【主張】H2Bロケット 国産宇宙船へ信頼高めよ

【主張】H2Bロケット 国産宇宙船へ信頼高めよ - MSN産経ニュース
2009/09/14 10:26
【主張】H2Bロケット 国産宇宙船へ信頼高めよ
2009.9.12 03:49
まばゆいオレンジ色の炎と燃焼ガスを暗い夜空に力強く噴射しながら、大型ロケットは一気に
雲の上に駆け上った。
初登場の「H2B」の先端部には同じく新開発の無人補給機「HTV」が積まれていた。ともに日本
の先端技術で開発された国産機である。
鹿児島県の種子島から飛び立ったH2BロケットはHTVを予定の軌道に運び、打ち上げは成功
した。HTVは目下、国際宇宙ステーション(ISS)への18日到着を目指して飛行中だ。
HTVがISSとの結合を完了すれば、日本の宇宙開発力は新たな段階へと進み、米露の水準に
ぐんと近づくことになる。そうした大きな意味を持つ挑戦である。
輸送力で、これまでのH2Aロケットを上回る最大型ロケットH2Bが、三菱重工業と宇宙航空研
究開発機構(JAXA)によって短期間、かつ低コストで実用化されたことは評価に値する。H2Aと
の併用で今後、世界の衛星打ち上げ市場の一端を開拓していく展望が開けるはずだ。
宇宙貨物船ともいえるHTVを日本が開発した意義は、さらに大きい。大型バスほどのHTVに
はISSで暮らしている宇宙飛行士のための食料や生活物資、実験機器などが搭載されている。
スペースシャトルは来年中に引退する予定なので、シャトルでしか運べなかった大型機材の
代替輸送手段としての期待が高い。有人活動では米露の世話になってきた日本による初の対
等な貢献だ。
HTVのすごいところは1気圧の空気が満たされた荷物室を備えていることである。これは将
来、国産の有人宇宙船へと進化し得るすぐれた機能なのだ。
ISSは、世界15カ国の参加で実現した。月面再訪や有人火星探査が検討されている、これか
らの宇宙開発では、一段と国際協力の必要が増すだろう。すぐれた宇宙技術は、日本の存在
感を高める。宇宙開発は国の科学技術力の総合的な指標であるからだ。
今後、H2Bについては、確実な打ち上げを重ねて信頼性の向上に努めてもらいたい。HTVに
関しては、大気圏再突入と回収技術の研究開発を進めてほしい。
12月には野口聡一飛行士がロシアのソユーズ宇宙船でISSに向かい、長期滞在に挑む。今
回の打ち上げで、日本の宇宙開発は、新たな段階へと進んだ。その確かな手応えが伝わってく
る。
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