1. 「映像翻訳」とは? 3. 英語以外もできれば有利 4. 映像翻訳には字数

3. 英語以外もできれば有利
1. 「映像翻訳」とは?
まず最初に、字幕よりもっと広義な「映像翻訳」とは何かという話をしましょう。翻訳といっても
「文芸翻訳」や「実務翻訳」のように様々な分野があり、各翻訳家はそれぞれ専門あるいは得意分野を
字幕翻訳とは「外国語の映像ソフトに日本語字幕を付けるための翻訳」ということになります。
その主流は英語圏、特にハリウッド製作品の翻訳です。
中心に活動しています。字幕翻訳の勉強をしようと思った皆さんですから、興味があるのは「映像翻訳」と
しかし、英語以外の言語もできれば、
それは一種の「特技」となる場合があります。たとえば数年前に
呼ばれている分野でしょう。
起こった韓流ブームでは、
それまでの数倍、
いや数十倍の数の韓国映画が公開、
またはDVDでリリース
「映像翻訳」とは、映画、テレビドラマ、
ドキュメンタリーなどの映像コンテンツ全般に関わる翻訳を
されました。英語圏以外の映画を翻訳する場合、英文に翻訳されたスクリプトが付く場合が多いの
言います。それには、
どんな種類があるのでしょうか?
ですが、
それがない場合もあります。もちろん、英語訳があってもなくても、原語を直接理解できた方が
いいことに変わりはありません。そういう意味で、英語以外の言語ができれば意外なデビューのチャン
2. 映像翻訳の種類
映像翻訳には、大別すると次の3種類があります。
1.字幕翻訳
映画館で上映される映画やTV放映される作品、
またDVDやビデオで売り出される映像ソフトなどに、
スがつかめるかも知れません。
しかしながら、
やはり需要が最も多いのは英語圏の作品です。本講座でも英語圏の作品を素材とします
が、他言語の翻訳をやってみたいという方も、基本的な手順はまったく同じです。
「はじめに」で「翻訳方法
は、
どのジャンルであっても基本的には同じ」と書きましたが、
これは「どの言語であっても」とも書き替えられ
ます。つまり本講座で基礎を身につけていただけば、
どんな言語の作品でも翻訳できるということです。
なお、
日本映画の外国語字幕版の翻訳も「字幕翻訳」ですが、
日本国内での需要はほとんどない
ので説明は省きます。
日本語の字幕を付ける作業です。オリジナルの音声を聞きながら、
日本語字幕で内容を理解できるという
強みがありますが、映像を見る人が子供である等の理由で字幕を読むことが困難な場合、受け入れられにく
いという欠点があります。
2 .吹き替え翻訳
声優が俳優の口に合わせて音声を付けていくための、台本を作る作業です。以前はTV放映される
映画か、
TVシリーズものの仕事がほとんどでしたが、最近は、公開された映画をDVD化する際にも吹き
替えを作ることが多くなりました。また、劇場公開される際に、
アニメやSFファンタジーなど若年層の観客が
多く見込まれる場合は、字幕と同時に吹き替え版も作成されることがほとんどです。
聞こえてくるのはオリジナル音声ではなく日本語ですから、誰にでも理解しやすいというのは大きな
4. 映像翻訳には字数制限がある
「2.
映像翻訳の種類」で説明した3種類の映像翻訳には共通して、使える文字数に制限があります。
特に字幕翻訳は、
字数制限との戦いの連続と言えます。
しかしそれが、
難しさでもあり、
楽しさでもあるのです。
では吹き替えやボイスオーバーに字数制限はないかというと、
そうではありません。俳優のセリフに
対してあまりに長い訳だと、口は閉じているのにセリフだけ続くことになってしまいます。反対に短すぎ
ると、
セリフはないのに口だけパクパクしてそれも変ですね。字幕翻訳ほど制限されたものではありません
が、吹き替えやボイスオーバーでもセリフの長さにはある程度の制限があります。
利点でしょう。
しかし俳優の肉声が聞こえないため、作品の印象が変わってしまう場合もあります。また、
原語を利用して語学学習をしたい人には不向きでしょう。
3 .ボイスオーバー
オリジナルの音声を残しながら、
日本語のナレーションやセリフをかぶせる手法で、主にニュースや
ドキュメンタリーで用いられます。この方法だと、吹き替えと違って原語も残るのである程度は聞き取れ
ますし、同時通訳よりこなれた訳にできます。
しかし、
日本語の音声の方がよく聞こえるので、原語が聞き
取りにくいという欠点があります。また、
オリジナルとボイスオーバーの声の性別が違うということも珍しく
ありません。
以上、一般的に「映像翻訳」と呼ばれる3つの翻訳の特徴を挙げました。本講座では、
この中の
「字幕翻訳」を学習していきます。字幕には、画面の右または左端にタテに表示されるタテ字幕と、下に
表示されるヨコ字幕があります。劇場で使われる字幕は、以前はタテ字幕が多かったのですが、現在では
DVDやTV放映も含めてほとんどの作品にヨコ字幕が使われています。本講座でも、
ヨコ字幕を中心に
学習を進めます。
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5. 字幕翻訳の字数制限について
字幕翻訳の字数制限はどうでしょう? 実は、俳優が1秒しゃべる間に4文字と決められています。
どうしてそんな制限があるのでしょうか? 言っていることをすべて訳してあげた方が、細かい情報や
微妙なニュアンスまで伝わるのではないでしょうか。
ところが字幕というのは面白いもので、
そうでもないのです。
字幕は、
それが出ている時間内に読み切れなくてはなりません。劇場映画では、文字の量が多すぎ
ると、時間内に読み切れなかった観客が出てきます。字幕はどんどん流れていってしまいますから、
本のように、よく分からなかったところに戻って読み返すわけにもいきません。その結果、時間内に
字幕を読み切れなかった観客は、
ストーリーが分からなくなってしまう可能性が高くなります。
また読み切れたとしても、字幕ばかり追っていて画面を見るヒマがなかったとしたら、本末転倒も
いいところです。観客は字幕ではなく、映像作品である映画を見にきたのですから、字幕が邪魔をして
肝心な映像が見られなかったなんてバカな話はありません。字幕はあくまでも映画を楽しむための
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