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SDMAについてよくある質問
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SDMAの背景
1.
SDMAとは?
2.
SDMAの3つの主な特徴は何ですか?
3.
アイデックスがSDMAを発見したのですか?
4.
アイデックスのSDMA検査に特徴的な点はなんですか?
5.
なぜアイデックスはSDMA検査を開発したのですか?
6.
SDMAは カタリストDx 等の院内機器でも測定できますか?
SDMAとその他の腎臓に関する診断法の比較
7.
SDMAはどのように糸球体濾過率(GFR)に関連しているのですか?
8.
SDMAと既存の腎臓の検査との比較
9.
CKDの診断において、SDMAはクレアチニンの代替になりますか?それとも、SDMAと併せてクレアチニンも測定すべきな
のですか?
10. SDMAは蛋白尿が現れる前に上昇しますか?SDMAは蛋白尿と相関がありますか?
11. SDMAの感度は高すぎるのではないですか?SDMAは微量アルブミン尿検査と同様に検査の落とし穴はないのですか?
12. 腎機能不全の確認におけるSDMAの感度および特異性はどのぐらいですか?
13. 参考基準範囲の上限を低くすれば、クレアチニンはSDMA同様に優れているのではありませんか?
14. 組織学的診断に基づく腎臓病の分類(例えば、糸球体性vs.尿細管性、膜性増殖性糸球体腎炎vs.その他の糸球体腎炎)とSDMA
との間には関連がありますか?
SDMAの基礎知識
15. SDMAの主な利点は何ですか?
16. CKDを早期に診断する意義は何ですか?これまでと異なるアプローチが可能となるのでしょうか?
17. SDMAの使用はCKDに限られますか?それとも急性のケースでも使用できますか?
18. SDMAの参考基準範囲は?また、その設定方法を教えてください。
19. 子犬および子猫の参考基準範囲はありますか?
20. 品種による違いはありますか?グレイハウンドはどうですか?
21. SDMAは犬と猫以外の動物でも検証されていますか?その場合、参考基準範囲はどのようになりますか?
22. SDMAの顕著な上昇は何を意味していますか?
23. 既にCKDが診断されている猫に対して、SDMAを検査することで何か追加情報が得られるのですか?
24. SDMAの上昇は、腎不全を意味するのでしょうか?
25. SDMAとGFRは尿比重(USG)とどのように相関するのですか?
26. 乳び、溶血、黄疸などによりSDMAの結果は影響を受けますか?
27. 検体の保存期間の影響はありますか?
SDMAの背景
1. SDMAとは?
6. SDMAはカタリストDx等の院内機器でも測定できます
対称性ジメチルアルギニン(SDMA)はアミノ酸のアルギニ
か?
ンがメチル化されたものです。SDMAは、生物活性のある構
現在のところ、SDMAは外注検査のみで実施しています。将
造異性体の非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)と共に核
来的には院内機器でも測定できる方向で検討しています。
内でL-アルギニン残基がメチル化されることで産生され、さ
らに加水分解された後のちに細胞質に放出されます。SDMA
SDMAとその他の腎臓に関する診断法の比較
は腎臓から排泄され、一方、ADMAは大部分が代謝されます。
7. SDMAはどのように糸球体濾過率(GFR)に関連してい
るのですか?
2. SDMAの3つの主な特徴は何ですか?
SDMAは腎臓から排出されます。従って、腎機能またはGFR
SDMAには3つの主な特徴があります:
が低下すると、SDMAは増加します。研究によるとSDMAと
 SDMAは腎機能のバイオマーカーであり、糸球体濾過率
GFRは非常に高い相関性を示します(猫でR2 =0.82、犬でR2
(GFR)と非常に高い相関性があります。
 SDMAは慢性腎臓病(CKD)においてクレアチニンより早
=0.85)。クレアチニンとともにSDMAを測定する利点は、ク
レアチニンは一般的にGFRが75%減少した時点で参考基準
期に上昇します。SDMAは、平均的には腎機能が40%失
範囲を超えますが、SDMAはGFRが平均40%減少した時点で
われた時点で上昇しますが、早い場合には腎機能が25%
上昇することにあります。場合によっては、SDMAの上昇は
喪失した時点で上昇を示します。一方、クレアチンは、
さらに早く起こり、GFRが25%減少、つまり腎機能が25%失
腎機能が75%失われるまで上昇しません。SDMAを検査
われた時点で上昇を示すこともあります。
に取り入れることで獣医師は、既存の検査と比較して、
GFRの推定および腎機能を評価するためのゴールドスタンダ
数カ月から数年も早くCKDを診断することが可能になり
ードはGFRクリアランステストです。しかし、GFRクリアラ
ます。
ンステストはコストも高く、臨床で日常的に行うことは困難
 SDMAは腎機能に特異的です。クレアチニンとは異なり,
です。
SDMAは筋肉量に影響を受けません。また、SDMAは腎臓
に影響が無い限り、他の疾患の影響を受けません。肝臓
8. SDMAと既存の腎臓の検査との比較
病、心血管系疾患、炎症性疾患および内分泌疾患がこれ
 クレアチニン: CKDの犬よび猫ではSDMAはクレアチニ
に含まれます。
ンより早期に上昇します。SDMAは腎機能が40%失われ
た時点で上昇するのに対し、クレアチンは腎機能が75%
3. アイデックスがSDMAを発見したのですか?
失われるまで上昇しません。また、クレアチニンは筋肉
いいえ、アイデックスが発見したのではありません。SDMA
量に影響されますが、SDMAは影響されません。したがっ
が腎臓のバイオマーカーとなり得るかを評価するため、これ
て、全身状態の悪い動物の場合は、SDMAは腎機能に対す
まで沢山の研究が行われ、さらに論文として報告されていま
るより鋭敏な指標となります。
す。
 BUN: BUNもSDMAと比較すると、発現の遅い腎機能の
マーカーです。また、BUNは肝疾患による産生低下や高
4. アイデックスのSDMA検査に特徴的な点はなんですか?
タンパク食、消化管内出血に伴う増加により影響を受け
アイデックスは、SDMAをコマーシャルベースの検査として
ますが、SDMAはGFRの変動によってのみ変化します。
開発しました。SDMAの測定はアイデックス外注検査センタ
 尿比重:
尿比重は通常、生理的に変動し、尿を採取し
ーが有する高処理化学分析機器を用い、免疫測定法で行われ
た日の飲水量や採取した時間によっても影響を受けます。
ます。これによりSDMAの測定結果は、定期的な血液化学検
尿濃縮の低下は腎疾患に特異的ではなく、糖尿病、肝臓
査の1項目として、クレアチニンとともに報告することが可
病およびクッシング病などでも起こります。一方、SDMA
能となります。
は腎機能の変化のみに影響されます。
 UPC:
尿蛋白クレアチン比(UPC)は尿検査のひとつ
5. なぜアイデックスはSDMA検査を開発したのですか?
です。一時的な蛋白尿、尿路感染、炎症または重度の血
CKDは犬および猫でよくみられる疾患ですが、既存の検査で
尿が除外された場合に、尿中の蛋白をより正確に定量す
は腎臓病の早期発見が難しいことが広く知られています。そ
るために使用します。疾患の主なターゲットが糸球体で
こでアイデックスは、より良い獣医療をサポートし、ペット
ある場合、また尿細管間質性疾患も症例によって、UPC
の健康を促進するためのひとつのツールとして本検査を開発
はクレアチニンよりも早期にCKDを検出することがあり
しました。SDMAは腎疾患の早期発見(多くの場合は臨床兆
ます。しかしCKD、特に早期のCKDでは、SDMAは上昇
候がみられる前)を手助けする有力なツールとなります。さ
を示しますが、UPCは正常範囲内であることが一般的で
らにアイデックスでは、SDMAを日常の血液化学検査項目に
す。腎前性および腎後性の蛋白尿が除外されるのであれ
加えることが重要と考えています。
ば、UPCが0.5(犬)および0.4(猫)を超える継続的な
蛋白尿は、糸球体または尿細管間質性のCKDの所見と一
正常なこともあります。しかし、尿細管間質性疾患の場合、
致します。一方、UPCが2.0を超える場合は、糸球体疾患
軽度の蛋白尿しか示さない、または全く蛋白尿を示さない場
を強く示唆します。蛋白尿が認められる動物では、UPC
合もあります。このようなケースでは、SDMAがCKDの早期
は治療への反応および疾患の進行をモニターするために
指標となるでしょう。
使用します。
 微量アルブミン尿:
微量アルブミン尿は尿検査のひと
11. SDMAの感度は高すぎるのではないですか?SDMAは
つです。これはあるタイプのCKDに対する早期マーカー
微量アルブミン尿検査と同様に検査の落とし穴はないのです
となります。一般的に生理的な要因によって一過性の上
か?
昇を示すことがあります。また、尿路の炎症でも陽性に
微量アルブミン尿は非常に少量の尿中蛋白を検出します。微
なるため、尿路感染、炎症または重度の血尿を除外する
量アルブミン尿検査における陽性結果は、生理的要因と病的
ための追加検査が必要です。微量アルブミン尿が継続し
要因の両者に起因します。一過性の生理的な上昇は、発熱、
てみられ、さらに偽陽性の要因が除外された場合、微量
激しい運動、発作、極端な高温または低温への暴露やストレ
アルブミン尿は糸球体疾患の最も早い指標です。早期の
スなどにより起こる可能性があります。病的な蛋白尿は尿路
糸球体疾患でGFRが参考基準値範囲内にある場合は、
のどの部分からでも発生する可能性があります。特に尿路感
SDMAは上昇しないことが想定されます。また微量アルブ
染がある場合は、偽陽性が良く認められます。従って、尿路
ミン尿は、全ての症例で当てはまる訳ではありませんが、
感染、炎症または重度の血尿を除外するための追加検査が必
尿細管間質性CKDにおいて早期の指標となることもあり
要になります。感染性の原因および泌尿器系の炎症が除外さ
ます。さらにこの場合でも、GFRが低下するにつれて、
れ、さらに微量アルブミン尿が継続する場合は、早期の腎臓
SDMAは上昇します。微小アルブミン尿が陽性の場合は、
病が示唆されます。腎臓由来の微量アルブミン尿は糸球体腎
必ずUPCを測定して定量値を確認する必要があります。
症により生じ、尿細管間質性疾患では生じる場合とそうでな
特に早期のCKDでは、微量アルブミン尿検査とUPCの多
い場合があります。一方、SDMAは血清におけるGFRのバイ
くは正常です。
オマーカーであり、腎臓病の病因にかかわらず、GFRが40%
喪失された時点で上昇します。
9. CKDの診断において、SDMAはクレアチニンの代替にな
りますか?それとも、SDMAと併せてクレアチニンも測定す
12. 腎機能不全の確認におけるSDMAの感度および特異性
べきなのですか?
はどのぐらいですか?
SDMAとクレアチニンは補完的なものです。SDMAはクレア
猫の報告によると、ゴールドスタンダードのGFRに対する
チニンを代替するものではなく、腎機能を評価するための感
SDMAの感度と特異度は、それぞれ100%、91%とされてい
度の高いもう1つのツールです。完全な腎臓評価は、病歴や
ます。この研究では2例の「偽陽性」が示されています。こ
身体検査だけでなく、CBC、SDMAを含む血液化学検査およ
の2症例の猫では、実際には25%のGFRの低下が認められま
び完全な尿検査(外観、尿試験紙による評価および顕微鏡検
した。この研究では腎臓病の定義として30%のGFR低下をカ
査)を含むミニマムデータベースの評価によって行わなけれ
ットオフ値として設けていたために、2例は偽陽性と評価さ
ばなりません。International Renal Interest Society(IRIS)
れたのです。
のCKDステージ分類にはクレアチニンが必要です。クレアチ
ニンはCKD症例の臨床的評価において依然として重要です。
13.参考基準範囲の上限を低くすれば、クレアチニンは
SDMA同様に優れているのではありませんか?
10. SDMAは蛋白尿が現れる前に上昇しますか?SDMAは
いいえ、上記の猫の報告によると、その施設で設定した参考
蛋白尿と相関がありますか?
基準範囲(0.7-2.1 mg/dL)を使用した場合、クレアチニン
SDMAはGFRの優れたマーカーであり、血清を使用した検査
の感度はわずか17%でした。しかし、IRISのステージ1にお
です。SDMAは原因にかかわらず、腎機能が低下するにつれ
けるクレアチニンのカットオフ値である1.6 mg/dLを使用し
て上昇します。つまり腎機能低下を高感度に、かつ特異的に
た場合でも、感度は50%まで上昇したのみです。SDMAは
検出するための検査です。SDMAとは異なり、微量アルブミ
GFRとより良好な相関があり、クレアチニンよりも感度が高
ン尿検査およびUPCは尿を用いた検査です。これらは尿中の
いといえます。アイデックスにおけるクレアチニンの参考基
蛋白質を検出するものですが、これらの蛋白質は尿路系のど
準範囲はClinical and Laboratory Standards Institute
こにでも由来する可能性があります。従って、偽陽性の原因
(CLSI)のガイドラインに準拠し、臨床的に健康な犬および猫
となり得る尿路感染や他の炎症病変、また重度の血尿を除外
のデータに基づいて設定しています。SDMAの参考基準範囲
することが重要です。一過性の上昇は、激しい運動、発熱、
も同様に設定されています。
極度の低温や高温への暴露、ストレス等の生理的要因により
生じることがあります。糸球体腎症の症例の場合は、GFRが
顕著に上昇するかなり前から蛋白尿を示す可能性があります。
したがって、SDMAは病期が進行してGFRが低下するまでは、
14. 組織学的診断に基づく腎臓病の分類(例えば、糸球体性
18. SDMAの参考基準範囲は?また、その設定方法を教えて
vs.尿細管性、膜性増殖性糸球体腎炎vs.その他の糸球体腎炎)
ください。
とSDMAとの間には関連がありますか?
犬と猫の参考基準範囲は同じで、0–14μg/dLです。参考基準
SDMAでは腎臓病の原因や損傷部位を特定することはできま
範囲はClinical and Laboratory Standards(CLSI)ガイド
せん。SDMAは病変の部位や病因にかかわらず、全体的なネ
ラインにしたがって設定しています。成犬/成猫(1歳以上)
フロンの機能を反映し、GFRが減少すれば上昇します。
で、ヒストリーおよび身体検査から健康と判断された個体で
検証を実施しました。これらの動物は、通常のフィラリアお
SDMAの基礎知識
よび寄生虫予防薬以外の薬剤は与えられていません。雄雌の
15. SDMAの主な利点は何ですか?
比率は半々で、様々な品種や体格が含まれています。
SDMAは腎臓病の犬と猫でクレアチニンより早期に上昇しま
す。また、筋肉量に影響されないので、老齢や痩せた動物に
19. 子犬および子猫の参考基準範囲はありますか?
おいてもより正確に腎機能を評価することができます。
頭数当たりの調査では、SDMAの中央値は子犬と子猫では若
干高め(約1μg/dL)の値が得られています。ほとんどの子犬
16.CKDを早期に診断する意義は何ですか?これまでと異
と子猫のSDMAは参考基準範囲内です、結果が参考基準範囲
なるアプローチが可能となるのでしょうか?
(0–14μg/dL)よりわずかに高い場合には、その他の所見を
早期に診断することで下記の対処が可能になります。
踏まえて結果を解釈する必要があります。このわずかな上昇
• 原因、特に治療可能な感染や閉塞などに関する精査を行う。
の原因は現時点では不明ですが、蛋白質アルギニンのメチル
また、蛋白尿および高血圧に基づくIRISのサブステージを決
化は、シグナル伝達、mRNAスプライシング、転写制御、DNA
定する。
修復および蛋白質の転移などの生理的役割を担っています。
• 脱水、蛋白尿および高血圧に留意して、これらの原因を治
このような点で、仮説ではありますが、成長期の動物ではこ
療もしくは管理する。腎臓を保護する食事や薬剤の開始を考
れらのプロセスが活発であり、その結果、メチル化された蛋
慮する。また薬剤の処方や麻酔処置には注意を払い、さらな
白が分解されることでSDMAが上昇するとも考えられます。
る腎臓への傷害を避けるようにする。
• 個々の患者に応じたモニタリングを行う。再検査の頻度は
20. 品種による違いはありますか?グレイハウンドはどう
臨床的な状況や基礎疾患が特定されたか否か、どのような治
ですか?
療が開始されたか、等により決定する。初回の検査で腎臓病
グレイハウンド以外では、犬種によるSDMAの相違は確認さ
が疑われたもしくは確認された場合、病態が安定しているの
れていません。頭数当たりの調査では、SDMAの中央値はグ
か進行しているのかを確認するために、2週間後の再検査が
レイハウンドでは若干高め(約1μg/dL)の値を示します。し
適当と考えられる。この初回再検査の後、初期のCKDで状態
かし、健康で腎機能が正常なグレイハウンドの大部分では、
が安定しており、さらに高血圧や蛋白尿が無い動物の場合は、
SDMAは参考基準範囲内です。また、グレイハウンドではク
2-3ヶ月後の再検査が推奨される。
レアチニン濃度が参考基準範囲より若干高いことがしばしば
詳しくはSDMAフローチャートおよびwhite paperを参照し
認められますが、これは筋肉量が多いためと考えられていま
てください。
す。したがって、グレイハウンドではクレアチニンとSDMA
が参考基準範囲の上限または若干上限を上回ることがあるた
17. SDMAの使用はCKDに限られますか?それとも急性の
め、SDMAやクレアチニンの結果は尿検査と併せて評価する
ケースでも使用できますか?
べきです。
SDMAはGFRと相関します。従って、急性腎障害(AKI)で
も上昇します。GFRが平均40%喪失した時点で(早い場合に
21. SDMAは犬と猫以外の動物でも検証されていますか?そ
は腎機能が25%低下した時点で)SDMAは上昇します。一方、
の場合、参考基準範囲はどのようになりますか?
クレアチニンはGFRが75%減少しないと上昇しないため、
SDMAは犬猫以外の動物で検証が行われていないため、参考
AKIにおいてもSDMAの方がより早期に上昇する可能性が高
基準範囲もありません。他の動物種に関してSDMAを検証し
いと考えられます。動物が臨床症状を示し高窒素血症になる
て参考基準範囲を確立することは今後の課題となります。
までに、SDMAは確実に上昇します。SDMAは毒物への暴露
が疑われる場合も、それを確認する上で助けとなるでしょう。
例えば、ユリ中毒の可能性がある猫が入院した際、腎障害の
エビデンスを継続的にモニターする場合などがその例です。
SDMAの上昇はGFRの変化を示すことから、毒性植物による
急性障害の可能性が示唆されます。この場合、入院治療を継
続させるかどうかの判断材料となります。
22. SDMAの顕著な上昇は何を意味していますか?
26. 乳び、溶血、黄疸などによりSDMAの結果は影響を受け
参考基準範囲 (>14μg/dL)より高値であれば、どの程度の上
ますか?
昇であっても意味があると考えます。大部分の初期腎臓病の動
乳び、溶血、黄疸はSDMAに影響しないことが確認されていま
物では、SDMAは15–20μg/dLを示します。腎機能の低下とと
す。ただし、極端な溶血や乳び検体では稀に測定できないこと
もにSDMAは上昇するので、より進行した病期では、SDMAは
があります。すべての外注検査と同様に、最も正確な結果を得
20μg/dL以上の高値を示します。多くの場合、この時点では
るには乳びや溶血のない良好な検体が推奨されます。
クレアチニンの上昇も認められます。50μg/dL以上の極めて
高値は、全検査検体中の1%未満であり、本アッセイの測定の
27. 検体の保存期間の影響はありますか?
上限は100μg/dLです。
SDMAは室温で4日間、冷蔵で14日間安定です。凍結解凍を繰
り返さなければ、凍結検体では数年間は安定です。
23. 既にCKDが診断されている猫に対して、SDMAを検査す
ることで何か追加情報が得られるのですか?
CKDは老齢の猫で一般的な疾患です。猫は加齢とともに筋肉
量が低下します。SDMAはクレアチニンとは異なり筋肉量の影
響を受けないので、老齢の猫ではより感度の高い腎機能の指標
となります。したがって、SDMAは老齢の猫のCKDを検出する
のに役立つだけでなく、病期が進行し、筋肉量が減少していく
CKD罹患猫における腎機能のモニタリングにも有用です。
24. SDMAの上昇は、腎不全を意味するのでしょうか?
腎不全は古い用語です。現在は急性の場合は急性腎傷害(AKI;
acute kidney injury)という用語を使用します。また慢性の
場合は、現在は慢性腎臓病(CKD; chronic kidney disease)
という用語を使用し、International Renal Interest Society
(IRIS)のステージングに従って、緩慢な病態をステージ1~4
に分類することが推奨されています。より詳細な情報はIRIS
guidelinesを参照してください。SDMAは犬および猫の早期
CKDの診断におけるもう一つのツールです。
25. SDMAとGFRは尿比重(USG)とどのように相関するの
ですか?
SDMAはGFRと高い相関を示し、GFRが平均40%喪失した時
点で上昇し、早い場合は25%の喪失でも上昇することがあり
ます。尿濃縮能の低下は、典型的にはGFRが平均67%喪失し
た時点で発現しますが、発現するタイミングは様々です。例え
ば、実験的に腎臓病を発現させた猫の場合、GFRと最大尿濃縮
との相関は乏しく、高窒素血症を示す猫の中には著しくGFR
が低下しているにもかかわらず、尿濃縮能が維持されている例
も認められました。GFRとUSGとの間に相関が認められない
ことから、SDMAとUSGの間にも直線的な相関は期待されませ
ん。腎不全による等張尿が発現する前に、SDMAは通常上昇し
ます。SDMAは上昇していてもクレアチニンが参考基準範囲内
である早期CKDの犬または猫の多くは、不適切なUSG(つま
り、犬は1.030未満、猫は1.035未満)を示します。しかし、
SDMAが上昇した犬と猫の25%以上では、高い尿濃縮能が維
持されています。これはGFRの低下が軽度であった、もしくは
尿濃縮能を喪失するタイミングが様々なことに起因するもの
と考えられます。
Available at idexx.com