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被照射物に電離性放射線を均一に照射す るための A

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(57)【特許請求の範囲】
置。
【請求項1】 被照射物に電離性放射線を均一に照射す
【発明の詳細な説明】
るための回転照射処理装置であって、
【0001】
A)被照射物を巻き付けるためのボビン、
【産業上の利用分野】本発明は、空気を遮断した条件
B)ボビンをその内部に収容することができ、且つボビン
で、大量の耐熱性に劣る繊維状材料やシート状材料に電
を回転させるための回転手段及び電離性放射線の照射窓
離性放射線を照射して、該材料に物理的、化学的または
を含む、気密性の照射容器、並びに、
生物的変化を与える装置に関するものである。
C)ボビンをその内部に収容することができ、且つ被照射
【0002】
物の加熱手段を含み、更に照射容器と接続可能な、気密
性の安定化処理容器、
【従来の技術】これまで、繊維状やシート状の長さの長
10
い被照射物に電離性放射線を照射する場合には、ビーム
から成ることを特徴とする前記装置。
入射口に被照射物を連続的に通過させて電離性放射線の
【請求項2】 照射容器が、被照射物を冷却するための
照射を行い、照射した被照射物をボビン等に巻取る方法
冷却手段を更に含む、請求項1に記載の装置。
等が用いられてきた。そして、ビーム入射口に不活性ガ
【請求項3】 安定化処理容器が、ボビンを回転させる
スを流通させることや、照射前の被照射物から照射後の
ための回転手段を更に含む、請求項1又は2に記載の装
巻取りまでの部分を空気置換のできる密閉式の照射容器
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特許第3226574号
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に入れることで、被照射物を空気と遮断して電子線など
処理に耐え得る構造及び材質のものである。またボビン
の粒子ビームの照射が行われていた。しかしこの方法で
は、電離性放射線の照射時に、被照射物を貫通した電離
は、強度の小さい繊維状の被照射物に電離性放射線を連
性放射線によって加熱を受けるため、その肉厚を薄くす
続的に照射することが難しい上に、照射後の被照射物を
るなどして熱の拡散を大きくする。特に好ましくは、本
空気に触れさせることなく加熱や化学反応を行うことが
発明の電離性放射線の回転照射処理装置に用いられるボ
できないという欠点があった。
ビンは、直径5cm∼300cm、長さ1cm∼200cm、肉厚30μm
【0003】一方、密閉式の照射容器内にコンベアを設
∼1mmである。
置して、その上を移動するパレット内に長繊維等を螺旋
【0010】本発明の電離性放射線の回転照射処理装置
状に置いて電離性放射線を照射し、照射後の被照射物を
に用いられる照射容器は、ボビンに巻き付けた被照射物
空気に触れさせることなくパレットごと加熱や化学反応
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に空気を遮断した状態で電離性放射線を照射するための
を行う容器に入れる方法がある。この方法は、比較的多
気密性容器である。ボビンは照射容器の内部に収められ
くの被照射物に電離性放射線を照射できるという利点を
る。被照射物に電離性放射線を均一に照射するために、
有するものの、被照射物の処理量の割に照射容器が大型
ボビンを回転させながら照射を行う。そのため照射容器
化するため、連続長繊維や長尺シートに電離性放射線を
には、被照射物を巻き付けたボビンを回転させるための
照射するような場合には非現実的な方法である。
回転手段が設けられている。
【0004】このように、ビーム照射利用で連続長繊維
【0011】照射容器には、電離性放射線が入射するた
や長尺シートを製造する場合、及び長い材料の材料評価
めの照射窓が設けられている。照射容器内に収められた
を行う場合には、従来の方法では処理できなかった。
ボビンに巻付けられている被照射物は、ボビンの回転に
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点に鑑み本発
従って照射窓の部分を通過する度に電離性放射線の照射
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を受ける。このような方法によって、非処理物には均一
明は、連続長繊維や長尺シートなどに電離性放射線を均
に電離性放射線が照射される。照射窓としては、例えば
一に照射できるとともに、照射後に空気に触れさせるこ
チタン箔等を用いることができる。
となく加熱や化学反応を起こさせることができる機構を
【0012】照射容器には更に、照射容器内の空気を排
有する装置を提供することを目的とする。
気、遮断するための排気弁等の排気手段が設けられてい
【0006】
る。従って、照射容器は外気との流通が生じないよう
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本
に、気密構造になっている。排気手段は、外部に設置さ
発明は、被照射物に電離性放射線を均一に照射するため
れた真空ポンプ等に接続されており、照射容器内を排気
の装置であって、
し外気から遮断するか、又は不活性ガス等を充填する作
A)被照射物を巻き付けるためのボビン、
用を有する。
B)ボビンをその内部に収容することができ、且つボビン
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【0013】電離性放射線の照射によって非処理物は加
を回転させるための回転手段及び電離性放射線の照射窓
熱されるので、熱分解するおそれがある。これを防止す
を含む、気密性の照射容器、並びに、
るために、照射容器内に不活性ガス又はガス状の反応性
C)ボビンをその内部に収容することができ、且つ被照射
分子を流通又は循環させる冷却手段を設けて、非処理物
物の加熱手段を含み、更に照射容器と接続可能な、気密
を冷却する。また、かかる冷却を促進させるために、水
性の安定化処理容器、から成ることを特徴とするもので
又は液体窒素等の冷媒を通じるラジエーター等の冷却手
ある。
段を照射容器内に更に設けてもよい。
【0007】本発明によれば、耐熱性に劣る被照射物で
【0014】このように、ボビンの回転手段と冷却手段
あっても電離性放射線の照射中に被照射物が熱分解しな
とを併用することによって、回転する被照射物は、電離
い方法で必要な線量を与えることができ、照射後も空気
に触れさせることなく約100℃から1000℃まで加熱する
性放射線の照射窓の部分を通過する際に加熱を受ける
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が、それ以外の部分では強制冷却されるので、電離性放
か、又は化学薬品を導入させながら化学反応の処理を行
射線の出力を上げても加熱による被照射物の温度上昇は
って、酸化に対して比較的安定な状態にすることができ
抑えられる。その結果、熱分解を生ぜしめることなく、
る。
多量の被照射物を比較的短時間で処理することが可能と
【0008】上述のように、本発明の電離性放射線の回
なる。
転照射処理装置は、主にボビン、照射容器及び安定化処
【0015】電離性放射線の照射によって被照射物には
理容器から構成される。
化学反応を引き起こす反応活性種(ラジカル等)が生成す
【0009】本発明の電離性放射線の回転照射処理装置
るので、このような被照射物を外気と接触させると、反
に用いられるボビンは、長尺の被照射物を巻付けて電離
応活性種が酸素等と反応して被照射物が酸化されてしま
性放射線を照射するためのものである。ボビンは、被照
う。酸化によって被照射物の性能の低下をきたすことが
射物の巻取り、電離性放射線の照射及びその後の安定化
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あるので、このような反応を防止しなければならない。
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特許第3226574号
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従って、そのような反応活性種をクエンチするために、
器をそれぞれ図1∼図5に示す。図中に示された寸法
被照射物に安定化処理を施すことが必要である。そのよ
は、本発明実施の一態様を表すものであり、これに限定
うな安定化処理は、例えば真空中又は不活性ガス雰囲気
されるものではない。
中における被照射物の加熱処理又は化学反応処理であ
【0024】図1はボビン100を示すものである。ボビ
る。かかる安定化処理を行うために、本発明においては
ンはステンレス製で、30cmφ×32cmの胴部に44cmφのフ
安定化処理容器が用いられる。
ランジ101が付いた構造である。電離性放射線照射時の
【0016】本発明の安定化処理容器は、その内部にボ
発熱を抑制するために、被照射物が接触する(巻付けら
ビンを収容することができ、且つ照射容器と接続可能な
れる)胴部102の肉厚を100μmとした。図1に示すよう
ものである。また、安定化処理容器は照射容器と同様に
に、電離性放射線の照射や安定化処理は、かかるボビン
気密構造であり、且つ排気手段が設けられている。従っ
10
て、安定化処理容器と照射容器とを接続した後に、被照
を三個支持棒で組み立てて行った。
【0025】照射容器200は、図2及び図3に示すよう
射物が巻き付けられているボビンを、外気に触れさせる
にボビン100の出し入れ口(45cmφ)が付いた空気遮断用
ことなく、安全且つ確実に照射容器から安定化処理容器
の気密シャッター201と、回転ローラ202及びチェーン20
に移し換えることができる。その結果、非処理物の酸化
4からなるボビンの回転機構と、電離性放射線の照射窓2
反応が起こることが防止される。
03並びに冷却用ラジエーター(図には示されていない)を
【0017】安定化処理を行うために、安定化処理容器
有する構造になっている。電離性放射線の照射は、気密
の内部又は外部に電熱器のような加熱手段を設けて、安
シャッター201を閉めて、排気弁205に接続されている真
定化処理の温度及び昇温速度を制御する。その際には、
空ポンプで照射容器200内を排気した後、照射容器内に
ボビンを回転させながら被照射物を加熱することが好ま
しい。被照射物の加熱処理を均一に行うことができるか
不活性ガスを流通させた状態でラジエーターによって水
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冷しながら行う。被照射物への電離性放射線の照射はボ
らである。
ビン100を回転させながら行う。実際には電離性放射線
【0018】かかる安定化処理容器中で加熱処理や化学
の照射窓203の下を通過する際に照射を受ける。照射窓2
反応処理等を行うと、その処理中に分解生成物又は反応
03は、厚さ50μmのチタン箔であった。
生成物が発生することがある。従って、かかる生成物を
【0026】安定化処理容器300は図4及び図5に示す
除去するために、安定化処理容器にガス流通手段を更に
ように、空気遮断用の気密シャッター301と、ボビン回
設けてもよい。
転用モータ302、チェーン303、及び回転ローラ307から
【0019】本発明の装置が、かかる安定化処理容器を
なるボビンの回転機構、並びに加熱ヒーター304から成
有することによって、電離性放射線照射後の被照射物の
り、胴部が断熱材305に覆われた構造になっている。照
空気酸化を完全に防止でき、材料の製造、評価に極めて
射容器200の気密シャッター部201と安定化処理容器300
有効なものとなる。
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の気密シャッター部301とを、パッキンを介して接続
【0020】本発明の装置を用いて電離性放射線が照射
し、安定化処理容器300内を排気弁309を通じて真空排気
される被照射物は、ボビンに巻き付けることが可能なも
した後、不活性ガスを導入する。次いで、両容器の気密
のであれば如何なる材料、形状のものでも使用すること
シャッター201及び301を開き、ボビン移動ハンドル306
ができる。例えば、ポリカルボシラン系ポリマーやポリ
によって照射容器200内のボビン100を安定化処理容器30
アクリロニトリルを用いることができる。特に本発明で
0内に移し換える。この間、ボビンに巻き付けられた被
は、熱的に不安定な物質であって、連続長繊維状のよう
照射物の外気との接触は全くない。ボビン100を安定化
な細物や又はシート状のような幅広の形状の被照射物が
処理容器300内に移し換えたら、両容器の気密シャッタ
適している。
ー201及び301を閉じ、安定化処理容器300と照射容器200
とを切り離す。被照射物の安定化処理は、安定化容器30
【0021】本発明で使用される電離性放射線は、α
線、β線、γ線、X線、加速電子線及び紫外線である。
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0内に不活性ガスを流通させ、被照射物を回転させなが
実用的には、γ線又は加速電子線を用いることが好まし
ら加熱ヒーター304によって加熱することでなされる。
い。
【0027】かかる装置を用いて電離性放射線の照射の
【0022】以下、実施例によって本発明を更に詳細に
様子を調べた。三個のボビン100(30cmφ)の円周方向に
説明する。
それぞれ三酢酸セルロース(CTA)フィルム線量計を取り
【0023】
付けて照射容器内に入れ、電子加速器(ビームの走査に
【実施例】有機高分子の繊維及び薄いフィルムの放射線
より出口の面積が120cm×0.6cmの窓を有する加速器)を
架橋を行わしめるために、そして、それらの耐放射線性
用いて、加速電圧2MV、電流0.5mA及びボビンの回転数1r
を酸素の関与しない条件で評価するために、ビーム照射
pmの条件で、加速電子線を20分間照射した。その結果、
回転処理装置を設計・製作した。かかるビーム照射回転
図6に示すようにボビン100のいずれの場所においても
処理装置を構成するボビン、照射容器及び安定化処理容
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殆ど均一(最大で10%以内の差)な線量分布が得られた。
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【0028】続いて、上記と同様の電子線加速器を用い
【図4】安定化処理容器の上面図及び正面図である。
て、本発明の装置によって融解温度が230℃のポリカル
【図5】安定化処理容器の側面図である。
ボシラン系繊維に加速電子線を照射した。ポリカルボシ
【図6】ボビンの線量分布を示す図である。
ラン系繊維を一個のボビン当たり約5000mずつ巻き付
【符号の説明】
け、加速電圧2MV、電流10mAの加速電子線を、ヘリウム
100 ボビン
ガス気流中で照射した。加速電子線の照射によるポリカ
101 フランジ
ルボシラン系繊維の過熱を防止するために、照射容器20
102 胴部
0内に水冷式の冷却用ラジエーターを設置した。その結
200 照射容器
果、ポリカルボシラン系繊維を熱分解させることなく2
201 気密シャッター
時間で10MGyの加速電子線を照射し、ポリカルボシラ
10
202 回転ローラ
ン系繊維の架橋反応を行わしめ、その融解温度を上昇せ
203 照射窓
しめた。
204 チェーン
【0029】次いで上述の手順に従い、このポリカルボ
205 排気弁
シラン系繊維をボビン100に巻き付けたままで安定化処
206 電離性放射線
理容器300内に移した。安定化処理容器300内にアルゴン
207 気密シャッター用モータ
ガスを流通させながら加熱ヒーター304を用いてポリカ
300 安定化処理容器
ルボシラン系繊維を温度500℃で加熱処理し、反応活性
301 気密シャッター
種のクエンチを行った。加熱と共にボビンを回転数1rpm
302 ボビン回転用モータ
で回転させた。安定化処理後にこのポリカルボシラン系
繊維の元素分析を行ったところ、酸素は全く含まれてお
303 チェーン
20
304 加熱ヒーター
らず、酸化が全く起こっていないことが確認できた。つ
305 断熱材
まり、反応活性種はかかる安定化処理によって完全にク
306 ボビン移動ハンドル
エンチされた。
307 回転ローラ
【図面の簡単な説明】
308 のぞき窓
【図1】ボビンの概略図である。
309 排気弁
【図2】照射容器の上面図及び正面図である。
310 気密シャッター用モータ
【図3】照射容器の側面図である。
【図1】
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(5)
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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(8)
【図6】
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特許第3226574号
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(56)参考文献
特開 昭55−58500(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7 ,DB名)
B01J
19/00 - 19/32
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特許第3226574号
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