不当要求行為等の対策に関する手引き

大
和
市
不当要求行為等の対策に関する手引き
行政対象暴力への対応
大和市不当要求行為等対策委員会
はじめに
近年、自治体および職員に対し反社会的な勢力が、不当又は社会的妥当性を欠
く方法により、その職務を強要し、正常な職務の執行や執行環境の秩序維持を
妨げ、金品その他財産上の利益や権利を不当に要求し、特定の事業者又は個人の
ために有利な取扱いを要求する行為等が顕著に見受けられるようになりました。
このような行政対象暴力に対しては、行政の健全性、公益性を確保するという観点
から徹底して排除する必要があり、毅然とした姿勢で対処しなければなりません。
ここに、不当要求、暴力行為等を未然に防止するとともに、職員の的確な対応がで
きるよう「不当要求行為の対策に関する手引き」を作成しましたので、職員各位がこの
手引きを活用され、更に各職場においてそれぞれの業務に応じた対応等を検討し、
日常業務の公平かつ適正な執行を行うように努めてください。
平成21年 6月 1日
大和市不当要求行為等対策委員会委員長
はじめに
1 不当要求行為等とは
1
(1) 不当要求行為
1
(2) 暴力的行為
1
2
1
職員の基本姿勢
(1) 市全体の問題として、組織的に対応する
1
(2) 「毅然とした姿勢・信念と気迫・冷静な対応」の信念で対応する
1
3 具体的な応対方法
2
(1) 相手方を十分確認する
2
(2) 用件を確認する
2
(3) 応接する場所
2
(4) 言動に注意をする
3
(5) 誤解を招くようなあいまいな対応や即答はしない
3
(6) 理由のない書類は作成せず、署名も押印もしない
3
(7)
トップ等への面談は拒否する
3
(8)
相談員の派遣要請
4
(9)
退去命令
4
(10) 発生後の処理
4
(ア) 暴力的行為を受けた場合の警察への通報
4
(イ) 報
告
4
(ウ) 協議等
5
4 不当要求行為等防止対策の対応別ポイント
6
(1) 庁舎管理における不当要求行為等防止対策のポイント
6
(2) 各課の窓口における不当要求行為等防止対策のポイント
6
(3) 電話における不当要求行為等防止対策のポイント
6
(4) 街宣行為における不当要求行為等防止対策のポイント
7
(5) えせ右翼やえせ同和等からの質問状等に対する不当要求
行為等防止対策のポイント
7
(6) 図書等の購読要求における不当要求行為等防止対策のポイント
7
(様式等)
不当要求行為等発生連絡票
8
不当要求行為等対策組織図
9
(参考資料)
い ま役所 が狙わ れてい る
10
不当要求行為等に関する Q&A
13
Q1 公共施設の申し込みがあったら
13
Q2 見知らぬ図書・機関紙(誌)が送られて来た
13
Q3 公務中の交通事放の示談に暴力団が来たら
13
Q4 許認可事務手続きの不手際を口実に不当要求された
14
Q5 下請け 参入 拒否で、街宣車による 妨害を 受け た
14
Q6 高額な図書の購入を強要された
15
Q7 紳士録登載料、削除料を請求された
15
Q8 公営住宅に暴力団事務所が入り込んだ
16
暴力団等による行政対象暴力の検挙等事例
17
関係法令
28
関係機関・部署
33
参考文献
33
1 不当要求行為等とは、次に掲げるものをいう。
(1)
不当要求行為
ア 正当な権利行使を装い、社会常識を逸脱した手段により金銭及び権利を不
当に要求し、又は特定の事業者や個人のために有利な取扱いを要求する行為
イ 拒絶しているにもかかわらず、市の業務に不必要、無関係な書籍、機関誌
(紙)等の購読要求及び賛助金、寄附金の類を要求する行為
(2)
暴力的行為
ア 身体の―部(手、足等)や器具(凶器その他)を使って故意に相手を傷つけよう
とする行為
イ 相手が恐怖を感じ、反論し得ない状況に追い込むほどの脅迫行為及び通常
かつ正常な業務が遂行できないほどの喧騒行為
ウ 正常な状態で面談することが困難と判断した上で、面談を断ったにもかかわ
らず、強硬に脅迫的言動をもって強要する場合又は相手を罵倒するような言
動で、聞くに耐えない程度の不快感を与える行為
エ 故意に、庁舎建物、付属備品及び物品を損壊したり、庁舎等を汚したりする
行為、無断で危険物を持ち込み注意しても直ちに撤去・撤収しない行為、特
定の場所 に集合したり座り込んだりするなど業務又は通行 の妨害 になる
行為、職員や来庁者の通行を制止又は妨害する行為その他、当該行為によ
って庁舎等の秩序が維持できないと判断したとき又は市民サービス等、市の
事務事業が円滑に執行できないと判断したとき。
2 職員の基本姿勢
(1) 市全体の問題として、組織的に対応する。
行政の公平性、中立性を十分理解し、不当要求行為に対しては担当職員が個
人的に対応せず、所属長(不当要求行為等対策推進員)を中心とした組織全体
として一丸となって対応する。
(2) 「毅然とした姿勢・信念と気迫・冷静な対応」の信念で対応する。
不当な要求には、毅然たる態度で、応じられない旨を明確に答え、「検討す
1
る」又は「考えてみる」 など相手方に期待を抱かせる発言はせず、「理由の如何
を問わず、暴力は一切許さない」という方針に基づいて行動する。
3 具体的な応対方法
(1) 相手方を十分確認する。
相手が、どこの誰だか確認もせずに要件に応ずることがないよう毅然とした姿
勢で、名刺等の提出を求める。もし相手が確認のための問いに答えない場合は、
キッパリ面談を断るぐらいの態度で接する。
また、相手が複数の場合には中心人物に絞って確認する。さらに、人相や服
装、特徴等をメモしておくことも必要。なお、自動車を使用して来訪していれば、
車種、ナンバー、塗色等記録し、できれば撮影しておく。
(2) 用件を確認する。
相手方の話をよく聞き、その趣旨・目的を明快にしておく。単なる言い掛かりや
はっきりした用件がない場合には、きっぱりと引き取りを願う。用件によっては、す
ぐ上司に報告をして、相手の人数より多い人数で対応する。また、代理人と称し
て来ているが、委任者や委任事項がはっきりしない場合には、委任者の同行を
求めるか委任者の名前と委任事項を確認する。
また、相手方との応対を実際の話し言葉のまま明確かつ詳細に、すなわち
5W1H 「いつ(発生日時)」「どこで(発生場所)」「だれが(被害者、相手方)」「なぜ
(原因、理由)」「なにを(目的)」「どうした(具体的状況)」を記録する。
(3) 応接する場所
応接する場所は、庁舎内とし基本的にはカウンター越しで対応し相手の指定す
る場所や庁外では対応しない。
なお、他の来庁者に迷惑がかからないよう適切に対応する。また、対応する際
には、相手の人数よりも多い人数で対応することとし、主として対応をする者、メモ
を取る者、連絡に当たる者、車のナンバーを確認する者等の任務分担をあらかじ
め決めておく。また、言った言わないというようなことが生じないように、相手方に断
ってから録音をする。さらに、応対時間を可能な限り短くするため、「何時には〇〇
2
がありますから何時までならお話を伺います」などと告げて、応対時間を明確に区
切る。
(4) 言動に注意をする。
不用意な言葉づかいは、揚げ足をとられる原因となる。相手は、巧みに論争に
持ち込んで、こちらの失言を誘い、また言葉尻をとらえて厳しく糾弾して要求に従
わせようとするので、不用意な発言をしないよう細心の注意を払い、発言を必要最
小限に止める。
(5) 誤解を招くようなあいまいな対応や即答はしない。
「検討します」「考えてみます」などと相手に希望を持たせるような発言はせず、
「そのような考えはありません」などと答えて付け入る隙を与えない。
また、公務員として断りにくい道義等を示して迫られたときには、法律、条例、内
規等を根拠に拒否する。
相手の要求に対して、組織の方針に基づいて対応することが重要であり、応対
者の判断だけで安易に即答せず判断しにくい場合は、自分は組織の一員であり
一存では返事できないことを強調し結論は後日に持ち越しその間に組織内で対
応策を十分に検討する。
(6)
理由のない書類は作成せず、署名も押印もしない。
理由のない書類を作成したり、文書等に署名、押印は絶対にしない。特に相手方
作成の会議録等への不用意な署名押印をしない。
また、「押印した名刺をくれ」などと持ちかけられても応じない。
(7)
トップ等への面談は拒否する。
相手は、応対している者に「お前では分からん。市長、副市長、教育長に会わ
せろ」とか、「会う日程を調整しろ」などと面談を要求する場合があるが、決定権を
持つ者が会うと即答を迫られ、また相手方が市長等と面談して約束を取り付けたな
ど言い掛かりをつけることも多く、実際はトップが直接応対する必要がある場合は
少ない。「私が担当ですのでお話を賜ります」などと告げて市長等には決して会わ
せない。
3
(8) 相談員の派遣要請
所属長は、不当要求行為等が発生又は、発生する恐れがある場合は、市民相
談課に対し市民生活安全相談員(以下「相談員」という。)の派遣を要請し支援を
求め、円滑かつ適切な対応を図る。
(9)
退去命令
不当要求行為等で相手が必要以上に長時間の面談等を強要する場合には面
談を打ち切ることを警告し、再三警告してもなお、居座り続けるときは「これ以上お
話ししても当方の考えは変わりませんのでお引き取りください」などと明確に意思
表示をし、退去しない場合は「警察に連絡します」と告げる。
それでもなお、居座り続けるようであれば、所属長に報告し、所属長の退去命
令を求める。所属長の「退去命令」は、相手方全員にもれなく徹底し、口頭等によ
り3回以上繰り返し行う。最後の退去命令から退去必要時間が経過してもなお退
去しないときは、所属長は警察への通報の必要性を判断し必要と認められるとき
は連絡し、警察官の協力を得て排除を行う。
(10) 発生後の処理
(ア) 暴力的行為を受けた場合の警察への通報
警察への通報は、応対職員又は同席者が行う。通報後は、警察官が来るま
で複数の職員で監視するとともに、相手の言葉についても記録しておく。 (テー
プレコーダー、ビデオ等による現場保存)
警察官が来るまで、現場の模様を―切変更させてはならない。また、現場検証
に備え、他の職員も当時の模様を確認しておく。
警察官到着後は、警察官の指示に従い、事件調書作成等に積極的に協力す
る。
(イ) 報
告
警察への通報後、所属長は部等長、総務部長その他関係部署に報告すると
ともに、不当要求行為等発生連絡票(別記様式)により報告する。
なお、所属長は、暴力的行為発生にまで至らなかった場合でも、必要と判断
されるものについては、報告する。
4
(ウ) 協議等
所属長は、不当要求行為等が発生又は、発生する恐れがある場合、事案内
容に応じて不当要求行為等対策委員会に報告し、必要と判断した場合、警察
署に被害届・告訴・告発等の手続をする。
5
4 不当要求行為等防止対策のポイント
(1) 庁舎管理における不当要求行為等防止対策のポイント
* 来庁者や職員に危害が及ぶおそれがある場合 ⇒ 直ちに警察へ
* 不審物や不審者を発見した場合 ⇒ 直ちに庁舎管理者へ
(所属長・庁舎管理者は来庁者、職員等の安全確保のため、避難誘導等現場の
状況に応じた措置をとる、発生後の報告)
(2) 各課の窓口における不当要求行為等防止対策のポイント
* 相手を確認 ⇒ 相手を知れば心に余裕を持って対応できる。
* 言葉をはっきりと ⇒ おびえず、あわてず、ゆっくりと
* メモは、5W1H(いつ・どこで・誰が・なぜ・何を・どうした)で
* 対応は、1人でなく2人以上で
(相手・用件の確認、応対場所言動に注意、即答を避ける、書類の作成・署名押印はしない、
トップ面談の拒否、上司等への報告、発生後の報告)
(3) 電話における不当要求行為等防止対策のポイント
* 相手を確認 ⇒ 相手を知れば心に余裕を持って対応できる。
* 言葉ははっきりと ⇒ おびえず、あわてず、ゆっくりと
* メモは、5W1H(いつ・どこで・誰が・なぜ・何を・どうした)で
* 「結構です」、「いいです」は、了解、承諾されたと理解されるため、要注
意
(相手・用件の確認、言動に注意、即答を避ける、上司等への報告、発生後の報告)
6
(4) 街宣行為における不当要求行為等防止対策のポイント
* 街宣行為が行われたら ⇒ 所属長及び庁舎管理者が中心に
* メモは、5W1H(いつ・どこで・誰が・なぜ・何を・どうした)で
* 対応は1人でなく2人以上で
(街宣行為・内容の確認、街宣行為の中止を求める仮処分の申請、警察への通報、発生後の報告)
(5) えせ右翼やえせ同和等からの質問状等に対する不当要求行為等防止対策の
ポイント
* 質問状等の内容について、調査・確認
* 目的を確認
* 回答文書は、出さないことを基本とする。
(相手・内容の確認、対応策は組織全体の問題として捉える、顧問弁護士と協議・警察への通報、発
生後の報告)
* 「えせ同和行為」への対応について(参照
各課かい長宛通知…H15 年 6 月 9 日付け
福祉総務課長、社会教育課長、指導室長、広聴相談課長)
(6) 図書等の購読要求における不当要求行為等防止対策のポイント
* 相手方に明確な意思表示 ⇒「その本は必要ありません、購入しません」
* 郵便物は ⇒ 「受取拒否」、「配達証明郵便」、「簡易書留」、「宅配便」等
により返送
(「結構です」、「いいです」は了解・承諾したものと誤解を招きやすいので使わない。後日の紛議に備
えて返送証拠の書類、同封した文書等の控えは保管しておく。)
* 「高額同和関係図書の購入強要」への対応について(参照
各課かい長宛通知
…H15 年 6 月 9 日付け福祉総務課長、社会教育課長、指導室長、広聴相談課長)
7
担
当
別記様式(第 7 条関係)
主
係
幹
長
課
長
部
長
不当要求行為等発生連絡票
連絡所属
部
課
所属長名
発生日時
電話番号
年
月
日
時
発生場所
対応職員
相手方の
氏名・住所
事案の概要
対応状況
参考事項
8
分 ∼
年
月
日
時
分
≪ 不当要求行為等対策組織図 ≫
市 長
大和市不当要求行為等対策委員会
指示
報告
(1)
(2)
(3)
(4)
委員長 (主管の副市長)
副委員長(他の副市長)
委 員 (市長室長、政策部長、総務部長、市民経済部長、
環境農政部長、健康福祉部長、こども部長、文化
スポーツ部長、街づくり計画部長、都市施設部長、
市立病院事務局長、消防長、教育部長及び議会
事務局長)
不当要求行為等に関する実態把握及び対策事項の審議
不当要求行為等に関する未然防止及び啓発
不当要求行為等の防止及び対策に係る関係機関との協議
その他対策委員会が必要と認める事項
関係機関
上司・所属長
不当要求防止責任者
(総務担当課長)
報告
指示
指示
報告
連携協力
神奈川県警察本部
大和警察署
神奈川県暴力追放推進センター
顧問弁護士
等
通報・相談等
不当要求行為等対策推進員
(課長等)
相談・派遣要請
調整
指示・派遣
調整
危機管理課(事務局)
報告
組織対応
対応は必ず複数職員で!
市民相談課(相談員) 等
不当要求行為等 (職員)
(1) 暴力行為又は脅迫行為
(2) 正当な理由なく面会を強要する行為
(3) 威圧的、粗野又は乱暴な言動により恐怖又は嫌悪の情を抱かせるなどして正常な
職務の執行又は執務環境の秩序維持を妨げる行為
(4) 正当な権利行使を装い、又は違法な若しくは社会常識を逸脱した手段により、作為
若しくは不作為を求め、又は金銭若しくは利益を不当に要求する行為
(5) 故意に、庁舎建物等を損壊したり、特定の場所に集合したり座り込んだりするなど
業務又は通行の妨害になる行為、その他、当該行為によって庁舎等の秩序が維持
できないと判断したとき又は市民サービス等、市の事務事業が円滑に執行できないと
判断したとき。
(6) その他前各号に準ずる行為
9
(参考資料)
役所は狙われている・・・!
いま
自治体を狙う暴力団の手口
公的機関は信用問題を恐れるので、脅せば簡単に金が取れると思っているのです。
指定暴力団員による不当要求行為を分析すると、おおむね次のようなケースがあげら
れます。
1
接 近
暴力団は役所の予算や公務員の信頼性にターゲットを定め、さまざまな名目で接
近をはかってきます。
◇ 「あいさつ」を要求
自治体や公務員の業務に、難癖をつけ「あいさつに来い」などと要求します。
◇ 「つきあい」を要求
「同和関係者の人権を理解せよ」などを名目に「つきあい」をすることを要求しま
す。
2
攻 撃
接触に成功すると、もっともらしい理由を盾に因縁をつけたり、あらゆる脅しのテク
ニックを用いて公務員に恐怖、困惑等、心理的に圧力をかけてきます。
◇ 「いいががりをつける」
ちょっとしたミスを大げさにしていいがかりをつけてきます。相手の言動・対応に
付け入る隙がないかを常にうかがっています。金になりそうかどうか相手の出方を
見ているのです。
10
3
恐怖感
交渉で優位に立つため盛んに暴力団員のイメージをちらつかせ、応対者に恐怖
感をうえつけようとします。
◇ 「威力」を示す。
指定暴力団に所属していることを告げる行為、指定暴力団のバッチを示す行為
等があります。そうして「誠意を見せろ」などと、警察に捕まらないよう言動に注意し
ながら間接的に金銭の要求をします。
4
精神的・肉体的疲労
応対者を精神的・肉体的に疲れさせ、要求を受け入れさせようと画策します。
◇ 「業務」を妨害。
表立って妨害すれば警察の取締りの対象となります。そこで政治活動等に名を
借りて、街宣活動等を繰り返す、多数で役所周辺をうろつく、忙しい時間帯に面会
を求めるなどの方法により、間接的に業務を妨害してきます。
5
役割分担
応対者から金を出させやすくするために「脅し役」と「なだめ役」の役割分担をし
てくるケースもあります。
◇ 「取り引き」を持ちかける
脅し役が「世間に公表するぞ、上司に言うぞ」などのスキャンダルにつけ込むき
まり文句で応対者追い込み、「あんたも大変だね、あいつとは知り合いだから口を
聞いてやってもいい」となだめ役が取り引きを持ちかけ「金で済むなら・・・」という心
境に持ち込もうとします。
11
6
目的達成
相手の圧力に屈し、金で解決をはかると、目的達成ということで一時的に姿をけ
しますが「お得意様」とランクづけされ再び狙われます。
◇ 「再攻撃」の対象に。
一度、彼らの要求を呑みかかわり合いができると、彼らはそれを突破口として、
次々と不当な要求を繰り返してきます。当該暴力団や横の繋がりのあるエセ団体
から再攻撃を受けることがあります。
12
不当要求行為等に関する Q&A
Q1 公共施設の申し込みがあったら
A1 キッパリと断る。
明らかに暴力団であれば「規定によりお受けできません」などとキッパリ断る。
Q2 見知らぬ図書・機関紙(誌)が送られて来た
A2
受取り拒否。
購入意思がない図書や機関紙(誌)が送られてきたら、配達されたときに受取り
を拒否する。既に郵便受けに投函されていた場合は、開封しないで「受取拒否」と
明記した付せんをつけて郵便ポストに投函するか、郵便局の窓口に持参し「内容
証明郵便」で返送する。放っておくと法外な請求を受けることになりかねません。
Q3 公務中の交通事故の示談に暴力団が来たら
A3
警察署に事故処理をしてもらう。
交通事故の示談に暴力団員が介入することは、 「民事介入暴力」と言われ、暴
力団の資金獲得の手段で禁じられている。相手の要求をそのまま受け入れないで、
管財課車両担当へ連絡し、まず大和警察署に事故を処理してもらう必要がありま
す。損害賠償額の算定については、保険会社、弁護士に相談する。
執拗に不当な額の要求をすれば中止命令の対象になりますので、早めに警察、
暴力団追放推進センター等に相談する。
13
Q4 許認可事務手続きの不手際を口実に不当要求された
広域暴力団傘下のフロント企業が申請していた事業の認可について、企業側
が「市の許認可事務手続きにミスがあったため、事業の設備投資資金が無駄にな
った」として、賠償金300万円を請求してきました。相手側から具体的な証拠の提
示もなく、明らかに言いがかりと思われます。どのように対処すべきでしょうか?
A4 相手に裁判上の請求をうながす。損害賠償の範囲は、原則的にそのミスによって
通常生ずべき損害に限られます。それ以外の損害は、いくら大損害といっても通
常予測できないものについては賠償する必要はありません。交渉の結果、相手が
法外な要求を引っ込めないとか、あるいは事の真偽が不明で、いいがかりではな
いかと思われる場合は、相手方に裁判上の請求をうながします。
当然、相手方は裁判で、賠償請求の正当性を証明する責任があります。
Q5 下請け参入拒否で、街宣車による妨害を受けた
自称右翼を名乗る団体が、市の公共事業に関する苦情を名目に、迷惑料と公
共工事の下請け参入を要求してきました。 「何をおっしゃられてもお断りします」と
対応したところ、 「誠意がない、街宣車を出すぞ!」と脅しはじめました。後日、役
所と採掘現場に街宣車が現われ、工事作業を妨害してきました。どう対処すれば
よいのでしょうか?
A5
「街頭宣伝活動禁止の仮処分」で対応。
暴力団やエセ右翼等は不当要求に応じないと「街宣車を回す」などと圧力をか
けてきます。こうした民事介入暴力は警察への相談や顧問弁護土に依頼し、民事
手法の「街宣活動やビラ撒きの禁止」 「街宣禁止の仮処分」により対処します。い
やがらせ行為には「民法」「民事保全法」「民事執行法」により、証拠資料を揃えて
14
仮処分の手続きで対処します。
Q6 高額な図書の購入を強要された
○○政治研究会と称する団体から、北方領土に関する書籍を一方的に送りつ
けられました。 「開封せずに保管していたところ、1ヶ月後、電話で「書籍の返還
期日が過きたので購入代金を払ってもらう」との請求がありました。売買の契約を
せずに送りつけられた書籍にも、返還の義務、料金支払いの必要があるのでしょう
か?
A6
購買拒否の明確な意思表示をする。
売買契約に基づかないで送られた商品に、返還・料金支払いの義務はありませ
ん。たとえ「○日以内に返送がなければ購入を承諾したものとみなす」などの通知
があったとしても売買契約は成立しません。一方的に送られた機関誌・書籍等は、
「14日あるいは引き取りの連絡をしてから7日過ぎた時点で自由に処分できます
が、送付者に購読拒否の意思を伝え、内容証明郵便や書留等で返送しておけば、
相手は因縁をつける余地がなくなります。
Q7 紳士録登載料、削除料を請求された
自治体の幹部職員です。5 年前に電話で○○データバンクと名乗る団体から勧
誘を受け、「○○人名年鑑」に役職と氏名を登載しました。すっかり忘れていたとこ
ろ、突然、登載を継続するかどうかのアンケートが送られてきました。 「削除する
場合は削除料○○円を請求します」と明記されてあります。金銭を支払わなけれ
ばならないでしょうか?
15
A7 正しい契約に基づかない登載は断固拒否する。
契約自由の原則(掲載する、掲載しないは個人の自由であり、解除するのも自
由。金銭を支払う義務はない)を根拠に、キッパリ断る。アンケートが同封されてい
ても無視し、郵便物は受取拒否か返送してくたさい。意味不明の文書への署名押
印は絶対にしない。
もし、相手の要求に脅しやだまし行為があれば恐喝や詐欺であり、指定暴力団
が行えば暴対法の不当要求行為になります。
Q8 公営住宅に暴力団事務所が入り込んだ
いつの間にか、公営の住宅に暴力団員が住み込んで、最近、組事務所として
使いはじめたようです。決められた駐車場を無視して勝手に駐車するし困ってい
ます。安全に生活するためにも、出ていってもらう手だてはないものでしょうか?
A8
人格権で、暴力団組事務所の撤去。
賃貸住宅の場合、約款に暴力団排除条項を盛り込んでおき、これを根拠に契
約解除を主張し立ち退きを要求する方法があります。住宅や事務所として分譲し、
所有者が組長または家族名義になっており、現実に抗争事件が発生し平穏な生
活が阻害される場合は、人格権(地域の人々が安全で平和な生活を営む権利)を
主張し、組事務所の使用禁止の訴えを起こして対決していきます。いずれも専門
的な法手続きが必要なので、弁護土に相談する。
16
暴力団等による行政対象暴力の検挙等事例
(1)
金員等の要求に関するもの
[暴力団準構成員が市職員のスキヤンダルをネタに現金を恐喝]
暴力団準構成員らは、市職員によるスキャンダルを聞知し、これをネタに市職
員から現金を喝取しようと企て、「右翼が君を狙ってる。街宣を止めて欲しければ
金を払わなければならない」などと金員を要求し、職員らに圧力をかけて支払いを
促すなどして現金 220 万円を恐喝した。
(恐喝罪で逮捕)
[政治活動標ぼうゴロ団体幹部が物品購入に絡み町役場担当職員に不当要
求]
政治活動標ぼうゴロ団体幹部は、毎年、町役場を訪れてロープ、軍手等の物
品購入を要求し、同役場は、その都度これに応じていたが、同町総務課長が所轄
署に相談し、対処方法等のアドバイスを受け、同担当課長は同幹部に物品購入
の拒絶を申し入れた。
(警察安全相談により解決)
[暴力団組員が郵便物の扱いを巡り郵便局職員に金品贈与の不当要求]
暴力団組員は、自己宛の郵便物(キャッシュ力ード在中)を郵便局が受取人不
在として取扱ったことから、同郵便局営業課長に対し、「俺は組の者だ。今回の件
で手数料 50 万円が入らず、郵便局のせいで損した。損害賠償しろ。局で払えな
いのなら個人的に半分出せ」などと告げ、損害賠償名目で金品贈与の要求をした。
(中止命令を発出)
17
[政治団体標ぼうゴロらが町発注の公共工事を巡り町及び受注会社を恐喝]
政治活動標ぼうゴロらは、町発注の公園造成工事に関し、町役場及び受注会
社に対し、「工事現場にコンクリート塊等の産業廃棄物を不法に埋め立てている。
右翼の車を使って役場の前を走らせるぞ」などと因縁を付けて金員を要求した。
(恐喝未遂罪で逮捕)
[政治活動標ぼうゴロらが配達された郵便物に因縁を付け町職員を恐喝]
政治活動標ぼうゴロらは、町企業課から発出された水道料金滞納督促通知書
が封筒に入れられないまま郵便受けに投函されていたことに因縁を付けて、同町
から金員を喝取しようと企て、同町課長に対し、「融資が遅れた迷惑をどう始末つ
ける」など恐喝した。
(恐喝未遂罪で逮捕)
[暴力団組員が生活保護受給を巡って市職員に不当要求]
暴力団員は、知人が生活保護の受給を受けられないと聞知するや、市役所
生活福祉課に赴き、同職員に対し、「俺を知っているだろう。俺はおとなしくしてい
るが、その気になれば何処へでも出ていくからな。金に困っているんだから面倒
を見てやれ」などと知人の生活保護の受給を要求した。
(中止命令を発出)
[政治活動標ぼうゴロらが街宣中止の見返りに町から現金を恐喝]
政治活動標ぼうゴロらは、町主催の祭礼期間中に街宣活動を中止する見返り
として金員を喝取しようと企て、同町長を飲食店に呼びつけ、「祭りに行ったら困
るやろ」などと暗に金員を要求し、町長室に押しかけるなどして現金 100 万円を
喝取した。
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[暴力団幹部が生活保護受給申請に絡み市職員を脅迫]
暴力団幹部は、生活保護を受給するため市役所を訪れ、同市職員に自己の
身体の刺青や小指の欠損を示し、「生活保護を出さなかったらわかっとるやろな。
ここで暴れたろか。暴れたら 2∼3 年懲役行けるから、ただで飯が食える。おまえ
の金違うやろ。国の金やろ。検査をええ加減にしろ」などと怒号し、生活保護の受
給に応じなければ危害を加えかねない気勢を示して脅迫した。
(強要罪で逮捕)
[暴力団幹部が生活保護受給申請に絡み市職員を脅迫]
暴力団幹部は、知人男性の妻が生活に困窮して生活保護の受給申請をした
際、区役所の職員から給付要件の不備を指摘され、受給できなかったことを聞知
し、同区役所内において、区職員に対し、生活保護の支給をするよう怒号するな
ど、数人共同して脅迫した。
(暴処法違反で逮捕)
[暴力団組長が船舶繋留桟橋撤去に絡み県職員に土地占有の不当要求]
暴力団組長は、漁港内に不法に設置した繋留桟橋を保有していたところ、県
職員から是正措置を通知されるや、同職員に対し、自己の肩書き入りの名刺を
交付し、「船舶の陸上保管を目的とした土地、水面の占用を許可してくれ。県の
仮桟橋設置予定場所に、私の桟橋を設置させてくれ」など要求した。
(中止命令を発出)
[政治活動標ぼうゴロらが町職員のスキャンダルに因縁を付けて恐喝]
政治活動標ぼうゴ口らは、町職員が公務中に女性と面会していたことを奇貨と
して、同人から金員を喝取しようと企て、「これだけのことしているんだから、街宣
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するぞ。街宣を止めたいんやったら 300 万円出せ」など申し向けて、同人から金
員を喝取しようとした。
(2)
(恐喝未遂罪で逮捕)
業務妨害に関するもの
[暴力団幹部らが宅地分譲に絡み村の業務を妨害]
暴力団幹部らは、村が分譲した宅地に関して、高価買い戻しを企て、死亡者
から有償譲渡されたと、村担当課長らに名刺を交付するなどして脅迫し、更に同
宅地に暴力団の組名を付した立て看板を設置するなど同村の宅地分譲業務を
妨害した。
(暴処法違反で逮捕)
[暴力団組員が公共料金滞納に絡み水道局職員を脅迫]
暴力団組員は、水道料金滞納のため自己が居住する部屋の水道を停水され
たことから、これに憤慨し、自宅のあるマンション内において、水道局職員に対し、
「なんで停めるんだ、この野郎」と怒号し、同人の胸倉を掴み、更に「包丁で殺す
ぞ」などと脅した。
(公務執行妨害罪で逮捕)
[暴力団準構成員が公共工事の補償問題交渉中に市職員の公務を妨害]
暴力団準構成員は、自宅近くで行われている公共工事の補償問題に絡み、市
役所を訪れ、応対に出た市職員の対応に憤慨し、テーブルを倒すなどして公務
の執行を妨害した。
(公務執行妨害罪で逮捕)
[政治活動標ぼうゴロが税務調査に因縁を付け税務署員に傷害]
政治活動標ぼうゴロは、税務署員に対して、「税務調査をしっかりやれ」などと
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因縁を付け、窓口業務担当係員に対して執拗につきまとい暴言を吐くなどの脅迫
を加えた挙げ句、同係員の顔面を手拳で殴打し傷害を負わせた。
(傷害罪で逮捕)
[暴力団幹部が社会福祉協議会事務所内のパソコンを損壊]
暴力団幹部は、市福祉事務所において、市が自己の情報を社会福祉協議会
に漏らしたことに憤慨し、事務所に備え付けられたパソコンに入力された自己の情
報を消すためパソコン等を床に投げつけ器物を損壊した。
(器物損壊罪で逮捕)
[暴力団組員がケースワーカーの態度に担当職員を脅迫]
暴力団組員は、平素からケースワーカーが訪問し、その際、「働きなさい」と指
導している態度が気にくわないと立腹し、福祉事務所に押しかけ、担当者に面談
を求めたが、不在を理由に断られたことから、担当者の胸倉をつかみ、「目くりぬ
いたろか」などと脅迫した。
(公務執行妨害罪で逮捕)
[暴力団幹部らが市営住宅の家賃値上げに因縁をつけ市職員に傷害]
暴力団幹部らは、市建築部住宅管理課において、同課課長に対し、自己が居
住する市営住宅の家賃が値上げされることに因縁をつけ、同課長の顔面を殴打
するなどの暴行を加え傷害を負わせるとともに、同人の職務を妨害した。
(公務執行妨害罪で逮捕)
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(3)
職務強要に関するもの
[雑誌ゴロらが土地開発に絡み区職員に職務強要]
雑誌出版社会長(雑誌ゴロ)らは、区有地を利用した再開発構想を画策してい
たが、区が同所に教育センターの建設を決定したことを聞知するや、これを覆す
ことを企で、土地の用途変更協定の締結に携わった区総務部長を事務所に呼び
出し、「よくもやってくれたな。この野郎許さない。お前、―体何を考えているんだ。
ただじゃおかないぞ。この野郎。背広やワイシャツ、腕時計を受け取ったな」など
と怒号し、区職員に用途変更協定を撤回させるため脅迫した。
(強要罪で逮捕)
[社会運動標ぼうゴロらが同和研修会の催行を町教委職員に強要]
社会運動標ぼうゴロらは、町に同和地区研修会を企画実施させようと企て、同町
教育次長に対し、「視察研修会を考えているのでよろしく。金額は 35 万円で 8 月下
旬を考えている。もし出さないと言ったら袋叩きだ。ポケッとしていると刺されるぞ」な
どと脅迫した。
(強要罪で逮捕)
[社会運動標ぼうゴロ幹部等による保健所等に対する産業廃棄物処理方法を口
実とした不当要求行為]
社会運動標ぼうゴロ団体幹部らは、和歌山県西牟婁郡内の産業廃棄物処業者
の産廃処理方法に違法性があると、当該業者と行政機関に対して因縁をつけ、自
己の利権を得ようと企て、当該業者に対して「違法な産廃処理方法をやっているだ
ろう。保健所に言いつけて廃棄物処理業の許可を取り消させる」などと迫り、さらに
保健所担当官に、「廃棄物の処理状況の現況調査を行うようにしろ。改善命令を出
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せ。許可を取り消せ。許可申請書を見せろ。改善されるまで街宣をかけるぞ」などと
要求を行った。これに対して保健所では、相手方の言うがままの対応を採っていた
が、その後、知事局環境生活部との連携により、当該事案を認知した警察は、保健
所担当官を警察本部に招致し、対応要領を教示するとともに、地元警察署におい
て、街宣活動の許可を申請にきた同団体幹部らに対して、警告を行い当該要求を
停止させた。
(4)公共工事に関するもの
[暴力団幹部らが公共工事の入札に絡み市助役らを脅迫]
暴力団幹部らは、市が建設計画中の公共工事の競争入札に関し、特定の建設
業者を排除させるために指名競争入札方式とする要求を強要する目的で、街頭宣
伝活動用の戦闘服を着用して同市助役等に面会し、「あれだけ頼んでるのにあか
んのか。なめてるのか。あんたらがしていることは俺は全部出してしまうぞ。ネタは全
部あるぞ」などと怒鳴りつけ、街宣活動により同人らを殊更に誹誘中傷するなど脅
迫した。
(強要罪で逮捕)
[社会運動標ぼうゴロが国発注の建設工事に絡み担当職員らを恐喝]
社会運動標ぼうゴロらは、国が発注した建設工事に関し、受注業者らに対し、
「近隣の商店の売り上げが落ち損害が出ている。交通渋滞が甚だしい。工事に必
要な材料はうちの会社で段取りさせろ。廃材の処理もいい会社を紹介してやる。言
うことを聞かなければ工事を止めよ。街宣車を回すぞ。国土交通省に質問状を出し
てやる」などと怒鳴りつけ、補償金名下に金員の交付を要求した。
(威力業務妨害罪、恐喝未遂罪で逮捕)
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[暴力団幹部が下請参入を巡って工事事務所長らを脅迫]
暴力団幹部(政治結社会長)らは、下水道事業団職員に対し、自らが意図する
業者の下請け参入を要求したがこれを拒否されたことに立腹して、工事事務所に
押し掛けて、同職員に対し、「悪いけどあんたら何人か首が飛ぶで。大きい机に座
っとる人がこういうトラブルを好むと思うか」などと怒号し脅迫した。
(暴処法違反で逮捕)
[社会運動標ぼうゴロ団体代表らによる威力業務妨害並びに恐喝未遂]
社会運動標ぼうゴロ団体代表者 A らは、国が発注した工事に関して、受注業者
や発注者に工事現場近隣の損害補償を口実に、A の経営する建設会社の下請け
参入や関連会社からの資材購入、関連会社への産業廃棄物処理の下請けや警
備員の配置を参入させようと企て、受注業者らに対し「近隣の商店の売り上げが落
ち損害が出ている。この辺の地主である俺たちも迷惑している」「地元の警備会社
を使わず、他府県の警備会社を使うから迂回路も満足に教えられない。交通渋滞
が甚だしい」「知り合いの警備会社を使えよ。警備会社は地元を優先しろ。工事に
必要な材料はうちの会社で段取りさせろ。廃材の処理もいい会社を紹介してやる」
「言うことを聞かなければ工事を止めよ。街宣車を回すぞ。国土交通省に質問状を
出してやる」「本社の責任者を出せ。話をつける」などと迫るとともに、発注者である
国の工事管理事務所の担当者に、行政指導と工事の中止決定を迫り、当該工事
を中止させ、工事再開を願う現場工事責任者に A の関連会社の下請け等や補償
金名目の金員の交付を要求した。(本件は、国、警察及び企業との三者連携シス
テムにより認知したことから、被疑者2名を恐喝未遂等により逮捕し、未遂の段階で
処理した。)
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[社会運動等標ぼうゴロによる公共工事の現場作業員等への因縁付け事実]
社会運動等漂ぼうゴロ団体役員は、国が発注していた工事に関して、当該工事
の不備を見つけて、当該工事の受注業者(A 社)や発注者に対して、「A 社の社員
は、工事廃材を周辺にまき散らしている。今回の工事方法は、緑石ブロックの高さ
が低いから、雨水が近くの梱包会社の工場に流れ込む。梱包会社の社長も心配
している。俺が交渉権を委託された。工事はどうなっているのか。工事計画書を提
出しろ。専門家に見せて意見を聞くが、工事計画に問題点があればどう責任をと
るのか?」など因縁を付けてきたが、国の工事事務所から、警察本部暴力団対策課
において警察、業者との三者連携システムによる事案概要の報告と対応要領の教
示依頼等の連絡がなされ、早急に対応要領の教示とパトカーによる工事現場や関
係箇所の警戒警備を実施した。これにより、同人からのアプロ―チは―切止まり、
その後、当該工事を無事完了させることができた。
(対応要領教示等により処理)
[社会運動標ぼうゴロ幹部等による日本道路公団発注の高速道路延伸工事に対
する参入事案]
社会運動標ぼうゴロ幹部らは、日本道路公団発注の高速道路延伸工事に関して、
当該工事において地元建設業者を参入させることを口実に公団から利権を得ようと
企て、同公団事務所において、同所庶務課長等に「県や自治体は、地元業者を優
先して使っている。しかし、公団は、地元業者を使っていない。我々の評議会には
1,000 余りを超える中小業者が加盟している。地元業者を優先しない道路公団のや
り方に警告を行いにきた。どうしても我々評議会員の業者を使わないのなら、公団
のダンプが今後、工事現場近くの道路で泥―つ落として走っていれば、断固糾弾
するぞ。関西支社に押し掛ける。今後の事業計画を教えろ。社長と話をつける」など
と要求したが、これまでの同公団との連携システムにより、庶務課長において要求
には応じることなく、警察本部暴力団対策課に連絡がなされ、警察のバックアップに
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よりシヤットアウトした。
(5) その他
[政治活動標ぼうゴロが次女の高校入試不合格を巡り高校教頭を脅迫]
政治活動標ぼうゴロは、同人の次女が高校の入学試験に不合格になったことか
ら、同校の教師を脅かして同女を入学させようと企て、同校に押し掛け同校教頭に
対し、「不合格について納得いかない。街宣車を出して街宣活動をする。戦争や」
等と団体の威力を示して脅迫した。
(暴処法違反で逮捕)
[政治活動標ぼうゴロが行政の対応に因縁を付け県職員に脅迫・暴行]
政治活動標ぼうゴロは、県職員の対応が悪いことなどに因縁を付けた上、同県職
員に対し、「やる気がないなら辞めろ。どこまでも付きまとって県におれなくしてやる」
などと執拗に怒号して脅迫等した。
(脅迫罪・暴行罪で逮捕)
[政治活動標ぼうゴロらが入札に絡み町長の名誉を毀損]
政治活動標ぼうゴロらは、町長の町政に関し、「町長は公共工事を意のままに操
っている。競争入札と偽って、談合入札で―部の土建屋と結託し、あえてその下請
に町長が事実上の経営者である会社を入れて、私利私欲に走っている」などと記載
したビラ多数枚を不特定多数の住民に個別に配付した。
(名誉毀損罪で逮捕)
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[日刊紙編集者による建設会社に対する信用毅損事件に絡んでの不要機関誌
(紙)の打ち切り排除を行った事例]
ローカルニュースを配送する業務を営む A は、業界情報紙として行政機関、県内
各企業等に購読先を求める日刊紙を発行していたが、平成 13 年 10 月、これまでの
購読を拒絶された B 社の虚偽事実を記事に掲載し、同社の信用を毀損したことから、
信用毀損罪により検挙した。そして捜査の過程で、同紙の購読顧客として知事部局
の複数部課、出先機関及び各自治体並びに県内の複数の企業等が判明し、これ
ら顧客の購読料は、A の大きな収入源となっていたことから、知事部局の複数の部
局等に当該日刊紙等の購読打ち切りを働きかけ、知事会室広報担当官に申し入れ
を行い、全庁調整のうえこれを完全遮断させ、年間約 240 万円に及ぶ購読料を遮
断させた。
※ 「ゴロ」とは、「ごろつき」の略語で、定職も定まった住居も持たずにあちこちをうろ
ついて、弱い者をいじめたり、たかったりするならずもの。
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関係法令
地方公務員法
(服務の根本基準)
第 30 条 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職
務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
(職務にする義務)
第 35 条 職員は、法律又は条例に特別の定めがある場合を除く外、その勤務時間及
び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体が
なすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
(目的)
第1条 この法律は、暴力団員の行う暴力的要求行為等について必要な規制を行い、
及び暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するために必要な措
置を講ずるとともに、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間の公
益的団体の活動を促進する措置等を講ずることにより、市民生活の安全と平穏の確
保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的とする。
(暴力的要求行為の禁止) 抜粋
第9条 指定暴力団等の暴力団員(以下「指定暴力団員」という。)は、その者の所属す
る指定暴力団等又はその系列上位指定暴力団等(当該指定暴力団等と上方連結
(指定暴力団等が他の指定暴力団等の構成団体となり、又は指定暴力団等の代表者
等が他の指定暴力団等の暴力団員となっている関係をいう。)をすることにより順次関
連している各指定暴力団等をいう。)の威力を示して次に掲げる行為をしてはならな
い。
28
1. 人に対し、その人に関する事実を宣伝しないこと又はその人に関する公知でない
事実を公表しないことの対償として、金品その他の財産上の利益(以下「金品等」とい
う。)の供与を要求すること。
2. 人に対し、寄附金、賛助金その他名目のいかんを問わず、みだりに金品等の贈与
を要求すること。
3. 請負、委任又は委託の契約に係る役務の提供の業務の発注者又は受注者に対し、
その者が拒絶しているにもかかわらず、当該業務の全部若しくは一部の受注又は当
該業務に関連する資材その他の物品の納入若しくは役務の提供の受入れを要求す
ること。
7. 人に対し、債務の全部又は一部の免除又は履行の猶予をみだりに要求すること。
13. 人(行為者と密接な関係を有する者として国家公安委員会規則で定める者を除
く。)から依頼を受け、報酬を得て又は報酬を得る約束をして、交通事故その他の事
故の原因者に対し、当該事故によって生じた損害に係る示談の交渉を行い、損害賠
償として金品等の供与を要求すること)
14. 人に対し、購入した商品、購入した有価証券に表示される権利若しくは提供を受け
た役務に瑕疵がないにもかかわらず瑕疵があるとし、若しくは交通事故その他の事故
による損害がないにもかかわらず損害があるとして、若しくはこれらの瑕疵若しくは損
害日の程度を誇張して、損害賠償その他これに類する名目で金品等の供与を要求し、
又は勧誘を受けてした商品若しくは有価証券に係る売買その他の取引において、そ
の価格若しくは商品指数(商品取引所法(昭和 25 年法律第 239 号)第2条第3項の商
品指数をいう。)若しくは有価証券指数(証券取引法第2条第 18 項の有価証券指数を
いう。)若しくは有価証券店頭指数(証券取引法第2条第 22 項の有価証券店頭指数
をいう。)の上昇若しくは下落により損失を被ったとして、損害賠償その他これに類す
る名目でみだりに金品等の供与を要求すること。
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暴力行為等処罰に関する法律
第1条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ
示シ若ハ数人共同シテ刑法(明治 40 年法律第 45 号)第 208 条、第 222 条又ハ第 261
条ノ罪ヲ犯シタル者ハ3年以下ノ懲役又ハ 30 万円以下ノ罰金ニ処ス
第2条 財産上不正ノ利益ヲ得又ハ得シムル目的ヲ以テ第1条ノ方法ニ依リ面会ヲ強請
シ又ハ強談威迫ノ行為ヲ為シタル者ハ1年以下ノ懲役又ハ 10 万円以下ノ罰金ニ処ス
刑
法
(公務執行妨害及び職務強要)
第 95 条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、
3年以下の懲役又は禁錮に処する。
2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴
行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。
(住居侵入等)
第 130 条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しく
は艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった
者は、3年以下の懲役又は 10 万円以下の罰金に処する。
(傷害)
第 204 条 人の身体を傷害した者は、10 年以下の懲役又は 30 万円以下の罰金若しく
は科料に処する。
(暴行)
第 208 条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しく
は 30 万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
30
(脅迫)
第 222 条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫し
た者は、2年以下の懲役又は 30 万円以下の罰金に処する。
(強要)
第 223 条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、
又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、
3年以下の懲役に処する。
(名誉毀損)
第 230 条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわら
ず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は 50 万円以下の罰金に処する。
(恐喝)
第 249 条 人を恐喝して財物を交付させた者は、10 年以下の懲役に処する。
(公用文書等毀棄)
第 258 条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以
下の懲役に処する。
(建造物等損壊及び同致死傷)
第 260 条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人
を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(器物損壊等)
第 261 条 前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以
下の懲役又は 30 万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(親告罪)
第 264 条、第 259 条、第 261 条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起すること
ができない。
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軽犯罪法
第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
14.公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオ等の音を異常に大きく出して静穏を
害し近隣に迷惑をかけた者
28.他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又
は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
31.他人の業務に対して悪戯等でこれを妨害した者
第3条 第1条の罪を教唆し、又は幇助した者は、正犯に準ずる。
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関係機関・部署
大和警察署
261-0110
神奈川県警察本部暴力団対策課
0120−797049
神奈川県暴力追放推進センター
045−201−8930
045−663−8930
市長室秘書総務課
内線
5306・5307
市長室危機管理課
5361・5777
総務部人財課
5337・5338
総務部契約検査課
5340・5341
総務部管財課
5421・5311
市民経済部市民相談課
5163・5129
参考文献
1 民事介入暴力対策マニュアル―誰にでも解決できる民暴事件―
編集・発行
横浜市弁護士会非弁護士取締・民事介入暴力対策委員会
2 地方自治職員研修臨時増刊号67
編集者
平賀元晃
発行所
自治体のリスクマネジメント
公職研
3 行政職員のための暴力行為等対策マニュアル
平成 13 年日本弁護士会連合会民事介入暴力対策全国研究会配布資料
4 自治体及び公務員を対象とした「不当要求の手口と対応」
(財)神奈川県暴力追放センター
神奈川県警察本部暴力団対策課
5 不当要求防止責任者教本―暴力団撃退マニュアル―
編者
暴力団対策研究会
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