1/8 2008 年度第3回東大本番レベル模試 地理 B 採点基準 1 単答記述

2008 年度第3回東大本番レベル模試
1
地理 B 採点基準
単答記述問題
誤字,脱字,漢字間違いは0点。
2
論述問題
①「設問別加点基準」に基づき加点する。また,その他各問題の主旨に適した解答にも
適宜加点する。ただし,満点を超える得点は与えない。
②
3
以下の「共通減点基準」に基づき減点する。
共通減点基準
①
加点要素における誤字・脱字および漢字の間違いは1点減点。
②
下線の付け忘れは1点減点。
※ もしできれば答案に「下線のつけ忘れです。次回から気をつけましょう」等と記入して,
生徒に指導していただけると幸いです。
③
指定用語不使用は1点減点。
④
字数オーバーは1点減点。
*減点しなくていい要素,その他の注意
①
地理用語に関して,漢字の新字体/旧字体や,スロヴェニア⇔スロベニア,パキス
タン⇔パーキスターンといったカタカナ表記の通念の範囲内での異体に関しては減
点はしない。
②
加点要素以外で誤った記述があった場合,その部分は0点だが,減点はしない。
③
加点項目は内容的に整合性が取れていればよく,字句の順序や表現は必ずしも完全
に一致していなくてもよい。
④
4
文章が未完のものも減点しない。
採点記号について
採点の際には以下の記号をご使用いただきますようお願い申し上げます。できました
ならば,1の「加点ポイント」を明確にしていただければ助かります。
1。<□□□□>
加点ポイント
2。□□□□×
事実に誤認あり
3。□□□□?
文意不明
✔
4。□□ □□
誤字あり/脱字あり
1/8
5
設問別採点基準
【配点 20 点】
第1問
設問A
(1)ア−d
イ−a
ウ−b
エ−c
配点 2 点(完答で 2 点,1∼3 個正解で 1 点)
(2)インド洋から大量の水蒸気を運んでくる南西モンスーンが,ヒマラヤ山脈にぶつか
って上昇気流となり,雨雲が発達しやすいため。(59 字)
配点 2 点
※(1)でア−dを正解していることが前提。
要素1(季節風)⇒以下のいずれかで 1 点
①
インド洋(アラビア海)からの季節風(モンスーン)
② 湿潤な(水蒸気の多い,海洋からの)南西季節風/南西風/湿潤な風/海洋からの風
※単に「季節風」は不可
③
(北上してきた)熱帯収束帯の影響を受けること
要素2(上昇気流)⇒①②が揃って 1 点
①
ヒマラヤ山脈(山系)にぶつかって
※必ずしも「ヒマラヤ山脈」の語はなくともよいが,「A(d)の北部に位置する山脈」
など,ヒマラヤ山脈を特定できるニュアンスが必要。単に「山脈」だけでは不可。
②
上昇気流が生じ雲をなす
設問B
(1)ア−イスラム
ミール
イ−仏(「小乗仏」「上座部仏」も可,
「大乗仏」は不可)
ウ−カシ
エ−タミル
配点 4 点(各 1 点)
(2)雇用の保障や生活の相互扶助によって社会的な安定性を確保するものの,下層ジャ
ーティに対する根強い差別を存続させている。
(58 字)
配点 2 点
要素1(利点)⇒以下のいずれかで 1 点
①
雇用・就職の保障
②
(弱者の)生活の相互扶助
③
(ジャーティの自治による)社会的安定性の確保
④ 伝統的技術/専門的職能の継承
要素2(欠点)⇒以下のいずれかで 1 点
2/8
①
下層ジャーティへの差別
②
職業選択の自由・営業の自由に対する制限
③
近代化の妨げとなる因習の残存
④ 経済格差の固定化/拡大
⑤
(労働力の流動性が低くなるので)工業化に際して労働力が確保しにくい
設問C
(1)ア−バングラデシュ
イ−スリランカ
ウ−パキスタン
配点1点(完答のみ)
(2)温暖で収穫期に乾燥するうえ,肥沃なレグール土が分布している。(30 字)
配点 2 点
要素1(気候条件)⇒以下のいずれかで 1 点
① 雨季と乾季が明瞭(サバナ Aw 気候,ステップ BS 気候の分布)
②
収穫期に乾燥(生育期に湿潤)
要素2(土壌条件)⇒以下のいずれかで 1 点
①
レグール土(綿花土,玄武岩が風化した黒色土)の分布
②
肥沃で排水のよい砂質土壌
(3)植民地時代から残存する地主制の下では,新品種導入に必要な投資は富裕な地主層
に限られたため,貧富の差がさらに拡大した。
(58 字)
配点 3 点
要素1(土地制度)⇒以下のいずれかで 1 点
①
(イギリス植民地時代から残存する)大地主制/大土地所有制
②
ザミンダール(徴税請負人)制
要素2(緑の革命との関連)⇒以下が揃って 1 点
①
緑の革命の導入には,(新品種・灌漑施設・肥料・農薬など)の費用投下が必要
※「新品種の導入が必要」「灌漑施設の導入が必要」等でも可能。
②
①のような投資が可能なのは地主層のみ(貧農は緑の革命にアクセスできない)
要素3(問題点)⇒1点
◎
(地域間・階層間の)貧富の差の拡大
(4)民主的な政治体制をもつインドでは,国家予算の多くを貧困層への直接的対策に割
くうえ,土地収用なども強権的には行えず,製造業の成長に必要な輸送・電力などの産業
基盤整備が遅れたため。
(88 字)
配点 4 点
3/8
要素1(政治体制)⇒以下のいずれかで 1 点
①
民主的な政治体制,
(中国のように)独裁的(強権的・集権的)ではない/地方分権的
である(ただし「連邦制」は不可)
②
議会制民主主義の定着
③
貧困層も政治意識が高い,政治の大衆化
④
開発独裁体制をとらない
要素2(政治状況)⇒以下のいずれかで 1 点
①
開発のための土地収用などに対する反対運動が強い,強権的抑圧が困難
②
有権者の多くが貧困層であるため,予算の多くが農村振興や救貧政策に用いられる。
要素3(製造業の遅れ)⇒以下のいずれかで 1 点
①
製造業発展に必要な(輸送・電力などの)産業基盤の整備が遅れた
②
産業基盤の必要性が低いサービス・ソフト開発・IT などの部門を優先した。
③
カースト制の影響で労働力の流動性が低く,工業化に際して労働力が確保しにくい
④
(貧困層が多く/経済水準が低く)国内市場が小さい
要素4(論理構成)⇒要素1∼3の内容が整合性を持って並んでいることで1点
第2問
【配点 20 点】
設問 A
(1)ア―アメリカ合衆国,イ―中国,ウ―ロシア,エ―オーストラリア
配点4点(各1点)
(2)技術的に採掘可能なオイルサンドを埋蔵量に算入したため。(27 字)
配点2点
要素1(資源名)⇒1点
◎
オイルサンド(タールサンド,油砂,石油分を含んだ砂(砂岩)
)
※オイルシェール
は不可
要素2(統計の変化)⇒以下のいずれかで1点
①
オイルサンドを埋蔵量に算入した
②
オイルサンドが(技術的・経済的に)採掘の対象となった
※「(オイルサンドが」新たに発見された」は不可
(3)A 群は国内消費量が大きく輸出余力がほとんどないが,B 群は国内消費量が小さいう
え国の経済が資源輸出に依存しているため。(58 字)
配点3点
※(1)のア∼ウを全て正解していることが前提
4/8
要素1(A 群)⇒以下のそれぞれが1点,最高2点
①
国内消費量(国内供給量)が多い
②
経済規模(産業・人口・エネルギー消費度)が大きい
③
輸出余力なし(不足分を輸入)
要素2(B 群)⇒以下のそれぞれが1点,最高2点
①
国内消費量が小さい
②
経済規模が小さい
③
経済(貿易)の原油輸出に対する依存度が高い
④
他のエネルギー生産(ノルウェーであれば水力発電,ロシアであれば石炭など)が盛
んなので,原油を輸出に回すことができる
※
要素1・2の合計で3点打ち切り
(4)国土が広大で,国内の精製・消費地から遠隔の産油地では,近隣の海外精製・消費
地に輸出した方が輸送コストの面で有利だから。(57 字)
配点3点
要素1(国土の大きさ)⇒1点
◎
国土が広大であること
要素2(国内の産業立地)⇒1点
◎
産油地が,国内の製油(精油)地・または消費地(大都市)から遠隔
要素3(外国との関係)⇒以下のいずれかで 1 点
①
産油地が近隣国の製油(精油)地・または消費地に近い(輸送の便が良い,輸送コス
トが低廉)
②
国内の製油(精油)地・または消費地(大都市)が,海外の産油国からの輸入の便が
良い。
設問 B
(1)製鉄用(鉄鋼業など同意可)
,火力発電用(発電エネルギーなど同意可)
配点2点(各 1 点)
(2)2 度の石油危機の結果,景気が後退して消費量が減少,また省エネルギー,代替資源
の開発により石油依存度を低下させたから。(58 字)
配点3点
要素 1(契機となるできごと)⇒1 点
◎
石油危機(オイルショック,石油ショック)
※
一次,二次の区別は不要。
※
石油危機発生の原因を合わせて書いてもよいが,内容を誤っていれば加点しない
5/8
要素2(経済状態の変化)⇒以下のいずれかで 1 点
①
(石油危機による)景気の後退により石油消費量減少
②
高度経済成長の終焉により(低成長期に入り)石油消費量減少
要素3(石油依存度の変化)⇒以下のいずれかで 1 点
①
省エネルギー(技術的なもの,政策的なものどちらも可)の進行
②
石油代替資源(石炭・天然ガス・原子力・自然エネルギーなど)の利用拡大
③
産業構造の転換(高度化),重厚長大から軽薄短小への転換
(3)輸入先をインドネシアや中国などへ分散したが,工業化によりそれらの国の供給余
力が低下,生産能力の高い中東に回帰したから。(59 字)
配点3点
要素1(中東依存度の低下)⇒以下のいずれかで 1 点
①
エネルギー安全保障上の政策
②
石油危機の反省
③
輸入先のアジア諸国(インドネシア・中国)への分散
要素2(転換の要因)⇒1 点
◎
インドネシア・中国での経済成長(工業化)による供給(輸出)余力の低下
要素3(中東回帰の要因)⇒以下のいずれかで 1 点
①
原油生産能力(生産余力・供給余力・輸出余力)が高い
②
埋蔵量が豊富
③
(工業化が遅れているため)国内需要(国内向け供給)が小さい
④
(湾岸戦争後)政情が安定化した
第3問
【配点 20 点】
設問 A
(1)ア―メキシコ,イ―中国,ウ―ベトナム,エ―ドミニカ共和国
配点 2 点(完答で 2 点,1∼3 個正解で 1 点)
(2)1970 年代のベトナム戦争終結後,亡命や難民が急増したから。
(28 字)
配点 2 点
※
(1)のウの正解が前提
要素1(契機となるできごと)⇒1 点
◎
ベトナム戦争終結=米軍撤退(1973 年),サイゴン陥落(75 年)など
※
戦争名などがなくても,特定される書き方ならば許容する
※
正確な年代でなくても,表中の「1971∼1980 年」での急増と結びつく表現が必要
要素 2(移住者の性格)⇒以下のいずれかで 1 点
①
(旧南ベトナムの支配層の,社会主義政権からの)亡命者
6/8
②
難民(ボートピープル)
※下線部必須。単に「移民」では不可。ただし「政治的」「戦火を逃れて」等の説明があ
れば加点
(3)亡命・難民中心のキューバ系は近接するフロリダに,市民権を持つプエルトリコ系
は既に共同体のあるニューヨークに移住する。
(58 字)
配点 4 点
要素1(キューバ系)⇒以下のそれぞれが 1 点,計 2 点
①
キューバ系移民は亡命・難民中心(小船で海を渡る,正規でない入国)
②
①のため,距離的に近いフロリダ半島(フロリダ州)/フロリダに多い。
※
下線部必須。「南部」等は不可。
※
「フロリダにキューバ系住民の割合が高く,親戚などを頼って移住する」という文
脈は計 1 点
要素2(プエルトリコ系)⇒以下のそれぞれが 1 点,計 2 点
①
プエルトリコ系移民は米国市民権を持つ(航空機で入国,合法的移住)
②
プエルトリコ人居住区の存在するニューヨーク(ニューヨーク州)に多い
※
下線部必須。「都市部」等は不可
(4)大規模灌漑による集約的な園芸農業が盛んで,果樹や野菜の収穫など機械化できな
い農作業を低賃金のヒスパニックに依存している。(59 字)
配点4点
要素1(カ州の農業)⇒以下のいずれかで 1 点
①
(乾燥する気候のため)灌漑農業が行われる
②
集約的な園芸農業
②
大都市の近郊農業
要素2(ヒスパニックの役割)⇒以下のそれぞれが 1 点,計 2 点
①
(農業)労働力/季節的労働力である
②
低賃金である
要素3(農作業との関連)⇒1 点
◎
果樹(野菜)の収穫は機械化が困難(人手が必要)
設問 B
(1)工業地域から外れた地方都市である D 群に対し,A 群は工業都市であるため,低賃
(58 字)
金の外国人労働力を多く受け入れているから。
配点 3 点
要素1(D 群について)⇒以下のいずれかで 1 点
7/8
①
工業地域から外れている,周辺が農山漁村
②
地方都市,大都市圏から遠い
要素 2(A 群について)⇒以下のそれぞれが 1 点,計 2 点
①
工業都市である,工業地域に含まれる
②
(低賃金の,出かせぎの)外国人労働力を受け入れている
(2)中枢管理機能や資本・情報の集中・集積度が特に高い世界都市。(29 字)
配点 2 点⇒以下のそれぞれが 1 点,最大 2 点で打ち切り
①
(企業の)中枢管理機能の集中(集積)
②
(国際)金融市場の存在
③
大使館・多国籍企業本社などが集中
④
資本の集積
⑤
情報の集中
⑥
世界都市であること
⑦
(外国人にとって)生活の利便性が高い
(3)C 群は大都市圏のベッドタウンであるが,オは経済的な地位低下の続く大阪圏,カは
一極集中の進む東京圏の郊外に位置している。
(59 字)
配点3点
要素1(C 群の性格)⇒1 点
◎
大都市のベッドタウン,大都市近郊の都市,住宅衛星都市,住宅都市,衛星都市
要素2(都市オと都市カの位置について)⇒1 点
◎
都市オ=大阪圏/地方大都市圏,都市カ=東京圏/首都圏に位置すること
要素3(都市オと都市カの位置する都市圏の説明)⇒以下のいずれかで 1 点
①
東京圏/首都圏は一極集中が進んでいる(経済力が高い,人口増加率が高い)
②
大阪圏/地方大都市圏では経済的な地位が低下している(経済が停滞している,人口流
出・高齢化が進む)
8/8