JP 2007-143402 A 2007.6.14 (57)【 要 約 】 【課題】糖尿病や肥満の予防・治療に有効な優れたダイエット効果を有し、しかも旨さの 点でも満足のいく機能性飲食品を提供すること。 【解決手段】本発明の機能性飲食品は、α―グルコシダーゼ阻害作用を有する天然ハーブ (キク科植物のパロアッスル)の細断物、粉末又はその抽出物を含有する。機能性飲食品 として焼き菓子を製造するときには、生地に、パロアッスルの粉末と玄米胚芽等の種子胚 芽を添加混合する。このパロアッスルの枝葉等には、過剰なエネルギーの供給を抑制する α−グルコシターゼ阻害物質が含まれていると考えられ、これを用いた食材は糖尿病や肥 満症の予防・治療に有効である。 【選択図】なし 10 (2) JP 2007-143402 A 2007.6.14 【特許請求の範囲】 【請求項1】 α―グルコシダーゼ阻害作用を有する天然ハーブの細断物、粉末又はその抽出物を含有 することを特徴とする機能性飲食品。 【請求項2】 前 記 ハ ー ブ が 、 キ ク 科 植 物 の パ ロ ア ッ ス ル ( 学 名 : Cyclolepis genistoides Don.) で あることを特徴とする請求項1記載の機能性飲食品。 【請求項3】 さらに種子胚芽が配合されていることを特徴とする請求項2記載の機能性飲食品。 【請求項4】 10 前記機能性飲食品が菓子類であることを特徴とする請求項2又は3記載の機能性飲食品 。 【請求項5】 キク科植物であるパロアッスルの細断物又は粉末と、緑茶の茶葉又はその粉末とを混合 して成ることを特徴とする機能性飲食品。 【請求項6】 請求項5記載の機能性飲食品を用いて生成したお茶飲料。 【請求項7】 キク科植物であるパロアッスルの抽出物を含有する請求項2記載の機能性飲料の製造方 法であって、 20 約140℃の温度に加熱した抽出溶媒を用いて加熱抽出を行ってパロアッスルの抽出物 を生成し、該抽出物を液体飲料に添加混合することを特徴とする機能性飲料の製造方法。 【請求項8】 前記抽出物を添加混合する液体飲料が、緑茶,麦茶,ほうじ茶,玄米茶のいずれか一又 は二以上の混合液であることを特徴とする請求項7記載の機能性飲料の製造方法。 【請求項9】 キク科植物であるパロアッスルの抽出物を含有する請求項2記載の機能性飲食品の製造 方法であって、該抽出物を超臨界流体を用いた超臨界抽出法によって調製することを特徴 とする機能性食品の製造方法。 【請求項10】 30 焼き菓子である請求項4記載の機能性食品の製造方法であって、 キク科の多年生植物であるパロアッスルの所定部位の乾燥物を細断又は粉砕し、これを 焼き菓子の生地に添加混合するとともに、さらに種子胚芽を添加混合し、該混合物を所定 温度で焼き上げることを特徴とする機能性食品の製造方法。 【請求項11】 茶剤である請求項5記載の機能性食品の製造方法であって、 キク科の多年生植物であるパロアッスルの所定部位の乾燥物を細断し、該細断物を焙煎 したものをそのまま或いは粉末化して、緑茶の茶葉又はその粉末と混合することを特徴と する機能性食品の製造方法。 【発明の詳細な説明】 40 【技術分野】 【0001】 本 発 明 は 、 南 米 の パ ラ グ ア イ 共 和 国 原 産 の キ ク 科 の 多 年 生 植 物 で あ る パ ロ ア ッ ス ル ( Pa lo azul) を 利 用 し た 機 能 性 食 品 お よ び 機 能 性 飲 料 に 関 し 、 特 に 糖 尿 病 や 肥 満 症 の 予 防 ・ 治療に有効な機能性食品および機能性飲料に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、日本や欧米をはじめとする先進諸国では、栄養過多等が主な原因と思われる糖尿 病や肥満症などを患う人が増加しており、今後も増加の一途を辿るものと予測されている 。このような糖尿病や肥満の予防・治療には、食事療法や運動療法が一般的に用いられて 50 (3) JP 2007-143402 A 2007.6.14 いる。しかしながら、食事療法による場合には、食事制限を伴うために肉体的・精神的な 苦痛を強いられることが多く、また、面倒なカロリー計算が必要となるため、継続性の点 で課題があるといえる。 【0003】 そこで、食事療法における肉体的・精神的苦痛を緩和する観点から、近年では、蒟蒻ゼ リーやダイエットクッキー等の低カロリー菓子類も多種提供されてはいる。しかしながら 、ほとんどの場合、低カロリー化のために極端に糖分等の配合比を少なくしているか、或 いは味の点で劣る代替物を使用しているため、美味しさの点で満足できるものとはいえな かった。 【発明の開示】 10 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 そこで、上述した背景に鑑み、本発明の目的は、糖尿病や肥満の予防・治療に有効な優 れたダイエット効果を有し、しかも美味しさの点でも満足のいく機能性食品,機能性飲料 及びその製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0005】 このような目的は、下記(1)∼(11)記載の本発明によって達成される。 【0006】 (1)α―グルコシダーゼ阻害作用を有する天然ハーブの細断物、粉末又はその抽出物を 20 含有することを特徴とする機能性飲食品。 【0007】 ( 2 ) 前 記 ハ ー ブ が 、 キ ク 科 植 物 の パ ロ ア ッ ス ル ( 学 名 : Cyclolepis genistoides Don. )であることを特徴とする上記(1)記載の機能性飲食品。 【0008】 (3)さらに種子胚芽が配合されていることを特徴とする上記(2)記載の機能性飲食品 。 【0009】 (4)前記機能性飲食品が菓子類であることを特徴とする上記(2)又は(3)記載の機 能性飲食品。 30 【0010】 (5)キク科植物であるパロアッスルの細断物又は粉末と、緑茶の茶葉又はその粉末とを 混合して成ることを特徴とする機能性飲食品。 【0011】 (6)上記(5)記載の機能性飲食品を用いて生成したお茶飲料。 【0012】 (7)キク科植物であるパロアッスルの抽出物を含有する上記(2)記載の機能性飲料の 製造方法であって、約140℃の温度に加熱した抽出溶媒を用いて加熱抽出を行ってパロ アッスルの抽出物を生成し、該抽出物を液体飲料に添加混合することを特徴とする機能性 飲料の製造方法。 40 【0013】 (8)前記抽出物を添加混合する液体飲料が、緑茶,麦茶,ほうじ茶,玄米茶のいずれか 一又は二以上の混合液であることを特徴とする上記(7)記載の機能性飲料の製造方法。 【0014】 (9)キク科植物であるパロアッスルの抽出物を含有する上記(2)記載の機能性飲食品 の製造方法であって、該抽出物を超臨界流体を用いた超臨界抽出法によって調製すること を特徴とする機能性食品の製造方法。 【0015】 (10)焼き菓子である上記(4)記載の機能性食品の製造方法であって、 キク科の多年生植物であるパロアッスルの所定部位の乾燥物を細断又は粉砕し、これを 50 (4) JP 2007-143402 A 2007.6.14 焼き菓子の生地に添加混合するとともに、さらに種子胚芽を添加混合し、該混合物を所定 温度で焼き上げることを特徴とする機能性食品の製造方法。 【0016】 (11)茶剤である上記(5)記載の機能性食品の製造方法であって、 キク科の多年生植物であるパロアッスルの所定部位の乾燥物を細断し、該細断物を焙煎 したものをそのまま或いは粉末化して、緑茶の茶葉又はその粉末と混合することを特徴と する機能性食品の製造方法。 【発明の効果】 【0017】 肥満や糖尿病の予防や治療法としては、食事療法、運動療法、薬物療法などが提案また 10 は実施されている。この肥満発生のメカニズムは概ね次のとおりである。 食物中の炭水化物が消化されて生じたブドウ糖が、血中に吸収され血糖値が上昇する。 その刺激によって膵臓よりインスリンが分泌される。インスリンの作用によって脂肪細胞 に取り込まれたブドウ糖は脂肪に変換される。この結果、脂肪細胞が大きくなり脂肪の蓄 積が起こり肥満になる。一方、糖尿病は、インスリンの反応が十分でないために、食事後 上昇した血糖値が長時間持続することが原因である。 【0018】 本 願 発 明 者 の 研 究 に よ れ ば 、 南 米 の パ ラ グ ア イ 共 和 国 原 産 の キ ク 科 多 年 生 植 物 で あ る Cy clolepis genistoides Don.( 一 般 名 称 : パ ロ ア ッ ス ル / Palo azul) 由 来 の 成 分 は 、 α − グルコシターゼ阻害作用を有し、体内における糖質吸収を抑える働きがあることが確認さ 20 れた。つまり、このパロアッスルの枝葉等には、過剰なエネルギーの供給を抑制するα− グルコシターゼ阻害物質が含まれていると考えられ、これを用いた食材は糖尿病や肥満症 の予防・治療に有効であることが明らかとなった。 【0019】 よって、パロアッスル由来成分を含む本発明の機能性飲食品によれば、菓子類等の食品 中の糖質がブドウ糖に分解され吸収される過程が阻害されるので(すなわち、α−グルコ シターゼの働きがブロックされるので)、血糖値の急激な上昇が抑制される。その結果、 糖尿病患者も高血糖になることが避けられ、また、血糖値の上昇がゆるやかになることで インスリンの分泌量も減少し、脂肪細胞での脂肪の合成量が減少し肥満を予防あるいは改 善できる。 30 なお、パロアッスルによる改善・予防効果を最大限引き出すためには、該パロアッスル を 1 ∼ 1 . 5 g / day摂 取 す る こ と が 好 ま し い 。 し た が っ て 、 た と え ば パ ロ ア ッ ス ル の 茶 葉を1∼1.5g用意し、これと緑茶の茶葉をブレンドして煮出したお茶を、1日程度で 飲用することが好ましい。 【0020】 また、本発明は、従来のダイエット食品のように「低カロリー」の観点からダイエット 効果を達成するものではなく、「糖の消化・吸収の抑制」の観点からダイエット効果を達 成するものであるので、糖分を極端に控える等して食品の旨さを損なうことがない。よっ て、カロリー低減のために美味さを犠牲にすることなく、味・量ともに満足のいくダイエ ット食品を提供できるので、長期的かつ継続的な予防・治療が必要とされる糖尿病や肥満 40 症の改善に有効である。 【0021】 しかも、本発明で用いるパロアッスルは、南米のパラグアイ共和国に自生している天然 の植物であるから、人体に対して安全である。なお、パロアッスルは、すでに生薬として 文献等に記載されているが、安全性について注意を喚起するような報告はなされていない 。また、ラットを用いた毒性試験もすでに実施されているが、いずれも安全性が確認され たと報告されている。 【0022】 また、菓子類やお茶に混合することにより、日常的に手軽に摂取できるから、特に意識 することなく、長期間に渡って継続的に血糖値の上昇を抑制することができる。 50 (5) JP 2007-143402 A 2007.6.14 【0023】 また、緑茶に含まれるポリフェノールは、糖質の吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を 抑制させる働きがあることが明らかになっている。よって、緑茶の茶葉や粉末に対しブレ ンドして新たな茶剤とすることにより、緑茶ポリフェノールの作用と、パロアッスル成分 のα−グルコシターゼ阻害作用との相乗効果により、食後血糖の上昇抑制作用を相乗的に 高めることができる。 しかも、パロアッスル成分だけを主に含むお茶(いわゆるパロアッスル茶)では、飲み 難くはないものの美味しさに欠けるが、本発明では緑茶に対しパロアッスルをブレンドす ることによって風味が豊かになり美味しさが大幅に改善される。そして、味わい豊かな飲 料であれば長期間に渡って継続的に飲用することができるので、結果として、血糖値の上 10 昇を抑制することができる。 【0024】 また、機能性飲食品の製造において、パロアッスルを粉砕物にすることにより、他の成 分に添加する際に、容易に分散混合することができる。或いは、予めパロアッスルからエ キスを抽出しておくことにより、他の成分に添加する際に容易に分散混合できるとともに 、所望の濃度の抽出物を添加して血糖値上昇抑制効果を調整することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0025】 以下、本発明に係る健康食品の実施形態について詳細に説明する。 【0026】 20 〔第1実施形態〕 本発明の機能性食品・機能性飲料は、南米のパラグアイ共和国原産のキク科の多年生植 物 で あ る Cyclolepis genistoides Don.( 一 般 名 称 : パ ロ ア ッ ス ル / Palo azul) の 枝 葉 等 をそのまま或いは乾燥した後、粉末に粉砕したものを含有するものである。 【0027】 また、本発明の機能性食品・機能性飲料は、パロアッスルの枝葉等を水中で粉砕し、ス ラリー状にしたものを含有するものであってもよい。 【0028】 また、本発明の機能性食品・機能性飲料は、パロアッスルの枝葉等をそのままあるいは 乾燥し、必要に応じて粉砕又は細断した後、水,熱水,アルコールなどの溶媒で抽出した 30 抽出物を含有するものであってもよい。抽出操作に用いるアルコールとしては、メタノー ル、エタノール、プロパノール、ブタノール等を用いることができる。また、これらの溶 媒を任意の比率で混合した混合液を、溶媒として用いることもできる。抽出法としては、 加熱抽出、連続抽出、浸漬抽出、超臨界抽出等の抽出法を利用することができる。抽出し たエキスは、濃縮乾燥して粉末化してもよい。 【0029】 なお、加熱抽出を行う場合には、約140℃の温度で抽出処理を行うことが好ましい。 これにより、例えば120℃や160℃で加熱抽出を行う場合と比較して、収率を向上さ せることが可能になるとともに、得られる抽出物の苦味等が除去されて味を改善すること が可能になる。よって、約140℃の温度で抽出処理を行うことにより、製造コストを低 40 減させることができると同時に、最終製品(機能性飲食品)の味を良好にすることができ る。その結果、旨味の点で満足のいくダイエット食品や健康飲料を低価格で提供できるの で、長期的かつ継続的な予防・治療が必要とされる糖尿病や肥満症の改善に有効である。 【0030】 次に、抽出法の一例を具体的に説明する。 たとえば、天日乾燥したパロアッスルを粉砕し、この粉末を等重量の水及びアルコール の混合液(水/アルコールの重量比=1/1)に浸漬して加熱し、10∼30分間沸騰さ せることにより、有効成分を抽出することができる。また、該パロアッスルを等重量の水 及びアルコールの混合液(水/アルコールの重量比=1/1)に浸し、室温で5時間∼7 日放置、もしくは、40∼60℃で12∼18時間程度加熱することにより、有効成分を 50 (6) JP 2007-143402 A 2007.6.14 抽出することができる。 【0031】 なお、原料として用いるパロアッスルの部位は特に限定されが、例えば地上部の枝葉の 部分を用いることが可能である。 【0032】 本発明の機能性飲食品は、パロアッスルの粉砕物や抽出物を既知の飲食品類などの他の 食品成分に添加混合して形成することができる。 他の成分としては、例えば、ガム、飴、ゼリー、クッキー、ビスケット、チョコレート 、煎餅、氷菓子等の菓子類;緑茶、グァバ茶、オリーブ茶等の茶葉;シロップ、ハチミツ 、ジャム等の流動性甘味食品;豆乳、果実ジュース、野菜ジュース、乳清飲料、清涼飲料 10 、みそ汁、スープ等の飲料;ビール、焼酎、泡盛、日本酒、ワイン等の酒類;中華めん、 うどん、ソバ等めん類;ソーセージ、ハム、はんぺん、インスタントラーメン等の加工食 品;ソース、マヨネーズ、ケチャップ、醤油、砂糖、粉末あめ、水あめ等の調味料;カレ ー粉、からし粉、コショウ粉等の香辛料;チーズ、バター、ヨーグルト等の乳製品;その 他、栄養補助食品や健康ドリンクなど一般的な飲食品類を挙げることができる。 【0033】 また、本発明の機能性飲食品として健康ドリンク(ダイエット飲料)を提供する場合に は、たとえば、上記加熱抽出によって得られた抽出物を、緑茶,麦茶,ほうじ茶,玄米茶 のいずれか一又は二以上の混合液に添加混合したものを、健康ドリンクとして提供するこ とも可能である。このような飲料であれば旨味があって飲み易いために、飽きることなく 20 継続して飲用することができるので、長期的かつ継続的な予防・治療が必要とされる糖尿 病や肥満症の改善に有効である。 【0034】 〔第2実施形態〕 次に、超臨界抽出法によって抽出したパロアッスルの抽出物を含有する機能性食品の製 造方法について説明する。 【0035】 本実施形態では、まず、パロアッスルの枝葉の乾燥物を用意し、この乾燥物を細断して 、該細断物に対して遠赤外焙煎を施す。次いで、得られたパロアッスルの焙煎物に含まれ るパロアッスルのエキスを、超臨界抽出法で抽出する。この場合、超臨界抽出法としては 30 、一般に行われている超臨界抽出法を特に制限なく採用することができる。 【0036】 ここで、超臨界抽出法とは、超臨界流体の状態の溶剤を用いて行う抽出方法である。こ の方法で用いる超臨界流体は、通常は温度・圧力ともに臨界値を越えた領域での状態にあ り、液体と気体の中間的な性質を有している。 【0037】 超臨界流体は液体よりも物質中を拡散し易いので原料物質の内部にまで浸透し易く、気 体中では溶けない物質が、超臨界流体中では溶けるようになる。また、超臨界流体は気体 に比べて密度が大きいので、溶剤の体積あたりの抽出量が大きくなり、使用する溶剤の量 を少なくすることができる。さらに、超臨界流体は、粘度、拡散係数等の物性が気体に近 40 いことから抽出速度が速いという利点を有する。 【0038】 本発明における超臨界抽出法で用いることができる超臨界流体としては、特に限定され ず、例えば二酸化炭素ガス、窒素ガス、水、ジメチルエーテル、メタン、エタン、プロパ ン、エチレン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、アンモニア、窒素、酸化窒素などを用 いることができる。これらの流体の中では、二酸化炭素ガスが臨界点(75kg/cm 2 、31℃)が比較的低く安全性が高く、また熱に対して不安定な成分や揮発性の高い成分 等を効率よく抽出分離することができる点から好ましい。 【0039】 超臨界流体として二酸化炭素ガスを用いた場合の超臨界抽出法について説明する。 50 (7) JP 2007-143402 A 2007.6.14 原料のパロアッスル乾燥物から目的とする成分を抽出するには、二酸化炭素の圧力及び 温度を臨界点以上に設定した状態で行う。例えば超臨界抽出装置を用いて、抽出容器内の 2 温度30∼70℃、圧力75∼300kg/cm 、二酸化炭素の流量0.5∼5.0d 3 m /分の条件下で行うことができる。これにより、パロアッスルのエキス(抽出物)を 効率よく抽出することができる。 【0040】 なお、本発明において、超臨界抽出は、圧力変化による分離法(定温下で超臨界流体を 減圧、膨張させ、溶媒ガスの密度を下げて分離)、温度変化による分離法(定圧下で昇温 或いは降温して超臨界流体と溶質を分離)、吸着分離法(分離槽中に抽出された溶質を吸 着するような吸着剤を充填)等を採用でき、これらを単操作、複合操作として利用するこ 10 とで、高度な精製工程なしで、パロアッスル成分含有量の高い抽出物を得ることができる 。 【0041】 上述した超臨界抽出法によって抽出した抽出物は、たとえばソフトカプセルに収容した 状態で機能性食品として提供することができる。また、抽出した液体状の抽出物を濃縮固 化して、タブレット状の機能性食品として提供することができる。或いは、濃縮固化した 乾燥物を粉末状に加工して、粉末状の機能性食品として提供してもよい。 【実施例1】 【0042】 パロアッスル(パラグアイ共和国のチャコで伐採したもの)の枝葉を天日乾燥させたも 20 のを用意し、これを粉砕して粉末状に加工した。このパロアッスルの枝葉成分を含有する 粉末を用いて、機能性飲食品の実施例として焼き菓子(クッキー)を製造した。 【0043】 焼き菓子の製造にあたっては、パロアッスルの粉末と玄米胚芽を、焼き菓子の生地に添 加混合した。なお、焼き菓子の生地を調製するにあたっては、市販のクッキーと同等の甘 み・旨味を呈するように糖分等の成分調整を行い、特にカロリー低減のための成分調整( 糖分の減量等)は行わなかった。この混合物を所定形状・寸法に成型し、オーブンで焼き 上げた。 【0044】 出来上がった焼き菓子を複数人に試食させたところ、いずれも、市販の焼き菓子(ダイ 30 エット食品でないもの)と比較しても劣ることなく良好な味であり、パロアッスルに起因 する苦味等は感じられないとの回答が得られた。 また、試食者全員の血糖値を測定したところ、食後における血糖値の急激な上昇が抑制 されることが確認された。つまり、この実施例によって、パロアッスル由来成分のα−グ ルコシターゼ阻害機能が働き、体内における糖質吸収を抑えられることが確認された。 【0045】 よって、本発明の機能性飲食品によれば、味・量ともに満足のいくダイエット食品を提 供できるので、長期的かつ継続的な予防・治療が必要とされる糖尿病や肥満症の改善に有 効である。 【実施例2】 40 【0046】 パロアッスル(パラグアイ共和国のチャコで伐採したもの)の枝葉を天日乾燥させたも の用意し、これを細断して遠赤外焙煎した。この焙煎物を「緑茶」の茶葉に添加混合して 、茶剤を製造した。 【0047】 出来上がった茶剤で煮出したお茶を複数人に試飲させて、食後の血糖値を測定した。そ の結果、緑茶(緑茶成分のみ含有)及びパロアッスル茶(パロアッスル成分のみ含有)を 飲ませた場合と比較して、食後における血糖値の急激な上昇がより効果的に抑制されるこ とが確認された。 また、パロアッスル茶については飲み難くはないが美味しくないとの回答が得られたの 50 (8) JP 2007-143402 A 2007.6.14 に対し、本実施例の茶剤については、緑茶と同等の香り・味で、とても美味しくて飲みや すかったとの回答が得られた。 【0048】 なお、緑茶に含まれるポリフェノールは、糖質の吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を 抑制させる働きがあることが明らかになっている。よって、緑茶の茶葉や粉末にパロアッ スル粉末等を添加混合して新たな茶剤とすることにより、緑茶ポリフェノールの作用と、 パロアッスル成分のα−グルコシターゼ阻害作用との相乗効果により、食後血糖の上昇抑 制作用が相乗的に高まったものと考察できる。 (9) JP 2007-143402 A 2007.6.14 フロントページの続き (51)Int.Cl. C12N FI 9/99 (2006.01) テーマコード(参考)
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