管路の非定常流(その2) Water Hammer (水撃)

水理学2
管路の非定常流(その2)
Water Hammer (水撃)
階下の住人が水道栓を急開閉め
すると、水道管がカーン、カー
ンと撃音を出すことがある。
Water Hammer (水撃)
で壊れたポンプ
Question
The problem we have is our water pipes bang
very loudly when we shut off a faucet or flush
the toilet--basically, every time we use the water
for anything. Advice?
Answer
What you are describing sounds like water hammer, which
can be the bane of an older plumbing system. It does with
sudden changes in water pressure. When you shut off a
faucet, all the water that has been pouring into the sink
or tub suddenly has nowhere to go. It just stops. That
"hammer" creates a shock wave, causing a momentary
spike in water pressure and making an unsettling bang
that reverberates through your plumbing.
bane 【名】 ,破壊・破滅・苦しみ・悩み-の元,原因-
簡単に言うと、 Water Hammer (水撃現象)とは、バルブの閉塞により行き
場を失った水が圧縮され、それに対応した圧縮応力(=圧力)が水に生ずる
ことである。この水の圧縮によって生ずる圧力変化は、一管全体に瞬時に伝
播するわけでなく、バルブの部分から上流に向かってある一定の速度で伝播
してゆく。
水と空気の違いはあるが、長細いゴム風船が末端から膨らんで
いく現象は水撃現象(=弾性波伝播)の一種である。
ジューコフスキーの公式
ct
圧力変動(弾性波)
の伝播速度
c
バルブ閉塞開始前の
エネルギー線
v
v  v
y 
p
ρg
y 
p
ρg
v  v
L
バルブ
バルブを操作して管から出る水の流速を v から v ー v に変化させると、
次式で示される水頭 ys の水撃圧が発生する。
ys 
p
c
  v
ρg
g
この圧力の変動は、伝播速度 c で上流(水槽流出口)側に伝わって行く。
証明
c
検査空間
ρ
ρ  ρ
v  v
p  p
v
p
A
圧力上昇部の前線が
進行する速度
観察者が静止座標系
にいる場合
ρ
cv
p
  ρ  c  v  A   ρ  ρ  c  v  v  A
m
運動量則を検査空間座標系に適用すると
  c  v  v   m
 c  v
p A   p  p  A  m
 v  ρ  c  v  v A
p A  m
p  ρg ys  ρ  c  v  v
なので
ys 
c  v
g
p  p
c  v  v
観察者が検査空間と一緒に
移動している場合
検査空間への質量流入速度
c v
ρ  ρ
v 
c
v
g
余談
ジューコフスキーの公式は、ロシアの航空流体力学者 Zhukovsky によっ
て提案されたことになっているが、最近の研究によれば、それ以前に、
Rankine や von Kries によって発見されていたらしい。
Nikolai E. Zhukovskii
(1847-1921)
ロシアの航空力学者
Johannes von Kreis
(1853-1928)
ドイツの生理医学者
William J. M. Rankine
(1820-1872)
英国の技術・物理学者
圧力伝播速度 c の大きさ
水中の圧力伝播速度 c の値は次式から得られる(導き方は後述する)

1
ρ
K D
   1   
c
E b 
K 

K: 水の体積弾性率 E: 管材のヤング率 D: 管径 b: 管の肉厚
*例題+
内径 D=2.5 m、肉厚 b=25 mm の円形鉄管を伝わる圧力伝播速度を求め
なさい。ただし、水の体積弾性率は、2 GPa (=2×109 N/m2)、鉄管のヤ
ング率を200 GPa (=200×109 N/m2) とする。
*解答+
1N=1kg∙m/s2、水の密度 =1×103 kg/m3 なので




 1  103 
1
ρ
KD 
2  2.5 
1

1
   1    
1


(m/s)


9 
c
E b 
200  0.025 
K 
103
 2  10 
従って、c = 1000 m/s 。(註:実際にはガスの混入があるので、この値
を下回る。
最大可能水撃圧
バルブの完全閉塞によって流速 v0 の流れを完全に止めるとすれば、閉塞終了
時にバルブ部で発生し得ると想定される最大可能水撃圧は、
c
y s  v
g
c
ym 
g

v0
0
dv 
c
v
g 0
となる。
*例題+
v0=3.0 m/s で流れている管の流れをバルブで完全に止めた場合に発生し
得る最大可能水撃圧を求めよ。ただし、 c=1000 m/s とする。
*解答+
c
1000
v0 
 3.0  306 m
g
9.8
2
v02  3.0 
バルブ閉塞前の速度水頭 hv 

 0.46 m に比べると
2g 2  9.8
ym 
ym が非常に大きな値であることがわる。
最大可能水撃圧が実際に発生するか否か、あるいは、発生したとしてもそ
れが管のどの範囲まで到達するかは、バルブ閉塞に要する時間と管長の比
率に依存する。
瞬間閉塞の場合の水撃現象 (1)
第1四半周期
0t
L
c
第2四半周期
L
L
t2
c
c
ys
ym
c
ym
0
 ym
v
v0
0
v 0
簡単のために、瞬間的にバルブを閉じた
とする。そのことによって生じた正圧前
進波は水槽流の流出口に向かって進む。
前進波が通過した部分での流速は、0 に
なる。正圧前進波が水槽に到達すると、
反射波として負圧後退波が発生する。
ys
c
0
 ym
v0
0
v 0
負圧後退波がバルブに向かって進む。こ
の負圧後退波は前進波の水撃正圧を打ち
消していく。この後退波が通過した部分
の流速は –v0 になる。負圧後退波がバル
ブに到達すると、圧力を維持したまま負
圧前進波になる。
瞬間閉塞の水撃現象(2)
第3四半周期
L
L
2 t3
c
c
第4四半周期
L
L
3 t4
c
c
ys
ym
c
c
0
 ym
v0
0
v 0
負圧前進波が水槽流出口に向かって進む。
第2四半周期で管内の圧力は原状に戻され
ているので、負圧前進波が通過した部分で
の圧力は – ym になり、流速は 0 に戻され
る。負圧前進波が水槽流出口に到達すると、
反射波として正圧後退波が発生する。
ys
ym
0
 ym
v0
0
v 0
正圧後退波がバルブに向かって進む。この
正圧後退波は前進波の負圧を打ち消して行
くが、この後退波が通過した部分の流速は
v0 になる。正圧後退波がバルブに到達す
ると、圧力を維持したまま正圧前進波とし
て反射し、第1四半周期に戻る。
負圧 と Cavitation
数理的な解析では、水撃現象では非常に大きな負圧が発生することになるが、
圧力は絶対圧で0(水理学的に言えば、水頭で –10.34 m)以下にはなりえな
い。実際には、常温での水蒸気圧は、水頭で 0.24 m であるので、
水は、水頭で - 10.1 m以下になると液体としては存在できず、一部がガス状
の水、すなはち水蒸気になる。
このような水蒸気ガスは合体して比較的に大きな気泡を形成して管上壁近辺に
集まり、液体の水の流れを妨げる(この現象を“水柱分離”という)。次ぎの周
期の大きな正圧状態で水がこの気泡を押しつぶすときに、水が集中的に壁面に
衝突し、ちょうど鋭い針が刺すように大きな応力をもたらして管材を痛める。
このような気泡発生による材料の損傷を空洞現象(cavitation:中国語では気穴
現象) という。
ポンプ羽車の負圧部に出来た気泡
気泡が潰れるときに出来た羽表面の傷
有限時間閉塞の水撃現象(1)
右図のように、バルブを時間 tc をかけて
閉じ、出口流速を v0 から 0 に直線的に低
減してゆく場合を考える。
v0
v
t
v   1 
tc

v
 0

0
(1) 急閉塞( ctc<2L )の場合
t
閉塞時間 t c
正圧前進波
ym
xct
t
tc
ym
x  c tc
ym
L
L
(イ) t<tc での水撃圧分布
(ロ) t=tc での水撃圧分布
(ハ) t=L/c での水撃圧分布
有限時間閉塞の水撃現象(2)
負圧
後退波
ym
ym
ym
xct
(ニ) tc<t<tL での分布
x L
ct c
2
(ホ) tL=L/c + tc/2 での分布
(へ) t>tc での分布
水槽からの距離が xL=ctc/2 以内の範囲は、負圧後退波の影響を受けて、
水撃圧は可能最大水撃圧 ym には到達しない。
2L
y
ct c m
(2) 緩閉塞( ctc>2L )の場合
閉塞が終了する前に、負圧後退波がバル
ブに到着し、バルブ部位においても、可
能最大水撃圧 ym は実現しない。
L
*例題+
30 m
動水勾配線
A
A~B
B~C
C~D
D~E
E~F
750
500
800
150
350
30 m
30 m
C
m
m
m
m
m
100 m
60 m
D
F
E
B
上図のような動水勾配線をもつ管径が 3.0 m、管肉厚が 15 mm の管か
らなる総延長 2550 m の管路の末端 F にあるバルブを絞り、 4 秒間で
流速を 3 m/s から 0.5 m/s へ減少させた。この際に管路で生ずる最大
の総水力(=静圧〒水撃圧)を求めなさい。ただし、水の体積弾性率を
2 GPa、管材料のヤング率を 200 Pa とする。
*解答+


 1  103 
1
2  3.0 
1
1
 
1


(m/s)



9
c
200  0.015 
816
 2  10 
ゆえに c  816 m/s
可能最大水撃圧
c
816
ym   v0  v  
 3.0  0.5   208 m
g
9.8
可能最大水撃圧は A 点からの距離が
xL 
c t c 816  4

 1632 m 以上の部分に伝播する。
2
2
E点では、ym が 100 % 実現する
(yt )E  (yn )E  ym  60  208  268 m
B点では、ym の 750/1632 の割合でしか実現しない。
(y t )B  (yn )B 
x AB
750
ym  100 
 208   196 m
xL
1632
よって、静圧を含めた最大総水圧は、E 点で生ずる。
水撃現象の数理的な解析
Δx
連続の式
水撃現象のような水圧変化が大き
な管路流の非定常現象では、水は
もはや非圧縮性流体としては扱え
ず、また管断面積も変化するもの
と考えなければならない。
A: 管断面積
質量流束(入)
ρAv 
ρAv

 ρAv  Δx
x
質量流束(出)

 ρA  Δx
t
右上図のような検査空間について、質量の収支をとると、
質量蓄積速度


 ρA    ρAv   0
t
x


v
 ρA   v  ρA   ρA  0
t
x
x
A
従って
dρ
dA
v
ρ
 ρA
0
dt
dt
x
1 dρ 1 dA v


0
ρ dt A dt x
d
v
 ρA   ρA  0
dt
x
水圧増加による管断面積の増加量
管厚 b
円形管に作用する力の平衡式: 2ζb  pD
δp の水圧増加にともなう歪み率の増加 δε は
δε 
δζ δp  D 

E E  2b 
ζb
E: 管材のヤング率
水圧合力 pD
一方、歪み率の定義から
円周増加量 管径増加量 δD


管円周
管径
D
δp  D2 
∴ δD  Dδε 
E  2b 
δD の管径増加にともなう円面積の増加 δA は
πD δD
δA   2π r  δ r 
2
 πD2  δp  D 
δp  D 


A


b
E b
4
E


 


δε 
∴
δA δp  D 
  
A
Eb
ζb
管肉張力
連続の式(続き)
一方、体積弾性率の定義から
δρ
δΩ δp


ρ
Ω
K
K: 水の体積弾性率
1 dρ 1 dA v


 0 を水圧と流速を変数とする式にすると、
ρ dt A dt x
1 1  D  dp v


0
K E  b  dt x
従って


さらに、 水圧 p を ピエゾ水頭 y に置き換えると
y

p
z
ρg
1
ρ
D K

1   
c
K
 b E
p
yz
ρg



dp
dy
dz
 ρg
  0 dt
dt
dt
ρ
D K dy 1 v
1   

0
K
 b  E dt g x
とすれば
dy c 2 v

0
dt g x
連続の式(続き)
全頁までの結論
dy c 2 v

0
dt g x
dy
ここで は実質微分であるので次のように分解できる
dt
dy y
y

v
dt t
x
しかし、水撃現象では、現象が進行する速度 c が流速 v に比べて
はるか大きいので、上式の第2項は無視しても良い。すなはち
dy y
y y
δt
y
v
y

 v   1  v    1   
dt t
x t 
δx  t 
c  t
結局、水撃現象での連続の式は次式で表現される
y c 2 v

0
t g x
運動方程式
水撃現象の運動方程式には、非定常のべルヌーイ式がそのまま使える
 h
1 v H hL 1 v   v 2  p



 

 z    L  0
g t x x
g t x  2 g  ρg
  x


1 v
v
y λ v v
v


0
g t
x
x D 2 g
y
p
z
ρg
ここでも
なので
v
v v 
δt
v
v
v
v
  1  v    1   
t
x t 
δx  t 
c  t
1 v y λ v v


0
g t x D 2 g
λ  0 の場合は、
1 v y

0
g t x
水撃圧は波である
y c 2 v

0
t g x
(1)
v
y
g
0
t
x
(2)
(1)と(2)から v を消去すると
2
 2 y c 2   v   2 y
2 y

0
 t   2  c
2
2
g

x

 t
t
x
また、y を消去すると
2
2v
  y   2 v
2 v
g 

c
0
x  t  t 2
t 2
x 2
波動方程式
2
2y
2 y
c
0
2
2
t
x
2
2v
2 v
c
0
2
2
t
x
波動方程式の解法
例として
2
2v
2 v
c
0
t 2
x 2
ξ  ξ  x, t   x  ct
2v 1 2v

0
x 2 c 2 t 2
を解いてみる。
という関数を考えると
dξ
1
dx
dξ
 c
dt
d dx  dt 
 1




従って
dξ dξ x dξ t x c t
同様に
η  η  x, t   x  ct
という関数を考えると
d dx  dt 
 1




dη dη x dη t x c t
d
 1


dξ x c t
波動方程式
および
2v 1 2v
 2 2 0
2
x
c t

2v 1 2v
 1



x c t
x 2 c 2 t 2
d d 
v 0
dη  dξ 
d
 1


dη x c t

という演算子を使うと、
は次のように書き換えられる
  
   1  v  d d v  0
 x c t 
dη dξ


の一般解は
v  F (ξ)  G (η)  定数
定数を v0 とおけば
v  v0  F (ξ)  G (η)
すなはち
v  v0  F (x  ct)  G (x  ct)
なので
*補足+
一般論として y= F(x - ct) と表される関数を前進波、あるいは進行波と言う。
このように表される関数では、 ( x, t ) 座標上の直線 x=ct + a (a は定数)に
沿っては、 y の値は常に、
t
y=F(a)=一定値
になる。
逆に y= F(x + ct) と表される関数を後進波、
あるいは後退波と言う。
1
t0
y= F(x - ct) という関係式は、移流方程式
y
y
+c = 0
t
x
からも得られる。
c
x = ct0 + a
x= a
2
2

y

y
2
波動方程式

c
= 0 の解は
2
2
t
x
y
y
y
y
+ c = 0 の解と
 c = 0 の解を重ね合わせたものとも言える
t
x
t
x
x
バルブの瞬間閉塞で生ずる水撃波の解析(摩擦損失が無視できる場合)
右図のようなバルブの上流での摩
擦損失が無視できる水平管におい
て、バルブを瞬時に閉塞したとき
に発生する水撃波を考えてみる。
動水勾配線
U0
H0
y0
閉塞前(t<0)の条件
v(x, t)  U0
y(x, t)  y 0  H0 
2
U0
2g
x0
前に解いた結果を使えば
v  U0  U0 F  x  ct   G  x  ct 
F  x  ct  、 G  x  ct  : 無次元の関数
x
x L
v
 U0  cF  x  ct   cG  x  ct  
t
1 v y

0
g t x
より
y
1  v 
dx
g  t 

従って
c
U F  x  ct   G  x  ct    定数
g 0
 ym  F  x  ct   G  x  ct   +定数
y
閉塞前には
F  x  ct   0
G  x  ct   0
y( x, t )  y 0
なので
y  y0  ym F  x  ct   G  x  ct 
となる。
境界条件
t > 0 で常に
F(x  ct)  G(x  ct)  0
y(L, t )  H0
このことは、水槽出口部で生ずる後退波 G の値は到着する前進波 F
の値と同じであることを意味する。
F(x  ct)  G(x  ct)  1
v(0, t)  0
このことは、バルブ部で生ずる前進波 F の値と到着する G の値とは、
F〒G=1 の関係があることを意味する。
結局、v と y とは、この2つの境界条件を満たすように、F と G の値を
変えながら、周期変動する。
周期
ct/L
1
0→1
1→2
2→3
3→4
4→5
5→6
6→7
7→8
8→9
9→10
10→11
11→12
2
3
前進
後退
前進
後退
前進
後退
前進
後退
前進
後退
前進
後退
管内
バルブ条件 水槽側条件
F + G = 1 F - G = 0 水撃圧比
流速比
F値
G値
F-G
F+G-1
1
1
0
1
0
1
0
-1
0
0
0
-1
1
1
0
1
0
1
0
-1
0
0
0
-1
1
1
0
1
0
1
0
-1
0
0
0
-1
バルブでの水圧変動
y0  ym
y0
0
y0  ym
8L / c
G0
F0
FG0
F  G  1
G 1
F 1
FG0
F  G 1
F0
FG0
F  G  1
6L / c
4L / c
FG0
2L / c
F 1
t
F  G 1
F0
G0
G0
0
2L / c 4L / c 6L / c 8L / c
管中央での水圧変動
y0  ym
G 1
y0
0
y0  ym
x
0
2L / c 4L / c 6L / c 8L / c
特性曲線法による偏微分方程式の解法
F
F
 p ( x, t )
=q (x, t)
t
x
(1)
という偏微分方程式で表される関数 F = F (x, t ) の解法を考えてみる。
一般的に言えば、このような偏微分方程式は解けない。しかし、曲線
dx
この関係式を
 p ( x, t) (2)
特性曲線とい
dt
う
の上の点に限定すれば、上記の方程式は、
F dx F dF


 q ( x, t) (3)
t
dt x
dt
となるので、解くことが可能になる。
このように、 (1) の形式の偏微分方程式を2つの常微分方程式 (2), (3)
に還元して解く方法を特性曲線法という。
水撃波の場合には、特性曲線が”特性直線”になるので、特性曲線法は
有効な解析方法である。
特性曲線法を利用した水撃圧の数値解析法
摩擦を考慮する場合の水撃圧伝播の基本式は
運動方程式
1 v y λ v v


0
g t x D 2 g
連続の式
y c 2 v

0
t g x
u
gy
c
r
λ
v v
2D
v
 gy 
λ v v
 c 


t
x  c 
D 2
c
v   g y 
 
0

x t  c 
(3)ー(4);
(2)
とおくと、(1) と (2) は、それぞれ
v
u
c
 r (3)
t
x
(3)〒(4);
(1)


(v  u)  c (v  u)  r
t
x


(v  u)  c (v  u)  r
t
x
c
v u

0
x t
(5)
(6)
(4)
特性曲線法を利用した水撃圧の数値解析法(続き)
t(新)  t (現)  Δt  t (現) 
Δx
c
t(新)
Δt
t (現)
時間軸
右図のように、空間軸 x を横軸
とし、時間軸 t を縦軸とする座
標を考え、それぞれ間隔
L
Δx
Δx 
Δt 
n
c
で格子分割する(n は任意の整
数)と
バルブ
Δx
空間軸
L


(v  u)  c (v  u)  r
t
x
(5)
d
(v  u)  r
dt
on
dx
c
dt
すなはち、 x (新)  x (現)  cΔt の軌跡上では、点(x, t) は
(v  u)(新)  (v  u)(現)  r (現) Δt
の関係の物理量 u, v を維持しながら移動する。
水槽
特性曲線法を利用した水撃圧の数値解析法(続き)
同様に


(v  u)  c (v  u)  r
t
x
(6)
d
(v  u)  r
dt
dx
 c
dt
on
x (新)  x (現)  cΔt の軌跡上では (v  u)(新)  (v  u)(現)  r (現) Δt の関係がある。
従って
Δx
x中(新)  x左(現)  Δx  x左(現)  cΔt
x中(新)  x 右(現)  Δx  x 右(現)  cΔt
の関係がある場合には、
(v  u)中(新)  (v  u)左(現)  r左(現) Δt
Δx
t(新)
t
Δt
(現)
x左
x中
(v  u)中(新)  (v  u)右(現)  r右(現) Δt
よって、 空間 x中 の時間 t (新) における v (新) および u(新) は
1
1
1
v中(新)  (v  u)左(現)  (v  u)右(現)  (r左(現)  r右(現) )Δt
2
2
2
1
1
1
u中(新)  (v  u)左(現)  (v  u)右(現)  (r左(現)  r右(現) )Δt
2
2
2
x右
特性曲線法を利用した水撃圧の数値解析法(続き)
境界条件の処理
バルブ側(=節点 0)
新しく求める時間 t でのバルブ開口面積を a(t) とすると
v(0 新) a(t) 2 g y0(新)
u0(新)
(1)

 φ(t)
( 0)
(0)
(0)
a(0) 2 g y0
v0
u0
a(t)
φ(t ) 
は開度と呼ばれ、時間 t と閉塞時間 t の関数である。
a(0)
v0(新)  u0(新)  v1(現)  u1(現)  r1(現) Δt
(1) と(2) を連立して
v0(新)、 u0(新)
(2)
を求める
水槽出口側(= 節点 n)
v (n 新)2
v(n 新)2 c (新)
( 新)
 yn

 un
H
2g
2g
g
vn(新)  un(新)  vn1(現)  un1(現)  r(現)n1Δt
この2式を連立して vn(新)、 un(新)
を求める
特性曲線法による水撃波伝播の数値解析例
(エクセルVBA)
計算与件
L  1000 m
エネルギー勾配線 D  0.5 m
H0  5 m
x の正方向
摩擦損失係数 λ  0.012
水撃伝播速度 c  1000 m/s
バルブ閉塞時間 t c  4 s
開度
φ(t)  1 
t
tc
( t<t c )
φ(t)  0 ( t  t c )
H  100 m
エクセルの表に出力されたデータ
時間変化を調べる場合は、このようなデータを「散布図」にしてグラフ化する。
t
開度関数が φ(t)  1 - で、 t c  4 s の場合
tc
水頭の時間変化
1000
800
ピエゾ水頭 (m)
600
400
200
0
-200
-400
-600
-800
流速の時間変化
流速(m/s)
10.0
5.0
0.0
-5.0
-10.0
0
5
10
15
20
経過時間(s)
前のグラフと上のグラフを比較してわかるように、圧力の時間変化と流速時間
変化は対象的になっていて、圧力の変化はバルブ近傍(0.0 km、0.2 km )で
0.0 km
0.2 km
0.8 km
1.0 km
大きく、流速の変化は水槽出口近傍(1.0
km 、0.8
km )で大きい。
どの場所においても最高点に達した以降の圧力や流速の変化は、閉塞時間や損
失係数の大きさに関係なく、4L/C (この例題では、4 s)の周期で行われる。
どの時点で最高点に達するかは、閉塞時間と開度の関数形によって異なる。
2
t
開度関数が φ(t)  1 - で、 t c  1 s の場合
tc
水頭の時間変化
1000
800
ピエゾ水頭 (m)
600
400
200
0
-200
-400
t
開度関数が φ(t)  1 - で、 t c  10 s の場合
tc
水頭の時間変化
1000
800
ピエゾ水頭 (m)
600
400
200
0
-200
-400
-600
-800
0
5
10
15
20
経過時間 (s)
0.0 km
0.2 km
0.8 km
1.0 km
25