第3回 ○事務局(荻野次長) 寝屋川市外部有識者会議 議事 録 日 時 平 成 24年 5 月 24日 ( 木 ) 14時 ~ 16時 20分 場 所 株式会社エクセディ 11階 会 議 室 皆さん、こんにちは。 皆様には、何かとお忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。 また、この度は、清水委員より本会場を御提供いただきましたことを厚く御礼申し上 げます。 それでは、ただいまより第3回寝屋川市外部有識者会議を開会いたします。 本会議の内容につきましては、これまでと同じく、議事録をホームページ等で公表さ せていただきますので、御理解の程よろしくお願いいたします。 それでは、橋爪座長、進行いただきますようよろしくお願いいたします。 ○橋爪座長 それでは、第3回寝屋川市外部有識者会議を進行させていただきます。今回 のテーマは、「地域特性をいかしたまちづくり」でございます。 まず、このテーマに関しまして、事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局(荻野次長) それでは、テーマを「地域特性をいかしたまちづくりについて」 といたしました理由について、説明させていただきます。 地域コミュニティの希薄化が指摘されている中、本市の自治会への加入世帯の割合が 約 93パ ー セ ン ト と 他 市 に 比 べ て 高 く 、 自 治 会 に よ る 活 動 が 活 発 に 行 わ れ て い る と こ ろ で ございます。 また、各団体が防犯、防災、福祉、環境、教育など、幅広い分野において地域に根ざ した活動を活発に展開されているところは、他に誇れるところであります。 地域の特性をいかしたまちづくりを推進するためには、今後、どのような施策、また どのようなまちづくりが必要であるのか、委員の皆様から御意見を頂だいいたしたく、 本日のテーマとして設定させていただいたところでございますので、よろしくお願いい たします。 ○橋爪座長 ありがとうございました。 本 日 の 進 行 で ご ざ い ま す が 、 こ れ ま で と 同 様 、 約 30分 プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン を い た だ き ま ―1― し て 、 そ の 後 15分 ほ ど 意 見 交 換 、 10分 休 憩 を い た し ま し て 、 同 じ セ ッ シ ョ ン を も う 一 度 ということで、予定をしております。 次第のとおり、前半は清水委員に話題提供をお願いいたしまして、後半は私がお話さ せていただくという形になっております。 それでは、まず清水委員からプレゼンテーションをお願いいたします。 ○清水委員 大変お忙しい中、お越しいただきまして、誠にありがとうございます。市長 を始め、皆さんお忙しい中、本当に感謝しております。 それでは、前方の画面で説明をさせていただきます。 今回のテーマは、「地域特性をいかしたまちづくり」ということで、改めて考えてみ ると非常に難しいことだと思います。私自身、思ったことがありますので、その辺りを 聞いていただければと思います。 マスコミにもよく言われていることですが、改めて考えてみますと、我々を取り巻く 環境の現状認識に立ちますと、閉塞感と言わざるを得ない状態です。働き手が減る、そ の割に非正規の雇用が3分の1くらい、少子高齢化、当社でも男性は非常に弱く、女性 の力が相対的に非常に強くなっており、女性が強いという時代になっていると見ており ます。 その次に、モノという切り口でいきますと、デフレではなくて、製品の供給量が多過 ぎる。我々、日々ビジネスをやっておりますけれども、その中でも異常な過酷な競争状 態にあります。何が起こっているかといいますと、六重苦と言われるようなことだけで なく、絶対供給が多い。例えば、中国とか、東南アジアにしましても、先行投資という、 やらないと負けるというようなところがあり、結果的にはどうなっているかといいます と、例えば、シャープであっても、パナソニックであっても、ソニーであっても、非常 に厳しい状況が起こっている。これは1企業の1代表取締役の責任でも何でもないんで すけども、そういうのが事実としてある。そのことが、この閉塞感に実はつながってお ります。 それから、先般もある会議でやっていたんですけども、「電力不足」、これはシリア ス な 問 題 が あ り ま す 。 我 々 も 100キ ロ ワ ッ ト の 電 源 車 と い う ん で す か 、 そ れ を 6 台 ほ ど 手配し、夏を乗り切る計画を考えております。残念ながら、閉塞感と言わざるを得ない と、こんなふうに思っております。 そ れ か ら 、 弊 社 は 海 外 の 18か 国 で 事 業 展 開 を 行 っ て お り ま す が 、 お 金 に 関 し ま し て も 、 ―2― 年金、医療費、消費税のアップ、円高、事業税もやはり、日本が非常に高い。現実にそ ういう問題があります。 それから、これは寝屋川市のことではありませんが、今の民主党なり、それから今ま での大型の規制制度、従来型の踏襲、結果的には問題の先送りで時間がかかるばかり。 それから改革。根本改革を認めたがらない風土。今、橋下市長が非常に元気で、その 後ろで、橋爪先生がいろいろと助言をされていると聞いております。「変えていこう」 という、このうねりは非常に日々大きくなっていると思っております。これについて、 寝屋川市も形としてうまく、この辺を利用して乗る。潮目が来ている時に乗っていくと いうことが、やはり個性を伸ばすにしろ、何をするにしろ必要なことだと思っておりま す。 それから、これは第五次寝屋川市総合計画の巻頭に市長が述べておられる一部ですけ れど、馬場市長の思いは、「魅力と活力にあふれる元気都市」を目指しておられます。 我々は、この言葉をどういうふうに具現化するかということに集中すべきであろうと考 えております。 第 五 次 寝 屋 川 市 総 合 計 画 書 は 、 委 員 に な る と き に 1 部 い た だ き ま し て 、 こ の 18ペ ー ジ にこのことが書かれています。ここに書いてある「魅力と活力にあふれる元気都市」の 5つのポイントが書いてあります。まさにこのとおりだなと。これを5つの大骨という か、そういう形に市は捉えて、施策に切り替えていかれるんだろうと、その中の手段で あるとか、考え方が多少違うとかいうところについて、我々有識者の意見はどうかと問 いかけになっているのではないだろうかと、このように思いました。 その中で、エクセディの社員、ここにも今、社員がおりますので、その中で地域特性 をいかしたまちづくり、そのものに対して、どういうふうに思うかと、寝屋川市に住ん でいる社員がおりますので、そういう面でそれぞれ抜き出してやってもらいました。 よくある手法ですが、それぞれの人が「こう思うわ」ということをポストイットに書 い て 貼 り 付 け ま し て や っ て も ら い ま し た 。 そ れ 以 外 に 、 組 合 員 2,000人 の う ち 、 こ こ に い る 300人 に も こ の ま ま 投 げ 掛 け ま し て 、 「 ど う 思 う か 」 と 問 い ま し た 。 後 ほ ど 、 ど ん な回答がこの中にあるかということをお話しますけども、そんなことをやって、本日の 宿題に答えるべく、多少やりましたということであります。 今、手書きであったもの。こういうものになっているケースを多少まとめていますけ れども、寝屋川市の弱みとは、「おもしろみがない」とか、ずばり言いまして「何の印 ―3― 象もない」、エクセディの社員は口が悪いですから御容赦願いたいですけれども、そん な形で本当に思っている人たち、「目玉スポットがない」「映画館がない」「娯楽・観 光施設がない」「おしゃれ感がない」「アイデンティティがない」「特産物がない」 「暗い」とか、「不安全」「東西に分断されている」というようなこと。こういった意 見 が あ り ま す が 、 私 ど も の 会 社 の 40代 ぐ ら い ま で の 人 が 一 言 で 何 を 期 待 し て い る の か と 言いますと、「文化」「安全・安心」この辺りが非常にトーンとしては多いです。やっ ぱり文化的なまちの方がいいという意見があります。 それから、社員からの提言なんですが、東寝屋川から国道1号、旧国道1号かなこれ は、ここも国道1号ですけども、大きな道をつけていただけませんかとか、遊歩道、サ イクリング、それから駅前の若返り、ピカピカ、まちをきれいにする。汚さないように。 それから食べ物に関するところ、道の駅、それから花です。それから蛍が飛ぶようなと ころ、寝屋川市のイメージなんですが、そういうところのイメージの変革。転入者への 補助金制度、こういうアイデアがたくさん出ています。 それから、今度は社員から、どうしたらいいんだという提言をしてもらいました。 「エクセディ社員の目から見た姿②」「エクセディ社員からの提言①」「エクセディ社 員からの提言②」には、社員が書いた提言をそのまま載せており、何の脚色もしていま せん。今の2ページにわたって申し上げたことが、弱みであるとか、改善した方がいい という希望の点ということで、お聞きいただきたいですが、意見箱の設置を市役所・大 型スーパーに設置したらどうかと、これは第五次寝屋川市総合計画の中にも、広聴ボッ クスを置いておりますという記述がありましたので、写真も見ました。だから、同じこ とを書いているんだということであります。それからホームページへの投稿、これにつ いては、必ず市から返事があったり、お礼があったりということがいるんじゃないです か。それから自治会、大学単位から何かのコンペの感じで、いろいろなアイデアを出し ていただいたらどうかと。後は、小学生の子供が絵を描くとか、いろいろな手段につい て提言を受けました。 それから、やはり住んでいる市民の声に耳を傾けて、そして利益率を得ていくという ところを、市民目線から期待をしておるということであります。 そこで、企業を経営している私としましては、こういうことかなと、今申し上げまし たいろいろな閉塞感、電力不足まで含めた国が抱えている閉塞感。そのような閉塞感と、 それから今、若い社員たちが全部で数十人入ってやっていますけれども、そういう人の ―4― 意見、そのギャップをいかに埋めるかと、これが行政の課題、そのものだというふうに 考えます。 それから、全体を通して行政としてやっていく中で、最も大切なことは何かと、これ は私の私見なんですが、最も大事なことは、良い形で寝屋川市を今、市長等がやってお られますけど、その後、市のリーダーが生まれてくるわけです。その時に、いい形で事 業承継をしなければならない。行政もバトンタッチをしていけるようにすることが最大 の任務ではないかと、私、社長をしておりますのでよく分かります。次は誰に社長させ るかということは非常に焦眉な問題でして、うまくつながってほしいなと、常々、その ためには何を準備すればいいのだろうか。自分の時だけ良ければいいというものではあ りませんので、この辺りが非常に大事だと思います。平たく言いますと、子供たちに借 金を引き継がない。寝屋川市の財政は、市税が二百七十数億円ぐらいありますから、そ ういう面で今、黒字をやっておられます市なんで、非常に珍しいと思うんです。ですけ ども、いろいろなことを実は5か年計画に書いてあること、市長がマニフェストが言っ ておられることを全部やろうとか、とてもそんなお金はない。それも明明白白の事実だ と、そういうふうに思っています。そういう面で、絶対条件としては、その範囲ででき ることの優先順位ではないかなと。それでできることと、できないことを明確に市民に しっかりと伝えるということが必要であると考えます。 それから、民主党のマニフェストのように、できるかのように中途半端なことではな く、非常に白黒はっきりされた市であるということが、結果的には良い形でつながると。 そのためには集中と選択をしなければならない。そのツールが我々ではないかなと。 我々の役割、我々というのは、有識者の一つの役割がこういうところではないだろうか なと、こういうふうに読み替えています。 そしたら、でき上がりの姿はどんなことをやっているかと、一番良いのは、寝屋川市 の中に良質な市民が移転してきて、市民税にしろ、いろいろな税金が潤沢に入ってくる 地になると、一番いいと思うんです。借金を受け継がずにやりたいことができて、財政 の裏付けのないようなことは絶対あかんと、我々株式会社ですからそのように思ってい ます。そういう面で、やはり税収がアップするような豊かな財政となる地方公共団体の 姿をきちっと考えなければなりません。ここを飛ばして、良いことだけを並べるのでは なく取捨選択の中で落としていく、こういうことを思っております。 その次は、活性化。もちろん寝屋川市で楽しくお買い物ができるまち。格好いいとい ―5― うのもあるでしょうし、ファッショナブルでしょうし、例えば、東京スカイツリーがで き ま し た け ど も 、 そ の 足 元 に 330店 舗 ぐ ら い の 新 し い シ ョ ッ ピ ン グ モ ー ル と い う ん で す か、そういうのができた。例えば、ああいうものができると活性化になるでしょうと。 市長がおっしゃっている「魅力と活力にあふれる元気都市 寝屋川」にするには、私の 目から見たら、こんなことができたらいいのではないかと思います。このことは、第五 次 寝 屋 川 市 総 合 計 画 、 32ペ ー ジ か ら 33ペ ー ジ に 書 い て あ り ま す 。 後 で 申 し 上 げ ま す が 、 この中にまちづくり大綱と施策というのがありますが、下から上がってきたアイデアと、 上からとった方針とでちょっとマッチしない点があると。そこはもう一度、練り直しが 必要かなと思います。後ほど申し上げます。 それから、今度は寝屋川市の強みは何だと。京阪電車が来られていますので申し上げ ますと、地の利、足はないんです。これもはっきりと数字で言えるのではないかなと思 っ て い ま す 。 そ れ で 、 こ れ ぐ ら い の 距 離 、 時 間 、 お よ そ 15分 く ら い と い う こ と で す 。 そ れ で 第 二 京 阪 道 路 が で き 、 国 道 1 号 と か 、 国 道 163号 と い う も の も あ り ま す 。 既 に で き ているインフラをどうやって動かすかということが一つかなと思います。 その次、これは第五次寝屋川市総合計画書には余り書いていなかったです。小学校、 中学校については書いているんですけども、高校、大学については余り付言されていな いように思いました。その中で、電気通信大学というのがあるんですね、摂南大学、同 志社香里高等学校、名門の聖母女学院というのがあります。ここらの私立系のところを いかに動かすか。それは、寝屋川市の市民として必ず何年後かに、市民、納税者に変わ っていくわけですから、この人たちをうまく囲い込んで納税者にするというような戦略 を考える方がいいのではないか、お金をかけて卒業したらそれまでというのはつまらな いという答えです。 冒頭に申し上げましたように、そのまちのためのまちづくりの方向はたくさんあると 思うんです。しかし、結果は、きちっと納税者がここにとどまってくれるということが 最後の答えだとしておいて、それにアプローチするための手段はただ一つ。たくさんあ るんですが、帰ってきてもらうまちづくりということを考えれば、このようなことです。 これをしたらいいんですよと言っているのではなく、皆で決めて、ある方向で優先順位 を決めて、こういうようなやり方をしていったらどうかというのが提案であります。地 の利をいかすこと。第二京阪道路、それからもちろん京阪電車がおられるから、そうい う面で、多くの人の立ち寄るような所ができればいいなと。樟葉にそういうものがあり ―6― ますけれども、そういうイメージのところ。もうちょっと大きくアウトレット的なこと ができないかなと、そういうことです。 それから、ポイントは、いかに高額納税者が住みたいまちにするか。これだけを目標 にして、どうしたらそのようなまちになるかということを集中して考えたら、答えが出 てくると思います。 それから、結論としては、豊かな財源を有する寝屋川市にならなくてはならない。馬 場市長がおっしゃっている「元気都市 寝屋川」になるには、やはり正直言って、ある ものがなければ何もできないというのが事実なので、何とか元気都市にできるようなこ とができたらと、私も有識者のメンバーの一人として思っております。 参考なんですが、この会社が、寝屋川市にお納めしている納税額がいくらかというこ と で す 。 平 成 22年 度 は 4 億 1,700万 円 を 納 税 さ せ て い た だ き ま し た 。 こ れ 以 外 に 個 人 の 消費者的なこととか、それは入っていませんけれども、そんな形を我々天引きベースで や っ た の が 、 こ れ だ け で す 。 で す か ら 、 市 税 の 歳 入 が 270億 円 ぐ ら い で す か ら 、 1.5パ ー セントぐらい、この会社からお払いしています。この時は、景気が一段と悪くなりまし たが、事業税に関わっている限り落ち込みが激しい。したがって、個人の富裕層をもっ ているところの方が極めて安定しているということを言いたいがために作りました。今 1,500人 い ま し て 、 3 分 の 1 が 寝 屋 川 市 在 住 、 3 分 の 2 が 寝 屋 川 市 以 外 か ら こ こ に 通 っ てきています。 ちょっと今から、我々が寝屋川市、特に馬場市長と、いろいろな時点でお話をさせて いただいて、やってきたことを宣伝めいて申し上げますけれども、御容赦願いたいと思 い ま す 。 こ れ は 先 ほ ど 、 委 員 の 皆 様 に 見 て い た だ き ま し た け ど も 、 今 、 こ の 建 物 の 11階 に来ていただいています。3月にこの建物ができました。この場所は、以前は駐車場に しておりまして、八尾枚方線とエクセディに入ってくる道のところに駐車場がありまし た。それを全部取っ払いまして、こういう防災公園にさせていただきまして、震災のト イレ、簡易トイレをそこに立てられるようにしました。それから、太陽光発電を付けて、 そこで太陽が照る限り、全部電気を使えるようにしました。そういうことで、寝屋川市 の市民が、これをお使いいただけるようになります。所有も、施設のメンテナンスも、 会社がやりますけども、お使いいただけるのは市民の方と考えております。 それから、この建物ができたこともありまして、今まで通路が狭かったんです。1メ ートルくらいの通路かどうか分かりませんが、それを2メートルに拡幅しまして、いろ ―7― いろな調整をさせていただきました。そういう形で、ここからがずっとエクセディだっ たんですが、皆さんに通っていただくため、寄附といったら大げさですけども、そうい うふうにして広くお使いいただけるようにしました。また、ここの電柱を取りまして、 電線を全部地下へ埋めようという形で、寝屋川市の景観をよくしていこうと、そんなこ ともやらせていただいております。 これは、地域との共生という形で、先ほど、どなたかテレビを見たとおっしゃってい ましたけども、この前に歩道橋があります。地域との共生ということで、読売テレビで 放送されましたので、今から見ていただきたいと思います。 【読売テレビの放送内容を映写】 (読売テレビ司会者) こ ん に ち は 。 3 月 26日 「 か ん さ い 情 報 ネ ッ ト ten! 」 で す 。 先週、命名権の売却で話題となった泉佐野市。 その他、歩道橋の命名権を買い取り、こんな活用をしている企業も。 (エクセディ西垣執行役員) あくまでも、そういった地域の貢献ということをメーンで考えてやりました。公のも のを大切にしようというのは、ここも、何ていうんですか、PRにはなるんじゃないか なと思うんです。 (読売テレビ司会者) 地元とのつながりを大切にしてきたという、こちらの企業では、汚れていた歩道橋に 会社の名前をつけ、社員たちできれいにすることで地域密着へのPRにつなげてきたそ うです。 ○清水委員 ここ数年、特に従業員を大切にするということで、我々景観も力を入れてお ります。そういうことでちょっとどんなことを、私企業ベースでやっているかというこ とを御紹介させていただきます。 これは、昨年の8月に地元の方にいろいろおいでいただきまして、盆踊りということ で、室内で盆踊りをしたと、もし雨が降ったら困るからというような形で、ここが1階 なんですが、2階で金魚すくいやいろんなことをやりました。皆さんに楽しんでいただ いた。 ―8― これは、女性社員の案を採用という形で、これもテレビに何回か出たんですが、私ど もに、コルコンバータという品物があります。それを基本的に女性ばかりに作ってもら おうと考えまして、女性ラインという形でやりました。そこで、物づくりですからちょ っと重たいとか、そういうものは全部女性の人が楽にハンドルできるように高さを変え たり、いろんなことをやりました。ちょっとしたイスがこういう休憩室の工場の真横に ありまして、オフィス勤めと余り変わらないというような環境をつくると、そんなとこ ろであります。 これがキディランドという当社の社内保育園なんですが、待機児童問題、これも市長 には事前にちょっと御相談させていただいて、こういうことをしていきましょうと。要 は、仕事があり、エクセディに勤める方には保育園もあり、送迎も楽です。と言います のは、この前に大きな駐車場がありまして、お母さんたちは、そういう保育園の目の前 に全部自分の車を停めることが可能でして、当社にはクリニックというか、お医者さん とか、歯医者さんもありますし、食堂もあります。そのため、非常に安心して勤めてい ただけます。それから、我々工場ですから、休日がカレンダーどおりではないんです。 連続で何日か休んだり、その場合に会社の休日と今度はぴったり合っていますから、そ の日は親に預けたりしなくてもいけるという形で、喜んでいただいております。 これは、障害者雇用。特に言われていますけれども、実は昨年の3月に設立をいたし ま し て 、 こ の 敷 地 内 に 、 7 人 の 30代 の 寝 屋 川 市 民 に 来 て い た だ い て い ま す 。 簡 単 な 、 基 礎的な仕事もありますし、実は、金属部品と並べるような仕事とか、本当に根気がいる んです。そういう仕事をしていただいています。こちらは父兄参観の様子でして、この 人たちの御父兄に来ていただいて、一緒にやってくださいという、あと食事を一緒にし たり、そういうことにしております。実は、大変感謝をされております。自閉症の方が 多いんですが、まさか就職して、制服を着て、給料まで振込みでもらえるとは、夢にも 思いませんでしたという形で、初めて頂いた給料袋を仏壇に供えて、おじいさんも、お ばあさんも涙でいっぱいでしたというようなお手紙も頂いたり、だから、非常に良かっ たなと、我々も地域に対してしかるべくそういうことができて大変うれしく思っており ます。 話は、コロッと変わるんですが、当社の社員なんです。三浦愛さんってよくちょこち ょことテレビ出ておられますが、この4月から当社のグローバル戦略本部に勤めており まして、当社の丸抱えの車なんですが、これで鈴鹿とかを走って、今フォーミュラレー ―9― サーでは日本ナンバー1という形で、これも元気づけるために、こういうことをやって おります。富士スピードウェイも出ます。いろんな週刊誌にも出ます。これは、なでし こリーグというのがあります。澤さんのところです。アイナック神戸、先々週、先週は 勝ったんです。これは、これが当社のスポンサー、三重県の伊賀上野に我々工場を持っ ています。そこに伊賀上野ですから、「くのいち」というチームがあります。それは市 民チームだったんです。もちろん今も市民のチームなんですが、伊賀上野の市というの は、そこで最大の企業がエクセディなんで、そこからお話がありまして、相談して面倒 を見てくださいという話になりまして、先週これだけのうち、家の御都合がある人は別 に し て 、 19人 に エ ク セ デ ィ の 社 員 で 今 や っ て も ら っ て い ま す 。 先 週 の 日 曜 日 は 、 今 季 初 勝利、その前、私も応援に行ったんですが、アイナック神戸に負けました。初戦は雨の 中、伊賀上野に行ったんですけども、0対3で負けました。しかし、こんな形でエクセ ディの社員が走っておりますので、是非、何かで機会がありましたら見ていただきたい です。 い ろ い ろ な こ と が あ り ま し て 、 市 制 60年 、 そ れ か ら 、 私 ど も も ち ょ っ と 一 昨 年 、 60周 年を迎えました。ということで、馬場市長から、いろいろと活性化してきたということ で、私どもの専務へこのような賞状もいただきまして、改めてありがとうございました。 ざっと、こういうところが私のプレゼンテーションなんですが、最後に、これ実は 「I LOVE EXEDY」ということで、一言だけ申し上げたいと思います。 この周りに「PIKAPIKA」と書いてあるんです。「PIKAPIKA」という のは、よく言われる2Sとか、3Sとか、整理整頓、清潔なんとかとか、しつけまで含 めて5Sと言われるような、そういうものを一言でいえば「PIKAPIKA」だなと。 こ れ は 今 、 約 1 万 4,500人 の 従 業 員 が お り ま す 。 全 部 で 、 36会 社 、 子 会 社 を 持 っ て い ま す ん で 、 18か 国 で そ れ く ら い お り ま す 。 全 員 が こ れ を つ け て い ま す 。 こ こ に 「 F o c u s on Basics」と書いておりますが、要は根本、元々のものに焦点を当てま しょうと、原点に戻りましょうということなんです。ですから、その場その場の判断を するのではなく、本当に本当かと、原点に戻りましょう。でないと、かえってロスが起 こる。「らしい」や「だろう」でやれば、そういうことを原点にきちっと立ち返ってや る会社であって、「PIKAPIKA」に囲まれていて、この会社で働いて良かったな というのが、日本人のみならず、いろいろな国籍の人がおりますから、今アイデンティ ティと言いますが、余り言葉が通じない人が多いですが、そういう心の持ち方を分かり ―10― やすくやっていこうという形で、今やっております。ちょっと饒舌になりましたが、以 上でございます。 ○橋爪座長 はい、ありがとうございます。 ○清水委員 ちょっとすみません。最後にお話した方がいいのかもしれませんが、ちょっ と私が見てみまして、有識者会議のメンバーの一人なので、こういうことが本日のテー マでした。それで、本日、私がお話しするに当たって参考にさせていただいたのは、こ の社員のブレーンストーミング、それから第五次寝屋川市総合計画、それから馬場市長 のマニフェスト、それから野村證券のデータですね、それから世相をベースに書いてき ました。 それで、感じた点は、非常によくできている。寝屋川市として対処すべき課題は十分 書かれていました。何を最も上位の課題として明示するのかが問題かなと思います。上 位・下位での食い違いがありますので、そこはちょっとまずいと感じます。 それから、第五次寝屋川市総合計画の中でも、上位方針と中位の方針が少し噛み合っ ていない。そこは徹底的に合わさないと影響を受ける人が多いので、我々の企業でもそ う な ん で す が 、 1 万 4,000人 も い ま す と 、 い ろ ん な 意 見 が 出 て き て 、 噛 み 合 わ な い で す 。 もうちょっと言いますと、第五次寝屋川市総合計画の上位方針は、市長が言っておら れる「魅力と活力にあふれる元気都市 寝屋川」ということと理解しています。その中 には、「市民が主役」「まち」「安心」「愛着」「次世代」と、この5つが書かれてあ ります。これを大骨というふうに考えます。 その次に、まちづくりの大綱といいまして、今申し上げたのは、「魅力と活力にあふ れる元気都市」とはということが、第五次寝屋川市総合計画に書いてあります。それで、 今5つのポイントを主として挙げておられます。ここにまちづくりの大綱が出てくるん ですが、実は、こっちとこっちで噛み合わない。上位の5方針の言葉を、本来ならば、 引用させる。ぴったりと合っていることで、案外うまくいくケースがあるんですが、ち ょっとここは違う。上下のずれがあるんじゃないですか。市長のマニフェストは非常に 分かりやすい。予算もつけて分かりやすい、それも結構です。ただし、ここが噛み合っ ていない。それで、そういうことは時期的なずれがありますから仕方ないと。改めて優 先 順 位 を ト ッ プ 20ぐ ら い 、 市 長 マ ニ フ ェ ス ト は 56項 目 だ か ら 、 も う 一 度 、 優 先 順 位 を 決 めることで、ばらまき予算にならない方がいいのではないかなと。それで、3番、4番、 5番、6番のことは、間接的には言えるんですが、この中に入っていないです。7番は ―11― 市民が主役のまちという、これは市民の視点に立った形で一応は入っています。どっち かというと、そこらのところが、こことこことのアンマッチが多少ある。その辺りを事 務局がきちっとやっておられたら、もっといいんじゃないかなと感じました。 それから、作成時期のずれがあるので、そんなことはよく起こる。しかし、優先順位 付けをして、再度、大骨に当たるところ、中骨、小骨と、そこまでまとめ直しすること が望ましいと思います。 それから、市長のマニフェストにつきましては、今言いましたように大きく分けて 9 つ 、 合 計 56事 業 あ り 、 事 業 予 算 ま で 書 か れ て い る の で 、 見 る 人 は 大 変 わ か り や す い 。 これが最後のページなんですが、本当にやるものだというところを、やっぱり抑えな いといけないのではないか。そのために、常に上位方針を旨とし、はっきり上位方針に 従ってやる。それから、納期に対するスピード感を役所内で統一されたらどうかなと。 我々「2-2-2」と言っているんですが、これは、納期を決めない限り、成り行きし かないと、できるだけ早くとか、そのうちにとか言っていることは、全部無駄遣いだと、 こういうふうに読み替えております。したがって、「2」というのは、これは「2時 間」とか、「2日」とか、「2週間」とか、「2か月」でもいいんですが、そういうこ とで、ことを進めていくということを皆に染み付けるということが大切ではないかなと 思います。そして、2か月ごとに予定どおり進行しているのかどうかをチェックするこ とが部門長の役割であり、これで目途が分からない人はいつまでも追うなということで す。そこはバサッと切るということ。 それから、対応者とか、担当者がいない案件がいっぱいあると思います。市として、 そういう受け皿がないわけですから、そういうものはできないとして、初めからばっさ り没としたらと思います。 あと2つ、予算と必要経費のどちらかが傾いたらこちらが負けるというバランスを見 る。第三者的な見方が必要ということです。決めたらとことん邁進する。それを、私な んか特に期待します。御容赦をということで、よろしくお願いします。すみません。 ○橋爪座長 ありがとうございます。 行政は、企業経営の感覚とちょっと違うところがありますが、馬場市長は企業経営の センスでしておられます。 「納期」という概念が行政の中で、どこまであるのか、ないのかもしれないのですが。 御意見や御質問とかございましたら、お願いいたします。 ―12― いかがでしょうか。 ○向井委員 本当に、素晴らしい教えをいただいたというような気がしています。私ども は 設 立 し て 102 年 の 古 い 会 社 で 、 今 は 人 が 増 え て い な い の で グ ル ー プ 社 員 を 入 れ て 、 1万人ぐらいですけど、多分規模的にもちょっと総売上は存じ上げてないのですが。 ○清水委員 う ち で も 、 2,000億 円 ぐ ら い で す 。 京 阪 電 車 は 2,600億 円 ぐ ら い で し ょ う 。 ○向井委員 よく似たものです。でも、長年やってきて、本日教えていただいたこういう ことは、若手の社員なんかとは、いろいろと議論はしていまして、必要だと言いながら、 会社としてこういうことを考えている状況にないので、非常に素晴らしいなと思います。 ちょっとお聞きしたいのですが、今、上場はされていますか。 ○清水委員 この会社ですか。はい、東証一部上場です。 ○向井委員 上場されていますよね。その中で、こういうことができておられるというの がすごいなと思うんです。実は、私、千葉県のユーカリが丘というところに行きまして、 そこで山万株式会社というのが、ユーカリが丘の駅周辺に3万人のまちをつくっていま す。実はその会社は、行政の代わりに、まちづくりをやっていますというぐらいの気概 を持ってやっておられるんですけど、そこの役員さんに現場を案内していただいきまし た。そのまちづくりでは、真ん中に市民を、住民を置いて事業活動を行うのが大前提で あり、場合によっては赤字の事業もたくさんやっていかなければならないという話があ りました。ただ、そういうことをやろうと思うと、上場ができない。要するに、上場す ると株主への説明責任が生じるからということで、今は何とかお金が回っているので、 山万株式会社としては、上場をせずに、市民目線でこれからもまちづくりをしていきた い 。 今 、 3 万 人 の う ち 2 万 3,000人 ぐ ら い に な っ て い る ん で す か ね 。 実 は 、 42 年 ぐ ら い か け て 、 200戸 ず つ ぐ ら い の 家 を 、 ど ん な バ ブ ル の 時 に も た く さ ん 売 ら ず に 、 ま ち の 成 熟度の年齢を考えて、市民が循環性のある持続的なまちをつくるというお考えの下にや っておられるんです。驚いたのが、そのまちにモノレールを敷設し、その経営もやって おられます。我々鉄道会社から見たら、全体で3万人の小さなまちで、モノレールを動 かして、どう考えても収支が合わない。お聞きしたら、はっきり言って赤字ということ ですが、ただ、そういう事業をやることについては、赤字額はここまでということを決 めて、それぞれの運営をしていまして、合計で合わせていますということです。そう言 いながら、大体、年間最低でも5億円の経常黒字は出しておられるということなんです けど、おっしゃっていたのは、これが上場してしまうと、今申し上げたようなモノレー ―13― ルとか、安全のための見守りシステムみたいなこととか、電気自動車用の基地の運営も もう始められているんですけど、利益を中心に置くんじゃなくて、市民を中心に置いて やることが難しくなるのでは、と。例えば、エクセディの場合では、社員を中心に置い てやるというようなことができているというのは、私としたら非常にすごいなと思いま す。いろいろといくつも御検討なさっているんでしょうけど、地域との共生というとこ ろを、キディランドにしろ、それから多分、フォーミュラレーサーは、広告宣伝費のと ころの比較をすれば、説明できるのかなという気もしますが、なかなか持続性を持たす には難しいと思います。そういう株主への説明に対して、一応、いろいろと御検討の上 でやられておられるかどうかというのに関しては、ちょっと教えていただけると非常に 有り難いと思います。 ○清水委員 その一つ、例えば、一番最後のページ、「PIKAPIKA」と、こう書い てあるんです。これが、例えば、建物を見ていただきましたら分かるように、青と白で 全部統一したんです。徹底的に青と白にする。エレベーターのボタン押すのも青と白で す 。 我 々 の 予 算 の 中 で 、 売 上 げ の 0.15パ ー セ ン ト は 、 「 P I K A P I K A 」 の 予 算 に 充 てると決めています。 それから、もう一つは、例えば障害者の雇用のところであるとか、幼稚園であるとか、 よく会社を経営されている方にも採算は合いますかと聞かれるんです。私は採算のこと 言われるのなら、やめた方がいい、そんなことで計ったらだめだと。私どもは、全然違 う、別段階で考えます。もうはっきりしています。 ○向井委員 そうだと思います。ありがとうございます。 ○清水委員 地元の人に好かれないと企業なんか成り立たないですからね。そう思ってい ます。 ○橋爪座長 本社機能をどこに置くかという時に、このまちに本社があればこそ、企業の 価値が上がるということを投資家とか、株主に対して説明するのも、やっぱり経営側の 大事なところだと思います。 ○清水委員 ですから、本社を建てる前に、僕は市長に御相談というか報告に行ったんで す。私決めました、寝屋川市を本社にしますわと。と言いますのは、東京に本社がある とか、我々は、シンガポールとか、香港とか、可能性としていろいろあるんですよ。た だし、ここを本社に決めるということをコミットしたんですよ、僕が市長に。それはそ れでいいと思うんですよ。 ―14― ○向井委員 それもお聞きしたかった一つなんですけど、先ほど言いました山万株式会社 の 従 業 員 は 、 そ の 3 万 人 の ま ち に 50パ ー セ ン ト ち ょ っ と 住 ん で お ら れ る 。 そ れ に ほ と ん ど 近 い 、 30何 パ ー セ ン ト で し ょ う け ど 、 住 ん で お ら れ る わ け で す よ ね 。 だ か ら 、 そ の 辺 の何か、会社として従業員をお雇いになる際に、何かそういう御説明があるのかどうか ということが、非常に興味があるんですけど。 ○清水委員 既に勤めている人に対しては余りしていません。あくまで、その本部長がこ の間までやっていましたので、いろいろ相談はしていますけれども。心理的にどうかと いうよりも、寝屋川市に住みたいなと思う要件を会社としてどう整えられるか。前にも ち ょ っ と お 話 し た と 思 う ん で す け ど も 、 例 え ば 、 引 っ 越 し に 要 す る 費 用 が 仮 に 100万 円 と す る と 、 通 勤 手 当 を 5 年 間 で 見 た ら 100万 円 以 上 払 っ て い る ケ ー ス が あ る か も し れ ま せんね。それを先払いして寝屋川市民になれというのも、企業としてはできることなん です。ただ、それはもうちょっと僕は、この中のコンセンサスを得た上でやりたいなと 思っています。それ以外に、先ほど、女性のラインの話をしました。あれなんかについ ては、通勤費がいらなくて、しかもシングルマザーの方とか、寝屋川市の在住の方とか、 そういうことを重きに置いています。それは前、市長と僕が話をした時に、実は、生活 保 護 を 受 け て い る 人 が 多 く 、 10パ ー セ ン ト ぐ ら い と 言 わ れ た と 思 い ま す 。 多 少 我 々 が お 役に立てることはないかということで、幼稚園を準備し、こういうものを準備してやら せていただいている。その代わり会社としては、通勤手当を払わなくていいんです。そ ういうことは通しでやっています。 ○向井委員 今、申し上げられたようなことは、経営方針としてしっかりと全体的に構築 された上でやれているということですね。 ○清水委員 そうですね。 ○向井委員 ありがとうございます。非常に参考になりました。 ○橋爪座長 他、いかがでしょうか。 ○髙山委員 僕は企業経営者じゃないので、その辺のことがよく分からないですけど、今 日のお話でまず一つ不思議に思うことがあります。寝屋川市にこのエクセディがあるこ とは、やはり寝屋川市にとってメリットがたくさんあると思います。そう考えると、最 初に、魅力的なまちとして企業を誘致できるということが大事なのではなく、高額納税 者に住んでもらうことが大事だという視点で、話をスタートされましたよね。やはり、 これは古い考え方かもしれないのですが、ある程度は、地域に貢献して、雇用も守れる ―15― 企業を誘致することが必要ではないか。企業を誘致することができる良いまちをつくる という視点は、まだあるような気がしますが、そうじゃなくて、高額納税者が住みたい まちにすると、最初にちゃんと言い切られたのは、なぜなのでしょう。 それともう一つ、寝屋川市を本社に選んだとおっしゃられた。寝屋川市に何かいいと ころがあったからだと僕は思いますが、その寝屋川市を選ぶときのメリットを寝屋川市 が今後いかす方法がないのかということと、2点教えていただきたい。 ○清水委員 初め、高額納税者と、こう言いました、究極の究極の話をしているんですよ。 いろんなことが、何千というアイテムや項目があるでしょうけど、突き詰めた最後の最 後はそこではないかと思います。企業の場合は、利益操作というのはやります。そうい う面で、マイナンバー制というんですか、そういうようなやり方聞きますよね。全部考 えていったら、個人を押さえないと、総論でやってもだめだと思っています。 寝屋川市を選んだというのは、創始者がこの寝屋川市という土地を選んだんです。だ から、僕は縁を非常に大事にしたいということが最大と思うんです。 それと、やはり市長といろいろお話させていただいたことが大きいです。市もエクセ ディを歓迎していただいているし、我々もお返しをしたいと思いますしね。いい関係だ と思うんです、そういう面で。エクセディは市に対して要求したことはないですよね。 常に前もって何か提案はしますけども、要求は僕はしていないと思いますけどね。 ○馬場市長 社長に、本社を寝屋川市に置きますと御報告をいただいたことは、本当に有 り難いです。寝屋川市の場合、企業を誘致したこともあったんですが、住工混在になっ てしまいまして、つい、企業の皆さん方がなるべく土地の安い、広いところへというこ とで引っ越しされるというのが多いです。その中で、こうした素晴らしい会社が、本社 を寝屋川市に置くということは非常に我々として、有り難いことです。 ○橋爪座長 従来、工場誘致とか、そういうようなインセンティブがありましたが、本社 誘致とか、研究所誘致では、なかなか行政はインセンティブを付けられなかった。しか し工場が海外に進出し始めている中で、むしろ本社機能を誘致するというのは、非常に 戦略的に大事なことのような気もいたします。また、大学が寝屋川市にあるというのは、 確かに強みなんですが、阪急京都線に立命館大学や関西大学ができて、最近は大学は駅 前とかに出されているけど、寝屋川市は元々、府立高専もありますので、人口規模から 見て、これほど大学があるまちは、あまりないのでは。 他、いかがですか。 ―16― ○槇村委員 今、橋爪座長がおっしゃった大学のところからお話します。やはり企業がや ろうと思ったら、これだけのことができるんだな、寝屋川市にエクセディがあるという ことは、非常に希少価値だなと思って聴いていました。ブレーンストーミングから、社 員の方々のいろいろな意見というのは、計画を作ったり、審議会とかではなくて、市民 の方々が本音で思っておられることかなと。その中で、「文化」「安全・安心」という ことですので、「文化」というところでは、学生がやっても、こういう意見が出るんじ ゃないかなと思ったんです。その中で、「文化」というところでは、私以前から、ずっ と不思議に思っていたわけです。これだけ大学があるのに、何でいろいろなところから、 表だっていろいろなものが出てこないんだろうか。関係の大学の先生とかは、いろいろ 交流があるんですけど、どうしてかなと思っていました。大学がまちとして出てこなか った何かネックみたいなものがあったのかどうかなというのを、まずお聞きしたいなと 思いました。それが一つです。 女性のこともやっております関係で、こんなに素晴らしいところだったら、すぐ寝屋 川市に住みたいと皆思われると思うんです。いろいろなお話を聴いていたら、それは経 済原則だけではなくて、社会の今後の方向ということを見据えて、本当は採算が合えば いいんでしょうけども、それをやっておらない。そこに住んでおられる方々は、ここで 働いて、ここでお給料をもらわれて、そこで市に税金を落とされる。そして、またここ で消費をされる。何かお買い物ができるまちと書いていましたよね。そうすると、その お金が外へ出ていかないで、循環するんじゃないか。ここで儲けたお金が、大阪とか、 ほかのところで使われるんじゃなくて、ここでお買い物ができれば、お金が循環してい く。非常にいいラインかなと思いました。 そ れ か ら 、 資 料 の 27ペ ー ジ の 女 性 が 楽 に 作 業 で き る ラ イ ン が 書 い て ご ざ い ま す 。 私 が 女 性 問 題 に つ い て 研 究 を 始 め た の は 3 、 40年 前 で す 。 ス ウ ェ ー デ ン に 行 っ て 、 い ろ い ろ 調査していまして、この時にサーブスカニアとか、スウェーデンにいろいろな企業がご ざいますよね。スウェーデンでは当時、若い女性の働き手が減っていた。人口も減って きて、そこでやはり既婚女性を、いかに、女性とか、既婚女性を労働力としていかして いこうかということを考えた時に、家族政策と同時に、労働政策、福祉政策、両方され て 、 工 場 は 重 い 機 械 が 女 性 で も 操 作 で き る よ う に 、 こ う い う こ と を 考 え る 。 私 は 40年 ぐ らい前に、これを聴いて、すごいなと思ったんです。今、人口減少になってきて、エク セディでは、実際にそういう女性が貴重な働き手として活躍されているというところで ―17― は、本当に先見の明がある取組だなと思いました。それだけ日本が、差し迫ってきてい るということではないかなと思っております。 あと、地域共生では、いろんな女性の活躍というものがある、それが一つ。 もう一つは、良質な市民と書いていますが、良質というのは、いろんな意味があると 思いますが、その良質の一つに、高額納税者ということで、私も「安全・安心」と「文 化」というのと、「教育の問題」とが非常に引っかかっていると思います。私は今、奈 良県に住んでいるんですけど、奈良県というのは、ある意味で、生駒奈良という、高額 納税者が住む住宅ばかりなわけです。それはそれでいいんですけれども、非常に均一的 なまちであるわけです。ある意味で、移ってきた時は活気があります。でも、先ほど、 向井委員がお話された千葉県の山万株式会社ですか、大概は開発のときには、順次開発 していきますから、いろいろな世代が順次なっていくんですけれども、それがうまく循 環していないんです。いろいろ調べると。若い方に移り住んでいただいて循環すればい いのですが、高齢者になって、やはりなかなか移動しないような状況が起こる。開発当 時はいいんですけども、だんだんと蓄積されてくると、高齢者ばかりの均一な住宅地だ けになってしまう。そうすると、非常に活気がなくなってくるわけで、お買い物による お金の循環もなくなってきます。そういうことを考えると、一つの都市計画の問題では あると思うんですけど、住工混在というのは問題であるように思っていたかもしれない けども、もうちょっと違う、住工の工の在り方が、例えば、今までだったら公害がある ような工業地帯というのは、誰でも住みたくない。しかし、住工の工の在り方とか、建 物とか、環境整備が変わってくると、住工混在の違う在り方も可能性があるんじゃない か。そういう意味では、職場があって、そこで人がいきいき働いていてというのは、ま ちの活気として、元気としてはやっぱり違う在り方が考えられると思って、奈良の住宅 地と寝屋川市と、少し比較してみたら、おもしろいまちの在り方が考えられるんじゃな いかなというふうに思いました。 ○橋爪座長 ダイバーシティとは、要は多様な人が、会社にいるからこそ、企業の価値も 上がるという発想。女性の活躍によって企業全体が元気になるという考え方が、実践さ れている例が、この女性レーサーやなでしこジャパンだと思います。 ○清水委員 だから、草食系男子と書きました。 ○橋爪座長 それが行政の中に入ると、都市問題的に、いろいろな人たちが共に暮らすと いうことが課題になりがち。そうじゃなくて、ダイバーシティの概念でいうと、いろい ―18― ろな人がいるからこそ良くなるということが企業経営ではよく出てきています。地域経 営とか、都市経営の部分が議論されていない。そこを変えていくのが、今おっしゃった 従来と違う混在というところです。 ○清水委員 橋爪先生が言っておられる、誇りに思ったり、憧れたりするまち、連泊した いとか。まさにそうだと思うんです。憧れられる何かをいかにつくるかということだと 思います。 ○橋爪座長 まだまだあるかと思いますが、時間も過ぎておりますので、一旦、ここで 5 分 、 10分 休 憩 を と っ て も よ ろ し い で す か 。 (休憩) ○橋爪座長 それでは、再開いたします。 3 回 目 の 後 半 と い う こ と で 、 30~ 40分 ほ ど 時 間 を 頂 だ い し て 、 少 し 思 う と こ ろ を 申 し 上 げ た い と 思 い ま す 。 予 定 で は 終 了 時 間 が 16時 と い う こ と で す が 、 15分 程 度 延 び る と 思 いますのでよろしくお願いします。 では、私から少しプレゼンさせていただきます。お手元の1枚ものの資料を御覧くだ さい。 現在、大阪府、大阪市特別顧問とか、大学の研究所等で観光等の研究等しております が、何よりも寝屋川市が大事やと。寝屋川市ブランド政略アドバイザー、寝屋川市学識 会というのを務めております。 まず、私がお話したいのは、現在の時代認識といたしまして、都市の時代であるとい う こ と で ご ざ い ま す 。 20世 紀 後 半 は 、 都 市 化 の 時 代 で あ っ た 。 各 都 市 が 工 業 化 す る 社 会 の 中 で 、 一 定 の 利 便 性 を 求 め る と い う の が 横 並 び で あ っ た と 。 一 方 で 、 21世 紀 の 現 在 は 、 都市の時代です。一つには、世界を見ますと、人類史上空前の人口増加があって、アジ ア各地、世界各国で、巨大都市が続々と生まれている。ほんの数年前、人類史上初めて、 総人口の過半数が都市居住者になったという状態になっております。世界中至るところ で新しい都市が生まれている。対して、我が国日本では、少子高齢化や生産年齢人口の 減少、製造業の空洞化も言われております。だからこそ逆に、都市の存在が大事になっ ているということもいえると思います。人口が減る中で、大都市及び大都市圏域の役割 が高まっていると理解したい。その中で、各都市が横並びの都市化ではなくて、それぞ れの都市が、得意技を磨くことを意識しなければいけない。都市の資産、文化資源を総 動員し、既存のストックを活用して、新たな都市の魅力を創造していかなければいけな ―19― い。そこで、都市型の文化産業の振興が必要だと。文化、人材育成、都市づくりなどを 横断するような新たな都市、総合的な都市政策が必要だということをこの間、申し上げ てきております。 例 え ば 、 都 市 と 文 化 行 政 の 在 り 方 も 、 従 来 型 、 20世 紀 型 と 21世 紀 型 と い う の は 変 わ る のではなかろうかということを申し上げております。大きな流れで、都市と文化行政の 関 係 を 申 し 上 げ ま す と 、 70年 代 に 議 論 を さ れ た の が 、 文 化 の 行 政 化 。 80年 代 に お い て 、 文 化 施 設 と い う も の を 各 自 治 体 が つ く り ま し た 。 そ れ が 翻 っ て 、 90年 代 後 半 、 箱 物 ば か りをつくってきたのでいかがなものかということで、干上がった。近年、ソフトが大事 だと、「コンクリートから人へ」という議論が起こった。私の理解はそうではなく、ソ フトとハード。つまり都市そのものを市民が、あるいは企業が使いこなしていくという ような視点が重要であると考えております。 文 化 行 政 の 歴 史 を 見 ま す と 、 1968年 に 文 化 庁 が 開 設 さ れ ま し た 。 戦 後 の 文 化 行 政 は こ の頃からスタートをしております。それに先んじて、京都市が文化政策を取り入れたの が 、 1958年 で あ り ま す 。 京 都 府 も 文 化 事 業 室 を つ く っ て お り ま す 。 70年 代 に 日 本 中 の 地 方自治体が「文化」が大事だと考えるようになった。先ほど申し上げたように、文化の 行政化、一方で、「行政の文化化」ということが議論をなされた時代がきたと理解して いただければ、戦後の文化行政は過去と現在でかなり転機にあるというのが、私の認識 で申し上げているところでございます。 例えば、私の恩師であります梅棹先生は、かつて文化の問題は、私事ではなく、公共 のことであるということをおっしゃった。もう一点、私が大事だと思っておりますのは、 教育と文化は違うという視点。市民から見た場合、教育は充電であり、文化は放電であ ると。教育はチャージであり、文化はディスチャージである。要は、教育と文化が違う という認識とともに、これが都市を支える両輪となる。市民が自ら溜め込んだ活動した いという思いを、発散するような場というものが、各都市、各地域にあるということが 大事であると理解をしております。 70年 代 、 文 化 行 政 で 議 論 さ れ て い る の は 一 つ の 論 点 が 、 水 道 蛇 口 論 と し て 整 理 さ れ た 論点がございます。国民的な文化とニーズにいかに対応するのか。戦後復興を経て、高 度経済成長を果たした日本国の各地域、各都市において、文化というものを行政が担う んだという動向の中で、蛇口をひねれば常に水が流れるがごとく、文化を供給するとい うことを考えるべきだという議論がございました。こういう流れを受けまして、大阪府 ―20― に も 文 化 振 興 と い う 概 念 が 入 っ て き た の が 、 70年 代 で あ っ た と 思 わ れ ま す 。 70年 代 後 半 ぐらいにできましたのが、私の恩師である上田篤先生等もおっしゃっておりましたが、 「空間の美学」という考え方です。公共施設等に文化的要素を取り入れるという発想が、 日本では遅れていた。パブリットアートの類を置こうとか、あるいは文化の1パーセン トシステム、要は全ての公的な事業、法的な施設等をつくる際に、その予算の1パーセ ン ト を 文 化 に 回 す べ き だ と い う 議 論 も さ れ て お り ま し た 。 今 か ら 既 に 30年 ほ ど 前 の 議 論 でございます。 70年 代 後 半 、 「 行 政 の 文 化 化 」 と い う 議 論 が 出 て ま い り ま す 。 あ ら ゆ る 行 政 に 文 化 の 視点を取り入れるべきだというものです。全国文化行政連絡会議等ができまして、日本 中で公共がいかに、文化的なことに取り組むべきかという議論がなされました。 90年 代 に 、 戦 後 復 興 高 度 経 済 成 長 期 の 市 民 、 国 民 の ニ ー ズ に 基 づ く 文 化 政 策 の 転 機 が 来たと私は理解をしております。私が申し上げてきたのは、「文化によるまちづくり」 が大事であること。もう一つは、市民主体の文化行政という概念が大事であること。つ まり、官が文化や文化施設を配給するということに関する批判とか、従来の箱物、行政 への批判等を受けて、ハードからソフトへという議論が巻き起こってくるというのが、 十数年前からの流れであります。 ただ、違う論点が文化行政の一つの中核にある。中川幾郎先生などがよくおっしゃっ ておりますが、ハードウエア、ソフトウエアという2極論自体が、そもそもおかしい。 大切なことはヒューマンウエアであるという。文化とは何かというと、基本的に人であ るという論点から、従来の文化行政ではなくて、総合的な自治体の文化政策というもの に移していかなければいけないという議論や、文化権という概念が議論をされている。 文化にアクセスする権利を保障するような市民文化政策は大事であるという点が、最近 の論点で浮かび上がっているところかと思います。 私がもう一つ、申し上げているのは、先ほども申し上げましたが、「文化のまちづく り」とか、「文化の景観づくり」等も文化行政の中で大事なことだという点。地域の文 化資源や、文化資産を総動員して、我がまちの、たくさんの大事なものを市民が使いこ なしていくということが大切なのではないか。また、市民の思いを一つに集めるような ことが大事であるということで、都市のブランディング、すなわちブランドづくり、あ と市民の誇り、市民プライドをもう一度高めるようなことを進めるべきだ。外から見た 都市への憧れをクリエイトするべきであり、それを産業にうまくいかす文化創造産業と ―21― いう概念や、文化産業又は創造産業という概念を、ありとあらゆる産業振興策に入れる ことが大事だということを申し上げております。 大阪府、大阪市等で、約4年間私が座長であったり、プロデューサーであったりして、 実践してきて、その市の、大阪のブランドづくりをもう一度組み変えようと、憧れの大 阪を創造する事業を幾つか進めてまいりました。現大阪市長・前知事の橋下徹市長と御 一緒に進めました大阪ミュージアム構想という概念を立ち上げて、大阪が全てミュージ アムであるとみなし、我々はもっと大事な宝物を大切に使いこなしていきましょうとい うことを提案いたしました。あるいは、選択と集中ということもございました。夜景を つくるということと、水辺を綺麗にしようということにかなり力を入れるべしというこ とで、御堂筋のイルミネーションを市民や、企業に動いていただきながらつくってまい りました。また、「水の都大阪」を、もう一度大阪のブランドにしようということで、 京阪電車も御一緒に中之島の再生とともに進めてまいったところです。 例えば、何年ぐらい前ですかね、ほんの数年前の天満橋のところは、ブルーテントだ らけ、中之島の面した公園は至るところブルーテントだらけだったところが、高々数年 で、美しい船着き場になってまいりました。リーガロイヤルホテルの前も、民間の企業 に事業者として入っていただくことで、風景が変わりました。木津川沿いは地域の方が 落書きを自らペンキで消すことで、綺麗な河川敷の公園に変わり、道頓堀は、人が入れ ないグリーンベルトでございましたが、今は、親水護岸になりました。西道頓堀もほん の数年で様変わりしました。数年で、まちの最も問題点であったところを、最も優れた 場 所 に 変 え る と い う こ と を 、 力 を 合 わ せ れ ば で き る 。 2009年 に 私 は プ ロ デ ュ ー サ ー と し て、水都大阪というイベントをやらせていただいた。中之島の公園は見違えるように綺 麗になりました。この公園等に人が来ていただくために、例えば、アートをうまくいか すべくドラゴンの船や巨大アヒルをつくらせていただいて、これが人気者になりました。 すばらしく美しくなったこの水際に、行きたいという動機付けをするために、ドラゴン やアヒルが必要である。アヒルを見に来た子供たちは、一生この経験は忘れないでしょ う。ワクワクドキドキしてアヒルを見に来た。その時に、ホームレスがたくさん住まれ ていた川辺にまできて、すばらしくなった。こんな快適な場所があるんだということを 認識してもらい、その経験を提供することが大事だと思います。 加えて、これも橋下前知事の肝入りで、川縁を美しく、ブルーのLEDで光らせてお ります。これも従来なかった発想で、対岸から見て美しい護岸なんていうのは、実際は、 ―22― 世界中そうはない。日本には少なくとも河川法では、対岸から見た人向けに、きれいに 照明をつけるという発想はないのですが、私はだからこそ、いろんなプロポーザルのデ ザインの提案の中から、これを選ばせていただいた。前例がなく、大阪府、大阪市の担 当者が非常に苦労しました。この桜の照明等も対岸から見て、いかにきれいかというこ とが大事な考え方のベースにありました。従来の公園の人から見ると、照明は公園を歩 く人のために照らすという発想ですが、対岸から見て美しい。要は、従来の公共の土木 事業になかなか入っていなかった美観という概念を取り入れるということをやりました。 今の堂島川沿いは、ブルーのラインが光っております。こんな堤防は世界でも、私は見 たことがない。これはまだアピールできておりませんが、大阪都心の水際は、この数年 間でイメージ一新したと思っております。 橋梁も全部LEDにしまして、従来の古いタイプのライトアップではなく、デザイン もいかした夜景に順次変えています。この辺りが、重点化であります。行政が管理して いる河川空間で、京都にあるような床ではなく、大阪の独創的な公共空間の民間利用の 事例として、河川法の緩和の中で、川床を形にさせていただきました。 戦前までは大阪の人が誇らしげに、我がまちのことを語り、日本中の人が大阪といえ ば、水の都だと、プラスイメージで語られたと思いますが、戦後、全く忘れ去られてい た。大阪というのは川が汚いというイメージとなった。ここを変えていこうと。杜の都 仙台、花の都パリといいます。何々の都という一言で、誰もが語れるような、都市のア イデンティティというものは、非常にクリアで分かりやすいと思います。なぜ、都市の 再ブランド化を大阪で実践しているのかというと、これは世界の各都市が、この領域で 競争をしているという理解の下にあると申し上げています。 従 来 の 20世 紀 型 の 都 市 の 理 想 を 語 る と き に 、 よ く 使 わ れ た 言 葉 が 世 界 都 市 、 ワ ー ル ド シティという概念であります。高度な都市機能の中心性と、集積をもつ国際的な影響力 を有する政治と、通商の首都が世界都市であるという定義がございました。例えば、ロ ンドン、パリ、ニューヨーク、東京などは、世界都市であるというわけです。対して、 小さなまちも、我がまちは世界都市だという議論も起こってまいります。どういうもの かといいますと、特定分野で世界一であるとか、オンリーワンであるというのも、世界 都市だと。例えば、バイロイトはワーグナーの音楽で、世界でオンリーワンであるとか、 浜松は楽器とモーターバイクで世界都市である。金沢は伝統工芸で世界都市であるとか、 我がまちは世界都市であるというプライドの語り方というものがございました。 ―23― それに対して、近年議論されているのがクリエイティブシティ、創造都市という概念 です。ランドリーという人が提案したもので、文化芸術の産業化、あるいはクリエイテ ィブ産業の拠点であるというもの。創造都市の定義を大阪市立大学の佐々木先生がおっ しゃっているのですが、創造都市とは、市民の創造活動の自由な発揮に基づいて、文化 と産業における創造性に富み、同時に脱大量生産の革新的で柔軟な都市経済システムを 備え、グローバルな環境問題やローカルな地域社会の課題に対して、創造的問題解決を 行えるような創造の場に富んだ都市である。ボローニャとか、ナントというものが有名 でありますが、これはいわば内発的、自律的にクリエイティビリティを伸ばしている都 市であります。あるいは、後発になりますが、ビルバオとか、バルセロナ等も創造都市 戦略といっている。我々、日本の各都市はキャッチアップ型でヨーロッパで提案された クリエイティブシティというものを取り入れようということで、金沢がクリエイティブ シティ、横浜もクリエイティブシティ、金沢は工芸に特化をしようと、神戸、名古屋は デザインに特化しようというようなことをやっております。 どういうことかといいますと、例えば、ビルバオというまちは、工場が出た後に、グ ッゲンハイムミュージアムの分館を誘致して、スペイン有数の文化芸術のまちに変わり ました。工業都市が、文化芸術、観光のまちに変わるというドラスティックな転換を示 した事例であります。あるいは、フランスのナントというまちが、お菓子の工場をアー トセンターに変えて、ここを拠点として非常に成功したまちだということで、ヨーロッ パ中で有名になりました。世界的に有名であります。例えば、ナントのアートセンター が実施をした川全てをギャラリーにするアートイベントというのを、私も準備段階で見 に 行 き ま し た 。 長 さ 60キ ロ ほ ど の 川 筋 全 体 に ア ー ト を 順 番 に 置 き 、 2 年 置 き に こ れ を や ることで、川全体を文化的な川にし、新たな観光資源をここにつくるんだという、ダイ ナミックな6年間の計画であります。この計画を調べに行ったときに、例のアヒルを発 見 し ま し た 。 オ ラ ン ダ 人 の ア ー テ ィ ス ト の 作 品 な ん で す が 、 高 さ 10メ ー ト ル ほ ど の ラ バ ーダックを見て、これを大阪に呼ぼうということを形にしていただきました。要は川の 物語を組み換えて、こういう変わった船で遊覧をするという観光構想をつくるというこ となんです。このナント市が世界的に有名になったのは、地域のクリエイターとか、デ ザイナーとか、若い人たちが開発した世界最大の人形劇であります。ハイテクのメカと 伝統工芸を組み合わせて、プロダクツデザインと音響のデザインと、ミュージシャンと、 演劇の人たちがグループを作り、4日間にわたりまち全体で行う世界最大の人形芝居を、 ―24― 21世 紀 に 入 っ た 頃 に 始 め て 、 毎 年 、 世 界 の ど こ か で 、 一 つ の 制 作 に 何 億 円 も 掛 か る よ う なものが、引く手あまたとなった。ナントというまちに発注がくる。これはルアールと いうまちで興業したとき、私が現地で見てきたんですが、この象が我がまちにくるんだ ということで、地域の子供たちは何か月も前からワクワクしていたそうです。人形芝居 を都市の規模でやるという、その一つのアイデアで、世界で例のない組み立てができ上 がった。大事なことはこれがナントで生まれて、ナント市の名前とともに世界に広がっ ているということです。この演劇団の作品が単なる文化・芸術じゃなくて、ビジネスと して世界的に重視されているとともに、まちの名前も広がっていっているということが 大事だと思います。 こういうクリエイティブなシティ、都市の在り方というものがヨーロッパで議論され ました。これに対して、カウンターでアメリカから論陣が張られまして、アメリカでは 内発的なものではなく、世界的にはクリエイティブな人たちというものがたくさんいる。 そんな人を集めるようなまちをつくるべきだと。そのためにはクリエイティブな人がそ こで働きたくなるような、そんな基盤が必要である。これはアメリカの西海岸の例えば、 シアトル島をイメージされると分かりやすいと思いますが、ボーイング等の工業都市が、 アマゾンドットコムとか、任天堂などの企業の進出によってITの都市に変わりました。 リベラルで、クリエイティブな人たちが集まりやすいようなまちの基盤がある、そうい うまちを世界の各都市が競い合ってつくるべきだという議論を、アメリカのフロリダと いう研究者が提案しました。彼の最新の著作がグレートリセットというタイトルで、従 来にはない新たな都市づくりの提案をしております。我々は、それを受けて、新たなク リエイティブな都市をつくるためには、従来型の発想は一度リセットしなければいけな いということを、絶えず考えるべきだ。今お話したように創造都市というのは、ヨーロ ッパから提案された内発的な都市のイメージと、アメリカから提案された世界中から優 秀なクリエイターを集めるような都市をつくれという方法論の2つのモデルが出たわけ です。これまで議論していますのは、アジアはそれを見た後で、後発でクリエイティビ リティの競争に入っている部分がございます。ヨーロッパ型でも米国型でもない、我々 はアジア、あるいは日本の地域性、大阪の地域性をいかした独自のクリエイティブな都 市をつくらなければいけないのではなかろうか。なぜ、こういうことを申し上げるのか というと、アジアの各都市がこの分野で、今すさまじい競争をしています。中国は国策 で5か年計画で、この分野を伸ばしている。5か年計画で、今3次目に入っているんで ―25― す 。 2,000 年 ぐ ら い か ら 始 め て い ま す 。 中 国 中 の 各 都 市 が 様 々 な 技 術 、 デ ザ イ ン 、 民 族 的なものやアニメ等まで、日本、アメリカ、ヨーロッパを抜こうということで、競争し ています。北京で言えばかつての国策の軍事工場がアートセンターに変わりました。 2005年 に 聞 い た 話 で す が 、 上 海 は デ ザ イ ン に つ い て 特 化 し よ う と い う こ と で 、 10年 後 に ア ジ ア の デ ザ イ ン の 中 心 に な り 、 20年 後 に は 世 界 の デ ザ イ ン の 中 心 に な る ん だ と い う 意 欲を持って戦って、この分野を伸ばそうとしています。この分野のクリエイティブ産業 の ク ラ ス タ ー を 、 こ の 10年 ほ ど の 間 に 、 市 内 に 数 十 か 所 つ く っ て い る 。 こ れ は 民 間 の こ の種の産業集積を、クリエイティブ産業のクラスターだということで位置付けているわ けで、上海の場合でも古い工場等をデザインとか、建築設計とか、ITのベンチャー企 業、あるいは工房などに提供をしていこうと、民間企業を行政がサポートしている。古 い下町の工場地帯の中もおしゃれなまちになり、アートの人たちが並ぶようなギャラリ ーに変わったところもあります。 ソウルも同様です。世界のデザインのキャピタルを目指すんだということで、かつて の高速道路を撤去して、清渓川という、非常に美しい親水公園にしたのは有名でありま すが、この精神がソウルの行政及び企業のマインドに全て首尾一貫している。デザイン キャピタルのイベントでは、子供たちにデザイン教育を徹底して行っております。ソウ ルへ行かれたら是非見ていただきたいのが、漢江に架かる橋の両側の噴水です。長さ 1キロを超える噴水をコンピュータ制御で音楽に合わせたショーとし、それを川の上の レストランから眺めることができる。これはソウル市役所の土木の職員にアイデアを募 集し、高々2、3年で、この河川沿いをシンボルとしたデザインの都市にすることを実 現させた。大阪で噴水を一つつくるだけで私もかなり苦労しましたが、そうではなくて、 トップダウンで、本当にわずかな期間で、世界で見たこともないような噴水をつくるの がアジアの各都市である。我々はこういうまちと競争をしております。 このようなクリエイティブなまちづくりが、世界中でされている。今日の話では大都 市の事例が多いと思われるかもしれませんが、小さなまちもそれぞれ工夫をして、他の 物まねではない、新しいアイデアで、新しい地域をつくろうとしている。その中で、近 年よく言われるキーワードが「シビックプライド」という、日本語にすれば、「市民と しての誇り」という言葉です。都市に住み、都市で働き、住み学んでいる人たちなどが 持つ土地に対する誇りや愛着を大事にしていきましょう。その都市が大好きで誇りに思 うと同時に、よりよい場所にするために、自分自身が変わっているという当事者意識を ―26― 伴っていただきたい。他人事ではなくて、市民一人一人がこのまちをよくする、私たち の誇りだと思い、我がまちに対し何らかのアクションをしていくという自覚を持たなけ れば、まちはよくならないという点が、従来の都市愛、郷土愛とは全然違うということ で、運動やムーブメントとして、展開することが大事だというのが、ここ数年、各都市 が取り組んでいる新たな事業です。 この種の事業が日本に紹介されて、都市計画とか、都市づくりの専門家に対して、イ ンパクトを与えたのがアムステルダムの事例で、アーティストたちがアムステルダムは、 もっと文化等に力を入れるべきだということで、「アイ アムステルダム」というロゴ で、まちを変えていこうと提案した。実際、アムステルダムの行政も、展開しようとい うことになりました。これは、私はアムステルダムになるという宣言です。こういう展 開を各都市が行っておりまして、例えば、これもよく紹介されますが、バルセロナのB とハートマークの展開があります。バルセロナがドキドキする、ワクワクするというこ とだそうでありますが、このキャンペーンになる前の展開が、Bが笑っているという展 開で、どういうものかというと、AとBを並べて、Aは良くない。Bは良いと。車の停 め方はBにすればいい。ごみの捨て方はBにすればいい、Bの方がいいですねという社 会を明るくする運動のような展開でして、それではなかなか市民が盛り上がらないとい うことで、このBハートマークに切り替えた。バルセロナの場合だと、こういう市民と ハートマークというものを、様々な媒体とかで展開をされたそうです。 わが街に対してワクワクしている市民がまちに溢れれば、バルセロナはハートだらけ で、こんなドキドキワクワクするようなバルセロナは素晴らしいまちだと多くの人が思 うでしょうという展開をされた。魅力的な人たちが住み、我がまちが大好きな人が住ん でいるバルセロナなんだ、バルセロナにドキドキワクワクしてくださいという展開がさ れている。 この運動論は、従来のいろいろな意味合いでの市民活動、市民運動ではなくて、主体 的に多くの人が参加できて、我がまちを変えていこう。我がまちこそが、誇りであると 語れるような展開というものを検討すべきだということで、寝屋川市に提案させていた だいた。従来の地域ブランディングとかの考えの中でいうと、ゲートウェイというのが、 一つ出てくる言葉です。その都市などにアクセスするときに、最初に接する場所こそ、 最も印象的にデザインをすべきだという考え方。もう一点は、市民の共感を呼び覚ます ような運動を展開するということ。現在も使われている寝屋川市の市章は、片仮名のネ ―27― に弓矢の矢に三本川でネ矢川っていう理解でいいですか。こういうマークでございます が、このなぜ、弓矢の矢とか、よく私は、寝屋川の屋は屋根の屋だと思うのですが、高 度経済成長、戦後、高度経済成長でつくられた市章、市のマークなんです。これはコミ ュニケーションのツールとしては弱いので、新しいこの「ワガヤネヤガワ」、前から読 んでもワガヤネヤガワ、逆から読んでもワガヤネヤガワ、「寝屋川マイホームタウン」 となるロゴとキャッチコピーをつくっていただきました。これでいろいろと展開してい き、皆のまち寝屋川に笑顔と自信を満たそうという展開でありました。 お手元にある封筒にも、このロゴマークを付けていただいておりますし、中にいろい ろなワガヤネヤガワグッズ等が入っておりますので、また後で御覧いただければと思い ます。市民の一人一人、あるいは企業が寝屋川市に魅力を感じ、誇りを持ち、寝屋川の ブランドをつくる一員であるということを、共有して欲しい。地域ごとにそれぞれ資源 があり、それをうまく活用していくのも市民である。そういう地域が良くなると行政の ブランド力も上がり、またそれを市民が誇りに思う、という良い循環が生まれる。その 土地に立地する企業においても、地域のブランドが高まれば、そこに本社、あるいは工 場が立地する意味合いは非常に高まる。良い循環をこの分野において起こそうというこ とを考えなければいけないのではないかと思います。フラッグシップイメージで先行さ せていただいておりますのが、びわこ号と、香里園のブランディングでございます。び わこ号に関しましては、寝屋川車庫という、寝屋川市内にありながら、市民の方が普段 は入れない車両の車庫と、工場に、日本でも珍しい、世界でもほぼないのではないかと いう変わった特急列車が1両だけ京阪電車に保存されております。大阪から三条京阪経 由琵琶湖、浜大津への直通列車で2両編成。変わっておりまして、京阪の本線から、京 津線、路面線に入るため、入口が2か所あって、本線で走っている時は、上の入口から、 路面線に入ると低い方の入口から入る。また、パンタグラフとポールの両方が付いてい るという、変わった車両で、急カーブを曲がらないといけないので、真ん中に台車があ る連接車という、変わった車両がございます。これを京阪電車で一両だけ保存されてい ましたが、寝屋川車庫に何とか入れて、ペンキを塗り替えていただいたんですが、台車 がボロボロで走れないと、これを何とか市民の皆さんの思いを集めて、もう一度走れる ようにしたい。できるだけ、多くの方の思いを集めて、これが走るようにならないのか ということを考えて、具体的に進めていただいているのが、「びわこ号復活プロジェク ト」です。数千万円とか、1億円とか、ぽんと1社が希望すればできるような話ですが、 ―28― そ う で は な く 、 子 供 た ち や で き る だ け 多 く の 人 が 300円 、 500円 と 積 み 重 ね て い っ て 、 何 万人の力でもう一度、走らせられるような車両にできれば、寝屋川市は特急列車を走ら せた市民が住んでいるまちだということで、東京と全国でも、ブランドになるのではな いだろうか。また、車両基地という工場を一つ、新たなまちの誇りの対象にするという ことができる。私も協力させていただいているところでございます。 ロマンスカーを最初につくったのが京阪電車だとか、寝屋川市には、戦前までは関西 では非常に大事なスポーツイベントをされていた場所があったとか、香里園の住宅地等 は阪神間に匹敵するような素晴らしい住宅として整理されたというような、かつてのプ ラスのブランドがあります。これを現代的にもう一度、つくり変えて再発進することが 必要なのではないかと思います。 また、成田山は香里園を開発する上で、重要な役割を果たした。成田山の横に、戦前 は、タキイ種苗のチューリップ栽培の農園というか農園兼観光地が関西最大のチューリ ップ園として存在したという歴史が忘れられている。これを過去のことだと言うのでは なく、こういうかつての都市の魅力をもう一度現代的に組み替えることができるんだと いうことを言いたいと思います。 びわこ号に関しましても、当初の色と晩年の色とか、戦時中の色とか、カラーリング をどうしようかという話もあってもいいかと思いますし、いろんな議論が沸いて、盛り 上がっていただけると有り難いなと思っております。 ワガヤネヤガワのマークのバリエーションとして、びわこ号バージョンもつくらせて いただいております。こういう運動にも、先ほど、清水委員からもお話がございました が、学生や女性など若い人たちが、寝屋川市は素晴らしいまちだと、私たちが愛するま ちだという運動に、できるだけ多くの人たち、次世代の担い手が参画していくという展 開をしたい。これが一つのフックでありますが、それこそ2年、3年で完結するような シンボリックな事業を連打することで、寝屋川市の対外的なブランドができるのではな いだろうかと。これは京阪沿線の再ブランドづくりにリンクしているということで、是 非、地域の企業、市民と行政が共に、ワガヤネヤガワの展開を進めていただけることを 願っています。以上でございます。御清聴ありがとうございました。 お手元にお配りしております寝屋川市のグッズを御覧いただきたいのですが、このワ ガヤネヤガワの一連の事業で、当時の高校生や大学生に、モデルとして出ていただいて たり、エリアごとのマップ等も作成しました。私は日本中のいろいろな所に行くとこの ―29― 試みについて話をしています。大都市なら様々なことをしていますが、寝屋川市のよう な郊外の住宅の多い市でこういうブランディングの展開をするのは、極めてまれで、成 功事例として、日本中、どこで話をしても素晴らしい試みであると言っていただけてい るので、有り難い次第です。 以上でございます。 御意見、御質問等はございますでしょうか。 ○藤原委員 私も大阪府でそういう仕事で橋爪先生にいろいろ御意見を頂いていましたの で、こういったことをうまく装置として利用したら、いろんな人寄せができる。ところ が府内の市町村ではなかなか装置がありません。地域の特性をいかしたまちづくりをす るのにはどうしたらいいかというのを悩んでいると思いますが、私は堺市の副市長をし ていた時に、実は、ブランド戦略をやっておりました。そのときのブランドというのは 何を一番念頭に置いたかといいますと、エクセディによく似た企業、同じような世界企 業、自転車のシマノがございます。シマノは自転車のギアを製造し、世界の九十パーセ ント以上を占めている。完成車は製作していないんですけども、ギア製作の専門である。 それともう一つは、堺の刃物は有名でして、ほとんどの海外のシェフも堺の刃物を使っ ている。他、地域特性として誇れるものに仁徳御陵がありまして、この三つをいかにし て売り出すかということでブランド戦略を立てました。もう一つ、LRTを堺市内にお いて導入していくということがありましたが、結果として中途半端な形になりました。 仁 徳 御 陵 の 世 界 遺 産 登 録 は 間 近 だ と 思 い ま す 。 遺 産 登 録 も 10年 ぐ ら い 前 で し た ら 、 考 え られなかったのですが、皆さん方の御協力のお陰です。それから、大阪市中央区に大阪 市の産業創造館があり、その向かいに大阪府のマイドームがあるんですが、そのマイド ームの隣に市町村共済のシティプラザ、このシティプラザのところに、昔、国際ホテル があったんです。国際ホテルをつくり変えて、ホテルを北側に移して、南側にさっきお っしゃった、クリエイティブなデザインセンターをつくろうという構想があったんです。 ところが、平成5、6年ぐらいにバブルが崩壊し、そういうことができなくなり、市町 村の共済組合にお願いをして、シティプラザを建てました。それはあの辺が、大阪市内 の一番の中心になるのではないかということでやってきたのですが、今はあのような状 況になっています。しかし、お陰様で橋爪先生の力で、八軒家浜の辺りはとても変わり まして、ものすごく変わって良い所になったなと思いました。これからは何が地域の特 性になるのかというのを、じっくり考えてやっていかないと、なかなかまちづくりの新 ―30― しい方向は出てこないと思います。単なる都市愛とか、郷土愛ではなく、運動やムーブ メントとして展開していくというためには、具体的にどういうことをしたら良いのかと いうことを、他の市町村も非常に悩んでいると思います。時代の人となりましたが、イ ンターネットでニコニコ動画をやっているドワンゴという会社があります。ドワンゴの 社長は川上さんとおっしゃいまして、和泉市出身なんです。東京に出て、成功しました。 結局、ああいう方々は都市の中心部に集まってしまいますので、どうすれば地方に居つ いていただけるのかということを、ずっと考えているところです。先ほど言いましたが、 堺の刃物にしても、自転車にしても、全国レベルで認めてもらえるようなところまで、 なかなか押し上げられないのです。寝屋川市としては、エクセディがあることで、いろ んなことが考えられます。エクセディとどんな形でコラボレーションしながら、まちづ くりしていくのかというところが、非常におもしろい試みではないかというのが感想で す。 ○橋爪座長 京阪とコラボですか。同じように、他の企業と行政でコラボし、従来なかっ たことができれば良いと思います。私は、他でやっていることはしなくて良い、やって いないからこそ、挑戦することが良いのではないかと思います。 ○藤原委員 先ほどの成田山不動尊があるということも他にはないことですし、私は和泉 市 に 住 ん で い る の で す が 、 槙 尾 山 が あ り ま す 。 こ こ は 西 国 三 十 三 所 の 他 の 32か 所 と 違 い 、 車ではなく歩かないといけない。それをいかにして宣伝するとか、その地域の特性をい かすかということだと思います。 ○髙山委員 香里園を眺めていて思いますが、文化的なことといったら、まだまだ寝屋川 市には実際にはそんなに充実してはいないかなと思います。香里病院で市民公開講座を させてもらいました。そういうことが大事だと前回は話をさせてもらいましたけれども、 寝屋川市駅の傍のアルカスホールでさせてもらいました。とてもたくさんの人に来てい ただけました。あのホールだけでも寝屋川市にとっては相当大きなことで、今までの市 民会館ではあれだけの人は集まらなかったのではないかと思います。馬場市長になって からかと思いますが、駅前では少なくとも人が集まれる場所ができてきています。香里 園の駅前でも、お年寄りの方がこんなきれいなまちになったと言って、若い人と写真を 撮っている光景を目にします。その様なことは今までありませんでした。ここ1年ほど で、あそこで写真を撮っている人をよく見かけるので、大分変わってきているなという 印象があります。まだまだ手を付けられることがたくさんあるのではないかという気が ―31― します。特に文化的なことに関しては、そういう切り口がありそうな気がします。先ほ どもおっしゃっていたように、大学とかが結構あるので、例えば香里病院であれば、聖 母女学院の人たちがクリスマスのイベントに来てくれるだけで、とても盛り上がりまし た。例えば、電通大とかの多くの学生がどこへ集まっているのか、本当に顔が見えない ような気がします。寝屋川市の中に、大学生が文化的なイベントをできるような場所が あって、そこに学問的なことだけじゃなくて、例えば学生のバンドがたくさん集まるよ うな場所でもあればと思います。やはり大学がたくさんあるのだから、多くの学生たち が集まる場所があれば、そこは学生だけではなく、ある程度のお年をとった、それこそ 高額所得者にとっても、そういう文化的な場所を身近に覗けることがとても大事なこと ではないかと思います。そういう企画がこの街にできてきたらいいのではないかという 気がします。 ○橋爪座長 学生がたまる魅力的な場所があって、そこに学生がたくさんいるということ が見えていない。 ○髙山委員 見えていないですよね。たくさん学生がいるはずですが、ちょっと分かりま せん。どこが集まっている場所なのかよく見えないので、そういうところができると大 分、違うのではないかと思います。 ○橋爪座長 ありがとうございます。 ○向井委員 いろいろと勉強になることばかりで、今のお話にも関係するのですが、見せ る場所として、例えば、寝屋川市の一定の場所でストリートパフォーマンスをさせると いうようなことは、非常におもしろいと思うのですが。大阪市はこういったことを今や っていますか。 ○橋爪座長 認定制度はあります。 ○向井委員 登録はできるんですか。 ○橋爪座長 登録はできます。 ○向井委員 登録はできるんですよね、今、東京のある区では、登録制で、この場所では 活動してもいいというようなことができていて、若い人の余り縛られない形での活動場 所として、人が集まってくるという事例もありますんで、ただ、全国的に本当に寝屋川 市にそういったパフォーマーが来てくれるかどうか、これから次第だと思うんですけど、 可能性はあるのではないかと思います。大阪の中之島線をつくるときに、担当部長して いまして、その時に、なにわ橋という駅で、アートエリアB1というのを、何とかお願 ―32― いして、今させていただいています。あの頃は事例がないということで、極めて強い抵 抗がありましたが、粘り強くやっているうちに、3か月だったらよろしい、半年だった らよろしいと、今は多分1年更新ぐらいになっていると思うんですけども、そういった、 いわゆるインフラの一部分、公共空間の一部を、そういう活動に使うようなことができ たら、非常に大きなきっかけになるのではないかと思ったりしています。そういうこと と、先ほど、いろいろと全世界的な事例もお聞きしましたが、何か組み合わさっていか ないかなという気がします。 ○橋爪座長 他、いかがでしょうか。 ○槇村委員 いろいろと都市の事例があって、先ほど、大学の話もありましたが、集まっ ている所で言えば、駅のマクドナルドぐらいしか目につかないので、何か集まれる場と いうことで、ビルバオなんかは、御存じとは思いますけれども、昔の社会教育施設とか、 古い教会とか、使わなくなった所を、いろいろ人を張りつけながら、学生が、音楽とか、 アートとか、いろいろな芸術活動ができるような空間をつくっていて、自由にいろいろ なものを生み出していく。そうすると周りに若い人たちのお店ができていったり、最近 では、まちの中にそういう人たちの成果というか、形になるものとして、ギャラリーみ たいなものも市の中にできていっているとか。少し関連して動いていくような感じがし ますので、そういう場所が寝屋川市にあるのか、ちょっと分かりませんけれども、幾ら でもありそうな気もします。高校生も大学生もたくさんいますので、そんなこととか、 それからもう一つ、水都の話があったんですけど、寝屋川市は淀川がありますよね。私、 実は淀川のNPOをしていまして、大阪の河口まで桜を植えるという活動をしているん ですけれども、水辺もありますので、そちらに向けても何かできるんじゃないかなと思 いました。寝屋川だけ、寝屋川一つを拠点にして、結構、流域が広いので、河口ぐらい まではつながるので、その川を媒介にして、何かつながりをつくっていかれるというよ うなこともいいかなと、先ほど、水都の天満橋のお話が出ましたけど、あれは都心の事 例ですけれども、寝屋川だったら、また違うこともできるんじゃないかなと思いました。 ○清水委員 うちの会社はM&Aでビルバオへ企業を買いにいったことあるんです。ビル バオは宗教都市で、巡礼のスタート地点で、スペインの北東の角にあります。そこは結 局、企業買収できなかったですけども、確かにユニークな場所だと思います。それから バルセロナもハートマークがいっぱいだと。我々もハートマークを付けて、今やってい るんですけど、そういうことが、究極になるんかなと。寝屋川市が好きじゃなったら、 ―33― 人は来ません。幾ら作ってもだめだと、だから、好きになってもらうための要件は何か ということに集中して、洗い出すのが一番じゃないかと。究極的には、我々も人種関係 無く、これでいっていますから、ハートで。それが一番、訴えることではないかなと。 「I LOVE NEWYORK」のマークがありますよね。それが誇りになったり、 憧れになったりしていくように、うまくリードするということ。かっこいいとかですね、 そんなふうに思います。 それから、槇村委員が言われた桜を植えるんですかね。私も植えさせていただいてお るんです。そんな形で、市民としてできたらいいなと、そんなふうに思います。 それから、あれこれと言って申し訳ありませんけれども、八軒家辺りも非常に変わっ たなと思います。 それから、先ほどちょっとバンドの話がありましたけど、実は先月、渡辺真知子さん を呼んでお祝いみたいなことをしたんです。非常に良かったと思うんです。だから、も し寝屋川市もそういう、誰でもいいですけど、呼んで一緒にやろうというんだったら、 一番に乗りますから言ってください。そんなことで、一緒に京阪電車も一緒にやったら いいんじゃないかと思います。ちょっとでも面白い催しを、いろんな御提案を一緒にや って、提案だけに終わることなく実行したいと思いますんで、よろしくお願いします。 ○橋爪座長 ありがとうございます。考え方は同じです。こうやって皆が思いを一緒にし て、何かみんなが思いを一緒になっているということ自体は、外から見てもすごく分か りやすい。できるだけ多くの人が参画することが大事なことかなと。ありがとうござい ます。 時間が超えておりますので、本会議はこれで終わりたいと思います。 事務局から次回の日程等についてお願いします。 ○事務局(荻野次長) 今年度の外部有識者会議についてでございますが、今回を含めま して3回の開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。 次 回 、 4 回 目 の 外 部 有 識 者 会 議 に つ き ま し て は 、 10月 25日 木 曜 日 午 前 10時 よ り 寝 屋 川 市役所での開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。 また、4回目以降のテーマにつきましては、「元気都市の実現について」や「意識改 革・人材育成について」などを案として考えております。 話題提供者等につきましては、事務局において調整させていただきたいと考えており ますので、よろしくお願いいたします。 ―34― ○橋爪座長 我々委員の報告は、一まわりしましたから、ゲストを呼んでいただくか、市 役所の方に話題提供していただくか、また御相談をお願いします。 ○事務局(荻野次長) 承知しました。本日の議事録ですが、後日、委員の皆様方にお送 りさせていただきますので、御確認をお願いいたします。以上でございます。 ○橋爪座長 最後に、馬場市長より御挨拶をいただきます。 ○馬場市長 橋爪座長を始め、委員の皆様方には、長時間にわたり、「地域特性をいかし たまちづくりについて」御議論いただきまして、誠にありがとうございました。 また、清水委員におかれましては、当会議の開催に当たりまして、このような素晴ら しい会場を御提供いただきましたことに厚く御礼を申し上げます。 本日、御議論いただいた内容につきましては、全庁的に検討させていただき、今後の 政策立案、まちづくりの参考にさせていただきたいと考えております。 季節の変わり目でありますので、どうか御自愛いただきまして、ますます御活躍いた だきますよう、また、委員の皆様方におかれましては、引き続き、御意見等を賜ります よう、何卒よろしくお願いいたします。 誠に簡単ではございますが、御礼の御挨拶とさせていただきます。 本日は誠にありがとうございました。 ―35―
© Copyright 2024 Paperzz