ブルッカイト型およびブロンズ型酸化チタンの合成および光触媒活性評価

ブルッカイト型およびブロンズ型酸化チタンの合成および光触媒活性評価
東海大学大学院 理学研究科化学専攻 ○大野幸亮、山本和広、冨田 恒之
東京工業大学 応用セラミックス研究所 勝又健一、松下伸広、岡田清
【目的】TiO2 は紫外光に励起されて有機物の分解活性や
料として石原産業の STS-01 を用いた。
光誘起親水性を示すことで代表的な光触媒材料であり、
【結果】Fig1 にブルッカイト、ブロンズ型の紫外線照射
様々な分野に応用されている。一般的に使用されているの
下の水接触角変化の変化を示す。ブルッカイト型は
は合成が容易なアナターゼ型やルチル型である。他相とし
STS-01 に比べ良好な親水化特性を持つことがわかる。ま
てブルッカイト型、ブロンズ型があるが、ルチル型、アナ
た Fig2 に紫外線照射後の暗所下での水接触角の変化を示
ターゼ型に比べ合成が困難であるがためにその性質はあま
す。ブロンズ型は STS-01 に比べ X 時間後も高い親水性を
り研究が進んでいなかった。しかし、我々の研究グループ
保持しており高い親水保持能を持つことが分かる。これら
では水溶性チタン錯体を原料に水熱法を用いることでこれ
のことからブルッカイト型は親水化に優れ、ブロンズ型は
ら準安定相の単相合成に成功した。さらに今回ブルッカイ
親水性保持に優れていることが分かった。
100
【方法】金属チタン粉末を水冷した過酸化水素水とア
80
ンモニア水にペルオキソチタン錯体として溶解した。
この錯体はすぐに加水分解してしまうため錯形成剤
としてグリコール酸(HOCH2COOH)を添加し水溶
液中で安定なグリコール酸チタン錯体を作製した。
これに種々の添加剤を加え、テフロン/ステンレス製耐圧密
閉容器に入れ、473K で 5 時間水熱処理を行なった。得ら
れた生成物は遠心分離により回収し、XRD、TEM、BET
等によって同定、観察した。また、光触媒活性評価は接触
角計を用い、水接触角変化を追うことで調査した。比較資
Water contact angle / °
査した。
90
35
30
HT 400
70
HT 500
60
STS-01
50
40
30
Water contact angle / °
ト、ブロンズ型の薄膜を作製し、これらの光触媒活性を調
25
20
Bronze
STS-01
15
10
20
5
10
0
0
0
10 20 30 40 50 60
UV irradiation time / min
Figure1 水接触角変化
0
20
40 60 80 100 120
Time / hour
Figure2 暗所での親水性保持