タスマニアの森林管理 - 真相 - Forestry Tasmania

タスマニアの森林管理
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真相
2012年1月
タスマニア
タスマニアはオーストラリアの最南端にある、森林に覆われた州です。地球上のど
の法域よりも保全区域の割合が最も高い地域の一つです。
タスマニアの土地のほぼ半分は森林に覆われており、ヨーロッパ人による植民化が
始まった時に存在していた元来の樹林地域の65%に当ります。タスマニアの森林
開墾の殆どは農業、及び町や都市の形成のためであり、自然保護区の森林破壊や木
材生産のために管理される土地開発のためではありません。ハードウッドとソフト
ウッドの植林地の開発に伴い、森林に覆われている土地の面積は1996年から増加し
ています。合計すると、タスマニアの森林の47%が現在、自然保護区内で守られて
おり、それにはタスマニアの在来種生活相樹林地(オールドグロース・フォレスト
)の79%、100万ヘクタールが含まれています。
(Photograph–Page 2: タスマニアの南部森林地帯の再生林)
<Page 3>
目次
1.
2.
3.
4.
5.
フォレストリー・タスマニア(タスマニア森林公社)……. 2
タ・アン・タスマニア
………………………….
3
タスマニア森林政府間協定
………………………….
4
ヒューオン・バリー環境センター ……………………..
4
「ベニヤの裏に」の主張
………………….
5
誤謬のリスト
………………….
7
6. 結論
………………………….
14
その他の情報
………………………….
14
タ・アンの取引先に宛てられた州副首相の手紙 …………
15
<Page 4 – 写真内>
全ての伐採区は事前調査を徹底的に行い、伐採の前に特殊な価値あるものが守られ
るようにします。
私達のビジョン
タスマニアの州林は、持続可能な木材その他の森林生産物とサービスを現在及び将
来の世代に提供する、世界的に信頼される資源です。
私達のミッション(使命)
フォレストリー・タスマニアは最高の環境技術を用いて州林を管理することにより、
最高の利益を社会に還元し、タスマニアの人々のために長期的な富と雇用を生み出
します。
私達の価値観
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1.
人々やその環境をケアします
物事を遂行します
私達が行うと言ったことを成し遂げます
私達は私達であることと、私達の行うことに誇りを持っています
事を起こす前に考えます
フォレストリー・タスマニア(タスマニア森林公社)
フォレストリー・タスマニアはタスマニア州政府が100%所有しているビジネスです
。タスマニア州の「森林法
1920年」により州議会から委託されて、150万ヘクタールの州林を管理し、木製品、
非木製品、及び環境と住民へのサービスを持続可能に提供する責任を持っています
。
2011年12月の段階で、フォレストリー・タスマニアによって管理されている地域の
約半分を少し下回る地域が持続可能な木材生産に利用され、残りの地域はその他の
価値、自然保護、清涼水の供給、文化的遺産、観光及びリクレーションなどのため
に保護されています。タスマニア森林政府間協定<6ページ参照>によって州林のよ
り大きな部分が保護されることになります。
多くの価値の管理
州林を管理するにあたり、商業用品、非商業用品に関わらず、森林製品が多様に利
用されるべく提供する森林管理者の義務があります。全ての価値を州林の一箇所で
提供するわけではありませんが、計画立案のプロセスを通して、どこかの土地で、
いつかは必ず提供されることを約束しています。
最も重要なことは、私共の事業を推進する要の企業価値が「人々とその環境をケア
する」にあることです。これを達成するために以下のような多くの社会的便益と環
境サービスを住民に無料で提供しています。
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木材製品の持続可能な供給と木材加工品への投資を誘致することにより、職
員、下請け業者、サプライヤーを雇用する。
・ 森林管理の事業をモニターし改善する科学的研究調査に年間約400万豪ドル
を投資している。
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主要な観光開発を通して地域の経済成長を促す。
林道、遊歩道、キャンプ場やピクニック用の設備、及びレクリエーション利
用者への説明案内などを無料で提供する。
森林管理の問題に関する利害関係者との合意を得る交渉や協議を行う。
清涼水の供給
炭素の貯蔵が維持され時間を経て増加するよう森林を管理する。
適切な自然保護区が維持されることにより、絶滅危惧種やジャイアント・ツ
リー、及びオールドグロース・フォレスト(在来種生活相樹林)が保護され
ることを徹底させる。
持続可能性憲章
フォレストリー・タスマニアはエネルギー・資源相によって承認された10年間の戦
略計画である持続可能性憲章に基づいて州林を管理しています。これは次の5つの
幅広い目的の下に計測可能な目標値を定めています。
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生物多様性と棲息環境の持続
現在及び将来の世代の雇用の持続
炭素貯蔵、清浄な空気と水、健全な森林の持続
住民のアクセスと遺産の持続
科学的基盤に基づいた管理の持続
フォレストリー・タスマニアはこの持続可能性憲章の目的への進捗状況を毎年の管理
報告書(Stewardship
Report)で公表し、タスマニア州議会に提出し、全ての利害関係者にインターネッ
トで提供しています。その運営もまた州議会の政府企業調査委員会の審問(通常年1
回開かれる)に対し直接釈明の責任を持ち、州議会議員によって大臣、会長及び経
営責任者が、過去12ヶ月の組織の業績について審問を受けます。
認証
フォレストリー・タスマニアは3つの中立的立場の監査基準、オーストラリア森林
基準(AS4708)、環境管理基準(AS/NJS14001)、職場における健康と安全基準(AS
4801)を満たしています。オーストラリア森林基準は世界で最大の森林認証機関で
ある、森林認証承認プログラム(PEFC)により国際的に認められています。
2. Ta Ann Tasmaniaタ・アン・タスマニア
タ・アン・タスマニアはオーストラリア森林基準承認のユーカリベニヤ材を、以前は
パルプ用材とされ、木材チップとして輸出されていた木材から作っている製造業者
です。タ・アン・タスマニアはこの資源に対し、輸出用無差別品目としてのかつて
の価値と比較してプレミアム価格をフォレストリー・タスマニアに支払っています。
ベニヤ材は再生林ユーカリから作られ、床材や構造用合板といった高い価値の製品
の製造に使われています。これらは炭素を何十年も保ち、一流の建築家や設計家、
都市計画者達から求められている、国際的に需要の高い製品です。
タ・アン・タスマニアは国際的に競合できる製造所を州の地方に作るにあたり、オー
ストラリア政府による1,040万豪ドルの補助金を含む7,890万豪ドルを投資しました。
小さな、細い丸太(ビレットと呼ばれる)を高級ベニヤ材に作り変える最新式の機
械を設置しましたが、この機械は直径70センチまでの再生林や枝打ちのビレットを
使用するよう考案されており、オールドグロースのビレットは処理できません。
タ・アン・タスマニアは地方の人々にフル・タイムに換算して160人分の雇用を生み出
しましたが、その多くは長期間の失業者であった人達です。2012年にはタスマニア
の経済への貢献が4,500万豪ドルになるでしょう。
タ・アン・タスマニアは長期間の木材供給協定をフォレストリー・タスマニアと結んで
います。タスマニア森林政府間協定の下に行われる中立の検証期間中の木材の供給
は、政府の目標とフォレストリー・タスマニアの契約及び法的義務に整合しています
。
3. Tasmanian forests Intergovernmental Agreement
(タスマニア森林政府間協定)
2011年8月7日、オーストラリア政府とタスマニア州政府はタスマニア森林政府間協
定に入りました。これは木材業界、労働組合、住民組織及び環境問題非政府組織に
よって行われた「原則の表明」プロセスから生じたもので、木材の供給を維持する
ことと原生林の保護地域を増やすことの二つの目的を達成させるものです。
協定は、中立者による検証とフォレストリー・タスマニアが契約した木材供給を満た
すことを条件として、既存の保護区に加え、保護価値の高い森林と認められた43万
ヘクタールを暫定的に追加する一方で、持続可能な原生林産業を提供するものです
。タスマニア大学のジョナサン・ウエスト教授に率いられた中立検証は、オースト
ラリア政府とタスマニア州政府に暫定的保護区に入る森林地帯と木材生産に利用可
能であり続ける森林地帯について助言をします。
4.
Huon Valley Environment Centreヒューオン・バリー環境センター
フォレストリー・タスマニアとタ・アン・タスマニアはヒューオンバリー環境センタ
ーから最近出版された“Behind the veneer(ベニヤの裏に)”を注意深く読みました。
ヒュ-オンバリー環境センターは木材製品のための伐採に反対する活動家グループ
で、違法かつ危険な、作業場侵入や抗議運動を行っています。従って、予想外のこ
とではないのですが、遺憾なことに、このレポートを作るに当って、フォレストリ
ー・タスマニアとタ・アン・タスマニアに意見を聞いたり、彼らの主張について、事
実確認をしないことを選択しました。
ヒューオンバリー環境センターはまた、日本熱帯雨林アクション・ネットワークと前
タスマニア・グリーン党党首ペグ・パット女史が2011年10月に日本でパンフレット
を売り込んだ活動に関与しています。遺憾ながら、日本熱帯雨林アクション・ネット
ワークもパット女史もフォレストリー・タスマニアとタ・アン・タスマニアに会見し
て、彼らの主張の真偽のほどを確認していません。
もしヒューオンバリー環境センター、日本熱帯雨林アクション・ネットワーク、或い
はパット女史がオーストラリアの管轄官庁に相談していれば、幾多の非常に重大な
誤謬は避けられたでしょう。
5.“Behind the veneer(ベニヤの裏に)”の主張
ヒューオンバリー環境センターのレポート、“Behind the
veneer(ベニヤの裏に)”の事実分析は、このドキュメントに50以上の重大な誤謬や
脱漏があることを明らかにしました。
レポートの作者達は森林管理、特に伐採計画立案や地図作成の複雑さを十分に理解
していないことを示しています。オールド・グロースと再生森林の割合を含む伐採
区の構成は、地上の測量を基にした戦略的森林資産モデリングによって測定されま
す。採取請負業者が伐採区に足を踏み入れる前に、数ヶ月、多くの場合は数年間を
かけての計画立案と特殊価値の測定とが、フォレストリー・タスマニアと中立の事業
監査機関、Forest Practices Authority
(森林業務監督機関)によって行われています。
原木仕分けの責任を持つ森林官もまた彼らの分野での専門家です。長年の経験から
原木の種々のカテゴリーを見分け、製材用素材からピーラー・ビレット、パルプ材
が正しく商品化されることを確実にします。事業体として、高品質の原木を皮むき
ビレットやパルプ材に商品化するようなことはフォレストリー・タスマニアの望む
ところではありません。
ヒューオンバリー環境センターはそのレポートの中で多くの事実を偽って伝えてい
ます。例えば、以下の主張は真実でありません:
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タ・アンはサラワクで人権侵害を犯した。
タ・アンは適切なプランテーション(人工林)ビレットが可能になれば、そ
れを使用すると公表したにも関わらず、人工林からの木材を拒否した。
タ・アンはオールドグロース・フォレストを破壊した。
フォレストリー・タスマニアは政府間協定に反して、高保護価値の森林とさ
れている森林を収穫伐採した。
フォレストリー・タスマニアは世界自然遺産の価値の森林を伐採した。
同じように懸念されるのはヒューオンバリー環境センターの脱漏による誤りです。
例えば、ヒューオンバリー環境センターは以下のことを示すことを怠っています。
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伐採の後に続く再生
このレポートでは、高保護価値の森林の定義がタスマニアに対し再定義され
ており、Forest Stewardship
Council(森林監督審議会)の国際的定義から異なっている。
既存のオーストラリア及び世界の慣行は、高保護価値の保護が行われる限り
、高保護価値の森林での伐採が許されている。
高保護価値森林は、現在、タスマニア森林政府間協定のプロセスにおいて検
証されている。
様々な木材がフォレストリー・タスマニアによって伐採地から運ばれており
、タ・アン・タスマニアのために特別に伐採されているわけではない。大きな
丸太は製材所に送られ、パルプ材に用いられる材料がタ・アン・タスマニアに
送られる。
タスマニア産ベニヤ材の「エコ資格証明」はPEFC認証森林と“Chain-ofCustody(保護監督チェーン)”からの証明である。
タ・アン・タスマニアの取引先は森林内で、再生林と人工林の役割について説
明を受けている。
2007年タ・アン・タスマニアは再生林から供給を受けており、将来生産に乗
れば人工林木材の供給も受けると表明した。
殆どの人口林は未だ若く、初めて生産に乗るのは2012年頃からである。
<写真説明>P.8
ピーラー材としてタ・アンに供給される、タスマニアの再生林での伐採収穫を視察
する日本の取引先。