「情報技術基礎」論理素子による進歩 指導資料 本時の学習内容 論理素子の進歩とともにコンピュータが小型化し性能も向上してきた発達の歴史について理解する。 1 ・ ・ ・ 計算機の歴史 1642 パスカル 1694 ライプニッツ 1822 バベジ 歯車式加算機(加算・減算) 歯車式計算機(加算・乗算・除算) 解析機関 計算機,計算を行う道具で古いものであるそろばんは使うには特別の訓練が必要である。もっと自動 的に計算を行う機械が,1600年代半ばに考案された歯車式の計算機である。これは1960年代まで便利な 計算機として実際に使われていたが1972年に安価で高速な電卓が登場しこれに替わった。 コンピュータとしては1960年代後半にはリレースイッチを使った電気的な計算機が出回ったが,数年 で急速に発達した電子式の計算機にとって代わられた. コンピュータは電気回路で計算を行うがその主要部品を論理素子という.コンピュータの発達は論理 素子の発展によるものであり,使われている論路素子の違いにより第○世代コンピュータと呼ばれてい る. 2 3 電子計算機の世代の概略 時期 第1世代 1946∼ 第2世代 1958∼ 第3世代 1964∼ 第3.5世代 1970∼ 第4世代 1980∼ 論理素子 真空管 トランジスタ IC(集積回路)その他 LSI(大規模集積回路) VLSI(超LSI,超高密度集積回路) 演算速度 0.1∼1.0ms 1∼10μs 0.1∼1.0μs 第1世代 真空管を論理素子にした時代 消費電力と発熱が大きく,素子の故障が多く,信頼性が引くかった。 主記憶装置に磁気コアが使われ始めたが,主流は磁気ドラムであった。 1946 ペンシルバニア大学のエッカートとモークリ ENIAC 真空管18800本,リレー1500個,消費電力150kW,重さ30トン 端子盤上で配線することでプログラムを作成した。 当時の卓上計算機で20時間程度かかる弾道計算を30秒で実行できたという。開発費は48万6000ドル。 約500億円程であったが費用の大半は,弾道計算に使いたかった陸軍から出ている。 1949 EDSAC(エドサック) イギイス,ケンブリッジ大学,ウィルクス フォン・ノイマン考案のプログラム内蔵方式 1951 最初の事務用コンピュータUNIVAC出荷 モークリーらは新たな実用的計算機 UNIVAC を作り始める。 真空管の本数がENIACの3分の1以下の50 00本に抑えられ,重量も7.2トンに減少している。また計算回路は ENIACより簡略化されたが,速度 があがっているため, 演算能力はENIACより優れ1秒間に10万回の加算を実行できた。また真空管メ モリーに代えて,もっと信頼性の高い,水銀遅延管メモリーを採用した。更に従来の紙テープに代え てデータの記録媒体として磁気テープを採用した。価格は1台目が15万9000ドル。 4 第2世代 トランジスタを論理素子にした時代 発熱量少なく,小型で信頼性が高い。主記憶装置として磁気コアが主流になった。 5 第3世代 ICを論理素子にした時代 いっそう小型化,記憶容量は増加し,処理速度も一段と速くなった。 通信回線を利用した各種データ通信システムが構築されるようになった。 6 第3.5世代LSIを論理素子にした時代 さらに小型化,価格も安くなる,周辺装置も発達した。 1971 LSIを使用した4ビットのマイクロコンピュータが開発され,家電製品やおもちゃなどあ らゆる製品に使用されるようになった。 7 第4世代VLSIを論理素子にした時代 450㎡のENIACの性能が電卓で実現できるようになった。 この頃パーソナルコンピュータが出来る。 1977年 AppleⅡ 8ビット機 1981年 IBM-PC 16ビット機 OSとしてMS-DOSが誕生. 1982年 NEC PC-98 16ビット機 32ビット機になったのは80年代後半. 1994年 OSとしてWindows95が登場 現在のパーソナルコンピュータは32ビットから64ビットCPUへの世代交代が始まっている。 8 今後の展望 ICの高密度の集積技術は限界に近づきつつある。これにともないシリコン半導体を主体とした回路 素子からより高速度の動作をする回路素子への転換が進められている。 非ノイマン型の人間の脳細胞のしくみをまねたコンピュータも研究されており,将来人間の思考に近 い方法で推論・判断を行う人工知能(AI)の実現が期待されている。 9 世界で最初のコンピュータについてはコンピュータの定義にもより各種の説がある ① ABCマシン1939 アメリカ アイオワ州大学アナタソフとベリー ・ 現代のコンピュータに使われている基本原理をもった最初の電子計算機 ・ 計算の補佐をする程度の機械であり,コンピューターと呼べない。製作したが結局マシンは完成 せず実用化はしなかった。 ・ 2進数による演算,論理回路,記憶装置などが,後のコンピューターに大きな影響を与えている。 ② ・ Z3 1941 ドイツ 論理素子は電気機械式でコンピュータとよべない ・ フォン・ノイマン1945 プログラム内蔵方式を提唱 アメリカ,プリストン高等研究所のフォン・ノイマン(コンピュータの父と呼ばれる)はプログ ラム内蔵方式を提唱した。 ③ ④ ENIAC 1946 アメリカ ペンシルバニア大学エッカートとモークリー 従来世界で最初のコンピュータといわれてきたが,モークリーは1941年にアタナソフの元を 訪れ,計算機の原理について詳しく語り合い,またABCマシンを見学しているためその原理を受 け継いでいるとみなされており,最初の電子計算機とはいえない。 ・ 大規模な電子計算機としては最初である ・ 汎用性を確保する設計技術が,後のコンピューターに大きな影響を与えている ・ ⑤ ・ EDSAC 1949 イギリス ウィルクス プログラム内蔵方式 プログラムを内蔵したものがコンピュータであると定義すれば最初のコンピュータである。
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