資料2

2015/10/6
人間計測の方法
2.生理的指標の計測(1)
眼球運動の計測
刺激
視線の軌跡
Yarbus, 1967
見ることは網膜から始まる
• 眼球運動の測定⇒どこに視線を向けたか
– 視線とは?
– 視線をどのように計測するか?
– 視線を向けた位置から何がわかるか?
盲点
中心窩
視線を向ける=中心窩に像を映す
視野による視力の違い
視力半分に
中心視
傍中心視
2~5°
10°
周辺視で(精度)良く見たいものを決定
更に半分に
眼球(回転)運動
周辺視
繰り返し
視線を向けて情報収集
鼻側60°耳側100°
ソルソ、1991
視角:物体や領域の両端から目に至る2直線のなす角
次々に視線を向けて、情報収集している
※精度良く見えているのは,外界のほんの一部
で,我々はそのつぎはぎから外界を認知している
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静止画像を見ているときの眼球運動の性質
Yarbus, 1967
跳躍眼球運動(saccade) 20~50ms間
固視あるいは停留(fixation) 250ms~数秒間
(眼球運動)測定装置
1)角膜反射像と瞳孔中心を利用
2)角膜と強膜の境界を追跡
3)EOG法(角膜と網膜の間の電位差を利用)
4)サーチコイル法
5)その他(直接観察法など)
跳躍眼球運動中は情報の入力が抑制される
(サッケード抑制)
据え置き型
停留中に情報収集している
どこに,どのくらいの時間,停留しているかが重要
装着型
眼球運動測定のポイント1
• 高精度で測定することは難しい
– 頭部の移動
– 装置と頭部とのずれ
– 特に上下方向は精度が落ちる
– 瞬きによるノイズ
測定機器の出力値は,もともと意味のない光量や電圧など
キャリブレーション(較正)用のデータを取得
測定装置の出力値
空間内や画面上の座標値
視角10°とか
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キャリブレーション後の出力値
Time
a. X方向,y方向の視線位置を出力
– データ分析しやすいが,膨大な情報量
b. 画像に重ね合わせて表示
– 見やすいが,分析しにくい
c. 停留やサッケードを検出
– わかり易く,分析しやすい
X方向およびY方向の較正前出力値
※どの装置でもX方向の精度に比べY方向の
精度は悪い
眼球運動測定のポイント2
Time
停留とサッケードに切り分ける
25ms間で移動距離1度を超えた場合,サッケード
とする。
半径1度以内に200ms以上留まっている期間を1
回の停留とする。
眼球運動測定のポイント3
眼球運動計測からわかること
・停留点の分析
(1回あたりの)停留時間
⇒(その場所での)情報収集時間
停留回数⇒どのくらい頻繁に目を向けたか
総停留時間(停留時間×停留回数)
停留点の時系列⇒視線を向けた順序
・サッケードの分析
サッケード距離⇒1回の停留における情報収集の範囲
サッケード回数(停留回数と関係)
情報収集の対象について推定
停留時間の平均が約300ミリ秒,
サッケード距離の平均が約3,4文字
わからないこと
視線を向けた位置において、どんな認知的処理を
行ったのか?
・何を知覚したのか?
・何らかの記憶痕跡が残ったか?
・その後の行動に影響を与えたか?
それぞれの目的に即した心理実験
目的に対して最適な計測方法を選択すること.知りたいことは何
なのか?
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眼球運動計測の難しさ
1.
2.
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4.
5.
6.
7.
装置の調節の難しさ
頭部の固定,頭部への固定
較正の頻度と細かさ
縦方向の測定精度
ノイズ
測定範囲
データ処理
様々な眼球運動
随意眼球運動
・跳躍眼球運動(saccade)
・固視あるいは停留(fixation)
・追跡眼球運動(smooth pursuit)
不随意眼球運動
・前庭動眼反射(vestibulo-ocular reflex)
・固視微動(micro saccade)
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