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《ステップ1
産業保健活動の課題を理解する》
1A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
労働安全衛生管理の助言役としての認識:産業保健専門職が、事業場内の労使による労働安全衛生管理および自主マネジ
メントシステムの推進に関して、関係者とともに助言し支援する役割を積極的に担う。
産業保健専門職の基本任務と条件:国際標準とわが国の労働安全衛生法体系に基づく産業保健領域の責任体制と活動範囲
およびその基本条件を理解し,産業保健活動の基礎とする。
産業保健専門職の倫理基準:産業保健活動における倫理基準について理解し実践する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、各部門責任者、安全衛生業務責任者
労働者代表
他の産業保健専門職
主な関係条項・指針
・ILO155・161 号条約
・ILO‑OSH2001
・国内労働安全衛生法規
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・産業保健専門職倫理指針
・ICOH 専門職倫理規定
1B.ステップ1の研修内容
研修目標
研修する内容
1B−1.労使による労働安全衛生管理の助言役としての認識
a.産業経済社会の発展にお (1) 産業発展に伴う労働安全衛生のおよその変遷
ける労働安全衛管理の役割と を知る。
最近の動向について十分認識 (2) 労働災害・職業病等の統計を知って、実地に活
する。
かせるようにする。
b.労使による自主管理とそ (3) 現場との直接交流を図って労使がもとめてい
のシステム運用を適切に助言 るもの、自主安全衛生管理への期待を理解する。
支援する姿勢を確立する。
(4) 労使と会う機会を十分利用して、どういう助言
や支援が必要かを認識する。
1B−2.産業保健領域の責任体制と活動範囲
a.国際標準と労働安全衛生 (1) 労働安全衛生に関する国際標準の概要と労使
法規に基づく事業場内の安全 の責任と権利に関する主な法規および最近の自主
衛生責任体制について十分認 安全衛生マネジメントシステムの動向を理解し、自
識するとともに、自事業場内 事業場内の体制をそれとの関連で把握する。
の体制を点検する。
(2) 自他産業で自主管理システムが果たしている
積極的な役割、産業保健に必要な活動範囲と自産業
における優先課題を理解し、実践の基礎にする。
b.自主管理システムのなか (3) 安全衛生委員会,事業場労使の参加する会合に
で産業保健活動が果たす役割 出席して,経営管理と働きやすい職場づくりのため
の観点から活動範囲と優先課 に産業保健がどう役立つかについて意見交換する。
題とを把握する。
(4) 自事業場や内外の産業保健活動報告を検討し,
利点や不十分な点がどこにあるかを理解し,それを
労使との交流の中で活かすようにする。
1B−3.産業保健スタッフの基本任務と条件
a.産業保健スタッフの基本 (1) 国際標準と国内法規に定められた産業医およ
任務である予防活動項目とそ び産業医以外の産業保健スタッフの基本任務とそ
の意義を把握し、事業者に対 の意義をまとめる。
する産業医の勧告権の意義を (2) 事業者に対する産業医の勧告権を中心にした
産業保健向上のための助言のあり方を理解する。
理解する。
b.産業保健業務の遂行上の (3) 事業場内の産業保健スタッフと基本任務につ
基本条件、必要な専門性、独 いてよく話し合う。
立性について的確に理解す
(4) わが国における産業保健業務の実践に学んで、
る。
産業保健職の選任条件、職務上の専門要件、業務遂
行に当たっての独立性について、具体的に了解す
る。
1B−4.産業保健専門職の倫理基準
a.産業保健を専門的立場か (1) 産業衛生学会および ICOH 倫理指針による高度
ら担当する専門職の助言機能 の専門性とその遂行に必要な独立性、予防と環境保
および専門性、独立性を基に 護への貢献について、基本的な考え方を把握する。
した倫理のあり方を完全に理 (2) 自主安全衛生管理における産業保健専門職の
役割を再認識して実践に活かす。
解し、実践する。
b.産業保健情報、とくに医
学データの守秘やプライバシ
ー保護の徹底、そのために不
可欠な独立性について条件整
備を図る。
研修のポイント
・国際動向との共通点・相違点を理
解する。
・主要な職業性傷病の統計と歴史を
知る。
・現場の支援と職場巡視を重視す
る。
・信頼に基づく助言の内容とあり方
を良好事例から学ぶ。
・国際動向とその意義を理解する。
・労使の責任・権利に即した適切な
助言の範囲を知る。
・内外のマネジメントシステム規格
の特徴と自事業場における役割を
把握する。
・事業場内接触の目的とあり方を知
る。
・良好な産業保健活動の事例を活用
する。
・最近の法規改定の力点と産業保健
スタッフの勧告権の範囲を知る。
・事業場内 OSHMS における役割を把
握し、事業場各部門との連携を考慮
に入れる。
・法規上の任務と資格要件を知る。
・専門性と独立性を確保する上で配
慮すべき点を整理する。
・産業衛生学会倫理指針と ICOH 指
針を自事業場に即して把握する。
・一次予防を支援する上で必要な専
門性の範囲を知る・
・独立性を確保する体制を把握す
る。
(3) 産業保健情報のプライバシー事例のグループ
・守秘義務の法的根拠と範囲を知
討議から,情報取り扱い上の問題点を理解する。
る。
・プライバシーと安全配慮義務とを
(4) 保健情報の的確な取り扱いを実践できる条件
をまとめ,自ら整備する(その際,守秘義務、プラ 両立させる健康情報の扱い方を事
イバシー保護の不可欠性について十分理解する)。 例に学ぶ。
・インフォームドコンセントの要件
を把握する。
1
《ステップ2
産業保健活動に必要な情報を収集しニーズを把握する》
2A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
産業安全保健情報の収集:産業保健担当者が、事業場内の労使による労働安全衛生管理を推進するにあたって、必要な一
般情報、現場の共通ニーズ、その他の関連情報を優先順位にしたがって収集する手段を確立する。
産業保健法規・基準の理解:産業保健法規・基準を理解して労働安全衛生計画立案と実施に役立てるための手順を確立し
て、日常活用できるようにする。
産業保健ニーズの分析:当事業場の産業保健に関するニーズについて枠組みを理解し、ニーズに応じた責任体制のありよ
うを理解する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、各部門責任者、安全衛生業務責任者
他の産業保健スタッフ
労働行政機関、研究機関、事業場外労働衛生機関
産業保健推進センター、地域産業保健センター
産業衛生学会委員会・研究会
主な関係条項・指針
・国内労働安全衛生法規
・産業保健専門職倫理指針
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・産業保健マニュアル類
2B.ステップ2の研修内容
研修目標
研修する内容
2B−1.産業安全保健情報の収集
a.自主的な安全衛生管理を (1) 安全衛生法規等を常時収集して労使に提供で
推進するための必要情報を理 きるように入手手段を明らかにする。
解し,収集体制を確立し、支 (2) 労働者保護がもれなく周知される取り組みを
援する。
まとめる。
・労使に提供する情報の事例から良
好な提供方法を学ぶ。
・必要な情報を日常収集する体制を
把握する。
b.情報を収集するにあたっ
ての問題点を把握し、解決し
て、得られた情報を労使と共
有できるよう図る。
・有害業務従事者が必要な関心を持
つような支援のあり方を知る。
・インターネットによる必要情報の
取得法を修得する。
(3) グループ討議やアンケートなどを活用して情
報収集支援の必要性を判断する。
(4) 的確な情報提供によって労使協力して現場改
善が行われた事例を検討する。
研修のポイント
2B−2.産業保健法規・基準の理解
a.事業場内の産業保健活動
における有害要因とその健康
影響評価を含む法規・基準情
報を把握し収集する。
(1) 自事業場が産業保健活動に必要な法規・基準を
リストアップし、その概要を通覧する。
(2) 事業場の特性から見て必要な法規・基準情報を
収集のための事業場内体制を設定する。
b.自主安全衛生管理のなか
での一次予防を含む産業保健
活動範囲の理解を促進する。
(3) 産業活動の現状からみた自主マネジメントと
一次予防における産業保健の活動範囲を良好事例
から把握する。
(4) 国内および業界の産業保健活動における優先
課題を理解し、実践の基礎にする。
(5) 一次予防を推進するマネジメントの確立に役
立つ産業保健活動を良好事例から学ぶ。
2B−3.産業保健ニーズの分析
a.安全と健康に関する事業 (1) 事業場の有害要因と健康状況からみたニーズ
場の基本姿勢からみたニーズ の範囲を知る。
の概要を知る。
(2) 健康ニーズについての現場の情報周知の良否
を検討する。
(3) ニーズ理解の促進方法を把握する。
b.ニーズの把握における産 (4) 現場との交流から産業保健職についての要望
業保健専門職の立場を理解し を知る方法を理解する。
てもらい,日常の支援に活か (5) 事業場内の産業保健専門職業務の利点をまと
す。
め,日常の労使支援に有効な良好事例に学ぶ。
2
・国際標準と国内法規のリストを活
用する。
・事業場独自の安全・健康リスクの
特徴に見合った情報収集法を考慮
に入れる。
・国内と業界の動きにマッチしたマ
ネジメントシステム構築を考慮に
入れる。
・労使が特に関心をもつ産業保健対
策を学ぶ。
・一次予防促進からみた健康情報管
理のあり方を知る。
・広い視点からの職場内の健康ニー
ズ把握に力点をおく。
・活動実績に基づくニーズ間の優先
度比較の事例を学ぶ。
・健康な事業場イメージ確立におけ
る専門職の役割を知る。
・良好事例の収集方法と活用経験を
学ぶ。
《ステップ3
産業保健方針と計画を確立する》
3A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
事業者による労働安全衛生方針に関する助言:事業者が設定する労働安全衛生方針について自主管理を推進する立場か
ら、事業場内の健康リスク要因と健康影響の現状についてのレビューに基づいて助言を行う。
産業保健領域の事業場計画に関する助言:事業場が自主的に確立する労働安全衛生計画、とくに労働安全衛生マネジメ
ントシステムのもとでの短期・中期目標との関連における活動計画について、産業保健領域を中心に助言し、計画の有
効性について評価して必要があれば提言する。
産業保健領域の計画の文書化と運用の支援:事業場内の産業保健方針と計画について、その文書化と周知徹底、フォロ
ーアップを支援する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、各部門責任者、安全衛生業務責任者
特定作業主任・労働者
労働者代表
他の産業保健専門職
主な関係条項・指針
・ILO161 号条約等
・ILO‑OSH2001
・国内労働安全衛生法規
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・有害業務等の指針
・産業・事業場内基準
・産業衛生学会勧告・指針類
(注)職域で取り上げられることの多い健康有害要因についてはステップ5を参照する。
3B.ステップ3の研修内容
研修目標
研修する内容
3B−1.事業者による労働安全衛生方針に関する助言
a.労働安全衛生に関する事 (1) 労働安全衛生の事業場方針の書き方,その意
業場の基本方針の宣言内容に 義を理解する。
ついて助言する。
(2) 安全衛生方針に盛り込まれる基本姿勢のあ
り方のグループ討議に参加し、方針作成に助言す
る点をまとめる。
b.労働安全衛生方針の周知
徹底を図り、法基準・自主基
準の順守を確認するプロセス
を修得する。
(3) 現場管理者や労働者との接触を通じて、方針
が適切に受けとめられているか検討し助言する
方策を学ぶ。
(4) 産業保健職の助言やその応答から必要な資
源が配分され、また法基準順守と自主マネジメン
ト確立に生かされているかを把握できるように
する。
3B−2.産業保健領域の事業場計画に関する助言
a.事業場内の有害要因を幅 (1) 既存の職場点検報告や職場巡視結果などを
広く確認し、当面の管理目標 利用して、事業場内の潜在的な健康有害要因を列
についての合意形成を支える 挙して確認するプロセスを把握する。
(2) 職場内の予防推進に必要な措置目標につい
て点検し,事業場計画策定について助言する点を
まとめる。
b.事業場の安全衛生計画の (3) 事業場内の産業保健業務の分担をリストに
なかで産業保健領域の優先ニ まとめ,事業場計画からみて適切かどうかを責任
ーズに対処する活動について 者と協議するプロセスを把握する。
助言する。
(4) 有害な健康影響予防にとって優先度の高い
活動が、職場全体の取り組みとして取り上げられ
ていくよう、産業保健領域の活動の内容と日程計
画を作成する。
3B−3.産業保健領域の計画の文書化と運用の支援
a.産業保健領域の活動計画 (1) 現場の関係者と一緒に産業保健計画が的確
の文書化と運用を支援する。 に実施されて予防のための改善に結びつくよう
に、計画を検討するプロセスを修得する。
(2) 手順書が文書として配布利用され、計画に沿
った実施が行われていくようにする支援策をま
とめる。
b.産業保健領域の計画実施 (3) 産業保健計画のなかで、その実践に必要な教
に必要な教育訓練と人材育成 育訓練計画案を作成し準備段階から実施・評価ま
を支援する。
でについて支援できるようにする。
(4) 必要な人材の育成、外部機関・コンサルタン
トなどの利用を事例を通して学ぶ。
3
研修のポイント
・具体的で簡潔な方針策定に力点を
おく。
・ラインの管理責任を含むマネジメ
ントシステム確立要件を把握する。
・事業場に適した方針のあり方を事
例に学ぶ。
・健康な事業場イメージに寄与した
産業保健事例を学ぶ。
・事業場内の資源配分の良好事例を
知る。
・幅広いリスク要因の洗い出し方法
を知る。
・職場内の意見を反映させる方策を
学ぶ。
・優先策選定法を学ぶ。
・労使の役割を明確化した職場改善
の計画化に力点をおく。
・予防主体の活動に力点をおく。
・優先策事例に学ぶ。
・現場の参加と安全衛生委員会等の
活用を事例に学ぶ。
・健康リスク対策マニュアルを活用
する。
・職場の活性化と予防推進に役立つ
教育訓練のあり方を知る。
・グループワークを重視する。
・人材育成のための外部機関の活用
法を学ぶ。
《ステップ4
産業保健組織を確立し維持する》
4A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
安全衛生管理組織の確立に関する助言:事業場が確立する労働安全衛生管理組織について、産業保健領域を中心に助言し、
事業場外安全衛生推進組織との協力体制も含め、組織の具体的な運営を支援する。
産業保健専門職の事業場内における責任と権限の確認:国際標準とわが国の労働安全衛生法体系に基づく安全衛生管理組
織の各構成員の役割と任務を理解し、各事業場の実状に応じて求められる組織づくりとそのチームワークのあり方につい
て、事業者に助言する。
産業保健活動の範囲の決定:事業場内の産業保健活動において、達成目標と実践手段について助言し、良好なチームワー
クとコミニュケーションの形成を進め、具体的な活動を支援する。
(注)産業保健組織とは:
産業保健活動は労使が自主的に行う安全衛生管理の一環として取り組まれる。職場ごとの健康リスクを判定して必要な措
置・改善を行う上で、産業保健専門職の助言と支援が欠かせない。このために専門職を核とした産業保健組織が事業場内
または事業場外にあって助言支援機能を担う。総括管理体制と方針・計画、リスク評価と対策実施、健康増進活動、作業
適性・救急体制・環境管理などの促進・監査などを扱い、通常産業医、産業看護職、産業衛生技術職などのチーム活動と
して展開される。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、安全衛生委員会委員、各部門責任者
安全衛生業務責任者
特定作業主任・労働者、他の産業保健スタッフ
労働者代表
労働基準監督署、産業保健推進センター、地域産業保健センター、保健所
主な関係条項・指針
・ILO161 号条約等
・国内労働安全衛生法規
・有害業務等の指針
・ILO‑OSH2001
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・産業・事業場内基準
4B.ステップ4の研修内容
研修目標
研修する内容
4B−1.安全衛生管理組織の確立に関する助言
a.事業場内安全衛生管理組織 (1) 事業場において安全衛生法規やマネジメン
の確立について助言する。
トシステムから求められる具体的な安全衛生管
理体制について積極的に助言する内容をまとめ
る。
(2) 特に安全衛生委員会の組織と任務、活動の活
性化をはかるための支援策についてまとめる。
b.自主的な安全衛生活動とそ (3) 現場の管理者、労働者、安全衛生委員の意見
のマネジメントシステムを運用 に基づく自主的な体制強化策を把握する。
(4) 安全衛生管理組織の良好事例について検討
する体制を把握する。
し、有効に運営されるように働きかける方策を学
ぶ。
(5) 自主的な安全衛生マネジメントシステム運
用の良好事例をグループ討議する。
4B−2.産業保健専門職の事業場内における責任と権限
a.事業場内の産業保健専門職 (1) 安全衛生法規や自主安全衛生マネジメント
の責任と権限について理解す
システムの動向に照らし、各事業場に求められる
る。
産業保健専門職体制とその責任分担と権限を理
解する。
(2) 経営者・労働者を積極的に産業保健活動へ参
画させるために,協力すべき諸点を明確にする。
b.自主安全衛生管理のなかで (3) 産業保健チームが事業場内で有効に機能を
産業保健専門職がはたす具体的 発揮するための要件を把握する。
な役割を把握する。
(4) これまでの成功例・失敗事例をとりあげてグ
ループ討議する。
4B−3.産業保健活動の範囲の決定
a.それぞれの事業場に求めら (1) 職場における健康有害要因に基づくリスク
れる産業保健活動の具体的な内 の確認や予防対策、衛生教育や健康診断など具体
的な産業保健活動項目をリストアップする。
容を理解する。
(2) 上記それぞれのアクションを実施する上で
産業保健スタッフが果たす役割を確認する。
b.自主安全衛生管理をすすめ (3) 良好事例から、事業場に即した有効な産業保
るため事業場ごとの具体的な活 健活動と自主安全衛生マネジメントシステムに
動範囲を把握する。
よって継続的改善を促進する方策を把握する。
(4) 過去に構築されてきた他部門や事業場外組
織との関係について整理し、よいコミニュケーシ
ョンのとりかたについてグループ討議する。
4
研修のポイント
・国際動向を知る。
・安全衛生法規と安全衛生マネジメ
ントシステム規格・指針を総合して
把握する。
・業界指針を知る。
・安全健康リスクの特性に基づく管
理区域の区分法を知る。
・経営責任者・労働者の自主参加を
重視する。
・継続的改善の良好事例から労使へ
の働きかけ方を学ぶ。
・安全衛生法規と安全衛生マネジメ
ントシステム規格・指針による産業
保健業務を総合的に把握する。
・産業保健各職の責任分担の明確化
を学ぶ。
・事業場内の労使の自主参加促進の
ためのあり方を良好事例に学ぶ。
・業種と事業規模に見合った産業保
健チーム内協力の事例を知る。
・国際動向、国内の進展状況を把握
する。
・業界動向を知る。
・安全衛生マネジメントシステム内
の役割に特に力点をおく。
・事業場の各部門との連携を具体例
に学ぶ。
・現場責任者・労働者の意見を反映
して活動を改善する方策を知る。
《ステップ5
健康有害要因を評価する》
5A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
健康有害要因の評価の重要性とリスク要因の内容の理解:職場の健康有害要因を評価することの重要性を理解し、リスク
要因にはどのようなものがあるかを知る。
健康有害要因の点検:職場の特性に応じた健康有害要因を見出す。
各健康有害要因への曝露の度合の決定:職場における調査・点検等により各健康有害要因への曝露の度合を決定する。
健康有害要因の総合的評価:各要因が複合的に健康リスクを増強する可能性を理解し、職場ごとの総合的な評価を支援す
る。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、安全衛生管理者
他の産業保健専門職、公害防止管理者
地方行政機関(地方公共団体)
主な関係条項・指針
・ILO155・161 号条約
・許容濃度・管理濃度等
・産業・事業場内基準
・国内労働安全衛生法規
・学会・専門機関の報告書
(注)健康有害要因とは:
労働現場における健康有害要因は、業務遂行に伴う作業環境や作業設備、作業方法、作業組織および労働生活の諸要因
のなかで健康に有害な影響を及ぼすおそれのある要因である。通常、次の諸要因グループを含む。物理的要因、化学的要
因、生物学的要因、人間工学的要因、心理社会要因、労働生活要因など。これらの健康有害要因は、通常、複合して存在
し、さまざまな健康有害影響を労働者にもたらす。有害要因の作用の度合いや期間が一定の限度をこえれば、疾病状態に
至る。それぞれの労働の場で有意味な健康有害要因を確認し、それへの曝露の度合いを評価することが予防活動の出発点
となる。
5B.ステップ5の研修内容
研修目標
研修する内容
研修のポイント
5B−1.健康有害要因の評価の重要性とリスク要因の内容の理解
a.過去の職業病や作業関連
疾患の事例から職場の健康有
害要因が労働者にもたらす深
刻な影響を学び、リスク要因
を評価することの重要性を理
解する。
(1)職業病・作業関連疾患事例を当該労働者の視点
から学ぶ 。
(2)その事例の解決に至る経過を社会的、医学的、
工学的視点から検討する。
b.労働安全衛生に関する国
際標準と国内法規の中で、管
理することが規定されている
健康有害要因と、法規等で規
定されていないが、職場で問
題になっている健康有害要因
を理解する。人間工学的要因
や心理社会要因について具体
的に取り上げる。
(3)法規により、どんな有害要因が管理の対象にな
っているかを知り、それらが産業現場の中でどの
ような形で存在しているのかを把握する。
(4)新規化学物質、あるいは局所負担や精神ストレ
スなど、法規で明確に規定されていない有害要因
や作業関連疾患を引き起こす要因について知り、
それらが産業現場の中でどのような形で存在して
いるのかを学ぶ。
・職業病や作業関連疾患の事例を
取り上げ、文献を読み当事者の話
を聞く。
・行政、産業界、労働組合などが
どのように対応したかを知る。
・法規の改訂が行われたかを調べ
る。
・国際条約と国内法規に規定され
ている健康リスク要因を学ぶ。
・新規化学物質の導入など、新た
な健康リスク要因を知るととも
に、人間工学や精神ストレスなど、
新たなリスク要因にも目を向け
る。
・MSDSを取り寄せて検討する。
5B−2.健康有害要因の点検
a.職場に存在する多様な健
康有害要因を見出す方法を学
ぶ。作業環境、人間工学的要
因、心理社会要因、生活要因
について総合的に取り上げる
方法を学ぶ。
(1)既存の質問紙、チェックリストなどの使用方法
を学ぶ。
(2)自社の職場やこれまで見たことのある職場を
イメージして、どこにどのような健康有害要因が
あるかリストアップし、汎用されている分析法の
範囲を理解する。
b.チェックリストなどを用
いて職場を点検し、健康有害
要因を見出すとともに、より
適切なチェックリストを作成
する。
(3)複合健康有害要因を点検するチェックリスト
などを使用して、実際に現場を点検し健康有害要
因を見出すとともに、安全衛生委員会などで意見
交換する。
(4)既存のチェックリストの効用と限界を理解す
るとともに、産業保健スタッフと意見交換して、
自職場用に改変することを考えてみる。
5
・既存チェックリストの使い方を
学ぶ。
・リスク場面をイメージして、健
康リスク要因を考える。
・現場の写真やビデオを見て、健
康リスク要因を見出す。
・他の産業保健スタッフの意見も
参考にする。
・現場パトロールを行い、健康リ
スク要因を見出す。
・良い事例と悪い事例を見出す。
・産業保健スタッフや現場監督
者・労働者と一緒に検討する。
・安全衛生委員会で議論する。
5B−3.各健康有害要因への曝露の度合の決定
a.個々の健康有害要因への
曝露の度合を定量的に、ある
いは半定量的に決定する方法
を学ぶ。
(1)健康有害要因への曝露の度合の指標(例:有害
物濃度、騒音レベル、労働負荷、上肢の連続挙上
時間など)を理解するとともに、チェックリスト
を使用した半定量法やより正確な定量法を学ぶ。
(2)各指標の評価法を学ぶとともに、過去に実施し
た作業環境測定や特殊健康診断の結果などを使っ
て、具体例について評価してみる。
・国際基準を調べる。
・許容濃度や管理濃度を調べる。
・学会や研究会の勧告を学ぶ。
・過去の作業環境測定や健康診断
の結果を調べる。
・感受性の個人差について学ぶ。
b.実際に職場を点検し、個々
の健康有害要因への曝露の度
合を決定し、次の総合的評価
につなげる。
(3)チェックリストによる現場の点検結果や、職場
の管理者や労働者の声を基に、健康有害要因への
曝露の度合を半定量的に決定するとともに、リス
クが大きいと判定された項目について、可能であ
れば有害要因への曝露をより正確に決定する。
(4)決定した有害要因への曝露の度合について、グ
ループ討議する。
・作業環境測定や健康診断の結果
を用いてリスクの定量化を行う。
・曝露濃度を測定しリスクの定量
化を行う。
・定量化に際して、現場の管理者
や労働者の意見を取り入れる。
・安全衛生委員会で議論する。
5B−4.健康有害要因の総合的評価
a.これまで知られている相
加作用、相乗作用を知るとと
もに、職場ではリスクは常に
複合的であることを認識す
る。
(1)具体的な事例(アスベスト+タバコ、有害物+
労働負荷など)を学び理解する。
(2)実際に職場で見出した健康有害要因について、
相加作用や相乗作用に関する報告があるか調べ
る。
・複合リスクに関する文献や学会
の研究報告を学ぶ。
・疫学における複合リスクの取扱
いを学ぶ。
b.健康有害要因に曝露され
る労働者の視点に立って、職
場を総合的に評価し、職場環
境の改善につなげる。
(3)個々の健康有害要因への曝露の度合と複合的
な影響を考慮して、総合的な評価を行う方法を学
ぶ。
(4)単に現状の評価をするだけでなく、職場の改善
の指針になりうる評価を目指す。
・複合リスクを考慮して総合評価
を行う。
・改善に繋がる評価が重要である
ことを認識する。
6
《ステップ6
労働者の健康影響を評価する》
6A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
健康影響調査の企画と実施:労働者の健康影響を評価する健康診断等の調査を企画し、実施するよう支援する。
健康有害要因との因果関係判断:健康調査データを収集し、職域内外の有害要因との関係を評価して、これをもとに労使
への助言・提言ならびに環境改善の実践を進める。
健康調査データの保護と活用:健康調査データの保護の原則と情報活用範囲について、理解し実践する。
直接のパートナー
主な関係条項・指針
経営責任者、総括安全衛生管理者、各部門責任者、安全衛生業務責任者
他の産業保健専門職
当該作業者
事業場外労働衛生機関、労働行政機関
・国内労働安全衛生法規
・ILO161 号条約
・ICOH 専門職倫理規定
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・刑法第 134 条
・産業保健専門職倫理指針
(注)労働者の健康影響を評価するのは、現在健康影響がどの程度現れているかという観点と、今は現れていないが将来
に予想される影響はどの程度であるかという観点とがある。したがって、情報は単に幅広くというだけでなく方法や内容
の面で的確に入手するよう努めなければならない。また、健康診断には採用時と定期検診、特殊健康診断などがあり、方
法として問診、質問紙調査、ストレス調査なども含まれる。
6B.ステップ6の研修内容
研修目標
研修する内容
研修のポイント
(1)法定の健康診断の実施と既存データの収集を
企画する。
(2) 労働や生活が健康にどう影響しているか、を
調査するための調査法、健康診断の充実について
まとめる。
(3) 健康診断実施の手順と運営法、結果のまとめ
方について学ぶ。
(4) 被検者に内容を説明し理解を得る手順を学
ぶ。
(5) 結果から予想される不利益への対応策を把
握する。
(6) 具体例について作業内容の概要、作業環境測
定記録、被検者の個人情報など必要と考えられる
情報を得られるよう任務分担する。
・過去の健康診断データや欠勤、休業
統計の利用方法を学ぶ。
・産業保健スタッフと被検者の接点に
ついて考える。
・医療機関が関与できる範囲を限定す
る。
6B−1.健康影響調査の企画と実施
a.調査目的を明確にし、結
果を効果的に活用する方法を
企画する。
b.経済損失と労働力損失の
防止のためとそれ以外のねら
いについても認識する。
・実施責任は経営者にあることを認識
する。
・信頼性、経済性、精度管理、法規遵
守について検討する。
・継続実施の可能性、調査自体の限界
性について検討する。
・産衛学会倫理指針について学ぶ。
6B−2.健康有害要因との因果関係判断
a.職業性健康障害の探索に
際しては、職場内の健康リス
ク要因の情報を広く収集し検
討する。
b.職場内外の健康リスク要
因曝露の関与を総合点検する
方法を応用する。
(1) 職場巡視、作業者の訴え、産業衛生学的知見
など産業保健職の専門領域で得られた情報をも
とに職業性健康障害として認められる範囲や作
業関連要因の関係について学ぶ。
(2) 検査結果は単なる病名の判定でなく、作業関
連要因の判定をめざすよう具体例をもとに問題
点を点検する。
(3)職場の特性や性年齢・生活習慣を考慮した判
定基準を設定する。
(4)職場のリスク要因による健康影響の可能性を
広く取り上げ、産業保健職スタッフ間で討議する
(5)例をあげてグループワークの演習を行なう。
6B−3.健康調査データの保護と活用
a.疫学手法を用いて健康情 (1)将来予測を立て必要な継続的観察を行なう
報を分析し、プライバシーを 方法を学ぶ。
(2)被検者への事後指導を通知するとともに、
尊重する手順を把握する。
プライバシー保護策を応用する手順をまとめる。
b.事業者の安全配慮義務の
サポートとして、労働者の適
正配置・職場環境改善・リス
ク対策と保健指導の役割を果
たすようにする。
(3)就業上の措置を指示する際の根拠となる具
体例を検討する。
(4)保健教育の実施に役立つ実際例を討議する。
(5)得られる範囲の健康情報等を自己利用でき
るように点検する。
7
・問診の手法を学ぶ。
・スクリーニング検査の敏感度と特異
度について理解する。
・診断基準、判定結果の位置付け、関
連性と因果関係について理解する。
・生物学的モニタリング、個人曝露モ
ニタリング結果を活用する。
・確実な診断に至るまで追求しないで
よい場合を検討する。
・機関により診断が異なる場合を考え
る。
・複合要因や生活習慣の関与割合評価
の困難さと重要性を認識する。
・健康診断結果の保存期間、方法につ
いて認識する。
・官庁への届出の必要性を把握する。
・情報の公開について理解する。
・就労制限にともなう不利益について
理解する。
・個人情報を開示する場合の原則につ
いて理解する。
《ステップ7
現場ごとに必要な健康リスク対策を選定する》
7A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
健康リスク低下策の理解:健康リスクの背景や特性を見きわめ、リスクアセスメントに基づいてリスク低下策を導き出す
方法を案出する。
優先するリスク対策の選定:導出された複数のリスク低下策を必要性、緊急性さらに費用対効果などから総合的に判断し
て、リスク低下策実施の優先順位を決定できるように、助言・支援をする。
リスク対策実施の手順:優先順位の決定したリスク低下策を、責任体制、期日管理などを明確にして、マネジメント手法
により実施する手順を組み立てられるように助言・支援する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、各部門責任者、安全衛生業務責任者、
安全衛生マネジメントシステム推進責任者
他の産業保健専門職、労働者代表
主な関係条項・指針
・国内労働安全衛生法規
(特に作業環境測定法、じん肺法など)
・疫学研究指針類、各疾病診断・治療指針類
・化学物質による健康障害防止ガイドライン
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・労働基準法、均等法
・MSDS集
・健康日本21と心の健康づくり指針
7B.ステップ7の研修内容
研修目標
研修する内容
7B−1.健康リスク低下策の理解
(1)リスクを低減させる基本的な方法を理解する。
a. 作業関連リスクを低下さ
せる機器や技術について理解 (2)現場の事例を研究して個々の技術を実地体験と
して学びとる。
する。
b. 個人要因による健康リス
クを理解し保健指導の資料を
作成する。またリスクが複合
する場合の相互の関連性につ
いて理解し、低下策を総合的
に検討する。
(3) 個人別の健康診断結果と生活習慣から問題点
を抽出する。
(4)生活習慣関連疾病のリスク要因の同定とそれら
の相加・相乗効果について理解する。
(5)職場・個人リスク表を作成して具体策を現場ス
タッフと連携して考える。
7B−2.優先するリスク対策の選定
a. リスクアセスメントをも
(1)過去の事例や想定されるリスクをすべてあげ、
とに既存の対策をとり上げ有 対策の効果について検討する。
効性について検討する。
(2)具体例についてリスクによる健康影響を定性・
定量データとしてまとめる。
b. リスクアセスメントを基
盤にして、リスク低下策を検
討し、総合的見地からリスク
低下策の優先順位を決定でき
るように助言・支援をする。
(3)具体例について有害要因の重大さと発生可能性
から種々のリスクレベルを決定する。
(4) リスクレベルに基づいてリスク対策の必要性
と緊急性を点検し、残存リスクレベルを評価する
(5)一度判定したリスクでも状況の変化に応じて再
評価できるように準備する。
7B−3.リスク対策実施の手順
a. 選定され優先順位の決定
(1)選定されたリスク低下策が適切かどうか、現場
したリスク低下策が現実的で のスタッフと産業保健スタッフが協力して再度検
実効性のあるものかを明確に 討する。
する。
(2)新しい低下策により作業への影響、新たな危険
有害要因が発生しないかなど、十分に検討する。
b. リスク低下策をマネジメ
ント化されたシステムの一部
分として位置付け、計画‑実施
‑評価‑改善(Plan‑Do‑Check
‑Act : PDCA)サイクルの計画
の段階を作成し、現場の責任
者と期日管理を明確にする。
(3)職場と産業保健専門職が協力して PDCA サイクル
で自主的に実行できるようにする。
(4)常に優先すべき対策が明らかになり継続的改善
がめざせるように職場のデータや経験、知恵などの
集約ができるようにグループ討議する。
(5)具体的な職場について安全衛生目標を定め安全
衛生計画を策定する。
8
研修のポイント
・既存の手法を整理する。
・作業環境データや機器の点検結
果、安全衛生統計の活用法を学ぶ。
・現場担当者の調査・会議や職場巡
視に参加し助言する。
・各疾病診断・治療ガイドライン、
健康日本 21 計画、心の健康づくり
指針について理解を深める。
・健康診断結果の活用について理解
し、保健指導の事例研究を進める。
・健康相談やチェックリストを活用
し事例調査を進める。
・チェックリストの活用法やハザー
ドとリスク、定性・半定量・定量に
ついて学ぶ。
・事例研究結果や安全衛生統計を活
用する。
・リスク判定方法について学ぶ。
・現場担当者の会議、職場巡視、機
器点検の実際、安全衛生委員会に参
加し助言する。
・OSHMS 規格・指針や ISO 諸規格を
理解する。
・現場担当者の会議、安全衛生管理
責任者、安全衛生委員会に助言す
る。
・TQC 活動や安全衛生計画策定を支
援する。
《ステップ8
健康リスク対策の実施を推進する》
8A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
健康リスク対策の教育・研修:健康リスク対策に必要な教育・研修の実施、マニュアル等の準備、機器・設備や人材、事
業場外からの情報や助言の確保について支援する。
健康リスク対策の実施:健康リスク対策の実施をモニターし、円滑な実施を支援する。
健康リスク対策の評価:健康リスク対策の評価を支援し、その改善について支援する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、各部門責任者、現場の職長・作業主任
安全衛生業務責任者、他の産業保健専門職、事業場内の関連する専門職
労働者代表、現場労働者
事業場外の労働衛生機関
主な関係条項・指針
・ILO161 号条約等
・国内労働安全衛生法規
・産業保健専門職倫理指針
・ILO‑OSH2001
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・刑法 134 条
8B.ステップ8の研修内容
研修目的
研修する内容
研修のポイント
8B−1.健康リスク対策に必要な教育・研修の実施、情報や助言の確保についての支援
(1)環境管理、作業管理、健康管理、健康増進、 ・健康リスク対策の実施における担
a. 個別の健康リスク対策の
当者および事業場の各階層に対す
実施条件となる教育・研修、 快適職場形成など個別の健康リスク対策の実施に
マニュアル、機器や設備、関 必要な教育・研修の内容および方法について学ぶ。 る説明教育・研修の重要性を認識す
連する有資格人材、および事 (2)健康リスク対策に必要な資格条件(作業環境 る。
業場外の情報源や助言の確保 測定士、衛生管理者、酸素欠乏危険作業主任者など) ・法的に定められた資格や研修だけ
でなく、独自に必要な人材が求めら
とその取得方法について理解する。
の方法について理解する。
(3)事業場外の情報源や労働安全衛生専門家の種 れる場合にも留意する。
類と特徴について学ぶ。
(4)当該事業場における、これまでの効果的な教 ・担当者や労働者の主体的関わりを
b. 個別の健康リスク対策の
実施条件となる教育・研修、 育・研修、マニュアル類、機器・設備、人材の確保 促す教育・研修の方法やマニュアル
について学ぶ。
マニュアル、機器・設備、有 と活用の具体例について学ぶ。
資格人材および事業場外から (5)事業場外機関の教育・研修プログラムの活用 ・事業場外の研修の活用方法を検討
する。
の情報や助言の確保と活用に 方法を知る。
ついて、実際の現場に即して (6)事業場外の情報源や専門家へのアクセスの実 ・事業場外からの情報や助言と事業
場内のノウハウを蓄積する。
選択し、具体的に助言できる 際およびその活用事例について討議する。
ようにする。
8B−2.健康リスク対策の実施のモニターと円滑な実施の支援
(1)健康リスク対策の実施状況のモニターおよび ・記録や文書化の重要性を知る。
a. 健康リスク対策の円滑な
・記録を活用したリスク対策の良好
実施の支援、後での実績評価、 記録の方法についてまとめる。
事業場内ノウハウの蓄積のた (2)実施直後や日常的な小さな不具合の発見と改 事例を学ぶ。
めに、健康リスク対策の実施 善方法について学ぶ。
状況をモニターし、記録する
ための基本的な手順や方法に
ついて理解する。
b. 健康リスク対策の実施状
(3)健康リスク対策の実施マニュアルの作成、実 ・担当者および労働者の自主的な取
況のモニターおよび記録を実 施状況のモニターおよび記録手順の実際例(スケジ り組みの推進方法を工夫する。
際に支援することができるよ ュール表の作成など)について点検する。
・個人差について配慮することを学
うになる。
(4)事業場内の事例から、実施直後や小さな不具 ぶ。
実施直後や日常的な健康リス 合を把握し、これの改善を支援する方法についてま
ク対策の問題点の把握と改善 とめる。
について助言できるようにす
る。
8B−3.健康リスク対策の評価と改善についての支援
a. 健康リスク対策の目標達
成度や、健康リスク対策の実
施状況を評価し、健康リスク
対策をさらに改善し継続する
ための方法の種類、特徴につ
いて理解する。
b. 実際の健康リスク対策の
評価を行い、評価結果に基づ
いて、対策の改善や継続につ
いて助言、支援できる。
(1)健康リスク対策の実施状況の評価(過程の評
価)および健康リスク軽減効果の評価(効果評価)、
それぞれの方法について理解する。
(2)健康リスク低下効果評価のための基礎的な方
法論(疫学、統計学など)について理解する。
(3)定量的および定性的な効果評価の方法につい
てまとめる。
(4)対策の評価方法を具体的事例に応用して、問
題点を討議する。
(5)評価結果を健康リスク対策の改善にうまく結
びつけた好事例について学ぶ。
9
・健康リスク対策の実施状況の評価
(過程の評価)および健康リスク軽
減効果の評価それぞれの意義や目
的を理解する。
・定性的または半定量的な評価方法
にも十分着目する。
・評価の目的について担当者や関係
者の正しい理解を深める。
・評価結果を健康リスク対策の改善
に結びつけるために支援する。
《ステップ 9
健康増進活動を促進する》
9A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
健康増進活動の重要性と推進の支援者としての認識:労働者および事業者が健康増進の概念とその重要性を認識し、健康
増進活動が事業場に寄与する要因を理解し支援する。
自主的な健康増進の体制づくりと展開における基本の理解:事業者が自主的に健康増進活動を展開できるための具体的な
組織化、方針の決定、実施、効果の評価などに関し、助言、支援し、協働しつつ改善推進する。
健康増進活動における健康指導技術の評価と計画的な推進:健康増進活動において健康指導等は重要な働きかけであると
認識し、労使の参画を得て保健指導技術の開発、評価をおこない、実施する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、各部門責任者、安全衛生業務責任者
労働者代表、労働者
他の産業保健専門職、健康保持増進スタッフ、健康保持増進サービス機関
主な関係条項・指針
・WHO 憲章
・国内労働安全衛生法規
・事業場における労働者の健康保持増進のため
の指針
・ILO161 号条約
・健康増進法
・健康日本21
・メンタルヘルス指針
9B.ステップ 9 の研修内容
研修目標
研修する内容
研修のポイント
9B−1.健康増進活動の重要性と推進の支援者としての認識
a.健康増進活動を概観しそ
の重要性について認識する。
(1) 疾病の変化に伴う、健康の定義の変遷、オタワ
憲章、国の施策の変遷を知る。
(2) 疾病の5段階を理解し QOL の向上、労働者の
Well‑being を実地に活かせるようにする。
b.労使による健康増進活動
は経営活動の基本となるとの
認識と支援する姿勢を確立す
る。
(3)現場との直接交流を図って労使が求める健康づ
くりを理解し、健康増進活動を推進していく。
(4)健康増進活動は人、健康をどのように捉えてい
るかの、経営活動の基本になるとの認識に立って支
援する。
・国際動向と国の動向について着目
する。
・産業保健活動に QOL の向上につい
ての考えかたを事業場に定着させ
る。
・現場との気軽な交流と職場巡視に
よる意識啓発を行う。
・信頼を獲得する。
9B−2.自主的な健康増進の体制づくりと展開における基本の理解
a.労働安全衛生法規に基づ
く事業場内の安全衛生責任体
制のなかに健康増進活動が位
置づけするとの認識と、自事
業場内の体制を点検する。
b.安全衛生活動のなかの健
康増進活動が推進し自主健康
管理を育成するよう企業風土
を推進する。
(1) 労働安全衛生に関する体制と労使の責任と権
利を確認し健康増進活動の体制づくりをおこなう
ため、自事業場内の体制を把握する。
(2) 労使の健康に関するニーズを把握しながら、他
の安全衛生活動との関連での展開をおこなえるよ
うな体制を支援する。
(3) 安全衛生委員会、事業場労使の参加する会合に
出席して、健康増進活動のデザインを提示し、労使
の健康増進の理解と共有化のための意見交換をす
る。
(4) 自事業場や内外の健康意識を把握しながら、健
康増進活動の推進状況や問題点を検討し、利点や不
十分な点がどこにあるかを理解し、それを労使との
交流の中で活かすようにする。
・労働安全衛生管理体制での健康増
進活動の体制を重視する。
・労使の責任・権利を確認し目的を
明確にした体制作りを目指す・安全
衛生活動と連動した展開に着目す
る。
・保健関係者との交流を重視する。
・指針の基本にもとづいて健康増進
活動のデザインを労使で構築する。
9B−3.健康増進活動における保健指導技術の評価と計画的な実施
a.産業保健スタッフは健康
保持増進の重要な保健指導
(健康指導)の意義を理解し、
その技術の習得と評価をおこ
なう。
b.保健指導(健康指導)を
評価するため計画的に実施す
る。
(1) 健康増進に有用な保健指導、健康教育のスキル
を把握しその有効性を評価し活用する。
(2)QOL の向上、セルフケアに視点をおいた指導、教
育が実施できるような技術の習得をする。
(3)指導、教育での効果(行動変容、経済性等)の
評価をおこない、労使で検討できるようにする。
(4) 保健指導・健康教育の評価をおこなうために、
健康増進活動実施前に産業保健スタッフと検討し
評価の目標を明らかにして実施する。
(5) 評価をおこなっていくためには、健康保持増進
活動の計画的な実施が必要であることを理解して
おく。
10
・保健指導、健康教育に必要な情報
収集をする。
・セルフケアの指導技術を習得する
・評価の技術を習得する。
・労使で検討するための資料を作成
する。
・評価をおこなう計画デザインを重
視する。
・評価をおこなうための継続的な実
施の理解を図る。
《ステップ 10
作業適性と病後復職を支援する》
10A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
作業適性にあった配置と配置転換への支援者としての認識:産業保健領域の責任体制のもと、労働者の健康維持・健康障
害からの予防のため、関係者と職場・作業状況と個人特性、健康状態にもとづいた配置や配置転換に支援する役割を担う。
就労でのリハビリと病後復職への支援:健康上の配慮をするため産業保健スタッフは、関係者とともに職場・作業に配慮
し社内規定を活用するとともに、地域の社会資源を活用できるように支援する。
健康を理由とした退職、就労中の死亡のケアと支援:関係者とともに、労働者、家族への産業保健スタッフ領域からの支
援をおこなう。
直接のパートナー
総括安全衛生管理者、人事労務担当部門、各部門責任者、安全衛生業務責任者
労働者代表
他の産業保健スタッフ、主治医、地域リハビリテーション関係者、家族、遺族
主な関係条項・指針
・WHO 憲章
・労働基準法、労働安全衛生法規、労働災害保険法
・じん肺法、結核予防法、エイズ感染予防法
・運輸労働の基準・指針、身体障害者雇用率制度
・ILO 条約
・産業保健専門職倫理指針
・事業場内管理規定
10B.ステップ10の研修内容
研修目標
研修する内容
研修のポイント
10B−1.作業適性にあった配置と配置転換への支援者としての認識
a.事業場の部署ごとの身体
的、精神的特性を把握し作業
適性に見合った配置を助言・
支援する。
(1) 作業保健スタッフの責任体制を明確にし、関係
者とともに対応する。
(2) 事業場の部署毎の作業適性を把握し、配置に必
要な資料を整理し支援策を関係者と検討する。
(3)個人特性、個人の健康状態が把握し適正配置に
活用するが、個人のプライバシー保護を重視する。
b.作業適性、個人特性、個 (4) 作業適性にあった配置、配置転換の事例にもと
人の健康状態から関係者との づいて討議し、どのような支援が必要かを認識する
調整・管理の支援を確立する。 (5)事例から配置に必要な知識、技術を習得する。
・関わり方の役割分担を明確にす
る。
・作業適性配置につき関係者と共有
する。
・プライバシーの保護、配慮を明確
にする。
・配置、配置転換の事例を収集し関
係者と討議する。
・事例から必要な知識、技術を習得
する。
10B−2.就労でのリハビリと病後復職への支援
a.就労でのリハビリ、病後
復職には、事業場の体制勤務
条件、作業・施設改善を含む
支援策について個別対応でき
るようにする。
b.リハビリ、病後復職に際
しての配慮ができるように運
用ルールを活かしながら関係
者と個別対応を図ることがで
きる。
(1) リハビリ、病後復職の事業場内受け入れを検討
するための体制のもとで受け入れ条件、本人との確
認、合意、フォローアップ等討議できるようにする
(主治医の意見、職場の意見、人事労務の意見、産
業医の意見、産業保健スタッフの意見等)また、討
議のなかで相互の役割分担を確認する。
(2) 個別対応から、社内規定を確認、改善、作成し
て運用を図れるようにする。
(3)関係者との話し合いで、リハビリ、復職時の指
示、職場でおこなわれる支援、対策についての計画
を立てるとともに優先順位をつけて対応し、労働者
保護のためになっているか、職場への配慮ができて
いるかどうか意見交換をする。
(4) 事例から運用ルールを作成しながら検討をし
て役立つルールづくりをする。
・受け入れを検討するための話し合
いを重視する。
・役割分担を決めて対応する。
・社内規定を作成するための情報を
収集する。
・関係者との意見交流のなかで立場
の違いによる理解を深めた対応を
図る。
・運用ルールの見直しを図ることを
前提につくる。
10B−3.健康を理由とした退職、就労中の死亡のケアと支援
a.健康を理由に退職する、
就労中の死亡についてはそれ
までの経過を重視しながら対
応する、また、対応者がその
役割を適切に支援する姿勢を
確立する。
b.ケア・支援の事例検討を
おこない、その役割と専門性
を理解し、関係者への調整が
図れるようにする。
(1) 健康を理由とする退職までの実態を知り、産業
保健スタッフは、退職に伴う諸規則、制度、事業場
内ルールを知り退職後の健康に対する生活につい
て本人と話し合う個別対応をする。
(2) 就労中の死亡者の家族への支援、職場の支援に
ついて対応者の役割を話し合い適切に支援する
(3) 退職者の事例、死亡者の事例について役割、支
援についてまとめていく。そして、産業保健スタッ
フと関係者で検討をする。
(4) 退職者、死亡者事例に対応するため、関係者へ
の調整が取れるよう専門領域を理解し、対応技術を
事例から学び助言・支援策をまとめる。
11
・退職による実態を知りメリット、
デメリットの検討をする。
・退職に伴う諸規則諸制度、ルール
を把握し対応を図る。
・死亡者家族、職場への支援の役割
を知る。
・事例から役割、支援について関係
者で検討をする。
・実践報告から支援策を構築する。
《ステップ 11
救急およびプライマリーケア体制を確保する》
11A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
労使による緊急時対応のシステムの確立とその運用の助言役としての認識:事業場内で発生予測される災害、急病の種類、
重傷度を把握し、労使による事業場内の救急措置および緊急時対応のシステムの確立とその運用の助言役としての認識を
する。
緊急時を含むプライマリーケア体制の確立と実践教育:緊急時対応を含めた事業場内のプライマリーケア体制を確保し、
特に救急業務が遂行できるように必要な知識と実技について支援する。
地域保健、防災活動との連携と調整:産業保健での救急措置および緊急時システムと地域保健、防災活動との連携調整支
援をする。
直接パートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、各部門責任者、特定作業主任者
安全衛生業務責任者、防災管理者、危険物取扱い者
他の産業保健専門職、労働者代表
労働基準監督署、消防署、警察署
医療機関、病院救急センター、医師会、歯科医師会、保健所
主な関係条項・指針
・ILO161 号条約
・ILO‑OSH2001
・国内労働安全衛生法規
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・消防法、地域保健法、感染症予防規則
・労働災害補償保険法
・事業場内基準・規則
11B.ステップ11の研修内容
研修目標
研修する内容
研修のポイント
11B−1.労使による緊急時対応のシステムの確立と運用に関する助言
a.緊急時対応システムの確
立と実践にむけての事業場の
方針と体制を見直し改善点に
ついて支援する。
b.救急時誰でも対応できる
ような救急措置と運用を設定
する。
(1) 労使により事業場内で発生予測される災害、急
病の種類、重傷度を把握する。
(2) 事業場の方針、地域に即した救急体制、緊急時
対応の手順とその点検をする。
(3)緊急時体制、手順を文章化し労働者全員に周知
する。
(4) 現場との直接交流を図って緊急時対応システ
ムの事例についてグループで討議し必要な改善点
をまとめる。
(5) 労使と運用につて常に話し合いいつでも救急
対応に応じられるようにする。
・事業場内で予測される救急マップ
を作成する。
・地域に即した救急システムを確立
する。
・体制、手順を文章化し全員に周知
する。
・現場との気軽な交流で事例の討議
をすることで、現場の参加に期待す
る。
・運用マニュアルを常時見直す。
11B−2.緊急時を含むプライマリーケア体制と教育の実践
a.救急処置を含むプライマ
リーケア体制のもとでおこな
う実務を点検し、役割分担、
情報ルートを明確にし、向上
をはかれるようにする。
b.プライマリーケア体制を
点検し、見直しを行うととも
に、実技の習得を含めた実践
的継続的な教育計画を樹立す
る。
(1) プライマリーケア体制がどのようになってい
るのか、そのなかで緊急時対応がどのような方針で
おこなわれているのか、また、役割分担、情報ルー
トなどのマニュアルが実際と異なっていないか点
検し改善を図っていく。
(2) 職場で発生する、災害、事故と職場の環境、作
業が理解できる。
(3)事業場内外のプライマリーケア体制、運用マニ
ュアルの事例をとりあげ、マニュアルを見直すため
の討議を関係者と行っていく。
(4) 緊急時対応がおこなえるように、実技の習得を
取り入れた継続的な教育計画を行うことを定着さ
せる、また、現場との交流で現場に即した事例をと
りあげる。
・プライマリーケア体制の確認をす
る。
・緊急時対応における役割分担、情
報ルート等のマニュアルを作成、点
検をする。
・職場の環境、作業を理解できた救
急対応となるようにする。
・関係者との交流によるマニュアル
の見直しを図る。
・実技と継続的な教育計画を推進す
る。
11B−3.地域保健、防災活動との連携と調整
a.事業場での救急対応と地
域保健・防災活動との連携に
ついて理解し強化する。
b.日常のプライマリーケア
体制が地域保健、機関との連
携でスムーズに対応できるよ
うにする。
(1) 地域のパートナーの活動領域と連携方法を把
握するための情報収集をし、連携を関係者で検討す
る。
(2)緊急時の地域保健・防災活動の連携について大
事故および自然災害を想定して、関係者と救急体
制、連携、情報ルートを計画的に点検する。
(3)地域のパートナーとの情報交換の体制づくりを
おこない、連携事例から連携のあり方を見直してい
く。
(4)関係者との討議により、必要により協議の機会
をもって、連携を強化する。
12
・事業場の救急対応とシステムをパ
ートナーに紹介し連携体制をつく
る。
・地域パートナーとの多様な連携を
もつ。
・中小事業場では特に重要となる。
・連携事例を把握し連携の必要性を
確認する。
・事業場と連携機関と相互支援体制
を確認し連携を強化する。
《ステップ12
環境マネジメントを促進する》
12A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
産業保健活動と環境マネジメント活動との接点についての理解: 産業保健スタッフとしての活動を通して、環境マネジ
メント活動との接点についてより理解を深める。
環境マネジメントにおける国際的な動向についての認識およびわが国の方針の理解:国際的な動向およびわが国の方針を
視野に入れ、事業場の環境マネジメント活動について参画・助言する。
事業場の環境マネジメント活動等に対する参画および具体的な貢献:産業保健スタッフとしての、知識および経験を活か
して、環境マネジメント活動に参加・貢献する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、安全衛生管理者
他の産業保健専門職、環境マネジメント責任者
公害防止管理者、地域行政機関
主な関係条項・指針
・ILO155・161 号条約
・労働安全衛生法規と関係指針類
・環境基本法および関係法規
・レスポンシブル・ケア指針
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・PRTR 法
・ISO14000
12B.ステップ12の研修内容
研修目標
研修する内容
12B−1.産業保健活動と環境マネジメント活動との接点についての理解
a.職場で取扱われる物質の (1) 産業保健活動により、直接排出されること等に
種類とその有害性、その他の よる環境負荷について把握する。
環境影響について認識する。 (2) 事業活動により、これらの物質が排出、搬出お
よび廃棄される過程を把握する。
(3) 屋外作業が周辺環境に及ぼす影響を検討する。
b.事業場で取扱われる有害
物質の量およびその移動の過
程を把握し、関係法令に照ら
しての点検を把握する。
(4) 職場で取り扱われる化学物質・廃棄物をリスト
アップし法令上必要な対策等、環境マネジメント部
門による点検を支援する。
(5) 法令に照らして必要な対策と産業保健活動と
の接点について理解し、支援する。
研修のポイント
・大気汚染物質、水質汚濁物質、感
染性廃棄物についての動向と規制
について学ぶ。
・その他の環境負荷要因の動向と規
制について学ぶ。
・MSDS関連法規を学ぶ。
・PRTR 法と併合して理解する。
12B−2.環境マネジメントにおける国際的な動向についての認識およびわが国の方針の理解
a.地球的な規模において、
将来的に安心して生活できる
環境を維持するための方策の
必要性を認識する。
(1) 国際的な環境活動の経緯、課題等について理解
する。
(2) ISO 関連規格の果たしてきた役割について理解
する。
・国際動向と我が国の貢献度につい
て理解する。
・COP3京都議定書とその後の進捗
状況について把握する。
b.わが国が環境汚染大国か
ら環境対策大国へ変遷しなけ
ればならない理由について理
解し、各事業所内における実
践について助言・支援する。
(3)国・自治体による炭酸ガス削減等の目標と実施
方法について学ぶ。
(4)事業場が排出する環境負荷要素について排出量
を把握し、事業場の貢献について助言・支援する。
(5) 行政、事業場、市民のパートナーシップについ
て好事例に学ぶ。
・国内の ISO14000 取得状況を把握
する。
・地方公共団体等が実施している環
境活動評価システムに学ぶ。
・個人活動としての環境家計簿等を
参照する。
12B−3.事業場における環境マネジメント活動等についての参画および助言
a.事業場の環境マネジメン
トシステムが、適用される法
律を充足していることを確認
する。
b.産業保健スタッフとして
の専門性を活かして活動に加
わり積極的に助言する。
(1) 関係する法律について学ぶ。
(2) 事業場の環境マネジメント組織および実行シ
ステムの推進状況について把握する。
(3)事業場の環境対策の施設と能力について学ぶ。
(4) 快適な職場環境の形成と環境マネジメント方
針との調和を図る。
・環境基本法と関連法規を学ぶ。
・OSHMS との関係を理解する。
・事業場内各部門の連携について把
握する。
・環境マネジメント手法について学
ぶ。
・快適基準と環境負荷との整合性に
ついて認識する。
12B−4.環境マネジメント活動に対する具体的な貢献
a.事業場が定めた環境活動
実行計画について正しく理解
する。
b.事業場が定めた具体的な
実行計画について率先垂範で
臨む。
(1)他社の環境活動・方針・報告書等に学ぶ。
(2)事業場と地域の市民団体、NPO の協力事例につい
て学ぶ。
(3) 環境活動全般の促進、また日常的な消耗品・廃
棄物の削減やごみの分別収集の徹底や空調設備の
温度設定など事業場内で日常行われる環境活動に
ついて助言をまとめる。
(4) 環境マネジメントを推進している産業保健ス
タッフの良好事例について討議する。
13
・ライフサイクルアセスメント、ゼ
ロエミッションについて正しく理
解する。
・資源の節約、廃棄物の再利用、再
生資源の活用およびエネルギーの
節減について理解し、実践する。
《ステップ13
科学的研究とその普及に貢献する》
13A. このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
産業保健領域の科学的研究方法:産業保健において、健康問題や現場の環境改善について独自の調査を基にした分析を行
い、問題点を発見する。疫学的手法や関連領域の科学的手法の応用により、問題解決について提言する。
科学的知識への貢献:学会や学会雑誌に公表し、科学的知識の蓄積と研究の実践、応用を促す。
直接のパートナー
総括安全衛生管理者、安全衛生業務責任者
健康保険組合、労働者代表
他の産業保健専門職
大学・研究機関、労働衛生コンサルタント、事業場外労働衛生機関
主な関連条項・指針
・科学研究の指針類
・科学論文の書き方指針
・産業保健専門職倫理指針
13B.
ステップ 13 の研修内容
研修目標
研修する内容
研修のポイント
(1) 労働生活を豊かにするために解決すべき問題
について取り上げ、数値化したり、図表化するとと
もに解決策の提言についてまとめ方を学ぶ。
・調査対象の選択方法に留意する。
・組織と個人に対するインフォーム
ドコンセントについて学ぶ。
13B−1.産業保健領域の研究方法
a. 今後取り組むべき問題を
把握し、緊急性、重要性等を
加味して優先順位を決定する
手順を知る。
b. 得られた結果を実践し、そ
の成果を上げる経験を積む。
・他人の意見をすぐには批判しない
(2) 具体例について視覚化したものをグループで
検討し、実践方法について、多くの人たちと協議し、 よう留意する。
・全ての意見を紙に書いて記録して
成果を確認する。
みる。
・KJ 法を応用したり、関連する研究
についての共同研究をすすめる。
・研究能率の向上に努める。
13B−2.科学的知識への貢献
a. 学会参加や論文発表を通
じて人類共通の知的財産とし
ての普及と保存に努める。目
的、方法、結果、考察と区分
し、図・表にまとめる。
(1) 学会や各種学術集会に参加し、多くの研究者の
批判をもらい、必要事項を修正した上で論文にまと
めることができるようにする。
(2) 主張したい事柄のキー・ワーズを選び、統合、
整理する。自分たちの主張を理解してもらい、様々
な批判、意見をもらえるように発表する。
b. 特殊な例や良好活動が、経
験則に基づいた問題解決の助
けになることを認識し、報告
に努める。
(3) 目的の事項に関する情報をできるだけ広く集
・時系列による収集を工夫する。
め、KJ 法を応用するなどして、関連事項をまとめ、 ・関連事項や事例報告の意義を理解
要約、統合化して事例報告にまとめる。
する。
14
・他人の論理や知らなかった情報に
接したり、研究のブラッシュ・アッ
プに努める。
・実験・観察の系や理論構成は出来
るだけ単純にするように努める。
・主張点を整理する。
《ステップ14
産業保健活動を監査する》
14A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
監査目的の認識:監査の目的を認識し、必要に応じて周知させる。
監査基準の決定:監査の基準を目的によって決定し、また決定された基準の妥当性を検討する。
監査実施の手順:関係者への監査実施の報告・連絡・相談をし、必要書類の準備をするとともに、その後監査を実施する。
監査結果の報告:監査の結果を関係者へ報告し、公開する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、安全衛生業務責任者、各部門責任者
労働者代表
他の産業保健専門職
事業場外労働衛生機関
主な関係条項・指針
・ILO 条約勧告等と指針
・ILO‑OSH2001
・国内労働安全衛生法規
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・労働基準法
・その他の OSHMS 規格
・労働災害防止計画(厚生労働省)
・その他の監査指針類
14B.ステップ14の研修内容
研修目標
14B−1.監査目的の認識
a.システム監査の目的を認
識するとともに、各段階の監
査の目的の相違点を把握す
る。
b.自主監査、事業場内もし
くは外部監査の目的を関係者
が相互に認識し、必要に応じ
て周知を図る。
研修する内容
研修のポイント
(1) 監査の定義と目的を理解する。
(2) 各監査の目的は、業種や規模で異なるものでは
ないことを認識し、力点をまとめる。
・国際動向を知る。
・関係法令、通達に注意を向ける。
(3) 産業保健担当者の勤務評定ではないことを明
確にする。
(4) 産業保健活動というシステムを監査すること
を明確にし、共通理解の得られるようグループ討議
する。
・経営責任者や労働者と協働する。
・産業保健担当者のコミュニケーシ
ョン能力が重要と十分に認識する。
・信頼の獲得と使命感が必要なこと
を理解する。
a.監査基準は監査目的によ
って異なる可能性を知る。
(1) 日頃より種々の監査基準の情報を収集してま
とめておく。
b.監査目的に合った妥当性
が高くかつ標準的な監査基準
を採用することにより、監査
の信頼性を確保する。
(2) 自主監査に応用できる客観的基準をできうる
限りまとめる。
(3) 具体例について監査の際の標準的基準の妥当
性を常に検討しておくことを学ぶ。
・監査基準の国際動向と業界動向を
知る。
・産業保健活動評価システムを知
る。
・産業保健関係者の妥当性検証能力
が重要なことを理解する。
・学会動向と業界動向を知る。
14B−2.監査基準の決定
14B−3.監査実施の手順
a.監査を効率よく進め、妥
当な結果を得るためにその内
容等を理解し、周知を図る。
(1) 手順の具体的内容としてチェックリスト項目
や質問リストを作成し、確認しておく。
(2) 関係者に周知させるチェックリスト項目や質
問リストを作成する。
・監査実施の良好事例に学ぶ。
・事業場各部門と連携する。
b.監査の効率化と質の保証
のため、関係者相互の意思疎
通をはかり、産業保健担当者
を含めて必要書類に遺漏ない
よう努める。
(3) 監査実施に必要な書類を整理しておく。
(4) 自主監査も含めて第3者の立場をとることを
具体例や良好事例の検討によって理解する。
・経営責任者や労働者と協働する。
・産業保健担当者のコミュニケーシ
ョン能力の力点を知る。
・監査員の養成(自主監査、第2者
監査)方策と外部監査機関を知る。
(1) 監査結果のプレゼンテーションに有効な図表
の選択や文書化技能について習熟する。
(2)監査に用いた情報の取り扱い、非専門家からの
アクセス等に注意すべき点をまとめる。
(3) 具体例について産業保健情報にはプライバシ
ーに配慮するべきものも多いことを認識する。
(4) 自主監査の結果報告を客観的にまとめる。
(5) 公開の際は非専門家でも理解できる方法で行
うべきことを良好事例から学ぶ。
・社内文書様式を知る。
・マネジメントシステムによる監査
結果の活用方法を理解する。
・外部審査機関による監査結果の例
を検討する。
14B−4.監査結果の報告
a.効果的な結果報告には、
単なる結果集計のみではな
く、論理的・客観的集約が必
要であることを認識し、さら
に広く理解を求めるための公
開方法を修得する。
b.最終的には監査は改善に
結びつくべきであり、そのた
めに効果的な報告が重要であ
ることを知り実践する。また
公開の必要について理解す
る。
15
・プレゼンテーション能力を習得す
る。
・文書作成能力を習得する。
・社内業務分掌・組織を知る。
《ステップ15
産業保健専門能力を向上させる》
15A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
産業保健に関する専門知識の修得:広くバランスのとれた知識を修得し、日常の産業保健活動を向上させると共に、新た
に発生する様々な問題や状況に敏感に気づき、かつその重要度を的確に判断できる能力を持つと共に、新たな必要に応じ
た知識を修得することができる。また、自らの役割の認識と使命感をもとにチーム活動の能力向上を図る。
産業保健における実地技術の修得と向上および専門家としてのふさわしい態度の涵養:問題の発見、分析や対処の技術の
積極的な利用により技術向上を図る。新たな事態に対処するための新たな技術を習得する。それとともに、常に現場で考
える態度、現場とのコミュニケーション能力を通して、専門職としての能力向上の動機付けとなる問題意識を獲得する。
能力の評価・能力向上の評価:産業保健活動の評価システムについて学び、上司、同僚、当事者の評価・自己評価を活用
する。また能力評価試験、資格試験、研究発表等による向上に努める。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、安全衛生業務責任者、各部門責任者
他の産業保健専門職
労働者代表、現場労働者
労働行政機関・労働基準監督署
産業保健推進センター、地域産業保健センター、大学・研究機関、学会・専門職能団体
主な関係条項・指針
・ILO161 号条約等
・ILO 個人情報の保護実施要項
・ILO 健康サーベイランス指針
・産業保健専門職倫理指針
・国内労働安全衛生法規
・刑法
15B.ステップ15の研修内容
研修目標
研修する内容
15B−1.専門知識の修得
a.ルーチン化した業務につ (1)専門機関の報告書・専門誌・専門書などとイン
いて不断の改善を図る。新た ターネット等を活用して最新知識を習得する。
な事態など専門的対処を必要 (2) 当事者との話し合い、同僚との勉強会、産業保
とする特定領域について、最 健関係雑誌の購読、研修会参加で知識向上を図る。
(3) 必要に応じて外部専門家の援助を求める。
新の専門知識を修得する。
b.問題の早期発見に努め、 (4) 産業保健の広い領域にわたる基本的な知識を
発見した問題の重要度の評価 持つよう学び、他の事業場での事例の情報に注意を
を行う(PDCA で改善後の対応 払う。
も含む)。
(5) 関連する他領域の知識を広く習得する。
15B−2.専門技術の修得・向上
a.既得技術の積極的な利用 (1) 当事者との話し合いや利用満足度調査などに
と向上を図り、測定・調査の より、活動上の問題点を把握する。
信頼性・妥当性の向上を図る。 (2) 同僚との勉強会、産業保健関係雑誌・学会誌の
また介入・対処技術の効率性 購読、研修会参加により必要な技術を向上する。
や満足度の向上に努める。
b.新たな課題に対処するた (3) 講習会・研究会への参加、専門機関・外部専門
め外部専門家への依頼により 家との接触を図って新たな技術を習得する。
新技術を修得する。
研修のポイント
・科学知識の有効性の半減期は意外
に短く、以前の知識が現在は陳腐化
している可能性がある。
・情報の質を判断する能力を培う。
・日常の巡視を活用する。
・現場での話し合いを重視する。
・基礎的な疫学を修得する。
・On the Job Training を重視する。
・ロールプレイなどの現場に即した
方法が有効であることを体得する。
・単に最新・高度・専門ということ
に流れず、技術の適切性を判断する。
15B−3.専門家としてふさわしい態度の涵養
a.専門職種としての基本的
態度を確立し、また産業保健
専門職種の中での自らの役割
を認識すると共に、他の職種
の役割を認識し尊重する。論
理性と普遍性の尊重について
学び科学的視点を確立する。
(1) 巡視、当事者との話し合い、意見調査により専
門能力向上の態度を確立する。
(2) 産業保健担当者会議などにより当事者視点、協
同についての理解を深める。
(3) 具体例やグループ討議から思いこみを排除し、
慣習を絶対視せず、他の分野や立場からの視点を考
慮して科学性のあり方を学ぶ。
b.専門家として得た情報を
利害関係者に公開するととも
に個人情報を個人に還元し、
その守秘、インフォームドコ
ンセントを経た集団情報の科
学的利用について理解する。
(4) 情報の持つ価値や重要性と影響力を認識する
とともに、その帰属を尊重する。
(5) 産業保健専門職倫理の基本にそって情報公開
と守秘義務について統一して理解し、具体例につい
てグループ討議する。
15B−4.専門能力向上の評価
a.活動の目標達成の可否の (1) 能力向上の目標を明文化する。
原因分析を行って現状におけ (2) 活動の評価の中に専門職の能力評価の項目を
る能力獲得の達成度を評価す 加え、評価を試みる。
る。事業場内能力評価の向上、 (3) 組織の中での考課を求め、問題点を知る。
(4) 外部評価や資格取得を達成度の目安とする。
資格取得などに努める。
b.活動経験や研究をまとめ (5) 学会研究会参加と研究論文発表による交流を
関連研究と対比し考察する。 重ねて能力向上に資する。
16
・コミュニケーションの技術・態度
専門能力がオールマイティとは考え
ず、その限界も考慮する。
・コミュニケーションの技術・態度、
業務外も含めた日常的な交流の重
視、目的達成のための手段としての
虚偽や誇張は認容しないようにす
る。
・個人情報の保護と、情報の利用に
より集団が得る利益を調整する。
・明文化されたルールを作成する。
・自己評価と他者評価を両方行う。
・適切なインセンティブを付与する。
・実務性を重視したとりまとめと、
科学性を重視した研究の両者それぞ
れの役割を理解し尊重する。
《ステップ16
コミュニケーション能力を発揮する》
16A.このステップのねらい:このステップの終わりに次のことが行えるようにする
現場労使とのコミュニケーション:ニーズに適切に対応した産業保健活動を展開するために現場労使とのコミュニケーシ
ョンをよく保つ。
事業場内諸部門、安全衛生および環境保護担当者との連携:自主的な労働安全衛生管理をすすめ、日常および緊急時の産
業保健活動を的確で効率的に行えるように事業場内の連携体制を構築する。
公的機関、地域社会との適切な関係の維持:労働安全衛生公的機関、地域社会、関連 NPO などと良好な関係を保って、産
業保健活動を展開する。
直接のパートナー
経営責任者、総括安全衛生管理者、安全衛生業務責任者、各部門責任者
現場管理者、現場安全衛生担当者、特定作業主任・労働者
他の産業保健専門職、環境部門スタッフ
労働者代表、現場労働者
事業場外労働衛生機関、産業保健推進センター、地域産業保健センター
地域社会諸機関、関連 NPO
主な関係条項・指針
・ILO161 号条約等
・ILO‑OSH2001
・国内労働安全衛生法規
・厚生労働省 OSHMS ガイドライン
・産業保健専門職倫理指針
・学会勧告・指針類
・産業基準と指針
・事業場内基準
16B.ステップ16の研修内容
研修目標
研修する内容
研修のポイント
(1) 産業保健計画の作成や現場巡視時、諸会議を
活用して現場労使と交流を密にする経験を積む
(2) 問題点の解明や問題解決に当たって現場の
声を尊重する態度を身につける。
(3) 現場リスクや健康問題についての情報提供、
現場への助言提供の手法をまとめる。
(4) 安全衛生上の意見や要望について労使と話
し合う機会を持つ。
(5) 新しい問題や危機管理についての現場対応
についてグループ討議する。
・よい人間的な接触を心がける。
・職場内の意見を聴取する。
・目標との関連付けを常に行う。
・優先ニーズへ対応する姿勢を保つ。
・職場全体の取り組みを目標とする。
16B−1.現場労使とのコミュニケーション
a.職場内の状況に通じ、現場
労使とよいコミュニケーショ
ン関係を保つ。
b.安全で健康な職場に向けた
安全衛生管理のすすめ方と産
業保健活動についての要望を
適切に把握する。
・継続的に現場を改善する。
・予防への関心の強化を第一にする。
・状況変化へ対応する心構えを保つ。
16B−2.事業場内諸部門、安全衛生・環境担当者との連係
a.事業場内諸部門とよいコミ
ュニケーションを保ち、産業保
健活動の推進を助ける。
b.自主的な労働安全衛生管
理、緊急時対応についてよい連
携体制を構築しておく。
(1) 計画の作成や諸会議を活用して諸部門の産
業保健ニーズを理解する。
(2) 緊急時対応について各部門の問題点を調べ
る。
(3) 健康リスクや対策について事業場各レベル
の責任者と交流する。
(4) 事業場内の管理体制について定期的に話し
合う事項をまとめる。
(5) 新しい問題や対応策の具体例についてグル
ープ討議の機会をつくる。
・目標と関連付けて連携をとる。
・諸部門の優先ニーズを把握する。
・部門間のよい連係には日常の情報
交換が基本であることを理解する。
・継続的な改善に監査結果を生かす。
・総合的管理を常に重視する。
・安全衛生と環境対策とよく連携す
る。
16B−3.公的機関・地域社会との関係
a.労働安全衛生に関する公的
な機関とよい関係を保ちなが
ら産業保健活動を推進する方
法と体制について理解と実践
できるようにする。
b.地域社会の関連機関や自主
活動とよい連携体制を構築し
ておく具体的手順を学ぶ。
(1) 事業場の有害要因と関連法規の現状、行政方
針についてよくフォローして、事業場内に的確に
周知徹底させる体制を維持するための方策をま
とめる。
(2) 公的機関へ報告、情報提供する事項をまと
め、定期的に点検する方法を学ぶ。
(3) 産業保健推進センターや大学・研究機関・コ
ンサルタントなどとの連絡関係を保って、問題点
と対策について技術的な支援を求める体制を点
検する。
(4) 地域社会の関連機関、NPO などの自主活動で
連係を図る箇所をリストアップし、連絡や交流方
法を検討する。
(5) 地域産業保健センターや自主組織と産業保
健活動推進についてグループ討議する機会をも
つ。
17
・公的機関と地域社会の最新の動き
をフォローする。
・全国の動向を参考にする。
・最新技術を利用する上で役立つ支
援体制を知って活用する。
・地域全体の状況を把握する。
・保健諸機関と連絡体制を整備する。
・緊急時対応と危機管理への準備体
制を整備する。
・環境対策と連携する経験を積む。