環境省水文気象局( DHM )は、河
る地下水質汚濁の主な原因となっている( Sharma et al. 川の水文学、気候、農業気象、沈殿物、大気環境、水質、陸
2005 )。カトマンズ及び Terai 地域の深層地下水は概して
水学、雪水文学、氷河学、風力・太陽エネルギーに関する活
嫌気性で、鉄、マンガン、アンモニウム、ヒ素等の濃度が増
動のモニタリングを実施する。水に関しては、水エネル
加している。カトマンズ渓谷の深部帯水層では、鉄の濃度
ギー委員会事務局が、水とエネルギーに関連する政策と戦
が 0 . 5 ~ 9 mg/Lで、マンガンの濃度が 0 . 1 ~ 0 . 7 mg/Lで
略の立案を支援し、水とエネルギー関連の国家計画策定を
ある。Terai 地域の深部帯水層は、上部を覆う粘土質土の
主管機関として担っている。また、水エネルギー委員会事
層が厚く透過性が低いため嫌気性となっている。水供給下
務局は、環境に関する課題を開発政策に統合することで、
水局( DWSS )によると、Terai 郡全域の堀抜き井戸におい
持続可能性を担保する義務を持つ。水や環境管理を促進
てヒ素が検出されている。検出されたヒ素濃度は、100 万
する省庁や国レベルの機関は複数あり、こうした省庁の連
本以上の堀抜き井戸において10 ppb 以下、5 万 8 , 179 本
携を図る必要がある。
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
水資源法2049(1994年)
環境保護法2053(1996年)
土壌及び流域保護法2039(1982年)
水生動物保護法2017(1961年)
飲用水国内水質基準(ネパール官報 2005)
灌漑用水国内水質基準(ネパール官報 2008)
養殖用水国内水質基準(ネパール官報 2008)
家畜用給水国内水質基準(ネパール官報 2008)
レクリエーション用国内水質基準(ネパール官報 2008)
工業用水国内水質基準(ネパール官報 2008)
インドネシア
環境保護規則2054(1997年)
中国
水資源規則2050(1995年)
日本
水界生態系の保護のための国内水質基準(ネパール官報 2008)
工業企業法2048(1993年)
地方自治法2055(1999年)
韓国
図2.9.3. ネパール国内の水環境保護に関する法体系の概要
(出典:WEPA 事務局作成)
分野
法制度
水
- 水資源法( 1994 年)
- 水資源規則( 1995 年)
- 国家水供給部門政策( 1998 年)
- 国家水資源戦略( 2002 年)
- 国家水計画( 2005 年)
- 水災害管理政策( 2006 年)
- 統合水資源政策( 2014 年)
(案)
他の天然資源
- 固形廃棄物管理政策( 1996 年)
- 固形廃棄物管理法( 2011 年)
工業・サービス
- 工業政策( 1992 年)
- 観光政策( 1995 年)
- 水力発電開発政策( 2001 年)
- 灌漑規則( 2000 年)
- 灌漑政策( 2003 年及び 2013 年)
その他(管理規則)
地方自治法( 1999 年)及び規則( 1999 年)
(出典:ネパール WEPAフォーカルポイント提供の情報を基に WEPA 事務局作成)
水質環境基準は、環境保護法第 24 条に基づき定められ
た。目的に応じて 2 種類の基準があり、一つはレクリエー
ションのための水に関するガイドライン、もう一つは水界
生態系保護のための水質ガイドラインである。
排水基準
また、環境保護法に基づき、以下のように汚染源別の排
出基準が決められている。
内陸の表流水に放流される産業排水の許容量(一般)
内陸の表流水に放流される産業排水の許容量(特定産
業 9 部門:製革、羊毛加工、発酵、植物油、紙・パルプ、酪
農製品、精糖、綿織物、石けん)
公共下水道に放流される産業排水の許容量
複合排水処理施設( CWTP )から内陸表流水に放流され
タイ
農業
水質環境基準
スリランカ
廃棄物
画とを統合するようになった。
フィリピン
- 国家生物多様性保護戦略( 2002 年)
- 森林部門政策( 2000 年)
- 国家湿地政策( 2003 年)
強くなり、地域の天然資源の管理や環境資源管理と環境計
ネパール
水資源及び公衆衛生 - 農村地域の水供給及び公衆衛生に関する
国家政策( 2004 年)
- 飲料水の国家水質基準( NDWQS 2005 年)及び
NDWQS 実施指令( 2005 年)
- 都市水供給及び公衆衛生政策( 2009 年)
- 公衆衛生及び保健衛生基本計画( 2011 年)
会( VDCs )、郡開発委員会( DDCs )及び自治体の自治権が
ミャンマー
- 国家環境法( 1996 年)及び規則( 1997 年)
- 国家保護戦略
- 気候変動政策( 2011 年)
1999 年成立の地方自治法(LSGA)により、村落開発委員
マレーシア
環境(全般)
ラオス人民民主共和国
表2.9.3. 水環境保護に関する国の政策・法制度・戦略
る排水の許容量
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
81
水質モニタリング
最近 3 年間に策定されている。また、2008 年以来、EPA
ネパールでは、複数の省庁が各自の目的(例えば、飲料
( 1996 年)及び環境保護規則( 1997 年)が定めるとおり、政
水の国家水質基準( NDWQS )実施指令(2005 年)下で行わ
府は環境査察官を配置しているが、その数は十分ではな
れる水質モニタリング及び調査)に沿って水質モニタリン
い。水環境管理の枠組みは既にあるが、実施において課題
グを行っているが、公共用水域における計画的な水質モニ
がある。
タリングは実施されていない。Bagmati 川の定期水質モニ
タリングは、Bagmati 統合開発高等委員会( High Powered
Committee for the Integrated Development of the
07. 現在及び今後の課題
Baghmati Civilisation )によって行われている。同委員会は
ネパールに水環境管理の枠組みは既にあるため、次は
2014 年 2月に一般公開用データの発表を開始している。水
法令を施行する段階にある。しかし、条例がなく、また関連
関連のデータベース開発は、国家水計画の行動計画に示
する法律や政策が統合されていないため、包括的な水環
されている。環境省水分気象局は河川及び湖沼の水質モ
境管理の実施に支障が出ている。また、定期的な水質モニ
ニタリングを行っている。
タリングが行われていないため、政策の策定・実施・見直し
に必要な科学的基盤の構築が難しくなっている。都市に限
06. 水環境管理に係る最近の動き
らず大規模河川流域全体で組織の統合及び水質モニタリ
ングを推進する組織・人的能力の構築が早急に必要であ
最近 20 年の間、ネパール政府は水分野及び環境分野に
る。加えて、ネパールの水環境を改善するために、主体的
おける法制度を強化してきた。水環境管理においてこの 2
な関与を促すための法的手法の利用が重要である。同様
分野は密接に関連しているが、より強固な連携が必要であ
に、環境データベースの構築や定期的なモニタリングも、
る。国家水計画( Box 2 . 9 . 1 . )が定めるとおり、排出基準が
法の施行と遵守の保証に欠かせない。
Box 2.9.1. 国家水計画(2005年)の実施
2005年に制定された国家水計画(N W P)には、水力開発、灌漑、飲料水の供給や衛生等、セクター別にさまざまな政策が示され
ている。ネパールの開発にとって持続可能な開発が重要であるとの認識の下、国家水計画に持続可能な方針*1を組み込み、水質
管理に関する以下の4つの活動を提示している。
(a)灌漑用水、飲料用水及びレクリエーション用水の水質基準・ガイドラインの策定
(b)生態系維持のための水質基準・ガイドラインの策定
(c)都市下水及び工業排水に関する基準・ガイドラインの策定
(d)重要な水界生態系への流入・流出に関する最低ラインの確立
また、国家水計画には環境管理計画(P a r t D)に関する特別な規定がある。環境管理計画とは、
「環境保護措置の実施、モニタリ
ングと監査プログラム、制度と手順に関する計画を記した戦略的文書」のことである。国家水計画に基づく活動は、様々な環境問
題に影響を及ぼすと考えられる。環境問題の要約表には、下流の水質汚濁及び地下水の水質、沈殿、水質汚濁及び衛生、水界生態
系への影響等、水環境保護に関する項目が含まれる。
環境管理計画の最終目的は、水の開発及び保護活動による持続可能性への肯定的な影響を最大限にするとともに、悪影響を
最小限に留めることにある。自治体、地域のコミュニティ、民間セクターが地下水の持続可能な利用に果たす役割は大きくなると
見込まれている。
*1 国家水計画における環境持続可能性の定義と方針には、以下の要素が含まれる:
a. 現在及び将来世代のニーズに適合するような技術的・経済的・組織的な変化を目指し、天然資源と生態系の保護・保全・管理を行う。
b. 天然資源の消費率が再生率を超えないようにする。
c. 水循環のあらゆる側面及び持続可能な水資源の利用すべてを考慮する。
(出典:ネパール政府 2005 )
82
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
中国
インドネシア
日本
韓国
ラオス人民民主共和国
マレーシア
ミャンマー
ネパール
フィリピン
スリランカ
タイ
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
83
2.10 フィリピン
01. 国別情報
寄与及び生態系の安定維持において特に重要な河川流域
であると位置付けられている。農業用水、工業用水、生活
表2.10.1. 基本指標
29万9,404(2006)
国土面積(km2)
総人口(人)
9,839 万(2013)
名目GDP(米ドル)
2,721億(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
2,765(2013)
平均降水量(mm/年)
2,348(2014)
水資源量(km3)
479(2014)
年間水使用量(10億m3)
81.6(2009)
セクター別
年間水使用率
農業用水
81.6%(2009)
工業用水
10.1%(2009)
7.6%(2009)
都市用水(生活用水を含む)
(付録参照)
川の氾濫、洪水、地滑り、土壌侵食、干ばつといった水害が
極めて顕著に見られるようになった。このため、主要河川
流域の修復及び持続的な管理は重要課題となっている。
03. 水資源の現状
フィリピンは豊富な水資源に恵まれている。一人当り年
間使用可能水量は 5 , 302 m 3 であるが、地理的季節的なば
7 , 460 kmで、79 州のうち約 64 州が沿岸地域にある( Cuna
Cagayan
Agno
Pampanga
マニラ湾
マニラ
Pasig Laguna
Mindoro 島
Panay
Panay 島
セブ島
ネグロス島
占めており、飲用水の約 50 %、上水道システムの 86 %の水
源となっている。
人口増加と経済発展で水質が悪化し、水の需要も増えて
いる。政府のモニタリングデータによると、特に乾季にお
Mainit 湖
いて、マニラ首都圏のほか、中部ルソン、南タガログ、中央
Agusan
ビサヤ等の地方で安全な水へのアクセスが難しくなる。
Tagum
Libuganon
Agus
Lanao 湖
地下水が生活用水及び飲料水に重要な水源となっている
ところもある。地下水は水資源ポテンシャル全体の 14 %を
ミンダナオ島
Wood 湖
万 km 2 に及ぶ広大な地下水源も有する。地域によっては、
Bicol
レイテ島
Bohol 島
Ilog Hilabangan
Tagoloan
Cagayan
ても重要な資源である。一方、フィリピンは総面積およそ 5
San Pabloの7湖
Samar 島
Jalauo
2011 )。
表流水はフィリピンの主要水源で、漁業及び輸送にとっ
ルソン島
Abra
Palawan 島
に、これらの流域は気候変動の影響を非常に受け易く、河
79 の自然湖がある( Cuna 2011 )。海岸線の長さは 1 万
Abulug
Naujan 湖
流域の保護、保全、持続可能な使用を重視している。同時
らつきがある。主要流域は計 18、その他に 421 の流域及び
02. フィリピンの主な流域
Taal 湖
用水の主な水源であるため、フィリピン政府は、主要河川
ダバオ
04. 水質状況
Buayan Malungan
水域の類型化及び再類型化は、排水基準の解釈の際に
図2.10.1. フィリピンの流域
参照されることから、フィリピンの水質管理において極め
て重要である。水域は、主に、少なくとも向こう10 年間の
フィリピンには、40 km 以上の流域面積を有する基本河
継続した利水目的に基づき類型化される。環境天然資源省
川流域が約 421 ある。内、流域面積が 1 , 400 km を超える
( DENR )令 1990 年第 24 号シリーズ( DENR Administrative
18 流域は、主要河川流域に区分され、社会経済開発への
Order: DAO 24 )に従い、環境天然資源省の環境管理局
2
2
84
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
観点から、632の水域を類型化している。国家水資源委員会
を実施している。この目的は、居住用、農業用、養殖用、商
(NWRB)が特定した421の基本河川については、67.22パー
セントにあたる283 が類型化されている。
中国
業用、工業用、航行用、レクリエーション用、野生生物保護
カンボジア
( EMB )が、表流淡水、沿岸水、海水の類型化及び再類型化
用、景観用といったセクター毎に最適な利水を遂行しなが
ら水質を維持することである。Cuna( 2012 年)によると、環
に示す 9クラスに評価している。
インドネシア
境管理局は、水の用途及び維持が必要な水質という2 つの
DAO 1990 年シリーズ第 34 号は、水域を下記表 2 . 10 . 2
表2.10.2. 水域の類型
水域
クラス AA
公共水供給 2 級
• フィリピン飲料水国家基準を満たすために完全な処理(凝集、沈殿、ろ過、消毒)を必要とする水源
クラス B
レクリエーション用水 1 級
• 海水浴、遊泳、スキンダイビング等(特に観光目的と指定されている活動)の、
主に水と接触するレクリエーション用。
クラス C
• 魚類及びその他の海洋資源の繁殖と生育を目的とした漁業水域
• リクリエーション用水 2 級(ボート等)
• 工業用水 1 級(処理後の製造過程における利用を目的とする)
ラオス人民民主共和国
クラス SA
韓国
クラス A
クラス D
沿岸水域及び海水域
(海岸、沖、河口)
→ DAO 97 - 23 により修正
用途
公共水供給 1 級
• 主に流域を持つ水源。無人水域或いは保護水域であり、認可を受けた消毒方法のみでフィリピン飲
料水国家基準( PNSDW )を満たす水域。
日本
淡水域
(河川、湖、貯水池、等)
類型
• 農業、灌漑、畜産、等用
• 工業用水 2 級(例:冷却、等)
• 水質により、その他の陸水(淡水)が本クラスに分類される
• 大統領告示 1801 号及びその他既存の法令の下設立された国立海洋公園や保護区域、
さらに(或いは)所管行政機関により本クラス相当と指定された国立海洋公園や保護区域
クラス SB
• 水産用水 1 級(サバヒー(学名 Chanos chanos )及び類似種の産卵区域)
• 観光地 — エコツーリズム及びリクリエーション目的
• レクリエーション用水 1 級(市民が海水浴、遊泳、スキンダイビング等に使用する水域)
• 水産用水 2 級(商業用・生活権漁業用)
• レクリエーション用水 2 級 —(ボート等)
ミャンマー
クラス SC
マレーシア
• 食用の貝及び甲殻類の繁殖、生存、捕獲に適した水域
• 法律及び関連省庁指定の珊瑚礁公園及び保護地域
魚類及び野生動物保護区に指定された湿地及び(或いは)マングローブ圏
クラス SD
• 工業用水 2 級(処理後の製造過程や冷却、等を利用目的とする)
• 水質により、その他の沿岸水及び海水が本クラスに分類される
BOD )負荷に基づく表流水及び沿岸水の主要な汚染源は
を図 2 . 10 . 2 に示す。主な非固定発生源の中で最大のもの
は農業排水で、BOD 負荷においては 74 %を占める。
(出典:DENR-EMB 2007 )
Paranaque 川
2003
2010
変化(%)
18.2
31
70%増
42
38
10%改善
Balili 川
14.8
37
150%増
Meycauayan 川
38.2
59
54%増
Marilao 川
32.3
24
26%改善
Bocaue 川
12.2
11
10%改善
8
12
50%増
24.4
119
388%増
Anayan 川
8.9
4
55%改善
Iloilo 川
2.4
12
400%増
Luyang 川
2.4
4
67%増
Sapangdaku 川
7.6
6
21%改善
Imus 川
Ylang-ylang 川
ベトナム
農業・畜産業用
29%
図2.10.2. 主要な潜在的汚染源別BOD負荷構成比
Marikina 川
年平均BOD(mg/L)
タイ
工業用
27%
家庭用
33%
河川名
スリランカ
非固定発生源
11%
表2.10.3. 主要河川におけるBOD値の推移(2003~2010年)
フィリピン
固定発生源である。主たる固定発生源の種類とその内訳
ネパール
生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand:
(出典:フィリピン WEPAフォーカルポイントによる提供データ、2011 年)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
85
河川
( 11 % )、工業( 11 % )、林業( 1 % )
である。その水質類型で
環境管理局は、2001 年から河川及び湖沼を対象とした
は、ラグナ湖の中心部の水質は漁業に、西の入り江は灌漑
内陸表流水のモニタリングを実施しており、Sagip Ilog(川
に適した水質である。しかし、西の入り江の周辺は流送土
を守れ)
プログラムでは 19 の河川に重点を置いている。こ
砂量及び大腸菌群数が多く、汚染が進んでいる。
れらの重点河川では、2010 年までに BOD 値及び溶存酸素
( Dissolved Oxygen:DO )値が 2003 年に比べ 30 % 改善す
沿岸水域
ることを目標としていた。表 2 . 10 . 3 は、主な重点河川の
大小の湾を含めた沿岸域及び海水域は、26万6,000km 2
BOD 値が 2003 年と2010 年でどれだけ変化したかを示して
の範囲に広がる。フィリピンの海岸線はおよそ3万6,289km
いる。
であり、世界で最も長い海岸線の一つと考えられている。
モニタリング結果によると、BOD 値は、Paranaque 川、
同国の自治体の半数を超える約 54 %は沿岸地域にあり、人
Marilao 川、Bocaue 川、Anayan 川、Sapangdaku 川で改善
口のおよそ 62 %が居住し、生計を立てるために沿岸資源
の兆しが見られる。しかし、BOD 値の 30 % 改善という目標
及び海洋資源に直接依存している
( Naz 2013 年)。
が達成されたのは Anayan 川のみである。重点河川の多く
海洋及び沿岸部の水質は、リージョン 7 の Cansaga 湾を
では BOD 値の上昇傾向が見られ、例えば Iloilo 川の 2010
除けば比較的良好で、DO 値はすべてのモニタリング地点
年の BODは、2003 年に比へ 400 % 増加した。また、モニタ
で 5 mg/Lを下回っている。DOの遵守率は、26 モニタリン
リングデータによると、モニタリング対象河川の約 80 %が、
グ地点のうち、優良が54%、良好が46%、不良が0%である
環境天然資源省が定めたクラス C 水の DO 基準( 5 mg/L ) ( DENR-EMB 2007 )。糞便性大腸菌は、主要海水浴場 41カ
を超えている。
(%)
100
90
80
所のうち34カ所が、クラス SBの基準値 200 MPN/ 100 mLを
満たしている
( DENR-EMB 2007 )。
n=84
n=88
n=92
n=69
n=77
17
15
17
23
18
70
60
50
40
83
85
77
83
82
地下水
不遵守
遵守
Program )では、国内 88 カ所の浅井戸をモニタリングして
おり、フィリピン飲料水国家基準( NSDW )に従って地下水
の水質評価を実施している。その結果、地下水の飲用水水
30
20
質基準に適合するのはわずか 21 カ所で、27 カ所は糞便性
10
0
環境管理局の水道モニタリングプログラム( Tap Watch
2006
2007
2008
2009
2010
図2.10.3. クラスCの河川における水質のDO値遵守率
(2006年〜2010年)
(出典:EMB モニタリングデータから算出)
大腸菌の飲用水基準を満たしていない。その他の 40 カ所
では飲用に適しているかどうかの検査がさらに必要であっ
た。セブ都市圏及び中部ミンダナオでは硝酸値のモニタリ
ングが行われたが、汚染されている場所はあまり多くな
かった。マニラ首都圏及びセブ都市圏の塩分濃度調査で
湖及び貯水池
フィリピンには 79 の自然湖があり、その多くは水産用に
は、マニラ首都圏の数カ所で塩分上昇が見られた。過度の
取水が原因と考えられる。
使用されている。3,813.2km 2 の面積を持つラグナ湖はフィ
リピン最大の湖であり、マニラ首都圏にて生計を営む数千
人の漁民の暮らしを支える重要な水域でもある。同湖は、
マニラ首都圏の主要な飲料水源であるAngatダムに代わ
る水源としても検討されている。従って、同湖の水質の回
復・改善はフィリピン政府にとって重要な課題である。
ラグナ湖 の 汚染源別寄与率 は 生活排水( 7 7 % )、農業
86
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
05. 水環境管理の枠組み
法整備
図 2 . 10 . 4 にて水環境管理を目的としたフィリピンの水質
政策及び法規制の変遷を示す。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
中国
気候変動法
(2009年)
災害リスク軽減
及び管理法
(2010年)
インドネシア
日本
環境影響評価制度
(1978年)
;
大統領令(PD)
フィリピン水法 第1586号(1978年)
(1976年)
;
大統領令(PD)
第1067号(1976年)
環境法規
(1997年)
共和国令(RA)
第7160号(1991年)
;
通称、地方政府法(LGC)
水質浄化法
(2004年)
韓国
フィリピン衛生法規(1975年);
大統領令(PD)第856号(1975年)
フィリピンの水関連の法律体系は広範囲に及び、同国の
水資源管理に係る政策及び規制の法的根拠となる。代表
ラオス人民民主共和国
図2.10.4. フィリピンの水質政策及び法規制の変遷
2 . 10 . 4 参照)。
図 2 . 1 0 . 4 に 示し た 法規制以外 に も、国家環境政策
的な法律として、衛生法規( 1975 年制定)、水法( 1976 年)、 (PD 1151)や固形廃棄物管理法(RA 9003)等、水環境保護
に関連した法令がある。環境管理局は水の保護・保全を管
法規( 1997 年)、水質浄化法( 2004 年)が挙げられる(図
轄している。
マレーシア
環境影響評価制度( 1978 年)、地方政府法( 1991 年)、環境
ミャンマー
水資源の保全
水質の保全
ネパール
DAO第35号改正排水規制(1990年)
目的:本規則は産業排水及び生活排水に適用される
共和国法(RA)第3931号(1964年)
、大統領令(PD)第984号(1976年)による改正、
RA第9275号水質浄化法(2004年)による廃止
目的:水・大気・土壌汚染の防止・低減・管理
DAO第34号改正利水分類及び水質基準
目的:水域の類型及び水質基準の遵守
RA第4850号(1966年)
、PD第813号(1975年)、PD第927号(1983年)による改正
目的:環境の管理、過度の生態系のかく乱・悪化・汚染の防止に適切に配慮した上での
ラグナ湖地域の開発及びバランスの取れた成長の促進及び加速
PD第979号海洋汚染令(1976年)
目的:船舶からの汚染物質の廃棄を規制
水資源の所有・開発・利用の保護
PD第1067号水に関する法
水資源の所有・開発・利用・保護に関する統合的な法令
スリランカ
海洋資源の保護
フィリピン
ラグナ湖の保護・保全
図2.10.5. 水環境管理に関する法体系
(出典 : MoEJ 2009 )
10 )は、フィリピンにおける水質管理の枠組みを提供し、総
の執行は不十分で、資源の不足、データベースの不備、省
合的、全体的、分権的及び参加型のアプローチを採用して
庁及び地方自治体( LGU )間の連携不足等の問題を抱えて
いる。図 2 . 10 . 5 は、この法律に基づく水環境管理の概念的
いる。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
枠組みを示す。フィリピンには多くの水関連法があるが、そ
タイ
水質浄化法( RA 第 9275 号)及び実施規則( DAO 2005 -
87
制度的措置
天然資源省の監督・管理下で水供給システム及び公共灌漑
フィリピンでは、地方レベル、地域レベル、国家レべル、
国際レベルで多数の機関が同国の水のガバナンスを監督
施設を整備し、社会林業プロジェクト及び地域治水プロ
ジェクトを実施する必要がある
( SEPO、2011 年)。
している。その中で、環境天然資源省は水資源管理の主管
省であり、その他にもフィリピンの水資源の計画及び管理
フィリピンの水環境管理に携わる主な政府機関を下記
の表 2 . 10 . 4 にまとめる。
責任を担う政府機関がある。さらに、地方自治体は、環境
表2.10.4. フィリピンの水環境管理に携わる主な政府機関
省
傘下部局
機能
国家経済開発庁
( National Economic and Development Authority:NEDA )
国家レベル、地域レベル、セクターレベルの開発政策策定や、公
衆衛生分野を含めた融資プログラムに係る調整を行う。
環境天然資源省
国家水資源評議会
( Department of Environment
( National Water Resources Board:NWRB )
and Natural Resources:DENR )
森林管理局
( Forest Management Bureau:FMB )
水法を運用・施行し、水資源管理プログラムの調整を主管的に
担う。
農業省
( Department of Agriculture:
DA )
森林地帯及び河川流域の保護、開発、管理に係る政策及びプロ
グラムを策定・実施する。
環境管理局
( Environmental Management Bureau:EMB )
水質管理の全側面の水質及び排水に係る基準、条件、ガイドラ
インを策定・施行する。
国家灌漑局
( National Irrigation Administration:NIA )
農業用灌漑、及び、治水、排水、水力発電開発といった目的に対
し、水資源プロジェクトを実施する。
土壌・水管理局
農業開発を目的とした、既存・将来の土壌及び水源の保護に係
(Bureau of Soil and Water Management:BSWM) る政策やプログラムを策定・実施する。
漁業水産資源局
( Bureau of Fisheries and Aquatic Resources:
BFAR )
漁業・水産資源の適切な保護及び管理計画を立てる。
保健省
環境衛生サービス
( Department of Health:DOH ) ( Environmental Health Service:EHS )
飲料水の質を管理し、公衆衛生活動全般及び全国の飲料水源監
理を統括し、公衆衛生保護に努める。
公共事業道路省
( Department of Public Works
and Highways:DPWH )
環境及び社会サービス課
( Environmental and Social Services Office:
ESSO )
国家下水及び腐敗槽汚泥管理プログラムを策定・管理する。公
共事業道路省は現在都市公衆衛生部門の主管省である。また、
インフラ設備(水資源開発システムを含む)及びその他の公共事
業の計画、構築、建設、維持を担当する。
内務自治省
( Department of Interior and
Local Government:DILG )
水供給及び衛生ユニット
( Water Supply and Sanitation Unit )
地方自治体に対し、地方水供給計画や公衆衛生計画の策定、利
用可能なセクタープログラムに関する情報提供、水供給・公衆衛
生プロジェクトに必要な資金調達の促進に係る能力向上を行う。
国営電力会社
( National Power Corporation:
NPC )
水力発電ダム等の発電施設を建設・管理し、河川流域管理に係るその他の事業を行う。
首都圏上下水道システム
( Metropolitan Waterworks and
Sewerage System:MWSS )
マニラ首都圏の上下水道事業に係る委託会社数及びサービス水準を管理し、
既存の遺産やインフラ設備を維持管理する。
地方水道公社
( Local Water Utilities
Administration:LWUA )
マニラ首都圏以外の水道会社の設立及び運営を推進し、融資や管理を実施する。
(出典:参考文献参照)
水環境政策
88
道モニタリングプログラム( Tap Watch Program )
(貧困コ
水質を保全し、水質汚濁を緩和するために、様々なプロ
ミュニティの飲用水をモニタリングするプログラム)、工業
グラムが実施されている。具体的には、SAGIP ILOG プログ
部門環境モニタリングプログラム(環境パフォーマンス評
ラム(地方自治体、非政府組織( NGO )、その他関係者と連
価プログラム)、海岸モニタリングプログラム(観光ビーチ
携した Ilog 川の保全及び回復プログラム)、LINIS ESTERO
のモニタリング)、フィリピン環境パートナーシップ・プログ
プログラム(覚書に基づいた民間企業との連携による、マ
ラム(各産業における自主規制への取り組みの支援)等が
ニラ首都圏の入り江及び(排水路)の浄化プログラム)、水
ある
( Cuna、2011 )
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
水質管理地域(WQMA)の指定
未達成地域(NAA)
国家下水・汚水管理プログラム
水質管理のための統合的な枠組み
類型・再類型
中国
地下水脆弱性マッピング
水質ガイドライン
排水基準
水質管理行動計画(WQMAP)
産業の分類
インドネシア
排水課金制度
排出許可証
家 庭
工 業
その他非固形発生源
金融負債
計画的環境影響評価(EIA)
インセンティブ及び報奨
日本
禁止・制裁・訴訟
図2.10.6. 水質浄化法に基づく水環境管理の概念的枠組み
(出典:Cuna、2011 )
韓国
新しい水質管理枠組みの主な特徴は次の通りである。
念を適用する理由は、
( 1 )物理的条件が似た、扱いやすい
水管理地域の指定
ラオス人民民主共和国
大きさの計画・管理地域であること、
( 2)管理及び実施にお
いて各地域の個別的問題への対処に重点を置けること、
しい特徴の一つに、水質管理地域(WQMA)がある。この法
2014 年 6月時点で、環境天然資源省及び NWRBは、多数
律の目的は、水文、水文・生態系、気象、地理等の条件が類
の水質管理地域をラグナ湖開発公社( LLDA )の管轄区域
似する地域毎に、効率的及び効果的な水質管理を強化し、
に 指定し た。指定管轄区域 に は、パ ン ガ シ ナ ン 州 の
推進することにある( Tuddao 2011 )
。各水質管理地域のス
Sinocalan-Dagupan 川、ビサヤ諸島の Tigum-Aganan 流
テークホルダーから構成される運営委員会では、環境天然
域、Marilao-Meycauayan-Obando 川水系、Iloilo-Batiano
資源省の地域事務所が議長を務め、水質浄化法の効果的
川水系、ミンダナオ島の Sarangani 湾、Silway 川が含まれる
な実施に必要な政策、規制 / 地方条例及びその他の措置を
ミャンマー
(3 )水質モニタリングの容易さ等である
(Tuddao 2011 )
。
マレーシア
水質浄化法( 2004 年)により導入された水環境管理の新
( EMB 2014 年)。
調整する戦略を策定する。水質管理地域で流域管理の概
Pinacanauan de Tuguegarao
Sinocalan Dagupan 水系
(DAO 2011-14)
San Juan 川
(DAO 2012-04)
Marilao-Meycauayan-Obando 水系
LLDA管轄区域
Ylang-ylang - Rio Grande 水系
(DAO 2013-02)
Buhi 湖
(DAO 2013-04)
Calapan 川
(DAO 2013-03)
Ormoc 湾
(DAO 2013-21)
Tigum-Aganan 流域
Butuanon 川
(DAO 2014-25)
ネパール
Balili 川
(DAO 2013-05)
(DAO 2013-06)
フィリピン
(DAO 2008-2007)
(RA 9275)
Ilo-ilo - Batiano 水系
(DAO 2009-11)
スリランカ
(DAO 2008-18)
Cagayan de Oro 川
(DAO 2012-11)
Tumaga 川
(DAO 2013-01)
Davao 川
(DAO 2013-04)
Sarangani 湾
(DAO 2010-12)
Designated WQMA
ベトナム
Silway 川
(DAO 2010-12)
(DAO 2013-18)
タイ
Taguibo 川
図2.10.7. 水質管理地域(WQMA)指定水質管理地域
(出典 : EMB, 2014 )
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
89
未達成地域の指定
特定の汚染物質が水質ガイドラインを超えた場合、環境
天然資源省環境管理局水質モニタリングマニュアル( 2009
年)に基づき、毎月または四半期毎に行われている。
天然資源省はこうした地域を「未達成地域」に指定し、指定
された地域では基準に適合するよう汚染抑制措置が強化
排水基準
される。例えば、施設から放流される汚染負荷量がガイドラ
規制排水を排出する施設の所有者または運営者は、水
インを満たすように計画されないと、新しい汚染源(工場な
質浄化法の第 14 条により排出許可を得る必要がある。排
ど)の設置・操業が未達成地域では許可されない。
水許可は環境天然資源省が認める法的許可で、とりわけ、
当該施設が特定の水域への排出を許された排水の量と
水質汚濁許可証及び排水課金制度
すべての水管理地域を対象に、排水に対する代金を政
また、環境天然資源省は、事業者が規則もしくは許可条件
府に支払うことを条件とする排水課金方式が、2005 年に確
(またはその両方)に違反した場合、許可を一時停止し、か
立した( DAO 2005 - 10 )。これにより、汚染物質を排出する
つ取り消すことができる。排水基準( DAO 35 , 1990 )は以
者が、製造工程の変更や汚染防止技術への投資等を通じ
下のように定める。
て汚染負荷量を減らそうとするインセンティブが働くものと
期待されている。また、環境天然資源省は、排水の質・量に
関する許容値、遵守スケジュール、モニタリング要件等を
記載した排水許可証を発行する。
インセンティブと報奨
革新的で卓越した事業、技術、工程及び技能、活動等に
対し、国家水質管理基金から個人、民間組織及びその他の
団体に対し報奨金が支払われる。また、産業排水の処理・
収集施設に対する納税免除等、産業部門にもインセンティ
a. 保護水域のカテゴリー I、II 及び内陸水域クラス Cにおけ
る、従来の汚染物質等に関する基準。色度、温度、pH、
化学的酸素要求量( COD )及び沈殿性物質、BOD、全浮
遊物質( TSS )、全溶解物質( TDS )、メチレンブルー活性
物質( MBAS )、油分、フェノール類について基準が設け
られている。こうした基準は、保護水域(淡水域、海洋域
の両方)及び内陸水域に適用される。
b. 毒物・劇物に関する排水基準(公衆衛生保護のための最
大許容量)排水基準は、ヒ素、カドミウム、クロム、シアン
ブが与えられる。
化物、鉛、水銀(総量)、ポリ塩化ビフェニル( PCB )、ホル
水質環境基準
は、水質類型によって変わる。新しく計画された産業に
環境天然資源省令 1990 年第 34 号シリーズ( DAO 34 )に
基づく類型(表 2 . 10 . 2 )により、淡水、沿岸・海洋水それぞ
れに対し、以下の水質基準が定められている。
( 1 )景観及び酸素要求量に関わる従来の汚染物質等に
対する水質基準
(2)
(公衆衛生保護に関わる)毒物及び劇物
公共用水域におけるモニタリング
環境管理局及び地方局は、DAO 34 が定める水質項目に
関し、全国で 定期的 な 水質モニタリングを行っている。
90
質、遵守スケジュール及びモニタリング要件が規定される。
ムアルデヒドについて規定されている。各物質の基準値
適用される基準値は厳しくなる。
c. 内陸水域クラスD、海洋水域クラスSC 及び SD、類型対象
ではないその他の海洋水域における従来の汚染物質等
に関する排水基準。a.と同じ水質項目が使われるが、沈
殿性物質を除く。
d. 汚染度の高い産業廃棄物を排出する旧態依然とした産
業または既存の産業に適用されるBODに関する暫定的
な排水基準( 1990 – 1994 )。
e. 規則が発効した際に有効となる、汚染度の高い廃棄物
2001 年から2005 年にかけて、水質分類または定期的水質
を排出する新しい産業に適用される排水基準及び 1995
モニタリングのため 238 カ所の水域でモニタリングが行わ
年 1月1日に発効済みの汚染度の高い廃棄物を排出する
れた。これらの水域のモニタリングは、水源に応じて、環境
すべての産業に適用される排水基準。基準は未処理排
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
染度の高い排水を放流し、排水処理施設が設置されて
のパートナーシップ強化:
いない旧態依然とした産業または既存の産業に適用さ
- 企業の社会的責任の原則
れる。
排水基準を改正する基準案が作成されているが、基準案の
修正はまだ続いている。水質浄化法( 2004 年)は、土地へ
の排水について基準を設けていないが、排水が土地及び
灌漑及びその他の農業目的で放流される排水は、農業省
( DA )のガイドラインに適合しなければならない。
付けられている者によって実施されなければならない。排
水モニタリングに関するマニュアルは 2009 年、環境管理局
が発行した。事業所による遵守を確認するために、環境天
然資源省の 16 地方事務所の職員が一連の検査と追跡検査
06. 水環境管理に係る最近の動き
ラ首都圏における水質悪化の緩和に重点的に取り組ん
主に、家庭汚染源及び工業汚染源に起因する:
- 政府は、民間の水道会社でマニラ首都圏の水道事業
政府のモニタリング制度の強化。能力向上及び民間・公
共投資を通じ行われている。水環境管理における厳格な
自主モニタリングシステムがその一例である。
07. 現在及び今後の課題
水環境管理分野は、以下の課題に直面している:
水質浄化法( 2004 年)の要件を効果的かつ効率的に実
施するための資金確保。
必要な資源確保とインフラの整備、能力向上を通じた水
質モニタリングの強化。
水環境モニタリングに対する、制度化された技術・運営
アプローチの開発。
効率的かつ効果的な情報の流れを目指した連携、及び、
基本水環境データ収集システムの改善。
制度的メカニズムの強化及びセクター横断的な参加主
体による水質管理の促進。
Maynilad Water Service, Inc. と協働して、マニラ首都
生態系アプローチを通じた水質悪化への取組み。
圏における上下水道サービスの 100 % 普及達成を目
流域レベルにおける水質管理の促進。水質管理戦略及
急に進めている。
- 水質浄化法中の工業排水処理場に関する項目を企業
が遵守しているか否かを厳しくモニタリングし、違反
合することが、フィリピンの短期的課題となるであろう。
フィリピンにおける気候変動問題及びその水資源管理へ
の影響に対する取組み。
タイ
の場合には即時に制裁及び罰則を科すこと。
び行動計画と、流域開発・管理戦略及び基本計画とを統
スリランカ
指し、同地域の生活排水施設・浄水場の設置完了を早
フィリピン
権 の 受託者である M a n i l a W a t e r C o m p a n y 及 び
様々な産業セクターや関係者の水質浄化法遵守に係る
ネパール
でおり、生態系アプローチを採用している。水質悪化は
グループが支援を行うことを約束している。)
ミャンマー
現在、フィリピン政府は、都市化が進んだ地域、特にマニ
河川の浄化や一河川につき少なくとも1 つのビジネス
マレーシア
を行う。
実施中。ビジネスグループは、政府の一定期間内での
ラオス人民民主共和国
排水モニタリングは原則として、排水基準の遵守を義務
300 の企業及びビジネスグループ( BG )の参加を得て
韓国
排水モニタリング
- 河川・排水路・水塊プログラムの適応(現在、全国で約
日本
地下水資源の有用性に影響を与えないよう要求している。
(責任の共有と共通ビジョン)
インドネシア
産業別排水基準( ISES )を設定するために、現在の産業
中国
水環境管理における民間企業及びビジネスグループと
カンボジア
水の BOD 値に基づいて設定されている。この基準は、汚
- 汚染者負担原則( Polluter Pays Principle )の実施(排
水に対する市場ベースの対策、及び、料金徴収制度の
ベトナム
策定)。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
91
2.11 スリランカ
01. 国別情報
03. 水資源の現状
表2.11.1. 基本指標
6万5,610(2014)
国土面積(km2)
2,050万(2013)
総人口(人)
名目GDP(米ドル)
672億(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
3,280(2013)
平均降水量(mm/年)
1,712(2009)
水資源量(km3)
52.8*(2009)
13(2005)
年間水使用量(10億m3)
セクター別
年間水使用率
農業用水
87.3%(2005)
工業用水
6.4%(2005)
都市用水(生活用水を含む)
6.2%(2005)
(付録参照)* 推計値
スリランカは、湿潤、中間、乾燥の 3 つの気候帯に分けら
れる。各気候帯の年間降水量は、湿潤地帯が 2 , 000 mm、
中間地帯が1,500~2,000mm、そして乾燥地帯が1,500mm
である
(IGES 2007)。このように異なる気候帯がスリランカ
に固有の自然環境を生み出している。スリランカには 103
の自然河川流域があり、その総延長は約 4 , 500 kmに及ぶ
( UNESCO 及び MoAIMD )
。最大河川はマハヴェリ河で、
延長 335 km、流域面積は 1 万 448 km 2 である( MENR 及び
UNEP 2009 )。さらに、古代に作られた灌漑用池や最近整
備された多目的貯水池等の多くの貯水池があり、その総面
積は 16 万 9 , 941 haである(表 2 . 11 . 2 )。スリランカの地下
水資源量 は、年間約 7 8 億 m 3 と推計 されている( I G E S
2007、MENR及びUNEP 2009、Nandalal 2010)。地下水は、
02. スリランカの主な流域
特に農村部では主要な水資源であり、推計によれば農村人
口の約72%が生活用水を地下水に依存している
(Nandalal
2010 )。
ベンガル湾
表2.11.2. スリランカの貯水面積(推計)
貯水池のタイプ
大規模灌漑用貯水池(古代)
Ma Oya 川
Kaudulla 貯水池
Rajangana
Madura Oya 川
貯水池
Mundal 潟湖
Chilaw 潟湖
Negombo 潟湖
Lunawa 潟湖
Bolgoda 湖
Kala Wera 貯水池
Minneriya 貯水池
Parakrama
Samudra 貯水池
70,850
41.7
160
17,001
10
>10,000
39,271
23.1
不明
4,049
2.4
7
8,097
4.8
マハヴェリ多目的貯水池システム
13,650
8.0
その他
17,023
10
169,941
100
小規模灌漑貯水池(古代)
マハヴェリ河
Madura Oya
貯水池
Victoria 貯水池
Maha Oya 川
Kelani
Rantambe
(Ganga) 川
貯水池
Randenigala
貯水池
Uda Walawe
Kalu
(Ganga) 川 貯水池
スリ・ジャヤワルダナプラ・
Gin(Ganga) 川
Walawe
コッテ
(Ganga) 川
Nilwala
(Ganga) 川
面積(ha) 比率(%)
73
中規模貯水池(古代)
Padawiya 貯水池
Kala Oya 川
数
氾濫源湖
山地の発電用貯水池(近年)
総面積
(出典:MENR 及び UNEP 2009 )
04. 水質状況
地下水及び表流水の水質について、硝酸塩や細菌によ
る汚染をはじめとする様々な懸念が指摘されている。こう
した汚染の主な原因として衛生状況の悪さ、未処理または
処理が不十分な排水、工業・農業による有毒化学物質、湖
図2.11.1. スリランカの主な流域
92
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
沼や池の富栄養化等を挙げられている( UNESCO 及び
MoAIMD 2006 )。スリランカにおける集合排水処理施設の
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
ンクが都市部において主流な方法となっている。
UNEP 2009 )。
河川
地下水
中国
じて BOD 値が高いことが報告されている( MENR 及び
レの利用等に見られる衛生システムの不備を主な原因とす
ボ市の主な水源の一つであるKelani 川の水質は、未処理
る病原性の汚染である( MENR 及び UNEP 2009;Nandalal
または処理が不十分な排水( Ratnayake 2010 )、さらには
2010 )。Jaffna(北部沿岸)や Kalptiya(西部沿岸)等の沿岸
固形廃棄物によって非常に悪化していると考えられている。
帯水層では、肥料の過剰使用や未処理排水を原因とする
砂利採取事業の拡大も河川の水質に影響しており、濁度の
硝酸塩も検出されている( Nandalal 2010 )。特に沿岸地帯
上昇、水流の低下、塩水侵入の加速化等を招いている。砂
では、塩分濃度の高さも問題であり、地下水の過剰利用に
利採取事業によるKelani 川への塩水侵入の加速化が飲料
よって状況がさらに悪化している。一部の地域では、自然
水の供給に影響しており( MENR 及び UNEP 2009 )、こうし
由来ではあるもののフッ素化物やヒ素が検出されている
( Nandalal 2010 )。
央環境庁( CEA )が主な河川において2010 年及び 2011 年
は、多くの井戸でフッ素、硝酸性窒素及び糞便性大腸菌に
に実施した内陸水質のモニタリング結果によると、これら
よる汚染が確認されている( Herath 2014 )。また、いくつ
の河川の水質は、全般的には中程度から良好であったが、
かの地域で主要な飲料水源となっている浅層地下水の汚
水質項目の中には、暫定水質環境基準を満たさないもの
染も社会的な問題となっており、産業排水による汚染が疑
もあった( MoEJ 及び IGES 2012 )。
われている。
湖沼及び貯水池
05. 水環境管理の枠組み
C O Dの 暫定環境基準を満足している ( M o E J 及 び I G E S
14 項)、すべての国民は「自然を保護し、その豊かさを保全
2012 )。2012 年の 4 月から7 月に行われた別の調査では、
する」義務がある(同第 28 条)
と規定されている。また、植
コロンボ郊外に位置するBoralesgamuwa 湖の CODの中
民地令及び憲法では、表流水資源、すなわち河川、小川や
間値は、14 . 7 ~ 112 mg/Lであり、BODは 3 ~ 6 . 75 mg/Lで
湖沼は国の管理下に置かれると規定されている。2008 年 6
あった。これらの結果から、ほとんどの地点で飲料用の水
月に承認された Haritha Lankaプログラムは、スリランカの
源として中央環境庁の定める暫定環境基準を満足していな
国家環境保全基本政策の基礎をなすもので、社会・経済開
いことが明らかになった。この要因としては、廃棄物の投
発ニーズと環境の十全性とのバランスを図りながら、健全
棄、腐敗槽や下水道からの排水、水路排水及び産業排水等
な環境管理を推進することを目的としている。このプログ
が考えられる
( Herath 2014 )。
ラムを基に、Haritha Lankaプログラムのための国家行動
スリランカ
保護、保全、改善することは国の責務であり(憲法第 27 条
フィリピン
と、水質は良好な状況であり、Kandy 湖を除くとBOD 及び
ネパール
スリランカの憲法では、地域社会の利益のために環境を
ミャンマー
2009 年及び 2011 年に中央環境庁が実施した調査による
マレーシア
ペラデニア大学が Vavuniyaで 2009 年に行った調査で
ラオス人民民主共和国
の 2 , 496 件へと増加している
( MENR 及び UNEP 2009 )。中
3 湖沼 (Bolgoda 湖、Kandy 湖 及び Gregory 湖 )を対象に
韓国
廃棄物の投棄ならびに未処理排水の放流である。コロン
日本
地下水の水質に関する一般的問題は、落とし込み式トイ
インドネシア
都市部における水質汚濁の主な原因は、家庭及び産業
た事業をめぐる裁判件数は 2002 年の 709 件から2005 年
カンボジア
人口普及率は 5 % 以下であり、オンサイトのセプティックタ
計画が同年に策定された。この行動計画には、2009 年か
ら2016年までの間に、持続可能な開発国内評議会(NCSD)
の 監督下で 実施 すべ き活動 が 盛り込まれている( B o x
が、沿岸地域の内外における急速な開発や人口定住等に
2 . 11 . 1 )
。Haritha Lankaプログラムで提起されている戦
より、この数十年に水質汚濁が進行している。漁業・水産資
略や活動は、すべての関連省庁及び利害関係のある機関
源省が実施する沿岸資源管理事業(CRMP)
では、Beruwala
による協調的な取り組みである。環境汚染防止分野では、
及び Unawatuna 地域で海水の有機汚染が進み、年間を通
中央環境庁が 5カ年行動計画を策定している。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
スリランカでは、沿岸水域の水質に関する調査が少ない
タイ
沿岸水域
93
Box 2.11.2. Haritha Lankaプログラムのための国家行動計画における水環境保全に関する目標
Haritha Lankaプログラムのための国家行動計画には、環境管理の様々な分野について10項目の使命(ミッション)が定められて
いる。その中のミッション7「誰もが常に得られる水)
とミッション9「環境調和型産業」
では、水環境管理に関する具体的な戦略が示
されている。沿岸・海洋水域については、
ミッション4(沿岸地帯及び周辺の海の賢明な利用)の中に具体的な行動が盛り込まれて
いる。
ミッション7
戦略4:
「適切なゾーニングと対策を講じることで飲料水源の汚染を防ぐ」
ことは、水質に関連する最も一般的な目標の一つであ
る。具体的な取り組みには、陸水のモニタリングの強化、汚染源の特定、一元的な排水処理場の推進、水保全区域の整備等がある。
戦略6:
「水質汚濁産業/活動に対して汚染者負担原則を厳格に適用する」
との規定は、国家環境法の改正によって導入される
排水料金徴収プログラム(W C P)に関連している。同プログラム導入及び実施に伴う制度調整に関連する取り組みのほか、
よりク
リーンな生産原則や、国家環境法に定められた活動に関する調査を推進することも戦略に含まれている。
戦略8:
「肥料成分の溶脱と富栄養化の低減」は、農業からの汚染負荷を軽減するための目標であり、土壌浸食の防止もこの戦略
に含まれている。
ミッション9
戦略1:
「産業におけるよりクリーンな生産の強化」は、資源の無駄を減らし、産業用水の使用を最小限に抑えることを目標として
いる。中小企業における環境面・社会面の責任の強化及びすぐれた環境パフォーマンスを達成した企業に対する評価・表彰制度
の整備等が具体的な取り組み例である。
戦略2:
「エコ工業団地の整備」、戦略3:
「主にISO14000認証に関連する企業の認証制度の導入」、戦略4:
「環境配慮型サプライ
チェーンの構築」、戦略6:
「環境に優しい投資を促すインセンティブの導入」は、水質保全に直接関係するものではないが、
これら
の戦略の下で進められる取り組みは、産業活動による環境負荷の軽減に寄与する可能性がある。
(出典:NCSD 及び大統領官房 2009)
法整備
れ、公共用水域の水質を守るための排水基準が規定され
1980 年に施行された法律第 47 号、すなわち国家環境法
ている。環境影響評価( EIA )についても規則が定められて
( 2000 年改正法第 53 号)は、環境保護に関するスリランカ
いる。以下の図は、水環境管理に関するその他の法律や命
の基本法である。この法律の下で国家環境規則が策定さ
環境保全(全般)
- スリランカ民主社会主義共和国憲法
- 国家環境法 1980年法律第47号、1988年改正第56号、
2000年改正第53号
- 排水放流基準官報第1534/18号及び官報第1533/16
号に定められた免許取得が義務づけられた活動
- 官報第772/22号に定められたEIAの対象となる事業
- 国家環境法(1980年法律第47号)第24条C項及び
D項に明記された環境保護区(EPA)
- 地方自治体法(市町村及びPradeshiya Sabah)
特定の地域の管理
- マハヴェリ開発庁法(1979年法律第23号)
- 北西州環境規則(1990年法律第12号)
図2.11.2. 水環境管理関連の法律及び規則
(出典:CEA 提供の情報を基に作成) 94
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
令をまとめたものである。
海洋・沿岸水質
海洋汚染防止法(2008年法律第35号) 沿岸保全法(1984年法律第57号、1988年改正第64号)
水資源開発/管理
- 灌漑令第453章
- 国家給水排水公団法(1974年法律第2号)
- 水資源公団法(1964年法律第29号)
水環境管理に関するその他の法律
- 都市開発庁法(1978年法律第41号、随時改正)
- 大コロンボ経済委員会法(1978年法律第4号、1992年改正第49号)
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
環境省は、スリランカの環境及び天然資源の保全に関す
環境保護ライセンス制度
環境保護ライセンス( EPL )は、国家環境法に基づく規則
得が義務付けられている。環境保護ライセンスは、国家環
政策の実施を所管する6 つの機関が置かれている。中央環
境規則( 2008 年第 1533 / 16 号、1534 / 18 号)に基づき中央
境庁は、国家環境法( 1988 年改正法第 56 号 2000 年改正
環境庁が発行する。政府通達(官報2008年第1533 / 16 号)
法第 53 号)に基づき、環境に悪影響を及ぼす活動の規制
により、環境保護ライセンス取得義務の対象となっている
機関として1981 年に設立された。産業排水の汚染防止に
活動は全部で 138 種あるが、活動のリストは 2012 年に改
ついては、中央環境庁が国家環境法に基づき規制を実施
正されている。改正に伴い、大部分の産業に対して中央環
している。水環境管理に関わる政府機関は他にもあり、海
境庁が環境保護ライセンスを発行できるよう権限を与えら
洋環境保護庁は沿岸・海洋環境の管理を、国家給水排水公
れている。これらの活動は、下表に示すとおり、汚染負荷レ
団( NWS & DB )は給排水の処理・管理を所管している。水
ベルに応じて3 つに分類されている。
ビス、住宅・娯楽施設等を所管する政府機関は、水環境管
理に直接関係しているわけではないが、水質に影響を及ぼ
す開発/産業活動に対する規制を行っている。自治体も、
水環境管理において重要な役割を果たしている。国家環
表2.11.3. 環境保護ライセンスの分類及び実施機関
分類
活動
カテゴリー A
高負荷活動( 80 種類)
カテゴリー B
中負荷活動( 33 種類)
カテゴリー C
低負荷活動( 25 種類)
実施機関
ラオス人民民主共和国
家住宅開発庁、スリランカ投資庁等の建設、各種技術サー
韓国
庁、マハヴェリ開発庁等がある。コンドミニアム管理庁、国
日本
環境省の下に、中央環境庁や海洋環境保護庁( MEPA )等、
インドネシア
により、廃棄物を環境に放出する国内のあらゆる組織に取
中国
る政策とガイドラインの策定を所管する国の機関である。
資源管理を主な業務とする機関には他に、灌漑局、水資源
カンボジア
制度的措置
中央環境庁地方事務所
地方自治体
* 投資庁法に基づき登録されている活動については、スリランカ投資庁が
環境保護ライセンスの承認機関となっている。
原則として、排水を伴う活動については、国家排水基準
レや浄化槽等の施設内衛生システムの規制・管理も管轄し
を満足しているものに対して環境保護ライセンスを与えて
ており、公衆衛生検査官が業務にあたっている。
いる( Ratnayake 2010 )。2012 年には中央環境庁により、
ミャンマー
業や活動に対する規制を所管するほか、落とし込み式トイ
マレーシア
境法に基づく命令により定められる影響の比較的小さな産
896 の新しい環境保護ライセンスが承認され、1342 の環境
水質環境基準
ライセンスが投資庁により承認され、332 が更新された
( CEA 2013 )。一般からの苦情を受けて、中央環境庁では、
準規格( SLS )614 )に加え、中央環境庁により起草され現在
水質汚濁防止システムの観点から工場の調査を行った。
は承認過程にある暫定水質環境基準に従って評価されて
2012 年には投資庁によって承認された産業活動に対して
いる。この暫定基準が対象としているのは、表流水の水質
30 件の苦情を受け、そのうち10 件を調査し、投資庁に承認
のみである。
されたのではない産業活動に対して50 件の苦情を受け、
フィリピン
備である。表流水の水質は、飲料水の基準(スリランカ標
ネパール
スリランカでは、水質環境基準や水域の類型基準が未整
保護ライセンスが更新された。また、44 の新たな環境保護
そのうち12 件を調査した( CEA 2013 )。
表流水及び地下水の水質に関する定期的なモニタリン
グは実施されていないが、国家給水排水公団は、採取した
排水基準
排水基準には、放流地点や排水タイプに応じて異なる種
類がある。
内陸表流水に排水を放流する場合の一般基準
実施している。灌漑局や Mahaweli 開発庁のような他の政
灌漑用地に放流される産業排水の許容限度
府機関 Pavithra( Ganga )川事業では、自身のプログラムで
中央処理施設を有する公共下水道に放流される排水の
水質をモニタリングしている。
許容限度
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
環境モニタリング事業を Kelani 川等の様々な河川流域で
タイ
水の水質モニタリングを実施している。中央環境庁は水質
スリランカ
公共用水域における水質モニタリング
95
沿岸・海洋水域に放流される産業・生活排水の許容限度
国家グリーン賞 2012
ゴム工場から内陸表流水に放流される排水の許容限度
国家グリーン賞プログラムは 2012 年に始まった。これ
繊維企業から内陸表流水に放流される排水の許容限度
は、企業、学校や地方政府やその他の機関が、環境推進に
製革企業からの排水の許容限度
おける環境配慮型の(よりグリーンな)
アプローチ及び性能
を 評価し奨励 することを 目的とした もの で ある( C E A
現行の排水基準(規則 2008 年第 1534 / 18 号)が現地の
2013 )。このプログラムでは国民の環境意識の啓発を意図
社会・経済及び環境状況を十分に反映しておらず、実施上
している。水域の質をモニタリングすることは、人による有
の問題を抱えていることから、2012 年に行われた一連の関
効利用にとって最も重要であるとされている。
係者会合の結果を受けて、既存の基準に比べてより多くの
排出形式が追加された新たな排出基準が起草された(CEA
2013 )。基準を遵守しない活動には、国家環境法に基づく
罰金や懲役が課せられることになる。
06. 水環境管理に係る最近の動き
Pavithra Ganga(きれいな川)
プログラムは、包括的アプ
ローチにより水質汚濁を低減させ、淡水域の生物多様性を
排水モニタリング
保全することを目的に、1998 年に環境省が着手したもので
原則として、排水を放流する企業自らがその水質をモニ
ある。このプログラムでは、西部州の主な飲料水源である
タリングすべきである。しかし、全ての企業がモニタリング
Kelani 川を対象にパイロット事業が実施されており、企業
施設を有しているわけではなく、中央環境庁は、排水基準
を対象とする、よりクリーンな生産等に関する啓発プログラ
違反が疑われる企業や活動からの排水に対して、適宜モニ
ム、児童を対象とする啓発プログラム、環境省と地元当局
タリングを行っている。さらに、市民から寄せられた苦情に
の協力による廃棄物の監査、川岸への植林等が行われて
基づき、排水の水質検査も実施している。
いる。
このパイロット事業では、水質モニタリングも強化され
表2.11.4. 中央環境庁により分析されているサンプル数
目的
環境保護ライセンス
サンプル数
132
環境保護ライセンスに規定され
ている活動に対して分析サービ
スを行っている。
2003 年以降はモニタリング結果が川沿いに設けられた水
質情報掲示板を利用して公表されている。この掲示板は、
河川の水質状況に対する地元住民の関心を集めることに
法律上の目的
19
役立っている。このプロジェクトは、中央政府機関、Kelani
苦情対応
46
川流域の 13 の地方自治体、さらには地元の利害関係者が
モニタリング
31
共同排水処理施設
36
参加して包括的な水環境管理に取り組む優れた事例となっ
企業(商業)
その他商業施設
表流水
合計
ている。
145
95
408
912
(出典:CEA 2013 )
96
備考
ている。12 地点で水質のモニタリングが実施されており、
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
Kelani 川及び Boralesgamuwa
wewaのような中央環境庁のモ
ニタリングプログラムの下行わ
れているモニタリングも含む
07. 今度の課題
スリランカはこの数十年で、水質管理の枠組みをかなり
整備してきたが、水質汚濁防止策の実施を保証する上で
様々な課題が残っている。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
水量及び水質を管理している水質汚濁防止については主
カンボジア
i )組織:様々な組織が自らの関心領域に基づき水資源の
境保護ライセンスシステムが見直し及び強化のために変更
されたが、その実施についても強化されるべきである。
ⅲ)科学的データ:基準データの不備は、水質管理の推
ランカにおいて包括的な水管理を保証するには、こうした
進における極めて重大な問題の一つである。データの可
関連する組織間の調整の強化が必要となる。
用性に加え、様々な機関に保管されているデータへのアク
セス可能性も問題である。体系的にデータを収集し、定期
境基準及び水域類型を整備する必要がある。現在、水質環
的に分析を行うシステムを整備するには、財政面及び制度
境基準案及び改正排水基準が承認待ちの状態にある。環
面の措置を改善する必要がある。
インドネシア
ii )法制度の強化:水質汚濁防止の強化に向けた水質環
中国
に中央環境庁によって管理されている。しかしながら、スリ
日本
Box 2.11.2. 地下水汚染に対処するための課題
2015年2月に行われた排水処理に関するW E P Aのワークショップでは、
スリランカからの参加者が、地下水汚染に対処するため
韓国
の主要な政策課題の一つとして、結果として管理責任をあいまいにしてしまう、
「オーナーシップのあいまいさ」を指摘した。下記の
ような課題の例が事例として挙げられた。
ラオス人民民主共和国
地下水が現状の法制度の中で明確に規定されていない。
開発に対する調査及び地下水の規制の責任が正式にどの機関にも与えられていない(50の法制度と42の機関)。
調整された地下水情報プログラムも適切な地下水計画システムも存在しない。
季節変動及び水質に関するある程度の情報が入手可能になった場合でも、その資源を管理し規制する組織が存在しない。
地下水の配分に対する法的根拠がない。
地下水に関して、公的な情報及び意識啓発のプログラムが存在しない。
マレーシア
ミャンマー
ネパール
フィリピン
スリランカ
タイ
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
97
2.12 タイ
01. 国別情報
03. 水資源の現状
表2.12.1. 基本指標
51万3,116(2011)
国土面積(km2)
6,701万(2013)
総人口(人)
3,872.5億(2013)
名目GDP(米ドル)
一人当り名目GDP(米ドル)
5,779(2013)
平均降水量(mm/年)
1,622(2014)
438.6*(2009)
水資源量(km3)
57.31(2007)
年間水使用量(10億m3)
セクター別
年間水使用率
農業用水
90.4%(2007)
工業用水
4.8%(2007)
都市用水(生活用水を含む)
4.8%(2007)
(付録参照)* 推計値
タイは、地理的特徴から25 の河川流域に分けられる(図
2 . 12 . 1 参照)。タイの河川流域全体での降水量は約 8 , 000
億 m 3 と推計され、その 75 %が蒸発、蒸発散及び浸透によ
り失われるが、残りの 25 %は河川や小川となって流れる。
使用可能水量は、年間一人当り約 3 , 300 m 3 である(国家水
資源委員会事務局 2000 )。
タイでは地下水が重要な水供給源であり、公共水道の
20 %、生活用水の 75 %に地下水が利用されている。タイの
地下水システムは主として、約 400 億 m 3 の雨水のほか、河
川からの浸出により補充される。これまでの水収支に関す
る研究では、雨水が帯水層に到達する割合は約12.5~18%
と推定されている。政府と民間セクターは、総容量約 755 万
m 3 /日に相当する20 万本余りの地下水井戸事業を進めて
き た(タイ W E P A フォー カ ル ポ イントからの 提供情報
02. タイの主な流域
2012 )。
Khong 川
Kok川
Nan 川
Wang川
Yom 川
Khong 川
Salween 川
Chi 川
Ping川
Pasak 川
Sakae Krang川
Tha Chin 川
Mun 川
チャオプラヤ川
Phetchaburi川
バンコク
Prachinburi 川
東海岸
西海岸
Bang Pakong 川
Tapi 川
Songkhla湖
Pattani 川
04. 水質状況
表流水
天然資源・環境省( MoNRE )の公害管理局( PCD )による
と、2012 年に 52 の水源について表流水質のモニタリング
が実施された( PCD - MoNRE、2014 )。この 52 の水源は、
48 の主要河川及び Kwan Phayao 湖、Bueng Boraphet 湖、
Nong Han湖、Songkhla湖の4つの貯留表流水源から成る。
水質 は 表流水質基準と公害管理局 の 水質インデックス
( Water Quality Index )
との比較に基づき評価される。366
の水質モニタリング地点の内、34 %の水質は良好、48 %が
普通、18 %が悪化と評価された。図 2 . 12 . 2 にて、1997 年
から2012 年までの全国の主要な水源における表流水質の
状況を詳細に示す。
主要河川における全般的な水質は悪化の傾向にある。
2012 年に非常に良好な状態にある水源はゼロであった
図2.12.1. タイの流域
( 2011 年は 2 % )。良好な水源は 34 %、普通の水源は 48 %
であり、2011 年(それぞれ 34 %と49 % )
とほぼ同等であっ
た。悪化状態にある水源の割合は15%から18%に増加した
98
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
ける16 年間の水質の変化からは、清廉な水源は減少傾向
いる主要な原因と考えられている。既存の排水処理施設が
にあり、中程度及び低質の水源が増加したと評価される。
これに対処できていない。現在、天然資源・環境省、内務
タイでは、家庭、農業、畜産業、工場を排出源とする未処
中国
ア性窒素( NH 3 -N )の観点から、表流水水質を悪化させて
カンボジア
( PCD - MoNRE、2014 )。さらに、1997 年から2012 年にお
省、農業・協同組合省、工業省、保健省が、水質管理課題を
理の排水は、特に糞便性大腸菌( Fecal Coliform Bacteria:
所管している。
インドネシア
FCB )
、総大腸菌( Total Coliform Bacteria:TCB )、アンモニ
(%)
100
14
14
11
14
23
80
70
38
36
2
15
12
16
22
28
29
25
35
36
43
15
18
28
37
21
45
37
45
52
51
50
49
48
著しく悪化
40
20
51
53
44
1998
1999
2000
2001
43
39
5
1997
悪化
60
32
10
0
48
56
2002
普通
43
26
1
1
2
2003
2004
2005
37
35
32
2008
2009
2010
1
2006
ラオス人民民主共和国
30
韓国
60
32
11
日本
90
2
17
2007
34
34
良好
非常に良好
2
2011
2012
マレーシア
図2.12.2. 全国の陸水における水質の推移(1997年~2012年)
備考:
「非常に良好」から「著しく悪化」まで評価と水質基準及び水質インデックス( WQI )
との関係は次の通りである。
「非常に良好」:表流水の水質基準クラス 1、WQI 90 ~ 100
「良好」:表流水の水質基準クラス 2、WQI 71 ~ 90
「普通」:表流水の水質基準クラス 3、WQI 61 ~ 70
ミャンマー
「悪化」:表流水の水質基準クラス 4、WQI 31 ~ 60
「著しく悪化」:表流水の水質基準クラス 5、WQI 0 ~ 30
(出典:PCD-MoNRE 2014 )
水が採取され、1992 年の国家環境保全推進法に基づく表
沿岸水域
ネパール
年に 4 回、水質モニタリング及び評価を目的として試料
2014 年版タイ公害白書によると、2012 年 2月〜 3月及び
D O )、生物化学的酸素要求量( B i o c h e m i c a l O x y g e n
170 箇所であった。海洋水質の全体評価には、公害管理局
Demand:BOD )、TCB、FCB、硝酸性窒素( NO 3 -N )、アンモ
が開発した海洋水質インデックス( Marine Water Quality
ニア性窒素( NH 3 -N )、銅( Cu )、ニッケル( Ni )、マンガン
Index:MWQI )が使用された。MWQIでは、0 から100 の間
(Mn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、
の値が与えられる。評価は 8 つの海洋水質項目の情報に基
水銀(Hg)、ヒ素(As)等の重金属群、ジクロロジフェニルト
づいて行われる。この 8 つの項目は、DO、TCB、リン酸態リ
リクロロエタン(DDT)、アルファヘキサクロロシクロヘキサ
ン(PO 43 -P)
、硝酸性窒素(NO 3 -N)
、温度(Temp.)、懸濁液
ン( BHC )、ディルドリン、アルドリン、エンドリン、ヘプタク
( SS )、酸度・アルカリ度( pH )、アンモニア性窒素である。
ロルエポキシド等の塩素系剤といった 23 の指標が使用さ
しかし、水銀( Hg )、カドミウム( Cd )、全クロム( Total Cr )、
れた( PCD - MoNRE 2014 )。
5 角クロム( Cr 6 + )、鉛( Pb )、銅( Cu )、シアニド( CN- )、ポ
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
た。試料採取地点は 2 月〜 3 月に 168 箇所、6 月〜 8 月に
タイ
酸度・アルカリ度( pH )、溶存酸素( Dissolved Oxygen:
スリランカ
同年 6 月〜 8 月の 2 度に渡り、沿岸水の水質検査が行われ
フィリピン
流水の水質基準に従って分析された。同分析では、温度、
99
リ塩化ビフェニル( PCB )
といった農薬及び毒性要素の濃度
Samut Prakan 県の染料工場付近で確認された。水質悪化
が海洋水質基準を超えると、MWQIとしては直ちに「0」が付
のほとんどは河川や運河の河口で発生しており、沿岸地域
けられる。分析結果に基づき、沿岸水域の水質は、15 %が
で生活し、水産養殖を営み、未処理の生活排水を放流する
「良好」、78 %「普通」、6 %が「悪化」と評価された。
家庭や住民に起因する( PCD-MoNRE 2014 )。図 2 . 12 . 3 に
水質が良好な沿岸水域はタイ湾の西岸に見られ、反対
て、1997 年から2012 年までの 16 年間に見られる沿岸水域
に、水質が非常に悪化している沿岸水域はタイ湾内奥部の
100
90
10
13
13
5
13
80
70
60
49
39
45
25
36
29
5
5
5
6
34
34
3
9
1998
1999
2000
2001
52
49
51
43
著しく悪化
悪化
48
普通
47
良好
36
24
2002
1
6
50
非常に良好
15
5
2
1997
31
1
6
78
43
25
1
2
44
61
30
3
7
69
49
39
1
9
4
5
29
17
10
0
20
3
45
57
30
20
1
6
33
50
40
4
の水質の悪化傾向を示す。
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
図2.12.3. タイ全国の沿岸域における水質(1997年〜2012年)
(出典:PCD-MoNRE 2014 )
地下水
の状態で河川やその他の水域に放流されている。全国で
タイの地下水賦存量は東部地域を除き全般的に豊富で
一日約 1 , 500 万 m 3 の生活排水、すなわち 277 万 kgの生物
ある。地下水賦存量が豊富な地域は中央平原の低地部、
化学的酸素要求量( BOD )が水域や環境に放流される。内
特にバンコク首都圏とその周辺の県である。この地域の地
訳 は、2 , 0 0 8 の 都市 が 約 3 8 0 万 m 3、バ ンコク首都圏と
下水は、増大する需要を満たすために採取され続けてお
Pattaya 市が約 270 万 m 3、5 , 767 の地方自治体が 850 万 m 3
り、深刻な地盤沈下の原因となっている。水質については、
となっている。
一部の地域で多少の天然鉄及びマンガンによる地下水汚
2 )工業排水:工業セクターでは、様々な種類の生産工程
染が頻繁に起こっており、特に採鉱場付近の地下水源にて
で生じる副生成物等の加工廃棄物を排出する。現在、多く
見られた。また、北部、東部、西武地域の一部では、地下水
の企業が人口密集地域や都市部の宅地混在区域に立地し
基準以上のフッ素汚染が確認されていた。さらに、北東
ている。国全体では、12 万余りの様々な規模の事業所が、
部、沿岸地域、河口域では、地下水の塩水化が問題となっ
タイ湾内奥部で多岐にわたる活動を行い、多種多様な製
ている地域もある。Saraburi 県や Nakhon Ratchasima 県
品を生産している。
等の石炭石でできた帯水層では地下水の硬度が問題と
なった( PCD - MoNRE 2014 )。
3 )農業:農業では化学肥料、農薬、飼養場の動物の排泄
物等が使用される。水田に使われる肥料の相当な部分が
灌漑用水によって流され、河川、河口域、その他の水域に
水質汚染源
100
流入する。この肥料が富栄養化を引き起こし、ホテイアオ
主な水質汚染源は、以下の 3タイプに分けられる。
イの成長を促す。この迷惑な植物は、生長が早くて水域の
1 )生活排水:家庭からの汚水が一次処理または未処理
大半を覆い尽くす。
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
ローチの下で、低炭素社会の構築、気候変動及び自然災害
対策、貿易と環境保護の調和維持といった多様な課題への
対応 が 可能である(タイ国家経済社会開発庁( N E S D B )
汚染物質の排除を国家の責務として定めている(第 8 部第
2011 )。この国家計画には詳細な実施計画や行動計画が
5 項)。1992 年以降、国家経済社会開発 5 カ年計画におい
含まれていないため、計画に盛り込まれた環境戦略を実現
て環境保全が重視されている。
するためには、関係機関が計画に基づくプログラム、プロ
第 11 次国家経済社会開発計画( 2012 年〜 2016 年)にお
いては、引き続き生態系のバランス維持に重点が置かれて
ジェクト及び具体的な方策を策定する必要がある( Box
インドネシア
く環境の保護・保全及び人間の健康と福祉に影響を及ぼす
中国
タイ王国憲法( 2007 年)は、持続可能な開発原則に基づ
参加を通じた天然資源管理及び環境管理である。本アプ
カンボジア
03. 水環境管理の枠組み
2 . 12 . 1 . )。
日本
いる。アプローチとしては、開発思考の転換と地域住民の
Box 2.12.1. タイにおける水環境管理政策
韓国
2010~2014年における水質汚濁防止のための環境政策が、2009年10月30日に国家環境委員会(NEB)により承認された。
この政策の概要は以下の通りである。
1 )グリース・トラップの導入及び現場対応により、
生活排水からの BOD 負荷を軽減。
2 )自治体の既存の排水処理施設を改修。
3 )水質汚濁が危機的状況にある場所に、
排水処理施設を建設。
5 )汚染者負担の原則(PPP )の適用:汚染水の排出者に対し、
水質汚濁管理費用の負担を義務化。
及び市民の参加を促進・支援。
優先実施地域の決定:
河川流域の優先度及び自治体の重要度を踏まえ、排水管理地
域を分類する。
これを基に、以下の4つのフェーズから成る実施
計画を策定している
(優先度の高い順)。
フェーズ1:2010~2011年
マレーシア
4 )首都圏水道公社と排水処理公社を統合。
6 )水質汚濁問題への共同投資や解決に対する民間セクター
フェーズ2:2012~2016年
フェーズ3:2017~2031年
フェーズ4:2032~2041年
ミャンマー
(出典:WEPAフォーカルポイントからの提供情報 2012 )
1992 年に施行された国家環境保全推進法( EQA )は、タ
限と責務を定めている。国家環境保全推進法の主な内容
は以下の通りである。
の解決に活用する。
国家環境管理計画を策定する。計画実施は政府機関責
環境的見地から正当と認められる場合、国家環境委員会
( NEB )が汚染防止地域( PCAs )や保全・環境保護区を指
定することについて規定する。
複数の機関で構成される汚染防止委員会を設立する。
ホテルやリゾート施設、10 MW 以上の発電能力を有する
火力発電所、あらゆる規模の鉱山事業等)が環境に与え
る影響の判断及び緩和対策計画の策定に対する環境影
響評価( EIA )の適用。
各種排水基準、すなわち工業排水基準、生活排水基準、
養豚場や魚/エビ養殖場の排水基準等の策定及び適用。
水質状態、社会経済的側面及び処理技術の利用可能性
に基づく水質環境基準及び分類。
図 2 . 12 . 4 .に、タイの水環境管理に関する法制度をまと
める。
ベトナム
汚染者負担の原則( Polluter Pay Principal:PPP )を認知
する。
のダム、面積 1 万 2 , 800 ha 以上の灌漑計画、80 室以上の
タイ
排出基準の立法化等の汚染防止に関する問題を扱う、
様々なタイプ・規模の開発事業(貯水容量が 1 億 m 3 以上
スリランカ
務であり、各県は行動計画を策定する。
下の 3 つに分類される。
フィリピン
環境基金を設立し、その資金を優先度の高い環境問題
タイにおける水質問題を防止・管理するための規制は以
ネパール
イの環境保全に関する基本法であり、環境保護に関する権
ラオス人民民主共和国
政策:
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
101
制度的措置
環境保全推進法では、排水管理を所管する機関として公
害管理局のほかに同じ天然資源環境省の管轄下にある天
水質環境基準
表流水の水質基準
この基準は、1994 年に策定された初の水質環境基準で
然資源環境政策計画局( ONEP )がある。これらの機関が、
ある。表流水の水質基準では、表 2 . 12 . 2 .に示すように水
国・地域レベルの水質管理計画を実施し、地元自治体が排
域を用途に応じた 5 つに分類し、28 の水質項目を設けてい
水管理における各々の責任を果たすよう働きかけていく。
る。一般水質項目は、人々の水質に対する理解を深める目
環境保全推進法に基づき、公害管理局は環境基準の達成
的で 作られ たものであり、8 種類 の 水質項目( p H、D O、
を目標に、固定発生源からの汚染防止のための排水基準
BOD、固形物量( TS )、FCB、硝酸塩:NO 3、全リン( TP )、
を策定している。
SS )の数値から算出される。これらの基準は国が定める最
低基準である。
公共用水域における水質保全
国家環境保全推進法(EQA)
B.E. 2535(1992年)
表2.12.2. 表流水の水質基準類型
類型
クラス 2
かなり安全な淡水の ( 1 )消費用:使用前に通常の
表流水源。右の用途
処理工程が必要
に使用される。
( 2 )水生生物の保全用
( 3 )漁業用
(4)
レクリエーション用
クラス 3
安全な淡水の表流水 ( 1 )消費用:ただし使用前に通常の
源。右の用途に使用
処理工程が必要
される。
( 2 )農業用
クラス 4
ほぼ安全な淡水の表 ( 1 )消費用:ただし、使用前に特別の
流水源。右の用途に
処理工程が必要
使用される。
( 2 )工業用
クラス 5
上記クラス1 から4 以 水運用
外の表流水源。右の
用途に使用される。
排水基準
- 工業排水基準 - 建物排水基準 - 集合住宅排水基準 - 自治体排水処理システム排水基準 - 給油所・石油貯蔵所排水基準 - 養豚場排水基準
- 沿岸養殖排水基準 - 汽水養殖排水基準 - 内陸養殖排水基準 - 灌漑システムに放流される水の特性
地下水法
- 地下水の水質基準 - 深井戸に放流される水の特性 用途
特に安全な淡水の表 (1 )保全用:水処理工程の実施は不要。
流水源。右の用途に
病原菌殺菌の通常工程のみ必要。
使用される。
( 2 )有機物が自然繁殖できる場所では
生態系保全用。
水質環境基準
- 表流水水質基準
- 沿岸水水質基準
目的/条件
クラス 1
(出典:MoEJ 2009 )
沿岸水の排水基準
水質保全に関するその他の法律
工場法
質項目があり、用途( 6 分類)に応じて水質項目を選定する。
工業汚染防止施設規則
プーケット島の西海岸については、通常とは異なる分類が
公衆衛生法
適用される。
危険物法
清掃法
建造物管理法
図2.12.4. 水質管理に関する法令体系
(タイ公害管理局の公式ウェブサイトhttp://www.pcd.go.th/about/en_ab_
mission.html の資料を基に IGESが作成)
102
沿岸水域の水質基準に関してはグループ、30 種類の水
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
地下水の水質基準
地下水の水質基準に含まれる水質項目は、揮発性有 機
化合物( 15 種類)、重金属( 10 種類)
、農業用化学物 質( 9
種類)及びその他( 4 種類)の 4グループである。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
自治体排水処理システム排水基準
2010 年に策定された新しい基準で、対象となる水質項目
に関するモニタリングを行って水質維持に努めている。
は、pH、BOD、SS、全窒素
(TN)
、TP、油脂分の6種類である。
620カ所の一般モニタリング地点と39カ所の自動モニタリ
ング地点が主要 48 河川に設けられており、水質サンプルは
分析は、国が定める水及び排水検査の標準方式( 1988 年)
に従って行われる( Yolthantham 2011 )。政府が実施する
水質環境モニタリングの結果は、取りまとめ後、出版物や
排水基準
準が策定されている。
工業排水基準
この基準は、工場法 B.E. 2535( 1992 年)に基づき、工 場
グループ II 及び III、ならびに工業団地すべてに適用される。
定められている。工業汚染防止施設規則( 1982 年)では、
排水水質管理について、汚染防止の責任を担う監督者と機
る。こうした工場に該当す るのは、製造工程で重金属を使
い、一日 50 m 3 を超える排水を放流し、その排水に所定量
を超える重金属が含まれる場合である。
建物排水基準
学校、学術施設、公共・民間オフィス、デパート、生鮮食料
品店、レストラン等からの排水を規制する。規制対象の水
質、硫化物、ケルダール窒素( TKN )、油脂分(脂肪、油、グ
リース)が含まれる。
この基準は集合住宅からの排水を対象としているが、適
用に際しては、100 以上 500 戸未満の場合と500 戸以上の
遊物質、沈降性物質、総溶解固形物、硫化物、TKN、油脂分
である。
沿岸養殖排水基準
汽水養殖排水基準
内陸養殖排水基準
灌漑システムに排出される水の特性
深井戸に排出される水の特性
排水モニタリング
国家環境保全推進法は、同法が定めた固定発生源の所
有者に対して、排水の水質モニタリング、統計・データの収
集及び報告書の提出を義務付けている(第 70 条及び 80
条)。モニタリングの対象となる排水源は 、以下の 4 分類で
ある:養豚場、土地開発、工業団地・工業地帯及 びクラス A
建築物(ホテル、病院、コンドミニアム、デパート、市場、レ
ストラン)。水質汚濁の固定汚染源については、チャオプラ
ヤ、Tha Chin、Bang Pakongの 3 河川流域 においてモニタ
リングが実施されている。
排水の処理または処分能力が適用される基準を満たし
ていない場合、所有者は汚染防止担当者の指示に従 い、
改良または改善を加える必要がある。違反が判明し た場合
や所有者が指示に従わない場合には、費用負担、罰金、損
害賠償義務、罰則が科せられる。あらゆるセクターが基準
の遵守に前向きであることは望ましい傾向であるが、これは
基準を守ることが業務契約に有利に働くとともに環境改善
につながり、それらが生活の質にも影響するためである。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
場合に分けられる。規制対象の水質項目は、pH、BOD、浮
d. その他
タイ
集合住宅排水基準
60 〜 600 頭)には、異なる基準値が適用される。
スリランカ
質項目は建物の規模に応じて異なるが、pH、BOD、浮遊物
TKNであり、タイプ A(家畜数 600 頭超)
とタイプ B(家畜数
フィリピン
様々なタイプの建物、すなわちアパート、ホテル、病院、
この基準に含まれる水質項目は、pH、BOD、COD、SS 及び
ネパール
b. 家庭・商業セクター
の水質汚濁に及ぼす影響を踏まえ、2001 年に策定された。
ミャンマー
器操作担当者の配置を特定の工場に対して義務付けてい
この基準は、養豚場が Tha Chin 川や Bang Pakong 川等
マレーシア
基準値は、15 種類の水質項目と12 種類の重金属に対して
養豚場排水基準
ラオス人民民主共和国
a. 工業セクター
c. 農業セクター
韓国
国家環境保全推進法(第 32 条)に基づき、以下の排水基
量( COD )、SS 及び油脂分の 4 種類である。
日本
オンラインを通じて一般に公表される。
この基準に用いられる水質項目は、pH、化学的酸素要求
インドネシア
雨季と乾季で年間 3 ~ 4 回採取される。サンプルの 採取と
給油所・石油貯蔵所排水基準
中国
政府は、国家環境保全推進法に基づき放流水域の水質
カンボジア
公共用水域における水質環境モニタリング
103
04. 水環境管理における最近の動き
- 発生源からの汚染軽減の促進。廃棄物や排水を利用し
た再生可能エネルギー発生、環境管理における優良事
2012 年、汚染源の抑制及び管理に重点を置いた多数の
例の推進、コミュニティー型排水処理システムの能力強
汚染管理対策やメカニズムが施行された。具体的には、基
化を目指した ISO 14000 や MSM 2008といった環境管理
準設定、政府規制、省告示、様々な汚染の防止・解消を目指
基準の採用、環境負荷の少ない水産養殖の推進、がこの
す規制、及び、主要地域における汚染問題対策計画及び方
例として挙げられる。
策の策定である。加えて、地方自治体(Local Administrative
Organizations:LAO )による地域の排水処理施設の建設支
- ASEANレベルの水質汚染防止計画の策定、及び、ASEAN
経済統合を視野に入れた越境輸送手段の設立。
援・推進、及び、政府や民間企業による環境配慮型の生産
- 「裨益者は納付者」の原則の促進及び実施。具体的に
工程の導入や生産物の開発促進も、汚染管理の一環として
は、排水処理料金や水源使用料の導入が挙げられる。
実施された。
最近では、次に示す基本計画、行動計画、ガイドライン、
対策が公布された( PCD-MoNRE 2014 ):
- 地下水源及 び 環境 の 開発及 び 保護 に 係る 基本計画
( 2012 年〜 2016 年)
- 環境負荷の少ない水産養殖に係る行動計画( 2012 年〜
- 有害活動従事のための免許取得と組み合わせた、発生
源での排出管理の原則の履行を促進。
- 庁舎にて発生源での排水管理に係る法規制を励行し、水
質汚染管理の手本となることを推進。
- 観光地においてツアー会社や旅行関連会社による環境
基準の遵守を促し、観光名所の価値の維持・拡大。
2016 年)
- 水資源管理に係る基本計画
- 釣り桟橋、防波堤、魚市場における排水管理対策
- 地方自治体のための地域産業及び小企業における汚染
管理ガイドライン
05. 現在及び今後の課題
タイにおける水環境管理は、特に 1992 年以降、優先課
題として取り組まれており、法的枠組みについても、そ の
実施に向けた整備や改善が行われてきた。水環境保 全に
さらに、水質管理の改善促進を目指し、次に示す政策が
提案されている
( PCD-MoNRE 2014 )。
向けた取り組みの質を高め、さらに推進する上での主な課
題は以下の通りである
( Yolthantham 2011 )。
- 地方自治体による自治体毎の排水処理施設の建設促進・
支援。
- 地方自治体の排水処理システム整備にかかる予算配分。
排水処理の強化
水環境管理における今後の課題は、排水処理の推 進で
当該システムは、地方自治体が抱える課題及び LAOの管
ある。バンコクのように都市化の進んだ地域では生活排水
理能力に合致する必要がある。
による水質汚濁が深刻な問題となっており、汚濁 低減のた
- 排水処理システムの運用及び維持管理に十分な資金を
めの下水道整備が進められている。しかし、排 水処理施設
調達させるため、地方自治体に対する、排水処理サービ
の運営・維持には、知識のある職員や資金 の不足、料金の
ス料金に関する自治体規則発行責務の割当。
設定とその徴収等の多くの課題がある。
- 養豚場や水産養殖場の良好な環境管理の確立の促進。
これらを解決し、現在及び将来の排水処理システムが 効
- 産業開発に適した地域の特定。例えば、チャオプラヤ川
果的かつ持続可能な方法で運営・維持されるよう保 証する
下流、Tha Chin 川下流、その他の人口密集地域といった
ため、汚染者負担の原則( PPP )が導入され、利用者の費用
重要な水流域では、汚染防止を目的としてビルや工場の
負担が進められている。
建設及び拡張を制限する。
- 地域の事業所による有害物質の排出により、周辺地域に
深刻な環境破壊につながる緊急事態が発生した後の水
質改善。
104
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
市民参加及び自主的取り組みの推進
公共用水域における水質改善を目指す市民 参加と民間
セクターによる自主的取り組みが奨励されており、市民参
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
加に関連する積極的な活動が数多く実施されて いる。しか
し、地域社会や住民の排水問題に対する理解、環境保護意
中国
識は不十分である。民間セクターによる 自主的取り組み推
進については、中小企業向けのグリー ン調達事業が政府
によって進められている。
インドネシア
水域管理アプローチの推進
水域管理アプローチの推進は、水環境管理における 新
たな課題であり、これによる水質・水量管理の統合が 水質
日本
の改善に必要となっている。現在の取り組みに加 え、水環
境保全に関連する様々な活動や政策手段の統合を進め、さ
らに発展させていくべきである。このような 積極的な活動
韓国
を、現地の取り組みを調整しながら推進するため、地域主
体の事業では流域レベルの取り組みが奨励されており、
ラオス人民民主共和国
Tha Chin 川流域はその具体例である
( Box 2 . 12 . 2 . )。
Box 2.12.2. 流域管理アプローチ
都市部の水質管理については、放流水域の浄化能力、
予算及び流域全体のアプローチの中で優先すべき事業に
マレーシア
配慮した上で、新たな方向性が検討されている。水質管理
における最も柔軟な施策として、シミュレーションモデル、
地理情報システム、データベース管理システム等が実践さ
れている。
また、水域の浄化能力及び放流水域の水質達成
ミャンマー
のためのガイドラインを踏まえ、廃棄物負荷配分が検討さ
れている。
天然資源環境省は、水質汚濁が深刻な地域に対する
各水域レベルの政策として、Songkhla湖周辺地域開発総
ネパール
合計画(2002年)やチャオプラヤ、B a n g P a k o n g及びT h a
Chin川流域における水質汚濁の防止策及び解決策(2007
年)等を策定している。
プロジェクトベースの活動では、天
フィリピン
然資源環境省のLamtakong川流域における排水問題の防
止と排水再生プログラムが、他の省庁や地元自治体の協
力の下で開始されている。
このように、流域管理アプロー
チはT h a C h i n川流域等において実践されている。詳細に
スリランカ
ついては次のサイトを参照のこと。
http://welcome.to/thachin。
(出典:WEPAフォーカルポイントからの提供情報 2012)
タイ
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
105
2.13 ベトナム
01. 国別情報
03. 水資源の状況
表2.13.1. 基本指標
国土面積(km2)
330,972(2013)
総人口(人)
8,971 万(2013)
名目GDP(米ドル)
1,714 億(2013)
一人当り名目GDP(米ドル)
1,911(2013)
平均降水量(mm/年)
1,821(2014)
水資源量(km3)
884.1(2009)
82.0(2013)
年間水使用量(10億m3)
セクター別
年間水使用率
農業用水
94.8%(2005)
工業用水
3.7%(2005)
都市用水(生活用水を含む)
1.5%(2005)
(付録参照)
ベトナムは大規模な河川・運河網を有している。10 kmを
超える河川は 2 , 360 あり、この中には 109 の主要河川が含
まれる。同国の 16 の河川流域は、紅河流域及び Thai Binh、
Bac Giang-Ky Cung、Ma、Ca、Gianh、Thach Han、Huong、
Vu Gia-Thu Bon、Tra Khuc-Ve-Tra Bong、Kon-Ha ThanhLa Tinh、BaSesan、Srepok、Dong Nai- サイゴン、Cuu Long
(メコン河)、南東部の河川流域群である。多数の河川流域
を有すことから、ベトナムの表流水は豊富である。河川流
域の総表流水量は年間およそ 830 〜 840 km 3 であるが、ベ
トナム国土内の表流水量は、この 37 %にあたる約 310 〜
315 km 3 で、残る63 % 相当の 520 〜 525 km 3 は隣接国の表
流水量である
( MoNRE 2014 )。
ベトナは全体的には表流水資源に恵まれているが、国内
02. ベトナムの主な流域
において均等に分布していない。これは、降雨分布に偏り
中国
Cau 川
があることが 1 つの理由である。国家環境報告書 2010 年版
Bang Giang-Ky Cung 川
ハノイ
紅河及び Thai Binh 川
Nhue Day 川
ラオス
Ca 川
3
紅河の年間総流量は約 126 . 5 km(全体の
14 . 9 %)
、Don
3
Nai 川は 36 . 3 km(4
. 3 %)
と続く。総流量のおよそ 60 %は、
ベトナム人口の 2 割が生活するChuu Long 川(メコン河)
デ
東海
(南シナ海)
ルタ域に分布している。さらに、急速な都市化と長い乾季
が原因で、深刻な水不足が起こっている地域が多い。
ベトナムは気候変動の影響を受けやすい国の 1 つであ
Thach Han 川
Huong 川
り、深刻な影響を受けると予測されている。気候変動に関
Thu Bon 川
Tra Khuc 川
Sesan 川
カンボジア
km3で、国内の全河川の年間総流量のおよそ59%を占める。
Ma-Chu 川
Gianh 川
タイ
(MoNRE 2010)によると、メコン河の年間総流量は約 500
Kone 川
Ba 川
Srepok 川
Dong Nai- サイゴン川
する政府間パネル( Intergovernmental Panel on Climate
Change:IPCC )は第 4 次評価報告書の中で、ベトナムを「ア
ジアにおいて今後重大な気候影響が予期される脆弱地域
( Cruz 他 2007、IFAD 2014 )」と特徴付けている。気候変動
はベトナムの水資源に多大な影響を及ぼすと考えられてい
る。これに伴い、同国の総表流水資源は、2025 年までに
Cuu Long 川
タイ湾
図2.13.1. ベトナムの主な流域
106
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
9 6 %、2 0 7 0 年まで に 9 1 % 減少 すると見込まれている
( MoNRE 2006 )。
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
流域名
最も消費するのも農業で、総水使用量は全体の 95 %に上
紅河及び Thai Binh
169,020
135
Bac Giang-Ky Cung
13,260
9.4
Ma
28,400
18
Ca
29,930
23.5
Gianh
4,680
8.14
Thach Han
2,550
4.68
Huong
3,300
5.64
Vu Gia - Thu Bon
Kon - Ha Thanh- La Tinh
10,350
20.1
5,200
6.19
伸びており、水資源の枯渇が引き起こされている。
都市部の急激な人口増加、不適切な廃棄物管理、未処
理の生活排水及び産業排水、森林伐採も水資源を逼迫さ
せている原因である。さらに、国の開発事業も水の質と量
の両方において水資源の状況に影響を与えている。
04. 水質状況
日本
Tra Khuc – Ve - Tra Bong
る。また、最近 10 年間では、生活用水や産業用水の需要が
3,640
2.58
Sesan
11,450
12.9
Srepok
18,200
13.5
Ba
13,900
9.5
下流、小規模河川、池、湖、都市部の用水路といった場所で
Dong Nai – サイゴン
40,294
37
761,417
475
は、有機汚濁が深刻なレベルに達している。しかし、汚染
15,760
9.16
(出典 : MoNRE 2012 )
範囲に渡り河川や湖沼に影響を及ぼしている。主要河川の
は河川の水理特性にもより、乾季に河川の流量が減ると汚
染度は増加する。汚染はまた、表流水に排出される廃棄物
及び排水の管理状況にも非常に影響されるが、現在、河川
表流水と共に、生活、産業活動、農業活動において重要
な 水供給源 が 地下水である。天然資源環境省( M o N R E
流域に放流されている廃棄物源はほぼ管理されておらず、
表流水の深刻な汚染を引き起こしている。
によると、適切に処理されている同国の都市排水は 10 %
水は、降水量が多いため豊富と言え、全国に広く分布して
程度である(世界銀行 2013 )2013 年 12 月時点で 24 の排
いる。現在、都市や町には 300 以上の上水施設や小規模の
水処理施設が稼働しており、合計一日に 67 万 m 3 の処理が
水供給設備があり、住民や企業に水を供給している。その
可能である( Tien 2014 )。一方で、水域に直接放流される
多くは掘削井戸を使用している。ハノイ市及びホーチミン
未処理の産業排水は一日に 100 万 m 3 超で、総産業排水量
市は国内で地下水を最も多く汲み上げている。北部、中央
の約 70 %に相当すると推定されている
(世界銀行、2012 )。
部、中部高原では、掘削井戸の深さは平均して100メート
ル未満であり、メコンデルタの掘削穴は 300メートルを超
一般的に、都市の中心部、工業地帯、鉱区を流れる河川
部分の表流水質は、未処理の排水が流れているため、非常
ある。しかし、実際に使用可能な量は、この内 60 %から
に低下している。モニタリング結果からは、主要河川の汚
70 %である。
染物質量は、許容量の 1 . 5 倍から3 倍の割合で超過してい
近年、ハノイやメコンデルタといった地域で地下水が過
る( MoNRE 2010 )。これは、紅河(ハノイ市)、Cam 川(ハイ
剰に揚水されており、地下水位の低下、地盤沈下、塩水侵
フォン市)、Lam 川( Nghe An 省)、Perfume 川( Hue 市)、
入といった問題が報告されている。
Han 川( Da Nang 市)、サイゴン – Dong Nai 川(ホーチミン
市)、Tien 川( Tien Giang 省)、Hau 川( Can Tho 市)におい
重要な役割を担っている。GDPの約 21 %を農業が占め、
て確認されている。この状況は長年改善が見られておら
同国経済を支える主要セクターである。しかし、水資源を
ず、住民及び周囲の環境に深刻な影響を及ぼしている。
タイ
農業は、依然、ベトナムの貧困削減や食糧保障において
スリランカ
都市部の水供給施設の総揚水可能量は 1日約 147 万 m で
3
フィリピン
える。ベトナムの総貯留地下水量は 2 , 000 万 m 3 近くあり、
河川及び湖沼
ネパール
から50 %は貯留地下水から取水されている。同国の地下
ミャンマー
ベトナムの都市排水を調査した最近の世界銀行の報告
マレーシア
2010 )によると、ベトナム全市に供給される総水量の 35 %
ラオス人民民主共和国
南東部の河川流域群
生活排水及び産業排水による有機汚濁は、ベトナムで広
韓国
Cuu Long(或いは メコン河)
インドネシア
有効貯水量(km )
3
中国
流域面積(km )
2
カンボジア
表2.13.2. ベトナムの河川流域
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
107
全都市の内部に位置する郡や区の湖、池、用水路、河川
BTNMT B 類 2 基準(水路及び他の用途に適用されている規
の多くは深刻な汚染されている。汚染度は基準値を超えて
則で、水質が良好である必要はない)を満たすことができ
おり、河川及び用水路の多くでは、排水の放流が顕著であ
なかったことがモニタリング結果で報告されている。
る。さらに、都市内部の湖の多くで富栄養化が進んでいる。
ベトナム環境総局( V E A )環境 モ ニタリング センター
このような湖では、表流水が泥状で濁り、異臭を放ち、都市
( CEM )が行った水質モニタリングでは、重度に汚染されて
の環境及び景観を損ねている。モニタリング結果による
い る の は N h u e - D a y 川 で、特 に、化学的酸素要求量
と、いくつかの水質項目は表流水質に係る国家技術基準
( Chemical Oxygen Demand:COD )、生物学化学的酸素
( QCVN )
( 08 : 2008 / BTNMT B 類 2 )が定める基準値を超
要求量( Biochemical Oxygen Demand:BOD 5 )、アンモニ
えている。
ウム性窒素( NH 4 + )の 3 項目において QCVN 08 : 2008 /
Cau 川、Nhue-Day 川、Dong Nai 川の流域はベトナムで
最も汚染されている流域である。この 3 流域の水質は毎年
BTNMT B 類 1 基準を何度も超えている。とりわけ乾季に超
過が見られることが多い。
悪化しており、多くの水質項目においてQCVN 08 : 2008 /
mg/L
16
2005
2006
2007
2008
2009
QCVN(国家技術基準)
08:2008(A1)
QCVN(国家技術基準)
08:2008(B1)
14
12
10
8
6
4
2
0
紅河
(ハノイ)
Cam川
(Hai Phong)
Lam川
(Nghe An)
Perfume川
(Hue)
Han川
Dong Nai川
(Da Nang) (Dong Nai)
Thi Vai 川
サイゴン川
Hau川
(Dong Nai) (ホーチミン市) (Can Tho)
図2.13.2. 主要河川における年平均BOD5 値の推移(2005年〜2009年)
(出典:MoNRE 2010 )
CAU 川流域
NHUE-DAY 川流域
DONG NAI 川流域
流域面積 : 6 , 030 km 2
流域面積 : 7 , 665 km 2
流域面積 : 37 , 400 km 2
年間流量 : 約 45 億 m 3
年間流量 : 約 288 億 m 3
年間流量 : about 36 . 6 billion m 3
流域に位置する省 :
Bac Can, Thai Nguyen, Vinh Phuc,
Bac Ninh, Bac Giang, Hai Duong,
ハノイ市
流域に位置する省 :
Bac Can, Thai Nguyen, Vinh Phuc,
Bac Ninh, Bac Giang, Hai Duong,
ハノイ市
流域に位置する省 : Dac Nong,
Lam Dong, Binh Phuoc, Dong Nai,
Binh Thuan, Ninh Thuan, Tay Ninh,
Binh Duong, ホーチミン市 ,
Ba Ria – Vung Tau, Long An
図2.13.3. ベトナムで最も汚染されている3河川の概況
(出典:MoNRE 2006 )
この 3 河川流域の汚染源として、産業廃棄物(主に採掘
評価によると、ベトナムでは汚染水や劣悪な衛生状況が理
業、治金業、食品加工業、製紙業)、生活排水、手工業地域
由で 毎年平均 9 , 0 0 0 年人 が 死亡している。また、毎年
の廃棄物、医療廃棄物といった多数の汚染源が特定され
20 , 000 人近くがガンと診断され、ガン発症の主な原因の 1
た。これらは河川の水質及び公衆衛生に甚大な影響を及
つに汚染水の使用で考えられる
( VACNE 2014 )。
ぼしている。保健省( MoH )及び天然資源環境省の統計や
108
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナムの雨水調節においては、河川の他に自然湖が大
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
都市内部や大都市を流れる河川部分や湖の水質は悪く、
主に有機汚染に起因している。ハノイ市内陸部の湖の水質
近ひどく汚染されている。環境保全意識の低い人々により
項目のほとんどが、QCVN 08 : 2008 / BTNMT B 類 2 基準を
排出される生活排水や廃棄物からの有機汚濁物質が原因
超えている。
中国
常に重要な存在であると考えられている。しかし、湖は最
カンボジア
きな役割を果たしており、大きな湖は都市機能において非
である。
2006
90
2007
2008
2009
QCVN 08:2008 (A1)
2010
QCVN 08:2008 (B1)
インドネシア
mg/L
80
日本
70
60
50
40
韓国
30
20
10
Song Hong
(Chem)
Song Hong
(Duyen Hai)
Song Duong
(Duong bridge)
Song Ca Lo
Song Nhue
(Gia Tan-Dong Anh bridge)
Song Day
(Mai Linh bridge)
図2.13.4. ハノイ市内内部の主要河川の年平均COD値の推移(2006年〜2010年)
(出典:MoNRE 2012 )
mg/L
2007
2008
2009
2010
QCVN 08:2008 (A1)
2011
QCVN 08:2008 (B1)
マレーシア
160
ラオス人民民主共和国
0
140
120
100
ミャンマー
80
60
40
20
Nghia Do
To Lich River
Cau Moi
Phuong Liet
Tuu Liet
Lu River
Dinh Cong
Cau Set
Set River
図2.13.5. Nhue – Day川流域に属する内陸側の主要河川の年平均COD値の推移(2007年〜2011年)
ネパール
0
(出典:MoNRE 2012 )
2007
70
2008
2009
2010
2011
QCVN 08:2008 (A1)
QCVN 08:2008 (B1)
スリランカ
60
フィリピン
mg/L
50
40
30
20
タイ
10
0
Vi Xuyen
Lake
Goong Lake
Tinh Tam
Lake
Lai Chau
Nam Dinh
Vinh
Hue
Ho Nui Coc
Phu Ninh
Phu Hoa
Bau Tram
Irrigational Lake
Lake
Lake
Tam TraNam Dinh Quang Nam Binh Dinh
Cam Ranh
Lake
Khanh Hoa
Long An
Lake
Thanh Nien Dau Tieng
Lake
Lake
Dong Nai
図2.13.6. 主要湖における年平均BOD5値の推移(2007年〜2011年)
(出典:MoNRE 2012 )
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
Muong Te Thai Nguyen
Reservoir
109
Box 2.13.1. ハノイ市の主要4河川及び湖の水質
水質モニタリングでは、ハノイ市の 4 主要河川及び湖
の水質は悪く、悪化が進んでいると報告されている。T o
Lich 川、Set 川、Lu 川、Nhue 川の BOD5 、COD、重金属、
大腸菌群の濃度は、Q C V N 基準値の 3 倍から4 倍多い。
DO 値は低く、浮遊物質レベルは非常に高い(150 mg/L 〜
300mg/L)。含有アンモニウムイオンは許容値の 20 倍近く
高い。汚染物質負荷は雨季よりも乾季に大きいが、堆積負
荷は雨季により高くなる。ハノイ市の湖の汚染は深刻で、
高 BOD( 15mg/L 〜 45mg/L)、高浮遊物質( 100mg/L 〜
150mg/L)、低 DO( 0.5mg/L 〜 2.0mg/L)
であると報告さ
れている。
発(ベトナム全土の産業活動地帯の 79 %が集中している)
も、海洋環境をさらに圧迫している
( MoNRE 2010 )。
地下水
地下水の水質は概ね良好であり、使用条件を満たしてい
ると言える。しかし、特にメコンデルタでは広範囲で塩水侵
入が発生しており、ハノイ市やホーチミン市では微生物や
重金属による汚染が深刻である。これは、無計画な揚水や
水資源の保全不十分であった結果である
( MoNRE 2010 )。
沿岸地域の地下水に共通する問題は塩水化であるが、こ
(出典 : ADB 2013 )
れは事業者や一般家庭による無計画な地下水の揚水に
表2.13.3. 表流水質基準におけるクラス分類
類型
る。さらに、急速な沿岸沿いの産業地域及び経済地域の開
用途
A1
生活用水及び A 2 に含まれるその他の用途
A2
生活用水に適しているが、適切な処理技術の適用が必要
水生生物の保全及び B 1、B 2 に含まれるその他の用途
B1
灌漑及び同様の水質を必要とするその他の目的や
B 2 に含まれる用途
B2
水運及び高い水質を必要としない用途
沿岸水域
沿岸水域の人口増加に伴い廃棄物及び排水量も増えて
よって、海水の侵入が加速されることが原因である。WEPA
ベトナムフォーカルポイント によると、地下水モニタリング
の結果、一部の地域では鉄( Fe )、マンガン( Mn、基準値
0 . 18 〜 71 mg / L )、リン酸態リン( P-PO 4 )、アンモニア
性窒素( NH 4 +、基準値 0 . 05 〜 8 . 7 ml / L )及び大腸菌・
大腸菌群が地下水の水質基準を超えていたと記している
( WEPAフォーカルポイントからの情報提供)。
05. 水質環境管理の枠組み
ベトナム社会主義共和国2013年改正憲法第53条は、
「土
地、水資源、鉱物資源、地下資源、海域及び空域における
おり、河川や用水路から周囲の環境や海に放流されてい
資源、その他の天然資源及び国が投資、管理する財産は、
る。沿岸沿いの都市や町では社会経済活動が盛んであり、
全人民の所有に属する公財産であり、国が所有者を代表
地方の市や省から労働者が訪れる。このため、廃棄物量は
し、統一的に管理する。」と述べている。同憲法は、ベトナム
全国で最も多い。現在、沿岸沿いの都市では廃棄物処理シ
の環境保全及び水資源保全の基盤となっている。
ステム及び排水処理システムもほぼ皆無である。沿岸地域
加えて、1998 年水資源法(命令 No. 8 / 1998 /QH 10 )に替
の環境に流れ込む廃棄物の影響は非常に深刻となってい
わり発効した 2012 年水資源法(命令 No. 17 / 2012 /QH 13 )
る。
の下では、水質悪化と水の枯渇の防止、水質管理に対する
排水は、航行船舶、海運施設、造船、修理工場、開港、貨
責務といった水資源保全に関連する問題は第3章にて強調
物置き場や商店からも発生している。これらの排水源から
されている。水資源法の他にも、水資源管理に関する多数
放出される産業排水は鉱物、油分、洗剤、重金属を多量に
の法律(環境保全法、鉱物法、土地法、生物多様性に関す
含んでおり、海水及び排水の放流先の地域の環境を深刻
る法)、命令、決定、通達、戦略が公布されており、水環境管
に脅かしている。近年、毎月 400 程の国際貨物船が Hai
理に関するベトナムの法制度を確立させている。
Phong – Quang Ninh 海港施設を通過しているが、船舶か
ら排出されるバラスト水の量は約 43 万 m 3 から71 万 m 3 と
110
制度的措置
推定されている。また、海洋事故により化学物質及び油の
2012 年水資源法では、政府、省庁及び省庁レベルの行
流出が起き、海洋環境及び沿岸環境に影響を及ぼしてい
政機関、市や省(行政区)の人民委員会、地区や村の住民
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
べている。従って、政府は国家レベルの水資源管理を統一
River Commission )、全国の河川流域組織の常任組織とし
的に、或いは、総合的に行わなければならない。
ても機能する。
2002 年に立ち上げられた天然資源環境省は、政府機関
さらに、天然資源環境省は各レベルの人民委員会活動
責務には、技術規則や水質基準の公布、公共水域の水質
村、所管省庁で、水資源法が定める水資源の保全を実現す
モニタリング実施、全国の河川流域管理が挙げられ、これ
るため、法的文書及び対策の円滑な実施が行われるよう監
は 2 0 1 2 年水資源法 の 第 7 0 条及 び 命令 N o . 2 5 / 2 0 0 8 /
理する。天然資源環境省の監督事項には、水資源の開発、
ND-CPにて定められている。また同命令は、天然資源環境
使用、保全の監理、水が河川に及ぼす危害の防止、管理、
省の機能、業務、権限、組織構造を定義している。天然資
改善があり、これは 2012 年水資源法第 72 条にて定められ
源環境省は国家水資源委員会( National Council of Water
ている。
(命令 No. 25/2008
/ND-CP; 法令 No. 17
/2012/QH13; 命令
No. 21/2013/ND-CP)
郡・村の人民委員会(PC)
District, Commune-Level People’s Committee
(条項第 71号, 2012年水資源法)
ベトナム
図2.13.7. ベトナムの水資源管理に係る国家責務
タイ
注: 天然資源環境省(MoNRE): Ministry of Natural Resources and Environment; 農業地方開発省(MARD)
: Ministry of Agriculture and Rural Development; 建設
省(MOC)
: Ministry of Construction; 内務省(MOHA): Ministry of Home Affairs; 保健省(MOH)
:Ministry of Health; 科学技術省(MOST)
:Ministry of Science and
Technology; 計画投資省(MPI)
:Ministry of Planning and Investment; 財務省(MOF)
:Ministry of Finance; 産業貿易省(MOIT)
:Ministry of Industry and Trade; 運輸省
(MOT)
:Ministry of Transport; 市或いは省の人民委員会(PC)City 或いは Provincial People’s Committee.
スリランカ
そ の他の所管省庁:
農業地方開発省(MARD)
(命令 No. 01/2008/ND-CP)
産業貿易省(MOIT)
(命令No. 189/2007/ND-CP)
保健省(MOH)
(命令No. 188/2007/ND-CP)
建設省(MOC)
(命令No. 17/2008/ND-CP)
運輸省(MOT)
(命令No. 51/2008/ND-CP)
財務省(MOF)
(命令No. 118/2008/ND-CP)
計画投資省(MPI)(命令No. 116/2008/ND-CP)
内務省(MOHA)
(命令No. 61/2012/ND-CP)
科学技術省(MOST)
(命令20/2013/ND-CP)
フィリピン
関連省庁 (命令No.81/2007/ND-CP;
命令No. 178/2007/ND-CP)
(条項第 71号, 2012年水資源法)
ネパール
命令No. 201/2013/
ND-CP水資源法に
定められる条項の
実施について明記
- 全 国 の公共水域に 対する水質モニタリング、等
共同で調整
2012年
水資源法
(法 令 No. 17
/2012/QH13)
(人民委員会の
天然資源環境局
(DoNRE)が支援)
- 水質環境に関する技術規則及び基準、及び、
水資源計画、基本調査、探査、開発、使用、
保全にかかる単価の公布
ミャンマー
共同で調整
(2013年改正)
- 全国の水資源及び河川流域の国家管理
- 水資源に関する法的文書の公布及び施行
マレーシア
1992年
憲法
ラオス人民民主共和国
天然資源環境省
(MoNRE)
水資源の
全体的な管理
韓国
ベトナム政府
(法令 No. 17/2012/QH13)
日本
の統一的な調整にあたる。その管轄対象は、市、省、区、
インドネシア
として国家の水資源管理の責務を負う。天然資源環境省の
中国
Resources )、ベトナムメコン河委員会( Viet Nam Mekong
カンボジア
組織による水資源管理は国家の責務であるとはっきりと述
(出典:関連法規の資料を基にIGES作成)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
111
天然資源環境省の他に水資源管理に影響力を有し実施
各省の役割及び所管業務を示す。
にあたる省は次の通りである:農業農村開発省( MARD )、
環境管理の実施においては、地方政府が重要な役割を
産業貿易省(MOIT)、保健省(MOH)、科学技術省(MOST)、
果たす。天然資源環境局( DoNRE )は、市或いは省の人民
建設省( MOC )、運輸省( MOT )、財務省( MOF )、計画投資
委員会の下、環境規制の遵守やガイダンスの提供を通じ、
省( MPI )、内務省( MOHA )。図 2 . 13 . 7 及び表 2 . 13 . 4 にて
環境保全活動の推進を主導する。
表2.13.4. 水質管理に関連する省庁の責務
省庁
責務
農業地方開発省
( Ministry of Agriculture and Rural Development )
地方の水供給及び衛生管理;灌漑・水産用水の管理;洪水、暴風、災害予防;漁業、耕作地の管理;
水理工学及び堤防の管理
建設省
( Ministry of Construction )
都市公共事業の管理;都市水供給事業、下水事業、排水事業の設計・施工
保健省
( Ministry of Health )
飲料水の水質管理;水質基準の策定・監督、規制(飲料水及び生活用水)
科学技術省
( Ministry of Science and Technology )
天然資源環境省策定の水質基準の草案を評価し、公布
財務省
( Ministry of Finance )
水資源に対する税制・各種料金に関する政策立案;予算割当
計画投資省
( Ministry of Planning and Investment )
社会経済開発戦略の立案・実施について各省庁及びセクターに対する監督及び指示;予算割当、
計画、融資;国際協力活動の調整
運輸省
( Ministry of Transportation )
水運の管理・整備;水工学及び港湾システム の管理
産業貿易省
( Ministry of Industry and Trade )
ベトナム電力公社( EVN )を通じた水力発電開発
(出典 : 関連各省庁の機能及び責務を定めた関連命令の資料を基に IGES 作成)
水質環境基準
水質環境基準は表流水、沿岸水域、地下水に適用され
る。
環境モニタリングセンターは、2010 年 3月23日付ベトナ
ム環境総局決定 No. 188 /QD-IDUによって設立された。同
リングポータルサイト上で報告書の閲覧や情報共有が可能
となった。しかし、同データベースにアクセスするには、利
用者はベトナム環境総局から認証を受け、ユーザー名及び
パスワードを獲得しなければならない(図 2 . 13 . 9 . )。
センターは、国内の環境モニタリング、建設及び環境デー
モニタリングプログラムでは、次の約 20 水質項目が分析
タ管理、環境モニタリングにおける情報技術の活用、ベト
される: pH、水温、浮遊物質(SS)、濁度、電気電導率(EC)、
ナム環境総局の機能枠組内での環境の質に関する報告と
酸化還元電位( ORP )、溶存酸素( DO )、COD、BOD、NH 4 +、
いった業務の企画・実施においてベトナム環境総局を補助
NO 3 -、PO 43 -、硫酸イオン SO 42 -、Cl-、大腸菌群、重金属( Pb、
する。環境モニタリングセンターはベトナムの環境モニタ
Ni、Cd、Cr、Hg、As、Mn、Fe )、油分、石炭酸、微量農薬。の
リングネットワークの主導機関である。2005 年以来、環境
ちに、次の項目が加えられた:界面活性剤、油脂、アルドリ
モニタリングセンターは多数の定期モニタリングプログラ
ン+ディルドリン、エンドリン、ヘクサクロロシクロヘキサン
ムを実施している。
モニタリングデータをより有効に管理するため、2003 年
( BHC )、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(エンドスル
ファン(チオダン)、リンダン、クロルデン、ヘプタクロル)、
以降、環境モニタリングセンターは環境モニタリングデー
パラチオン、マラチオン( 2 , 4 D; 2 , 4 , 5 T; パラコート)、大腸
タ管理を目的とした初のソフトウェア開発にあたった。
菌( E. Coli )
( CEM、2014 )。
2009 年から2011 年にかけて、情報ネットワークシステム構
モニタリングデータは、水質保全に係る政策及び方策の
築への投資事業の枠組の下、同ソフトウェアは新規システ
評価及び改訂に活用される。天然資源環境省は、国家環境
ムへと改良され、増加する需要に対応するため同期化され
報告書を毎年発行しており、主なデータは同報告書中で一
た。この事業では、環境モニタリングデータベースシステム
般公表される。
が構築され、情報ツール及びコミュニケーションツールを
112
統合してウェブ上のモニタリングデータを受け、環境モニタ
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
ベトナムの水質保全
中国
2014年環境保護法
2012年水資源法
インドネシア
水質環境基準
QCVN 8: 2008/BTNMT – 表流水質に関する国家技術基準
QCVN 9: 2008/BTNMT – 地下水質に関する国家技術基準
QCVN 38: 2011/BTNMT – 水産生物保護を目的とした表流水質に関する国家技術基準
QCVN 39: 2011/BTNMT – 灌漑農業の水質に関する国家技術基準
日本
QCVN 10: 2008/BTNMT – 沿岸水質に関する国家技術基準
QCVN 44: 2012/BTNMT – 沖合の水質に関する国家技術基準
韓国
排水基準
QCVN 01: 2008/BTNMT – 天然ゴム加工産業の排水に関する国家技術基準
ラオス人民民主共和国
QCVN 11: 2008/BTNMT – 水産製品加工業の排水に関する国家技術基準
QCVN 12: 2008/BTNMT – 製紙・パルプ業の排水に関する国家技術基準
QCVN 13: 2008/BTNMT – 繊維業の排水に関する国家技術基準
QCVN 14: 2008/BTNMT – 生活排水に関する国家技術基準
QCVN 40: 2011/BTNMT – 工業排水に関する国家技術基準
QCVN 25: 2009/BTNMT – 固形廃棄物埋立地の排水に関する国家技術基準
QCVN 28: 2010/BTNMT – 保健医療排水に関する国家技術基準
QCVN 35: 2010/BTNMT – 沖合の石油・ガス施設のための放流生産水に関する国家技術基準
QCVN 52: 2013/BTNMT – 鉄鋼業の排水に関する国家技術基準
ミャンマー
その他の関連法令、決定、命令、通達、等
マレーシア
QCVN 29: 2010/BTNMT – 石油貯蔵施設及び給油所の排水に関する国家技術基準
図2.13.8. ベトナムの水質保全関連の法律及び基準
(出典 : 関連各省庁の法令、基準、決定、命令、通達等の資料を基に IGES 作成)
ネパール
排出基準
図 2 . 13 . 8 .に示すように、ベトナムでは生活排水、工業排
フィリピン
水、保健医療排水といった様々な排水基準が定められてい
る。政府発行の通達に従い、通常、企業には環境影響評価
( EIA )の実施が義務付けられており、さらに年に 4 回の自
スリランカ
己モニタリングを行わなければならない。天然資源環境
省、ベトナム環境総局、及び(或いは)天然資源環境局は、
年に 2 回、工業排水基準の遵守状況に係る検査を行う。こ
れない。違反が疑われる場合は、公安省( MPS )の「環境警
察」が事前通告なしに強制調査を行う権限を持ち、不遵守
(出典 : 写真は http://lvsnhue.cem.gov.vn/; dated 24 / 02 / 2015より抜粋)
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
ベトナム
を特定することが機会がより多い。
図2.13.9. ベトナム環境総局開発の Nhue – Bay 川流域のリアル
タイム環境モニタリングポータルサイト
タイ
の検査の際には事前に通告があり、年に 2 回以上は実施さ
113
06. 水質環境保護に関する最近の成果
記すべき点である:
( i )生活排水については、環境保護負
担金は上水 1 m 3 販売価格のうちの一定の割合( % )で算出
環境保全に係る中央党決議を発展させ、ベトナム共産党
され、付加価値税がかからない上水水販売価格の 10 %を
中央執行委員会は、
「気候変動、天然資源管理の改善、環
超えない範囲とすること、
( ii )工業排水については、課金対
境保全に積極的に対応する」との決議 No. 24 –NQ/TWを
象の汚染物質(水質項目)は 6 項目から2 項目
(化学的酸素
2013 年 6月に採択した。本決議に従い、気候変動及び環境
要求量( COD )及び全浮遊物質( TSS ))に減ったこと。固定
問題は地球規模の課題として扱われる。従って、気候変動
料金及び変動料金が採用され、約5〜6倍に増加している。
対策及び環境保全には、国際的な状況を勘案してあたらな
ければならない。気候変動に積極的に対応し、資源管理を
強化し、環境を守ることは、重要な課題であり、ベトナムの
持続可能な開発に多大に影響し、密接に関連するものであ
ベトナムは 1990 年代以降、水質管理システムの整備を
る。また、国防と安全及び社会保障を確実に実行する経済
進めてきた。特に 2000 年には、環境関連の法令の充 実が
開発のためのガイドライン及び政策を立案する基礎であ
図られ、環境・排水基準の改正、遵守違反への対応の強化、
る。環境保全の強化は自然と調和し、自然の法則に合致す
環境保護負担金の導入等が行われた。ベトナムは今後、以
る必要がある。そして、防止が鍵となる。汚染管理、環境改
下の課題に対処しながら、水環境管理のシステムと能力を
善、天然自然の保護、生物多様性は全て、人々の健康保護
強化することで、実施の保証と執行に取り組んで行かなけ
を第一に掲げ、これを目指すものである。同環境保全の決
ればならない( Nguen 2010、Nga 2011 )。
議は環境汚染を招き公衆衛生を損ねる事業を断固として
拒否する。
2 0 1 4 年改正 の 環境保護法 が 国会( N A )で 採択され、
2015 年 1月に発効予定である。これは、環境保護における
現在の課題に対応する上で重要な法的枠組みと考えられ
ている。天然資源環境省 Bui Cach Tuyen 副大臣によると、
法制度のより一層の改善(特に省、セクター、地方当局と
の間で重複したり調整不足となっ ている条項の削除
等)。
流域管理アプローチの促進。国内及び越境河川流域管
理における水環境管理を改善・強化する。
同新法は、以前の法制度の限界及び欠点を補っており、グ
十分に関心を寄せ、政府予算を割り当て、民間企業及び
リーン成長、気候変動、環境保障における新たな内容をふ
住民に対しより良い生活排水・工業排水処理システムを
まえ、規制をベトナムの国際的な責務に調和させている
提供する。
( Hop、2015 )。新法は、全ての団体、組織、家庭、個人が環
境保護の責務を負うと明記している。さらに、河川及び流
域の水質汚濁管理について、関係省、地方自治体、地方省
レベル局の権限及び所管業務を明確にしている。新法で
は、環境保護原則と社会経済開発、社会保障、子どもの権
利、保護、開発、気候変動との調和に重点が置かれている
( VEN、2014 )。
2013 年 3月29日付の排水に対する環境保護負担金に関
する規定(命令 No. 25 / 2013 /ND-CP )は、排水に対する環
水質改善に向けた適正技術の選択・導入。特に地元の
様々な状況に適した排水処理技術の導入。
環境保護全般に対する住民参加の促進。特に、水環境保
全における住民参加は非常に少ない。ベトナム環境総
局の調査( 2010 年 10月)によると、調査対象者の 90 % 以
上が環境に関する情報をほとんど有しておらず、これは
中央及び地方レベルの管理機関に原因があると指摘し
ている。
境保護負担金 に 関 する 2 0 0 3 年 6 月 1 3 日付 の 命令 N o .
水環境管理問題の改善について住民及び産業セクター
67 / 2003 /ND-CP、No. 04 / 2007 /ND-CP、No. 26 / 2010 /
の意識及び参加を拡大させることが不可欠である。
ND-CPに替わる規定である。同新規定では、次の 2 点が特
114
07. 現在及び今後の課題
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
第二章 WEPA パートナー国における水環境管理に関する国別情報
カンボジア
法令遵守の徹底:技術/運営ガイドライン、環境保護の
主流化及び持続可能な開発の検査、改善、強化の徹底、
中国
遵守違反に対する行政罰のさらなる強化。
水質管理の実施に係る国・地方レベルの制度能力の強
インドネシア
化。特に、水質モニタリング、汚染源の管理及び調査、現
場での処罰賦課、等において強化が必要である。
健全な情報基盤の構築:水質状況及び管理に関する信
頼性の高い情報システムの構築。
日本
環境保護予算の増額:国家予算の 2 %を環境活動に確保
することを目標に設定。
韓国
ラオス人民民主共和国
マレーシア
ミャンマー
ネパール
フィリピン
スリランカ
タイ
ベトナム
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
115
付 録
WEPA 諸国における社会、経済、水に関する指標
国
地勢1
面積
(km2)
人口2
年
1990
カンボジア
中国
181,035 a
(2013)
9,600,00 b
(2010)
総人口
(人)
過去
20年間の
成長率
9,057,339
インドネシア
日本
韓国
ラオス人民
民主共和国
マレーシア
ミャンマー
ネパール
フィリピン
スリランカ
タイ
ベトナム
377,962 d
(2013)
99,700 e
(2009)
236,800 f
(2005)
330,803 g
(2010)
676,578 h
(2011)
147,181 i
(2008)
299,404 j
(2006)
65,610 k
(2014)
513,119 l
(2011)
330,972 m
(2013)
過去
20年間の
成長率
1,408,054
1993
2,533,727,592
11,519,238
51%
2010
11,242,266,334
15,238,689,686
15,135,169
3,075,315
12,059,854
2013
1990 1,135,185,000
300,165,618
835,019,382
1990
356,937,329,023
2010
5,930,502,270,313
1990
178,633,239
2010
240,676,485
2013
249,865,631
1990
123,537,000
2010
127,450,459
2013
127,338,621
1990
42,869,283
2010
49,410,366
35%
658,498,663
102%
7,649,285
名目GDP(USD)
14,364,931
18%
2,845,693
年
2013
2010 1,337,705,000
59%
過去
20年間の
成長率
地方人口
(人)
2010
2013 1,357,380,000
1,910,931 c
(2014)
都市人口
(人)
経済 3
119%
9,240,270,452,047
6,807
1990
114,426,498,045
641
2010
709,190,823,320
2013
868,345,652,475
1990
3,103,698,099,973
2010
5,495,387,182,996
9,561,857
2013
4,919,563,108,373
11,212,890
1990
284,757,121,058
2010
1,094,499,350,178
1,304,553,972,502
25,977
865,559,856
204
120%
115,370,704
40,484,877
120,521,157
-3%
119,305,841
27,994,720
21%
28%
12,079,755
8,925,489
-57%
-20%
2013
50,219,669
41,305,176
8,914,493
2013
1990
4,244,520
655,227
3,589,293
1990
2010
6,395,713
2013
6,769,727
1990
18,211,097
2010
28,275,835
2013
29,716,965
21,777,781
1990
42,123,003
10,349,622
2010
51,931,231
2,118,452
223%
2,468,852
20,050,960
16,309,003
4,277,261
19%
4,300,875
9,068,034
23%
4,433
2013
120,155,328
58%
7,181,441,152
2013
11,242,526,454
520%
2,947
43,118
6,642
284%
730%
22,151
1,123
7,939,184
2013
313,159,097,401
10,538
31,773,381
1990
2,788,000,000
68
2010
45,428,000,000
12%
1529%
8,754
742
53,259,018
17,579,204
35,679,814
2013
56,759,000,000
1,113
1990
18,111,200
1,603,566
16,507,634
1990
3,627,559,252
200
22,329,979
2009
15,994,094,607
2013
19,294,348,174
26,846,016
2013
27,797,457
1990
61,948,688
2010
93,444,322
2013
98,393,574
43,916,004
1990
17,015,000
3,159,005
2010
20,653,000
2013
20,483,000
1990
56,582,726
2010
66,402,316
2013
67,010,502
1990
66,016,700
2010
86,932,500
2013
89,708,900
48%
4,516,037
182%
4,969,351
30,100,867
51%
21%
42,288,228
3,783,836
20%
29,270,141
32,126,845
13,371,683
32%
26,420,525
28,984,049
44,311,595,230
54,477,570
2013
272,066,554,886
2,765
13,855,995
1990
8,032,551,173
472
2010
49,567,521,670
2013
67,182,015,336
16,869,164
22%
1990
85,343,189,321
2010
318,907,930,076
34,883,657
2013
387,252,164,291
52,645,017
1990
98%
6,471,740,486
2010
115,931,749,905
2013
171,390,003,229
37,132,175
60,511,975
60,724,851
-7%
15%
262%
991%
197%
694
199,589,447,424
61%
39,933,825
76%
596
2010
51,156,094
16,734,611
16,648,901
341%
1990
31,847,821
40%
3,748,389
17%
35%
22,828,106
451%
2,417
462%
2013
2010
233%
1,661
44,023,808,215
35,622,228
72%
38,634
247,533,525,518
-10%
360%
25,124
77%
2010
8,224,875
1312%
3,475
1990
9,143,063
121%
2010
212%
314
1561%
124,000,049
31,656,393
55%
783
1,007
635,688,202
117,776,764
51%
344%
54,633,190
95,542,280
15%
-19%
251
721,691,798
130,559,790
3%
679,206,337
過去 一人当たり
過去
20年間の 名目GDP 20年間の
(USD)
成長率
成長率
715
350%
517%
2,136
2,400
199%
408%
3,280
1,508
274%
4,803
218%
5,779
98
1691%
1,334
1261%
1,911
1. a. 2014-2018年カンボジア国家戦略開発計画。b. 2010年中国統計年鑑。c. 2014年中央統計局。d. 2015日本統計年鑑。e. 2012年韓国統計局。f. 2005年ラオス統計年鑑。g. マレーシア統計局
公式ウェブサイト。h. 2011年「ミャンマーと健康」。i. ネパール政府公式ウェブサイトの国情報。j. フィリピン政府観光省ウェブサイト。k. スリランカ統計局の2010年基本統計。l. タイ国家統計局
2008年環境報告書。m. ベトナム統計局公式ウェブサイト。
118
WEPA アジア水環境管理アウトルック 2015
付録
水資源 4
平均降水量
(mm/年)
1,904
645.0
2,702
1,668
1,274
1,834
2,875
2,091
水利用 5
水資源量
(km3)
476.1*
2,840
2,019
430
69.7*
333.5*
580*
1,168*
年
2006
2,348
1,712
210.2*
479
52.8*
1,821
438.6*
884.1
年
農業用水
94.0
工業用水
1.5
都市用水
4.5
安全な水源に
アクセスのある
人口割合(%)
十分な公衆衛生に
アクセスのある
人口割合(%)
都市
地方
都市
1990
32.4
19.5
17.7
0.0
2000
57.0
38.0
43.3
10.2
2012
93.9
65.6
81.6
25.5
83.0
10.0
7.0
1990
96.7
56.0
47.8
15.1
2005
554.1
64.6
23.2
12.2
2000
97.5
70.4
60.9
35.5
2012
98.4
84.9
74.1
55.8
1990
74.3
93.1
0.5
6.4
1990
89.6
61.0
61.1
23.7
2000
113.3
81.9
6.5
11.6
2000
91.2
68.0
65.8
33.6
2012
93.0
76.4
71.4
45.5
1992
64.1
17.3
18.6
1990
100.0
100.0
100.0
100.0
2001
90*
63.1*
17.6*
19.3*
2000
100.0
100.0
100.0
100.0
2012
100.0
100.0
100.0
100.0
2002
25.5*
62.0*
12.0*
26.0*
1990
97.0
-
100.0
100.0
2000
98.1
75.3
100.0
100.0
2012
99.7
87.9
100.0
100.0
2005
91.4
3.5*
91.4*
4.9*
3.7*
1990
-
-
-
-
2000
72.2
37.9
66.1
17.2
2012
83.7
64.9
90.4
50.5
1990
10.1*
82.0*
9.9*
8.1*
1990
94.3
82.1
88.4
80.5
2005
11.2*
22.3*
42.8*
34.8*
2000
98.5
93.1
93.7
89.9
2012
100.0
98.5
96.1
94.6
1990
80.1
47.6
-
-
2000
85.5
59.9
78.9
53.7
2012
94.8
81.1
84.3
73.9
1987
28.3*
33.2
98.6*
89.0
0.4*
1.0
1.0*
10.0
2000
9.7*
97.5*
0.4*
2.1*
1990
97.4
63.4
34.3
3.5
2006
9.5*
98.1*
0.3*
1.6*
2000
94.2
74.4
41.9
17.2
2012
90.3
87.6
51.2
33.7
1990
92.2
75.4
69.4
45.2
2000
92.4
83.3
74.4
57.3
2012
92.5
91.2
79.4
69.4
2.0
1990
91.6
62.6
78.1
65.4
6.2
2000
95.0
76.4
80.3
78.4
2012
99.1
92.9
82.9
93.9
1990
96.3
82.3
87.2
79.5
2000
96.5
89.5
88.2
92.7
2009
1990
2007
81.6
9.8
13.0
57.3
82.2
96.0
87.3
90.4
10.1
2.0
6.4
4.8
7.6
4.8
生活排水処理
年
地方
500.0
2005
1,622
2.2
セクター別水資源使用率(%)
1990
2000
1,500
年間
水使用量
(10億m3)
水と衛生に関するミレニアム開発目標達成度 6
2012
96.7
95.3
88.7
95.9
1985
45.3
89.8
6.3
3.9
1990
89.9
54.4
64.1
30.6
2005
82.0
94.8
3.7
1.5
2000
93.6
72.2
77.3
47.0
2012
98.2
93.6
93.1
66.6
下水処理
普及率
(%)
備考
2010
<5
WEPA推計
2010
72.9
都市部のみ
2010
<5
WEPA推計
2014
80
2011
91
2010
<5
2010
66
2010
<5
WEPA推計
2010
<5
WEPA推計
2010
<5
WEPA推計
2010
<5
WEPA推計
2008
23
2010
<5
WEPA推計
サバ州、
サワラク州を除く
WEPA推計
2. 世界銀行の世界開発インディケーターデータベース。3. ミャンマーのデータ以外は世界銀行の世界開発インディケーターデータベース。ミャンマーのデータはIMFの世界経済アウトルックデー
タベース、2011年9月版及び2014年10月版。4. FAOのAQUASTAT国別データベース。5. FAOのAQUASTAT国別データベース。6. WHO及びUNICEFの協同による水道供給及び衛生のモニタリング
プログラム。*推測。
WEPAアジア水環境管理アウトルック 2015
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